●親愛 知らない男が隣にいた。 知らない女と向き合っていた。 気が付いたら誰も知る人間のいない場所にいた。 何をしていたのか覚えていなかった。思い出そうとすると頭痛がしたので止めた。 その時から二ヶ月くらい、僕は彼らと生活を共にした。 とても広い空間で、外に出られそうにはなかったが、十分に生活が出来る食料や設備などはそろっていた。 外に出る方法が見つかるまで、ここで生活することを試みたのだ。 気が強い奴が多かったけれども、それなりにいい奴ばかりだったから、難なく打ち解けた。 皆ここに来る以前のことは覚えていないらしい。 何かしていたことは覚えているのだけど、思い出せなくて。 それでも今は何となく楽しくなってきたし、このままでいいかとも思っているらしい。 生憎僕もそんな感じだった。同じ境遇の彼らに嫌悪感など持ち合わせるはずもないし、また考え方が似ていて、親近感が湧くこともあった。そうして交流を深めていく内に、親愛の情が生まれてきて、いつまでもここで生活していても構わないのではないか、とも思うようになっていたのだ。 そうして、二ヶ月の時は過ぎ、僕らの絆とも言える代物は強固になっていったのだ。 ある日起きると、僕は拳銃と封筒が自分の鞄に入っているのを見つけた。こんなもの、ずっとなかったのにと、不思議そうにマジマジと見つめる。拳銃を触ったことはなかったが、どうにもこれを持つ手は震えて仕方がなかった。これが人を殺しうる凶器なのだと思うと、余計に。温い吐息を口から漏らしつつ、惜しむようにそっとそれを鞄の中に戻し、封筒を手に取る。 何も書いていないまっさらな封筒だった。僕はそれをゆっくりと破り、中の手紙を取り出し、折り畳まれていたそれを開く。そこには、たった二文だけ、シンプルにこう書かれていた。 ここから出られるのは三人だけ。殺しなさい。 嗚呼どうしてだろう。僕はこの文面を読んで笑みが溢れるのを抑えきれなかった。それは紛うことなく悦楽から呼び起こされたものだった。僕は確かに彼らを親愛している。今実行している彼らとの生活がずっと続けばいいとも思っていた。だが、悲しいことだが、彼らはそれ以前に他人であったということだ。僕という自己を確立するための、要素でしかなかったのだ。そして今そうするために彼ら要素が成すべき役割は、僕が望む世界には一つしかなかった。 僕は拳銃をとり、彼らを見る。親近感の湧いた彼らのことだから、きっと同じことを考えているに違いない。皆一緒だ。それ故に、親愛に値したのだから。 ●テスト 「今回の依頼は、黄泉ヶ辻のフィクサードに誘拐された一般人の救出です」 『運命オペレーター』天原・和泉(nBNE000024)は惨憺たる光景の流れる映像に一切言及せず、ただ彼らを救うことだけを要請する。彼らは決して特殊なスキルを持ったようには見えないし、人間として許容の範囲の方法しかとっていないが、著しく攻撃性が高く、周りの人間を自分の意のままに殺そうとしていた。 「……ええ、見ての通り、少々厄介な一般人の方々ですが」 黄泉ヶ辻のフィクサードは彼らを『テスト』しているのだと彼女は言う。何らかの基準をもとに集められた彼らをあの場所に閉じ込め、殺し合わせる。 「最終的に、生存者は0になる。相打ちというところでしょうか」 「それは、実験が失敗したということか?」 リベリスタが聞くが、和泉は黙って首を横に振る。 「彼らの出した結果は『成功』。一般人の生き死には、テストの結果には影響を及ぼすことはないのでしょう。ますます一般人を集めて何がしたいのか、わからない」 和泉の抱く疑問はそれだけではない。 「奇妙なことに、彼らの周囲に彼らを操るアーティファクトの類はありませんし、何か攻撃性を高めるような特殊な空間にいるわけでもないのです。つまるところ、彼らは自分たちの意志で、殺し合っている。