「永遠のクリアブルーがお前を染める」 銀髪の男が指を鳴らすと、少女が凍りついた。 次々に言葉を投げかけ、変なポーズを繰り返す男に、悲鳴が響き渡る。 これは過分に比喩的な表現だ。男が投げかけているのは、ただの言葉に過ぎない。 凍った少女は、固まったと表現するほうが正しいのだろう。 物理的な状態を記すのであれば、全身に鳥肌が立っているだけに過ぎないのだから―― ●NOBUリッシュ 「翼を広げて君の名を呼んだんだ」 今日も『駆ける黒猫』将門伸暁(nBNE000006)の言動は全然わからない。 「ありがとうの言葉をを伝えたくて、ずっと震えてたのさ。分かるかい?」 いや、聞かないでほしい。 「俺はずっとあてのない未来を探し続けてたんだけどね」 伸暁は万華鏡を覗いてたとでも言いたいのだろうか。いつものこととは言え、何だか歌詞みたいだ。 「今日も絶好調ですね将門さん」 ため息混じりの一言に、伸暁は首を振って大仰にうな垂れた。 「否定はしないけどそうじゃない。瞳を閉じて、もっと想像してごらん」 意味が分からない。 絶対嫌だとは思えど、リベリスタ達は話が進まないのも困るから、とりあえず瞳を閉じてみた。 するとどうだろう。だんだんイライラしてくるのが分かる。 「だいたい、どうしてこんなありきたりな歌詞みたいな……」 いい加減うんざりしたリベリスタが目を開けると、視界にはNOBUリッシュウィンクが飛び込んで来た。 「だろ?」 「だろじゃねぇし」 平凡で、ありきたりで、どこにでもあるようなこと。それが足りない場所があるんだと伸暁が付け加える。 どことなく腹立たしいが、言いたいことは何となく分かった。 「つまり。岡山で何かやれって?」 「そう。答えなんて初めから決まってたのさ」 変なポーズで嬉しそうに指差さないで欲しい。笑顔にイラつくリベリスタが具体的な話を促す。だってこれ、依頼なわけでしょ。 「そう。岡山を復興するためになんでもありのお祭りが開かれることになったんだ」 企画実行は俺だと付け加える。岡山にロックなソウルを届けるのだ。 「あ、ああ。こっちも何かするの?」 「それがね……」 伸暁の話によると、祭りに乗じておかしな生き物が現れるらしい。 「フェーズ2のEフォースなんだけど、これを見てよ」 銀髪の男の後姿だ。どことなく、誰かに似ている。 ――そのまま抱きしめて春の妖精。 恋の色に染まった笑顔は、桜が散ってもそのままだって俺だけが知ってるから。 oh.... スクリーンに映し出された光景に、リベリスタはなんとも言えない呻きを搾り出した。 「普通に戦うことも出来るんだけど、ちょっと特殊なタイプの相手でね」 待って。 「強さはフェーズ2相当。油断ならない相手なんだけど」 いいから待って。 「能力は。って、どうしたの?」 「どうしたもこうしたも、敵っていうこいつ、これ、お前だろ」 伸暁が立てた人差し指をちっちと振る。 「こいつはロックじゃないだろ?」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:pipi | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年05月05日(土)00:06 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●二人の出会い、それはカーテンコールの始まりよ 暗闇の中で何かを探し続けてた。 会いたくて、でも会えなくて。張り裂けそうな心(ピュアマイハート)が震え続けてる。 リベリスタ達がありきたりな日常を破壊する存在を打ち破り、文字通りの意味で世界を救ったのは、つい先日のことだ。 ここ岡山は鬼達の蹂躙によって未だ深い傷跡を残していた。 そこで考案されたのが、アークが主催する『NOBU祭り』である。 そんな祭り会場近くの公園は関係ない場所であるはずなのだが、こんな所まで進出している目ざとい出店や、貼り付けられたチラシによって、なんだか会場そのものっぽくなってしまっている。 人ごみと言うのは平素歓迎しづらいものではあるが、今日ばかりは活気と呼びたい。 その程度のささやかな表現は許されてもいいのではないか。