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煩悩溢れる銃士

●繁華街の裏で
「ちょっ、やめてよ!?」
「や、止めたいんだけど~っ!」
 1人の青年の前で、二人の少女が踊る。
 双子の姉妹が手にした刀剣を振るい、殺陣の如く終わらぬ戦闘を繰り広げていた。
 望んでしていることではない、青白く体が光る少女は己の意志で動いていないのだ。
 これでは傷つけるわけにもいかず、殺すなんて以ての外だろう。
「ふふふっ、さぁどうする? お嬢さん方」
 若干体に老いを感じさせる男は、30歳前後だろうか。
 彼女達の様子を愉快そうに眺めるだけだ。
「この卑怯者っ!」
「止めなさいよっ!」
 二人に罵声を浴びせられ、それでも男は止めない。
 何かを念じると、操られている少女の動きが変わる。
 一気に追い詰める様と、刃の軌道は鋭く素早い。
「きゃっ!?」
 己の片割れが見せる才能の片鱗に押され、もう1人の少女は圧倒されていく。
 応戦というにはおこがましく、完全に防戦一方だ。
「隙あり!」
 一瞬の硬直を逃さず、青年は拳銃の引き金を引いた。
 放たれた弾丸は奇怪で鋭角、それは宙に紫の線を描く。
「しまった……!」
 直撃、しかし怪我をした様子は無い。
 何の意味があるのか? それは直ぐに知れた事。
 紫の光は彼女を包むと、青白い光に変わったのだ。
「さぁて、これで二人とも俺のものだ。どう楽しもうか……」
 殺陣の時間は終わり、今度はお遊戯。
 手入れの届いた得物が滑り落ち、けたたましく地面を転がる。
「この外道、変態っ! アンタなんかそれがなけりゃ今すぐ叩きのめしてやるんだからっ!」
「そうよそうよっ! 物頼りの情けないDTめぇっ!」
 一部のフレーズ……否、どう考えても最後のアルファベットが彼の心を容赦なく抉り、優越感は一気に怒りに染まった。
 ふつふつと湧き上がる殺意にも似た憤りが、少女達にも伝わるだろう。
「別に隙なんぞ狙わなくたって、殆ど当てられたんだがな。遊ばれてることすら気付かないクソガキめ」
 男は肩を振るわせつつ言葉を続けた。
「お前らが忌み嫌う相手に弄ばれるんだから、さぞ屈辱だろうなぁっ!」
 吐き出された渾身の恨み、そして念じた事は少女達に可能な限りの辱めである。
「ぇ、なっ、嫌っ、な、何なの……っ!?」
「手が……っ、嫌、嫌だぁっ! やめなさいよ……っ!」
 少女二人の脚が僅かに開き、ミニスカートの裾を自らの手でたくし上げていく。
 勿論望んだことではない。全ては男の所為だ。
 強引に恥を晒させ、プライドを叩き折る。それが彼の思う粛清というところか。
「「逆らって御免なさい、お詫びに私達の恥ずかしいところ沢山見てください♪」」
 震える股座からレースの白いショーツと、薄いピンクのショーツが完全に露出していた。
 声も、表情の自由すらも奪う。
 唯一残された自由は、頬を伝う涙のみ。
「ふふっ……はははっ、はははっ!!」
 至極愉快と高笑いを決め込む男、ぽたぽたと少女達の涙は零れるばかり。
 ……そんな光景を偵察兵リベリスタ、EEはレンズ越しに捉える。
(「下衆が」)
 彼がいるのは3人を見下ろせる建物の屋上。
 本当は頭を撃ち抜きたいが、相手は一般人だ。
 本部の連絡どおり、アーティファクトである銃だけを狙い、引き金を絞る。
 鈍く乾いた銃声が響き、精密射撃は迷い無くアーティファクトを砕く筈だった。
「っと!?」
 だが、男はリベリスタと変わらぬ身のこなしを見せ、弾丸を回避してしまう。
(「なっ!?」)
 理由は分からない、だが外れた事に変わらない。
 操られる恐怖に身を支配されつつ、EEは屋上の縁へ隠れる様に地面へ体を押し付ける。
『HE、俺が操られたら脇腹のポーチにあるグレネードを撃ち抜いてくれ。恐らくそれで動きが止まる』
 彼の射撃技と爆発物の破壊力が合わされば、ほぼ一撃で行動不能に陥らせられる筈だ。
 相方へ死に際の如く伝えるメッセージ、妹に顔向けできない事はしたくない。
