●松戸機械兵研究所 日本某所、C県M市……の、某地下。 埃の積もった床とスチールデスク。吊り下げ式の蛍光灯が明滅し、じりじりと羽虫を纏わらせていた。 聞える音の種類は少ない。 古臭いSF映画に出てくるようなピポパポという何かを計算するような電子音。大型コンピューターがファンを回す音。そしてキーボードのタイプ音である。 このカチカチというタイプライターの撃ち込み感触を意識したと言うキーボードを、『この男』はいたく気に入っていた。 この男、である。 部屋の中に見える人影は彼だけであり、ぼさぼさとした頭に双眼鏡のようなバイザー。白いヒゲを蓄え、背中は丸い。薄汚れた白衣を乱暴に羽織って、ひたすらキーボードを叩いていた。 ブラウン管式のディスプレイには、黒背景に緑色の文字が走る。プログラム言語そのものが独特なのか、複雑な略語や記号の所為で内容ははっきりとしない。 だがこの男にだけは分かっているのだろう。 「もうすぐじゃ、もうすぐ……よし、できた!」 キーボードを叩き割るかのようにエンターキーを押す。 すると、部屋中に響いていた短調な音にある奇妙な音が混ざり込んだ。 プシュウという、大きな風船から空気の抜けるような音。 と同時に、部屋の中央に置かれていた筒状のボックスが開いた。 横置き型日焼けボックスのような形をしているがしかし、中から漏れ出てきたのはドライアイスの煙である。 内側にもライトがあるのか、もやもやとした光が漂う。 「調整完了じゃ。いい加減目を覚ませ、初富」 「イエス、ドク」 煙の中から何かが出てくる。 手だ。 いや、正確には、古臭いSF映画にあるような、『人型ロボットの手』だった。 球関節とメタリックな表皮。わざとらしい程の駆動音を鳴らして、人型はゆっくりと上体を起こす。 この流れから見れば、誰もが金属製の髑髏をつけたアンドロイドを想像するだろう。 しかし煙を破って現れたのは、見るも麗しい十八歳の少女であった。 鎖骨から上はメタリックな表皮ではなく、人間そのものの、とても色白な素肌で覆われていた。 目を二度ほど瞬きする。眼球は人間のそれではない。きらきらとした目ではあるが、中心に十字の模様が入っていた。 メタルフレーム……ではないだろう。通常三割以下にとどまる機械部位が、全身の七割以上を占めているのだ。 ドクと呼ばれた男が振り返る。白衣には『松戸』と書かれいてた。彼の名前だろう。 「世界にお前の実力を示す時が来た。まずは試験運用だ。兄弟姉妹と共にこのリベリスタ組織を襲撃するのじゃ」 後ろ手にエンターキーを押す。 「二和、起動」 「三咲、起動」 「豊四季、起動」 「五香、起動」 「六実、起動」 「八街、起動」 「遅れました……七栄、起動」 部屋の隅に置かれたボックスが次々と開いていく。 そして異口同音にこう言った。 「「任務、開始します」」 ●メタルギアーズ 「他者改造型アーティファクト、メタルギア」 『運命オペレーター』天原和泉(nBNE000024)は紙ファイルを片手にリベリスタ達を見渡した。 「使用方法や副作用は不明ですが……主流七派が一つ、六道傘下にある組織が取得、運用していることが判明しました。今現在、小規模リベリスタ組織ひまわり子供会を襲撃する計画を立てています。確実に通過するポイントをかろうじて抑えることができたので、先回りして攻撃、撃破して下さい」 そこまで言うと、襲撃メンバーを大雑把に説明した資料をデスクに並べて行く。 「敵について分かっている情報は少ないですが、非常に機械的で感情が希薄だということと、メタルフレーム族のようでありながら機械部位が非常に多いことがはっきりしています。改造によるものと見て間違いないでしょう」 敵の頭数は八人。武装は不明だが、フォルムからして非常にバラけていると見られている。 全員が簡易飛行スキルを保有。その他の取り合わせは不明。 「少なくとも持久戦には強い筈なので注意して下さい。