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機竜空母「大鳳」 電撃空中大活劇!

●機竜空母、降臨。
 ある日空に穴が開いた。
 穴はとても大きく、小島上空をゆうに覆うと、巨大な影を空中に出現させた。
 船影である。
 複数の翼をもつ龍のようなフォルムで、丸みを帯びた鰐に近いものがあった。
 喉から腹にかけてハッチのようなものがあり、何某かを収納するものであることは確かだった。
 頭部にあたる部分には、特徴的なフォントで『大鳳』と書かれている。
 鉄の翼。鉄の外皮。鉄の大顎。
 それは紛れもなく、機械の竜であった。
 直後、追いかけて来たかのごとく小型の機竜が多数出現。ブルーの頭とシルバーのボディでカラーリングされていた。
 彼等はそれぞれ『大鳳』へと方向転換。背より機銃を露出させると、『大鳳』へ一斉射撃を敢行した。
 装甲板に弾が跳ね、火花が散る、しかしいくら射撃を続けても装甲が剥がれることはない。
 対して『大鳳』は各所からアンテナ状の物体を露出させると、周囲に紫電を纏い始めた。
 危機を察して回避行動を始める小型機竜群。だがもう遅い。
 『大鳳』から放出された大量の電撃が、まるで蛇の群のように大空へと広がった。
 全機被弾。次々と小爆発を起こし、小型機竜群は墜落していった。
 迎撃行動を終了。魔導エネルギーを全身に行き渡らせると、外装を自己修復し始めた。
 『大鳳』はそれを確認すると、口を大きく開き、天高く咆哮したのだった。

●超大型アザーバイド強襲破壊作戦
 小島上空に突如出現した超大型機竜。
 以前二度に渡って出現していたアザーバイドと同タイプと思われるが、規模が圧倒的に違った。
 かつて相手にした『零式艦上機竜』であれば十数体は内部格納が可能と見られ、実際内部にはスリープ状態の小型機竜が十数体格納されているという。
 これが上陸すれば被害は確実であり、小島上空を移動している間に強襲、撃破し、この世界から消滅させることが本作戦の目的となる。
 『運命オペレーター』天原和泉(nBNE000024)はそこまでの事情を手短に説明した上で、今回の詳細を述べ始めた。
「100m以上の上空を戦場とするため、常に飛行戦闘状態となります。飛行能力を持たないリベリスタは専用スタッフから翼の加護支援を受けて小島の要塞跡から離陸。直上に存在する機竜空母へと攻撃を開始して下さい」
 インカムをきらりと光らせる和泉。
 デスク上には今回出現したアザーバイド『大鳳』の武装とおおまかなスペック。そして撃破に最低限必要な作戦内容がびっしりと書き込まれていた。
「『大鳳』は非常に固い装甲と自己修復能力、そして破壊力の高い電撃兵器を保有しています。普通に攻撃していただけではこの機竜空母を落とすことはできないでしょう。しかし、方法はあります」
 図解した断面図を開く。
「まず外部から攻撃を加え、本州への進行を足止めするメンバー。そして機竜空母内部へ強制突入し、コアを破壊するメンバー。この二つに分かれます」
 コアと称された正十二面体の写真が提示される。これはかつてリベリスタが(ある意味)命がけで入手してきた情報である。どうやらいかなる機竜であってもこのコアを破壊しさえすれば無力化、この世界から消滅することが分かっている。
「それぞれの作戦は趣が違いますので、別々に説明しますね……」

 まず足止めチーム。
 『大鳳』が小島上空から移動を開始します。放って置けば市街地へ上陸し、大きな被害をもたらすでしょう。一応、到達が予想されている市街地は人口の少ない場所ではありますが、人命が失われることは確実です。
 そうならぬよう、『大鳳』自体の進行を攻撃によって足止めするのがこのチームの役割です。
 『大鳳』は自己修復能力と装甲の自己破棄が可能なため、麻痺や呪縛といった阻害行動の影響を受けません。
 断固とした攻撃により注意を引き、尚且つ全体へ放たれるであろう電撃攻撃を耐え凌いでください。
 少人数でいつまでも耐えられるものではありませんが、別チームを信じて耐えましょう。