少なくともリベリスタ達はそれ以上の偉業を成し遂げているのだから。 だがそんなハレの日に茶々を入れる存在が暗躍しているらしい。 それは皮肉にも祭りを主催した『駆ける黒猫』将門伸暁(nBNE000006)への憧れが生み出したEフォース『まさかど』であった。 だからこの地でも、もう少しだけリベリスタ達の活躍は続くのだ。 どうかその勇気ある戦いを見届けてあげて欲しい。 運命の出会いを告げるのはひとひらの眼差しだった。 蠱惑の瞳が射抜くと同時に、まさかどのフォースが『ヴァイオレット・クラウン』烏頭森・ハガル・エーデルワイス(BNE002939)の心にパラサイトした。 「Gang & Guns. もう止められない」 まさかどは指で拳銃を形作り、エーデルワイスを撃ち抜くポーズをとる。いたたまれない。残念な動作にそれでも彼女(ヒズ・ドリームス・オン・ザ・スウィートリリス)は攻めるのを止めなかった。 その手に握られたのはインダストリアルな小包み。中身は手作りだという設定の洋菓子(アークの購買部で購入)である。 これが貰えちゃうらしい。撃ったつもりが、撃たれたようなポーズであることが辛うじて理解出来る程度のぎこちなさで、まさかどは胸に手を当てよろける。きっとこんな経験したことないのだ。 風は騒がしくノイジーなソングを奏でている。『ぴゅあで可憐』マリル・フロート(BNE001309)が名状しがたいポーズをとっている。 「言葉のまじゅつし、マリルちゃんのすっごいちゅうにっぷりなセリフで、にせNOBUのハートをきゅんきゅんうちぬいてやるですぅ」 これはこれでどこか残念な生き物に見えるが、かわいいものはかわいい。もっか絵も卑怯だろう。これも大ダメージだ。まさかどがニヒルなつもりの笑みを浮かべる。ニタリと湿っていて気持ちが悪い。 観衆が集ってきた。遠くになぜか布団も敷いてある。 「これぞ極上の『スプリングソングでメロンメロンのウォーターメロン』作戦なのですぅ」 すいかじゃないと、まさかどが呻く。つよい。かっこいい。あたしすごいのですぅ(`・ω・´) 「サマーソウルが目の前に迫るこの季節はいちごの方が似合うっていうなですぅ!」 意味が分からないといえば、誰のことを指し示すのだろう。もう誰にも分からない。止められない。 「いちごはあたしがいただくですぅ!!」 そのとき初夏(恋)を告げる風の囁き(キッス)が、まさかどの髪をそっと撫でた。 刻まれるハートビート。そよ風のアルペジオ。 「あ、あの、NOBU様ですよね?」 まさかどの指と少女の指を繋ぐときめきの赤い糸。 カメラアングルがぐるぐる回るアンティークな運命の演出が薄ら寒――心をくすぐる。 「あたし、すごく辛いことがあったんです」 うるむ瞳。なぜか遠くに布団も見える。 「でも、NOBU様の曲一つで救われました。 あたしがあたしでいても良いって教えてもらったんです」 まさかどにCTを与える『食堂の看板娘』衛守 凪沙(BNE001545)の訴えは更にDAを伴う。 もうなんか、こういう書き方をしないとやっていけない感じだ。 「NOBU様の微笑みがあたしの背中を押してくれて…… あたし、逢えるのをずっと待ってました。 それでこの手首に巻いた赤い糸に引き寄せられたんです。 この糸がNOBU様に逢えるって教えてくれたんです」 あまりの衝撃に言葉が出ない。夢だ。これはマサカディアン・ノブリッシュ・ドリームだ。 足元おぼつかぬまさかどの頬を、ひんやりと柔らかな手のひらがそっと包み込んだ。 「ザ・クルーエル・ワールド。世界は誰にも平等に優しくない。こんな現実があると思うか?」 「……本当にな」 白昼、銀色の月が嗤うアナザー・デイ。搾り出すようなまさかどの呻きを覆うように、『エンジェルナイト』セラフィーナ・ハーシェル(BNE003738)がフェータルな一言を告げる。 「ソウル・シャウトとクール・フェイス。お前はどっちも持ってない。そうだろう?」 衝撃はまさかどを失意のどん底に叩き込んだ。遠ざかっていくセラフィーナに、暗闇の中から手を差し伸べるまさかど。願い叶わず、彼は絶望を抱きしめてコキュートスにゆっくりと崩れ落ちる。 