●――Prelude―― ネコミミ好きですか? 「人生はスパイシー&スイート。ウィット&ストイックだよ。ヘビーでバイオレンスなセンテンスばかりじゃ俺のソウルは満たされないって訳」 <鬼道喰らわば>嘆きの子等を解き放て 「少年兵……ソルジャーズ・オブ・チルドレン、か」 復讐悲劇~revenge tragedy~ 「女を泣かしておくのはロックじゃねえだろう?」 【春の男児祭り】やっぱりショタが好き! 「吐息より熱いリーベをギルティと呼ぶにはセンチメンタルな幻想ブレイク」 <六道>魔剣ンッ、Gィィィィィィィペンッッ!! 「ようみんなっ、熱いバトルが――始まるぜ!」 空が堕ちてくる 「見つけ出すから、どんなに寒風に曝されても、灯る君のglow heart」 <鬼道驀進>やえにはたえに 「何か今聞いておくべきオラクルはあるかい? 奴らのサルヴァトーレがアドヴェントすることはなんとしてでもフロム・ザ・クレイドル・トゥ・ザ・グレイブだ」 <裏野部>歪曲混沌黒史録 「お前達のファンタジックなドリームを後押しをする極上のエンターテイメントが。それはジョンにとってのポール、アマデウスにとってのコンスタンツェの様にね」 <三ツ池公園特別対応>西門地獄変『百鬼夜行』 「ハッピーニューイヤー。出てくれて嬉しいね。君のNOBUクンだよ」 星空の戦記―White Letter― 「さて、毎月恒例の新月の夜がやって来た訳だ。ニューイヤーでニュームーンだね。何かが起きそうな予感がする、そんなセンシティブに浸るのも悪くない」 【新春大河活劇】ひときり 「ベリーコールドな気温の日々でも、俺の心はいつだってホットに子猫たちを温める……」 <強襲バロック>ジャック・ザ・TV (全体的にNOBUってた為切り取り不可能でした) <強襲バロック>とりあえず死線を 「心を揺らすには単音じゃあ物足りないだろ?お前達のハートビートで、熱いコードを刻んでくれよな」 星空の戦記―Cross Flight― 「そう、差し詰め異世界からのフォールンエンジェル」 彼恋死 「恋は盲目。他の全てを投げ打ってでも貫き通すまさにブラインド・ラヴってやつだろ?」 <賢者の石・争奪>November Harvest 「ガールズトークって怖いよね」 トゲトゲハートは王者の風よ 「……真っ赤に燃え盛ったあの夏も過ぎ去り、季節はすっかり秋。熱いビーチに遊んだ君の幻影(かげ)も今は過去、何時だって十月は俺の胸を締め付ける……」 轟山さんは皆一緒が好きだった 「輝きをスポイルする事だけ熱心なクソな世の中にジャンヌ・ダルク」 皇帝、慟哭す。 「頂点とは孤高なものだ。それが帝王の宿命というやつさ。そうだろ?」 星空の戦記―2nd Flight― 「ロックも戦いもBメロに入ってからが本番だ。この星空に刻んでくれよ。夏の陽射しにも負けない様な、お前ら魂込めた熱いビートを」 赤い蕾は花弁となりて 「綺麗な薔薇には棘がある。昔から言う言葉だけど、俺には相応しくない」 復讐者ロマーネ 「ザッツ・ライト。まぁ、恋愛ってのは此の世で最高の非生産的概念さ。世界にラヴが満ちてるから、俺は音楽に触れられる――」 墓場の決闘 「美醜で判断するのはよくないとおもうけどね。美女が野獣を愛するからこそ、世界はラブアンドピース。そう思わないかい?」 すいかの名産地 「俺さ、ウォーターメロンって英語嫌いなんだよ」 星空の戦記 「トゥインクルトゥインクル、リトルスター。星空は何時だってロマンティックなものであって欲しい。そう願うのはロマンスに憧れる女子ばかりじゃない。例えばそう、俺もだ」 <相撲の腹> 行司の名は木村 「偽りの救世主(メシア)に教えてやってくれ。格差の無い相撲なんて見応えが無いってな」 Noisy Hameln 「世界ってのはさ、一つのメロディラインなんだ。