 次にコア破壊チーム。
 『大鳳』の胸部分にあるハッチを破壊し、小型機竜の格納庫を突破してコアルームへ突入。全力の攻撃によってコアを破壊して下さい。
 『大鳳』は小型機竜を大量に移動させることを目的としているのか、格納庫が大部分を占めています。内部の小型機竜は全機スリープから解除されるでしょうし、激しい戦闘が予想されます。しかし小型機竜の撃破を優先する必要はありません。
 コアさえ破壊すればエネルギー供給のために親子関係にある小型機竜は停止。『大鳳』と共に消滅するものと思われます。

 以上を説明した後で、分厚い資料をファイルごとリベリスタへ手渡す。
「非常にギリギリな戦いになるでしょう。ですが皆さんならできる筈です。信じて、待っていますからね」




■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:八重紅友禅  
■難易度:HARD ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2012年04月29日(日)23:36
八重紅友禅でございます
かなりダイナミックな空中戦です
ごゆっくりお楽しみください

●空中戦闘について
『大鳳』は凄まじく巨大なため、八人がかりでもブロックが通用しません。(そもそも今回はする意味がありません)
また、空中戦であるため通常ブロックの難易度も跳ね上がります。
また、飛行戦闘ルールに則って命中率、回避率、物理防御が低下します。何か工夫してもいいですが、その分手番を食ったり逆効果になったりするのでご注意ください。
戦闘不能時には確実に墜落しますが、翼の加護支援を担当しているスタッフが地面に激突しないように回収してくれる筈なのでご安心ください。
ちなみに、彼らは安全地帯で待機しています。
尚、このスタッフは力が弱いため戦闘には参加できません。
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
デュランダル
結城 ”Dragon” 竜一(BNE000210)
スターサジタリー
百舌鳥 九十九(BNE001407)
覇界闘士
付喪 モノマ(BNE001658)
ホーリーメイガス
★MVP
アンナ・クロストン(BNE001816)
スターサジタリー
坂東・仁太(BNE002354)
プロアデプト
酒呑 ”L” 雷慈慟(BNE002371)
スターサジタリー
白雪 陽菜(BNE002652)
スターサジタリー
ユウ・バスタード(BNE003137)

