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エリューションスポーツ サバイバルトマト合戦

●トマトを投げて相手を殺す簡単なスポーツです
「アルファチームよりブラボーへ、敵のエリアへ侵入を開始した……どうぞ」
「ブラボーよりアルファへ、こちらも侵入する……どうぞ」
 とか言いながら、二人のリベリスタが5m間隔で歩いていた。
 手にはトランシーバー。体には迷彩服である。
 彼等はトマト投げ合戦と言う珍妙なスポーツ(祭りとも言う)を戦いの粋まで高めたプロアデプトの集団であり、JTK(ジャパニーズ・トマト・ケチャラーズ)の数少ないメンバーである。もっというとリベリスタである。
 そんな彼らが、日課のトマトサバゲーに興じていると……トランシーバーから相手チームの声が聞こえてきた。
『おい、ゲームを中断しろ! 正体不明の輩が入り込んだ!』
「何だって!? 詳細を……」
『恐ろしく強っ、う、うわあああああっ!!』
「何があった! 応答せよ、応答せよ! ……クソッ!」
 ノイズしか流れなくなったトランシーバーを切ると、迷彩服の男は舌打ちした。
「何が起こってるんだ。この森に……」
「おいアルファ、アレを見――ぐわ!」
 背後のブラボーが上空を指差す。だがその時には、大量のトマトがまき散らされていた。
「ハニーコムトマト!? これは俺達が編み出した(勝手に名づけた)技の筈……一体だれが!?」
「俺だァ!」
 木々の枝を叩き割り、巨漢が地面に落下してきた。
 浅黒い肌に悪魔の羽。彼らは大量のトマトを両手に抱えると、男へと叩きつけた。
「デッド・オア・トマトゥ!」
「ば、ばかなああああああ!!」
 こうして、JTKのメンバーは全滅する……予知がなされた。

●銃がなければトマトを投げればいいじゃないの世界
「皆、トマト……投げようゼッ!」
 『駆ける黒猫』将門伸暁(nBNE000006)が歯を光らせて言った。
 片手には真っ赤なトマト。
 毎日NOBUNOBUしてた所為で頭がおかしくなったのかと思ったが、別にそんなことは無かった。最初からだった。
「最近悪のトマト投げチームが活動を始めたらしくてね」
「ちょっと待とうか」
 何ナチュラルに話進めようとしてるんだよ。らしくてね、じゃねえよ。
「え、何。トマト投げチーム? 悪の?」
「そう。トマト投げとは……かつて某国が戦争を辞めた際、国境線付近で溜ったストレスをガス抜きするために考案されたスポーツにして祭りのことだとか、そうじゃないとか」
「どっちだよ」
 とにかく、そんなスポーツがあるらしい。世界は広い。
「無論、平和的な理由で産まれただけにこのスポーツは安全だ。人は死なない。だが……このフィクサード組織DTK(ダーク・トマト・ケチャラーズ)はトマト投げを殺人の粋にまで昇華し、平和にスポーツする者たちを次々襲っていると言う。こんなことが……許せるか!?」
「いいや許せないね!」
「だろう!?」
 とりあえず乗っておいてあげる優しいリベリスタの皆だった。
「皆にはこの大量のトマトを渡しておく。これを使って彼らを懲らしめてやってくれ……あくまで、トマト投げでな!」


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:八重紅友禅  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 9人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2012年05月14日(月)23:11
八重紅友禅でございます
世の中、珍妙なスポーツもあったもんですなあ。
このシナリオの成功条件は、無論サバイバルトマト投げに勝利することです。
なので別に相手を殺さなくて全然いいのです。負けたら投降コースですが。

●サバイバルトマト投げのルール
広くネットで仕切られた雑木林の両端を両チームの陣地とし、そこに設置されたフラッグを手でもぎ取った方の勝利です。
9対9で行われ、初期配置は自由。
トマトでの攻撃なら大体何でもOKです。
どのくらいまでよさそうなのかは、オープニングの雰囲気から察して下さい。