元々そういう人間、いずれ残虐な殺人を起こしうる者たちを集めて、これをやっているとしたなら、一般の人間としては好都合に見えるのかもしれませんが、彼らは罪を犯してもいない、また犯すとも限らない一般の人間なのです。そして黄泉ヶ辻がわざわざ彼らを集めているということは、そうして何か有用な結果が得られるということなのでしょう。 ……今回の依頼は、黄泉ヶ辻のテストの阻止、という意味合いもありますね。黄泉ヶ辻が何を企んでいるにせよ、彼らのことですから、いい方向には進まないと見るべきでしょう。 それでは以上二点、出来る限りのことをお願いします」 彼女はそう言って、リベリスタを送り出した。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:天夜 薄 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 4人 |
■シナリオ終了日時 2012年06月12日(火)23:10 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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■サポート参加者 4人■ | |||||
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● 黄泉ヶ辻。 その意味のよくわからない組織体系と似て、彼らの行っている実験は悪趣味だ。 少なくとも『歩くような速さで』櫻木・珠姫(BNE003776)はそう考えている。 ただ、被検体となっている一般人も、その様子からしてある意味の『普通』とは言いがたいのだけれど。 それが神秘と関わりのないものであるからには、分け隔てなく助けないとね、と彼女は思う。 黄泉ヶ辻のテストの場所は三つの部分に分かれている。 一般人が捕われている密室。 その密室に入るためのドアを制御したり、警備に指示を出しているフィクサードのいる別室。 そして密室と、そこに入るためのドア。そこを警備しているフィクサード。 リベリスタは警備のフィクサードを狙った。彼らはそこを警護すると同時に、一般人を連れ去る役目を負っている。 彼らを減らす事は、一般人を護る事にも繋がるだろう。 リベリスタ全員が、まず警備のフィクサードを襲撃に向かった。 一般人のいる密室がどういう状況にあるのか。どういう対応取るのかを考えるのは、それを知ってからでも遅くはないと、リベリスタは考える。 密室の前にたどり着いたリベリスタたちは、フィクサードと対峙する。フィクサードは彼らの姿に気付くと、無線を取り出して叫んだ。 「侵入者、実験室到達、プランAでいいか」 『ああ、それで頼む』 連絡を取り合うフィクサードを余所に、『大風呂敷』阿久津 甚内(BNE003567)が全力で彼らに接近していく。 「悪いんだけどもー、君らの悪趣味に付き合わされる身にもなって欲しい訳ー」 一度関わってしまった相手。関わるんじゃなかったと思いながらも、甚内は男たる者、一辺関わってしまったからには引くに引けなかった。 こうなれば潰し合い。トコトンまでやる気だった。 甚内は射程まで入るとすかさず気糸を練り、放つ。狙い澄まされたその一撃は、寸分の狂い無く敵のクロスイージスを撃った。 クロスイージスは一瞬の怯みの後、周囲を見回す。堅牢なる盾として、守護すべき対象を探す。 それが見つかる前に、甚内の背後から『Dr.Tricks』オーウェン・ロザイク(BNE000638)が現れる。既に回転した思考が、現実の圧力としてフィクサードの周囲に登場していた。 「実験は確かに面白いのだが、行うのならば自身がリスクを負うべきである。……その覚悟は出来ているか?」 リベリスタと敵のホーリーメイガスのいる地点の丁度真ん中に巻き起こった爆発が、ホーリーメイガスの周囲から他のフィクサードを吹き飛ばし、彼への道を作った。