 だが。
「くそっ! 何処だ! 出て来いよっ!!」
 男は喚くばかりでEEを操ろうとはしない。
 遮蔽物に隠れただけでは弾丸を回避できないと睨んだが、どうやら必中の射撃に条件があるようだ。
『何故撃たないんだい?奴は……』
 HEも不思議でたまらない、EEは暫し考え、一つの答えを導く。
『HE、俺が狙撃する時だが、奴の視線は完全にあの二人に行ってたか?』
『あぁ、クズらしい顔をしてみてたよ』
 喚き声の中、一人納得するとEEは通信を続ける。
『HQ、それにHE。恐らく奴の銃は視認しなければ、必中の射撃を当てられない。逆に言えば見つかれば最後だ、間違いなく当てられる』
 完全無敵のアイテムではないが、このままでは埒が明かない。
 二人は静かに男の動向を探り続ける。
「くそっ、出てこないなら……! いいか! 出てくるんじゃないぞ! 出てきたらこいつ等を殺すからな!」
 男の叫びと共に、少女二人は互いの首筋へ刃を押し付けあう。
 弄ばれ、命を摘み取られそうな恐怖に二人の手はカタカタと震えていた。
『……HQ、あの二人を助けるのが先決だ。こんな事の為にリベリスタを失うわけには行かない。レイヴンで上空から追いかけてくれ、捕捉さえしてくれれば、俺達が居場所を突き止める』
 本部が無慈悲な決断を下す前にEEは打開案を提示する。
 上も同じ考えに至ったらしく、彼の要求を受け止め、準備が進む。
 男は少女達を盾にする様に撤退を開始、未だに死の恐怖に去らされる二人は覚束無い足取りで男に連行されるのであった。

●独裁者
「未来が見えても偶然ばかりは、どうにもならないものね……」
 小さく溜息をこぼす『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は、スクリーンの映像を閉じる。
「あの二人は本来あそこにいる予定は無かったの。ただ偶然、あそこでエリューションが沸いて、偶然彼女達が立ち寄って倒したら、あんなものを持った人がいたって事」
 その後、偵察兵二人の働きで二人の少女の救出は完了済み。
 だが恩を仇で返すとは酷いものだ、リベリスタ達の雰囲気は少々ピリピリしていた。
「状況を説明するわね。彼は前田 浩二、そこら辺にありふれた一般人よ。そして、彼が偶然手に入れたアーティファクトがディクタトールという銃よ」
 ディクタトール、それはラテン語で独裁官を指す言葉だ。
 随分と皮肉な名前である。
「銃自体には意思があって、自身が壊されない様、居心地のいい人間の場所で留まろうとするわ。彼みたいに女性に対して、何かの執念があったりすると丁度いいみたい」
 さて、ここからが本題だ。
 口酸っぱく言葉を続けるが、相手は一般人である。
 殺して奪うは余りにも道徳に反するだろう。
 相手があれだけ外道な手段を取るのであれば、それも一つの手かと思うだろうが、組織としては容認できるものではない。
「追跡してくれたリベリスタが情報を沢山持ち帰ってくれたわ、映像にもあった通り見つかったらアウト。だけど……彼が楽しんでいる間に横から掠め取ればどうにかなるかもしれないわ」
 狙撃が失敗したのは、破壊という銃にとって死に繋がるものだったからこそ、最大限の回避が発生した。
 だが奪うのであれば別だ。例え離れても、奪った相手が居心地いい場所ならそれでいいのだから。
「作戦は囮と奪取の二つの班で行ってもらうわ、囮は彼に好き勝手させたり、煽って意識を惹きつける事、両方出来れば最高だわ。奪取はじりじりと彼に近づいて、隙を見て奪う。でも素早さ任せとか、上空から近づくだけとかだと駄目よ、気取られるから」
 例えるならば『ダルマさんが転んだ』だと呟くイヴ。
「役割分担は任せるわね」
 キツイ灸を据えてやろうと、リベリスタ達は準備に取り掛かるのであった。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:常陸岐路  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2012年06月04日(月)23:38