「お前は何で女の子に声をかける?ブラック・キャットの望みはいつだってハッピーエンド。 ストロベリー・トークは女の子を幸せにするためのものなのさ。 フェイク・NOBU。お前は自分の欲望で女の子をストーカーしてないかい?」 まさかどは、輝く赤い瞳に視線さえ合わせられない。 「エンジェルがくれたトラジェディ……この戯曲は俺が詠うまで、シェイクスピアにも描けなかった」 暗転――絶望の波がまさかどを飲み込んだ。 ●舞い降りる黒騎士 紅(ロッソ)に染まりし刹那のOKAYAMAに漆黒(ノワール)のメサイアが降臨した。 危険な堕天使は、その背に仲間達の視線(つばさ)を広げる。 地球(テラ)がもっと輝けと囁いている。布団も囁いている。 闇が光に打ち勝つ季節を運ぶ。ライトニングブリンガー。それは『リベリスタ見習い』高橋 禅次郎(BNE003527)という名の正解(ナイトメア)―― 千の言葉より残酷な俺という説得力。 来いよ、何処までもクレバーに抱きしめてやる。 お前を抱きしめるための暖かさを手に入れた。 心に銃を持て。どんな女のハートも撃ち抜くヤツを。 輝きを抑えられない俺を人は堕天使と呼ぶ。 燦めきこそオレの魂の火花、オレの生存理由(レゾンデートル)。 生き様を例えれば妖精の姿の可憐なる野獣。 底抜けに優雅にクレイジーってのは大アリだな。 黒には幸福の光も宿っているんだぜ。 美しさは刃、見る者を斬り倒すオレの最終兵器。 三千世界で黒衣を纏い朝までお前と夢を見る。 愛のアルカディア目指して彷徨う永遠の旅人。 俺という果実に触れた者だけが味わえる真実。 存在するだけで心を揺さぶる俺という罪。 一夜の愛を永遠の想い出に変える錬金術師。 夜桜よりも妖艶に咲いた俺の華。 似たようなことをしているのに煌きが違う。やはりイケメンは無罪なのだ。こんなにも違うのだ。まさかどには黒騎士(禅次郎)が眩し過ぎる。 観衆の数は増すばかりだ。なぜだか布団も蠢いている。 「俺は……俺はNOBUじゃないのか……」 ディザイアが乾く。キモメンが水飲み場へと駆ける。道が割れる。どんびきしているのだ。名もなき幼女が悲鳴と共に遁走する。 まさかどは水を一気に飲み干しへたり込む。視線の先に現れたのは布団6点セットだ。ねむい。だるい。はたらきたくない。 「桜舞う場所にやってきたお前は求めるものは気高きブロッサム? それとも愛でに集まるピュアガール?」 のそのそめくれ上がる布団の中から、更に一人のNOBU――『働きたくない』日暮 小路(BNE003778)が現れる。 「ソー・スイート・ピュアガール。お前も俺に言うのかい? 桜のように散れって、さ」 アークに来てから間もない小路だが、こんな奴が二人に増えてはたまらない。あまりに脳に痛い。 「残念、悲しいことにお前の出番はここにはないんだ。何故ならここにはすでに正しくNOBUがいるのさ。いわば運命に導かれた二人、デスティニーツインというやつさ」 ただでさえなれない物真似な上にブリーフィングルームで見ただけのNOBU再現とか無理だ。ぶっちゃけあんまりよく知らない。可愛娘ぶるのだって苦手だ。 無理。ない。ありえない。あとは野となれ山となれ! だが、絶叫は迸る。まさかどには逃げ場なんてなかったのだ。この広い宇宙(ソラ)のどこにも―― 此処に集いし観衆達の瞳に宿る星の煌めきは幾千万――そう、今此処は宇宙(ソラ)。 其れらを束ね……熱狂の渦……ビックバンという名の織物を為すのが『節制なる癒し手』シエル・ハルモニア・若月(BNE000650)が己に架した役割(ロール)だ。 のぶあきが3日は店頭に並んだ後の鮮魚の瞳でシエルを見つめる。 「お前も俺を倒しに来たのか……俺達はスターダスト。皆、同じ宇宙のチリから出来てる仲間だってのに」 そうだ。そうせねばならない。それがリベリスタの使命なのだから。だが、観衆はもみくちゃになりつつある。足を挫いた老人がまろぶ。 「あ! 御老人が道を間違えてこんな所に……そして観衆に流されて……」 「何!?」 「く……一流の影(エリューション)と相対しなければならぬ身なれど……御老人を放っておいて良いのでしょうか?」 否! 