●三高平センタービルにて その時芝池は、天井に取り付けられたスプリンクラーを、じーとか、見ていた。 梯子を二段くらい上った所で、棚の上の方にあるダンボールを見上げ、ようとしたら、何か視線が行き過ぎて、気がつけばもうスプリンクラーガン見みたいな、どうしてそうなったかは全く分からないけれど、とにかくじーっと、見ていた。 そして、もし今ここで、自分が何らかの小規模な火災的な物を発生させてしまって、煙的な物を発生させてしまったら、あのスプリンクラーから水とか出て来て、誰かに怒られてしまうかも知れない、とか、無駄な妄想を、どういうわけか、した。 そしたら、でもスプリンクラーって何処からどんな風に水が出てくるのかしら、とか、気になり始めて、絶対駄目なんだけど小規模な火災的な物を発生させたい欲望とか凄いむくむくしてきて、わーやってしまったらどーしよー、っていうか、わー怒られたらどーしよー、って、全然無駄に焦りまくって、全く意味のないパニックに陥りかけた頃、ガッ、とかいきなり、腰を掴まれ、ギョッとして、パニックの勢いのまま、ガッ、とか、凄い形相で振り返った。 ら、「やあ、芝池君」 とか何か、全然「やあ」な感じのしないふわーとした感じで言われて、何か一瞬、頭が真っ白になった。 「やっと見つけたよ」 彼は、言う。 暫くしてその、相変わらず何を考えてるか分かんない覇気ない感じの美形は、地下のアーク本部に所属しているフォーチュナ仲島だ、とか、やっと気付いた。 というか、我に返った。 「はー」 だいたい、何で探されてるかが既に分かってなかったので、とりあえずそう間延びした声で、言う。「見つけた、って、何ですか」 「うん、頼みたいことがあるんだ」 とか言った顔を、ちょっと、ぼーとか、見下ろす。 「いや、こんな倉庫くんだりまで探しに来て頼み事とか、どんなけ暇なんですか」 「でももしかしたら、凄い重要な頼み事だったかも知れない」 「それだけは絶対ない予感がしたんで」 「あー鋭いね」 「あ、認めちゃうんですね」 「また、依頼で配る資料を作って欲しいんだよね」 「嫌です、忙しいんで」 「きみ、アークの総務なんでしょ」 「はい。アークの総務職員です。そして今は、会議で出すお弁当につける、味噌汁のお椀が急遽、足りなくなったので、倉庫に取りに来てるわけです」 「うん、別に聞いてないけども」 「ですよね、何か言いたくなっちゃったんです、すいません」 「とにかくそんな、くっだらない味噌汁のお椀とか倉庫に探しに来ちゃうくらい、君は総務なわけでしょ」 「探しに来ちゃうくらい総務って表現がもう既に分かってないんですけど」 「総務とは言えば、総務でしょ。総務なんだから、何でもありだよ、何でもしちゃえばいいよ。俺の頼んだ資料だって作っちゃえばいいよ」 「はーでも、直属の上司とかに言われるならまだしも、仲島さんにだけは、絶対それ、言われたくないですよね」 「それで芝池君さ」 「はい」 「とりあえず、梯子から、降りてみない」 「そうですね、降りてみます、用事が済んだら」 とか言いながら、とりあえず棚上のダンボールを取り上げ、持ちあげた。 その間にも、仲島は、生態を観察するべき動物を眺める研究者みたいな顔つきでぼーっとか芝池を眺めながら、「今回も、依頼の内容は、単純なエリューション討伐依頼なんだけどね」と、早速話出した。 「あのすいません仲島さん。一つだけ、いいですか」 「うん、何だろう」 「いや何か、手伝おうとかいう気は、全くないんですよね」 「ないね」 ってそんなきっぱりと言われたら、もう何も言ってはいけない気がした。 「あ、そうですか」 「でね。釣り堀に出現するエリューションを討伐して欲しいっていうのが、今回の内容なんだけど」 「はー釣り堀ですかー」 って興味ないです丸出しの返事をしながら、芝池は、お椀をダンボールから取り出したりする作業をする。 