と言うか、もうお気づきかと思いますが
・真面目に考えたら負け
・常識を捨てる
・不条理を楽しむ
の三本柱でお楽しみください
参加NPC
 


■メイン参加者 9人■
ナイトクリーク
五十嵐 真独楽(BNE000967)
ナイトクリーク
双海 唯々(BNE002186)
デュランダル
真雁 光(BNE002532)
クリミナルスタア
安西 篠(BNE002807)
ダークナイト
一条・玄弥(BNE003422)
ダークナイト
小松 知世(BNE003443)
ダークナイト
柿木園 二二(BNE003444)
デュランダル
サヴェイジ・D・ブラッド(BNE003789)
レイザータクト
アルフォンソ・フェルナンテ(BNE003792)
   

●名乗る時に『俺が、俺達が』を枕詞につけるととりあえず恰好がつく法則
「いえあっ☆」
 頭の体操をしよう。
 褐色でピンク髪の幼女がビキニトップスとジーンズホットパンツで横から風に髪をなびかせ目の横でスリーピースしている様を、想像してほしい。
 『ビタースイート ビースト』五十嵐 真独楽(BNE000967)のイメージは大体ソレで間違いない。
 真独楽は胸から下げたロケットペンダントにキスをして、妙に艶っぽい表情を浮かべた。
「パパ、絶対生きて帰るからね」
「何なのそのフラグ……」
 私は常識人ですよって顔をして『人妻スナイパー』安西 篠(BNE002807)が腰に手を当てていた。
 手にはメンバー表。
 なんでも2チームに分かれてなんかテキトーにトマトーする作戦なんだそーだ。『もしかしてギャグで言ってるのか?』と思ったが別にそんなことはなかったぜ的な。
 要するにいい加減だった。
 メンバー表にはそれぞれの名前と年齢、そして性別が書かれている。
「ま、とりあえず私達は攻めに回っておこうかしら。守っててもいいんだけどそれじゃあチーム分けてる意味が無いし……ん?」
 メモに目を落とす。
 『真独楽(12・オス)』
「…………………………」
 長い沈黙。
 そして篠は、静かにメモをクリアファイル(強いられクリアファイル、580円)にしまった。

 もっかい頭の体操をしよう。
 木漏れ日を浴びて剣を掲げ、薬草だの松明だの皮の手袋だのを装備した勇者的女子高生を、想像できたら多分凄い。
 それが『勇者を目指す少女』真雁 光(BNE002532)である。
「全力で戦うのです、どんな時でも全力で戦うのが勇者と言うものです。勿論勇者として負けは許されないのですが、負けそうになってからの逆転劇は王道ですよ王道、分かりますか!」
 どっから出て来たのかホワイトボードに『優勢→劣性→逆転→』というトライサイクルを書いてべしべし叩いていた。ちなみにパチンコ破産の理論もコレと同じ理屈らしい。
 そんなボードの裏では『悪食公』サヴェイジ・D・ブラッド(BNE003789)が真っ赤なトマトジュースの入ったワイングラスを片手でくるくる回していた。黒猫とか傍らに欲しい感じだった。
「フ……トマトの赤は血の赤に通じる。ならばこれも闘争なのだろうな。よかろう、悪食公の初陣として不足無し。悪魔を名乗る不届き物を赤き海に沈めてやろうぞ……フ、フフフ……」
 今にも三段笑いを仕出しそうな感じで目元を鷲掴みで覆うサヴェイジ。
 光とサヴェイジはホワイトボードを挟み、全く別方向に高笑いを上げたのだった。

