● 時計の針が刻む、刻む。 胸に刻みつける様に痛みを刻む、刻む。 チック、タック、チック、タック―― 嗚呼、もう空は明るくなったのかしらと女が問えば、 そうだね空は明るくなったと男は笑う。 誰も来ないその場所に、空虚だけが残ったならば、ただ手をつないで目を閉じよう。 君が其処に居れば其れだけでいい、と。 ――なんて、御伽噺。 「ただ、傍に居るだけで幸せであっただなんて」 ――綺麗事。 女はアザーバイドであった。 其れゆえに、リベリスタである一人の男を愛することは諦めていた。 フェイトを得ぬ自分が此処に存在している事自体が間違いであったと。 出会わなければ、良かったのに。 握りしめたナイフは男の背中を目指す目指す。 ● 天原和泉(nBNE000024)は瞳を伏せってリベリスタ達へと向き直った。 「フェイトを得ていないアザーバイドが一人」 モニターに映し出されたのは明るい茶髪に淡い赤い瞳の女。 人と違うのは彼女の背には大きな蝶々の片翅があること。 「彼女はリベリスタにひとめぼれしました」 フェイトを得ていない以上その恋を密やかに応援することなど無理難題。 一度は愛し合ったかもしれない、一度は愛をささやいたかもしれない。 だが、所詮は違うものだったのだろう。 ――フェイトを得ていない以上、彼女を殺さねばならない。 「元の世界には彼女は戻らないと思います、だから」 だから、殺すしかない。 「狙われているリベリスタは現在任務中。帰り道にアザーバイドと接触するでしょう」 淡々と告げる和泉の瞳に感情の色はない。 ただ、殺してくださいとそう其の目は告げた。 そう、傍に居られれば、それでよかった。 見てくれなくても、よかった。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:椿しいな | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年05月21日(月)22:28 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●眸色 愛おしいと思うたびに胸が締め付けられるように痛む。 ただ、傍に居るだけでよかった―― それさえも許されないならば、いっそ。 「アザーバイドとリベリスタの恋、か」 呟きを洩らしたのは『ディフェンシブハーフ』エルヴィン・ガーネット(BNE002792)であった。 彼の赤い瞳が見るのは彼が望む運命。 ナンパが趣味だと言い張るから彼だからこそ愛や恋を知っている。 「……まだ悲劇と決まった訳じゃない」 「はい、これはまだ未然に防げる悪夢」 ぐっと拳を固めた『鏡花水月』晴峰 志乃(BNE003612)は自身の心に降り積もる確かな想いを思い出す。 止めなければならない―― その姿を瞳に映すだけで、その声が鼓膜を擽るだけで、世界が色を変える。鮮やかに、美しく。 その思いが胸にあるから。 「必ず、止めて見せます」 少女の茶の瞳は優しげな炎を静かに灯した。 その言葉に頷いたのは赤い目をした少年。エルヴィンの目が愛を灯す紅色だとすれば彼の赤は優しい朱。 「喪失って終わりにする為じゃなく」 ――二人の愛を護りたいから。 『フラッシュ』ルーク・J・シューマッハ(BNE003542)は生真面目な少年である。 不器用であるが故に素直にや恋を説く事は出来ないかもしれない。だが、彼の心根は優しい。 誰かが愛し合って、その愛が正しくないからと言って途切れさせる事はしない。 悲劇、エルヴィンが言った言葉をルークは繰り返す。 そんなものなんて、ないとその目は優しく語っていた。 まだ春の陽気にも何処か冬の残り香がする様な気候の中で『人生博徒』坂東・仁太(BNE002354)は小さくため息をつく。 世界に認められない恋心。其れはその言葉のままに。 「……帰るっちゅう手段がまだ取れる分救いはあるのに、な」 「愛しい人の為に、還らないか」 仁太の言葉をつなげたのは『淋しがり屋の三月兎』神薙・綾兎(BNE000964)であった。 仁太の優しい胡桃色の瞳が鮮やかな海の様な瞳の綾兎と合わされる。 2人が思う事は同義。還せるなら、還してやりたい。その可能性に賭けたい。 「彼と彼女自身の為にね」 深い海色の瞳をした黒兎の言葉に狐は小さく頷いた。 「手段はたくさんあるかも知れん。せやのに未来を、希望を捨てようっちゅうなら」 ――その考えを壊してやろう。それが彼と彼女。愛し合った二人の為。 だがそれが彼らの為であるのか、それは分からない。 