●商店街にて 夕方のことだった。 さして大きくないその町で、商店街が駅前から伸びている。 歩道の上まで各店舗の庇が伸びており、歩きやすいようになっていた。 寂れかけた商店街に似つかわしくない集団が、その前に立っていた。服装はまちまちであったが、発散する雰囲気が、明らかにまっとうな職業の人間ではないと告げている。 道行く人々は誰もが彼らを避けて歩いていた。 全員が、フィクサードだ。 「ま、結局のところいつも通りひと暴れしてくりゃあいいんだよな」 呟いたのは、髪をオールバックにして仕立てのいいスーツを着込んだ二十代半ばほどの男。大きなスーツケースを持っている。 色白のそこそこ美形で、一見するとホストかなにかにも見える。ただ、口元に浮かぶ鮫のような笑みが、彼が暴力に生きる人間だと明かしている。 「……凶一兄ちゃん……端から襲って……殺してくれば……いいんだ……よな?」 ぼそぼそと呟くように問いかけたのは、スーツの男よりも頭1つ高い男だった。 背は高いが身体は細い。針のように細長い身体を、革のジャンパーに包んでいる。幻視を見破る能力を持つものなら、彼の両腕に獣毛が生えており、鋭い爪が指先についているのがわかっただろう。 「あん? おい、もう忘れたのかよ、壊次」 スーツの男が呆れたように頭を振る。 「殺すのは別の連中だ。ま、どうせお前はすぐ忘れて皆殺しにしちまうんだろうが……」 凶一と壊次は実の兄弟だった。よく見れば、顔も似ていることがわかる。 「別に、いいんじゃない。流れ弾でも当たったってことにすれば」 声を上げたのは、一行の中で唯一の女性だ。派手めの化粧をして、大きく胸元と背中開いた服を着ている。キャバクラにでもいるほうが似合いそうな姿だ。背中から黒い翼が生えていなければ。 彼女は2人の男の妹だった。 「そうそう……美禍の……言う通り……」 「……ま、あの野郎の言うことなんざ、馬鹿正直に聞く必要ないけどな」 調子よく同意する弟に、嘆息するスーツの男。 他の面々は、彼らが会話するのを黙って見ていた。 別に無口なわけではない。ただ、凶悪な風貌をしているにも関わらず、彼らは会話している3人を恐れているようだった。 どうして自分たちがこんな奴らと組まなきゃいけないんだ。 内心の声は表情に如実に表れていたが、言葉にする勇気のある者は1人もいない。 「さて、仕事を始めるとしようぜ。端から襲って金目のものを奪ってくる簡単なお仕事です……ってか。ま、簡単に終わらないことを期待してるけどな」 フィクサードたちはサングラスをかけると、まず一番端にあった時計屋の扉をくぐった。 ●ブリーフィング 集まったリベリスタたちは、地方の商店街をフィクサードの集団が襲う事件が起こると『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)から告げられる。 「同時にいくつも事件が起こってて手が足りないの。力を貸して欲しい」 あまり表情を変えない彼女が、珍しく顔に焦りを浮かべている。 碇町商店街と言う名の通りは歴史の長い……ありていに言えば古びた商店街だった。 金目当てのフィクサード集団がそこで強盗を働くらしい。 「敵の人数は8人。でも、全滅させる必要はない。強盗を阻止すれば十分」 もちろん可能なら全滅させてもいいが、敵の総力はこの場にいるリベリスタたちを上回る。無理はしないほうがいいとイヴは言った。 そのうち3人は滅崎兄弟と呼ばれる実力者だとイヴは語る。 血を分けた兄弟である彼らは、そろって殺人鬼であるという。 長兄である凶一は主に銃を扱うが、接近戦でもそれなりの実力を発揮する。 次男は壊次という名前で、接近戦を得意する。デュランダルである彼は驚異的な攻撃力を持っている。しかも、兄と次に語る妹はまだしも理性が残っているが、彼は完全な狂戦士らしい。 末の妹は美禍。インヤンマスターで、2人の兄をサポートしてくる。 