下記よりログインしてください。
ログインID(メールアドレス)

パスワード
















リンクについて
二次創作/画像・文章の
二次使用について
BNE利用規約
課金利用規約
お問い合わせ

ツイッターでも情報公開中です。
follow Chocolop_PBW at http://twitter.com






【人類史上最大ノ姫君ヲ奪還セヨ!】上空80メートルの攻防

●承前
『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)が画面に映し出したものは、なにこの化け物。としか言えない機械だった。
「……大きすぎる」
 イヴは、ふむと小首を傾げた。 
 誰かに手伝ってもらわねば。
「空にそびえる鉄の城での攻城戦に興味がある人」
 数多のフォーチュナーのうち、瞳をキラキラ輝かせて手を上げたのは、二人だった。
 
●依頼
「バケットホイールエクスカベーター。
 露天採掘の用いられる大型建設機械で、人類史上最大の自走機械と認定されてるものです」
『運命オペレーター』天原和泉(nBNE000024)は目をキラキラ輝かせ、集まったリベリスタたちに話し始めた。
 その背後モニターには――あまりに巨大な『ぼくがかんがえたさいきょうのこうじょう』。
 キャタピラの上に船が載り、その上に船の倍の長さのベルトコンベアーが尻尾のように伸び、さらに数本の強靭なアームが数本。互いを何十本ものワイヤーで支えあっている。
 そのアームの先には巨大な車輪がつき、その中にリベリスタの二、三人は入れそうなバケツが観覧車のようについている。
 特に『船』っぽく見える本体には枠や手すりや通路や小さな屋根やらがくっついて合体して組み合わさって、複雑な様相を見せている。
「全長は150メートル、全高は80メートルです。国内仕様なので多少小さいサイズですが」
 あまりに巨大すぎて、規格外もいい所だ。
 高さによって地面へと落下した場合、相当のダメージを覚悟しなければならない。
「で、このバケットホイールエクスカベーター……略して『BWE』ですが。
 実はこれがエリューションの巣窟状態になっている上に、現在暴走しています」
 何故か。
「『BWE』は元々採掘に用いられる機械です。
 これが偶然、地面に埋まっていたアーティファクトを掘り起こしてしまいました。
 そしてその中に封じ込められていたエリューションが『BWE』を操り、増殖性革醒現象でエリューションが大量発生しています」
 こんな巨大な要塞機械をこの人数だけで対処しろとでも言うのだろうか?
「ご心配なく、既に他のフォーチュナが皆さんと同じ様に招集をかけています。
 全部で今回は三チームに編成分けして、それぞれ任務を行う予定です」
 そう言えば、さっき別のリベリスタたちの一団と廊下ですれ違ったのを思い出した。
「皆さんの任務は……ここ」
 和泉が指し示したのは、アームの先の回転する巨大なホイール。
 この危険なホイールの外側には、複数の掘削バケットがついている。
 採掘したい場所にこのホイールを押しあてて回転させ、表土の鉱物を大量に削り取る訳だ。
「このホイールから、数多くのエリューションエレメントが発生しています」
 ホイールから次々とEエレメントたちがアームへと移動してきている。
 どうやら採掘した鉱物が何らかの事象でエリューション化していってる様だ。
「このエリューションたちの発生を指揮しているのは………」
 和泉は続けて、一番てっぺんのアームにある観覧車のようなバケツを指す。
 その高さは当然、ほぼ上空80メートル。
「此処にいます。エリューションエレメント『ローガン』」
 非常に硬い岩石の皮膚を持つ、ずんぐりむっくりの巨人といった風体。
「ローガンのいるアームは角度を変化させながら、採掘の指揮をしています。
 皆さんはアーム上のエリューションエレメントを駆逐しながら、ローガンの居る場所まで移動してそれを退治してください」
 角度の変化するアームの上を移動するとなれば、非常に足場が悪くバランスはとりづらい。
 加えてこの高度ともなれば、飛行しながらの攻撃はほぼ当たりそうになかった。
 アームを足場にアクロバットを駆使した難しい戦いになるだろう。
「他の二つの部隊はそれぞれ別の場所で戦っています。それぞれに距離があって連携はまず無理です。
 今いる皆さんだけで、しっかり対処してください。
 それと『BWE』は日本で非常に貴重なものなので、できるだけ傷つけないでくださいね。くれぐれも気をつけて」


