●狂気 『HQ、EEだ。目標ポイントに到着、ターゲットを探索する』 野戦服にタクティカルベスト、特殊部隊の兵士じみた格好をしたリベリスタがインカムに繋がったAFを介し、現状報告をしていた。 ここは最近壊滅させられたフィクサード一味が使用していた研究所だ、既に生活区域は制圧済みだが、研究区域は手付かずである。 すんなりと入るには危険すぎるとフォーチュナーからの指示もあり、今回は偵察兵の彼が危険の内容を確かめるらしい。 『HQよりEEへ。HEが60秒で合流する、暫し待て』 『了解』 (「あの時以来だな」) 妹と共に、ここへやってきた時のことを思い出す。 そんな暇潰しも直ぐに終わり、同じ様な格好をしたリベリスタと合流すると、カードキーをリーダへ滑らせた。 互いの死角をカバーしつつ、静かに滑り込んでいく二人。 中ほどまで進んだところで倉庫らしき場所へと到達し、二人はフォークリフトの陰に潜む。 EEと名乗った少年の赤いレンズが何かを捉えていた。 『HQ、以前の潜入作戦中行方不明になったリベリスタはSwEだったか?』 SwEとは、この研究所にスパイとして侵入し、各区域の情報を探っていた仲間だ。 合流予定の生活区域で発見出来ず、行方不明である。 肯定の返事がインカムに響き、その通話にHEと名乗った青年は訝しげな表情を浮かべた。 「奥にあいつの気配がする……」 再びEEのレンズが気配の方向へと向けられ、ピントを絞っていく。 そこには一体の鎧が壁に凭れ掛かっているだけだ。 「あ~……確かに、そう、かもね」 ばつが悪そうに呟くHEに、EEは首を傾げた。 コツコツと自身の耳元を小突くHEの仕草に、少年も耳を澄ます。 「ぁ……んっ……は……ぁっ……」 艶かしい声が微かに聞こえると、納得したようだ。 「……とりあえず、私が先行しよう、君は援護だ」 HEがアサルトライフルを構え、中腰のまま素早く移動。 EEはバトルライフルをフォークの上で固定し、援護体勢で辺りを警戒する。 「中にSwEが……」 鎧を小突こうとした瞬間、唐突に目を輝かせたそれはHEへ襲い掛かった。 「んぁぁぁっ!?」 両手を伸ばし、彼の体を握りつぶすように挟み、持ち上げていく。 「落ち着きたまえ! 私だ、HEだ!」 必死の呼び掛けを押し潰す様に、甘い声は響き渡る。 「もう……無理……ぃんっ……んぁぁぁっ!?」 HEの必死の呼びかけにも応じず、万力の如く彼を締め上げていく。 「ぐぁ……っ!?」 相反する声が交じり合う倉庫、EEはドットサイト越しの景色から狙いを定める。 『HQ、HEが殺られる! すまんが撃つぞ!』 大口径のライフルが火を噴き、つなぎ目らしき場所を撃ち抜く。 リベットが吹き飛び、動きが悪くなったのか力が緩んだ一瞬にHEは鎧の胸を蹴って逃げ出す。 「錯乱しているのかっ?」 仲間を殺さぬ程度、致命傷を避ける様に小銃が吼える。 胸のボルトが幾つか吹き飛ぶと、鎧は両膝を突き、胸の装甲が開く。 「なっ……!?」 そこにいたのは紛れも無く行方不明になった女リベリスタ、SwE。 「ふぁ……ぁぁっ……」 だが、服はグズグズに崩れ落ち、白い肌に触手が大量に絡み付いているのだ。 「汚らわしい化け物め! 返してもらうぞ!」 コンバットナイフを抜いたHEは、彼女を捕らえる魔の手を切り裂き、中から引きずり出す。 下半身も例外なく服は布としても耐えられぬほど解け切っており、辛うじて大切な場所を守るだけだ。 体中触手から発した粘液に塗れ、衰弱した女の呼吸は弱弱しい。 先程の鳴き声といい、紳士なHEには刺激が強すぎる映像だったりする。 「い、EE! 君が運んでくれ!」 「お前は中学生かっ、まぁいい、さっさと逃げたほうがよさそうだ」 そこら辺に並べられていた箱をぶち破り、同じ鎧が姿を現すが、若干様子が違う。 それは棟や腕に脚といったパーツの装甲が開き、真緑の触手が溢れている事。 