●電柱だよ。電柱だってば。 「………………」 白ワンピースの幼女が電柱を抱えていた。 いや、本当に抱えていた。 ミニチュアだとか、張りぼてだとかじゃなくて、その辺に生えてるような電柱をまんま片腕で小脇に抱えていた。 開いた手にはペロキャンを持っており、なんだかつまらなそうな顔で舐めている。 「何見てんの、オジサン」 幼女はじろりとこちらを見ると、小脇に抱えた電柱を竹箒でも操るかのように軽々と回し、まんま叩きつけてきた。 それが、なんか知らないオジサンの最後であった。 ●電柱なら仕方ないなの精神で 『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)が電柱を抱えていた……と書くと、まるでイヴが怪力無双に目覚めたみたいな風に見えるが、実際はそうではない。 電柱を何十分の一かに縮めた模型であり、博物館や何かに飾られていたりするオブジェをそのまんま持ってきたようである。 そして、どこか冷ややかな目つきで振り返りつつ。 「電柱で殴られると、痛いわよ」 と、当たり前のことを言ってくれた。 主流七派が一つ六道。その構成員フィクサードがアーティファクトを手に入れたという情報が入ってきた。 その名も『魔剣・電柱』。 もう本当にそのまんま電柱なのだが、所有権者が持つとまるで竹箒でも操るかのように軽々振り回せるというアイテムだった。副作用もなんだか半端なさそうなので、お願いされても使いたくはないが……。 「効果測定のためか、街中で振り回しているみたいなの。周囲の人が嫌がって逃げたから被害は抑えられてるけど、また別の場所でやられたら大変よ。今の内に撃破してきて頂戴」 イヴはフィクサードの特徴と、助っ人に入っている雑魚フィクサード(白服軍団)のスペック等の資料を皆に手渡した。 「見た目がやたらシュールになるかもしれないけど、しっかり頼んだわね」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:八重紅友禅 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 9人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年05月15日(火)23:47 |
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■メイン参加者 9人■ | |||||
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●存在自体が出オチ=真面目にやっても振り逃げできる 何か知らないオッサンが街を歩いていた。 どこか遠くで電柱が立ったまま移動しているように見えたので、仕事もリストラされて暇だからちょっと見に行ってみようかなくらいの気持ちである。 その途中で、九七式自動砲(アンチマテリアルライフル)をナチュラルに担ぐ幼女が居て二度見した。 対戦車幼女こと『デストロイド・メイド』モニカ・アウステルハム・大御堂(BNE001150)は、晴れた日に傘でも持つようにライフルを肩に担いでいる。 「電柱って、身近な存在の割に知らないことが多かったりしますよね」 「ねー。それを片手で箒みたいに操るなんてチート過ぎるよ。一回は振り回してみたいけどさ」 お腹の辺りで指を絡めて歩く『食堂の看板娘』衛守 凪沙(BNE001545)。 アゼル ランカード(BNE001806)が欠伸とため息の中間くらいにあるテンションで口を開ける。 「幼女の大武器装備がロマンとか言う人がいるみたいですがー、室内じゃ振り回せないし街中で使ったら被害が甚大だしまああれです出オチいくないです」 「……ほう」 「……へえ」 モニカと『鏡操り人形』リンシード・フラックス(BNE002684)がハイライトの無い目で振り向いた。 