【ご挨拶】
 始めましての方はお初にお目にかかります、再びの方にはご愛好有難う御座います。
 ストーリーテラーの常陸岐路(ひたちキロ)で御座います。
 さてさてお色気ですが、今回はストレートなお色気ではなくて捻ったお色気になるので、好みが分かれるかもですね。
 恥らう女性は可愛らしいものです。
 お色気濃度に関しては、プレイングに入れていただければと思います。
 どんなセクハラされるかはプレイング内容が大きく関わります
 その時のセリフやら動きやらをそれとなく書いてあったりすると、それにあわせたセクハラをすると思います。
【作戦目標】
・ディクタトールの奪取(破壊は可能であれば)
【戦場】
・廃屋:郊外にポツンとある廃屋、周りにはテグスと空き缶で作った鳴子が張り巡らされており、警戒しきっています。廃屋の中は玄関と、そこに繋がる居間だけが使用可能な状態。玄関の前には雑草の生えた庭、家の裏には林と茂みが広がっています。
【ターゲットについて】
・前田 浩二:齢30、魔法使いになりました。本当の彼は無害なマイペース青年ですが、若干魔法使いの事に関して気に掛かるものがあり、そこをディクタトールに取り入られてしまった模様。元々が無害な存在だった所為か二人の少女を傷物にする事も無く、セクハラして開放している辺り、一線越えてないというところでしょうか。しかし、不安要素がそのまま凶暴性の火種になっています、つまりそこを突っつけば……? また、ディクタトールを失えば、今までの事は忘れてしまうのでご安心を。イヴの説明にもあった通り、警戒していると彼の動きは尋常ではありません。しかし、警戒が薄れれば薄れるほど、元の一般人並の反応力へ近づいていきます。チャンスは一瞬です。
・ディクタトール:ラテン語で独裁官を意味する。弾丸を撃ち込んだ相手を自分の意のままに操る力を持ち、使用者を凶暴化させる。この銃を握ったものに、『心の中にある不安と欲望』があれば、そこを刺激し、取り込もうとしてきます。……例えばDTだとか、年齢=シングル歴だとか、そろそろ結婚を意識すべきと思っているとか、自身のバストサイズにガッカリするとかetc。恐らくリベリスタだと抑えられる筈です、相当根深くなければ。
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
覇界闘士
ティセ・パルミエ(BNE000151)
クロスイージス
春津見・小梢(BNE000805)
インヤンマスター
天和 絹(BNE001680)
ホーリーメイガス
大石・きなこ(BNE001812)
ソードミラージュ
リンシード・フラックス(BNE002684)
クリミナルスタア
ガッツリ・モウケール(BNE003224)
ダークナイト
霧島・撫那(BNE003666)
ダークナイト
御堂・霧也(BNE003822)

●囮
 いくつも絡み合う半透明な糸の罠、これに掛かれば完全に気付かれる。
 それを避けつつ進むのは『鉄壁の艶乙女』大石・きなこ(BNE001812)と『悪木盗泉』霧島・撫那(BNE003666)、少々覚束無い動きをする『まだ本気を出す時じゃない』春津見・小梢(BNE000805)の三人だ。
 正面の罠を解除しきれば今だと三人が静かに駆ける、が。
「よく来たなぁっ!」
 玄関を盛大に開くと同時に3連射される拳銃。
 吐き出された禍々しい光が、鋭角に曲がりくねり、三人へと迫った。
「なんだこれー」
「きゃぁっ!?」
 素早く散開するが、張り付く様に追尾する光は振り切れない。
 小梢ときなこは瞬く間に光の餌食だ。
「くっ!」
 跳躍で光を避けた撫那は槍の切っ先を彼へ向ける。
 放った黒き閃光は明後日の方向を駆け抜け、林へと消えていった。
「何処を狙っているんだ?」
「きゃっ!」
 カクンと曲がった軌道は今度こそ撫那に吸い込まれ、自由を失った体が地面に墜落する。
