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しっとりすべすべ、美人の湯

●温泉につきもの
 山中に美人の湯として名高い温泉がある。
 そこに少々はた迷惑な客がいるのだという。
「温泉って言ったら何を想像する?」
 温泉卵。売店。露天風呂。混浴があるなら恋人とのきゃっきゃうふふ。
「……猿がね、出るそうなの。エリューションなのだけれど」
 山中の温泉に猿。
 テレビで見られそうな光景だ。
「全部で五体よ。一般客に被害が出てるけど、フェーズ1だからそれ程強くはないわ。
 ちょっと凶暴な野生猿……位の認識で大丈夫。
 でもエリューションである事は間違いないから退治をお願いしたいの」
 主な攻撃手段は引っかいたり噛み付いたり物を投げたり。
 知性は普通の猿と変わりない。少々力が強いだけらしい。
「退治自体はすぐに済むと思うから、後は各々温泉を堪能してきたらどうかしら。
 猿が出るのは混浴で女性が狙われやすいわ。
 雄だからかしらね」
「猿の被害を受けて温泉は一時的に閉館してるの。つまり、倒した後は貸切。
 温泉饅頭とかも美味しいらしいし、ちょっと退治してきてくれないかしら?」
 温泉経営者からの絶対のお願いはお湯を出来る限り汚さない事。
「食べ物で釣れば温泉から出てくるんじゃないかしら」
 運がよければ普通の猿や他の動物が湯に入りにくるのを見ることも出来るらしい。
「あんまり肘肩張らなくていいと思うけれど、油断はしすぎないでね。
 温泉は美肌効果があるらしいけれど……猿も美肌になるのかしら」
 最後は独り言でフォーチュナーの少女はそう締めくくった。



■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:秋月雅哉  
■難易度:EASY ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2012年04月23日(月)23:50
戦闘より温泉を楽しむのが主旨のシナリオです。
混浴のほかに男女に分かれた浴場があります。
フェーズ1の猿のエリューション×5の撃破が成功条件。
知性は低いので餌で簡単につれます。
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
ナイトクリーク
リル・リトル・リトル(BNE001146)
クロスイージス
フィオレット・フィオレティーニ(BNE002204)
ソードミラージュ
ルカルカ・アンダーテイカー(BNE002495)
覇界闘士
李 腕鍛(BNE002775)
ナイトクリーク
六・七(BNE003009)
スターサジタリー
桜田 京子(BNE003066)
ホーリーメイガス
氷河・凛子(BNE003330)
ダークナイト
小松 知世(BNE003443)

●温泉はマナーを守ってご利用ください
 山中の温泉、と聞いて何を思い浮かべるかは人それぞれだろう。
 温泉饅頭や温泉卵といった食べ物。
 宿で供される郷土料理……つまるところ食べ物。
 混浴があるなら恋人同士のきゃっきゃうふふや新しい出会い……なかなか見つかるものでもないですが!!
 そしてその中には。
 猿を初めとする野生動物が浸かりに来ることを売りにする温泉も、確かにある。
 あるのだが。
 その温泉に来るのはフェーズ1とはいえエリューションビースト。
 しかも知性は野生の猿に劣り、マナーを守らず自分がよければ他はどうでもいいという傍若無人ぶり。
 一般の客に怪我人が出る事態が起きて温泉側は臨時休業の札を泣く泣く出したものの、猿たちは温泉が気に入ったのか立ち去る気配がない。
 むしろ誰も来なくなったのをいいことに好き放題する始末だ。
 アーク本部にエリューション退治の依頼が持ち込まれ、八人のリベリスタが温泉に向かったのだった。
 春が来たとはいえさすが山中。
 まだ彼方此方に雪が点在している。
 合掌造りの古い温泉宿――恐らく露天方面――から実に喧しい鳴き声が聞こえてきて一同は眉を寄せた。
「申し訳ございません、猿が暴れているため臨時休業中でして…」
 扉の前に立った八人に宿の主人と思われる老人が深々と頭を下げて謝罪する。
 その猿退治の依頼を受けて来たのだといえば下げられた頭の角度は深くなるばかり。
「あ、有難うございます!!
 猿が来て以来お客様をお出迎えもできず食料庫は荒らされ、このままでは一家心中の憂き目に……」
なかなか切羽詰っていたようだ。
「ではご案内いたします。
 ……できれば、お湯は汚さないでいただけると……」
「分かってるッス。任せて欲しいッス」
『小さな侵食者』リル・リトル・リトル(BNE001146)がぐっとこぶしを握って応じる。
「ではご案内させて頂きます」
 宿の主人の先導で混浴へ向かうにつれ、かまびすしい鳴き声が、耳に聞こえてくる。
 猿たちは今日も温泉を独占しているようだ。
「ビバ!
 温泉!
 お仕事でしかも終わったらタダ!
 ……こういうことをポンとできるあたり時村財閥って凄いよねー……」
少々不謹慎な言葉を勿論温泉宿の主人には聞こえないように、何故か遠い目をして呟くのは『静かなる古典帝国女帝』フィオレット・フィオレティーニ(BNE002204)だ。
「猩々湯けむり揺蕩う山麓。
 染まる吐息に、傅く雫。
 憐れむ卒塔婆の溜息ひとつ。
 不条理抱いて沈む夢。