他の5人はチンピラで、兄弟ほどの実力はない。ただし、ザコと侮れるほど弱いわけでもない。ナイトクリークの技を使うものが2人、スターサジタリーが2人。残り1人は未確認の技を使うらしい。 「どうも、おかしい。フィクサードの事件は毎日起きてるけど、一度にこれだけ感知されたからには……何か事情がありそう。今、アークの方でも調査をしている所なんだけど」 なんにせよ、まずはフィクサードたちの犯罪を止めなければならない。 イヴに見送られ、リベリスタたちは出撃した。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:青葉桂都 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年05月31日(火)23:27 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●閑散とした商店街 リベリスタたちがフォーチュナの予知に従って、フィクサードたちが襲撃する商店街に向かっていた。 駅舎の外に出れば、商店街はもう目と鼻の先にあるという話だ。 「……罠ね、ふぅ……面倒なこと……」 呟いたのは『夢幻の住人』日下禰・真名(BNE000050)だった。 感情のこもらない赤い瞳が、妖しく揺れる。 「確かに裏がある気がするね。けど、その前に目の前の被害を抑えなきゃ」 「ああ、悩むのは生き残ってから、だ」 眼鏡をかけなおし、商店街のほうをうかがう四条・理央(BNE000319)に、迷彩服の『山猫ヒーロー』ジョン・リンクス(BNE002128)が同意する。 「戦略クラス動きがあるようだが、戦術クラスで負けているようでは話しにならん。この戦局は獲得する」 『T-34』ウラジミール・ヴォロシロフ(BNE000680)が仲間たちを見回した。 グレイの髪をオールバックにまとめ、よく手入れされた髭をたたえた壮年の男は、ドッグタグの形をしたアクセス・ファンタズムからいつでも武器を取り出せるように準備する。 「それにしても、えげつねえところを狙ってきやがる」 吐き捨てたのは、ラキ・レヴィナス(BNE000216)だった。片目を常に閉じた青年は、もう片方の目で遠くに見える現場を眺めていた。 「場所が場所だ、余計な被害が広がる前に手早く終わらせよう」 モノクルの奥に金色の目を光らせ、『深闇に舞う白翼』天城・櫻霞(BNE000469)が仲間たちをそううながす。 「奇襲できれば素敵なのだけど……」 仲間たちは真名の言葉に同意するが、実際それは難しい。敵はおそらくリベリスタたちの襲撃を待ち構えている。それを差し引いて、なお奇襲を成功させたいなら、相応の作戦が必要になる。 「そろそろ連中が来る頃だ、いこうぜ。狂戦士野郎に、雷帝たる俺には勝てないことを教えてやるよ」 『雷帝』アッシュ・ザ・ライトニング(BNE001789)は八重歯を見せて不敵に笑うと、アクセス・ファンタズムの眼帯からナイフを引き抜く。 「あいつらの結束は脆い。射手としてその綻びを穿ち尽くすのみ」 『弓引く者』桐月院・七海(BNE001250)はミミズクの羽と化した腕に、きちんとリボンが巻かれていることを確認した。 駅舎の窓から、フィクサードたちが商店街に姿を現したのが見えた。 櫻霞が結界を貼り、一般人がなるべく近づかないようにする。 リベリスタたちはそれぞれアクセス・ファンタズムから武器を取り出し、移動を始める。 幾人かは、移動前に自分や仲間を強化する技を使った。敵の目の前に行ってからでは、さすがに使う余裕はない。 近づいてくる彼らに、フィクサードたちが視線を送ってくる。 統一性のない――それはフィクサードたちも同様だったが――集団に、異変を感じ取ったのだろう。滅崎凶一という名のはずのスーツを着た男がスーツケースから武器を取り出す。 アサルトライフルの銃口は、結界がはられる前からいた1人の一般人に向けられる。 