●愛の数を数えて 軋む廊下の木目を数えて、ああ、愛しいあなたは何処かしら。 ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ――― 「つまりは愛は永遠と言いたいわけなの」 そう語る女の服装は白無垢。 無論、此方は結婚式場でも何でもない、ただのなんてことない…… そう、なんてことない壊れたラブホテルの一室。 「ああ!あてくしとめくるめく新婚生活を!」 白無垢の美女――もとい、『微』女こと斎藤美智子はその顔に見たくもない笑顔を浮かべた。 彼女は45歳になった所謂婚期を何処かに放り投げてしまった系女子である。 ここで美智子さんは照れた顔で趣味を暴露。 「男漁りも最近していない!はあん、あてくしのマイダーリン!あてくしは待ってるわ!」 ●閉店済みです 「もう閉店してるんで別に18歳未満が行っても問題はないでしょう」 そう語ったのは『運命オペレーター』天原和泉(nBNE000024)。 何とも言えない顔をしたリベリスタ諸君を見回して、沈黙。 「大丈夫、閉店してますから」 いや、そう言うことを聞いているんでは、と言いかけたリベリスタを視線で一蹴。 「とりあえずフェイズ2のE・フォースです」 「そうじゃなかったら困る」 もしも現実にそう言う女がいたとしたら、悲しみを背負うしかない。 それどころかその女は今の時点で悲しみを背負っている、青春って儚いもの。 「斎藤美智子さん45歳、趣味は男漁り、大和撫子タイプで顔が残念です」 最後は蛇足でしたね、とさらりと言う和泉。 「攻撃手段は、メロメロ(は・ぁ・と)ビームとかいうのを出します。目から」 「目から!!?」 「あと、抱きしめてくれますよ。男性限定ですが。通称ダーリン(は・ぁ・と)アタック」 ――沈黙が訪れた。 「ご心配なく、キッスもくれます。好みのタイプなら」 それでは頑張ってくださいね、と地図を押し付けられる。 忘れてた、と和泉は笑う。 「ああ、そうでした。美智子さん、自分より美人は嫌いですから」 まあ、リベリスタは基本美智子さんよりきれいですけどね。 それでは皆様行ってらっしゃい――和泉さん、突き放さないでください。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:椿しいな | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年04月17日(火)23:19 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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● 煩悩、煩悩。 リベリスタ諸君がたどりついたのは閉店してずいぶん経ったラブホテルであった。 「……こういうとこ、当然だけどはじめてきたよ。……ひゃぁー」 高鳴る胸を抑えてガラス戸の前に立った『ブレイブハート』高町 翔子(BNE003629) はやけに生ぬるい風にあほ毛を揺らし深呼吸。 「いくら閉店してるといっても……ねぇ?」 言いたいことはよくわかる、翔子がちらりと視線を送った先には『百の獣』朱鷺島・雷音(BNE000003)が花嫁修業だと帰りたくなる気持ちを抑えていた。 「いつかはお嫁さんになるのだ。花嫁特訓も必要なのだ」 「でも、ラブホテルだよ?」 「うむ、えっと、特訓場所を間違えたようだ」 少女二人は魅惑の響きら・ぶ・ほ・て・るに翻弄されている。 少女漫画でも出てくるから耳にしたことはある、最近の少女漫画って進んでる! 興味はあれど、彼女たちは某フォーチュナーがこんなもの観なければ来ることはない場所であったはずである。 「ていうか、結婚できないのに、ラブホ?」 『』秋月・惠一(BNE003639) の呟きもご尤も。このご時世容姿だけでなく内面も大切になる。 透けて見えるガラス戸からちらり、と内部をのぞき見た惠一は何も見ないことにしてマフラーに顔を埋めた。 「うん、アレは無理だと思う」 「そうですかね?女性にとっての結婚に必要な条件とは、寛容さです」 にこりと微笑んだ『』スペード・オジェ・ルダノワ(BNE003654) ……いや、シルクハットをかぶった仮面の性別不詳は手を打ち合わせ小さく笑う。 ストライクゾーンといえばこれから倒しに行く美智子さんは寛容すぎる。男であれば万事OKなのだ。 自分が好みではありませんように、と祈った惠一を他所にスペードは更に結婚とは何ぞやという話を進める。 