彼女はエリューションと対峙する身の危険すら省みず、老人の元へと駆け寄る。 ズッキューン! この天使は! ついでに『一流』という言葉が、まさかどの心を抉る。そんなこと、言われたこともないからだ。 「ふぅ……これで一安……あ……! あそこに何かすごく表情が暗い子供が……」 (何と言うことでしょう……鬼の襲来はこの子に……とこしえの闇の如きブラックホールという名の虚無(トラウマ)を心に遺した……) シエルはすぐに寄り添い、永久の迷宮に迷い込んだ仔羊に、一筋の光明――ホワイトホールという名の出口を指し示す。 まさかど君、またもやスルーである。 「え? ……林檎飴を落とされた!?」 まさかどはフェーズ2のエリューションである。だがこの事件はフェーズ4に相当する。ならば――迷うことはない。 「近くのお店で林檎飴売ってますね♪ お姉さんと一緒に買いに行きましょう……☆」 子供の表情が輝く。あれが、あれが聖なるということだ。 まさかどのゲシュタルトに刻み込まれたメモリー。絶え間ないメロディ…… 「セイクリッド・メイデン……お前はマリア!!」 ●masakado... 身に纏う全ての力はイレイズしてある。この戦いに、そんなものは不要だから。 乾いた大地にロックンロール・スーパースター(『MAI † HIME』戦場ヶ原・ブリュンヒルデ・舞姫(BNE000932))が降臨した。 カッコイイってどういうことかって? 舞姫が舞姫であることさ。 オンリーワン。 あらゆる世界<チャネル>で一番クール&キュート。 一言で言うと、舞姫は最高ってこと 「お前は……」 こいつはNOBUじゃない。舞姫だ。舞姫は舞姫である。舞姫は至高だ。 舞姫は、舞姫が最高だってことを、誰よりも知ってる。舞姫の一番のファンは、舞姫なのさ。 「ぐ、あ、ああ……」 ブラストビートが刻まれる。もはや否定ですらない己への絶対の自負がまさかどをブロークンハートする。 「な――ッ」 なぜと言葉を紡ぐより速く答えは降り注ぐ。 「舞姫が自分のこと大好きじゃなきゃ、誰も舞姫を好きにならないだろ? そうだね、たとえば自分が花屋だとしてさ 最高に綺麗に咲いた花で、自分が最高だと思ったら、自信を持って売れるじゃない」 そういうことなのだ。だから―― 「最高にカッコイイ舞姫だから、舞姫は舞姫を皆にさらけ出すのさ」 リスペクトするだけでは、そこまでしか行けない。つまり、そういうことなのだ。震えるまさかど。 「オーケイ、リスペクトする気持ちは大切だね。 舞姫もNOBUのファンだから。イケてるよ、カレ。 けど、憧れるだけじゃバッド。究極まで真似したって、NOBUそのものにしかなれないじゃない」 ――それって、オンリーワンじゃないよね。 「舞姫は、他の誰でも無い舞姫だから、輝いてるのさ。 オマエも自分の言葉で語ってみろよ。ほら、舞姫に聞かせてよ」 「maihime...」 崩れ落ちるまさかど。 「時事ネタはやめなよ」 「oh...maihime」 MAI † HIME! MAI † HIME!! 「写真集、買いました」 息を弾ませながら、追いついた少女がまさかどのアンビューティフェイスを覗き込む――メルティヴォイス。 「店にあったの、全部。 だって、表紙のNOBU様の目がみんなあたしに助けてくれって叫んでたから。 それで、誰にも渡したくないって思っちゃったから」 「凪沙たん……」 「えと、あの……写真集にサイン貰っても良いですか?」 「俺が――NOBU(ホンモノ)じゃないのに……か?」 凪沙の胸をガン見しながらまさかどが呻く。萌える。萌えちゃう。 「それから、お弁当作ってきました。 良かったらどうぞ。 スタッフに渡すとNOBU様に届かないと思うから――あたしの思いが詰まってます!」 こんなシチュエーションが、あるわけがないのだと嘆く。全てはフェイク&ライアー。 彼自身もウソに縛られ……抜け出せないディストピア。 そう。だから今度は、あなた自身を。あなた自身の言葉で―― ●解き放て 戦いは続いていた。 「破滅のオランジュミストぉぉぉ!!!」 マリルが(`・ω・´)こういう顔でみかんの皮を折り曲げる。 このまま理想を抱いて、みかんの皮の汁に溺死するのか―― ぴゅあぴゅあなまりるたん。