常に変化し、最高のライブ感を醸し出してるのさ」 <相撲の腹>キケンタチアイキンシ 「田んぼに塩ってやつは難しい」 伝えたい言葉 「パッション溢れる真実の言葉だけが響く。ソウルの籠ってないロックじゃ灯らない。燃えろよ、そして燃やし尽くせ」 うっさうさにしてやんよ! 「ウサギってのは何でああもパンクなんだろうな」 電なる波よ暴を呼べ 「便利なものってのは裏があると俺は思ってるんだ。何か大事なものを犠牲にしているような気がするのさ。例えば……人に縛られない孤高さ、とかさ?」 ●――NOBUリッシュ―― 「どういうことだってばよ」 大画面のモニターいっぱいに流れていくNOBUリッシュ。無駄な映像演出を重ねていて余計に腹立たしい。そりゃあリベリスタの発言がおかしくなってても罪はないよ。 もっとも一番腹立たしいのは、モニターの前で『駆ける黒猫』将門伸暁(nBNE000006)がいちいちポーズを決めていることであろうが。 わざわざ呼び出されたあげくにこれを見させられている現状。早くなんとか言えよ――リベリスタ達は目を口以上にもの言わせ伸暁を睨みつけるが…… ――俺のTrickがお前をTreatする―― 未だNOBUリッシュを写し続けているモニターの前で。伸暁は両腕を交差し指先は自身の耳に添え、傾けた首をそのままで目線だけをリベリスタへと向かわせる。そして―― 「――なっ?」 「うるせぇぶっ飛ばすぞ」 なっ? じゃねーよ。 「やれやれ、では説明を始めようかな」 まだ微妙に演技がかった仕草で、伸暁はレポートを取り出す。 「知っての通り、鬼との決戦はリベリスタ……人間側の勝利で幕を閉じた。鬼の残党との戦いはまだ続いているが、岡山を中心とした一連の事件は解決したと言える」 だが、だ。 「それで終わりというのはいささかマシン的な意見だ。破壊の後には再生を。それが俺たちのルールだろう?」 俺たちというのが何を指してるかはともかく、要は復興作業のことだろう。 事実、時村グループが熱心に動き、アークのスタッフは総出で復興支援に駆り出されている。リベリスタ達も鬼の残党制圧から、混乱に乗じたフィクサードの動きの警戒など、仕事は尽きない。 「壊れた物は人手とお金をかければ問題ないさ。それができるのが時村だしね。どんな深い傷跡も時間をかければ治せない物はない……物はね」 物。そう、深い傷跡を残すのは何も物だけではない。鬼という災害を前に、多くのものを失った人の心は簡単には癒せない。 ではどうするというのか。 「沙織ちゃんと話し合ったんだがね。岡山復興のなんでもありのお祭りを開催することにしたんだ。企画実行、全て俺」 まぢかよ。勇気あるなアーク。 リベリスタの表情の変化を読み取ったか否か。伸暁はアークが用意したというレポートを読み上げることで答える。 「岡山の復興に地元の住民の協力は欠かせない。だが住民は疲れ落胆し、復興が思うように進んでいない。そこで将門伸暁を岡山に派遣し本人発案の祭りを執り行う。彼の力で人々の渇いた心に笑いを……ん、誤植かな? 人々を俺というロックで魅了し、熱意と希望というソウルを取り戻させるのさ」 レポートを丸め投げ捨てると、伸暁はリベリスタにウィンク一つ。 「いくつか案を出してるが……お前達にはこれに参加してもらう」 配られたパンフレットには派手な色彩と大きな文字でこう書かれている。 『第一回チキチキNOBUリッシュコンテストin岡山』 文字の後ろで様々な表情、ポーズの伸暁に殺意を覚えるがそれはともかく。これはつまりどういうことだってばよ。 「簡単さ。コンテスト会場には復興支援として無料招待された岡山の住民が大勢集まっている。お前たちにはそこで俺をリスペクトした演出――NOBUリッシュな言動で観客を沸かしてもらおう」 ……生き恥を晒せと言うのですか! 「ラヴ&ピース、ロック&ソウル。岡山の復興はお前達にかかってるんだぜ?」 笑わせろというのか。自らを犠牲にして晒し者になれというのか。 「題して【NOBU祭り2012】――始まるぜ?」 表情をそれぞれ動かしたリベリスタ達の視線の先で―― ――エクセレント! そのクライムは逃れようのないディステニィ。『万華鏡』でもプロダクションできないのさ。諦めてプリズンインするんだね―― モニターのNOBUリッシュは未だ続いていた。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:BRN-D | ||||