鎧が向かう先は彼女。EEが直ぐに駆け寄るとSwEを背負い、HEを顎で先導を促す。 「あんな棺桶は御免だ」 二人は一目散に研究区域から逃げ出していった。 ●時間稼ぎ ブリーフィングルームに集まったリベリスタ達は、偵察兵が持ち帰った映像に凍りつく。 最早パニック映画の様な映像に近い、無駄に官能的なのでB級は確定だが。 「どうやら、フィクサード達はこれを作ってたみたいなの」 『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)が溜息をこぼし、説明を開始する。 「あの鎧は取り込んだ人間を自身の原動力兼骨格として扱うらしいの、もし、あのまま閉じ込められたら……死ぬまで体の一部よ」 続けてコンソールに指を走らせ、鎧に関するデータをスクリーンへ投射していく。 「鎧達のコントロールをしているのは、奥にある制御室。 ここを破壊すれば、鎧達は動きを停止するみたい。 でもさっきのリベリスタを助け出した事で鎧達は活動を再開してしまったわ」 分かる範囲で作られた研究区域の地図が映し出され、赤い点で示された鎧達が浮かぶ。 それはもう、通路に僅かな隙間しか感じられず、制御室内もたっぷりだ。 「そこで貴方達には囮をしてもらうわ、場所はさっきの映像にあった倉庫。 でも女の人は気をつけてね、取り込もうと襲い掛かってくるし……捕まると、その」 みなまで言わずとも、映像から察したリベリスタ達は苦笑いを浮かべる。 「男の人は取り込まれないみたいだけど、容赦なく排除に掛かってくるから気をつけて。 あと制御室を破壊しないと、あの鎧は自動で量産されるみたい」 つまるところ、倒しても倒してもキリが無いというところ。 倒す事より、上手く身を守り、作戦終了までの時間を稼ぐ事に重点を置くべきだろう。 「攻撃手段は普通に殴ったり蹴ったり、物を投げつけたり、原始的だけど、触手の詰まった内側を攻撃しないとダメージにならないわ。 あと触手自体を伸ばして引きずり込もうとするから、特に注意が必要ね」 常に倉庫で待機している鎧は4体、数が減ると次々と補充されるが、それ以上の数で倉庫に留まらないのがせめてもの救いか。 「放っておくと他のフィクサードに悪用されるかもしれないし、この区域から逃げ出したら大変なことになるわ。変な敵だけど、頼むわね?」 一通りの説明を耳にしたリベリスタ達は資料を受け取り、早速プラン検討に移るのであった。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:常陸岐路 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年05月27日(日)00:42 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●考える事、皆バラバラね? 囮班へ流れる作戦の合図、リベリスタ達は研究区域を進む。 仲間からダンボールを被りつつ『合縁奇縁』結城 竜一(BNE000210)が離れていく。 目指すは端末装置、皆の考えではエレベーターの操作が可能という予測だ。 (「こんな敵、関わりたくなかったけど……放っておいたら……もっと、大変なことになる」) 戦々恐々と『紅玉の白鷲』蘭・羽音(BNE001477)はチェーンソー剣、ラディカル・エンジンを構える。 (「もう、覚悟を決めるしかないっ! 必ず、成功させて帰るよ……5人で」) 今回参加したメンバーは8人、内3人を数えない理由は知れた事。 心の中の呟きに反応する様に、竜一と『ガントレット』設楽 悠里(BNE001610)、そして『Small discord』神代 楓(BNE002658)の背中へ氷を突っ込まれた様な悪寒が走る。 (「僕は臆病者だ}) しかし悠里は逃げ出す事無く立ち向かった、繋ぎとめられる全てを守るべく。 