 遠くからなんかヘンな笑い声が聞こえてくる。
 『獣の唄』双海 唯々(BNE002186)はソレを無視して天空に指を突き上げた。
 木の頂上にて爪先立ちである。
「トマト、投げようぜっ!」
 彼女はカメラ目線でポージングすると、そのままこちらに耳を向けてくる。
「何、イーちゃんのことを知らないって? ははーんイーちゃんを知らんとはモグリですね? 知らぬならば教えてやろう――イーちゃんが、イーちゃんたちがJTK(ジャスティス(笑)トマトケチャラーズ)だ! 正義とかつけてればどうにかなるって、聞いたんだ!」

 一方Bチームの皆さん。
 アルフォンソ・フェルナンテ(BNE003792)はメモ片手に遠くを見つめていた。
「なんだか、奇妙な高笑いとか名乗り声とか聞こえてくるんですけど……あれ味方なんですよね? 信用していいんですよね?」
 全く新世代スポーツは選手も斬新ですねとか思ったが、もしかしたらコンプレックスかもしれないので黙っておくアルフォンソである。
 ある意味一番の常識人が彼であり、多分唯一の常識人が彼だった。アークってやつはこれだからよう。
 現に今……。
「食べ物を粗末にするなんざぁ勿体ない。しやからあっしは食らうでやすよぉ、くけけっ……!」
 『√3』一条・玄弥(BNE003422)っていう初老のオッサンが競技用トマトをムシャムシャ食っていた。
 三白眼のヤクザみたいな人だったので、アル君は無言スルー。
 注意したら負けだと思った。
 一方では柿木園 二二(BNE003444)に文字通りべったいくっついた小松 知世(BNE003443)が一人でくねくねしていた。
「二二様は私がお守りいたしますわ! 私の家の決まりでございますので、凶弾もとい凶トマトが飛来しようと、二二様を押し倒してでもお守りして……ああっ、押し倒すだなんて、だめですわ、わたくしったら、ああっ……」
 両手で赤い頬を覆ってくねくねする奇怪な生物こと知世ちゃんを二二自身は……。
「俺ケチャップは好きだけどトマトは食べない系男子なんだよね。食ったら死ぬ気がする」
「そうですかい? 素食いでも結構オツなもんですぜぇ?」
「ハハッ、ムリ!」
 ヤクザ屋さんと和やかに談笑していた。
 アル君はこの人達を纏めなきゃいけない責任を思い出して顔を覆った。

