● 並べられたのは、子供向けながらロックテイストの強い衣装達。 小さいギターにベース、ドラム、そして特注だろうか、小さめのスタンドマイク。 ライブ会場を裏側まで完全に再現した設備に、自由に使える広いスペース。 着々と準備の進む広場を、子供達は瞳を輝かせて見詰めて居た。 その手にあるのは、一枚のビラ。 ――求む! 『Black kitty』! 黒猫の絵と共に細かな日程が書かれたそれを、大事に抱えて。 子供達はその日をずっと、心待ちにしている。 ● 「皆揃ってるな? じゃあ聞いてくれ、俺の熱いリーベを」 ブリーフィングルームの中心で。 脚を組み、意味有りげに視線を落とした『駆ける黒猫』将門伸暁(nBNE000006)は唐突に口を開いた。 「今回俺がこのハートに溢れるリーベを傾けるのは、あの岡山だ。――鬼との決戦、まさか忘れてる奴はいないだろ?」 組んだ手越しに、物憂げな眼光がリベリスタを捉える。うん、割とうざい。 何とも言えぬ表情を浮かべたリベリスタを見渡して、彼は再度口を開く。 ――否、開こうとした。 「嗚呼もう、話は手早く簡潔に、でしょ。……面倒だからあたしが話すわ」 半ば押し退けるように。立ち上がったのは『導唄』月隠・響希(nBNE000225)。 常の無表情は何処へやら。苛立ち顕に眉跳ね上げたフォーチュナは、資料を奪い取りひとつ、咳払いをした。 「……一言で言うと、今回の鬼との闘争に巻き込まれる形になった岡山の人を励まそう、って言う企画があるのよ。 んで、その総括者がこいつ。……『人々を俺というロックで魅了し、熱意と希望というソウルを取り戻させる』って言うのがテーマらしいわよ。 案自体は幾つか出てて、今回此処に居るメンバーに参加してもらうのは、」 「――『Black kitty』達との戯れだ。岡山の未来を担うチルドレン――即ちkitty達にこそ、ソウルを燃え滾らせて貰わなくちゃいけないだろ?」 フォーチュナの言葉を奪う形で、伸暁が告げる。 要は子供たちとの交流、と言う事なのだろうか。詳しい内容を求める声に、フォーチュナは頷き資料を捲った。 「ほらもう、話すんだったらもっと分かりやすく話してよね……! ん、まぁ、ええと……こいつのファン、って子供達を、実際にステージに立たせてあげよう、って言うのがメイン。 それ以外にも子供が喜びそうな出店を企画してくれても良いし、そのお店を一緒に回ったりして遊んであげてくれてもいい。 ステージのお手伝い……着替えとか、メイクとかね、そういうのをしてもいい。一緒にステージに上がりたいならそれも有り。 要するに子供を楽しませてあげて欲しい、ってことなんだけど。……こんな感じでいいんでしょ、将門サン」 「嗚呼、エクセレントだ。俺が企画に込めたパトス、伝わった様だな」 返る言葉に、深い溜息を漏らしながら。 フォーチュナは大体そんな感じ、と肩を竦めて見せる。 「……一応、あたしと……竜牙サンが手伝いにいく。 なんかして欲しい事とかあれば言ってね。特に無ければ、裏方やるからさ」 じゃ、どーぞ宜しく。 その一言と共に去っていくフォーチュナ等気にも留めず。物憂げなポーズを崩さぬ伸暁が、ふっと微笑む。 「エンジェル、そしてジェントルマン。お前等のロックなリーベで俺のkitty達の心を励ましてやってくれ」 宜しく頼むぜ。その一言と共に颯爽と去る後姿はやはり少し、鬱陶しい気がした。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:麻子 | ||||
■難易度:VERY EASY | ■ イベントシナリオ | |||
■参加人数制限: なし | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年05月07日(月)23:41 |