■難易度:VERY EASY | ■ イベントシナリオ | |||
■参加人数制限: なし | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年05月06日(日)23:35 |
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■メイン参加者 21人■ | |||||
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●――ことば―― はじめにことばがあった。 ことばは神であった。 だが、ことばはNOBUでもあった。 NOBUリッシュ―― それはありとあらゆる音楽性。 Heart to Heart. 想いを歌にして届けよう。 今伝えたい言葉はただ一つ―― Love and Soul Okayama...... ●――開幕―― 「……というわけデー、『第一回チキチキNOBUリッシュコンテストin岡山』はーじまーりマース!」 舞台は岡山の特別会場。大画面いっぱいに広がった開幕NOBUリッシュの前には、それを読み上げた我らが黒猫将門伸暁と司会進行を務めるロイヤー東谷山の姿がある。 「誰が一番my worldを作りだし人々を引き込めたか。問われるのはソー、創造力デース!」 観客席の最前列を埋めるのは審査員として呼ばれた面々。地元の役員に混じってアークを代表して桃子さんら何人か。火車の姿もここにあった。 「お前らぁ! 中途半端にNOBUったりしようものなら腹パンによる制裁を与えてやるからしっかりやれよ! おおォゥ!?」 アーク随一のNOBUfanを自認する火車が早速恫喝し始めた。いや観客怖がるから! 会場を埋める岡山の人々。しかしその人数に反し、未だ拍手はまばらなもの。それも当然だろう。岡山復興の祭りとして会場各所で出し物が執り行われているが、ここに集まった人々はNOBUリッシュコンテストとしか聞いていない。そもそもNOBUリッシュって何という状態だ。 その視線を感じてか、伸暁は一歩前に踏み出して注目を集めた。 「細かい説明が必要? 答えはノーだ。耳で聞く言葉より、心に直接響くソングが確かなパトスを伝えてる。それが、それだけがこの偽りだらけの世界のたった一つの『本当』。柔らかい心と想像力がジャンヌ・ダルクを輝かせるのさ。さあただ感じてくれ。熱いビートを」 よくわからない。 だが、手にしたパンプレットが祭りの趣旨を物語っている。 ただ笑えと。 色々なことがあった。わからないことはまだ沢山ある。辛いことは数え切れないほどに。 それでも生きていかなくてはいけないから。 これからの日々の活力に―― ――NOBU祭り2012.開幕―― ●1.司馬 鷲祐 「その目を見開いてみろ。ほら、もう俺から離れない」 突然だ。開幕の合図と共に舞台袖から颯爽と現れた鷲祐は、マイクをひったくるとすぐに喋り出した。 「知ってるか? Peacockは堕天使の象徴なんだぜ」 「俺の腕の中ではDevilもFallen angelも皆ただの仔猫」 マシンガントークで流す言葉はけれど力強く観客の耳に残る。 「この世で唯一漆黒に魅入られし騎士(ナイト)」 「物事の間にはいつだって衝動と憂鬱がある。それは小鳥の囀りのように仄かに鳴って消えていく。