『消えない火』鳳 朱子(BNE000136)の燃えたぎる炎の様な瞳は今は静かな炎を湛える。 「それで、二度と会えないとしても」 そう、もう二度と会えないのかしれない。それでも、彼女は思う。 「愛して相手を殺すなんて事の方が正しいなんてあるはずがない」 だって、愛したのだから。好きになってしまったのだから。 「そう、ですね。沢山のジレンマがあって、それを乗り越えた先に本当の愛がある」 そう信じていると『極北からの識者』チャイカ・ユーリエヴナ・テレシコワ(BNE003669)の空を映した様な優しげな瞳は語る。 幼いながら博識である少女はまだ恋愛事を其の身で体験した事がないかもしれない。 書物で学ぶことは心で感じる事とは違うかもしれない。 ――だが、幼い彼女にだって愛する人がいるのだ。愛しい家族。傍にはもういない、大好きなひと。 小さな天使の翼はふわり、と揺れた。 『百の獣』朱鷺島・雷音(BNE000003)の澄んだ新緑の瞳は悲しげな色を灯す。 もし、そこまで言った彼女はその言葉を飲み込んだ。 目前に居たリベリスタの姿を捉える。リベリスタ達は彼を庇うように前へと飛び出した。 ――もし、彼女がフェイトを持っていたら結末は変わったのだろうか? ●聲音 最初に飛び出したのは海色の瞳をした兎だった。 「しっかりしなよ?大切な彼女に、このまま罪を犯させたいっていうなら腑抜けててもいいけれど、さ」 彼の背をぼんやりと見つめていたおとこに苦笑を投げかける。 綾兎の目に映ったのは淡い赤い色――淡い恋心を其のまま映したかの様な――瞳の女。 背に揺れる片蝶の翅。明るい茶髪は夏にもなりきれない湿った春風に揺れていた。 周囲に広がる結界の気配にリベリスタのおとこは顔を上げる。 「大丈夫か?混乱するのも仕方ねぇさ」 彼の近くにしゃがみこんだエルヴィンは彼に回復を施す。 「君たち、は?」 「俺たちはお前を助けに来た同業だよ。なあ、ひとつ聞いておきたい」 エルヴィンの目はまっすぐにリベリスタを射た。あのアザーバイドの女と同じ色の瞳をして。 「彼女の事、今も愛してるか?」 それはただの確認。彼だって女がアザーバイドだからって愛情が消えうせただなんて思っていない。 「愛してる、とても、愛してるんだ」 「愛する人と一緒に居たくて、でも居られないから殺そうと思ったんだと」 運命の寵愛を受けなかった彼女がこの場所に居る事は選択肢にはない。 其の事に悲しくなりながらもエルヴィンは男へと目をやった。 「もし、二人で居たいと言うなら、ひとつ選択肢がある。彼女と共に、彼女の世界へ行く事」 その言葉に男は目を見開く。エルヴィンの優しい声は男の鼓膜を滴る雨音の様にゆっくりと擽った。 「彼女の為に、今のすべてを捨てる。その覚悟はあるか?彼女の愛情に応えるだけの想いはあるか?」 その問いに対して男は小さく、エルヴィンと綾兎に聞こえるように応えた。 仲間たちが空を羽ばたけるように、とルークは加護を与える。 彼は思う。仲間たちがいるからこそ二人の心に辿りつく事が出来る。 「……今のままの貴女を彼に近づけさせる訳にはいかないんだ」 「何で、邪魔、するの?」 ――私は傍に居たいだけなの。 女の瞳は、悲しげに見開かれる。 「二人の愛を護りたいんだ……だから、俺はこの脚を前へ踏み出すんだ……!」 蝶々がルークの頬をすっと掠った。 どうやら言葉は通じている。チャイカは其れを確認し、ほっと胸をなでおろした。 彼女には異界の者と確かなコミュニケーションをとるツールはない。 しかし、共感がなくても、言葉が通じなくても、彼女の迷いなき言葉と意思は届くとそう信じているのだ。 「傍に居たいと思う事は、誰にだってあります」 ――望んだって居られない事がある。 幼い少女の瞳は泣き出しそうなほどに歪む。誰かと共に居たい、そう願う事は簡単なのだ。 そう、望めば居られるなんて甘い現実は存在していない。それは其の身に翼を宿した彼女も経験した残酷な運命。 「貴女は、愛するこの人と、この人が住む世界がどうなっても良いと思うのですかっ!?」 その言葉に片翅はただ翼を静かに揺らした。 「貴女がこの世界に居る事が出来ない理由はたった二つ」 そのたった二つが余りにも大きくて。二つなのに、途方もない壁の様で。 ぎゅっと着物の裾を握りしめた志乃は片翅を見つめる。 「貴女がこの世界に愛されていないこと、ここが最下層である事、です」 その途方もないほどに大きな壁。志乃は乗り越える術を一つしか知らない。 世界に愛される方法なんて知らない。分かっていれば、きっと幸せであるのに。 後者であれば、そう、後者であれば解決策を持ち合わせている。 