●突入、大鳳格納庫
 煉瓦造りの廃墟である。
 数十年前、瀬戸内海からの敵艦侵入を防ぐべく建設されたという要塞跡地は今、別チャンネルから侵入した巨大機竜空母『大鳳』の迎撃拠点として機能していた。
「そういや、前にも来たようだなこの機竜ども。別の機竜と戦闘してた様子も捕えられてたし……何だ? 意図があるとしか思えねえぞ」
 『合縁奇縁』結城 竜一(BNE000210)は支援スタッフから翼の加護を受けて飛行準備にかかった。
 既に上空には大鳳が浮遊しており、鈍く短調な音がうっすらと聞こえてくる。
 奥歯を強く噛みしめる『ソリッドガール』アンナ・クロストン(BNE001816)。
「前の零式が相手してたって言うのは、こういうヤツだったのね」
 100m上空であれば双眼鏡の視野も届く。恐らくあの大鳳は、敵地へ突っ込んで小型機竜をばらまくことを目的にしているのだろう。都市侵略用兵器である。
 機竜のヘッド部分に大きく大鳳と書かれている。昭和初期に帝国でよく用いられたフォントだが、アンナにその知識が無いので『随分と偉そうなタッチだ』とだけ思っていた。
「ええい、これだから神秘ってやつは……」
「何にしろ、あんなのが上陸したら神秘の秘匿なんて絶対無理じゃん。人命もそうだけど、放って置いたら大変なことになるよ!」
 高射砲を背負うように担いで飛行を開始する『三高平の悪戯姫』白雪 陽菜(BNE002652)。
 見た目が非常に重々しかったが、自身の武器として紐づけされているだけ合って飛行自体はスムーズなものである。
「撃ちまくって食い止めることにしましょう。さて……」
 陽菜だけではない。『怪人Q』百舌鳥 九十九(BNE001407)達も一斉に離陸。100mの直上移動を開始した。
 名もないリベリスタが呼びかけてくる。
「80m地点までは同行します。そこから先は戦闘空域です。我々は入ることすらできないでしょう。どうにかできるのは、皆さんだけです」
「はーい」
 緊迫感の無い口調でライフルを構える『ミックス』ユウ・バスタード(BNE003137)。
 彼女と陽菜は70m地点から既に射撃を開始した。
 ハッチに攻撃を受けていることを察し、大鳳が首をこちらに向けてくる。各所からアンテナのようなものを展開し始めた。エネルギーを溜めているのだろう。
「戦闘機、攻撃機ときて空母ですかー……巨大空母は浪漫ですけど、実際くると迷惑ですねえ」
「しかもこちらは生身だからな。随分と苛烈な仕事を寄越したものだ」
 『生還者』酒呑 雷慈慟(BNE002371)がリアクターを展開。装甲板の間からマシンガンの銃口を覗かせた。
 五人の集団から分離し、丁度大鳳の頭の方向へと回った。
「長期戦は圧倒的に不利だ。一気呵成に敵母艦の陥落を狙う! 此方はコア破壊が認められるまで断固として持たせる、各々期待させてもらうぞ!」
「ほいほい。あー下見たらあかん下見たら……そうでもなかったぜよ」
「おいこの期に及んで緊張感を削ぐな!」
 『人生博徒』坂東・仁太(BNE002354)が巨銃を担ぐように構え、他のメンバーと一緒にハッチへ一斉射撃。分厚い鉄板がべきべきと歪み始めた。
 途端、危険を察した大鳳が20m全域に電撃を放射。
 大量の稲妻が走り、問答無用で全員を覆って行く。
「来るぞ!」
「見れば分かるっ!」
 途中でアンナが急制動。光の翼を大きく広げると周囲一帯に聖神の息吹を発動させた。
「全力で行くわ、鼻血出るまで癒されなさい!」
 バリアとはまた違う。
 迎撃弾幕とも趣が異なる。
 神秘戦独特の概念、回復弾幕が展開された。
 稲妻で焼け焦げた部位が、まるで最初から電撃などなかったかのようにリカバーされていく。
 その用をを仮面の下から覗き見て、九十九はスピードを上げた。
 稲妻をかわして飛ぶ、と言えば簡単に聞こえるだろうか。
 九十九はコンマ1秒間隔で変化する数十センチの隙間をするすると抜けて行き、凸凹に歪んだハッチ目がけてショットガンを乱射した。
 ベコンと言う音が響き、ついに僅かな隙間が入る。
 九十九は奇妙にくぐもった声で呼びかける。
「ご武運を。外は私達に任せて下さい」
「どんだけかかるか分からねえが、持つか?」
「なぁに、回避には自信があるんですよ」
 ぬるぬるとした八の字飛行を続ける九十九。この間にも雷を交わし続けているのだから恐ろしい。
「ほんじゃ、お言葉に甘えて」
 仁太がハッチに取りつき、隙間の辺りに巨銃の銃口を叩きつけた。
「零距離射撃とか、浪漫あふれてかっちょええねぇ!」
 衝撃。ハッチがぐにゃりと折れ曲がり、仁太は急速に後方回転しながら弾かれた。
「行けるな」
 『BlackBlackFist』付喪 モノマ(BNE001658)は顔の前で金属手甲をクロスさせた。
 炎を吹き出しながら、ハッチへ向かって全力で加速する。
「そのデカい図体が気に入らねえ! 我が物顔でよその空飛んでんのが気に入らねえ! 本州へ進行するだと? 舐めてんじゃねえぞ、意地でも――」
 激突。モノマ自身が600ミリ焼夷弾頭となりハッチを内側に折り曲げ、格納庫内に無理矢理侵入した。
 その衝撃たるや凄まじく、ハッチ付近に控えていた小型機竜が一瞬で半壊した程である。
「意地でもぶっ壊してやらあ!」
「うあーっ、対策しててもシビシビするー!」
 ワンテンポ遅れて転がり込んでくる陽菜。彼女自身はともかくアハトアハトが巨大過ぎたのでちょっぴり苦労したが、入ってしまえばこっちのものである。
 一度格納庫の床に着地。光の翼を広げて衝撃吸収を図ると、左から右へ砲塔旋回させるように徹甲弾をばらまいた。
「外は修理できても中はどうかなー? 思いっきりお腹の中で……」
 トリガー引きっぱなしで小型機竜を吹き飛ばす。
「あ――」
 10度旋回。スリープを解除した機竜の首を破砕。
「げ――」
 更に10度旋回。飛び立った機竜を壁に叩きつけた。
「る!」
 そんな彼女の頭上をユウがスパイラル飛行。ライフルを寝そべるようにして構えると、前方を塞ごうとした機竜の群に向かってスターライトシュートをぶちまけた。
「全部は倒さなくていいんですよねー」
「そういうこと」
 ユウの後ろにさりげなく隠れていた竜一が翼を羽ばたかせて飛び出す。
 鞘から刀を抜き放つとその場に鞘を放り捨て、柄をしっかり両手で握りしめた。
 分かって貰えないかもしれないので書いておくと、一応気配遮断はしていたようである。厳密な理屈は避けるが、まあバレていた。だから隠れていたとも言う。
 ややバラバラのタイミングで目を覚ました小型機竜が網目のように格納庫を塞ぎにかかる。
 何かを察したのか、隔壁のようなものも下り始めていた。
「させる、っか!」
 刀を上段に構えて振り下ろす。小型機竜を袈裟斬りに両断すると、そのまま隔壁をぶった切った。
 残骸化した小型機竜が吹き飛んでいき、それを器用に避けた機竜が網目を補おうとごちゃごちゃと動いていた。
 コアルームまではまだ距離がある。
 それまで、外が持ってくれればいいが……。