「公園の中にある、周囲をフェンスで囲まれた釣り堀で、釣り具を貸し出しする小屋があって、釣り堀は、西と東に一か所ずつ、ある」 そしたら、興味ないとか興味ないですー、丸出しの口調で仲島は、どんどんと話を、進める。 「目標はこの釣り堀のため池の中に出現することが分かっててね。だから、何とかして外へとおびき出すのか、ため池の中に入って戦うかは、任せるって事で。水は、だいぶ汚いけどね。むしろ、おびき寄せるために、水の中に入る、という作戦もあるかも知れないけど、とにかく水は、だいぶ汚い」 「よっぽど汚いんですね」 「あと、向かって貰う時間帯は夜だけど、アークの方で話をつけてあるから、電気とかも通ってるし、そういう準備の心配はして貰わなくてもいいかもね。討伐だってことはもちろん知らせてはないけど、釣り具とか餌とかも使用できるようにしてあるから、必要なら使って貰って構わない」 「でもそれわりと経費のかかりそうな依頼なんで、経費を管理する総務としては、この話、とりあえず丸々聞かなかった事にしても、いいですか」 「いいけど、君の秘密の恋を相手に暴露しちゃうとか、そういう嫌がらせはするけど、いいよね」 「いいよねって、そんなマイルドに脅されて、いいですよ、って言わないですよね」 「ごめんね、嫌がらせしたくて」 「何でそんな嫌がらせされなきゃならないか分からないんで、泣いていいですか」 「芝池君の困った顔とか見るの、好きなんだもん。しょうがないじゃない」 ってそんな全然覇気のない表情で言われても、むしろ怖いだけで、どうしていいか全然分からなかった。 なのでとりあえず芝池は、「移動してもう一回ちゃんと聞いていいですか。だいたい、この状況じゃメモも取れないですし」と、話を変えることにする。 「あ、脅したらやる気になった」 「諦めたんです」 「敵はE・ビースト化した魚が8匹と、何だか良く分からないノーフェイス2体の計10体だからね。フェーズは、ノーフェイスが2だね。E・ビーストの方は、1程度だから、こちらは数が多いだけで、雑魚として見て貰っても構わないんじゃないかな。E・ビーストの主な攻撃行動は噛みつきで、ノーフェイスは武器を扱う」 「はー、無理だって言ってるのにまだ続いちゃうんですね」 「メモは、頭の中に取ればいいから」 「ってそんなさっくり言われたら、もう何も言えないですよね」 芝池は、途方に暮れたような表情で、呟く。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:しもだ | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年04月21日(土)23:49 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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● 釣り具小屋からとりあえず、みたいにして持ち出した釣り竿を見つめ、『深紅の眷狼』災原・闇紅(BNE003436) は、「釣り、ねえ」とか何か、正直、退屈なのは余り好きじゃないのよね、みたいに、呟いた。 そしたらそれをどう受け取ったのか、『仁狼』武蔵・吾郎(BNE002461) が、「おう、俺もどっちかっていうとちまちました事は苦手だからな。でも、ほら、こんなもんあったし、持ってきたぜ」 って、網漁でも始めるんですか、みたいな大きな網とか持ち出して来て、その場に、ばぁさーっとか、広げ出した。 「だから、こう、あんまり場が滞ってきたら、これで一気に、だな」 と、確かに、海の男だぜ、漁師だぜ、みたいなゴリマッチョの吾郎にはその網がとっても似合っていたのだけれど、紅闇が言いたかったのは、そういうことでは全然なくて、むしろ、網漁なんて益々面倒臭い予感がするとか、思ってはいるけど言ってはいけないような空気に、とりあえず目を、逸らした。 