「……おい、なにやってやがる!」 ラキに制止され、彼が引き金を引くことはなかった。 「ふうん……お前らが例の連中か。まるで、俺らがここに来ることを知ってたみたいだな」 「知るかよ」 彼のバスタードソードが手近にあった標識をひしゃげさせる。 まだ残っていた一般人たちは、ラキの読みどおり剣呑な空気にそそくさと逃げていった。 「まあ、いいさ。さあ、さっさとやろうぜ。期待してたんだから、楽しませてくれよ」 歯を剥いて笑う青年は、心の底からリベリスタたちとの邂逅を楽しんでいるように見えた。 ●フィクサードの猛攻 狂戦士だという触れ込みの男が前に出てこようとしていた。 ジョンはリボルバーで滅崎壊次に狙いを定める。 同じく壊次を迎え撃つ手はずの、アッシュが加速する。 「どーも頭の中まで鈍そうな野郎が一匹混ざってんな。そこのでかぶつ、俺様の視界にてめえみてえのが入ってんじゃねえよ、殺すぞ」 「……俺を……挑発した奴は……久しぶりだ……」 ぼそぼそと答える壊次の目が不愉快げに歪み、爆発的な闘気が全身を覆った。 他の仲間たちは、1歩遅れて出てきた敵を、陣形を組んで迎え撃っている。 牽制にと撃った銃弾をものともせず、壊次はアッシュに向かって雷気をまとった爪を薙ぐ。 回避に専念していたアッシュに対して、攻撃はかすめただけに終わる。けれど、かすめただけで、アッシュの胸元から血が吹き出した。 「遅い遅い、そんなもんかよハエが止まるぜ!」 胸の傷が徐々にふさがっていく。何事もないといった様子で、アッシュが壊次に罵声を浴びせる。 かすめただけでも浅からぬ傷をつけたのは、さすがにデュランダルというべきか。 ジョンは貫通力を増した弾丸をリボルバーから発射する。 アッシュに気をとられていた壊次に弾丸は直撃し、フィクサードの闘気が霧散し始めた。 「山猫は獲物を逃さない、なんてね」 快楽のために殺すようなやからから、戦場では死んでいく。どんなに実力があっても、この男より自分のほうが長く生きられると、ジョンは確信していた。 理央は符をかまえて前衛に出ていた。 壊次以外に3人いる敵前衛のうち、1人と対峙する。他の2人はラキと真名が1人、ウラジミールが1人を受け持っていた。 「ミッションスタートだ」 正体不明を敵を相手に、ウラジミールは冷静さを保っているようだった。 彼女と同じインヤンマスターであるという滅崎美禍は、符によって敵を守る結界をはっている。 「本来なら敵のお姉さんみたいに後ろから回復支援がお仕事なのに」 呟いた一言を、敵は耳ざとく聞きつけた。 「面白ぇな、姉ちゃん。……なにを考えてるかしらないが、乗ってやるよ」 凶一が理央にライフルを向けた。 銃弾と共に飛んできた、凄まじい殺意に理央の眼鏡がヒビを入れられ、頭がぐらつく。これが、あの男の技なのだろう。 (受けたのがボクでよかった……下手な人が受けたら、ひとたまりもないよ) 目の前の敵も、気糸で理央を縛ろうとしてくる。 ウラジミールが放った光が気糸を吹き飛ばし、理央はみずからの傷口に癒しの符をはりつけた。 仲間たちが敵を倒すまで。 リベリスタとなってから共に歩んできた愛用の盾を、理央はひるまずに掲げ続ける。 櫻霞は七海と共に後衛に位置していた。 七海が弓を弾くと、光弾が数人の敵に飛んでいく。かわされたり、かすめるだけのこともあったが、敵を徐々に削っていた。 「気をつけて、美禍がなにかしようとしてる」 警戒の声を発したのは七海だ。 氷の雨がリベリスタたちに降り注ぐ。直後、敵のスターサジタリーが、リボルバーとは思えない驚異的な連射をリベリスタたちに降らせてきた。 「ハニーコムガトリング、羨ま……おっと」 細身の身体が氷と銃弾に貫かれ、七海が顔をしかめる。 (やはり、あの連中は厄介だな) オッドアイで敵の片方を見すえる。 すでに罠は仕掛けてあった。 「邪魔だ、黙ってろ」 気糸のトラップに絡め取られ、スターサジタリーの動きが止まる。 