高速で目を反らすアゼル。 「私も大武器使いのつもりでしたが……電柱程では、ないですね」 「でもシャルロッテには関係ないことだよー。やり方次第でもっと痛くできるんだよ?」 「そりゃあ俺らリベリスタだからな」 『初めてのダークナイト』シャルロッテ・ニーチェ・アルバート(BNE003405)と『(自称)愛と自由の探求者』佐倉 吹雪(BNE003319)が肩を並べつつ首を鳴らした。 がっつりチェーンソーを担ぎ上げる『神斬りゼノサイド』神楽坂・斬乃(BNE000072)。 「とにかく、あの魔剣をぶち追ってやらないとね」 「折れるか?」 「知んない」 歩きながら携帯をいじる『ホワイトロリータ(物理)』恋宮寺 ゐろは(BNE003809)。 「…………」 末期的な行列が移動電柱へとてこてこ進んで行く。 オッサンは黙って回れ右をした。すごく関わりたくなかった。 くるりと振り返る『やったれ!!』蛇穴 タヱ(BNE003574)。 「おお……こうやって悲劇が回避されてくのか。知らなかった……。まあさておき、バス停女子高生を上回る電柱幼女だァ世界は広いぜ」 ハンディカムの録画ボタンをぽちっとな。 「売れるかなァ」 ●電柱を全長10~15m重量500kg前後のポールウェポンと考えると武器として認識できる気がするわけないだろ。 粉々に砕けたブロック塀。 へし折れた並木。 強引にどかしたのかワゴン車が横転したまま端に寄せられていた。 その中心で、幼い少女が凹んだ軽自動車の上に腰掛けている。 得物を背中に回し、肩に引っ掻けるようにして掴む。 釘バットを強引に巨大化させたような、ピックの多い電柱である。 それが真っ直ぐ立てられており、幼女は小さなペロキャンを静かに舐めている。 食べ終わったのか、棒を咥えたままもう一本をポケットから取り出す。 その瞬間爆発音に近い銃声が響き、棒から上のキャンディー部分がはじけ飛んだ。 つまらなそうな、そして嫌そうな目で銃声のした方を見やる。 「その電柱――」 ライフルを構えたモニカがリロードしながら言った。 「大御堂重工の広告載せて下さいよ」 「ファック」 棒を吹き捨て、幼女はすっくと立ち上がる。 「私の心は『ホワイトマン』様のものよ。この電柱もそうやって頂いたもの。汚させたりはしないわ」 晴れの日の傘のように、竹箒のように電柱を振り上げると首を軸に回転。ピックを手と肘で固定するとモニカ……を含む八人のリベリスタへと向けた。 「ムカつく、ツブす、ブッとばす」 「出来るモンならやってみな」 踵を打ち鳴らし、吹雪とリンシードが飛び出していく。 幼女は軽自動車を更にへこませて跳躍。首から腰へと器用に得物を取り回す。動作だけなら中国にある棍術に近かったが、何と言っても10mと500kgの物体である。 「うおおっ!?」 吹雪はうつ伏せに倒れるように回避。本人と帽子の間を電柱が通り過ぎ、落ちてきた帽子をしっかり被る。 一方のリンシードは高く跳躍。剣の方向を微妙に変えながらスピン。電柱の上を飛び越えると一足飛びに幼女へ急接近した。 その段階になってようやく休憩中だった他の白服達が駆け寄ってくる。 「当たらなければどうということも、です。名言ですね」 「速い」 電柱の下を自ら潜るようにして間に挟み、リンシードの一撃目を受け止めた。 身の丈と同じくらいの剣である。それだけでも相当な衝撃があった筈だ。しかし幼女は眉を微妙に動かすだけだった。 モニカの射撃や凪沙の斬風脚がコンクリートの表面を跳ねる。 所々に張り付けられた『ホワイトマン様命』とペイントされた鉄板が激しい金音を上げる。 幼女はその態勢のままトンファーでも振り込むようにスイング。リンシードは剣と一緒にぺたりと屈みこんで回避。一足遅れて凪沙と息吹が突撃してくる。 「零距離貰った、ペロキャン舐めさせろー!」 「落ちたのでいいの?」 「いいわけあるか!」 両側から挟み込むように立ち止まると、凪沙が手刀を幼女の顔面に、吹雪がナイフを足首に振り込む。 