それが理解できるなら、アンタ上等だぜ」 言い切るとマイクを渡しスマートに去っていく。観客はあっけに取られつつも、つい鷲祐を拍手で見送った。 「oh. まさに神速デース」 「相変わらず潔いね。高ポイントだよ」 ●2.降魔 刃紅郎 観客がざわつく。 それはそうだ。会場後部から馬が出てくるとは誰も思うまい。 馬に乗り客席の間を通って登場したのは刃紅郎。いつもの格好ではなく、ワックスで固め下へ伸ばした髪とその服装はNOBUのもの。 「戦禍の傷跡に伏せられた民の瞳に光を与えねばならぬ。それが我に課せられた――NOBUレス・オブリージュ」 マイクスタンドを手に、曲に乗せて放たれる威風。 「――滾るネイキッドソウルは常在戦場。溢れ出す王威でエンドオブソロウ――今、貴様らの笑顔へコンクエスト」 この一瞬世界を自分の物にして――会場中の視線をかき集めて、刃紅郎は歌い切ると颯爽と馬で駆け抜けていった。 「これはいいね。王様らしい貫く気持ちを感じる」 「王様? NOBU様?」 ●3.式乃谷・バッドコック・雅 (要するにみんなを盛り上げればいいのね! 簡単な話だわ!) 次に現れた雅は幻視を解除し、その猫耳尻尾姿を大衆に晒す。 「はぁい! みんなどーしたのよモノトーンな顔してさ。It's wrongでしょう? 岡山の人達はもっとホットなソウルとビートを持ってるって信じてるわ」 観客の心地良い視線に笑顔を見せ。 「そう、ビートよ。哀しみのバラードに浸るのはジ・エンド。再生という名の雄々しいメロディで岡山を真の大都会にしていかなきゃ。それが出来るのはみんなの熱いソウルだけよ」 観客の歓声と拍手に、雅は笑顔を振りまき手を振り答えた。 (完璧だわ。世界を手にするこのあたしに不可能はない!) 「良い猫っぷりだねお嬢ちゃん」 「Niceな応援が伝わりマーシたネ」 ●4.結城 竜一 「リスペクトってのは、イミテーションであっちゃいけないのさ」 竜一はマイクを手にした瞬間から全力。 「そんなものはただのフェイク。オンリーワンたる俺たちのハートが奏でるグルーヴは、誰にだってコピーできない。だから奏でるぜ、俺のロックを! 響かせるぜ、俺のソウルを!」 何がNOBUリッシュ? そう、これこそがNOBUリッシュ! 「俺が、俺達がNOBUリッシュだ! いくぜ、こっからが俺たちのNOBUタイム! クラップユアハーンズ! 俺たちで盛り上げていこうぜ、岡山!」 響き渡る岡山コール。 「センキュー、OKAYAMAー!」 ノッた者勝ちであると気づいた観客の岡山コールに竜一は声が枯れるまでシャウトオブ岡山。 「そう、縛られない自由さこそがロック&ソウル」 「ロック&ソウルって言っとけば格好つくと思うなよ伸暁(素)」 ●5.御厨・夏栖斗 「OKAYAMA★のみんな。ハートフルでビビッドなライブに来てくれてありがとう。サッドなきもちになってるみんなをパッションがリベンジでジャンヌ・ダルクしようぜ!」 現在の意味不明さNo.1トーク。子供も大人も指さして笑う、その顔を見て夏栖斗はどこか嬉しそうに。 (実際さ、鬼は怖かったと思う。生き残ってる人が少しでも、楽しいって思ってくれたら嬉しい) 「まだまだつづくぜソウルの熱いビートをオールピープル震わせて、ラブアンドピースで岡山を埋め尽くそうぜ!」 笑顔を作る。それは望めば叶うこと。 「じゃあ、ネクストナンバーもクレバーにホットな魂でヒアウィーゴー!」 そしてめちゃブリ。次の人頑張れ! 「oh.さすが心はイケメンデースね」 「若さ溢れるね。だがそれがいい」 ●6.ランディ・益母 「え、おいばかやめろ」 舞台袖から引っぱり出されめちゃブリを受けたのはランディだ。 (NOBUリッシュ……なるほど解らん) それでも祭りの意図を知っているから。だからランディは手を抜かない。 ――いくぞ! 