もがく敵を一瞥さえせずに、櫻霞はもう1人の射手へと視線を向けた。 ラキはナイトクリークと格闘をくりひろげていた。 真名も一緒に戦っていたのだが、美禍の呪符に呪縛されてしまっている。 「面倒なことしてくれやがって……結界も、そろそろ壊してやるぜ」 気糸を放とうとする動きを読んで、ラキはバスタードソードを横薙ぎにする。その一撃は、敵がまとっていた守護結界を切り裂いていた。 ジョンに回復された真名が戦線に復帰する。 「うふふふふふ」 力任せの一撃が、敵を吹き飛ばす。 ラキは集中が途切れるのがわかった。事前に集中力を高める技を使っていたが、戦闘開始前に使った分効果が終わるのも早い。 「……それがどうした!」 弱点を狙ったラキの斬撃が敵を切り伏せる。 ナイトクリークを血を吐き、もはや動くことはなかった。 ●狂戦士の最期 倒れたナイトクリークを見下ろして、真名は笑んだ。 「あら残念、お友達は死んでしまったわ」 美しい声が残酷に響く。 もう一人のナイトクリークの表情に動揺が走った。 銃声が響いた。真名やラキと交代して中衛に下がろうとした理央が、頭を打ち抜かれる。癒しの符を使い続け、2人分の攻撃を引き受けていた彼女だったが、これが限界だった。 リベリスタは時に限界を超えて立ち上がることもあるが、今の一撃はそんな抵抗も許さず、問答無用で彼女を打ち倒している。 「……逃げたい奴は逃げていいぜ。ただ、俺より先に逃げた奴は後で殺す」 事も無げに凶一は告げる。 「可愛そうに、あちらの友達は貴方を助けてくれないのね?」 動揺している敵へ、ラキと真名は攻撃をしかけた。 やけっぱちといった風情で敵のナイフが踊る。2人は切り裂かれ、出血させられた。 「うふふふ……無駄な抵抗をするのね」 事前にウラジミールがかけてくれていた自動回復の技はとうに効果が切れている。徐々に減っていく体力を押して、ラキの剣と真名のクローが敵を狙う。 そこに、氷の雨が降り注いだ。呪力の雨がリベリスタたちを凍りつかせていく。 スターサジタリーの放った銃弾がラキを貫くと、彼はその場に倒れる。 いや、倒れたかに見えた瞬間、彼は立ち上がった。 バスタードソードが敵を切り裂く。 彼に1歩遅れ、真名は敵の喉下に喰らいつく。美女の口元が赤く染まった。 「私達の仕事は貴方達を殺す事じゃないのよ、でも邪魔なら殺すわ」 美しい声は、冷酷な響きを秘めて響いた。 ウラジミールの身体を、狂気を秘めた眼光が貫く。 (自分が気圧されている……? いや、これがこの男の技か) 彼は戦いながら、敵の動きを観察していた。強力な拳の一撃と、それを補助するかのように精神を削る凶眼を織り交ぜてきている。 凶一の攻撃も考え合わせて、多数を一度に攻撃する技はなさそうに思えた。無論、単に目の前の2人が会得していないだけという可能性はあったが。 叩きつけて来る殺意に対して、爆発的な膂力で銃剣の斬撃をウラジミールは繰り出した。 2人のナイトクリークを倒したラキと真名が、敵のスターサジタリーから降り注ぐ銃弾をかいくぐってウラジミールに合流する。 敵のリーダーは理央を撃破した後、後衛を狙っているようだった。 リベリスタたちの中で唯一回復できる理央が倒された以上、後は削り合いだ。それは、敵も味方もわかっている。 ウラジミールが世界の力を借りて徐々に傷をふさぐが、敵の攻撃力に比べて十分とはいえない。 それでも、わずかな回復が敵と味方に差を作った。ラキと真名が痛打を与えたところに、銃剣の穂先が目の前にいた敵を貫く。 「ピクニック気分やってきて、雨が降ってきたというところか?」 老軍人は冷静な声で凶一に告げる。 「ま、そんなところかもな……降るのはわかってたけどよ」 そこそこ美形なスーツの青年は肩をすくめる。 「では、次は自分たちの血雨を降らせるかね?」 銃剣の先端を向ける。 