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:ADM  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 10人 ■サポーター参加人数制限: 4人 ■シナリオ終了日時
 2012年06月06日(水)00:23
 ADMです。今回はガンマSTと田奈アガサSTとの連携シナリオ。
 皆様は高度80メートルのアーム上というかなり特殊な状況下での戦闘になります。
 個々の役割分担が肝なシナリオ。加えてアクロバット戦闘&無双したいキャラクターさんは是非どうぞ(笑)
 詳しくは下記にまとめます。
 
●注意事項
 このシナリオは他STの運営する【人類史上最大ノ姫君ヲ奪還セヨ!】シナリオと連動しています。
 その為、本シナリオに参加したキャラクターは、同時に他STの運営する【人類史上最大ノ姫君ヲ奪還セヨ!】シナリオへの参加ができませんので、くれぐれもご注意下さい。
 
●成功条件
 1.Eエレメント『ローガン』の殲滅
 2.BWE本体を大きく破壊しない(被害を最小限に留める)事

●バケットホイールエクスカベーター(BWE)
 全長は150メートル、全高は80メートル。日本最大級の自走建設機械です。
 キャタピラの上に船が載っていて、その上に船の倍の長さのベルトコンベアーが尻尾のように伸びています。
 更に数本の強靭なアームが数本。互いを何十本ものワイヤーで支えあっています。
 重機は現在EエレメントとEフォースの巣窟となっています。
 
●ホイールについて
 機械の最前方にあるアーム先に付けられた巨大な掘削ホイール。
 ホイールの外側には複数の掘削バケットがついていて、採掘したい場所にホイールを押しあてて回転させ、表土の鉱物を大量に削り取っています。
 現在『ローガン』の指示で掘削を行いながら、次々とEエレメントを創り出しています。
 創り出されたEエレメントはホイールから次々とアーム上に現れます。
 放置すると、アームに向かうリベリスタの背後から続々とEエレメントが詰めかける結果になるでしょう。
『ローガン』が倒された時点で指示する者がいなくなり、採掘作業はストップします。
 
●『ローガン』のいるアームについて
『ローガン』は中央の最高所に位置するアームの頂点にいます。
 角度を気まぐれに上下させ、前後左右に移動している為、足場は常に安定していません。
 如何にリベリスタと云えども、そこから地上へ落下すればかなりのダメージになりますので注意してください。
 
 てっぺんには観覧車のようなバケツ形態のゴンドラがあり、『ローガン』はそこで採掘指示を行なっています。
 そのゴンドラは数人が並んで乗る程度のスペースしかなく、『ローガン』以外に誰か2人が乗った時点で満員になります。
(つまり『ローガン』に近接攻撃ができるのは、ゴンドラに乗り込んだ2名のみ)
 ゴンドラはその形状の為に、遠距離攻撃に対して遮蔽物として扱われます。
 
 リベリスタの突撃時、『ローガン』のいるアーム上のあちこちに全部で100匹程度のEエレメントが巣食っています。
 またアーム上での戦闘が始まり次第、常時数匹~10匹程度ずつEエレメントがあちこちから増援に駆けつけようとします。
 それ等はアームの根元から何れも駆けつける為、リベリスタたちは戦闘後間もなく前後をはさまれる形になるでしょう。
  
●『ローガン』について
 Eエレメント/フェーズ2
 ずんぐりむっくりな岩の巨人といった風体で、巨大なハンマーを操って戦います。
 強力な物理攻撃&防御力を持っていて、その攻撃ダメージには圧倒・ショック・ノックBのBS効果が追加されます。
 またノックBを食らうと、ゴンドラの外に投げ出される可能性があります。
 加えて敵のいるゴンドラの大きさには限りがあり、直接接敵して戦えるのは2名までです。
 遠距離攻撃や援護はゴンドラの形状が遮蔽物となるので、戦術を工夫しないと難しい状況です。