「三人でご苦労なこった、さて俺に撃たれたらどうなるか、知ってるよな?」
 ニヤリと笑う浩二の瞳は酷く濁っており、囮役と理解していた3人も欲望剥き出しの視線に悪寒が走った。
「恥ずかしく思わないのですかこの……DT!」
 早速撫那が禁句を口にし、彼の額に青筋が浮かぶ。
「そんな事ばかり考えているから女性にモテないんです!」
 至極正論である。
 しかし、開き直った浩二は鼻で笑うと他の二人へと視線を向けた。
「お前は後だ。先に仲間が弄ばれる姿でも見て、せいぜい後悔しやがれ」
 品定めと繁々と二人を見比べ、先鋒を選ぶ浩二。
 最初の犠牲者は小梢に決まる。
(「このやる気なさそうな顔が恥じらいに染まるのは中々美味しそうだな」)
 筆者も同意である。
「まずはスカートでも捲ってもらおうか」
 強制的に動かされる両手がタイトスカートの裾を掴む、広がりのない作りは捲るとなれば殆ど上へ持ち上げていくようなものだ。
 やる気のなさそうな悲鳴と表情、それでも恥じらいは消えず、頬の紅潮が彼へ心情を伝えていた。
「いい眺めだぜ、次は一枚ずつ脱げ」
 白いショーツをまじまじと眺められ、更に下された命令に小梢の心音は高鳴る。
 視線を逸らす事も許されず、無表情と紅潮のアンバランスな艶やかさを醸し出す。
 ジャケットが滑り落ち、同色のブラが露になれば、腰を屈めながらスカートもぱさりと地面に沈む。
 日中の屋外で下着姿という、恥辱の格好で無表情を貫くのはせめてもの抵抗のようにも見えた。
「いい顔だぜ……後でその表情を崩してやらぁ、さて、次はお前だ」
 今度はきなこへ毒牙が迫る。
「お前には実験台になってもらおうか」
 何か乱暴なことをされるのか? 予想とは違う言葉にきなこがビクリと震えた。
 浩二が何かを呟いたように見えるが、それは誰の耳にも届かない。
「ほら、脱いでみせろ」
 明確な命令を一つ告げると、きなこは恥じらいを見せつつも、胸元に手をかけていく。
「こ、こんな姿をみせるのはご主人様だけなんですからね!」
 そんな事を言えと命じた様子は無いが、自然と吐き出された言葉。
 ご主人様、そう呼んだ浩二の事を何処か愛しそうに見つめつつ、ぱつぱつとボタンが外されていく。
 ブラウスの前が開き、するりと落ちると続けてスカートのホックが外れる。
 パステルピンクのブラからは今にも零れそうな胸の丸みに、ショーツに包まれたむっちりとした臀部のラインと熟した艶を放っていた。
「あんまりじろじろと見られると恥ずかしいです」
 俯き、視線を逸らすも体は隠せない。
 男を魅了するボディラインが全て晒され、浩二の目を楽しませていく。
「その……最近胸がまた大きくなっちゃったみたいで……確かめてもらえませんか?」
 ふらふらと近づくきなこは彼の片手を取り、自身の胸へと押し付ける。
 恥じらいと共に何処か喜んでいるようにも見える顔を見つめながら、浩二は遠慮なくきなこの胸を堪能していく。
(「あれあれ、私いいように弄ばれているのにそこまで嫌な気分になりませんね。寧ろなんでしょうこの高揚感は……」)
 それもその筈、最初の呟きは脳へ催眠の如く埋めつけたものだ。
 偽りの喜びに蕩かされ、正常な思考は奪われていくのであった。

●独壇場
 その頃、第二の囮となる三人が動き出す。
 『おこたから出ると死んじゃう』ティセ・パルミエ(BNE000151)と『くろとり』天和 絹(BNE001680)、『おっ♪おっ♪お~♪』ガッツリ・モウケール(BNE003224)は静かにターゲットへ迫っていた。
 なるべく向こうの警戒が薄れるまで近づき、物陰で息を潜め、様子を伺う。
 ガッツリが暗闇を広げ奇襲を後押しするのだが、既に気付かれていた。
「そうだろうと思ったぜ!」
 唐突に振り返った浩二は闇に包まれ行く三人を視認、西部劇を思わせる早撃ちは一瞬にして三人を貫く。
「し、しまったお」
 消えていく暗闇、三人の姿が露になり、浩二はニヤリと笑う。
「馬鹿な奴らだ、この間二人掛りで追い掛け回して、何もしてこなかった奴らが女三人で取り押さえに来るなんて信じると思ったか?」
