●依頼 三ツ池公園にある『閉じない穴』から帰還した108人の男女。 その内の一人、比嘉健午によって桜がエリューション化する事件が発生した。 リベリスタから報告を受けたアークは、早速各地で生活している108人たちのその後の調査へと乗り出す。 結果複数の帰還者がフェイトを持つ革醒者でありながら、何らかの特殊な神秘事象を起こしている事実が発覚した。 何れも、身体の一部がまるでアーティファクト化でもしたような特殊能力――『Gifts』が影響している。 集められたリベリスタに対して、『運命オペレーター』天原・和泉(nBNE000024)が資料を元に説明を行う。 「今回皆さんに対処して頂きたい案件は、王早苗(おう・さなえ)さんの保護です」 彼女は神隠しによって十年前に突然失踪し、『閉じない穴』から帰還した108人の一人だった。 帰還した時も失踪当時と変わらぬ姿で、特段変わった様子もなく両親の元へと戻されている。 「彼女の周囲に変化が訪れたのは、それから間もなくのことです。 この数ヶ月の間にまず母親が、次いで父親が部屋から姿を現さなくなりました」 和泉は原因について、『カレイドシステム』で調べをつけていた。 「どうやら原因は、彼女の持つ特殊な能力、それも『声』にあるようです」 映像が早苗の姿を映し出し、彼女がひとり自室で遊んでいる光景を映し出す。 「彼女の『声』は何らかの原因で、アーティファクト化に近い状況にあります。 詳しくは保護して調べてみないと何とも分からないのですが……。 皆さんは早苗さんの『声』に巻き込まれないよう、配慮して彼女の保護をお願いします」 ●承前 ――王早苗の自宅。 「おとーさん、おはよう」 丁寧なお辞儀をする早苗。見た目ではせいぜい10歳程度の幼女だ。 お父さんと呼ばれた男性は、早苗に対して「おはよう」と棒読みで答えてお辞儀を返す。 その目は虚ろで、表情も感情が抜け落ちてしまっている。 「おかーさん、ごはんまだ?」 父親とテーブルに座った早苗は、台所に立つ母親を呼ぶ。 母親は棒読みで「今できましたよ」とご飯を差し出した。その目はやはり虚ろで、生気がない。 ご飯と言って差し出したのは、泥でできた団子が三つ。 「むしゃむしゃむしゃ。あーおいしい」 早苗は食べたふりを見せて、お腹いっぱいという仕草をした。 「おとーさんも、はやくたべなさい」 彼女の声に従った父親は、泥の団子をまるでゼンマイじかけの人形のように淡々と食べる。 「おとーさんったら、ぽろぽろたべものこぼしちゃだめでしょー?」 やっていることは、子供のままごとそのものだ。 だが両親は虚ろな瞳のまま、ただ早苗の命じられるままに行動している。 まるで、早苗の言葉がすべての物事よりも優先しているかの様に。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:ADM | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 10人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年06月13日(水)23:54 |
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■メイン参加者 10人■ | |||||