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■メイン参加者 14人■ | |||||
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● ――新生! 『Black kitty』ライブ会場は此方! 会場内では、早速子供達によるNOBUリッシュなLiveがスタートしていた。 響くのは歓声と、まだ幼いながらも酷く楽しそうな歌声達。 拙いようで中々様になったギター演奏も、滅茶苦茶でも弾む様なリズムを刻むドラムも。 楽譜通りを意識して精一杯なベースやキーボードまで全てが、生き生きと、のびやかなメロディを奏でていく。 湧き上がる拍手喝采と、NOBUリッシュなMCの声も心なしか浮き立って聞こえる様だった。 そんな、多くの子供やその親で埋まる会場が、大きな問題なくライブを進められているのは、裏で運営に尽力するリベリスタの力あってこそ。 「ほら、こっち持っていけ! ストラップ長くないか?」 舞台袖近く。大量の楽器が収まる部屋で、子供達の楽器調整を行うのは竜一だった。 丁寧に張られた弦は、固く太すぎないもの。 一つ一つチューニングし、弾き鳴らしてやった彼らは、子供達の手で最高のパフォーマンスを見せる事が出来るだろう。 部屋の子供達を捌けば、次はステージ上。 暗転したその上に立って、ドラムセットやキーボードの位置を調整してやる。 「やりやすいー! 有難う、お兄ちゃんっ」 その手が届く範囲に動かされたセットに、少女が感動の声を上げる。 大事なのは、気持ちよく音を楽しんでもらう事。それが音楽。 満足感に頷きながら、舞台を降りた竜一ははっ、ととある事に気付く。 「……しまった! 俺らしくもなく、真面目に働いてしまった!」 今からでも遅くない。折角だし少年少女を生粋のメタルヘッズに……。 良からぬ構想を練り始めた彼が、通り掛ったフォーチュナに怒られるのはもう少し先の話である。 「君ならこっちの衣装の方がずっと輝ける。……さっきの衣装、何処が好きだったの?」 並べられた衣装を取り合う子供に声をかけて。 ミカサは手早く、衣装の無い少年の為に見繕ったそれを差し出して見せる。 「これかっこいい! えっとねー、あのきらきらがいいの!」 希望を聞きながら、その手は次々と子供達を一流のパフォーマーへと仕立て上げていく。 ――将門くんにも劣らぬ輝きを纏う男にしてあげるよ。 そんな決め台詞にも似た一言に沸く子供達の傍らで、同じく女子のヘアメイクに回っていた響希は可笑しそうに目を細める。 「すっごいわね、お兄さんに任せとけばお姫様にだってなれるんじゃないの?」 捲いた髪を二つに結って、ミカサに見繕って貰ったのだろうリボンを結んでやればもう完成。 伸暁と系統こそ違うが、非常に華やかに着飾った少女を椅子から下ろしてやれば、頼まれた子終わったわよ、と声をかけた。 用意を終えた子供達が、自分の出番を待つ為に部屋を出て行く。 次の子供達が来るまで少し、時間が空く。手持ちの水を飲みながら、響希はふと、視線を投げた。 「……あの子達の名前、聞かないの?」 賑やかな子供達。無邪気に此方に頼ってくる彼らの扱いは得意では無いけれど、悪いものでもなかった。 けれど。ミカサは同じく、水を口に含んで、微かにその眉を寄せる。 「聞かないでおくよ。……白黒の自店に閉じ籠ってる俺には……少し、眩しすぎる世界だ」 情が沸いてしまうのは、困るから。そんな呟きを掻き消す様に、待ち切れなかったのだろう次の子供達が雪崩れ込んで来る。 「名前は何て言うんだい? 私はよもぎ、というよ。蓬、植物の名だ」 見慣れぬ、色とりどりの服達。 着る側の子供は勿論だが、着せている側も楽しく感じてしまうのだから不思議だ。 