●強いられクリアファイルの作り方。透明なクリアファイルを用意します。ボールペンでアレします。以上!
 まあなんだかんだ言ってサバゲーなので、事前にちゃんと顔合わせして陣地の相談をしつつ『ダイレクトアタックはありなの?』みたいな打合せを含めて競技時間と休憩時間、臨場感を味わうためにとりあえず干し肉だけは携帯可にしたりという実に真面目で紳士的な話し合いがフィクサードとの間になされていた。
 その間光やサヴェイジ、知世や二二たちが全く聞いていなかったのは言うまでもない。神秘戦士ってやつはいつもこんなのばっかである。
 ともかく。
「こちらスイートチーター、異常なしっ。どーぞぉ」
「この距離で無線会話する必要ないんじゃないかしら、どーぞ」
 AFで会話しつつ、真独楽たちAチームは茂みの中を進んでいた。
 ぴょこっと背高い草から顔を出す真独楽。
 迷彩服を着たフィクサードが周囲を油断なく見回しながら突撃銃を構えていた。
 こちらには気づいていない。ちらりと顔を見合わせる真独楽と光。そして目をギラギラ光らせながら草地から飛び出した。
「うおお敵襲ー!?」
「ソニックトマトォー! トメティーキッス! トマットジャーック!」
「メガトマーッシュ! トマトミサーイル!」
「返りトマトまみれの真独楽ちょーセクシー!」
「ちょー勇者ー!」
 真独楽のよどみなき連続トマト投げの間光がトマトを顔面にスパーキングしてついでに急接近した真独楽のトマトスパーキング、からの零距離両サイドからの頭部へシュート。
 ここぞとばかりに飛び出してきた篠がトマトを片手に握って相手の顔面に叩きつけた。
「爆裂トマトフィンガァァァァァァアア!」
「エンッ!?」
 もんどりうって転倒するフィクサード。
 篠は自分がなんか安直なことを叫んじゃったことに気づいて、クリアファイルを翳した。
「ククク、どうやら引っかかったみたいですぜ兄貴」
「ククク、そのようですな父よ」
「ククク、ダーリンやってしまいなさい」
 関係性の全く分からない三人組が頭に草付けつつ出現。一転してピンチに陥る真独楽たち! テンションを上げる光!
 そこへ。
「フッ――ハハハハハッ!」
 天高き笑い声と共に降下してくる黒衣の男。その名もサヴェイジ。
 彼はおもむろにトマトをかじると、口元を真っ赤にして笑った。
「小手先の技におぼれて道を踏み外す外道には分からぬか、トマト投げとは戦争の代理。トマトの赤は血の赤。我が血とトマトが混ざり合った今、己はトマトそのものとなったのだ。悪食公にして悪食公にあらず、一個の殺人トマトなり! 己がトマトでありトマトが己であるが故、己のなすこと全てがトマトとなる! この拳も牙も、トマトである!」
「おいこの人何か無茶苦茶な理論組み始めたぞ痛い痛い痛い!」
「認めないぞコレ絶対認めないぞコレ痛たたたたた!」
「噛むな噛むな! あたたたたた!」
 善意で成り立っているサバゲーを根底からちゃぶ台返しにかかるサヴェイジ。
 篠たちは暫くその様子を見ていたが、なんかどうでもよくなってククク三人衆をぶん殴り始めたのだった。
「はーっはっは、勝てばよかろうなのだー!」
 これがリベリスタだってんだから、世の中危ういわけである。

●超エキサイティングのアレが実際にやると弾が詰まったり誰の弾がどこへ行くのか分からなかったりしてエキサイティングできない事実
「横から来るぞぉー!」
 とか言いながら頭上からトマトを投げまくる唯々。
 声が上から聞えてくるので狙い撃ちになるってことは特に考えない彼女である。
 唯々は足場もないくらいにトマトをぶつけられて木から降下。
 ロープもなしに着地すると、トマトをさりげなく地面に転がした。
「ハイアンドトマト!」
 対象一体にオーラで作られた死のトマトを植え付け炸裂させます。相手はしぬ。
 馬鹿なぁぁぁぁぁとか言って消炭になるフィクサード。
 唯々はポーズをキメたまま暫く固まっていたが、相手が倒れたのを確認したらもう一度木によじよじし始めた。
 ここは後方拠点防衛線。
 さりげに抜かれるとヤバいラインである。

 と、唯々が一人で奇襲を仕掛け続け、なんかのタイミングで囲まれて悲鳴を上げてたりするその一方。
 二二、知世、アルフォンソの三人が防衛線に突っ立っていた。
 いや、この表現は正確ではない。
「トマトって種の部分のぶよぶよが嫌だよな。どーぞー」
『あそこが栄養あるんですがねえ、どーぞ』
 二二が無線遊びにハマって動かない→知世が二二のそばを頑として離れない→単独行動したら死ぬのが分かっているので集団に合わせざるを得ないアルフォンソ君。
 という流れである。
「これで本当に大丈夫なんでしょうね……」
「人の心配をしている場合ですの!? 自分の身は自分で守ってくださいな!」
 びしりと顔に指を突きつけてくる知世。
「二二さん完全に遊びモードなんですけど」
「あら、二二様はわたくしが命がけでお守りしますか――ハッ!」
 知世の額(具体的にはツノのとこ)にチュイーンと何かが走った。
 明後日の方向から飛んでくるトマト。
「危ない二二様ッ!」
「でも俺トマトジュース飲めない系男子だしはうあっ!?」
 物凄い勢いで二二の腰にタックルをかけて押し倒す知世。全然関係ないところを通過したトマトがアル君の顔面にべっちょり直撃した。
 それを無視してはっとする知世。
 上から押しつける形になったのに気づき、跳ねるように起き上がっった。そして――。