情報は、以上です」 ぱたんとファイルを閉じる。 「皆さん、後はよろしくお願いします」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:八重紅友禅 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年05月14日(月)23:09 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●gear 開発地区上空を編隊飛行する八人のメタルフレーム。陽光を照り返す金属フレームの多さが彼等の異質さを際立たせている。 初富の眼球に刻まれた十字模様が伸縮。 その真横で六実が頭上のパラボナアンテナをぐるぐると回していた。 「ESPにて敵性存在の可能性を感知」 「数は」 「8。リベリスタと推測。望遠で確認、迎撃態勢です」 「襲撃を感知された可能性がある。迂回してもついてくる筈だ、ここで迎撃する」 「了解(ヤー)」 「全機戦闘態勢。敵戦力を減少の後即時離脱。目的は安全な通過である」 「二和了解」 「三咲了解」 「豊四季了解」 「五香了解」 「六実了解」 「八柱了解」 「遅れました……七栄、了解」 飛行状態にあった八『機』のメタルギアーズが着陸態勢に移る。 地上目標を目視。 ズーム。 右目を機械化した目つきの悪い男の顔だった。『錆天大聖』関 狄龍(BNE002760)である。 彼は手を二度ほど結んで開いてすると、肘から先を覆うアタッチメントを指先までぴんと伸ばした。 距離が近い。肉声が入ってくる。 「機械か部位が三割以上だってえ? 羨ま美味しいじゃねえかコノヤロー!」 ニヤリと笑う狄龍。そして、唸りと共にハニーコムガトリングを乱射し始めた。 「敵性体からの攻撃を確認」 「迎撃!」 全身を装甲で包んだ五香が自由落下に近い着地をし、アスファルトを若干歪める。更に両肩からガトリングガンを展開。銃座よろしく腰を落とすと、その場でハニーコムガトリングをまき散らした。 狄龍の頬を弾丸が掠る。 「オラァ来やがれロボ子ども! 鉛弾でもビームでもなんでもたらふく食わせてやる!」 途端、狄龍の前を遮るように黒い影が発生。弾けるように黒光りする全身鎧が現れた。 「悪のフィクサードが居る限り、俺の戦いは終わらない」 アイシールド発光。闇の霧を吹き出し、どこか古めかしいデザインの鎧はこう言った。 「疾風怒濤、フルメタルセイヴァー! ひまわり子供会を襲撃する計画、しかとお見通しだ!」 『疾風怒濤フルメタルセイヴァー』鋼・剛毅(BNE003594)。 彼はベルトバックルから剣を抜き出すと、剛毅は大きく一閃させた。 「貴様等の好きにはさせん!」 まき散らされる暗黒。五香は鉄の両腕を翳してガードする。 そこへ突撃していく『戦士』水無瀬・佳恋(BNE003740)。 「同じようなメタルフレームといえど、同胞とは呼び難いですね。まずは撃退させてもらいます」 剛毅とは対照的な白い長剣を振りかぶり、五香へと叩きつけにかかる。 そこへ割り込み、高周波振動するクローで受け止める七栄。 「うっ!」 しかしパワー負けが起きているのか、彼女はモロに吹き飛ばされて五香に受け止められていた。 「損害は」 「軽微です! いけます!」 他のメタルギアーズに比例してどこか情緒のある様子の七栄である。 そこへ覆い被せるように暗黒の瘴気が襲った。小さな悲鳴をあげる七栄。 トントンと自分の肩を銃剣で叩く『リベリスタ見習い』高橋 禅次郎(BNE003527)。 「全くロボット三原則くらい守っておけ。……にしても」 戦況を分析し始める禅次郎。 相手はかなり性能の高いフィクサードだ。『改造』によるものかは分からないが、先刻の弾幕射撃にしてもかなりの確率で被弾していた。 防御力も高いと見ていいだろう。恐らく持久力もある筈だ。 