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●訪問 東京都練馬区――光が丘団地。 「私はプリティセーラーっ♪」 『雪風と共に舞う花』ルア・ホワイト(BNE001372)が口ずさんでいるのは、美少女戦隊『プリティセーラー』のテーマソング。 ジャパニメーションは今や全世界で認知されていて、このアニメも世界中の人々が視聴しているらしい。 「日本に来てからは、あまりこういう派手な衣装を着ている人って居ないけれど、欧州ではよく見かけたわ」 可愛いのだからもっと皆着ればいいのに、と彼女は白とピンクのセーラー服を基調としたドレスを眺める。 『てるてる坊主』焦燥院フツ(BNE001054)は嬉しそうなルアを眺めながら、手の中の式神をそっと撫でた。 「プリティセーラーごっこする時は、悪役として行くからな!」 打ち合わせしつつ彼が撫でていたのは、可愛らしいモルモット――アークのマスコット『モル』を模した式神だ。 リベリスタ達が向かった先にあるのは、どこにでもある一般的なマンションだった。 彼等は今回、何かと戦闘する為にこの場所へ訪れている訳ではない。 相手はフェイトを持った革醒者ではあるが、10歳の女の子。名前は王早苗(おう・さなえ)という。 10年前に突然神隠しに遭い、三ツ池公園の『閉じない穴』から帰還した108人の内の一人である。 『ヴァイオレット・クラウン』烏頭森・ハガル・エーデルワイス(BNE002939)は目的地であるマンションを見上げた。 彼女の家はこのマンションの3階である。 「10年の時が流れちゃってますけど、早苗ちゃんはあの時のまま。すこーしばかりすれ違いもあったかな」 エーデルワイスが言ったすれ違い。スペード・オジェ・ルダノワ(BNE003654)はその言葉に賛同する様にして頷きを返す。 「失踪していた10年という月日が、早苗さんからお友達を奪ってしまったのかもしれませんね……」 彼女がかつて同級生だった友達も既に20歳である。記憶の片隅位にしか早苗を覚えている者はいなかった。 まして彼女が当時の同級生や友達を見ても、相手にその面影は殆どない単なる大人にしか見えなかっただろう。 せめて友達になって、孤独から救いたいと思うスペード。 『骸』黄桜魅零(BNE003845)は神隠しにあった時の事が多少気になっていた様子。 「むむ、なんというか、彼女はどこにいってたのだろう」 だが早苗を始めとして、神隠しに遭った人々は当時の記憶が全くないのだ。 神隠しにあった時期も、場所も、状況も、年齢も全員バラバラで、殆ど手がかりと呼べるものがない。 「それはさておき、このままじゃ、彼女も家族も不幸だね! 何とかしてあげよう!」 魅零はそこを考えたところで仕方ないと、気分屋らしくあっさり気持ちを入れ替える。 自身が背負ったランドセル。それが余りにフィットしていて少しだけ虚しさを感じた『破壊の魔女』シェリー・D・モーガン(BNE003862)も、彼女の身を案じていた一人だ。 「早苗の体調が心配だな。確り生活できていれば良いが……」 カレイドシステムで観た両親の状況から、おそらくまともな食生活ではないだろうと容易に推測できる。 『節制なる癒し手』シエル・ハルモニア・若月(BNE000650)もその映像から、何となく早苗の境遇を想像できていた。 「早苗ちゃんは両親に振り向いて欲しかったのかも……」 本当はずっと違和感があるのではないか。でも今の幸せを失いたくないとしたら……。 早苗の能力は相手を自分の言う通りにさせる『声』である。 その『声』を持って、必死で両親を繋ぎ止めようとしたのかもしれない。 能力を聞いた『おとなこども』石動麻衣(BNE003692)が思うに、『王様ゲーム』における王様の様なものだと推測している。 「それにしても『Gifts』と言い得て妙ですね。一般的には『贈り物』という意味で知られていますが、『恩恵』とか『才能』という意味も有るんですよね」 彼女を含めた108人の帰還者に贈られた才能という意味合いなのだろう。 ただ、その能力は本人の心奥の底に隠された願望に基づくものなのか、それとも別のものに根差すのかは今のところ解っていない。 何れ機会があれば調べてみたいと麻衣は考えていた。 『シトラス・ヴァンピール』日野宮ななせ(BNE001084)は仲間の話から、自身が疑問に思う点を口にする。 