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イヴが頭を抱えています

●それはちょっとした行き違い
 『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は、タイトルどおり頭を抱えていた。
 所謂、『どうしてこうなった?』状態だ。
 ぐったりとした様子でテーブルに突っ伏すイヴを見たリベリスタ達も、珍しい姿(?)に驚くことだろう。
「……最近、ここにきたフォーチュナーがいるの。 その子に喋り掛けられた時、嫌な未来が見えたのよ」
 つまり、その子の危機か?
 だが……何故彼女が頭を抱えるのだろう? 腑に落ちない一同は首を傾げる思いだ。
「その子の予知は当たっているの、でもその予知を伝える方法が良くなくって、皆が間違って捉えるって予知なのよ。結果、誰も死にはしないけど、大怪我するわね」
 その証拠と、傍に伏せていた画用紙を起こす。
 そこにはクレヨンで殴りかかれた熊の人形らしき絵と、傍で眠る下手な人物絵が数体。
 ガクガクになった線が引かれ、矢印が繋がった先に『てき』とミミズの様な字で書かれていた。
「これがその子の予測した未来、そして補足はこれ」
 もう一枚の画用紙を起こすと、そこには再びクレヨンで酷いひらがなが乱雑に並ぶ。
「くまさん くまさん きょうは みんなとおゆうぎ はしっておどっておおはしゃぎ でもみんなつかれちゃった きょうはおやすみ またあした あそぼうね」
 文字なのでお伝えしきれないのが非常に悔やまれるが、幼稚園児の絵にある『お母さん、お父さん』の文字を浮かべていただければ、逸れに近いだろう。
「内容も平和だし、熊のぬいぐるみのエリューションを退治するものだって思うみたい。きっとそれほど強くない、そんな風に思っていたら……ね? 私が見たのはこんなの」
 スクリーンに映し出されたのは、体長2m50cmはあろう大熊。
 目はギラギラと生存本能剥き出し、皮が向けて中身すら剥き出されているところすらある。
 両手にはまるで鉈の様な凶暴な爪が並び、口からはダラダラと涎が溢れていた。
 リベリスタ誰もが思っただろう、『これの何処がくまさんだ?』と。
「お遊戯は熊が人を襲うこと、大はしゃぎは言葉通り暴れるってことね。 後の綴りは、死んでしまったことを指すみたい」
 また明日遊ぼうね は、来世を指すのか? まさに予言じみた言葉だ。
「その子のお兄さんが解読出来るみたいけど、別件で不在だし、私が予測しなおしたわけよ」
 放っておけば被害者は生まれてしまう、予測した子には悪いが、訂正情報で戦うことを採決し、今に至るということだろう。
「キャンプ場にエリューションビーストが出現するわ、フェーズは2、戦士クラスね。力が強くて、耐久力が高いのが特徴よ。爪での攻撃は直撃すれば出血しかねないわ、他にも噛み付いたり体当たりしたり、爪から真空波を放つ事もあるみたい」
 聞けば聞くほど強暴だ、これは勘違いして赴けば酷い目にあっただろう。
「貴方達なら難なくこなせると思うけど、気を引き締めて掛かってね?」
 くまさん退治開始だ。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:常陸岐路  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2012年05月29日(火)23:14
【ご挨拶】
 始めましての方はお初にお目にかかります、再びの方にはご愛好有難う御座います。
 ストーリーテラーの常陸岐路(ひたちキロ)で御座います。
 今回は熊さん退治です、張り切って凶暴熊さんを沈めてください。
【作戦目標】
・エリューション・ビースト×1の撃破
【戦場情報】