なら持久戦に持ち込むだろう……と思ってはいたのだが、相手の目的がどうやら禅次郎たちを通過することにあるらしく、追ってこれない程度に叩いたらさっさと置いていくつもりでいるらしい。 回復役を潰すのが通常神秘戦のセオリーとされるが、今回はパワーソースだけ削って数の力で押し切ってしまう可能性もある。 「読みが外れたな。面倒な……」 八柱は腕のハードポイントに保持していたスティックを散弾ロッドのように伸ばして握ると竜巻のように繰り出してきた。 スイングされる一本を飛び越える『エンジェルナイト』セラフィーナ・ハーシェル(BNE003738)。 空中で前転して背後に回るが、関節を逆向きに折り曲げた八柱が彼女の爪先を叩く。セラフィーナは瞬時に翼を振って衝撃を逃がす。 「小さな子供達がいるんだよね、だったらここは絶対に通せないよ!」 上下反転したまま刀を抜く。八柱は身体を160度近く屈折させて刃を避けると。雑技団顔負けの柔軟さで転がって後退。フルフェイスヘルメットのような頭部の奥で超頭脳演算を弾きだす。アイシールドに蛍光グリーンの文字が走った。 「算出完了。術式展開」 三段ロッドが逆方向からも展開。短めの棍程度のサイズにすると、手首を扇風機のように回転し始めた。 「――っ!」 セラフィーナは危険を察して素早く後退。遅れた前髪が先端1センチほど切断された。 「対応、早いね」 側面から撃ちこまれたトッドを刀で受け止める。だが相手は二刀だ、斜め下から捻じり込んできたスティックを鞘で受けると、セラフィーナは無理矢理なキックで八柱を蹴飛ばした。 瞬間、八柱をハードルのように飛び越えて初富が出現、やや小柄な少女だったからか、それとも気配を消していたからか、出現を察知できなかった。 腕から抜いたブレードを繰り出してくる。 だが『突如現れた』のは彼女だけではない。セラフィーナの下を膝折りスライドで潜り抜けた『Trompe-l'eil』歪 ぐるぐ(BNE000001)が、スパナでブレードを受け止めた。 「うはぁー、造形美! それじゃあ楽しく合コンしましょー」 言うや否やデコり過ぎて原形の無くなった銃を抜く。射撃されるのかと警戒したが、ぐるぐはそれを鈍器のようにして初富の腰に叩きつけた。 初富はくるくると回転しつつも、油断なく地面に着地。 片手剣を展開すると、ぐるぐへと斬りかかってきた。 連打技で対抗するぐるぐ。 暫し剣と鈍器がぶつかり合う金属音が響いた。 「君達は感情あるの? 嬉しい悲しいって思うの?」 「質問に答える義務はない」 素早い足払い。つんのめるぐるぐ。 子供の用に斜め方向にでんぐりがえってスパナを翳す。 初富の十字模様が刻まれた目を見て、大体のことを察した。 多分彼らは感情が無いのだ。情緒が無いと言うレベルではない。全身の殆どを機械に変えた反面、頭まで意思の無い機械になっているのだろう。『改造型アーティファクト』の副作用とも呼ぶべきものだ。 こんなものを使う人間の気がしれない。お願いされても使いたくなかった。 だが同時に。 「ちょっと悲しいな」 戦っている相手がただの機械だとするなら、人間味を作っているテレビゲームの方が幾分かマシだ。 そんなふうに、思わないでもない。 「くっそぅ、アザーバイドだけでもお腹一杯だってのに、今度はマッドサイエンティストか!」 「名前も松戸だしな。らしくて結構じゃないか」 『ソリッドガール』アンナ・クロストン(BNE001816)が広域回復を続ける中、『糾える縄』禍原 福松(BNE003517)は愛用の銃でメタルギアーズの一人を狙い撃ちしていた。 カウボーイハットを彷彿とさせるヘッドギア。金髪碧眼で居ながら、片目に眼帯のようなフタがついている。彼女は有機的に動くマフラーで福松の射撃を弾きながら、腰のホルスターから44マグナムを抜いた。 「三咲被弾。迎撃開始」 ほぼメタルボディだと言うのに、銃を片手で水平に構えて連射。 