「強制力を持つ『声』……その力を知っていて使っているのでしょうか……?」 もしそれを知らないで使っているとしたら、ななせは早苗が可哀想に思う。 相手が意志もなくただ言うことを聞いてしまう。それは孤独と何ら変わりがないから。 「さぁね」と肩をすくめた『鉄火打』不知火有紗(BNE003805)。その手には沢山の食材が入った袋が抱えられている。 「言葉が危険なら、態度や行動でコミュニケーションすればいいのよ」 同じ過ちは繰り返して欲しくないという淡い期待。それは有紗自身も下らないと思いつつ、どうしても抱いてしまう感情。 過去に何らかの痛みを持つリベリスタ達にとって、早苗という存在は昔の自身と重なって見えてしまう所が多いのかもしれない。 だからといって単に仲良くなってアークに上手く連れ出すだけでは、早苗の問題解決には決してならないと有紗は理解していた。 早苗には自分自身の意志で、現状を変えたいと思うようになって欲しい。彼女はそう願っているのだ。 ●準備 ――光が丘団地、王早苗の部屋。 ピンポーンとチャイムが鳴り響く。 大好きな『プリティセーラー』の人形を置いて、早苗はヨタヨタとインターホンへと向かう。 「どなたですか~……あれ?」 カメラに映っているのは、モルモットの様な可愛らしい小動物。 「僕はモフル! 早苗、君と友達になりにきたんだよ!」 「もふる??」 首を傾げた早苗に、モフルは身体を大きく揺らしながら話しかける。 「君はもう気づいているかもしれないけれど、君には不思議な力……魔法の力があるんだ!」 「魔法? 早苗が??」 更に首を横に傾げた早苗に、モフルの隣からカメラ越しに笑顔で手を振るシエル。 その背中にはふわりとした白い天使の翼が生えている。 「きれーてんしさまみたい」 目を丸くして羽を見つめる早苗に対し、ななせが言葉を繋ぐ。 「おはようございます。いきなりでびっくりさせちゃいましたでしょうか? 早苗さんとお話ししたくてきちゃいました」 「でも……しらないひときたら、ドアをあけちゃダメっておかーさんが……でも、モフル………」 困った様な返答ではあるが、明らかにモフルの容姿の可愛らしさに心は奪われつつあるようだ。 そこへ割り込んで入る麻衣とシェリー、二人とも見た目は彼女と同じ小学生にしか見えない。 麻衣が落ち着いた声で、早苗へと呼びかける。 「学校をずっとお休みしてるから、お友達と様子を見に来ました」 確かに早苗はずっと長い間学校を休んでいた。少なくても早苗自身は単純にそう思っている。 だが実際の所、世間的には失踪したと見做され死亡認定が下されていて、彼女が学校に行けるはずもなかった。 仮に両親がそれを取消したところで、今度は彼女の戸籍上の年齢に問題が発生する。 本来20歳であるはずの彼女に、小学校に行く資格は既にないのだ。 「でもさなえのしってるともだちじゃないよ?」 早苗の返答に頷いたシェリーは明るい声で続いた。 「私達は転校してばかりなの。実はね、家が近くだから遊びに来たんだ~、一緒に遊んで欲しいな」 「そうなんだぁ。ちょっとまってね」 声がパッと明るくなり、しばらくすると玄関をガチャガチャと開ける音が聞こえてくる。 どうやらクラスメイトも一緒であると彼女が錯覚した事が功を奏したようだ。 同じ学校の人間なら、決して知らない人ではない。とでも思えたのだろう。 ドアを開けた早苗は、無邪気な笑顔で挨拶する。 「こんにちは~、さなえだよっ」 彼女は何だかとても嬉しそうに一行を出迎え、リベリスタ達はそれぞれ挨拶しながら部屋へと入る。 数週間は掃除も何もされていないであろう。薄汚れた居室。 ゴミや食べ残し、雑誌やマンガがあちこちに放置され、明らかにまともな生活を送っていそうにはない。 リビングのシンクタンクには山と食器類やら食べ残しが積まれてある。 