だが。 (「でも……仲間に命を狙われるなんて思ってもなかった!!」) 周りは女性ばかり、相談の時からは只ならぬ気配を羽音が放っていた。 それは戦いで浴びせられる刃、殺意。 (「怖い!帰りたい!」) 心の中では滝の様に涙が流れる。 人身御供の如く、悠里は重い足取りで最前線へ飛び出した。 (「何を考えてそう作ったのか知りませんが、色々と興味深い鎧ではありますね」) 同じく前へ飛び出したのは、『追憶の蜃気楼』神無月・優花(BNE000520)だ。 興味をそそったのはその作りか、性能か? ともかく、羽音と比べれば男に殺意を向けることも無さそうである。 (「暴走してなければ私も着てみたかった所ですが……って、危険物なら排除しませんと」) しかし、そんな考えをするのは、彼女だけではない。 (「成してればなかなか良さそうですね。攻防手軽にアップできてしかもむっちゃ楽できそうですし。」) 『適当人生』マーシャ・ヘールズ(BNE000817)も何故か鎧に期待をしている。 確かに通常の防具よりも攻防揃えて底上げできそうだが、その代償は大きいだろう。 それ故に、何処と無く残念そうだ。 「見せてもらいましょうか、寄生型戦闘鎧の性能とやらを!」 『狂気と混沌を秘めし黒翼』波多野 のぞみ(BNE003834)も戦術眼を光らせ、敵の動向を探る。 セリフがどこかで聞いた事があるのは気にしてはいけない。 (「全力で依頼後が怖いんだが……今日無事に帰れるかな」) 楓は魔力コントロールで体内を活性化しつつ、聞き耳を立て、エレベーターからの音や周りの戦況を把握する。 だが彼もお年頃だ。美女揃いの最中、艶姿のオンパレードが始まるとなれば期待しないわけが無い。 現に瞬間記憶という、見たものを一瞬で脳裏に焼き付ける力を持って戦列に並んでいる。 「触手さーんこーちら~手の鳴る方へ~♪」 無邪気に誘い歌を口ずさみ、『ものまね大好きっ娘』ティオ・ココナ(BNE002829)が飛び出す。 逃げ回る=鬼ごっこという考えに至り、自慢の足の速さで撹乱しようという作戦らしい。 だが、ここには大きな問題がある。 所謂速度と敏捷性というものは似て非なるものだ、トップスピードで飛び出したはいいが回避能力は比例するものではない。 「うわわっ!?」 仲間達がギョッとしたのもつかの間、1体の触手を避けた後、回り込む様に伸びてきた触手に捕まってしまう。 オーバーオール溶かしつつ、引き寄せようとする寄生鎧。 「おおっと!」 声に反応し、竜一は一瞬にして抜刀した刀から真空の刃を放つがダメージは足りず、触手の動きは止まらない。 更に、2体の鎧達がリベリスタ達の前に立ちふさがる。 「通してもらうよ!」 「邪魔……っ!」 悠里の冷気を纏う拳と、羽音のエネルギーを帯びた大剣が鎧達を穿つ。 全身に絶対零度の破壊が浸透し、寄生鎧の動きが徐々に弱まっていく。更に羽音が切り裂いた鎧も勢いに流され、後ろへとよろめく。 僅かに開いた戦列を優花とマーシャが突破し、ジリジリと引き寄せられるティオへと駆けていった。 ●Hell or Heaven? 飛び出したティオは優花とマーシャの奮闘空しく鎧へと引きずり込まれてしまった。 「だ、出して~っ!」 ガシャンと閉じられる鎧、その中でティオの手足は強引に引き伸ばされる。 特殊な酸を帯びた触手がナイフの様に肩紐を切り溶かし、べろんと垂れ下がっていく。 抵抗する事すら出来ず、大きな隙間から小さな体を捕まえ様と触手たちが群がったのだ。 「く、擽った……っ、んぁっ!?」 脇腹を、太股を、二の腕を、首筋を、全身を包み込む様に触手達は絡みつく。 既に服らしきものは見当たらず、粘りっこい水音と共に鎧の動きに合わせ手足が動かされてしまう。 「そ、そこはだめぇ……っ」 柔らかな全身へ触手の先端が喰らいつく。 