●常識の破壊
 この作戦のキモが大鳳の破壊にあることは、今更言うまでもない事である。
 では何故、わざわざ大鳳の足止めなどと言う任務が並行していたのか。
 それには大鳳の兵器としての特性に起因している。
「後ろに入れ、アンナ!」
「――っ!」
 激しい電撃が、まるで圧力を持つかのようにぶつかってくる。
 雷慈慟はシールドを卵型に展開。背中にぴったりとついたアンナを重点的に保護した。
 一方のアンナは魔道書を開いて聖神の息吹を展開。シールドを通過して地雷道を焼いた分をその場で補っていた。
 高高度戦闘の特徴は、互いに命中率と回避率が下がる分当たりのふり幅が小さくなり、物理防御が全体的に下がると言う所にある。防御にはそれなりに気を使っている雷慈慟であってもそれは例外ではなく、電撃一発でくらうダメージは相当なものがあった。
 だが、なんということだろうか。
 アンナの回復量はそうして受けたダメージを補って余りあるものがあった。マナサイクルとインスタントチャージのお陰で何十分も持つ。これほど頼もしいカバー役も無い。
 そんな彼女はと言うと、雷慈慟の背中越しに大鳳の楕円形フォルムをじっと見つめていた。
 機竜空母・大鳳。戦闘空域を覆う強力な電撃と自己修復機能。単体で長期間戦闘することを意識した武装である。空中、もしくは海上で長期間戦闘となれば、恐らく長距離航行と其れを妨害する迎撃隊との戦闘が考えられる。
 そこまでして長距離を渡ってすることと言えば、内部に格納した小型機竜の解放だ。この戦闘中に小型機竜を外に出して迎撃するかと思われていたが、どうやらそういう志向で作られていないらしい。もし小型機竜と一緒に戦うつもりなら、自己修復ではなく全体修復を行うべきだからだ。
 そこへ来て、この任務における足止めの重要性が出てくる。
 大鳳は電撃や自己修復をする際、全力移動をするわけには行かなくなる。流石にブロックはかけられないが、戦闘していれば移動速度は半分以下に落ちるだろう。
 だがこうして戦闘していなかったらどうなるか?
 簡単である。大鳳は瀬戸内海を渡って本州へ上陸。電撃による一時的な制圧を行い、吐き出した大量の小型機竜によって市街地にいる生命体を根こそぎ破壊する事になる。この生命体をと言うのが重要な所で、家屋や物資はできるだけそのまま残しておきたい。だからこその小型機竜だ。
 つまり大鳳は、人間の住処を軍事制圧するつもりなのだ。
「私達がどれだけ持ち応えていられるか。それが重要よ。内部の小型機竜が大鳳と紐づけされてるのも多分、単体で海を越えてまで移動するエネルギーを持っていないから。上陸した後で大鳳を撃破しても紐づけを解除されて、散った蜘蛛の子を潰すような悲惨な戦闘になる……と、思う」
「推測か?」
「あくまでね。でも持ち応えてるだけじゃダメ。無視して突破されるかもしれない」
「だから私がいる、と言うわけですなぁ」
 くぐもった声がアンナたちの頭上を掠めて行った。
 九十九。全身を薄茶色のローブで覆い、赤茶けたマフラーや複眼じみた仮面を付けた、文字通りの怪人である。
 彼は大鳳のヘッド部分を回るように螺旋飛行すると、首めがけてピアッシングシュートを連射。無視できないダメージだと察したのか、大鳳は電撃を九十九へと集中させた。
 四方八方から意思を持ったかのように集中する電撃。九十九はたちまち追い詰められ、原形が分からなくなるまで真っ黒に焼き焦げた。
 と、誰の目にも見えた。
「――くっくっく」
 ひらひらと宙に舞う布。九十九は大鳳の背を泳ぐように飛んでいた。
 そう、電撃が焼き尽くしたのは彼の残像だったのだ。
「空飛ぶ怪人の恐ろしさを見せてあげますぞ。腹いっぱい銃弾を食らうといい」
 装甲板に1$シュートを乱射する。
 どうやらこの大鳳。人間サイズの相手と戦うことを想定していないのかもしれない。
 武装がやたら大がかりな上、九十九の銃撃に相当な被害を受け、しきりに自己修復をかけている。このチャンネルは人間による空中戦闘が常識ではないのか。
「しかしコレ、どんな世界から来たんですかな。漢字を使ってる以上、似たような世界なのかもしれませんのう」