有紗は一通り室内を見回して溜息を吐くと、早苗へ笑顔で片手を差し出した。 「ありさよ、よろしくね」 「さなえだよっ」 魅零が続いてさりげなく問いかける。 「台所を貸してもらっても良いかな?」 「? いいよ?」 承諾を得た有紗と魅零は、リベリスタ達にそれぞれ頷いてから台所へと向かった。 仲間たちが話し相手になってくれている間、彼女達はひとまずリビングを片付けなければと作業にかかる。 入れ替わるようにしてニコニコしたルアが、モフルにぎゅっと抱きついている早苗へ語りかけた。 「サナエちゃん、あそびましょ♪」 「なにしてあそぶの?」 「じゃじゃーん! 今日はサナエちゃんにプリティセーラーの衣装を持ってきたの!」 取り出したのは、白とピンクのセーラー服を基調としたキラキラとしたドレス。 早苗の顔がアッと驚いた顔になった。 「プリティセーラーだ!」 「サナエちゃん、プリティセーラーになりたい? 私みたいにメイクもしてあげるよ!」 「なりたい! さなえ、プリティーセーラーになるっ!!」 ルアは早速彼女の部屋へと一緒に行き、早苗にドレスを着せ、ティアラをつけて、アイラインを入れ、リップをひいて準備を整える。 その間に他のリベリスタ達は、それぞれの役を演じる為の仕込みを行い始めていた。 ●食卓 真っ黒に塗った袈裟姿、そしてサングラスをしたフツが、入口から堂々と部屋へと侵入してきた。 「ハゲ怪人だぞはげー!」 フツ改めハゲ怪人が辺りに繰り出すのは、そのハゲ頭から発射されるビームっぽい発光。 一般人の役を演じたななせが叫び声をあげる。 「誰か、助けて!!」 「ステッキの煌きは月の如く。プリティーブルー参上ッ☆」 助けに入ったスペードは、プリティセーラーの仲間であるプリティブルー役として庇いに入る。 しかしハゲ怪人と共にやってきたエーデルワイス改め鉄腕!読心女がそれを阻んだ。 「ふふふふふ、私は何と心が読める怪人なのですよ。今あなたたちの心を読んじゃいますよー」 怪人二人の登場に、一気に苦戦する体を取るプリティブルー。 そこに準備の整ったルアが、早苗に声をかけた。 「さあ! これでプリティセーラーの一員よ! 怪人をやっつけに行きましょう!」 「……うん!」 プリティなセーラーにおめかし完了ですっかりテンションが上がり、ノリノリで出てきた早苗。 「大輪に咲く一輪の月花……プリティセーラー参上! 地球に変わっておしおきよ!!」 急に饒舌になってる。 決めポーズもバッチリ、ハゲ怪人と鉄腕!読心女の前にビシッと立ちはだかった。 「必殺……」 言いかけた言葉はプリティセーラーの必殺技『地球の代わりにアナタ大爆発』。 それは危険だとルア改めプリティホワイトがそっと早苗の口を塞ぐ。 「貴女の『声』には神秘の力があるの。今はまだ、使ってはダメ」 「えー??」 そこへサッとステッキを渡すプリティブルー。 「これを振りながら『坊主になれ!』と言えば、あの敵は改心しますよ……!」 「うん、わかった!」 ステッキを受け取った早苗は、くるくると回してステッキをハゲ怪人と鉄腕!読心女に向ける。 「『二人とも、坊主になれ!!』」 「「「「あ……」」」」 一瞬固まって沈黙する一同。 速度に勝るフツは慌てて「ぐあー!」と叫び、エーデルワイスを抱えて部屋から飛び出した。 「やーらーれーたー」と叫びながら、物凄い勢いでフツの腕の中でジタバタしているエーデルワイス。 もし彼女が装備で刃物を持っていたら、言葉の通りその場で丸坊主になろうとしたかもしれない……。 「わ。すごいです……! ありがとう、プリティセーラー!」 かなり冷や汗をかきつつ、礼を言ったスペード。 ブリティセーラーごっこも落ち着いた所で、やっと台所の片付けの終わった有紗が声をかけた。 「お願いされてご飯作りにきたの、何が食べたい?」 食材の袋を見せた彼女に、早苗は少し考えてから答える。 「んーと、はんばーぐがいい!!」 