動物の甘噛みの様に淡い刺激が、神経の敏鈍関わらず走り、なんともいえぬ刺激が声を吐き出させる。 今度の触手はどんな触り心地なのかと、考えていたことすら公開する様な強弱を極めたタッチ。 「お、おかしくな……んんぅっ!!」 その声は全て外へと響いていく。 「離してくださいっ!」 ボルトへと優花のオーラの糸が束となって襲い掛かり、ボルトの前で広がっていく。 小さなターゲットを捕縛し、それは砕け散り正面の装甲が派手に転がった。 「大丈夫ですか?」 既にグチャグチャのドロドロにされたティオの体がだらんと前に垂れ下がり、体の割に大きな胸が弾む様に揺れた。 「だ、大丈夫~」 苦笑いを浮かべるティオ。マーシャはブラックコードを素早く振るい、しなやかな刃が触手を寸断する。 開放された彼女を受け止めたところを、別の鎧が二人へと襲い掛かった。 「ちょっと……っ!」 どうにか拳は回避したが、丁度攻撃の軸の先へ優花がいたのだ。 「きゃっ!?」 直撃はしなかったが強力な拳の勢いに体制を崩し、地面を転がる。 そこをすかさず、羽音の一撃を受けた鎧が触手で捕らえてしまう。 「この……っ!」 ナイフを逆手に握り、触手へ突き立てるが勢いは止まらず鎧の中へと引きずり込まれてしまった。 再び閉ざされる装甲、獲物へ群がる肉食獣の如く、柔らかな優花の体へ迫る。 悲鳴すら紡ぐ暇も無い、元々露出の多かった鎧は見るも無残な状態へと崩されてしまう。 「ふぁ……っ!?」 全身を包み込む様に触手達は優花を貪り、触手の先端が十字に裂けていく。 そこには小さな突起が無数に生え揃い、白い肌にしゃぶりつくのだ。 「そんなの……っ、んんっ!!」 腹部を太股を、胸元を、首筋を。 余すところ無く噛み付いた触手達は体内から針の様な器官を伸ばし、柔肌を貫くと栄養素となりそうな体液を啜る。 「痛っ……やめ……っ、んは……ぁっ!」 鎧が動く度に体中の色んなところが滑った感触に擽られ、こそばゆい感触に声が零れてしまう。 「このっ」 別の触手が首筋へ絡もうとするのを見れば、お返しとばかりに優花は噛み付き、エネルギーを吸い返そうと試みる、が。 「んんぅっ!?」 噛み付いた触手が大暴れし、咽喉へとぶつかる。 たまらず吐き出そうと試みるのだが、暴れる触手に牙が引っかかり、陸に上がった魚の如く跳ね回ってしまう。 「んん、んんっ……げほっ!」 どうにか牙が抜け、引っ込んだ触手と共に泡立った体液が口角からボタボタと滴る。 粘っこい体液が喉に絡み、呼吸も苦しく、優花の体力は蝋の様に溶けていった。 (「盛り上がってまいりましたー!」) 煩悩全開で女性陣の甘声を耳に、チラ見しつつ、竜一はコンソールを叩く。 しかし、エレベーターの情報は一切無い。あるのは鎧の情報ばかりだ。 「ん?」 画面には『現在倉庫内で稼働中のPAにソフトウェア異常あり、バージョンダウンを行い、正常化しますか?』とのメッセージ。 (「やってみるか」) Yesを選択、シークバーが一気に加速し、100%の表示と共に鎧達に異変が起きる。 正面の装甲を破壊されていない3体の鎧が動きを止めたのだ。 端末の方にはStandbyと綴られていた。 「とりあえず、いい結果にはなったみたいだ」 一方、鎧に捉えられたままの優花は体中を撫で繰り回され、意識が朦朧としていた。 「も、もぅ……無理ぃ……」 まさに弱音とはこの事。そんな彼女の正面ディスプレイに装着解除の意思を問う選択肢が映る。 彷徨う視線がYesを選ぶと装甲は開き、一糸と言えそうなものがない格好で床へと崩れ落ちていく。 ここで後衛に配属された楓のサックスがメロディを奏で始める。 渋く落ち着いた響きは祝福のメロディを紡ぎ、優花の体を癒していく。 (「も、最早無事ですまねぇなら……っ!」) 勿論、彼の目には彼女の艶姿が焼きつき、耳には先程までの艶やかな歌声が余す事無く届いていた。 ●尚も続く 行動停止した3体の代わりに、エレベーターから新たな3体が到着する。 