●配下のEエレメントたちについて
 何れもフェーズ1で、小さな岩が擬人化したような形態をし、鉱物で造られたスコップやつるはし等の武器を持っています。
 バランス感覚に優れ、足場の悪いアーム上を器用に移動して戦いますが、飛行能力がないので、落下すれば戻ってはこれません。
 彼等はその身体故にそれなりの物理攻撃を有していますが、神秘攻撃にはやや弱く、一体一体は然程の力を持っていません。
 上記を踏まえれば、戦い方によって無双プレイも十分可能なはずです(笑)
 
 
 それでは、皆様のご参加と華麗なパーティプレイを楽しみにお待ちしております。
参加NPC
 


■メイン参加者 10人■
デュランダル
結城 ”Dragon” 竜一(BNE000210)
ホーリーメイガス
アリステア・ショーゼット(BNE000313)
クロスイージス
新田・快(BNE000439)
覇界闘士
大御堂 彩花(BNE000609)
ソードミラージュ
上沢 翔太(BNE000943)
インヤンマスター
焦燥院 ”Buddha” フツ(BNE001054)
デュランダル
桔梗・エルム・十文字(BNE001542)
ソードミラージュ
鎹・枢(BNE003508)
プロアデプト
チャイカ・ユーリエヴナ・テレシコワ(BNE003669)
レイザータクト
緋桐 芙蓉(BNE003782)
■サポート参加者 4人■
覇界闘士
御厨・夏栖斗(BNE000004)
ソードミラージュ
戦場ヶ原・ブリュンヒルデ・舞姫(BNE000932)
デュランダル
羽柴 壱也(BNE002639)
スターサジタリー
ティセラ・イーリアス(BNE003564)

●空前
「ばけっとほいーるえくすかべーたー(BWE)! まさか日本にあるとは思わなかったのです」
『極北からの識者』チャイカ・ユーリエヴナ・テレシコワ(BWE003669)の目の前にそびえる空前絶後の機械。
「工学に生きる人として、この子にはひとかどの敬意を払って戦わないといけませんね」
 頷いているチャイカに対して、目をキラキラさせて巨大な機械を眺めている『おじさま好きな少女』アリステア・ショーゼット(BWE000313)。
「うわー! おっきーなー! すっごいなー! こんなのお家に1台欲しいなー!」
 使い道はないけど。と呟くアステリアに小さく苦笑したものの、『デイアフタートゥモロー』新田・快(BWE000439)もその大きさに感嘆する。 
「資料で見ていたとはいえ、これは、大きい……」
『すもーる くらっしゃー』羽柴壱也(BWE002639)も、この機械のあまりの巨大さに驚きを隠さない。 
「でっかい機械だなぁ!」
 そんな壱也たちに対して、『合縁奇縁』結城竜一(BWE000210)が言葉をかける。
「つってもよォ、でかけりゃいいってものじゃねえだろ。柔よく剛を制すってのが、日本男児の心意気だ」
 包帯を巻いた右手に触れ、竜一は強気に言い放つ。
 全高80メートルの自走機械を前にして、『ライトニング・フェミニーヌ』大御堂彩花(BWE000609)が『インフィ二ティ・ビート』桔梗・エルム・十文字(BWE001542)たちに簡単な説明を行う。
「主に海外の採掘所で活躍しているそうですが、最近は日本国内でも稼働しているんですね。
 この狭い国の何処に動かす場所があるのかは疑問ですが。
 まあそれでも、はっきり言って本場のBWEと比較するとかなり小振りな造りですけれど」
 意外そうな顔をしている『戦姫』戦場ヶ原・ブリュンヒルデ・舞姫(BWE000932)に対し、彩花は柔らかな笑みで返す。
「わたくしがこんな話をするのは意外ですか? 重工企業の職業柄知っているだけの話です」
 彼女はお淑やかな容姿と裏腹に、実家の縁でこういった機械関係に強いらしい。
『ジェットガール』鎹・枢(BWE003508)は彩花の説明を聞き、落ち着かなげにパタパタと背中の翼をはためかせる。
「夢と浪漫で働く車! そんなばけたん先輩を悪い事に使うなんてダメですよ! その悪事、全力で止めさせていただきます!」
 いつの間にか、BWEはリベリスタの一部に『ばけたん』と呼ばれるようになっていた。
 一方、『てるてる坊主』焦燥院フツ(BWE001054)は飛行機の模型の様な式神を召喚する。
「これなら戦場全体を見渡せるから、アクセスファンタズムの回線は開いておいてくれ」
 防御が薄くなった部分にいつでも指示ができるよう、フツは戦況を見渡せる上空へ式神を飛ばす。
 ちらりと横目で他のリベリスタのチームが動き出したのを確認し、『やる気のない男』上沢翔太(BWE000943)は一行に声をかける。 
「下は優希や他の皆が上手くやってくれるはず」
 既に他の二班に別れたリベリスタたちが、それぞれ管理制御室とベルトコンベアーでそれぞれ敵の殲滅に動いていた。
 翔太に頷いた『イケメン覇界闘士』御厨・夏栖斗(BWE000004)は拳をパシッと合わせ、『空中楼閣』緋桐芙蓉(BWE003782)は向かうべきアーム上に視線を移す。
「貴重で大切なお姫様。お話の中の勇者のように、見事エリューションから救い出しましょうね?」
 アーム上にいるのは、合計100匹を越そうかというエリューションエレメントたち。
 何れも小さな岩石に短い手足が生え、ずんぐりむっくりとした岩の小人といった風体をしている。
 もっとも高所に位置するゴンドラには、目標となるエリューションゴーレム『ローガン』がいて、ホイールへ採掘指示を送っていた。
 このエリューションの群れを突破してローガンを破壊しない限り、採掘から延々と湧き出すエリューションの増殖は止められない。
『鉄鎖』ティセラ・イーリアス(BWE003564)は肩をすくめるようにして、さらりと告げた。
「多いだけね、楽な任務だわ」
 