「上位世界の力有るものを倒せばいい」 途方もない話でしょう?そう苦笑する彼女の手にはしっかりと蛇腹剣が握りしめられる。 そう力で示す。彼女の瞳はその意思で満ち溢れていた。 「それでも、そんな力がない私には、彼をこの手で殺してこれを永遠にするしかないの」 泣き出しそうなほどに歪んだ彼女の声音は不安で揺れる揺れる。 今までまっすぐに彼女を見つめていた雷音は仲間たちへと力を与え、一度瞳を伏せる。 「ボクは恋を知らない少女だけれども」 彼女はまだ、誰かに恋をするには幼すぎた。優しすぎる彼女には永遠という甘い響きを分からない訳ではなかった。 ただ、その殺してまでも求められた永遠にはもう一つ付きまとう一つの感情がある。 「自らの手で殺し、永遠にするの事は甘露なのだろう」 ――だけど、その喪失はもっと君を苛み続けるだろう。 優しげな新緑は語る、語る。 「出会わなければよかった?」 その言葉にただ、アザーバイドの女は頷いた。出会わなければこんな思い、しなかったのに。 「出会わなければよかった出会いなんてどこにもないんだ」 愛しい人を愛しいと思えた事、つきりと痛むその胸は甘くて幸せな痛みなのだ。 愛しい想いに苛まれて、苦しくて、泣き出してしまいそうなほどにあふれ出るその感情は確かにしあわせの形。 「今なら、その思いのまま帰れる」 だから、還らないか、とその言葉に片翅は立ち上がり、目一杯に瞳に涙を溜めた。 「わかる、わかるのっ!けれど、其れに耐えられるわけがないっ!」 立ち上がった彼女が放ったのは荒れ狂う雷。その雷から男を庇おうと朱子は立ちふさがる。 「それは、愛する事を諦めると言う事か?」 ちがう、と漏れ出た声音は弱弱しく。まるで言い訳をする小さなこどものようであった。 「お前はどうしてこの人を殺そうと思った。せめて忘れずに居たいとか、忘れてほしくないと思ったんじゃないのか」 その言葉に対しての応えは出てこなかった。 ただ泣きじゃくる女の周囲を舞っていた蝶々がリベリスタ達へと攻撃を行う。彼らはその攻撃にも動じない。 「好きになったのが、間違いだったの」 「好きになる事が間違いだなんて、」 ――そんなの悲しすぎる。 朱子の瞳は優しげに笑った。リベリスタとしてでなく一人の恋をする乙女の瞳をして。 「私にも愛する人はいる。大切な仲間も、いたんだ」 もしも、其の人が居なくなってしまったら、自分がどうなってしまうか分からない。 離れてしまっても、会えるならば、また笑いあう事が出来るならば想いあえるかもしれない。 愛しいからこそ傍に居る事を想う、夢見る。触れたいともどかしく思う。 「私たちも……そう、彼だって、運命を失ったら、この世界と大切な人の為に死ななくちゃいけない」 でも、貴女は行く場所がまだ残されているでしょう? その言葉に片翅ははっとしたように目を見開いた。 「誰かを愛した結果が、こんな結果なんて、私は……嫌だよ」 嗚呼、どうして愛してしまったの? 嗚呼、どうして? 泣き出しそうな女の繰り出した氷は涙の様で。リベリスタ達の体を傷めつけた。 驚異的な集中力を得た彼は何時でも手にした武器の引き金を引けるように気をつけていた。 ――彼が殺した、彼が愛した、その愛しい人の銃の引き金を。 女を見やった仁太の瞳に浮かんだのは、明るい色。その声音も何処か明るく優しげであった。 「後悔がなかったわけやないけんど、あの時のわしはノーフェイスになったあいつを助ける手段がなかった」 手を差し伸べていい相手ではなかった。だからこそ自らの手で終わらせた。 それが彼にとっての最善の策であった。欠けた瓶底眼鏡。愛しい人の最期を想い出させる。 「なあ、片翅、アイツな、最期笑っとった」 「わら、う?」 「ああ、笑っとってん」 蝶々が彼らを攻撃する。七匹の蝶々が絶えず彼らを攻撃する。 「ねえ、それでも戦うと言うなら、それは愛ではないと断言します!」 キッと睨みつけた少女の瞳は厳しい。 ただのエゴだ、と小さな彼女は声を荒げる。彼女だって神秘事件に巻き込まぬように大好きな家族から離れた。 愛しいと、それが恋愛であろうと親愛であろうと違わない。 彼女に降り掛かった出来事を出来るならば目の前のアザーバイドにも乗り越えてほしい。 「本当に愛するなら、何故愛する人を悲しませるのですか!どうして、私でも出来る事を、貴女はやらないのですか!」 その声は泣き出しそうに震えていた。ただ、想いだけを伝える様に。 「こんな事、おかしいです!甘えるなって言ってるんです!この、分からず屋あああ!」 その声がタイムリミット。 説得をと決めていた時間が経過する。 