キャンプ場:閑散としている川原にあるキャンプ場です。足元が石だらけなので、足元注意。水に入るとまだ季節的には寒そうです。既に人払い済みなので、存分に戦ってください。
【敵情報】
熊エリューション:見た目どおりの凶暴熊さんです。パワーと防御力はかなり高いですが、回避と速度は絶望的です。状態異常に関しては麻痺と呪縛は一度だけ効果を発揮します。
〔攻撃手段〕
クロー:強力な腕力と鋭い爪で引っかき攻撃をします。命中率は普通ですが、威力は高いです。直撃した場合、出血状態になります。
タックル:命中率が高く、当たるとノックバックが発生します。
エアクロー:振りぬいた爪から風の刃を放ちます、命中率、威力はそこそこですが遠距離攻撃です。直撃した場合、出血状態になります。
くまさんヴァイト:噛みつき攻撃です。直撃すると毒が回り、出血状態になります。噛み疲れている間は回避と移動が出来ず、一定ダメージを与えないと離れません。噛み付いてても、体当たりしたり引っかいたりとパワフルなのでご注意を。
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
クロスイージス
カイ・ル・リース(BNE002059)
スターサジタリー
結城・ハマリエル・虎美(BNE002216)
デュランダル
虎 牙緑(BNE002333)
クリミナルスタア
晦 烏(BNE002858)
覇界闘士
五十鈴・清美(BNE003605)
デュランダル
義桜 葛葉(BNE003637)
ソードミラージュ
霧里 びゃくや(BNE003667)
デュランダル
サヴェイジ・D・ブラッド(BNE003789)

●子供は時に恐ろしい
 キャンプ場の入り口は、それはとても長閑だった。
 さび付いた門を開き、整備されていない土剥き出しの道を進み、プレハブ小屋の受付が見える。
 勿論人はいない、熊が集団でうろついているので危険と営業者達は追い出されていた。
「あの凶暴そうな熊を、ぬいぐるみサイズと思ってたらちょっとキツイかもな。誰か翻訳機能つけてやらないと」
 『輝く蜜色の毛並』虎 牙緑(BNE002333)が呟く。
 予測は間違っていないだけ惜しい結果である、暢気な呟きに『夢に見る鳥』カイ・ル・リース(BNE002059)がどんよりとし始めた。
「物事とは、人の視点次第で見方は幾らでも変わると言うが……ん? どうされた?」
 牙緑の言葉に苦笑いで頷いた『閃拳』義桜 葛葉(BNE003637)が、カイの様子に気付く。
「娘もよく何だか分からない生物を描いているのダ。 この間なんテどこのアザーバイドかと思ったラ、『パパかいたよー』……ッテ」
 自分はこんなに酷い姿で娘に見られているのだろうか?
 そんな事はないはずなのだが、何分人間をやめてしまった為にリアルに感じさせられるのだろう。
「ふむ。まあ、幼子のやることであろう? そういう事もあろうさ」
 『悪食公』サヴェイジ・D・ブラッド(BNE003789)が静かにフォローの言葉を掛けた。
「それに皆が皆、イヴ嬢の如くに上手くやれる訳でもあるまい。 その分の面倒を負うのも年かさの者の甲斐性でもあろうよ」
 見た目といい、振る舞いといい、まさにぴったりといった貫禄である。
「そうですね。 それに強力な個体とは言えトリッキーなことは無く熊そのものみたいですし、注意すればさっさとやっつけ……って、それは……?」
 『委員長』五十鈴・清美(BNE003605)の言葉を遮ったのは、『灰色の荒野を駆け抜ける風』霧里 びゃくや(BNE003667)が手に持った物。
「くまさんに対抗して熊手用意してみた」
 満足げに掲げたのは、言葉通りの鉄製熊手。
 そこら辺にありふれた一品だ。
 しかし一同そろって思うのは、『だからそれが何なのだ?』という事。
 戦いに必要とは思えず、更に何かに役立つ様子も無い。なのに何故この子はこんなに胸を張るのだろうか?