 どうしたんだい、知世。
 だ、駄目ですわ二二様こんなところで、お仕事の最中……。
 いいんだ知世、いやさハニー。俺の仕事は君を幸せにすることさ。
 そんな二二様、容姿端麗頭脳明晰誰にでもお優しい貴方がモテない筈がございません。わたしなんか、私のような侍女のはしくれなんかにそんなこと……。
 いいや、君は可愛いよ。
 ご冗談はやめて下さい、かざりっけの無いスーツに平凡な発想、それにこの凡庸な体つき……男性はほら、お胸の大きな女性が良いのでしょう?
 馬鹿な、胸の大きさで好みが決まるんじゃない。誰の胸かで好みが決まるんだ。そうだろう!?
 ふ、ふんっ、どうせどの女性にもそんなことを仰るんでしょう。二二さまはいつもそう、でも、そうだとしても……わたくし、嬉しゅう……ございます……。

「ああんダメですわそれ以上は、それ以上はお仕事中にィ……!」
 両頬に手を当ててくねくねしている奇怪な物体がトマトの十字砲火を受けていた。
 それをやや離れた場所から見つめるアルフォンソと二二。
「あの、あれ……」
「こちら二二、十二時の方向に敵発見、どうぞー」
「今それやってる場合ですか!?」
「あ、大丈夫大丈夫。さっきフィクサード一人捕まえてトマトで目潰しと口潰ししておいたから」
「口、潰し……?」
「口と鼻をトマトで」
「酷い!?」
 どのくらい酷いかは、実際やって確かめてみよう。
 ヤバいから。
 鼻が特にヤバいから。
 トマトが以外と刺激物だってことを知るから。
「ふ、さぞかし苦しかろう……俺の奪命トマト」
「奪命トマト!?」
 背後でひくひく痙攣しているフィクサードを振り返ってげんなりするアルフォンソ。
 と同時に、メモに書いてまで用意してきた戦争っぽいセリフが一度も活用できていないことに気づいた。
「み、右弾幕薄いよ、何やってんの!」
「いきなりどうした? ガン何的なセリフ吐いて。どうぞー」
「……使わないともったいないと思って。どうぞ」

 それから暫し。
『メーデーメーデー、敵さん旗取りにいっちゃう。たっけてぇ! どーぞー!』
『敵はどこから出てくるか分からない、周囲を警戒しろ! どうぞ!』
「あー? 一度に入れてくるから何言ってんだかわかんねや……どうぞっと」
 玄弥はトマトむしゃむしゃ食いながら通信を切った。所謂プッシュホン通話なのだが、実際やってみると分かりにくいモンである。ケータイにこの機能がついてても、多分使う人ってあまりいないんじゃないだろうか。
「にしても、マズイトマトばっかやなぁ……お?」
 ちらりと右を見やる。その方向から何かが光り、超高速でトマトが突っ込んできた。
 顔面に命中……と見せかけて『玄弥を映していた大鏡』が砕け散る。
 トラップが発動。かごいっぱいのトマトがぶちまかれ、落とし穴が口をあけ、頭上からトマトがぼたぼた振ってきて、フィクサードの一人がトマト塗れになって沈んだ。
 がぶりとトマトをかじる玄弥。
「子供だましや、子供心は大切になあ、おい」
 そしておもむろに懐からトマトを出すと、全力で投げつけてくる。
「クッ、その程度の威力で投げられたトマトなどガホッ!?」
 トマトの皮を被った石だった。
 ついでにぶちまけられるタバスコ。
「め、目があああああああ!!」
 二重の意味で目を潰されたフィクサードがのたうち回る。
 玄弥はゆっくりと近づいて。
「ほっ」
 尻からトマトを突っ込んだ。
 高らかに悲鳴が上がった。