福松もまたストールを振って弾丸を弾き飛ばした。 「ちっ、やるな……」 手首を返して空薬莢を排出。オートローダーをぶち込んで弾倉を嵌め直すと、相手の顔面に照準した。 十発を連射。 対して三咲は同じように狙って十発連射。 空中で衝突しぶちりと潰れた弾頭が後から着た弾頭にサンドされ潰れ、更にまた後ろの弾頭に潰されて、計十回のサンドイッチによって奇妙な棒状のオブジェができあがった。 「なっ、冗談……!」 回復が要るだろうと身構えていたアンナが驚きと苦笑とイラつきが混じりあった複雑な表情を作る。 一方でぐるぐと斬り合っていた初富が視線を寄越す。 「深追いするな。実戦経験の差で負ける」 「三咲了解」 マフラーで周囲からの弾幕を弾きつつ、三咲は軽やかに後退した。 ●灰色心臓 会話の端々に出ていたが、メタルギアーズの弱点は実戦経験の少なさにあった。 戦闘パターンや戦術パターンは豊富に持っていても直感で行動することができない。 だから暫くの間は禅次郎の読み通り定石狙いの戦闘を仕掛ける他なかった。 だが彼等の行動目的はあくまで『ひまわり子供会への襲撃』である。 道の途中で消耗したいわけでも、邪魔をす者を全力で薙ぎ払いたいわけでもない。 彼等は次第に状況を理解し、リベリスタ達を通り抜けることを主眼に戦力が少しでも低下したなら即時離脱・撤退することを既に定めていた。 「プログラムHM-B4起動。回復確認。冷却……完了。HM-A3起動――」 二和が腕から展開されたノートパッドに複雑なルーン文字を走らせ、聖神の息吹や天使の息を正確に発動。その判断力たるや凄まじく、その場その場で最も適切な回復手段を選んでいた。 一方ではブロックに集中していた佳恋たちは各個撃破がしづらく、反面アンナの回復のおかげで誰も倒れずに持ち応えていた。 「相手は階層構造だ。数で押せ」 「了解(ヤー)」 エネミースキャンや守護結界を展開するばかりでずっと逃げ回っていた六実が漸く突撃を始める。それに合わせて他のメンバーも突撃体勢に入ってきた。 一人を残して全前衛のパターンである。ブロックを抜かれた佳恋が急いで追撃に走る。 抜かれれば終わりだ。だが、それまでに打撃を与えられれば彼等も『作戦行動に支障あり』として撤退するだろう。 「一か八かァ――!」 接近してくる七栄に渾身のボディブローを叩き込む。 ……叩き込んで、すごく後悔した。 「いっ……っつう!」 腹部の鉄板を叩いてしまい、じんじんする手を振る。涙目だった。 だが今のパンチで七栄の進行が止まった。初富が腕を翳し、他のメンバーの動きが緩くなる。 その隙を、佳恋が全力でついた。 「一体だけでも、捕えさせてもらいます!」 「――!?」 捕えるですって? 七栄の目にはそんな感情が浮かんでいた。 驚きと恐怖と不安、そしてそれらを自力で解決しなければならないという使命感。色々なものが混じりあった、彼らにしてはひどく人間じみた感情である。 だが振り返った時にはもう遅い。佳恋の疾風居合切りが七栄の背中をばっさりと切り裂き、血液を漏電のスパークを同時に散らさせた。 「今だ福松!」 剣を大きく振りかぶる剛毅。これまで溜めていたダメージ量を破壊力へと変換。闇に変えて斬撃と共に打ち出す。 「セイヴァーペイン……スラッシュ!」 「そこかっ!」 七栄の脇腹に深い断裂が発生。小さな悲鳴を上げる。 そこへ福松が容赦のない銃撃を加えることで、彼女を徹底的に破壊した。 がくりと崩れ落ちる七栄。 それを見た初富の目が変わった。六実がパラボナアンテナを警戒色で発行させる。 「七栄、撃破されました。二和エネルギー残量40%、作戦行動の中止を提案します」 「二和賛成」 「八柱反対」 「五香賛成」 「豊四季反対」 「三咲賛成」 「承諾、撤退する! 八柱は七栄を担げ」 「了解(ヤー)」 そこからの連携は素早いものだった。 