可憐なまりるたん。ドリンのようなまりるたん。両目を押さえながら、まさかどが萌える。 「俺が、俺の……」 おぼろげに揺れる。彼の実体が希薄になりつつあるのだ。 「はい、あ~ん」 「あ、あ~ん……」 エーデルワイスの指先がまさかどの頬を撫でる。それが機械だとかそういうのは、この際どうでもよかった。 言葉に出来ない今生一度の願いを悪戯な女神(ヴィーナス)は聞き逃さない。 「あら、口元に食べ残しが……」 呆れと優しさのGolden ratioが、たおやかなスキンシップと共にまさかどを責め苛む。 はじめから勝ち目などなかったのだ。小路も寝返りをうっている(←ちょっと羨ましい)。 「もう、しょうがないなぁー、まさかど君ったら」 「とり? もりたん……」←(うずもりが読めない) まさかどの頬が染まる。 「動かないちゃだめよ……おいしい」 クスりと微笑。今、何をしただァッ――!? 見つめ返すウィンクと微笑みが、お菓子が、お弁当が、寝息が、エリューションの存在をずたずたに引き裂いてゆく。 未だ己の言葉を紡げぬまま、闇の中へ落ちていく。 『ガッカリです…… 困っている人がいれば、千里眼…いえ…万里眼で見通して…… クールな言ノ葉と行動で癒す…其れがNOBUりずむ…… 貴方様には其れが無い……です――』 どこまでも透き通ったシエルの清純な瞳が天空からまさかどを貫く。萌える。 どうすればいい。どうすればいいんだ。 「ぺ、ぺぺ、ぺぺろんちーの!?」 まさかどが己自身の言葉を吐き出そうとしている。 「ぺすかっとおーれっ!?」 イタリアっぽければ格好良いに決まってると。そう考えたのだ。 「ノーノー、考えちゃダメさ。感じるんだ。 ソウルがハートからメッセージを紡ぎ出す」 「イエス! ナポリタンッ!」 「ダメさ、ダメダメ。全然お前はクールじゃない。 イメージして歌うんだ。夜空に光る星のように。空を翔ける鳥達のように。 それでもダメなら、お前はきっと地を這うスネイク。 クールじゃなくて、ホットならいけるかい?」 「ぐ、が――」 彼は……何もいえなかった。 「結局お前は何者にもなれない哀れなミラージュ。輝ける太陽に焼かれて消え去るゴーストさ。 ショータイムはもうすぐ終了。 お前のシャウトは誰のソウルも燃やせない。本当にこれで終わっていいのかい?」 エンジェル。 ダメだ。何をやっても。まさかどはNOBUじゃない。なのにまさかど自身でもない。 何者でもない。何も出来ない。このまま終わるのか。 「闇の中にあるものを知っているか」 「音。か――」 そう、音(ロック)だ。 闇の中に一筋の希望が見えてきた。 「ロックは魂(ソウル)の叫び(シャウト)だ。他人と優劣を競うものじゃない」 だから、お前はお前で良いんだ。 「さあ、ラスト・チャンスだ」 「上っ面じゃない本物(リアル)な人生(ロック)を奏でようぜ」 「お前のシャインを見せてくれ」 まさかどが両腕を突き出し叫んだ。 「ソウル・シャイン! ゴルゴンゾーラ(焦熱獄炎閃光呪文)ッ!!」 「イエス! できるじゃ無いか!!」 舞姫の叫びと共にNOBUリッシュの鎖が、今、引きちぎられる。世界に光が満ちた。 いつしか観衆は泣いていた。小路も寝ていた(そろそろ起きていいですよ)。 みんなまさかどだ。そしてだれもがNOBUなのだ。Nine Nobusだ。 『(御菓子の)欠片の味は、インスタントな恋の味でした』 残念で不憫な奴だったかもしれない。だが、エーデルワイスはそんなまさかどがなんだか憎めなかった。 (演技のつもりが途中から楽しくなっちゃったかな? そんなところは本物の将門以上に魅力を感じっちゃったね♪) だから――幸せに成仏してください―― 「ぐああ、萌えるッ! 身体が点滅するッ!!」 彼精一杯な半透明の表現だ。存在が薄れ消えていく。 「ファッキンライト! 俺が……」 「「「俺達がNOBUだッ!!」」」 終われ!!! |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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