そして見つけたその人に、何か、ちょっと、え、ってなった。 とか、自分の言葉にリアクションがない事を不審に思ったのか、顔を上げた吾郎も、同じように、小屋から出て来たその人物を見つけ、ちょっと、え、っとなった。 「うむ。では、エリューション釣りに取りかかるとするか」 『刹那たる護人』ラシャ・セシリア・アーノルド(BNE000576) が、二人の視線に全く気付いてない顔で、飄々と、言った。 「エリューションとは言え、元々は釣り堀の魚なのだろう? 水中は敵の思うままだろうし、できるだけ水上で処理出来るよう、励もう」 そして隣に立っている浅倉 貴志(BNE002656) に顔を向ける。 「そうですね」 と貴志は、真面目な顔で答えた。 「釣堀に居るエリューションとは、また奇妙な所に出現したものですが。とは言え、一般人の利用もあるところですので、速く退治しませんと」 「うむ。その通りだな」 って二人が凄い真剣なのは分かるのだけれど、むしろ、真剣過ぎるが故なのか、二人の格好がびっくりするくらい釣り人で、釣り人で、釣り人だった。 もう何処の川や海に行っても通用するような、どんな激流の場所でも凄い大物を釣り上げそうな服装の、そのあんまりの釣り人っぷりに、若干釣りを舐めていたとしか言わざるを得ない二人は、え、と言葉を失う。 とか何かやってたら、小屋の方から、 「では僕も釣り具を借りよう。一番いい釣り竿を頼むよ、綿谷君!」 と、『ノイジーイーグル』有木 ダンテ(BNE002480) の声が聞こえて来て、痩身の青年が姿を現し、 「はい、そうするとですね。こっちですかね。いや、こっちかな……あ、ルアーフィッシングより、のんびりウキ釣りの方がいいですよね!」 と、その後ろから、小柄で華奢な『羊系男子』綿谷 光介(BNE003658) が、二本の釣り竿をわたわた抱えながら、姿を現した。 「まあ、それはどちらでもいいけどね。とにかく僕は、今回は思う存分楽しみながらお仕事をさせて貰うつもりだからね」 「はい。のんびりウキ釣りを楽しみましょう! むしろ、ボクは、ウキ釣りが好きです!」 って仕事ともー全然関係ないけど、光介は元気いっぱいに言いきり、それから、ハッと赤面する。 「……じゃなくて! ダメだよ、依頼に集中しなきゃ! これは仕事。仕事です、仕事……」 そしてぶつぶつと自らに言い聞かせるように呟いてから、やっとこさそこに立つラシャと貴志の格好に気付き。 「凄い……何て本気の格好なんだ」 「いえまあ、僕も……たまには楽しみたいですからね」 ゆっくりと振り返った貴志は、にこりともせず、真面目な顔つきで、言った。 「釣りと聞いたから、釣り人っぽい格好でもしていこうか、とな」 ボンキュッボンの抜群のスタイルで、釣り人の衣装を着こなしちゃってるラシャも、やっぱり全然にこりともせず、むしろそれが何か、くらいの感じで付け加える。 「なるほど。楽しむ時も、真面目、ということですね」 衝撃を受けました、みたいに、光介が一瞬、仰け反った。「勉強になります」 「うん綿谷君。その受け止め方は、何か、どうだろう」 って思わずみたいにダンテが指摘した所で、今度は、 「釣堀に出没するエリューションですか」と とか何か、実地調査に来た役所の人、みたいな感じで『子煩悩パパ』高木・京一(BNE003179) が姿を現した。 背後に居る『閃拳』義桜 葛葉(BNE003637)を振り返り、「C級位のホラー物には有りそうなシチュエーションですけどね」と、世間話でもするかのように、言う。 「本当に。釣り堀の魚がまさかエリューション化するとはな」 「まあ、釣り堀はのんびりと釣りを楽しむための憩いの場ですからね。早々に退治しませんと、おちおち釣りもしていられないです」 沈着冷静な無表情の仮面を張り付けた京一が、あれ? 