心の中で、楽しい、と頷きながら。よもぎは手早く、着替えの世話をしていく。 「よもぎ! ミツバっていうんだ、よろしくー」 外見ならばあまり年の頃の変わらない相手だからだろうか。親しげに話しかけてくる子供に、思わず笑みが漏れた。 「……奇遇だね、植物関連の名にはなんだか親近感を覚えてしまう」 はい、出来たよ。その言葉に駆け出していく子供が、友人にミツバ君、と呼ばれているのが耳に入る。 まさか、男だったとは。何とも言えない表情を浮かべながら背を見送ったよもぎの瞳がふと、見慣れた黒い後姿を捉えた。 「狩生くんはNOBUファンだったりするのかい?」 几帳面に、少年のハットの位置を調整してやりながら。かかった声に視線を落とした狩生は、思案する様に首を傾けた。 「そうですね、あの独自の感性は尊敬に値する、と考えます。……私の感性が理解には及ばないのが残念ですが」 冗談なのか本気なのか、薄い唇に微かに笑みを浮かべた男に、服装を整え終えた少年が自慢げにポーズを決めて見せる。 片手はハットに。視線だけ前に投げて。 「この歌が俺の熱いLove letter……って言ったらNOBU喜ぶかな!」 輝く瞳は、とても可愛らしい。男が頭を撫でてやれば、満足げに外へと駆け出していった。 伸暁が如何にファンに愛されているかを改めて感じながら。彼は凄いね、と漏らしたよもぎに、狩生の視線が再度向く。 そうですね、と頷く彼に視線を戻して。よもぎは微かに首を傾けた。 「ん? きみの事も凄いと思っているよ、狩生くんの雰囲気は人を落ち着かせるから」 告げられた言葉に、その瞳を瞬かせて。 男は僅かな笑みと共に、有難う御座います、と蜘蛛の帽子ごとよもぎの頭を撫でた。 ● ライブ会場外。 広く開いた通路に、所狭しと並ぶ屋台も、負けず劣らず賑わっていた。 「新田酒店臨時出店! 静岡名物「駄菓子屋さん」だよ」 良く通る声が、人目を引く。 麩菓子に5円チョコ、糸引き飴に、あの辺りにあるのは笛ラムネだろうか。 仁蝮組より借り受けたテキ屋セットで開店した快は、注目を集めるように手を叩いた。 近頃めっきり見なくなった駄菓子の数々に、物珍しげに子供達が集まってくる。 「あー! 『静岡の街ハイランド・ザ・サードからやってきた、スターダスト・スイーツ・スタンド』のお兄ちゃんだ!」 聞こえてくる声に、凄い言葉が混じっているのは気のせいだろうか。 宣伝効果、と言う事で笑いながら商品をやり取りしていく快の下に、やってきたのはミーノ。 「ね~っ? これたべたいの~かってほしいの~」 それまでは胸を張り、お姉様顔で子供達と歩いていた彼女だが、最初の自信はどこへやら。 気付けば周りの子供達に紛れ、屋台を楽しみ切っていた。 「これ? はい、どうぞ」 「わーありがとうなの~」 折角だから、皆で食べて見て欲しい。 そう差し出されたのは、黒いおでん。 牛すじの味が利いたつゆに、黒はんぺん。特に珍しいのは、だし粉と青海苔で仕上げるところだろうか。 見慣れぬ食べ物。ミーノが食べるのを待つように、視線を向ける子供達の前で。 彼女はそれを口に運び、幸せそうに表情を緩めた。 「ふわーおいしいの~。みんな~これおいしいの~」 食べよう食べよう。そう言いたげな彼女の様子に、子供達も続々とおでんを口に運んでいく。 口についた青海苔に気付かず、夢中で食べる子供達を眺めて。 快はそっと、安堵の笑みを浮かべていた。 交流を通じて岡山が盛り上がるのは、互いにとって良い事だ。 子供達が再び明日を夢見られるように。その瞳は優しく、祭りの様子を眺めている。 「坊ちゃん、嬢ちゃん。好きなお面はあるかなあ? 色々あるよ。」 子供達を楽しませる為に。 祭の半纏と、斜めに被ったモルお面。 