「草食系と呼ばれる男性が多いこの現代、アグレッシブ女子は魅力的だと思いますよっ」 「アグレッシブ女子……」 「ファッションやメイクが時代に適していないのではないでしょうか?」 ね?と微笑む仮面の性別不詳の隣で『リベリスタ見習い』高橋 禅次郎(BNE003527) がおぞましいものを見るような目でガラス戸をのぞいている。 「いや、ここまで来るとプレデター系女子じゃないか」 趣味が男漁り。肉食なんて通り越してもう大変である。 人類半分ストライクゾーンなら結婚なんて簡単……待たれよ、美智子が選んでも、人が美智子を選ばないのだ。 盲点である、とてつもない盲点である。 だがそんな『微』女の美智子さんをも愛する強者が二人、このラブホテルの前に立ちはだかっていた。 すべての女性が等しく美しいと語る『正義のジャーナリスト(自称)』リスキー・ブラウン(BNE000746) の好みのタイプは女性。しかもしかも、許容範囲は性別不詳と男の娘と来た。 「故に、女性のすべてを愛するべきである」 もうリスキーがいればこれは解決なのではないか。 それは言わないことにする。 リスキーと同じく、美智子さんを愛せる男がいた。 ホストばりの派手なスーツ。今夜のお相手はあなたに決めた!『ディフェンシブハーフ』エルヴィン・ガーネット(BNE002792) である。 「Eエレメントにアザーバイドまでナンパしてきたこの俺に死角はない!」 すごい、すごすぎるぞこのホスト!今夜の夢を心行くまで存分に楽しませていただこう。 さあ、扉の向こうには美智子さんが待っている。 愛し愛されラブゲーム!今夜は君と夢の大騒ぎだ! 「……愛に正しい答えなど、ないものさ」 嘆息した『闇狩人』四門 零二(BNE001044) の言葉とともに、扉が開け放たれた。 ● 「あらぁ」 聞こえて来たのは甘ったるい響きを持った声。 びくり、と体を揺らした惠一が狼の耳をへにゃりと垂らして「こんにちは」とあいさつする。 心なしか声が震えているが大丈夫か、そんなんじゃオオカミさんが喰われてしまうぞ!? 「熟れた女性には熟れた女性の良さがある……」 白無垢を着た大和撫子――美智子女史をロックオンしたリスキーが輝く笑顔で美智子女史を見つめる。 黒い髪、俯きがちの何処か奥ゆかしさを感じるその仕草。 大和撫子!素晴らしいじゃないか! そっと顔を上げた美智子女史の顔を見て禅次郎と惠一が世にこんなものを見てしまっていいのか、という顔をした。 さあ、素敵な『微』女、美智子さんがデデーンと現れた。 顔面だけでフェイトを削られた気分である。ええ、まったく 「美智子さん、だったよな」 「ええ、斎藤美智子よ」 んふんッ☆ 微笑んだ美智子さんの笑顔に惠一と禅次郎が小さな悲鳴を漏らした――気がした。 「お眼鏡に適うかわかんねーけど、俺と素敵な一夜を過ごしてもらえないか?」 「あらぁん、よ、ろ、こ、ん、で」 白無垢の女が、微笑んで――男たちの後ろに立っている少女へと目をやった。 ギリッ、と噛み締める音がする。 「あら……かわぁいい」 「ひ!?」「え!?」 翔子が思わず身構える、雷音が泣き出しそうになりながらも守護結界展開した。それこそ戦闘開始の合図。 薙刀を手にした白無垢微女の目には可愛らしい少女二人しか入っていない。 ゴトン、ゴトゴト、ゴットン―― 転がり出した思念さんを見つめ、アラサーのイケおっさんが美智子さんへと鋭い瞳を向ける。 「愛とは……戦いと同じさ」 此処は何処だ!ラブホテルのフロントだぞ!?シャレたバーではないのだぞ! 高速で生み出された愛の攻撃に思念さんがごろんごろん。 その頃ちょっとビビっていた惠一くんはきちんと風を纏って泣き出しそうな顔をしている。お耳垂れてるよ、オオカミさん。 転がってる思念さんの一体がリスキーへと飛び込んでいく。 だが彼の目には美智子女史しか入ってない、アイラブ女性! 「あぁ、なんたる悲劇!この手で女性を傷つけなければいけないなんて」 安心してくれ、目の前に居るのはミラーボールだ! 避けた彼が放ったのは美智子へのラブ・ミサイル。 やぁん、と体をくねらせた美智子さんはぶち当たったもののまだまだ余裕そうな表情でリベリスタ諸君を見つめていた。 マナサイクルで体内の魔力――いや、愛を循環させているエルヴィンは美智子さんへと走り出したいはやる気持ちを抑えて見つめている。 「所でお前の得意料理は?」 「えっ と、得意料理は、肉じゃがです」 ぽっと頬を抑えた微女、流石は大和撫子!