絶対行政的な機関とかの人ですよね? みたいな口調で、そつのない返事をした。 「そうだな。とりあえず、先ずはE・ビーストの撃破だ。西側の釣り堀からだったな。地道に釣り上げる所から頑張るとするか」 「そうですね」 と、役所の人、もとい京一が、そのような予定ということでそろそろ着工を開始しても宜しいでしょうか、みたいに、一同を振り返る。 「あ、はい」 ここって役所の新社屋建設現場とかだったかしら、と、光介は、一瞬そこが何処か分からなくなりかけた。 ● そして夜釣りは始まった。 のだけれど、開始して一分くらいの所で闇紅は既に、飽きていた。 むしろ、四角いため池を取り囲むようにして、8人のリベリスタ達がぼーっと釣り糸を垂らしている、とか、良く考えたら何だこれ、っていうか、凄い変な光景に、見えた。 とか、もー完全に何か我に返ってしまった気分の闇紅には、集中する事は最早できなくて、どうして皆がそんな平気そうな顔で釣り糸を垂らしているのか、誰もこの事態を可笑しいと思ってないのか、どうしよう、何かもう全然分からない。って、退屈に追いつめられ過ぎて、若干精神が病みかけたまさにその時。 「戦闘のためとは言え、釣竿を握るとは思いませんでしたよね」 って、釣り人、もとい、貴志が、不意に、言った。 え、声出して良かったの。と、まずそのことに闇紅は驚き、でもあんなに俄然釣り人な人が声を出しているのだからきっといいのね、と納得し、それならそれでもっと早く言ってくれればいいのに、って、まだ一分しか経ってないけど、思った。 「まあ、こうしてのんびり釣れるのを待つのもいいが」 ラシャが、でもそうばかりもしてられないかな、と周りの状況を窺うように、言う。 そこでふと葛葉が、そう言えば、みたいに、 「鯉は解らないが、ブラックバスなどは、物陰などに大物が潜んでいる事が多いとも聞くぞ」 とか、言った。 「ふむ。物陰と言えばあの辺りかな。では私はその辺りを、超直感で探ってみようか」 さっそく釣り糸を引き上げ、ラシャは場所を移動する。 「そうですね。では僕も、熱感知であの辺りを警戒してみましょうか」 貴志がそれに続き、 「では、俺達はその辺りを集中的に」 とか、わりと合理的にのんびりムードで釣りを行う三人の向かいでは。 「えーと、ヘラウキと練り餌でいいよね。鯉を狙うなら底釣りで……」 とか何か、借りて来た道具を真剣に眺め、検討し、準備し、釣りに取りかかろうとする光介の姿がある。 「では、ダンテさんはこちらを使って下さい。ええ、このままこう、垂らします。はい、そっとです、ええ、そっとです!」 普段見掛ける、か弱い不安げな面持ちとか嘘みたいな熱意でレクチャーとかされて、隣でぼーとか、まーゆっくり夜釣りと洒落込んでー、くらいに座っていたダンテは、謎の熱意がむんむんっていうか、謎の熱意で瞳が爛々っていうか、とりあえず全然どうしていいか分からない。 ので、「え、あ、うん」とか、言われるがまま竿を握り、言われるがまま池にぽちょんし、言われるがまま、ぼーとか眺め。 「でもほら綿谷君。まあ、そんなに力を入れなくても。ほら、多分こうすれば、血の匂いにつられて勝手によってく」 って、軽く自分の指でも切って血を垂らせば、みたいに、自分の手とか切ろうとしたら。 「だめー!」 と慌てたように駆けつけた光介に、さっそく、だーん! とか、阻止された。 「え、あ、うん」 って、若干弾き飛ばされた格好で、何この小動物、みたいに、とりあえず、見つめた。 「そんな危ない事をしなくても、きっと魚は釣れます! 僕に任せて下さい。いいですか。まずこう、ウキを投げ入れ」 華奢な体から、得体の知れない集中力が、発散する。大きな瞳が、ウキの先をガン見。 そして、ほんの僅かに、ウキが潜った瞬間! どりゃあ! とばかりに、すかさず瞬時に、早アワセ、竿を立て、がらがらがらがら、とリールを巻き巻き。 