●無双 
 不安定なアーム上をゴンドラ目掛けて一気に駆け上がり、前方の敵の壁を幾多も突破し続けるリベリスタたち。
 アリステアが最初に翼の加護を仲間たちに授け、落下の不安は小さくなったとはいえ、やはりその足場は心もとない。
「みんなー。おっこちないでねー。落ちたら自分で飛んで帰ってきてねー」
 彼女はふわりと浮き上がり、全体を見渡せる高所まで移動して援護に回る。
 アームを進んだ一行の前後から、瞬く間にエレメントたちが詰め掛けてきた。
 前方のエリューションに対応するのは、竜一、棺、舞姫。その後ろから支援する芙蓉とティセラ。
 最後尾には快、夏栖斗、壱也が後方からの襲撃に備え、ローガンを攻撃する彩花、翔太、桔梗、チャイカを挟んでガードする。
 中央上空にいるアステリアとフツが、全体の回復と戦線の構築維持に努めながら前進を続けていた。
 絶妙なバランス感覚を維持したまま、両手に剣を構えて突進する先頭の竜一。
「見せてやるぜ、力を制す技ってのをな!」
 スタイリッシュと自身が言い切る二刀流を手に、目の前のエレメントへエネルギーを込めた一撃で吹き飛ばし、後ろで支えている別のエレメントごとアームから落下させる。
 隣で竜一と共に先頭に立っていた舞姫は行動を遅らせ、その身体を高速で移動させて幾つもの残像を創り上げた。
「露払いします」
 高速の残像によって鋭く身体を斬り裂かれ、バランスを失うエレメント。
 二人が真っ直ぐアーム上で大きく斬り込む中、棺がまるで左右から矢を射掛けるように飛行しながら急襲した。
「ボクはあんまり強くないけど、ばけたん先輩を守りたいって気持ちは負けないつもりです!」
 ジェットコースターの様にアーム周りを一回転し、幻影を重ねた一撃で追撃ちを加えて敵を落下させる。
 本来ならばせいぜい二人並んで戦闘できれば手狭になりそうなアーム上で、彼女は自分なりの工夫を凝らして前線の壁の枚数を増やすことに成功していた。
 押し寄せるエリューションに彼等の後ろから、光弾を次々と撃ち込むティセラ。
 芙蓉は攻撃における効率動作を仲間たちと共有させつつ、生まれて初めての翼の経験に少し戸惑っていた。
「これが翼の加護ですか……あ、いや、その……本当に飛べるんですね……」
 慣れない空中戦よりと、アームに足を付けたままで誘導性の真空波を打ち込んでいく。
「一体一体確実に仕留めて行きましょう」
 彼女は仲間の攻撃に合わせて敵をひとつずつ絞り、確実にエレメントたちを駆逐していった。
 チャイカが後追いを掛けるように前方の敵へと気糸を張り巡らせる。
「頑張って邪魔者さんたちを叩き潰しますよー!」
 計算された配置でできる限り多数の敵を巻き込み、その身体を貫いていった。
 一方最後尾には、既に新たに増殖したエレメントたちの波が押し寄せ始めている。
 反転して足を止めた快は襲ってきた敵の中央へ単独で切り込むと、砂蛇のナイフに破邪の力を込めた。