 だが、それが狙いだとは気付かなかった様だ。
「体を操れど……わたくしの心までは操れませんわ! 他の子を辱めるのなら、わたくしからやりなさい!」
 絶望の表情を俯き隠し、引き締めなおした表情で浩二を睨む撫那。
 頬を伝う涙がより一層、彼の嗜虐心を煽った。
「どこまで強がれるか楽しみだ。まずは脱いでもらおうか、体をくねらせる様にな?」
 凹凸の美しい体を強調する様に紡がれた命令に、撫那は抗えない。
 胸を揺らし、ライダースーツから弾ける様に双瓜が飛び出し、括れた腹部を晒す。
 腰に掛かったスーツへ親指を通し、するりと落ちれば程よい臀部も瞳に映り、屈辱の踊りを披露していく。
(「そう、この感触ですわっ。何時もの依頼では想像するだけで味わえない、この甘い刺激!」)
 本性を表へと引っ張り出すが、まだ全部は出せない。
 出すのは最後、全てをへし折られ踏み躙られ、尊厳の全てを失った瞬間だ。
「さぁて」
 黒く扇情的な下着姿に、浩二も大変満足そうだ。
 次なる命令はディクタトールの力で伝わっていく。
 閉じられた足が大きく開かれ、かくんと膝が沈めば、蟹股開きの状態に、両手がピースを模れば、満面の笑みを作らされた。
 凛々しく振舞った全てを台無しにさせる格好、こくりと喉が鳴ってしまう。
「わたくしの恥ずかしいポーズ……見てください、ですわぁ♪」
 屈辱の限りを尽くし、表情は笑みではあるが悦楽に沈んだだらしない表情。
 『この男サイテー』だの、『一体私には何をさせるつもりなのか?』だの、他の女子達へ畏怖と軽蔑の感情が沸き立つ。
(「おかしいな、あんな笑い方をしろと命令したつもりは無いんだが」)
 普通に笑えと命じたのだが、最高潮の甘みに沈む撫那の極自然の笑みである。
 ゆらりと第二の囮メンバーへ振り返る浩二、幼さ残るティセと絹はおびえた表情で彼を見上げていた。
 
「おや、珍しいのがいるな」
 視線に止まったのは絹の姿であった。
「ま、周りを見てください! 豊かな方ばかりじゃないですか、僕の体なんか見ても楽しくありませんよ!」
 体の起伏が緩やかで、背も小さい。今まで嬲った女達の中で違う味をしている。
 甘みの後に欲しい塩味、味覚の我侭と同じだ。
「楽しいかどうかは俺が決めることだ」
 全身をまじまじと眺め、腰元に突き刺さる視線に絹の頬が、かぁっと赤く染まる。
「スパッツは見られて困るものじゃ、ありませんし」
 自分に言い聞かせるような言葉、張り付いた生地の下を見透かす様に食い入る視線が羞恥心を煽る。
 そろそろ体を検めようと命令を下すと、自らの手でセーターを脱ぎ始めていた。
「う、上はいけません……いけません!つ、付けていないのでっ」
「知らんな、しかし何で付けてないんだ?」
 キャミソールの紐と共にある筈のもう一組の肩紐が見当たらず、笑みは訝しげな表情に変わった。
「ちっとも大きくならないので不要かなと諦……ってそんなことはどうでもいいんです!」
 恥ずかしさより、コンプレックスの体付きが心を抉る。
 大丈夫、コンプレックスに思う心は男心を擽るもの、覚えておくといい。
 絹はスパッツもじっくりと緩やかに下ろされていき、白のコットンショーツが露となる。
「下着も子供っぽいんだな」
 遠慮なしに胸元に押し当てられた掌、指の這わせ方もきなことの時は違い、肌を這うばかり。
「ひっ、やめて下さい……っ」
 感じたことの無い感触が絹におぞましさと未知の何かとして交じり合い、涙と共に体が跳ね上がっていた。

●裏目
「今度はこっちの小さいほうだな」
 自身の未発達具合と、好き勝手触られた精神的苦痛……恐らく、前者の方が大きいだろうけれど。
 結果としてぐったりとしている絹を見下ろし、死とは違ったおぞましさがティセを包む。
「じょ、冗談だよね?」
 誤魔化すように紡ぐが、既に自分と同じ年頃の少女が貪られている。
 醜い笑みを浮かべる浩二は、気にもせずティセへと近づいた。