 一方、大鳳内部。
 十枚目の隔壁を破って、モノマが細い通路に転がり込んだ。
 細いと言っても横幅が10m近くある。
 既に配置されていた機竜が機銃を乱射してきた。
 九九式機銃の20ミリ弾丸が通路を複雑に跳ね、モノマの腹や腕を破壊する。
 しかしモノマはそんなものなど最初から受けていないかの如く機竜の列へと突撃した。
「邪魔だ、退いてろ!」
 焔腕の突撃を受けて機竜が爆発。それに巻き込まれたモノマが力尽きて床に転がった。
 が、すぐにフェイトを消費して立ち上がった。
「くたばってる暇なんざねえ、まだ通すべき意地がある!」
「おなじくー、と言うわけで」
 空中でくるんと前転。通路の中心を塞ぐようにして後ろを向くと、ユウはライフルを腰だめ態勢で構えた。
 双翼を大きく広げる。
「ここはまかせて先に行けー!」
 スターライトシュートを力の限り乱射。
 後ろから猛スピードで追いかけてくる機竜の群が次々墜落し、その後ろから無数の機銃が乱射される。
「すまんっ!」
 仁太や竜一が横を通り抜けていく。
 ユウは涼しい顔をしてライフル弾をリロードした。
 相手の数が多すぎていくら頑張っても通せんぼにならない。なら追ってくる傍から打ち落とすしかないのだ。
「じゃ、アタシも残るね。欲しいものもあるしぃー」
 陽菜がスライディングするように床に着陸。高射砲を豪快に振り上げるとややコンパクトに前後反転。三脚などないので機竜の残骸に乗っけて弾を連射した。
 ユウと併せて弾幕の壁が発生。通路を突っ込んでくる大量の機竜を寄った傍から粉々に砕いて行った。
 何故だか小型機竜は耐久性が低い。そしてスタミナもない。小型のアームや戦闘機用機銃がついているので集団でかかられると非常につらいが、倒す分には簡単だった。
「おっ……?」
 足元に転がってきた機銃をチラ見する陽菜。
 戦闘機用の機銃なので当然トリガーのようなものはない。長さ2m弱、子供程の重量があり、でこぼこした筒様な形状をしていた。
「ええと、何だっけコレ。見たことある、気がする?」
 異世界の技術のくせに、やけに既視感のある武器だった。
 この時点では気づいていないが、九九式二〇ミリ二号機銃四型と呼ばれる武装で、かつて日本で実用されていたものと酷似していた。
 当然と言えば当然だが、アハトアハトの方が全然強い。口径も弾も上である。神秘の武器なのであまり関係ないが、重火器好きの陽菜としては口径の大きさは外せないポイントだった。
 だが一番引っかかったのはそこではない。
「っていうか、なんでガチの帝国技術?」