早速竜一は端末を操作し、3体も停止させようと試みるが、先程の3体を停止させるのが限界らしい。 「うぉぉぉっ!」 お色気満載の映像から逃げる様に、悠里は全力疾走で次のターゲットに駆け寄り、勢いの乗ったストレートパンチを見舞う。 鎧達も負けてはいない、仲間を倒した二人の方へと反撃が迫る。 「ひっ よ、寄らないで……っ!」 羽音は拳へ大剣を衝突させ、攻撃を防ごうと試みるが重量の差が大きすぎる。 甲高い音と共に弾かれた剣に流され、よろめいたところを別の鎧が触手を放ち捕らえてしまう。 「そう取り込ませませは……っ!?」 近くにいたのぞみが触手を振り払おうと羽音へと近づくがそこを狙い、廃材を投擲。 直撃の衝撃は体を痺れさせ、更にもう一体がのぞみへ触手を放ったのだ。 結果は、二人そろってご案内である。 「んぅっ……ぁっ!」 触手が全身を包もうと迫り、力の限り抗う羽音だが、潤滑液がそれを阻む。 力が反れてしまった一瞬に触手達が彼女を包み込んでしまう。 (「……何だか、身体が……変っ」) 未知の感触はおぞましさが先立って違和感としてしか認識できない。 そんな事はお構いなしに触手は暴れるばかりだ。 「ふぁ……くぅ……っ、声、抑えられ、な……っ!」 グズグズに崩壊した服を触手が跳ね除け、程ほどに育った胸元を弄っていく。 オマケに体液を啜ろうと噛み付いた触手は、神経の多く通った場所へ甘く食い込んでいた。 淡い痛みを一気にかき消し、吸いだせるものは全てと言わんばかりに水音が響く。 「んぁっ、は……ぁっ!?」 虚ろになった瞳に飛び込んだのは一際大きな触手、先端が割れるた先には鏃の様な硬質突起がある。 細い体とは裏腹に高い生命力の体液を啜ろうと、小さな穴が沢山並ぶ。 それは触手がまだ多く群れていない下肢へと迫っていく。 「っやぁ! やだっ、そんなの、ダメッ!」 やわらかく、簡単に全てを奪えそうなところを目指す最中、鎧が仰向けに倒れる。 脚を開いた形に膝を立て、寝そべった今、触手も都合の良い場所へじりじりと迫り、柔肌に硬い感触を味わう。 「やだぁ……しゅん、すけぇ」 恋人の名を口にしつつ、先の読めぬ恐怖が頬を伝い落ちていった。 「あっ、んんっ、んんぁっ!」 一方、取り込まれたのぞみの方は抗う様子が無い。 残された味方の様子は正面のディスプレイに映し出されているのだが、それ程苦戦している様子はなさそうだ。 それ故か、マッサージの様に触手の感触に身を委ねてしまっている。 「でも……っ、服溶かすのは困っ、そこ弱っ……んぁっ!?」 びちゃっと粘液が飛び散り、ジャケットもブラウスも、スカートも、それであった事を言われなければ最早分からない。 噛み付いた触手の刺激に頬が紅潮し、心地よさにうっとりとしつつ、体を跳ね上がらせる。 「そんな擦りつけちゃ……ぁっ!」 触手が太股を這い上がり、股座をすり抜けて脇腹を回り込み、胸の谷間を通り抜けていく。 暖かくぬるぬるとした感触が脳を蕩かせて、思考力を奪う。 「力が……でも、これはこれで……っんん」 布の残骸が鎧の中で零れ落ちていき、それが無ければ帰り道がどうなるか? そんなことも考えず飲まれていくのであった。 ●プレに使うって書いてありましたので 技を交互に使い分け、戦う悠里のエネルギーも徐々に底が見えてくる。 尽きたEPを悠里が回復するには……。 「ごほっ!?」 吸血、女性を狙いのびたそれに噛み付く。 だがタイミングが早すぎた所為で喉の奥にまで無駄に到達。 EPが回復できたが、誰得と言わんばかりに粘液を吐き出しながら咽ていた。 結果として回復した悠里は、電撃を走らせ連続攻撃で鎧のボルトを狙う。 流麗な連撃は余す事無く狙いを砕き、装甲が開放されていく。 「ぁんっ! んんぁ……っ」 「ふふっ、いいよぉ……」 両極端なリアクションをする二人が転げ落ち、筆舌に尽くしたいが尽くせない格好で寝転がっている。 