逃走を阻もうとする佳恋たちを数でぶち抜き、高速で駆ける初富たち。 (そもそもブロックは全力逃走を阻止するだけの効力を持たないが、通せんぼくらいはできる筈だ) 「七栄、稼働状況を」 「生命活動、継続……」 全身から火花と血を散らしながら顔を上げる七栄。 そこへ八柱が駆け寄ろうとするが……。 「そう思い通りにはさせない」 目の前に銃剣を突きつけられる。禅次郎のものだ。 咄嗟に顔を腕で庇う八柱。至近距離で呪刻剣を叩き込まれ思わず後じさる。 「ひまわり子供会を護る任務は果たせてる。逃げるなら、逃げればいい」 目を妖しく光らせる禅次郎。八柱を援護しようと銃を抜く三咲たちだったが、アンナの神気閃光に目をくらませた。 「捕獲に入るなら今です。ぐるぐさん、セラフィーナさん」 「お言葉に甘えてー」 セラフィーナとぐるぐが八柱を挟み込むように接近。ついでに挑発も混ぜてみる。 「貴方達の目的は実験データの収集でしょう。ならば私を狙いなさい。チーム最強のリベリスタは私、データが欲しくば倒してみろ!」 「拒否」 かなりハッタリを混ぜた挑発だったが、八柱はそれを手短に突っぱねる。 感情が抜け落ちている時点で分かってはいたが、ちょっと悔しいセラフィーナだった。が、それも彼等を捕獲すればチャラだ。 八柱に向けて剣を絶え間なく叩き込む。 その一方ではぐるぐがノックダウンコンボを繰り出していった。 「どーこいーくのー?」 八柱はスティックでそれらの攻撃を必死で防ぐ。だが二人がかりでかつ狄龍や禅次郎たちの弾幕も加えられるとなると分が悪すぎた。 「撤退不能と判断。行動を中断して――」 「待って下さい」 瀕死の七栄が掠れた声を出した。 初富同様十字に刻まれた目の模様が展開し、卍型に変わった。初富と八柱、そして剛毅が同時に叫んだ。 「全員対ショック!」 巨大な爆発が、周囲を包む。 ●人造フルメタルフレーム・コード07『七栄』 そこは開発中のアスファルト道路……だった筈だ。 周囲は捲れ帰った土と砂埃で覆われており、ひっくり返ったセラフィーナとぐるぐが目を回している。 「やはり自爆したか……浪漫だからな」 外見的には最もメタルギアーズに近い剛毅が、やけに厳めしいバイクに跨って言った。 フェイトを削って復活した七栄が、最後の力を振り絞って自爆したのだ。無論彼女自身は無事では済まなかったが、八柱を含むメタルギアーズの7機は全力で逃走。強いショック状態及び眩暈や麻痺に陥った禅次郎たちは仕方なく追撃を諦めたのだった。 自前のバイクを用意していた剛毅としては残念で仕方ない。 「でも、全然残ってないことはないんじゃないかしら」 ぼさぼさになった髪を前だけかき上げるアンナ。 福松と禅次郎が、爆発の中心地点に目をやる。 めくれあがり、殆ど土砂に埋まるようにして、女性の顔と肩が覗いている。 「ほう……」 「すぐに掘り返しましょう!」 剣を手に駆け寄る佳恋。 凄まじい速度で掘り返す。 すると。 「こりゃあ……七栄ちゃんじゃねえか」 狄龍が土砂の中から引っこ抜いたのは、女性の上半身だった。 より正確に言うならば身体組織の五割近くを喪失したフィクサードである。 これが生きている状態なのかは分からないが、もともと八割近くを機械化していた七栄なら、『大破』のレベルで済むのかもしれない。 「とりあえず持ち帰ってみようぜ。改造したっていうアーティファクトがなくちゃ話にならんのかもしれねえが……フィクサードだったらフェイトを削ってどうにか元通りになれんだろ」 「なれるか?」 「まあ、多分」 福松に首を傾げられ、狄龍はへらへらと笑った。 「それに七栄ちゃん、ちょっとズレてるとことか可愛かったしな」 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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