ただ、退去の意思を示すことなく泣き崩れた彼女の周囲を飛んでいた蝶々へリベリスタ達が一斉に攻撃を仕掛ける。 「私は、その蝶々だけでも命を失うほど無力でした」 ――この場の貴女へと声を投げかけた全員が一年でこの蝶々へと対抗する力を得た。 「これが自分たちの歩む力、未来を掴む力で御座います」 だから、貴女が還っても貴女が彼と共に笑いあう世界を気付くから、だから、待っていてください。 「貴女が包んだ愛を全て悲しみで染めて、それで本当にいいの?」 蝶々さん、ごめんねと小さく漏らす。その言葉と共に繰り出された剣戟は蝶々を散らす散らす。 ルークは迷わない。迷いが彼の希望の道を細くしていく。そして、閉ざしてしまうのだ。 「迷わない。これは、護るための戦いだから!」 雷音の切なげな声が揺れる。繰り出された氷の雨は蝶々を巻き込み雨とともに踊らせる。 「來來氷雨っ」 彼女が望んだのは甘く切ない恋物語。夢物語であれど、綺麗事であれど。 ――それが叶わぬ恋であれど。 「ボクは彼を守りに来た。ボクは、ボクたちは君の心も護りたいんだ!」 だから、還って、君が笑って彼へさよならを言えるうちに。 逃げて、どうかこの手で君の物語を終らせたくないから。 「会えなくたって、想いは変わらないだろう?」 ねえ、愛してるんでしょう? 兎の耳がゆらりと揺れる。彼が放った残像が蝶々の翅を花弁のように散らす。 片翅が恋に命をかける様に、彼にだって帰る場所と待ってくれてる人がいる。脳裏に浮かんだ顔に恋人ではない、と少し火照った頬を押えて。 その耳で揺れたピアスに触れた指先。確かな力を感じた気がした。 「ねえ、想い、言わないの?」 背後に居る、男へとそう問いかける。エルヴィンが彼の背を押す。 「言わなかったら、可哀想だよ。君が想った、その心が、さ」 元から奇跡に近い出会いを交わしたのだ、またもう一度手を取り合って愛し合えるかもしれない。 その可能性をここで潰してしまうなんて、ただの悲劇。 「お前が俺に言った言葉、今お前が彼女にいってやってくれ」 な、とエルヴィンが背を押す。 「なあ、片翅――」 ●恋心 蝶々の残骸がアスファルトに転がっている。 其れを眺めた綾兎はふとピアスに触れて小さく笑った。 「奇跡に近い出会い」 それに感謝しよう。多くの幸運がきっと、きっと、いつか。 「また会えたら、そう夢を見よう」 朱子は蝶々へと目を落とす。羽根を散らしたその残骸を見つめて、優しげに笑う。 なんて、綺麗なのだろう。それでいて切ない。その頬には小さく一筋の滴が伝っていた。 「迷いなんて、ないやろ」 な?と仁太の声を受けたリベリスタが顔を上げる。頷いた彼の目元は赤い。 その背に手を添えて、片翅と同じ色の目をしたエルヴィンは頷いた。 彼は全力で一人の男の意思を尊重した。それを手伝った。その結果であった。 「お疲れ様、お前の覚悟は分かったよ」 「もし、この結果に頷けないなら――」 自分を殺して、と言いかけた志乃の言葉をリベリスタは遮った。 彼女の大切な人は今はこの場に居ない。失われた、と彼女は小さく笑っていたからだ。 「確かに其処に貴方達は共に在った。それを思い出して、忘れないで」 ね、とルークは男の目をまっすぐにみる。男は小さく頷いた。 ――ああ、この恋について、心に刻みつけよう。 「オレも、忘れない」 アザーバイドとリベリスタ。そんな二人の恋物語になんて名前を付けて綴じようか。 雷音は小さく笑った。唇を動かす。五文字の何げない言葉は空に溶けた。 離れた所でチャイカは俯いている。 その目からにじみ出た涙を擦り取る。 『なあ、片翅、俺は君を愛しているよ。だけど、俺にはこの世界を守る使命がある』 男は叫ぶ。 『愛してるよ、片翅。だから、俺がこの世界を護りきったらもう一度会いに来てほしい』 君をずっと愛するから、だから。 約束をしよう、涙が伝ったその頬に口付けて。あふれ出た涙を拭き取れば、彼女は優しく笑った。 『愛してる、愛してるわ。待ってる、待ってるから』 ――あの子たちが言っていたの。本当に愛しいなら、貴方を想って還るべきだって。 触れあった唇は確かに其処に在った事を物語っていた。 「素敵な恋物語なのだな」 静かに呟いた雷音の声にチャイカは振り返り、笑った。 その身が例え離れていても、この心はずっと共にある。そう、願って。 愛しているよ―― |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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