「あ、でも戦闘中は邪魔かも知れんねこれ」
 全てをひっくり返す酷い言葉で締めくくられ、ふと会話に参加していなかった一人に皆が気付く。
 何かを呟く『猟奇的な妹』結城・ハマリエル・虎美(BNE002216)の事だ。
「こんな素敵なキャンプ場、閉鎖されたら勿体無いしね。夏になったらこようね、お兄ちゃん。……ん? 皆どうかした?」
 どうかしているのは貴方の方だといいたいところだが、面倒な事になりそう。
 そこだけは総員が瞬時に察し、個性的メンバー勢揃いで川原へと辿り着くのであった。

●猛ラッシュ
 川原に到着すると、予測道理熊が茂みから勢いよく飛び出し、石だらけの地面を駆ける。
 相変わらず外見は、くまさんという可愛い言葉で締めくくれる姿ではない。
「その牙、折らせてもらうよっ」
 最初の攻撃は虎美の二丁拳銃からだ。
 正確な狙いで吐き出された弾丸は、熊のキバへと迫る。
 砕いてしまえば攻撃力も下がり、拘束力も下がる筈。弾丸は余す事無く牙へと着弾する、が。
「グォォォォッ!!」
 ぐちゅる、びちゃ、どちゅっ! と某サバイバルホラーゲームのクリーチャーの如く牙が再生したのだ。
 砕けた牙は地面に転がり、真っ黒な体液が飛び散る。
 こいつの何処がくまさんだ。
「どんどん行くぜ!」
 牙緑が続き、最前線へと飛び出すと大剣を振るう。
 バチバチと電流を纏い、轟音を巻き上げ袈裟斬りが硬い毛皮を引き裂く。
 熊も庇い手をしていたのだが、腕を押しのけ強引に直撃させられた肩からは真っ黒な血を吐き出されていた。
 手ごたえは十分、最近しっかりとした当たりを感じていなかった分、すっきりとした気分だ。
「それじゃあ、はじめようかっ。クェーサー的に、ね?」
 さて、クェーサーが天体のとあるモノを指し示すのだが、びゃくやは理解しているのだろうか?
 ともかく熊手を投げ捨て、スピード任せに前進する。
「ちょっと貴方! 結局捨てるんですかっ」
 生真面目な清美がびゃくやを叱りつけつつ、熊手を拾いに走る。
 あんなもの戦っている最中に踏んだら大変な事だ。
「しろちゃんクラッシュ!」
 残念ながら交差した腕に阻まれ、熊にダメージは届かない。
「……イマイチね まあいいけど」
 つまらなそうに唇を尖らせ、文句を零す。
「足がお留守です!」
 防御に足が止まったところへ清美の風切る蹴りが迫る。
 刃と貸した一蹴は熊の脚部に飲み込まれるもダメージは浅い。
「義桜葛葉、推して参る!」
 二人に気をとられている瞬間を狙い、葛葉が懐に踏み込む。
 内部から破壊の力を届かせる掌底の一撃が、熊の脇腹を穿つ。
 しかしダメージは浅く、振り払う爪が飛んでくる始末だ。
「獲物が獲物な訳だがなぁ……仕事で熊撃ちするとは考えてもいなかったな」
 視野が動いたところを狙い、側面の死角を狙って烏が散弾銃のトリガーを絞る。
 狙いは斜めから覗ける口内、ここならば皮に弾丸を受け止められる心配は無い。
 しかし若干射角が悪く、ダメージは浅く、本能剥き出しの瞳が睨みつける。
「は、良い面構えではないか! それでこそ悪竜の獲物に相応しい!」
 サヴェイジの掌から闇が広がり、破壊の正気が熊へと纏わりつく。
 生命力を削ぎ落とす死の風が熊を追い詰め、リベリスタ達のペースで戦いが進むのであった。

●熊の意地
「うふふ、そうだね。それと水着も楽しみにしててねお兄ちゃん。ほら川もあるし」
 相変わらず誰と喋っているのか分からない。
 それでも虎美の攻撃は正確なのだから少々不気味にも思えよう。
 逆に返せばそれだけ鍛錬していることでもあるのだが……。
「もう一発!」
 牙緑の全力スイングも冴え渡り、ダメージは大きい。
(「手ごたえはあるけど、中々倒れないな……」)
 素早さがない分、直撃させるにはそれほど困りはしない。
 つまりそれだけ力を存分にぶつける事が出来る。
 結果としてダメージは蓄積し、もっと速いペースで倒せるものだと思うが、事実は違う。
(「つまりは、それだけ強ぇって事か」)
 彼の一撃が大きな一撃にならないほどの強さ、暗にそれを伝えているのだ。