「――魂を奮わせた後はレッツパーリィ、辛い涙もスマイルで流すもんさ」 そうだろう? この馬鹿な騒ぎだって励ますためのもの。魂からの感動は暗い心も吹き飛ばす。 「――暗い雲はシー・ユー・アゲイン。 俺達が見るのはスカイブルーの青空さ」 ……言い切った彼はマイクを手渡す。そしてダッシュ。 すれ違う者にそんな目で見るな! とか叫んでた。 「あら可愛い」 「ああ可愛い」 ●7.朝町 美伊奈 「人生というカーニバル&ライブス。その一本の長い長い坂を登り切るには……己を包み守る三位一体の魂、トリニティソウルが必要だ」 会場を静けさに引きこんで。美伊奈が言葉を紡ぎあげる。 「その一角たるシリウスソウル、それは己と己の大切な者の為に得た対価を取り落とし喪わぬための備え、ペイ・エンベロープ」 「そして二つ目のプロキオンソウル、それは耐え許容し、時に赦す心、ペイシェンスバッグ」 「……だが、最も大切なのは最後のベテルギウスソウル。それは己の全てを包み、育み、そして今も尚見守り続けている絶対の守護天使(ミカエルハート)……分かるだろう?……そう、【MOTHER】さ」 マイクを下ろす。終始世界に入り込んでいた美伊奈は、アピールの締めをドヤ顔でキメた。 「とてもいい。彼女の世界を感じるよ」 「oh.引きこまれマースねー」 ●8.スペード・オジェ・ルダノワ 「響かせましょう。NOVE色に彩られた世界は、こんなにもexoticだってことを――」 唇に薔薇をくわえ現れたスペードは、両手で自身を抱きしめる。 「悲しみのprisonに迷い込んだままじゃ、創造のdesireさえ抱きしめられない」 薔薇を手にし、シルクハットを被せるスペード。 ステッキで叩くと、中からは黒猫のぬいぐるみ。投げられたぬいぐるみは客席の子供の手に渡り、黒猫は強く抱きしめられる。 『これで貴方も……気ままな黒猫。嘆きという名のchainじゃ、縛ることはできない』 ――Bang. 観客の心を撃ちぬいて。スペードは拍手に柔らかな微笑みと礼で答えた。 「oh. ベリーベリーcuteネ!」 「自分らしさがある。優しさの中に芯の強さを感じるね」 ●9.新田・快 「フロム・サイレントヒル・トゥ・ヒルマウンテン。静岡の街ハイランド・ザ・サードからやってきた、スターダスト・スイーツ・スタンド(駄菓子屋屋台)。最近のチルドレンにはむしろニューウェーブかもね。アダルトな君は、Enfance finiのnostalgiaを噛み締めたって構わない」 快は独特の言葉で『説明』をする。 「ブラック・オーディーンもスタンバイだ。ブラックなスープの中に浮かぶ牛すじ串は、味覚を刺し穿つグングニール」 「サイレントヒルとヒルマウンテンを架け橋が結ぶ。It's time to be witness. 瞬間(とき)の目撃者を、待っているぜ」 快が言っていることはつまり―― 「広場で出店やってるからよろしくね」 「うまいねぇ。さすが守護神ソツがない」 「ちょうど休憩だし屋台行きまっショー」 ●――休憩―― 前半終了。観客はNOBUリッシュの楽しみ方を理解したようだ。意味を考えるのではなく、ただ純粋に楽しむこと。つまり笑ったモン勝ちである。 中にはグループ内で笑わないようにして、我慢できず吹き出した者が罰ゲームとかで遊んでたりもする。 「はい、キサだよ。休憩中もお祭りは盛り上がってるね」 スタッフ腕章を身につけ、綺沙羅はカメラを向けて観客にインタビュー。 「――うん。各所の出店も大盛況、カオス演劇もさっきから悲鳴が絶えない様子だよ」 ……悲鳴? 「この先の公園でも『俺達がNOBUだッ!!』とか合唱始まってて、話題には事欠かない有様なの」 説明がてら、綺沙羅は片手でパソコンを叩くと『NOBU祭り2012公式HP』と表示され、お祭りの映像が次々とアップされていく。 「そこの人。ちょっとNOBUリッシュ言ってみて」 「あ、はい。