 鮮烈な光を帯びた武器で敵を上段から打ちのめした後、次々と襲いかかるエレメントの攻撃をその一身で引き受けていく。
「夏栖斗! コンビネーションだ!!」
「しゃ相棒!!」
 夏栖斗はその声に応じて自身の利き腕に秘めた業火を、快ごと敵を薙ぎ払うように振るった。
 延焼が辺りを包み込み、快を中心に巻き起こった炎に次々と呑まれていくエレメントたち。
 その攻撃から溢れた敵が夏栖斗たちの脇をすり抜けようと駆け出そうとするも、壱也がそれを押し止める。
「ここからは行かせないよ!」
 渾身のエネルギーをその武器に内包させ、振り払うはしばぶれーどがエレメントをアーム上から突き落としていく。
 それでも溢れた敵が戦線の突破を図るのを見てとった彩花が、肘先を覆う大型のガントレットの両手を交差させて突進する。
「押し返します」
 雷撃を纏った武の舞いが、次々とエレメントを撃ち抜いていく。
 更に猛追をかける3人のコンビネーションが重なり、辛うじて戦線が破られるのは防がれていた。
 傷ついた快たちを見てとったフツが手早く印を組んで天使を召喚し、アステリアと手分けしてその歌を持って空中から全体の癒しにかかる。
「ったく、無茶な戦術ばっかしやがって。もうちょいゴンドラ寄りに移動頼むぜ」
 苦笑混じりにフツは快たちへ笑いかけ、戦線を確認しながら仲間たちに移動指示を行う。
 確実に頂上のゴンドラに目前まで近づいたリベリスタたちだが、同時にアームの揺れも大分大きくなってきていた。
 前線で斬り込む前線に、最後方から夏栖斗の声が飛ぶ。
 それと同時に背中越しに殺気を感じ、身を翻して避ける竜一。
 先程まで彼がいた場所から、一直線に飛翔し貫通する蹴撃が通過してエレメントを掻き分ける。
 直後に好機と見た桔梗が、中列から一気に前方へと駆け出した。
「りゅーいち、背中を貸して……」
 そう告げると、彼女は竜一を足場にして大きく跳躍する。
「翔けろ少女よー! 俺の背中を超えて行けー!」
 見上げて声を張る竜一。だけど視線は桔梗のスカートの中。
 でも残念、スパッツ履いていました。
 エレメントたちを大きく飛び越えて着地し、桔梗は手早くゴンドラへと飛び込んでいった。
 桔梗に続けて、空中へと飛び上がった彩花とチャイカもそれに続く。
 チャイカは舞い上がった状態で、ザッとアームの状態を確認していた。
「やばっ、さっきの攻撃でフレームに擦り傷がっ! 後で修復しないといけませんね……」
 なるべく良い状態で持ち主に返してあげる為、彼女はこまめにBWEの状況を記憶して後々の修繕に備えている。
 前線が移動を始めたのを上空から見て取り、アステリアが追いかけようとするエレメントたち目掛けて神々しい光を放つ。
「ちょっとは無双できるかなぁ……?」
 ローガンに接敵していくメンバーを見送ったリベリスタたちも、彼等が追撃されないよう次々と前線のエレメントを駆逐していった。
 