続いて珠姫により閃光弾が投下された。それはすぐにフィクサードたちが動けぬように、彼らを怯ませる。 「頭が高い。我が前に立つもの全て、頭を垂れよ!」 『青い目のヤマトナデシコ』リサリサ・J・マルター(BNE002558)から鎧を与えられながら、『黒太子』カイン・ブラッドストーン(BNE003445)は瘴気を放つ。そうして散らばったフィクサードをじわじわとなぶっていく。 「より奥深く人間の心の深淵を覗くのじゃ」 『回復狂』メアリ・ラングストン(BNE000075)は聖なる光を解き放って、周囲のフィクサードを焼き尽す。メアリはこの『テスト』を受けている一般人の心理に疑問を持っている。だがそれを解き明かすのは全てが終わった後だ。 『戦奏者』ミリィ・トムソン(BNE003772)が味方に当たらない位置に、無数の不可視の刃を生み出した。 「任務開始。さぁ、戦場を奏でましょう」 ● 「よくもまあ、こんなところで生活できるよなー。俺だったら耐えられないかも」 『Gloria』霧島 俊介(BNE000082)は阿久津に浄化の鎧を与えつつ、呟いた。相変わらず黄泉ヶ辻は訳が分からない。鬱々しく言葉を吐きながらも、ハッとして言った。 「あ、恋人がいればいつでもどこでも、檻の中でもおkおk!」 彼は全員を救う事を心に決めている。彼の中では、一人でも被害が出れば、それは失敗と同じだった。 『銀騎士』ノエル・ファイニング(BNE003301)が豪快に得物を振り下ろしたその側を、『デモンスリンガー』劉・星龍(BNE002481)の放った業火を纏う矢が通り過ぎた。 ミリィが防御の、珠姫が攻撃の支援を展開する。 オーウェンに向けて二人のソードミラージュが一斉に連続攻撃を仕掛けるが、彼はそれをすんなりと受け流すとすぐさま反撃に転じ、展開させた呪印で片割れをその場に縛り付けた。 もう一人をやり過ごしながら、オーウェンはカインと『極北からの識者』チャイカ・ユーリエヴナ・テレシコワ(BNE003669)の方を見る。 「何もないとは聞きましたが、用心に越した事はありません。ちょっと私も調べてみますね」 チャイカは戦闘前から深淵を覗き、神秘の存在を嗅ぎ分けていた。しかしそこには、一般人の精神に異常を引き起こしたり、あるいは彼らの異常性を極限まで引き出したりするような神秘は、特別存在しないように感じられた。知っているか、理解できるか以前に、それそのものが存在しなかった。 カインも同じだった。千里眼で見通せないもので、特別なものは何も無かった。つまりそれの意味するところは、一般人の行動は神秘によるものではなく、彼ら自身の意思によるものであるという事実だ。 チャイカとカインは互いに同意見であると確認してから、オーウェンに合図を送る。戦闘開始からは三十秒が経過していた。 デュランダルがメアリを狙う。その攻撃を俊介は素早く防いだ。メアリが周囲の神秘を探ってみても何も分からなかった。結局のところ神秘は無いのだろうか。彼女の疑問は深まるばかりだ。 「まーこないだと一緒で 君らもどーせ木っ端でしょー?」 甚内は怒ってこちらを責め立てるクロスイージスを挑発する。しかし怒りに言葉を忘れてしまったのか、彼はそれに拳で応じてきた。 甚内は彼の心の中を探る。けれどもやはり、彼はこの実験を上司に言われてやっているだけの下っ端に過ぎないようだった。 デュランダルが強烈な一撃を振るう後ろから、クロスイージスが十字の光を射出した。チャイカはそれを軽々と避けてみせる。 「そこに攻撃が来るのは予め予測済みです、直撃なんてさせませんよっ!」 チャイカは急激なカーブを描きながら相手をかく乱し、全身から伸ばした気糸を雨のように降らせた。リベリスタの集中攻撃を受けていたクロスイージスは、その雨に撃たれて膝を折った。 彼が倒れたのは、既に七十秒を過ぎた時だった。オーウェンは甚内に合図を送る。 