幼女は両膝を後ろ側にぱたんと畳むようにジャンプすると、首の後ろで電柱を持ちかえて固定。身体を前向きに倒す。凪沙の手刀が外れるかと思った途端、凪沙と吹雪が電柱によって張り倒された。 捲れ上がるスカート。ここぞとばかりに地面にハンディカムを設置するタヱ。 凪沙たちはゲートボールの気分を味わいつつすっ飛んでいく。 地面をごろごろと転がると、携帯いじりながら爆笑しているゐろはと目が合った。 「あはっ、マジうける」 じゃがりこ咥えつつ幼女をカメラ撮影。転がってきた息吹にはとりあえず親指を立てて見せた。 「みんながんばってねー。サードクしとくから」 「サードク……ディフェンサードクリトンか」 「ちょっ見てあれマジやばい! 遠くから見ると電柱勝手に動いてるみたく見えない? 超ゲッダンなんですけど、あっは、マジうける! アンタほらアゼル? 見てこれほら、シャメ激ブレ!」 「なにごとも程度ってものが大事だと思うのですよー」 全力で目を反らしておくアゼル。一応幼女に向けて言ってるのだが、『程度を弁えない』が神秘にかかわる連中の標語みたいなものなので、ひどく今更な話だった。 と言うか、出来ればこういうコミュ力強い人とは関わりたくないアゼルである。会話詰まるから。 一方、反対側から回り込んだタヱがクラウチングスタートで走り出す。 「よっしゃー、メルティーキスで鮮やかに間合いを奪い対象一体にシノ刻印を刻むゼェー! アレ? これ実際どうやってんだ!?」 中国の中華ファンタジーでよくあるシーンなのだが、一般にはあまりなじみの無いアクションなんだろうか。あのワイヤーアクションから駆け寄りつつ印を結んで相手に叩き込むみたいな動き。 タヱが鋼糸をしゅるしゅると閃かせながら幼女に駆け寄るタヱ。 だがそれよりも早くリンシードが急接近。 「そんな大振りじゃあ、私にはそうそう当たりませんよ……」 頭上を通過する電柱。リンシードはほぼ手首の力だけで剣を振り込むと、幼女の膝にアルシャンパーニュを叩き込んだ。 「そうですね、もっと素早く鮮やかに振り回すべきです。さあ、そこの白服さんで試すのです……」 「白服で? いいけど」 幼女は電柱を両手で持つと(これまでまさかの片手持ちだった)これまでとは比べ物にならない速度で高速回転した。慌てて地面にキスするタヱ。 戦鬼烈風陣と表記してしまえばそれまでだろうが、電柱が高速で回転すると言うのはハッキリ言ってただの災害である。 大気が強引にかき混ぜられ変気流が起こり、小さな竜巻が生まれた。 白服とリンシード(どの道一緒に攻撃された)が紙切れのように吹き飛んでいく。 「し、白い人ー! そしてリンシードー!」 今ので確実に白服連中は死んだな、と思いつつ地に伏せる。頭を上げたら死ぬ。 そんな中、モニカの援護射撃を受けながら斬乃が飛び込んで行く。 高速回転をやめ、きゅっと両足でブレーキをかける幼女。余計に270度回転しアスファルトを黒く焦げさせる。 「いやはや豪快なものだねー、あたしも負けてられないな!」 チェンソーを唸らせてジャンプ。 幼女は電柱を両腕で持ち上げると頭上に掲げた。チェンソーの刃がコンクリートに噛んで叫ぶ。 「やいロリキャラ、あたしとどっちがパワー上か勝負しようよ!」 「ファック」 電柱をぐるんと回して斬乃をゆすると、ジャイアントスイングでもするように旋回。斬乃を弾き飛ばす。 「アンタらは敵をナメるから嫌いよ」 「そうだったかなあ」 着地の代わりにチェーンソーを地面に叩きつけ、吹き飛ぶ衝撃を無理やり殺す斬乃。勢い余って軽く前転してから再突撃。 「こんな巨大武器、仮に振れたとしても経験がなければマトモに扱えるわけないじゃない。元から石柱使いでもない限り」 電柱を大砲でも担ぐように固定。ピックを掴んで勢いよく前方に投げ、破城鎚のように電柱を突き出した。射程10m以上のバンカーアタックである。 「いいぃ!?」 