魅零が既に冷蔵庫を整理していて、調理に使えそうなものは選別できていた。 買ってきた食材と合わせて調理に入る二人。 「じゃあ、もう少しみんなと遊んでいてね」 料理に取り掛かった二人、ななせとシェリーが間を持たせるように声をかける。 「おねーちゃん、いっしょにあそぼう? おままごとはどう?」 「私はもう11歳だから、早苗ちゃんのお姉ちゃん役ね」 ニコニコしてウンウンと肯き、一緒にリベリスタ達が用意したおままごとセットで遊ぶ早苗。 ずっと孤独だった彼女にとって、友達が出来た事はきっとものすごく嬉しかったのだろう。 特に危険な言葉を口にすることもなく、やがて調理も終わってみんなで食事を取る。 言われていたハンバーグは有紗が、魅零は身体に優しいスープとお弁当を少し調理してひと工夫。 もちろんリベリスタ達の分も作ってある。みんなで団欒するようにテーブルを囲んだ。 シェリーは早苗の隣の席で、一緒にハンバーグを口にしながら尋ねる。 「早苗ちゃん最初元気なかったから。確りご飯食べてたの?」 「おかーさんに『作って』っておねがいしたときだけ」 それを聞いた両隣に挟むようにして座った麻衣が、更に尋ねた。 「お父さん、お母さんは今、どこに?」 「おへやにいるよ? でもさなえがおはなししないと、なにもしてくれないの……」 視線を両親の寝室に向け、少しだけしょんぼりした声の早苗に対し、優しげな声で本題を切り出すシエル。 「お父さん、お母さんは元通りに出来るけど、『アーク』という所に一緒に来て貰えると大丈夫だと思います」 「本当?」と首を傾げた早苗に、ななせが簡単に説明する。 「アークは特別な力を持っている人が集まっていて、悪い人たちやお化けとかをやっつけている所。 つまり、プリティセーラーみたいにみんなを守るお仕事をしているところよ」 「んふふ~! 私達は! アークに所属するエージェントなのっ!」 ルアはエージェントとはプリティセーラーみたいなものよと、その速度を生かして残像を作るように動いてみせる。 「すごぉーい!!」 その為に。と、魅零は言葉をまとめに入る。 「貴女がやるべきことは、貴女の力を知ることだと思うの」 「さなえのちから??」 「早苗ちゃんには特別な能力があります。その『声』です」 麻衣はできるだけ刺激しないように、やんわりとした口調で言いつつ肯定した。 その能力に気づいて欲しい為、似たような能力を持つリベリスタ達が来た事を端的に告げる。 まだ理解しきれていない様子の彼女に、ななせがそっと言葉を付け足す。 「それに、本当の正義の魔法少女になれるかも」 「!?」 顔が明るくなる早苗、どうやら本気でプリティセーラーの様になりたいらしい。 シェリーが姉らしく、そっと彼女の手を握る。 「私がずっと手を繋いでてあげるから、一緒にアークに行こう?」 スペードは柔らかく微笑みかけた。 「もう、1人じゃないんですよ」 満面の笑みで、肯く早苗。 有紗は早苗の好き嫌いをやんわりと注意し、まるで親の様な応対を見せながら、仲間達の説得に耳を傾けていた。 大勢で食事しながら会話をしている光景。 10年振りの他人との対話だから、最初は多少の距離感や違和感のズレがあっても仕方ない。 それは時間が解決するものだと、彼女は思っている。 むしろ問題なのは、これから彼女が自身の『声』の能力とどう向き合っていくかだ。 (日々の幸せを取り戻すには、能力の制御を学ばないとね……) ともかく一歩踏み出せたのは確かだと、密かに安堵の息を漏らした有紗。 食卓では楽しげな笑い声と談笑が繰り返され、早苗にも本来の笑顔が戻ってきていた。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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