●殲滅
 眼前のエレメントを無視した翔太は、アームの真裏を伝って駆け出している。
 面接着により自身の重力を操り、逆さであっても普段と変わらぬ調子で移動できていたのだ。
「ローガンを早く倒すぞ、その分全員の負担が減る」
 アームの先からゴンドラ内に入って、真っ先にローガンと相対した翔太の姿は幻影によって二重に見えている。
 多重に別れたバスタードソードが、正面から敵を叩き切った。
 ありえない方向から不意を打たれたローガンは、その連撃で敵の侵入にやっと気づく。
 採掘指示をゴンドラから送っていたエリューションは岩石の巨人といった風体で、その手にしていた巨大なハンマーを構えて翔太へ襲いかかる。
 狭いゴンドラ内で翔太は身を翻してそれを交わすと、更に幻影の剣を突き刺す。
 ガキンッ! と、鈍い音がしてローガンの身体を大剣は掠めた。
「いやまぁ重くて硬いのはわかってたが……」
 なかなか効果的な打撃は与え辛いなと、翔太は敵の防御の硬さに舌を巻いている。
 それでも仲間の合流まで切り結び続けられたのは、彼の類まれなる回避のセンスが物を言っていた。
 ローガンの巨大なハンマーの振り回しを、ゴンドラの壁を足場にして宙帰りを決めて大きく反らして剣を振るう。
 やがてゴンドラ内に飛び込んだ桔梗が輝くオーラを纏い、バスタードソードで次々と攻撃を繰り出した。
「にゃあーーーーーーーーー!!」
 新たな敵の出現に困惑する巨人。そこへ上空からチャイカが全身の気糸をローガンに向けて叩き込んだ。
「空からだって、当てられる人は当てられるのですよっ!」
 仲間の合流を見てとった翔太は、ゴンドラ内から足場を外側へと移し、真横に直立してローガンを見やる。
 まるで重力法則を無視したかのように手摺を足場に飛翔して、上空から剣を舞わせて再びゴンドラの外壁へと戻った。
 アクセスファンタズム回線を開いたまま、ゴンドラへと登った彩花。
「わたくしの実力、とくと御覧なさい!」
 その手足を雪崩の如く連打させ、岩石に先制を加えて中に着地する。
 巨人は敵が翔太から更に3人増えたのを見て取り、手近な桔梗へ低い体勢からハンマーを振り上げる。
 上空に突き上げられゴンドラ外に弾き飛ばされた桔梗だったが、翼を器用に動かして勢いを減速させアームの根元に何とか着地した。
「うぅ~~~~~~~~」
 唸るように声を上げると、再びアーム上で食い止めを行う快たちに合流する。
 その様子を見てとった枢が、するりとエレメントの間を縫ってゴンドラへ。
「コラー! 動かしたいかもしれないけど悪い事しちゃいけませんよ!」
 自らのギアを最速に保ってゴンドラの手摺回りを低空飛行し、すれ違い様に全力でローガンに連撃する。
 更に翔太が高角度でバスタードソードを一閃して、大きく牽制した。
「俺達はしっかりココを片付けよう」
 呼びかけた声に応じ、ローガンにピタリと張り付いてブロックした彩花。
「食らいなさい」
 氷を纏った手甲が巨人の身体を撃ち、一瞬で凍りつかせて動きを封じる。
 そこへチャイカが気糸で正確に相手の脆い箇所を貫いた。
「ロック完了、さあ派手に決めますよー!」
 プレッシャーのかかった巨人。続けて桔梗と入れ替わる様にやってきたのは竜一だ。
「てっぺんってのは、つえーやつの居場所だ!」
 見下すように両手の広刃の剣を交差させ、裂帛の気合と共に全身の闘気を爆発させた。
「お前にその場は不似合いなんだよ!」
 振り降ろされた二刀の剣。破滅的な一撃を持ってローガンを叩き伏せる。
 本来巨人に二人しか接敵できない場所に対し、リベリスタたちは位置取りを創意工夫することで倍以上の戦力をぶつけられた。
 加えて、いつでも入れ替われる様に準備ができている。
 如何に防御が高い相手でも、幾多の攻撃が重なれば防ぎようがない。
 抗いきれなくなったローガンはついにその身をゴンドラ内へと沈め、翔太はゴンドラの壁から拳を下へと突き出した。
 それは今でも戦い続けているであろう友へ、無言の勝利のサイン。
 