「フィーッシュ! やったぁ! って、うわわっ、誰かぁ!!」 って、そこに居る魚がエリューションであることを忘れて喜び、でも噛みつかれそうになって現実を思い出し、驚き、怖がり、へっぴり腰になり。 と、数分の間に、何か、いろいろやった。 とかいうのを、アラー大変そーですねー、みたいに、にこにこ見やったダンテは、 「はいはいご苦労様でした。良くやったね、綿谷君。あとは、任せたまえ!」 待ってました、とばかりに釣り竿をバスタードソードに持ち替え、前衛へと歩み出る。 「こんばんわーのさよーならー」 歌うように口ずさむ彼は、赤茶色の髪をなびかせながら、剣をなめらかに操った。「早速で申し訳ないけど、君は三枚おろしだね」 メガクラッシュを発動した輝く刃が、みるみるうちにE・ビーストの体を切り裂いて行く。 「ブラックバスの三枚おろし、かーんせーい。さあ綿谷君。その調子でどんどん釣り上げてよ!」 そして同じ頃、ため池の他の個所でも、次々にE・ビースト鯉、や、ブラックバスが、釣り上げられていた。 というか、吾郎の網で、何匹か纏めて陸にブワァサァ! っと、そこへ勢い良く駆けつけて来たのは、気合いの入ったトップスピードを発動した闇紅で、 「待ちかねたわよE・ビーストめ……。ふふふ……此処からが本場よねっ!」 これでやっと暴れ回れます! みたいに、ソニックエッジの攻撃を開始する。 小太刀から放たれる、澱みなき連続攻撃。何処の板前よりも、華麗かつ、斬新に、魚を次々と下ろしていく。 その間にも、海の男のような豪快さで網を投げつけた吾郎が、「あっちでも跳ねたぞ!」と、水面を指さし声を上げている。 京一が、すかさずそこで、翼の加護を発動した。 「支援はお任せ下さい」 「ナイスタイミングだ!」 一時的な飛行能力を受けた吾郎は、水面をずさーと滑るように走り、バスタードソードから繰り出される幻影剣で、飛び跳ねた魚を鋭く、突き刺す。 またその向かいでは。 葛葉の釣り上げた魚の動きを、流れる水の如き構えで見定めた貴志が、魔氷拳を繰り出し、ピキッと凍っちゃった所を、ラシャのグレートソードが、バリッと一閃の内に撃破。みたいな、缶詰工場の如き、なめらかな連携プレイが行われていた。 「これで、二匹目!」 葛葉が、戦場と化した釣堀を見渡し、声を上げる。「そろそろ、E・ビーストは仕舞いの頃会いじゃないか?」 ● 「皆さん、東側から、ノーフェイス出現です!」 そこで、京一の鋭い声が飛んだ。 繰り広げられる戦闘の、血の匂いやら戦場の匂いやらにつられて来たのか、東のため池から、ノーフェイス半漁人が姿を現したのだ。 京一は仲間達に向け、守護結界を発動する。これまでの魚達とは違い、こちらはフェーズが2だと聞く。多少なりとも警戒が必要と判断し、瞬時に防御結界を展開。仲間達の防御力を高める事に努めた。 その間にも、颯爽とまず飛び込んで来たのは、小太刀を振り上げた闇紅で、 「あははははっ! ほらほら! もっとあたしを楽しませなさいよ! あはははは!」 って何かもう、退屈の反動で完全に壊れているけど、誰にも止められない。 「此処まで苦痛を与えてくれた分をたっぷりとお返ししてやるんだから……! だから……! だからー!!!」 そうだ彼女は、もう自らが倒れるか、相手が倒れるかまで、ソニックエッジの連続攻撃をぶっ続けることでしか、救われないのだ。 スタイルもクソも、めちゃくちゃに、とにかく相手を殴り続けて、気が済むまで。 でも、あれはちょっと、めちゃくちゃに過ぎるけれど。 と、京一は、戦況を冷静に眺めながら、心の中でそっと、無駄なナレーションとか、つけてみる。 「おいおい、虚ろな目で、大丈夫かよ、闇紅は」 続いて飛び込んで来たのは、逞しい肉体ながら繊細な気配りの効く吾郎で、同じくソニックエッジは発動したものの、とにかくめった切り! みたいな闇紅とは対象的に、狙いを定めた、ここぞといった繰り出し方で、時々、割り込む。 