斬乃はガードしたが、彼女の身体はビリヤード球のように吹き飛ぶ。 幼女はピックの途中を掴んでキャッチ。正に一人破城鎚であった。 そんな彼女の側頭部に瘴気の塊が打ち込まれる。 こめかみに流れる血の筋。 目だけで発射方向を見やると、シャルロッテが18m程距離を離して涼しい顔をしていた。 「あはは、凄い力だけど悪いことをしたら怒られるんだよ?」 この距離では破城鎚でも届かない。一歩踏み込めばシャルロッテも一歩後退した。 「卑怯かな? でも私はその分血を流してるんだから、問題ないと思うよー」 「ハア?」 片眉を上げる幼女。 電柱を縦向きに地面へ立てると、今にも肩を竦めそうな表情で言った。 「そんな『対岸から石を投げる程度のこと』を、卑怯だなんて言うヤツが居るの? ソイツは人間が小さい。度量が狭い。そんな屑みたいなヤツの為に態々言い訳を考えて生きることは無いわ。あんた自身が小さく見えちゃうでしょう」 「んー……?」 てっきり『届かない所から攻撃しないでよ馬鹿』くらい言われると思っていたシャルロッテは首を傾げた。 トントンと踵を鳴らす幼女。 「だから、今からやることに文句つけたりしないでよね。本当の卑怯(チート)って言うのはこういうのを言うんだから」 両腕と片足で電柱に力を込める。電柱は高速でシャルロッテの方向へ倒れ込むが、幼女はその電柱を面接着とハイバランサーで駆け上った。先端まで到達してからピックを握り、今度は大上段に振り上げた。 表情にこそ出ないが慌てて後退するシャルロッテ。後退というより背中を向けて全力で走る形だったが、まるで彼女の走る方向を示すかのように黒い影が覆った。 「あ……」 振り向いて見上げる。 10m以上の石柱を大上段から振り下ろされたのだ。 咄嗟に横っ飛びに避けるが、シャルロッテの脚でそこまでの回避はできない。両足を巻き込んで数メートルのアスファルトが砕け散った。 ついでにハンディカムが砕け散った。 「シャルロッ……アタシのデジカメェェエエエエエエ!!」 絶叫するタヱ。 幼女はすとんとアスファルトに両足をつけると、世にも歪んだ表情で唾を吐き捨てた。 「リミッター解除だクソ野郎。ミンチにしてドブに撒いてやるから、残りの半生はネズミのエサとして暮らせファッキンリベリスタども!」 ●盛大な振り逃げ。そしてまさかの。 単純威力は速度と重量で決まる。電柱ほどの大重量をまるで竹箒のように高速でスイングした場合、生まれる威力は並大抵のものではない。更に言えば、箒レベルの速度で触れる以上ゼロ距離に踏み込んでも威力減少が少ない。こんなシナリオで言うことではないが、圧倒的な破壊力である。 「魔剣電柱、所有権がある間は竹箒のように扱える。代償は衣服を除く箸(25グラム)より重い物が取り扱えないこと。リスクもリターンも悪すぎて誰もが嫌がり使わなかったけれど、食事の時に『ホワイトマン』様があーんしてくれる約束で立候補したわ。人生を投げ打ってもいいくらいのリターン。そしてここでファッキンリベリスタどもをミンチにして帰ればきっとナデナデして貰える。出オチ要員だと舐めきったのが運のツキ。後で泣き喚いて『こんなのズルい!』と文句を垂れろ。私は笑顔で唾を吐いてやる! イッツショータイム、アーハー!」 幼女は左右非対称の壮絶な笑顔を浮かべて跳躍。電柱をオール漕ぎのように回転させ、高速で突っ込んできた。 周囲の木々は薙ぎ倒され、コンクリート塀や空家の壁がごっそりと崩れ落ち、それなりに平坦だったアスファルトは絨毯爆撃でも受けたかのように滅茶苦茶だった。 正に『電柱が勝手に動いているみたい』だったが、言った本人であるゐろはは絶句するしかない。 「ハッ? 何、何こっち来てんの意味わかんないんだけどキモイキモイ洗濯物の山から出した親父のシャツみたいにキモくて臭いマジ萎える生理的に無理あっち行けあっち行ってマジで、マジで、ちょ、や――!」 流石に携帯でシャメってる余裕はない。