 牙緑の剣を握る手に、より一層力がこもる。
 確実に体力を抉る最中熊の息は荒くなり、剥き出しの本能は目の前の獲物を殺すただ一点をリベリスタ達へ伝える。
(「元より、ダメージが通り辛い相手だとは思っていたが……」)
 ぐっと拳を握り締め、葛葉は練り直す様にゆっくりと構えなおしていく。
 体内を巡る闘気が力となって巡り、全身にみなぎらせていくのだ。
 そして彼も、牙緑と同じく熊の力強さを感じ取っていた。
(「尚の事、こちらの全力を以って相対せねば話になるまい!」)
 あの一撃で予想以上の硬さを感じた、それは熊の生存本能から生まれる力。
 感じ取れた猛る命に、より一層気の引き締まる葛葉。
 そして彼の隣をすり抜ける様に掛け、カイが攻撃に転じる。
「ガンガンいくのダ!」
 メイジスタッフを大きく振りかぶり、全身の筋力を持って降りぬかれる。
 鈍器とかしたスタッフが熊の肩にめり込み、鈍い響きが得物を通じて彼に伝わり、熊の体が後ろへとよろめく。
 だが、ここからが熊の怒りが炸裂することになる。
「ふぃにーっしゅ!」
「そこだっ!」
 びゃくやと烏の攻撃が時間差で迫る。
 先に放たれたびゃくやの刃を振り下ろした爪で弾き返すと、死角から狙い撃った弾丸を反対の腕を振るって弾き飛ばす。
「グォォォォァァァッ!」
 ビキビキと周辺の石が震える、音波攻撃とすら思わせるほどの咆哮が響き渡る。
「隙だらけですっ」
 威嚇する熊の背後から冷気を宿した拳を振りぬく清美。
 二人の攻撃で完全に不意打ちと思われる場所から攻撃したが、熊の本能は相当しぶとい。
 振り返りながらの両手ハンマーパンチが彼女を叩き潰そうとするのだ。
「っ!」
 身を捩りながら回避しつつ、拳を叩き込む。
「これも受け取るがよい!」
 打点から冷気が広がり、熊を包み始めたところへ再びサヴェイジの闇が襲い掛かる。
 しかし、両腕を振り上げ氷を弾き飛ばした熊は、迫る瘴気を再び腕を叩きつけ掻き消してしまう。
「グォァァァッ!」
 どすどすと地響きの様な足音で、カイへと接近する熊。
 カイも横っ飛びに、体当たりと思われる反撃の回避を試みる。
「ガァァァッ!」
「い、痛いのダァァァッ!」
 しかし、攻撃はくまさんヴァイト。
 脇腹からがっばりと噛みつかれ、新しく生え揃った牙がカイの肉に食い込む。
(「ずっと気になってたけど、やっぱりカイ・ル・リースさん……ワイルドですね」)
 インコの顔に日焼けした逞しい体、そして体の中央を走る白い胸毛。
 派手な色合いの服装と顔、荒々しくも美しさを感じる整い。
 改めてみてみると、それはより実感できる。
 ……というか、現状が自然の摂理、弱肉強食というデッドオアアライブなワイルドさで引き立っているのかもしれないが。
 それはともかく、噛み付かれているカイは痛そうである。必死にジタバタしていた。
 
●成仏
「やだ、お兄ちゃん……嬉しいけど、そう言うのは帰ってからね。ところで熊って美味しいのかな? お兄ちゃん、どう思う?」
 相変わらずこの娘は我が道行くといわんばかりの妄想大爆発だ。
 そんな事を口走りながら素早くトリガーを引き続け、熊の脚を狙い、体勢を崩させようとしている。
 着弾はするも、よろける様子は無い。寧ろ、カイの方がもっとジタバタしているぐらいだ。
「今度こそ止めさせてもらう!」
 力強く地を蹴り、熊との距離を狭めれば再び掌底が放たれる。
 先程より一層力を込め、狙い済まし、極限にまで高められた一撃。
 それは腹の底に届くような思い響きと共に熊の体を捉え、細胞を叩き崩す破壊力は神経をも震わせた。
「グガァッ!?」
 濁った唾液を零しつつグラリとよろめく熊の体は痺れ、動きが鈍る。
 しかし、まだカイを離す様子は無い。
「カイさんを離しなさい~!」
「その人さっさと離せよ、オレがおまえの鼻面に噛みついてやろうか!」
 交差するようにびゃくやの俊敏な刃と、牙緑の破砕の刃が熊へと吸い込まれた。
 胸元の毛皮を引き裂き、×の字に生傷が広がれば、花開く様に墨汁の様な血が降り注ぐ。