まるで、餅つきミタイダー、なそこへ。 「綿谷君も、どうせならあれくらいの大物を釣り上げてくれれば良かったのにね!」 「そ、それは、む、むむむむ」 ってもう天パリ過ぎて何を言ってんだかも分からない光介を従え、ダンテがギガクラッシュと共に、登場。 「君も三枚おろしの刑にしてあげるよ!」 張り上げた声と共に、自らのオーラを雷気に変換し、彼は激しく放電を開始した。バチバチィィィィィッと、凄まじい勢いで飛んだ雷撃が、ノーフェイスを直撃! もともと二人にやられっぱなしでさほど受け身も取れていなかったノーフェイスは、更に感電状態で完全に動きを止めた。 「そうよ、そうよ、三枚おろしよ、三枚おろし、ふふふふふふふ!」 小太刀を振り上げた闇紅が不気味に笑う。 これは最後にとっておいたんです、とばかりに、刃を首へとあてがうと、一気に、振り抜いた。 血飛沫のような、得体の知れない色の液体が、敵の首筋から放出する。傍らで、ダンテに向かい、天使の息を発動する光介が、飛び散って来たそれに腰を抜かし。 そんな景色の向こうには、もう一匹のノーフェイスと戦う三人の姿が見える。 疾風居合い斬りを発動したラシャが、鋭く振り抜いた抜いたグレートソードから、真空刃を発生させ、水際に居たノーフェイスを陸へと誘導した。 立て続けに繰り出される真空刃に追い込まれた敵へ、貴志が、トンファーを装着した拳を、突き出す。 「魔氷拳!」 凍て付く冷気が飛び出し、辺りの空気を凍らせる。水にぬれたノーフェイスの足を、手を、体を、みるみるうちに硬い氷が覆い尽くしていく。 そこへまた飛び込んで行く、ラシャの放った、真空刃。 「悪いが、これでトドメだ! 弾き飛ばさせて貰う!」 続けて、全身のエネルギーを自らの武器「クロー」へと集中させた葛葉が、そのエネルギーの球を溜めた武器で、ノーフェイスの脳天を思い切り殴りつけた。 がっしゃーん、と硬く凍った部分が砕け、ぬめぬめとした瑞々しさを保っていた部分は、べちょ、と弾けた。 ● 「さて、これで討伐は終わりですね」 辺りを見回しながら、京一は、言った。 「仕事も終わった事ですし、折角来たので釣りを楽しむというのは」 と、そこまで言って、じと、とした視線を頬に感じる。 振り返ると、めっちゃ目の座った闇紅と目が、合った。 「なんて言いたい所ですか、そんな気分ではないですよね」 何か、殴られても困るので、先回りして言っておくことにした。 「ええ、何だかホントに疲れたわ……」 虚ろな目で闇紅が呟く。そりゃあんなけソニックエッジを連発してたら、とか思ったけど、すかさず彼女は「主に戦闘前でだけど……」と、え、そうだったの、みたいな事を付け加える。 「っていうかもう解散でいいわよね……? ではおつかれ様でした」 ってまだ誰も何も言ってないのに、さっさと退散して行った。 「釣りも大変ということですね」 貴志が相変わらず真面目に、納得する。 「まあ、向き、不向きがあるしな」 吾郎が、苦笑しながら、言った。 「しかし釣りもいいものだったなぁ。今度は姉と釣りにでも出かけてみるか」 ラシャはどんよりとした池を見つめながら、ひっそりと呟いている。 とかいう隣では、同じように水面を見下ろす光介が、 「そうですね。今度はヘラブナ釣りとかしたくなっちゃったなぁ」 とか何か、うっとりとした面持ちで、溜息をつき、 「あ、今度一緒にどうですか。釣りの事なら少しくらいはボク、詳しいから」 と、ちょっともじもじしてダンテを誘い、 「いや、うん。それは、何か、ごめん」 と、さっくり断られていた。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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