エリス・トワイニング(BNE002382)が撃った魔力の矢に沿って、甚内が密室に向けて接近する。オーウェンは彼に庇われ、その中で集中しながら、その後を追っていた。 フィクサードは彼らを通すまいと動きを遮りにかかるが、カインがそれを阻止する。 「貴族の義務は、つつがなく果たして見せよう」 放たれた瘴気が周囲に吹き荒れ、運良く巻き込まれたホーリーメイガスの体力を悉く奪っていった。 甚内の横から現れたソードミラージュが、彼の鎧に反動を受けつつも打撃を加える。 「こんな積極的に狙う、ってこっとっわぁー☆」 甚内の言葉に怯んだそのデュランダルに魔力の矢が突き刺さる。痛みにこらえながら彼が矢の来た方向にいる俊介に目もくれず、密室へと向かう二人に向かうがしかし、再び降り注いだチャイカの気糸の嵐に巻き込まれ、近くにいたプロアデプトもろとも地に伏した。 やがてオーウェンが密室に繋がる壁の前にたどり着く。甚内が、オーウェンに行動をさせるまいと繰り出されるフィクサードの攻撃を遮るのを心苦しく思いつつ、オーウェンは壁をすり抜けていった。 ● 「おい、あいつ壁を通り抜けたぞ」 「くそっ、物質透過か。まずいぞ、これじゃテストは……」 「出来る限りテストは続行って言われたが、無理か」 「仕方ない、開けてめぼしい奴を運び出すしか無い。すぐに加勢しにいくぞ。プランBだ」 ● オーウェンが中に入る。整然とした空間に、八名の男女が横たわっていた。まだ彼らが目覚める時間ではないようだ。オーウェンは一般人に駆け寄り、その側にある武器を回収していく。 数人の凶器を回収したとき、一般人が目を覚まし始めた。立ち上がりかけたオーウェンはそれを見て、足下の彼を覗き込む。 「起きたか」 「……誰だ、あんた。どうやってここに来たんだ?」 「……死にたくないのならば、大人しくしたまえ」 起きて早々疑問を投げかける男に、オーウェンは忠告を投げつける。その言葉に、言われたとこだけでなく、そこにいた全ての人間が、オーウェンを呆気にとられて見ていた。 「どういうことだ、死にたくないならって──」 彼の言葉を遮るように、何かが動く大きな音が響き渡った。オーウェンと一般人たちは音の方向を見る。ゆっくりと開いていく扉の立てる凄まじい音が、反響しつつ迫ってくる。 外からしか開かない扉が、口を開ける。 真空刃が飛び、それに続いて一人のフィクサードが室内に倒れ込んだ。ドサッという音が静かな室内で鳴り、それが止んだ瞬間、堰を切ったようにリベリスタとフィクサードがなだれ込んだ。 オーウェンはすかさず思考を巡らせ、爆発を起こすが、残った煙の中からソードミラージュが飛び出した。 ソードミラージュは素早く一般人に駆け寄ると、彼にナイフを突きつけつつ、引っ掴んだ。そして素早く反転し、出口を目指す。 「これ以上の暴挙を許すわけにはいきません。可及的速やかかつ確実に、みなさんを無力化していきますよー!」 チャイカの攻撃はソードミラージュの頬をかすめるに留まった。彼はそのまま一般人を連れて行く。 「それだけは、絶対にさせねーからな!!」 俊介は彼の移動を阻害しにかかるが、その時部屋の出口付近から銃弾や魔弾、式神がほぼ同時に飛んだ。別室で待機していたフィクサードが、到着したようだった。ソードミラージュは安堵したように頬を緩ませたが、なお足は止まらない。 ノエルが彼を止めるべく放った一撃は、近くにいたプロアデプトによって受け止められた。出口に向かうソードミラージュを余所に遅れて入ってきたデュランダルが、別の一般人を拾う。カインが暗黒と共に切り掛かったが、それに怯む事無く彼は進もうとする。 星龍の撃った呪いの弾がデュランダルに呪いを与える事無く撃ち抜いた。デュランダルは足をもつれさせ、その場に倒れ込んだ。一般人が、彼から離れようとする。 しかしすかさずダークナイトが接近して、その役目を継いだ。 