 通路の幅が徐々に細くなっていく。
 天井を壊して先回りして邪魔しようとする小型機竜を跳ね飛ばし、竜一は床を駆けた。もう飛んでいるより走った方が確実な細さになって来たのだ。その上床や天井の材質が鉄から木に変わっている。
 そこから導き出される答えは少ない。
 こちらの人間と同じようなサイズの生き物がコアを操作している。それは恐らく地面を歩くタイプの生き物で、身長は1m半から2m半。重量は60前後。つまり人間に近い生き物が、大鳳を兵器として扱っていると言うことだ。
「いや、細かい考えは後だ。この国に空爆なんてさせてたまるか!」
 竜一は機竜をぶった切り、モノマ達と一緒にスチールドアをけ破った。
 そして、先にある光景に唖然とした。
 正十二面体が、部屋の中央に浮いていた。
 直径およそ3m。青白い光を放ち、複雑に三重回転している。
「これがコアか」
「下がっとれ!」
 竜一の横をすり抜け、仁太がパンツァーデュランを構える。足場固定。標準固定。コアに向かって残弾を考えずに撃ちまくった。
 竜一とモノマも意を決し、コアに直接殴りかかった。
「大鳳、てめぇはここで燃え尽きやがれ!」
 殴られたコアが少しずつ欠け始める。

 コアを殴り続ける竜一たちの破砕音。
 通路上で乱射を続ける陽菜たちの銃声。
 外で電撃を凌ぎ続ける雷慈慟たちの声。
 彼らの声が、距離を越えて重なった。
「「う――おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」
 そして、大鳳のコアは破砕した。

●芸予要塞上空
 大鳳と小型機竜は全て砂レベルにまで砕け、瀬戸内海へと落下して行った。
 中には砕けきらなかった機銃なども含まれていたが、そんなことを気にしていられる余裕はない。特に大鳳内部にいたメンバーは崩壊を始めた大鳳から死に物狂いで脱出し、駆けつけた支援スタッフによって救助されたのだった。
 大鳳は小島上空から本州へとやや湾曲しつつ移動していたが、実害の無いエリアで崩壊。万事無事に解決されたのだった。
 世界は一時、平穏を取り戻した。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
お疲れ様でした。世界への被害はほぼゼロ。
人々には変な気球が飛んでいただのUFOを見ただのという危険の無い話に落ち着くでしょう。
今回は、さりげなく用意された悲劇フラグを潰したアンナさんにMVPを送ります。

これまでの経験が未来でいかに役立つか……それは、その時になってみなければ分かりません。