子供慣れした様子で笑う疾風のお面屋には、早速人だかりが出来ていた。 「これ、これ欲しいー!」 エリスが連れてきた少年が手を伸ばすのは、今流行の戦隊もののリーダー。 笑顔で取ってやれば、嬉しそうに代金を置いて子供は駆け去っていく。 楽しんでくれているようだ、爽やかな面差しに満足げな笑みを浮かべる彼の店の次の客は、コーポで見知った美雪だった。 赤ちゃんを抱えて大変そうな母親から預かってきた、まいちゃんとたける君の小さな手を確りと握って。 出店を楽しんでいた彼女は、疾風に笑顔と共に頭を下げた。 「やあ。こんにちは。何か買っていく?」 「何か欲しいお面、ある?」 流行りものからNOBU、桃太郎まで。なんでもあるよ。 示された色とりどりの面に迷う子供達の希望を、美雪は優しく聞いていく。 まいちゃんはモル。たける君は桃太郎を。差し出された面を受取った子供達の表情が、一気に明るくなる。 そんな子供達を優しく見詰めていた美雪はふと、晴れ渡った空を見上げた。 一連の争乱で逝ってしまった幼い命達。角の無い子も有る子も、何処かでお祭りの様子を楽しんでくれているのだろうか。 「このお祭りが亡き魂の……慰霊のお祀りになっていますように……」 零れた祈りは少しだけ、切なかった。 「みんな、好きなの取ってあげるね!」 コルク弾を打ち出す銃を構えて。 連れてきた子供達にいいところを見せようと、光介は奮戦していた。 「あのぬいぐるみほしいー! がんばって!」 わいわい、飛ぶ応援の台詞に答えたい。お兄さんぶったのだから! けれど、そんな思いに反して、景品達にコルク弾は中々当たらなかった。 「こ、こうなったら、マジックアローで……!」 「はいお兄さん、危ないのは駄目だよ!」 思わず漏れた不穏な言葉に返るのは、アーク職員と思しき男の制止。 はっと我に返り、気恥ずかしげに笑った光介の後ろから聞こえてくるのは、楽しそうな笑い声。 お兄ちゃんったらもうー! と懐いてくる子供を見ていると、沈みかけていた心もすぐに浮上する。 励ます、励まされる。それは案外、同時に出来る事なのかも知れない。 「何がしたい? 言ってみろ」 最初は緊張気味だった子供達にもすぐに馴染んで。 拓真は、遊び疲れた少女を抱え上げながら残りの子供達へと声をかけた。 お話がしたい。自分もだっこ、と纏わりつく子供達は、随分と元気を取り戻している様に見える。 何かを壊すと言うのは、簡単で。 けれど壊れた物をまた同じ様に作り直すのは、難しい。 戦う事だけでは何かを救う事は叶わない。それを知っている拓真だからこそ、この試みに手を貸していた。 「おや。……人気者ですね」 ライブが一段落着いたのだろう。同じく子供の手を引く狩生からかかった声には、微かな笑みで答えて見せた。 「……ただ戦うだけでは、人を笑顔にする事は出来ない。誰かを笑顔にする事が出来る人物は本当に素晴らしい。そう思わないか?」 投げられた問いに、漆黒の男は同意を示すように頷いて見せる。 笑顔を護る事より、壊れたものから笑顔を生み出すのは、とても難しい事だ。 そう呟いてから、男はそっと、笑みを浮かべる。 「貴方も素晴らしいと言う事ですね。……その子は、とても幸せそうだ」 腕の中の少女は、気付けば安心し切った様に眠っている。 その幼い手が、自分の服を掴む姿を見詰めて。 「……強く、逞しく育って欲しいな。子供達には」 剣を取った自分の役目は、それを必ず、護る事だ。 再確認出来た責務ごと、拓真は確り、幼子を抱え直した。 ● 「あぁ、ほら……走ると、危ないの……よ……」 知り合いと同じ名の少年の後を追いながら。 那雪もまた、子供達との交流を楽しんでいた。 先日初めて遊ぶ事になった幼い子供達は、とても可愛らしかった。だから今回も。 何人かの子供達と共に、何とか先に走っていた少年を捕まえれば、その先には子供を連れた狩生が歩いていた。 