 なんだっけ?ルカ湯治にきたの。
 あれでしょ?美人の湯。
 やばいわ、ルカさらに美人になっちゃう。
 マジぱねー」
 夢の中……というか自分の世界に入って歌うように呟く『シュレディンガーの羊』ルカルカ・アンダーテイカー(BNE002495)にフィオレットが親指を立てる。
「混浴でござるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!
 超混浴!ビバ混浴!にははははは。
 ふぅ。ハッチャけるのはこのぐらいにして、猿の討伐に向けて気を引き締めるでござるよ」
 温泉目当てだと隠す気がなかったのは『女好き』李 腕鍛(BNE002775)だった。
 その声の大きさに宿の主人がびくりと体を震わせる。
(任せて大丈夫なのだろうか……?)
 そんなことを思ったのかどうか。顔に出さない辺りは流石です。
「温泉。うふふ、おんせーん。たまご。お饅頭。
 もうちょっと暑くなって来たらのんびり浸かるの厳しくなっちゃうからね。
 今くらいの季節もおつなもんだよねえ」
 此方も隠す気がなさそうな『本屋』六・七(BNE003009)は鼻歌交じり。
 宿の主人は恐らく冷や汗を掻いている頃だろう。
「温泉に猿、世の為人の為に放っておくわけにはいきませんものね!
 べ、別に楽しみにしてたりしないんですよ?
 猿退治後に本当に安全かどうか、ちょっと温泉に入って実証するだけなんですからね!」
 前半だけなら宿の主人を安心させただろう言葉は後半によってやはり不安をあおる。
『さくらふぶき』桜田 京子(BNE003066)は屈託なく笑った。
「温泉に出る猿ですか。
 ただの猿でも厄介ですが、エリューション化したとなると大変ですね。
 人間とイザコザもあったのでしょうが……世界のためにも退治させて頂きます」
 生真面目にメガネを上げて言う『境界の戦女医』氷河・凛子(BNE003330)の言葉に宿の主人は少し平静を取り戻したようだった。
「ではこの先が猿の出る混浴です。お足元にお気をつけて……。
 宜しくお願いいたします」
 深々と頭を下げて、宿の主人退場。
 鳴き声はいっそうかまびすしい。