そッスね……俺から眼を逸らせない? 当然さ、俺のグラビティ(引力)はいつだって、お前をチェイン(縛り)ライトニング(痺れさせる)する」 誰だお前。 ●10.アウラール・オーバル 後半戦トップバッターはアウラール。舞台の手前には『お題:買い物中のNOBU』と表示札が置かれていた。 蒜山高原の牛乳、マスカットの飴など、岡山っぽさ全開の商品を腕に抱えている。 なお、カゴは持っていない。 その時携帯アラーム【♪華やいだ君の薫りが挑発的に俺をくすぐる】が鳴り響き―― 手が一杯なので、商品をポケットにねじこみ携帯に出る。 「……ああ、うん」 そのまま店外へ。どうやらそこで警備員に呼び止められたらしい。 そこで一言。 「鞄を持つのは女子供の軟弱だ。無駄がない、という事は洗練されている、という事。そして洗練されている、ということは……」 一呼吸。 「美しい、という事さ」 ……会場を静けさが支配した…… 「……スゲー。何がスゲーって全然この空気をモノともしてないところが」 「俺は岡山が、好きだー!」 「まだ喋ってるぞおい」 ●11.設楽 悠里 ――僕達に出来る事は本当に少ない。だから、少しでもここに住む人達を元気づけられたらって――思う。 舞台に立ち、悠里はマイクを手に観客に呼びかける。 「ダイアモンドは壊れやすい。崩れちまったこの街を再び輝かせるのはツライもんさ。傷ついたハート、瓦礫に埋もれたメモリー。立ち上がるのには力がいる」 言葉は悲しみを秘め、けれど内に力を込め。 「けどな? 周りを見てみな、そいつら全員がお前らのパートナーさ」 「テイクイットイージー、仲間がいりゃあ頑張れるもんさ。お前らの力で岡山をミリオンカラットも霞むような宝石にしちまいな」 マイクアピールを終え、観客の声援に手を振って舞台袖に戻り……悠里は顔を覆った。 「死にたい……」 「そんなに恥ずかしいかな?」 「可愛さアピールじゃね?(素)」 ●12.チャイカ・ユーリエヴナ・テレシコワ 少女は壇上に上がりおもむろに指を鳴らす。途端、照明が落ち会場は何も見えなくなった。 ざわつく会場。彼女の周囲に広がった純白の羽根だけが闇に浮かぶ。 闇の中でタブレットPCを叩く音だけが響き……一際高い音と共に、会場のモニターに映る[Complete]の文字。 照明復活。超ドヤ顔のチャイカの背後で、全てのモニターが生き返り映像を映した。 スタイリッシュ&サイバー&インテリジェンス。ありとあらゆる視覚演出の効果が暗闇から逃れた観客の瞳に彩りを与え── 「──アクセス。勝利の鍵はそう、いつでもオン・マイ・ハンド」 チャイカはその勝利の手を観客に魅せつけた。 「お洒落な演出だ。自分らしさアピールでいいね」 「勝利の栄光はその手にあり、デースね」 ●13.斜堂・影継 舞台に置かれた丸太の前で、チェーンソー剣を手にした若者。 何が起こるのかと見守る観客に、影継は指を向け笑いかけた。 「翼をもがれしアザゼルたちは、悲しみにひび割れし心を繋ぎ止めるのみ。フューチャーを掴むのは崩れしハングリー・イン・ソウル」 言葉の終わりとともにチェーンソーが音をたて── 動き出した刃は迅速に的確に。丸太に影継の意思を描いていく。 刃の一振りごとに描かれる翼のアートに観客は息を呑み── 「顔を上げて御覧子猫ちゃん。『未来への路(アルカディア)』は君の足元から広がるのさ」 完成した『民衆を未来に導く自由の女神像』の前で、影継は観客にキメ顔で答えた。 「さすがお祭りKINGことMr.影継デースねー」 「粋だね。言葉は無用だ」 ●14.烏頭森・ハガル・エーデルワイス 岡山の地に立つエーデルワイスの目的はひとつ。 「ふふふふふ、桃子様の威光でゲストのソウルをエクスプロ~ジョン!」 会場のスポットライトがなぜか審査員席に当てられ。 光に染められたその人物に捧げるとばかりにエーデルワイスは歌いだす。 