それを遠慮なく直視する竜一と楓、悠里は何故か怯えていた。 「まだ終わらな、きゃっ!?」 回避に専念し、時間まで粘る作戦に出たマーシャだが、すばしっこい彼女の動きは目に付くのか執拗な攻撃が捕らえる。 拳の衝撃でよろめいた一瞬を触手が体内へと引きずりこんでいく。 「えっ!? な、何!? ちょっ……!?」 戦いに体力をすり減らされた鎧の体内へ引き込まれたマーシャは格好の食料というところ。 溶け掛け程度の服は、飢えた触手が乱暴に引きちぎってしまう。 「ひゃぁっ!? いきなりそん……んぅっ!?」 一切の遠慮は無い、身を包むものは殆どない。 濁流の様に押し迫る触手が一気に体を包み込み、絞り上げる様な拘束は若干の痛みが混じる。 「ぁんっ、んんぅっ! は、激し……っ」 胸元で渦を巻くように絡みつく触手は、僅かな隙間に見える柔肌へしゃぶりつく。 たすたすと突き刺さる針は白い肌に幾数もの真紅を描き、空気混じるストローの吸引音が響いた。 「んぐぅっ! ぁっ、んんっ、あぁっ!」 下肢を貫く鋭い痛み、恐る恐る視線を下ろせば内股を大粒の赤が伝い落ちていく。 股関節辺りに突き刺さった触手の先端は明らかに肉を裂いていた、溢れる鮮血が物語っている。 けれど粘液が痛みを忘れさせ、どくんと脈打つ触手の動きに体中を撫で回されたかの様なくすぐったさが走るのだ。 「なにこれ……っ、おかし……いっ、んんっ!」 搭乗者を殺しては鎧にはメリットが無い、だが自身が滅んでも意味は無い。 咀嚼する様に体を嬲り、擦り、蕩かし、マーシャの意識が歪む。 「あっ、あっ、んん……っ」 追い討ちをかけんとばかりに口を開く触手達が彼女の目に映るのであった。 ●ラディ☆狩る・羽音 「た、助けてぇ……っ」 マーシャもティオと羽音の攻撃で開放され、ずたずたの体を楓が癒し、重傷者を出さずに時間は過ぎ去る。 結果として作戦は成功した。 「ねぇ……悠里、竜一、楓。見たよね? 聞いた、よね……?」 AFから出した布団を体に巻きつけた羽音が俯いたまま3人へ問い掛ける。 「「シ、シリマセンヨ」」 シラを切る竜一と楓、悠里は顔面蒼白だ。 「……よし、狩る」 採掘機を思わすエンジンの咆哮が、3人へ絶望を奏でる。 恋人に『おとなしくぶちまけられてきて下さい』と、手向けの言葉を聞かされていた悠里の恐怖は頂点に達した。 「頑張れトップデュランダル! 君なら出来る!」 悠里は素早く竜一を掴むと、全力で羽音に投げつける。 「黄色いのぉぉぉっ! 覚えと、ぎゃぁぁぁぁぁっ!?」 ラディ☆狩るギロチン、当たった者の首は鮮血の噴水と共に転がる。 彼の場合首は落ちないが、それでも酷い。 「竜一がカメラ仕込んでるのは、分かってるんだよ」 サングラスを蹴り飛ばし、優花が拾い上げると検閲開始。 しかし派手な動きをした結果、布団は滑り落ち、とんでもない格好で立っている。 冥土の土産を瞳に焼付け、竜一の意識は沈む。 次は楓に狙いが定まった。 「おい待てやめろそれは死んじ」 ラディ☆狩るスロー、投擲された重量級チェーンソーが背中から肉を抉りながら突き刺さる。 死にはしなかったが虫の息だ。 剣を回収する羽音の体は程よく引き締まり、女性らしいラインが美しく映える。 弾む胸元を記憶に留め様としつつ、彼も意識を失う。 「怖い痛いのは嫌だ助けて」 ゆらゆらと近づく羽音、ガクブルする悠里。 (「これは夢だな」) いいえ現実。 ラディ☆狩るジェノサイトは、悠里に天国と地獄を見せながら意識を摘み取った。 他の女性陣が思ったのはきっとこう。 『その格好でお仕置きしたらサービスしてない?』 の、筈。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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