●悪い猿にはお仕置きを
「えさは果物系がよろしいかと思いまして、バナナやリンゴを持ってきましたわ」
 洗い場に果物を置きおびき寄せる準備をする小松 知世(BNE003443)に倣い、他のメンバーも湯から離れた場所にそれぞれ持参のえさをおいていく。
「温泉卵を作るのでござる!!
 実験なのでござる!!」
 温泉卵は65℃~68℃の源泉でなければ固まらなかったのではないか、と誰かが思ったがその盛り上がりっぷりに口を出せない。
「あ、エリューションきましたよ!」
 警戒心を解くため物陰に隠れる必要もなく、猿のエリューションビーストが寄ってくる。
「うき、うききっ」
「うっきー」
 わらわらとえさに群がる猿たち。
「お猿、エリューションじゃなかったら一緒に入ったりしたいものだけど。
 ちょっと残念。
 さっさと退治してしまいましょうか」
 七の言葉に流石にリラックスモードから戦闘モードへ。
「うき?」
「ききーっ!」
「あー、うるさいッスねぇ!」
 真っ先に動いたのはリル。
 メルティーキスで死の刻印を刻み込む。
「猿って一部天然記念物がいるからねー。撃つと犯罪……と思ったけどアークは治外法権機関だしおおっぴらに執行しちゃいましょう。害獣は駆除だー!ヒャッハー!」
 ロングスピアにバナナ(100g98円)をぶら下げていたフィオレットはジャイアントスイングからの魔落の鉄槌。
「ぐきゃ……」
「ききーっ! うっきーっ!!」
「さてお仕事よ。おさるたいじなの」
 ルカルカの放ったアル・シャンパーニュが華麗にして瀟洒な無数の刺突を繰り出す。
 ちゃっかり温泉卵をセットし終わった腕鍛は業炎撃をメインに、逃げようとする敵には斬風脚で攻撃。
 残りは二体となった。
「じゃあわたしも……メルティーキスをあなたにあげるわ」
 七が告げ、新たな死の刻印が刻まれる。
 シューティングスターを使用した後アーリースナイプの魔弾で打ち抜く京子。
 集中攻撃を受けている最後の一体を凛子のマジックアローが射抜いた。
 続いて知世の暗黒。
 最後の一体もそれで地に伏したのだった。
「呆気ないッスねぇ」
「無事に終わるならそれが一番ですよ」
「さぁ、温泉に入りましょうか」
「その前に埋葬しなきゃ」
 宿の従業員が手伝いを申し出てくれ、エリューションビーストと化した猿たちは埋葬された。

●温泉はマナーを守って使用しましょう
「今日のルカは穿いてないしつけてない。
 最近えっちがたりないのよ。
 だからルカはこのえっちのたりない三高平に一陣の風を吹かせるの。
 エロはお金になるのよ。
 世の中銭よ。
 地獄の沙汰もカネ次第なの」
「はい、貴方は女湯ね」
「どうしてなの!?」
「当たり前でしょう。混浴では水着着用がマナーよ」
 窘められてルカルカは一人女湯へ。
「あ、李さんは別でお風呂に入っていただけますか?
 だってほら、女性のほうが数が多いですし。
 あまり、殿方に肌は晒したくありませんし…。
 覗いたりしたら、容 赦 い た し ま せ ん か ら ね ?」
「むごいでござる!お酒やジュースも用意したのでござるよ!?
 大体リル殿だって男ではござらぬか!!」
「リルさんは私とはいる約束をしていますから」
 凛子がおっとりと口を挟む。
「ならば拙者も混浴に入るでござるっ……!!」
 血涙を流しそうな腕鍛。
「……仕方ありませんね。私も女湯に行きます……」

●混浴にて
 洗い場ではリルと凛子が背中のあらいっこをし、仲むつまじい様子を見せる。
 タオルはセーフかアウトか微妙なところだといわれた京子も混浴へ。
「とにかく、山中と言ったら秘湯!温泉の気持ちよさはお猿さんが証明済みですし、美容にも良いと聞きました!
 それに最近鬼とかの騒動とかで、なんだかんだ疲れてますので、ここで癒されたいと思います!
 あ、良かったらどなたかお背中流しましょうか?
 個人的には凛子さんの背中でも流したいなぁって」
「ふふ、ではリルさんと半分ずつお願いできますか?」
「はい!」
「眼福でござる……あ、温泉卵!」
 腕鍛が温泉卵を試しに割ってみると……やはり温度が足りなかったのか温まった生卵状態だった。
「……無念でござる……」
 ボーダーのタンキニを着た七はゆっくりお湯に浸かって思い切り手足を伸ばす。
「家のお風呂じゃこうはいかないからねぇ……幸せ。
 こんなに気持ちよくって肌も綺麗になるなんて最高じゃない?
 普通のお猿とか、野生動物とかいたりするのかなあ」
「はー……いきかえるわー」
 同じく大きく伸びをするフィオレット。
 七の背後に忍び寄って胸を鷲づかむ。
「きゃあっ!?」
「男子にサービスだよ」
「クリティカルヒットでござる!!」
「もう、何するの!!」