「そいつはなるべくなら遠慮したいがね……っと」 答えながら、凶一が引き金を引く。 火を吹いた銃口の先に、七海はいた。 理央に対してもそうだったが、彼は執拗にヘッドショットを狙ってくる。そして、銃弾にまとわりつく殺意が威力を増幅していた。 けれど、七海が気にしていたのは彼よりも妹のほうだった。 「兄にばかり気を取られてはダメ、妹もなにかしようとしてる」 美禍が呪力を放つと、氷の雨が降り注いできた。 声をかけた効果があったのか。アッシュ、ジョン、ラキの3人は、かわしきることこそできなかったものの雨に凍らされることはなかった。 七海自身は、右腕を覆う羽が氷漬けになりかけていた。 「こんな所で負けるつもりはないのですが……ね?」 砕けそうになる脚を、必死に支える。 「……ちっ。おい、引き上げるぜ。壊次、お前もだ!」 敵は撤退を迷っていたようだったが、全体攻撃がさして成果を上げなかったことが、彼に決断をさせたようだった。 視線をリベリスタたちから外さぬままで、敵は後退していく。 ただ1人、狂戦士を除いては。 アッシュとジョンは、ひたすら壊次を抑えていた。 リベリスタたちより高い実力を持つデュランダルの一撃は、単にかすめるだけでも破壊的な効果を発揮する。 「はっ、せめて亀の歩みよりは早く動いて見せろよ!」 彼は挑発的な言動を繰り返していたが、けして余裕があるわけではない。回避に長けた彼でなければ、とうに倒されていてもおかしくはなかった。 敵が撤退し始めるのがアッシュにもわかったが、目の前の男は退く様子もない。 気を抜いたつもりはなかったが、次の瞬間、雷気をまとった激しい一撃が直撃した。 雷気が全身を焼き、アッシュの身体をしびれさせる。 だが、雷帝を名乗る者として、彼はこの一撃で倒れるわけにはいかなかった。 「ようやく一発ってか? だが温過ぎんぜ、もっと熱くなれよバケモノ」 「うっとう……しい……!」 追撃を仕掛けようとした壊次をウラジミールの銃剣とラキのバスタードソードが切り裂く。 一度後方へ下がったアッシュは、静かに狙いを定めた。 真名の力任せの一撃が、狂戦士を吹き飛ばす。 「弱点は、そこか……」 櫻霞の精密な一撃が壊次の弱点を貫いた。 「抉らせてもらうぜ!」 ジョンが激しい一撃を叩き込み、七海も光弾で敵を撃つ。 「此処で、チェックメイトだ!」 アッシュの素早い動きが、幻惑を生む。 虚実混ざったナイフの攻撃は、狂戦士の弱点を確実に貫いている。 針のように細い壊次の身体が天をあおぎ、地面へ倒れこんだ。 ●とりあえずの、勝利 「狂戦士如きが雷帝たる俺様に敵うかよ」 傷の痛みをこらえてアッシュが告げる。 戦いの後にはフィクサードたちの死体が4つ、残っていた。 「ミッションコンプリート」 ウラジミールが告げる。 店舗には流れ弾で多少被害が出ていたが、人の被害は出ていないようだ。 櫻霞が理央を助け起こす。 「悪いね。できるだけ耐えるつもりだったんだけど」 「予想以上に敵が強かったと言うことだな」 いずれまた、彼らとは戦うことになるのだろう。もっと実力をつけておかなくてはならない。 傷の手当てを行いつつ、フィクサードの死体を軽く調べる。 「何か有用な情報が手に入ればラッキーなんだけど……期待薄だな」 ジョンの言葉どおり、この場ですぐに見つかる情報はないようだ。 「陽動というよりは、攪乱であるな。本隊の動きを早急に突き止める必要ありだ」 ウラジミールの言葉に、リベリスタたちは頷きあう。 「早々に引きますか」 七海は、戦闘の余波で傷ついた商店街をながめる。結局のところ、敵は自分たちをおびき寄せるためだけにここを傷つけようとしたのだろう。 後日、姿を変えて買い物に来ようと、彼女は思った。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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