出口までたどり着こうかというソードミラージュに、甚内は気糸を伸ばすが、それはマグメイガスによって行く手を阻まれる。チャイカも同様に撃ったがやはり遮られて届かず、もはやソードミラージュの足を止めるものは、無かった。彼は一般人を引きずったまま、階下へと降りて行った。 珠姫の真空刃がダークナイトを刻まんと狙うが、それはプロアデプトによって阻まれる。彼はついに戦う力を失くしたが、それを受けて残りの三人が彼をサポートしようと走った。 オーウェンの起こした爆発により、ダークナイトの制御下から連れ去ろうとしていた一般人が外れる。だがリベリスタとフィクサードに挟まれた彼は、身動きが取れなくなっていた。 俊介が彼を庇おうとする。しかしそれより先に、インヤンマスターが彼に一撃を加えて怯ませ、抱えた。変わってダークナイトが、インヤンマスターに向けられた斬撃を受け止めた。 そしてインヤンマスターが、部屋の扉を抜ける。 「逃がしませんっ!」 チャイカが遅れて、それを追った。 チャイカの背を狙う残り二人のフィクサードに、リベリスタ全ての攻撃の目が向けられた。降り掛かる攻撃の嵐に、二十秒と抗えるフィクサードは、なかった。 ● チャイカが急いで階段を駆け下り、廃ビルの外に出ると、フィクサードは既に逃走用の車に乗り込んでいた。チャイカが追ってきているのに気付いているのか、彼らはすぐに車を発進させた。 「待ちなさい!」 しかし攻撃が届く事は無く、彼らは彼方へと行ってしまった。悔しそうに苦々しい顔をしながらも、チャイカはしっかりと、一般人を連れ去って行った男たちの顔、そして彼らが向かって行った方向を、記憶に刻み込んだ。 「オイ、今回のこれ、どんな理由でこんなことしたよ!?」 俊介が怒りに任せてフィクサードの一人につかみ掛かる。一般人二人が連れ去られた事、それに加えて、こんな実験をし、殺し合わせていた事。命を何だと思っているのかという、怒り。 「し、知るかよ」 だがフィクサードもまた、このテストにどんな意味があるのかを、知らなかった。彼が正直に言うところに寄れば、彼らは行動全てを命じられていたに過ぎないのだ。 俊介が責め立てる傍ら、メアリは周囲を調査している。アーティファクトの存在が確認できないということは、一般人は自分の意志で動いていた、ということは間違いが無い。 けれども、とメアリは一般人を見る。オーウェンが部屋の中に踏み込んでから今まで、彼らには明確な殺害意識というものが、微塵も感じられなかった。凶器があろうとなかろうと、それは変わらなかった。この人間たちと、ブリーフィングでみた彼らが、全く同一の人間であるとは到底思えなかった。 だからこその『テスト』なのかとカインは考える。 以前出会った『裁定倉庫』の時と、今回は似た感じを彼は覚えている。周辺には倒したフィクサードを除いて、監視のようなものは見られない。それ故に、別の要素が隠されているのではないかと勘ぐっていた。 遠距離でアレを誘発するAFがあるのか、AFに頼らない技術を確立を目指しているのか。 別室には、一般人の様子を記述した記録が残されていた。それによると彼らは、『裁定倉庫』による裁定において、最後まで残った人間たちなのだという。それが何か関係しているのだろうか。 ともかく、以前の『裁定倉庫』より確実に実験は進歩している以上、放っておくわけには行くまい。彼はそう考える。 甚内は保護した一般人に向けて、言葉を贈る。 「一般人の諸兄はあれだ。普段の生活に戻ってたまーに飲み会とかして楽しくやってけるでしょ? 何も起こっちゃーいないんだから」 そう、彼らの身には何も起こっていない。誰も誰かを殺してはいないのだ。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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