●女湯にて
「賑やかですねぇ、向こう」
「そうだね」
「……胸の大きい方が羨ましいですわ。
 一体何を食べてどうしたらそんな胸になるのでしょう?
 ぜひ、ご教授して頂きたいものです……」
「おい、なんつった、膨らみないってだれがなんつった」
「だ、誰も言ってませんよ!」
 セクシーポーズを知世に向かって披露していたルカルカが逆ぎれる。
「次は任務ではなく普通に来たいですね……」

●温泉のあと
「湯あたりしたッス~……」
 リルを膝枕して凛子がうちわで扇いでやる。
「ちょっと入りすぎましたか?」
「くらくらするッス……」
「落ち着いたら瓶牛乳をいただきましょうね」
「はい、飲むッス!」
「温泉饅頭を買って帰ろうかしら……」
「膝枕……いいなぁ」
「やってもらったらどうですか?」
「邪魔しちゃ悪いし」
 凛子とリルの様子を見て呟くフィオレットに京子が声をかける。
「あの、胸を大きくするには何を食べたらいいんですかっ!?」
「そうだねぇ……特別気にした事はないけど……」
「そうですか……」
「隠すの、よくないわ」
「隠してるわけじゃなくて自覚がないのだけれど」
「もっと悪いわ」
 知世とルカルカに質問責めにあって困る七。
「あ、泉質確認に行ってくるよ。思い出したら教えるから、ね?」
「逃げられた……」
「逃げられましたね……」
「温泉卵、作ってみたかったなぁ……」
 もっと高温でなければうまく固まらないと聞き残念そうな腕鍛。
 土産として買ったのは勿論温泉卵だ。

「本当にありがとうございました……おかげ様で営業を再開できます」
 宿の従業員一同に深々と頭を下げられる。
 めいめい温泉饅頭や温泉卵などのお土産をしっかり持って帰路に着く頃だった。
「どう致しましてッス」
「温泉は気持ちよかったですし牛乳も美味しかったですよ。
 これから大変だと思いますが頑張ってくださいね」
「膝枕ボクもやって欲しかったなぁ……」
「フィオレティーニに膝枕……ですか。帰ったらしましょうね」
「温泉卵を作れなかったのが無念でござる……」
「……混浴は水着……覚えたのよ」
「次は女性だけできたいですねぇ」
「女湯に行けば問題ないんじゃないの?」
 それぞれ感想を言い合いながらアーク本部へと戻っていく。
 こうして温泉の平和は、守られたのだった。

「のんきな方々だったが……腕は確かでしたね」
「えぇ、お陰で助かりました」
「今後は凶暴な動物が出没しない事を祈るばかりですね」
「何せ山の中ですからねぇ……熊が出たら一大事ですし」
「あの猿たちは一体なんだったのでしょうね。普通の猿とはどこか違っていたような……?」
「そうですか?私は特に何も感じませんでしたが……」
「普通の猿より悪質だったのは確かですね」
「あぁ、それは確かに」
「……お願いしたお陰でお湯が汚れなかったのは幸いですね」
「全くです。埋葬を申し出てくださいましたしね。猿の食べかすを片付けるのも手伝ってくださいましたし…親切な方たちでしたね」
「次は純粋に温泉を楽しむためにお越しいただきたいな……」
 リベリスタ御一行が帰った後は営業再開のための掃除の最中、そんな会話が交わされていたとかいないとか。
「……私の代で潰す事になったらご先祖様に申し訳が立たなかった。
 本当に有難いことだ……」
掃除を続ける中、手伝いを断られた温泉宿の主は八人が去った方向に向かってもう一度深々と頭を下げたのだった。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
お付き合い頂き有り難うございました。
楽しく書かせて頂きました。
また機会があれば宜しくお願い致します。