「彼女こそ世界をメサイアする唯我独尊超天使・桃子様♪ 魅せる笑顔は黒きシャイン、発する言葉はS(サド)サウンド」 ノリノリである。岡山県民置いてきぼりにして。 「苛烈なボディインパクトでお前たちのソウルをパニッシュメント! さぁ、フェイスしようよ♪」 親指をグッと突き出し可愛くキメッ♪ ……あ。 審査員席の桃子さんがニコニコ顔で立ち上がり── 「乙」 「乙」 ●15.焦燥院 フツ 「ウッス、宇宙で念仏あげてきたぜ!」 開幕早々ホームラン狙いである。以後、袈裟を着た若いお坊さんの発言とイメージしてお聞き下さい。 「太陽は眩しかったが、皆の方がもっと眩しい! まだ春だってのに輝いているし、熱い! オレも袈裟なんて着てられるか! 皆を見た分、オレも見られる! さあ、見てくれ!オレの三千世界を隅々まで! ご照覧あれ!」 「……が、ダメ! サングラスだけは外せない! だって、皆が輝いてるから、サングラスがないと、眩しくてサ……いいや、何を弱気なことを! フツのバカ! もう知らない!」 「今、サングラスを捨てよう。皆のホントの輝き、ホントの笑顔が見たい。仏は目に見えねえが、皆は、オレが見ようと思えば見えるから!」 まくし立てる独自のworld……いや三千世界。 「『サンサーラ!!』(さあ、心を裸にして、太陽のように輝きましょう)」 ……色々卑怯だろこれ! 「フツ! それNOBUちゃう! BOUZや!」 「いや、最初の一言で審査員のほとんどの腹筋をへし折る破壊力だった……」 ●16.高橋 禅次郎 ──眩いばかりのspotlightが俺を映し出す── 「抱き締めてやるぜ、hill&Mt」 詰め掛けたオーディエンスは久々のステージにエクスペクションがエクスプロージョン。重たいサウンドが会場に響く── ──showの始まりだ! 「ここでTOUJO! 鬼はTOUSO! 俺がSANJYO! 目指せFUKKO! 景気最悪! 襲う災厄! 荒ぶる世界を生き抜き! 三作温泉で息抜き! SAY HO!SAY HO HO HO HO!」 ──かき鳴らしたギターが最高潮に達すれば、人の熱狂もハイテンション── 「俺が……俺達がNOBUだ!」 ──会場を埋め尽くすスタンディングオベレーションもまた、禅次郎を彩る賛歌の欠片に過ぎない── 「彼はね、一夜の愛を永遠の想い出に変える錬金術師だよ」 「え、今の、テロップも自分?」 ●17.有馬 守羅 守羅は静かにベースを構える。 ──無意識に昨日期待した明日が来なかった。そんな昨日を乗り越えより良い明日へ向かう為に── ロックを歌おう。 「始まりは出会い(コンタクト) 未来の事なんて何も知らない 始まりは自覚(リアライズ) 想いは言葉にして伝わらないと 鏡越しに触れ合った 指先頭をクールにする 頭の中空っぽ それでもあなたにホットな気持ち 伝えたかった 制限時空迷い込んで 何をしてここにいる 制御不能抑え込んで 何も出来ずここにいる 聞かせてよ逃げないでよ 答えだけでも教えてよ 二度と言わず何度でも 答えだけ叫びたいから」 『恋の歌の意味を尋ねるのは、虹の色の数を訊くのと同じ事よ』 「oh……ものすっごく良かったですよ……」 「それは彼女の『自分の中の言葉』だったからさ」 ●18.ツァイン・ウォーレス ツァインはここに断言する。全てはHomeにおいて来た、と。 髪を染めて衣装もNOBUに似せきった。知り合いが見たら爆笑ものである。 「世の中はリズム&ハート、人生はビート&ソウルで動いているものさ。今日は皆にこんなメリースプリングデイにも負けないくらいホットなナンバーを届けにきたぜ」 歌うのは黒猫のナンバー。恥を捨てた彼にもはや怖いものはない。 「音楽は一つの音だけじゃプレイできない、ノットレゾネイトさ。今回の事で皆が失ったスケールは欠かす事の出来ないアヴォイドノート……それでも俺達は音に触れるのを止められない……違うかい?」 