 ゴンドラへと到達した仲間を護りつつ、エレメントに相対してきたリベリスタたち。
 舞姫は押し寄せる敵を幻影で捌きながら、その耳に僅かな稼動音の変化を聞き取る。
「……アームが動き出しそうです。体勢の維持を」
 アーム中央で破邪の一撃をエレメントにぶつけながら、快は自身の足場をしっかり保った。
「冷静になると……怖いよな。高いトコ」
 流石に地上80メートルともなれば、下を見ただけでクラクラするような高さである。
 翼の加護を繰り返しでアステリアからもらっていたとはいえ、此処から落とされるのは誰だって嫌がるだろう。
 身体の絶妙なバランス感覚を維持したまま、直線上に敵を蹴り飛ばしていく夏栖斗。
 体勢を崩した相手目掛け、壱也は角度を付けて大剣を叩きつけエレメントを落下させる。
「どんどん落としていってやるんだから!」
 言い切った彼女もまた背の翼で低空飛行をしバランスを保つ。
 押し寄せる敵の数が多くて乱戦状態となり、芙蓉も既に近接攻撃を行わなければならない状況だった。
「若い人たちが頑張ってるんです……私だけ休む訳にはいきません」
 大胆に大きく踏み込むと、宵霞を変則的に斜め下から斬り上げてエレメントの不意を付いた攻撃を繰り出す。
「もう少しです。皆さん頑張りましょう」
 呼びかけながら自身の体勢を直し、芙蓉は次の相手に備える。
 光弾をばら撒くように戦っていたティセラも、やはり押し寄せたエレメントの接敵を受けていた。
「……イーリアスの敵ではない」
 彼女は仲間を巻き込まないよう、アームから垂直方向に体勢を変えて高速でAbsolute FIREを旋回させ、激しい烈風で叩く。
 次々と押し寄せる敵の攻撃で傷つけられていく仲間たちを、アステリアとフツが二重の回復を持って癒し続けていた。
「うわー。すごいなー」
 圧倒的な勢いで次々とエレメントを落下させていく光景に、アステリアは思わず感嘆の声を上げている。
 回復を施したフツは式神の視界から増援が途絶え、同時にローガンが倒されたことを確認していた。
「竜一たちがローガンを片付けた! 後は今いる連中だけだ!!」
 フツの声に快は大きく肯く。
 仲間たちは全員それぞれのカバーに余念がなく、戦線もコンパクトにまとめた事で回復手段も行き渡り深手を負っている者もいない。
 勝敗は既に決したと確信していた快は、敵へと振り返る。
 あとは仲間たちが敵を殲滅させるまで、自身が正面で敵を惹きつけるだけだ。
「かかってこいよ、俺が全部受け止めてやる」
 
 アーム上のエレメントが殲滅されたのは、他のチームが事を決するより大分早い段階での出来事だった。

■シナリオ結果■
大成功
■あとがき■
 ADMです。『【人類史上最大ノ姫君ヲ奪還セヨ!】上空80メートルの攻防』をお届けします。
 多少のミスですら皆さんのカバーリングで十二分に補える状況を演出しており、プレイングを拝見して穴が見当たりませんでした。
 大成功おめでとうございます。気になる点は所感にて。
 
●所感
 多少スキルの取り間違いや戦術のミスがあったとしても、それを補って余りあるチームプレイに徹していれば、それは単なるミスではなく物語の「味」となります。
 それを確認させて頂いた、非常に良い機会だったと思います。
 戦線の構築、維持しながらの移動、ゴンドラへの対処、どれをとっても問題なく立ち回れていたと思います。
 皆様の行動があまりに格好良く、正直字数ギリギリまで入れてもまだ書ききれませんでした。
 他にも採用したいプレイングは幾つかありましたが、できるだけ皆さんの行動は盛り込ませて頂いたつもりです。
 
 
 それでは、今後の皆様の更なるご活躍を願って――。