(「確かに歳の割には胸は大きい方だけど、中学二年生にも、するの? もう、見境がなくなっちゃってて誰でも良いの?」)
 さて、脱がそうと命令を下そうとしたが若干流れの単一さに味が薄れる感触を覚える。
 ならばと下すのは『抗うな』、ただそれだけ。
「や、やだぁ……」
 シャツへと伸びた太い指が、小さなボタンを解いていく。
 今にも振り払いたいのに体は言うことを聞かない。
 ノースリーブの上着が剥ぎ取られ、水色のブラが顔を覗かせる。触られる事を想定していなかったティセの表情は、赤くなったまま凍りつく。
「ん? 無駄な事を」
 スカートの下に穿いていたアンスコを見れば、鼻で笑う。
 言葉道理の感想を抱きつつ、ポケットから出したカッターを伸ばしていく。
「こういう邪魔なのはこうだ」
 柔肌やショーツを傷つける事無く切っ先が生地を救い上げ、ザリザリと純白を切り裂くのだ。
 身動き取れぬまま刃物を向けられるのは恐ろしいもので、ティセの震えは止まらない。
「これでよしと」
 アンスコであったものが地面に転がり、今度はスカートへと手を掛ける。
 終わらぬ男の嬲りに、羞恥の涙が零れた。
「こ、これも脱ぐの? おじさん、そんなんじゃ一生、もてないよ……」
「どうでもいいんだよ、こいつさえあれば意思何ざ関係ねぇ」
 喉の奥で押し殺した様な笑い声、水色のショーツも晒されてしまえばより一層羞恥は高まる。
 太股を掌が這い回り、内股を摩り臍へと上っていく。
 堪能する浩二へ、唐突な言葉が突き刺さった。
「女の子に命令ばっかりして自分では何も出来ねーのかお?」
 ガッツリの挑発に、再び爆発する様な怒りが浮かぶ。
 振り向いた浩二の視線に物怖じせず、悔しさ交じりに言葉を続けた。
「あー、女の子に触れないDTさんだったのかお? それはすまなかったお。その歳までDTだと女の子に触るの怖いもんねーいやぁ、あちきの優しさの配慮が足りなかったお」
 DT、とにかくこの言葉は破壊力がすさまじい。
 迂闊に口にすれば、該当する輩がこぞって発信者を殺しに掛からんレベルだ。
 もしくは、破壊力に地面に突っ伏すかの二択だろう。
 無論、今の浩二は前者の反応を見せている。
「ならてめぇにも屈辱を味わってもらおうか?」
 自ら恥を晒す辛さで泣き面にしてやろうと、ガッツリの体を操る。
 指先がスカートの裾をつまみ上げ、ゆっくりと持ち上げさせていく。
「あり? 怒ったのかお? お、落ち着くお。あちきのスカートめくってもつまらん事しかおきねーお? だからやめておいた方がいいお? ね? ね?」
 例え本心だったとしても、某掲示板の住人を思わせる語尾は浩二の心を逆なでする。
 ゆっくりと上がる裾、そしてショーツに何かの文字が刻まれていた。
『いっつしょーたーいむだおん』
 気付いた時には遅い、太股に鈍痛を覚えながらもガッツリの奇襲が炸裂する。
 眩い光が彼の視野を白く焼いたのだ。
 これならば後から来る本命が安全に銃を奪えるはず、だった。
「動くなっ! 変な事しやがったら、こいつらが死ぬぞ!」
 撃てはしないが盾は沢山ある。
 捕まった囮6人が一斉に己の得物を手に、自身の首筋や胸元を狙い、いつでも自害出来る状態にしたのだ。
「ゆっくりと出て来やがれクソアマ共! 今すぐ返事しねぇと殺すぞ!」
 下手な刺激をしてしまったらしい、興奮状態の浩二の警戒ゾーンは広く、迂闊に近づこうものなら忽ち気付かれるだろう。
 
●最後の本命
「俺が出て行く、それであいつも警戒しない筈だ」
 『断魔剣』御堂・霧也(BNE003822)は、同じく傍で身を潜める『鏡操り人形』リンシード・フラックス(BNE002684)へ告げる。
 茂みから出ようとした彼の手を、リンシードは掴んで制止する。
「御堂さんが出たら……御堂さんが大変な目にあいます、主に命が関わる形で」
 これで最後の獲物が男とならば、怒りは収まらなさそうだ。
 適当に動けなくして放置されるならマシだが、八つ当たりに袋叩きにされればアーティファクトもあるが故に無事で住む保障はない。
「それに、女だと信じ込んでるみたいです……本命の人が」