観客の肯定に指を突きつけて。 「今日ばかりは俺達がそのコードを補おう。飛び切りメリーでハッピーなナンバーで!」 さあ熱狂はここからだ! 「今日ばかりはリードVOは譲ってやるさ。ただし、呑み込まれるなよ?」 「あ、あれ? ……伸暁参加しちゃったデース」 ●19.セラフィーナ・ハーシェル ラストを締めくくるのはセラフィーナ。その重圧が彼女にのしかかってくる。 (ううっ、流石にこれは恥ずかしいよ) ──でも、だけど。 見てるだけより、きっと一緒にやった方が楽しいから。 「ナイトメア・ナイトによる悲しみのティアーズ・ドロップをシューティングスターした後は、ビューティフル・ソングでピースフル・サンシャイン!」 飛び出した彼女を拍手が出迎える。 「季節はずれのサンタクロース、皆に送るソウル・ライブ。ここでは皆がNOBU。NOBUにはハッピースマイルが良く似合う。いつも以上に楽しんでいこう!」 さあ、楽しもう! ディスイズ・ア・NOBU! アイアム・NOBU! ユーアー・NOBU! エブリワン・NOBU! ワールド・イズ・NOBU!! ――観客の大合唱と共に、エントリーの終了が宣言された―― ●――閉幕―― 「第一回チキチキNOBUリッシュコンテストin岡山、閉幕デース! ロイヤーの張り上げた声が拍手に呑み込まれる。小芝居や歌を含めたコンテストが終わりを迎えた頃、空はすでに夕焼けを写していた。 「それでは19名のエントリーの中から、見事金のNOBU賞に輝いた方を発表いたしマース!」 後を継いだ伸暁が壇上に上がる。 「まずは第3位から――有馬守羅」 「……あたし?」 名を呼ばれて壇上に上がる守羅。 「理由はシンプル。守羅の歌が、審査員に響いた。たった一つの大きな答えだろう?」 「……そ、そう」 拍手に包まれ、どこかむず痒そうに守羅は席に戻っていった。 「第2位――朝町美伊奈」 「え!? 嘘、本当ですか!?」 飛び上がるほど驚いて、美伊奈はその足で壇上へと上がっていく。 「え、え、あの、私でいいのですか?」 「裏表があるね君……レベルが高く、引き寄せる魅力もあった。高い評価だよ」 恥ずかしそうにはにかみ笑い、美伊奈が笑顔で観客に頭を下げて壇上を降りる。 一度袖に引っ込み、戻ってきた伸暁。その手には金に輝くNOBU像が握られていた。 「栄えある1位に輝いたのは――」 会場をドラムロールが押し包む。まばゆい照明が一旦消え、スポットライトが照らされた先は―― 「1位――焦燥院フツ」 照らされたのは見事な坊主頭。反射したかまでは定かではないが、おうっと声を漏らし、フツはまばゆい光の中でサングラスの位置を直した。 「マジか! いやー驚いたぜ」 頭を掻きながら壇上へと登るフツに、伸暁は答える。 「そもそも、審査員が全員腹筋を折るという事態が発生してしまったんでな」 ホントどうしようもなかった。 「NOBUというかBOUZだったが、一番観客を沸かせたのも、一番独自の世界に引き込んだのもフツだった。誰も文句ないだろう」 金のNOBU像が手渡され、それを受け取ったフツに会場中の拍手が巻き起こる。 「おう! ありがとよ!」 こうして長く、ちょっとお馬鹿な一日は終わりを告げた。 何の身にもならないが、ちょっとの間印象に残る――そんな一日。 なんせ今日はお祭りなのだ。楽しんだ者が勝つ。 岡山の住民をちょっと笑わせたこの一日を、この先の辛い時期に思い出す日があるかもしれない。 明日を生きる活力の、ほんの僅かな一歩……になるかもしれない。 そしてこの後しばらくの間、フツは岡山中でその名を語り継がれるだろう――BOUZと。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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