「っと、大丈夫か?」
 口から零れ落ち、開放されたカイを牙緑が片腕で受け止める。
 先ほどから虎美や烏が牙や口内を狙ったおかげでかみ締める力が若干下がったらしく、傷口は予想よりは浅いといったところ。
「だ、大丈夫なのダ……」
 よろよろと立ち上がるカイ、そして二人へと熊が反撃の腕を振り上げる。
「そうはさせないと」
 腕を烏が放った散弾の嵐が吹き飛ばし、軌道を阻害する。
 そのまま振り向いたところへ口の中にも鉛を食らわせてやり、ダメージを重ねて追い詰めていく。
 更に追い討ちと背後を取った清美が冷気の拳を叩き込む。
 これだけラッシュを受け、ダメージに動きが鈍っていれば次は確実に捕まえたようだ。
「今度は上手くいきましたね」
 広がる冷気を振り払える様子は無い。
 地面にくくりつけられる様に足元も凍りつき、強靭な両椀が冷気に閉ざされていった。
「我が獲物に相応しい戦い振りであったぞ」
 ざわつく瘴気を手の上で蠢かせ、それはまるで日没の様に闇を広げさせる。
 トドメと放たれた瘴気は飛び散る様に熊へと襲い掛かった。
 蝙蝠の羽ばたきの様に荒れ狂う飛翔、そして肉を貪るかのように絡みつく。
 全身が闇に包まれ、晴れた瞬間、熊は膝から崩れ落ち、血に沈むのであった。
 
「いやはや、何とも恐るべし鳥獣大決戦でしたと」
 特に最後は鳥獣大決戦になっていたわけだが。
 冗談のように呟く烏は煙草をくわえ、火を点す。
(「やはり熊を討った証として皮でも剥いで敷物にでもしたほうが良いのかねぇ」)
 そんな事を思っていると、熊へと近づく影があった。
「そなたの命は我が血肉となり、いつか己の屍と共に土に還る。今生では叶わずとも、最後にはきっとこの世界に受け入れられよう。いずれ、辺土で会おうぞ」
 倒れた熊へと近づいたサヴェイジはその首元に噛み付き、黒き血潮を啜り上げる。
 これが己であり、自分の弔い方。お経を読むのとは違うが、心のあり方は代わらない。
 吸い出せるだけ全ての血を自身の体内に巡らせ、今日という戦いを記憶し、体に取り込むのだ。
「この牙ガ、この牙ガ~! 鋭いのダ~。痛かったのダ~」
 サヴェイジと入れ替わる様にカイが熊に近づくと、口元を突っつく。
 脇腹の傷はすっかり治っているが、今思い出すだけでもぞっとする痛みだ。
「ところでこの爪、我輩のクチバシと同じくらいの長さがあるのダ。なんか親近感わいたから持って帰るのダ」
 そういうと鈍器でガシガシと叩くのだが、硬質な爪が易々割れるはずも無い。
「どれどれ」
 牙緑がその様子を見下ろし、大剣を抜く。
 任せろと切っ先を爪に当てると、爪全体を砕かぬ様に上手く力加減を行い、パキンと爪を根元から叩き割る。
「取れたぜ」
 満面の笑みで爪を受け取るカイ、そして今度は清美が熊へと近づいた。
「熊って毛皮だったり熊の胆だったり利用価値は多いですよね」
 おいおい、とは思うものの、腐らせて捨てるよりはその方が熊も浮かばれそうだ。
「記念にちょっと皮を貰っていこうかな?」
 烏も熊へと近づき、覗き込む。
 こうして熊は望むがままに解体され、それぞれの装飾品やら薬やら、色んなものへと変えられていくのだろう。
 ……その間も虎美は脳内でデート中かもしれない。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
 如何でしたでしょうか?
 序盤は順調に進んでいたのですが、途中でくまさんがマジギレしたのか、ダイス目が破天荒な状態となりました。
 あまりダメージを受けている描写が無かったのですが、所謂直撃に当たるようなものは少なかったりします。
 それでも体力のある熊は中々の強敵だったのかもしれません。
 さて、今更な話なのですが。今回の話であんな予想をしたのは私担当のノエル・S・アテニャンの予知になります。
 勿論、今後は兄の補助を得てまともな予知になるのでご安心を。
 ではでは、またノエルを助けていただければ幸いです。
 ご参加いただき、ありがとう御座いました!