●正義とつけておけば大体許されるこんな世の中じゃ。ポイズン。
 さて、本陣の防衛が滞りなく(?)進んでいる中、進軍中のAチームはどうしているのかと言うと。
「お願い……これを、パパに……」
 真っ赤に染まった手は震えている。
 真独楽は掌に乗ったペンダントを掲げて見せた。
 口の端からは赤いものが垂れている。
 光はしな垂れる彼女(じゃない)を抱え、必死に揺さぶった。
 真独楽の手をペンダントごと掴む。
「駄目なのです、真独楽さん! それはあなたの手で……!」
「おねがい……ね」
 がくりと真独楽の頭が落ちる。
 一瞬の静寂。光は天空に向けて吼えた。
「真独楽さああああああああああああん!!」
 蛍の光のミュージック(オーケストラVer)がどこからともなく流れてくる。
 森の一画から柱のように昇る光。
 それをトマト片手に見ていた篠がクリアファイル越しに呟く。
「光さんが……光ってる……あ、駄目っ! 字面じゃつまんないギャグ言ってるみたいに見える! どうしよう!」
 ミュージックに混じって『トマトは性欲のメタファー』とか誰かが言った気がしたが光と真独楽がその方向にトマトを投擲して黙らせた。真独楽元気ジャン。
「これでもくらうです、トマトライトニング!」
 周囲にトマトをまき散らしながら爆走する光。
「あっ、ちょっと待って! この展開って必要だったの!? ねえ、章区切りから必要だったの!?」
 手を振りながら追いかける篠。
 フラッグはもうすぐだ。

 一方その頃。
「ハッ、貴様等の考えていることなど手に取るように分かるわ。己の猿真似をしようとしてもそうはいかんぞ?」
「真似は貴様の方ではないのか? 食物を取り込んで己と一体化するなど聖書の盗作と言われても文句は言えまい?」
「私が聖書を? フ……愚かな。貴様等は戦の前に腹を満たしているのだろうが、その無駄に肉のついた身体が証拠よ!」
「これが肉のついた身体に見えるのならば貴様の目は節穴だと言わざるを得んな! サバゲー費用がいかに嵩むものか知らないとは言わせんぞ。そしてこんなことを続けている我等の年収がいかなるものであるかもな!」
「笑止! 己など言うに及ばず! 朝食を鳩に食われて以来何も口にしておらぬわ!」
「ならばそのトマトを食えばよかろう!」
「既に食っている!」
「塩は必要か外道め!」
「見くびるな、マヨネーズ派だ!」
「ヘタまで食べるなよ!?」
 サヴェイジとフィクサードがどっちがどっちだか分からなくなるような会話をひたすら続けていた。
 その間を駆け抜けていく光。そして篠。
「ウィリアム・トマ!」
「トマト烈風陣!」
 サヴェイジもろとも頭をトマト塗れにして通過。
 その先にあるフラッグをロックオン。
 間に割り込むフィクサード。
「クククここは通さな」
「もう尺が足りないから黙ってて!」
 全力でヘッドショットトマトを叩き込む篠。
 光が跳躍した。
「この連撃がかわせますか! うなれトマトかがやけトマト、勇者のみが使うことを許されたボクの秘奥義T・フィニッシャーですよー!」
 フラッグに頭から突っ込んでいく光。
 そして、彼女はついに……!

 フラッグを手に走り出す少女を先頭に、沢山のトマト塗れの男女が駆けていく。
 そんな絵画が休憩室に飾られている。
 これは、あるサバイバルトマトチーム『JTK(ジャスティス(笑)トマトケチャラーズ)』の勝利を記念したものだということを……知る者は少ない。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
トマトにはダイエット以外にも老化防止の作用があり毎日1キロづつ食べ続けると死にます。