思い切り背を向けて逃げ出すが、幼女は悪魔のように笑いながら追いついてきた。 宙でムーンサルト回転して電柱をゴルフクラブのように振り込んだ。 ゐろはは死を覚悟してブレーキ・アンド・タ-ン。 「もー早く帰りたい帰りたい帰りたい――ッシャオラァァァァァァァアアア!」 玉砕覚悟で蹴りを繰り出す。 電柱にしっかり炸裂。衝撃がぶつかり合い、一瞬がどこまでも引き伸ばされて感じた。 歯をぎりぎりと噛みしめ、浮かんでくる脂汗が化粧を落とすのを無視した。 「だぁぁぁぁダメだったァー!」 それこそゴルフボールのように吹き飛んでいくゐろは。『広告募集中』の大看板に激突して落下した。もう嫌と言って手を上げる。 「ああもう、この世界にまともなロリキャラっていないのかな!」 「もう俺はロリが何だか分からなくなってきた!」 地面にチェンソーを押し当て急加速する斬乃。同時に吹雪が帽子を押さえつつ駆け出す。 二人の攻撃を受けながら、幼女は強引に電柱をスイング。弾き飛ばす。 反対側からはシャルロッテがペインキラーを乱射した。 脚を潰されてはいたがそこはリベリスタ。動けはする。 「御免なさいって言うまでやめないよ? この怪我も血もあなたを止めるために使ったんだからね? 謝らない限りお仕置きをやめないよ?」 全身が血塗れになったシャルロッテは、いつも通りの涼しい顔だったが、目の焦点がどこかブレていてやけに非人間的だった。 一応その後ろにいたアゼルが一歩二歩と後ずさりする。 「……」 言葉が無いとはこのことだ。10m以上あるくせに一撃の振りがコンパクトで、かといって離れていても非常識なスピードで突っ込んでくる。 そして今も、幼女は片目だけを限界まで見開いて突っ込んで来ていた。 「ァ――」 シャルロッテは全力でペインキラーを叩き込む。幼女の肩と頬を抉って血肉をまき散らし、反面幼女は電柱をスタンプのようにシャルロッテに叩き込んだ。 ブロック塀と民家の壁を突き破る。 無人のリビングに転がり込み、シャルロッテは目を開けたまま転がった。 「なんですかそれ、冗談でしょう。誰がこんなもの作ったんですか。そんな――」 「ハハッ!」 身体を捻り、首を限界まで捻ってアゼルに振り返る。民家に突っ込んでいた電柱は壁をメリメリとぶち壊しながらぶっこ抜かれ、強引に横スイングされた。 急いで逃げ出そうとするが無理だと判断した。避けられるか? ジャンプやしゃがみ回避ができるか? 自分が? 「や、やるしか――」 全力でしゃがむ。 途端、振り込まれてくる電柱の高さが数十センチ下がった。 「あ」 鮮血が高く高く吹き上がった。 ライフルを連射するモニカ。 「遠心力の原理ってご存知ですか?」 「あなたが言うの?」 ライフル射撃を棒高跳びのように飛んで回避。そこへ凪沙とタヱが上下からサンドするように飛び込んだ。電柱にかっとばされるかと思ったがギリギリ身体をねじ込む。 土砕掌とメルティーキスが幼女に直接叩き込むと、電柱を振り回した幼女に跳ね飛ばされた。 幼女着地。直後に電柱の上に着地したリンシードが高速で手元まで走り込みソニックエッジを叩き込む。 「ふふふ、遅いですよ」 「ファック!」 手首を盛大に切り裂かれ、電柱から片手が離れる。 力を振り絞ってリンシードの足首を掴み、電柱をバットのようにスイングして吹き飛ばす。 あまりのフルスイングだったのかブレーキが効かない。そこへモニカが真正面から突っ込んだ。 「チィィッ!!」 電柱を振り込む。ライフルを撃ちこむ。銃口の部分で激突し、お互いの手から武器が離れた。 踵で地を蹴って互いに全身。 モニカと幼女の額が激突。 幼女は仰向けにのけ反り、受身もせずにぶっ倒れた。 赤い水溜りが広がる。 それが、戦いの終わりであった。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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