 クソアマと叫び散らす浩二の脳内は女性しかいないと勝手に信じ込んでいるようだ。
 つまり、リンシードが出て行けば向こうは完全に全滅させたと勘違いするはず。
 チャンスはまだあるのだ。
「けどよ……」
 女を盾にするのは霧也としてはすんなりとは受け入れがたいだろう、所謂男が廃るというものか。
「見たら覚悟してくださいね……」
「見ません、だからその刺す様な視線はやめてくれマジで」
 冗談じみたやり取りの後、リンシードは最後の希望を霧也に託し、茂みから姿を現すのであった。

「今行きます……なので、皆さんに向けさせた武器を、下ろさせてください」
 降参と両手を上げて出てきたリンシードに、浩二が勝利の高笑いをあげた
「はっはっはっはっ! 本命は子供だったか、なかなかやるじゃねぇかテメェ等……けど、今度こそ俺の勝ちだ」
 ディクタトールから吐き出された弾丸がリンシードへと着弾する。
 自由を奪われたリンシードの瞳は冷ややかに彼を睨む。
「お人形さんみたいな嬢ちゃんは、どんな趣味かな?」
 嘲笑うような言葉と共に、アーティファクトから伝わる命令が彼女の両手を操っていく。
 黒いゴスロリ服の裾が徐々に上がり、白く細い足とのコントラストが映える。
「下衆……」
 侮蔑の視線は氷点下といったところか、だが反抗的な態度が彼の嗜虐心をあおるのも確か。
 黒地に白いレースのショーツをじっくりと眺められ、近づいていくと今度は上着へと取り掛かろうとしていた。
(「ターゲットだけに視線を向ける、俺は見てない見てない……ぞ!」)
 今すぐハーレムな映像に飛びつきたいお年頃だが、理性で猛る本能を抑え込み、霧也は浩二の背後へと近づいていく。
 一旦囮メンバーの裏に回らなければ視野に映ってしまいそうだったので迂回し、真後ろに回りこんだ。
 リンシードに夢中な浩二を見据えつつ、何だか彼女のキツイ視線が自分を睨んでいるような気がしてならない。
「こんな下衆な事を思いつくから……誰も寄り付かないんですよ」
 浩二を煽りたて、自身に意識を集中させようとするリンシード。
 既に勝ち誇っている彼はその思惑に気付く事無く、ニヤニヤと笑うばかりだ。
「こうやって手に入れれば誰も近づかなくたって問題ないんだよ!」
 だが、これが最後。
 あと1mと近づいた瞬間、霧也が静かに地面を蹴り、握っていたディクタトールを強引にぶんどったのだ。
「取ったぜ!」
「しまったっ!?」
 所有権が消失し、意識を失う浩二。
 恐らくこれで今までのアーティファクトに関わった記憶も消えるはずだ。
 一方、霧也にはディクタトールの誘惑が始まり、頭をぼやけさせる。
「くっ、ディクタトールめ! 最後の悪足掻きか!? このままじゃ不味い。俺ごとヤツをぶっ飛ばせーっ!」
 とは言うものの、それほど操られていない。
 所有権が移っているが、見たいと言う欲望が彼女達のポーズを固定させている。
 しかし、先程の視線のおかげで戒めた結果か、リンシードはゆっくりと体の自由を取り戻す。
「……てぃっ!」
 斜め45度から突き刺さる鋭い手刀、もといチョップ。
 首筋直撃のツッコミで霧也の意識は沈む。
 背景にはキラキラとした何かが散りばめられ、満面の笑みで逝くかのようだ。
「みなさん、お疲れ様です……。早く服、直してください」
 こうして奇怪な事件は幕を引くのであった。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
あとがき
如何でしたでしょうか?
そして、何時も以上に遅くなってしまいまして申し訳ありません。
撫那さんがとても……アレだったので、どうしようと思いましたが、これ以上やるとお上に首根っこ摘まれそうなのでご容赦を。
リンシードさんは、あれは仕方ないとご理解頂ければと……それにこの手の依頼で女性で被害なしがいるのは、その。
さて、この後霧也さんが一体どんなお仕置きをされたかはご想像にお任せします。
ではでは、ご参加いただき、ありがとう御座いました!