「あら、竜牙さん? よければ、お店……回ってみない?」 丁度甘いものが食べたくなった。そう、子供達と共に近付けば、喜んで、と歩き出す。 「氷雨君は、欲しいものはありますか? 君達も、気になるものが有るなら言って下さいね」 狩生の分も買おう。そう、申し出ようとした那雪に先回るように、狩生が笑う。 次々に上がる希望を聞きながら屋台を回っていけば、子供達は満足げに与えられた菓子を頬張っていた。 「……わたあめで宜しかったですか?」 最後に、と差し出されたのは、那雪の頼んだまっしろなわたあめ。 礼と共に受取ってから。少しだけ考えて。 「これ、どうぞ、なのよ……?」 何も食べていないだろう。そう差し出されたわたあめを、狩生は驚いた様に見詰めて。 頂きます、と控え目に口をつけた。 「えっ、りょういちくんの林檎飴の形がバランス悪いって? ……じゃああたしのあげるから泣かないでね、本当にお願いね」 買い込んだ菓子を抱えて。子供達と共にライブ会場に戻ってきたのはエレオノーラ。 ぴっちり七三。ボタン一つ、襟の角度まで明らかに気を払った某誰かを思い出させる様な少年を宥める彼を、今度は隣の少女が一生懸命呼ぶ。 「ねぇねぇエレーナ! どりんのお兄ちゃん! お兄ちゃん出てる!」 「……へえ……そっくりね……」 (´・O・`) 一生懸命歌っている少年には失礼だが、実に、どりんだ。 それにしても。もう2時間程共に歩いているが、子供達は疲れの色を全くと言って良いほど見せない。 まさに無限機関。もう歳なのかしら、そんな小さな声に、思わず噴出したのは休憩がてら外に出ていたミカサだった。 今笑ったのは誰だ。そんな視線から逃れる様に、彼は再び裏へと戻っていく。 子供の好きなものとはなんだろうか。 やはり休憩に出ている響希を捕まえて、葬識は問う。遊んでやれば喜ぶんじゃないの。そう返る言葉には、その遊び方だよ、と言葉を続けた。 「俺様ちゃん子供の頃すきだったものっていうと鋏とかナイフとか刃物とかなんだけど…… イマドキの子供それで、動物の首を切るとかそういうので元気だしてくれるのかなぁ?」 冗談とも本気ともつかない表情に、一瞬響希が返答に詰まる。 それを見て取りけらけらと笑ってから。青年は漸く立ち上がった。 「やだ、信じちゃった? 小粋な殺人鬼ジョークだよ、あはは~」 「……ジョークじゃ無さそうだけどね、あたし、あんたのそういうところ結構好きかも」 また話に来てよ、待ってるから。 そんな言葉を聞きながら、葬識は手当たり次第に子供を追いかけ、お菓子を押し付ける遊びを開始する。 きゃっきゃ、と楽しげな声が上がる。 フードを被った殺人鬼の悪戯は、中々に子供に人気になったようだった。 「はーい、良い質問ですねー。空が青いのはお日様の光が……」 ぐるぐる、会場を回りながら。チャイカは抱えたPCで分かりやすく、子供達の問いに答えていた。 子供達の相手だけではなく、迷子探しの雑務なども負いながら。 出来る限り、今回の事件を子供達にとって夢の様なものだとしてやらんとする彼女の回答は、好奇心旺盛な子供達の心を満たすに足るものだった。 もっともっと、と質問が投げ掛けられていく。 空は既に紅に染まっていた。そろそろ、ライブも終わった頃だろう。 たった一日。けれど、恐らくは子供達の傷を癒すに十分な一日だった日が、終わっていく。 会場一杯に広がる、疲れてはいるが楽しげな笑顔は。 伸暁の、そしてリベリスタの努力が実ったのだ、と教えてくれているようだった。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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