禅次郎は美智子さんへアピールを重ねる。 だがしっかりとその攻撃はミラーボールな思念さんへとぶち当てられていた。 前衛担当、という具合の猪突猛進系少女翔子は自分なりに頑張ろうと一度決意を固める。 愛の攻撃を受けまくって弱り切ったただ殴る系ミラーボールに対してダガーを投げる、まずは一体、と一息ついた所で目の前でにったりと笑う美智子さんに気がついた。 正直、血の気が引く。 「お、おば、さん」 「誰がおばさん!?」 薙刀を握りしめて走って行こうとする美智子さん。 だがその前に動いたのはシルクハットの性別不詳系スペードだった。 「どぉすこいッ!!」 何処から出たのだ、と聞きたくなるような声を上げ、暗い闇に思念を捉える。 落ち着け、美少女!例え今は性別不詳系だったとしても、君は美少女だ!関取になってはいけない! どすこい、の声を聞いて一度考えた後、美智子さん、立ち止まり頷く。 「まあ、顔が可愛くないならいいわ」 見えなかったら判断できませんもんね! その勢いのまま、女はにっこりとほほ笑んで惠一へと飛びついた。 「来るなああああああああああ!!!?」 薙刀は避けたが女に抱きしめられた惠一の心が悲鳴を上げている。そして背骨も悲鳴を上げている。 にんまりと微笑む美智子さんの背後から飛び出したミラーボールたち。 ゴトン、ゴトンと音を立てて遠距離攻撃を翔子へと放つ。 「ひぁー!?」 続けざまにスペードや雷音にも範囲攻撃を放つ――が所詮はミラーボール。範囲で隣のミラーボールを巻き込んでいる。 なんて無様なのだろう、とリスキーは遠い目をした。 所で此方、美智子さんがまたも薙刀をブンッと振って微笑む。 「ああ、あてくしの愛!うけとってえええええっ」 叫んだ美智子さんの目から出された毒々しい桃色片思い――失礼、桃色ビームを真っ正面から受け止めた惠一の胸が高鳴った。 「アレがかわいく見えるなんて……!?」 これが……恋? 「お、落ち着くのだ!」 混乱している惠一へと慈悲が与えられる。雷音の目は美智子など捉えていない。 意外にミラーボールって可愛いよねっていう。 「思念さん……意外と可愛いではないかっ!」 「落ち着いて!?」 思わずつっこみ系少女翔子。 彼女は叫びたくて堪らない言葉がある!結婚できないのはお前の所為だ!と。 さて、ミラーボールさん第2段がゴロゴロと登場する。 範囲攻撃を行いながらミラーボールこと思念さんの撃破に至るかどうかの推測を立てている零二は美智子へと語りかける。 「数で満たすのがお前の愛か?」 虚飾で繕われたもので満足するのか? そう、愛は永遠で無限の広がりを持つ。愛し愛される――ラブパワーによって生まれるものだのだ。 クールな表情でイカしたこと言ってくれるぜあんちゃん! その言葉に耐久力高め女史美智子さんがぽっと頬を染める。 「あてくしは、本当の愛が欲しい!嗚呼ッ!ラブッ!」 落ち着け。 「俺の虜にしてやるぜ!」 白いホスト、落ち着け。 戦況はおかしい事にも愛によって混乱している。 混乱しているわけでもなさそうな禅次郎が「子供は何人欲しい!」と美智子へと叫んだ。 暗黒に飲み込まれつつもまだまだ微笑んでいる美智子さん(45)。 「3人!一番上の子は優子、二番目の子は信二、末っ子は律子よ!」 生まれてくる順番まで決まっているとは流石である美智子さん。 援護に徹している翔子の目にはこの婚活女がどう考えても男遊びの所為で結婚出来ない様に見える。 「本気でぶつかりもしないで、手に入る本物があると思ってるの!」 素敵だ、12歳。 12歳に諭される美智子さんってどうなのだろう。 「行き遅れて他人に迷惑をかけるしかない存在め……。婚期を逃したのは自分の所為なのだ」 ご尤もである、雷音さん。 さて、ここでラブビームを放ちそうな美智子さんであったが、両手を広げて輝く笑顔の男性陣へと近寄ってくる。 「この世界のじょせ……世界の人間を守らなければいけないんだ」 許してくれよ、君を愛していないわけじゃないんだ。 彼の両手はすべての女性を護るには小さすぎる。 そう、彼女がせめてフィクサードだったなら……。 リスキー……いいやつだ、な……クッ、こいつ、ペルソナつかってやがるっ! 愛の弾をハートにずっきゅんされた美智子さんの勢いは止まらない、猪突猛進! 愛しのダーリン(は・ぁ・と)アタックで飛びつかんとした相手は、そう、エルヴィンであった。 ● ―――世にも奇妙なものを見た気がする。 後に惠一はそう語っていた。 ―――世の中奇特なものもいるんだな。 後に禅次郎もそう語っていた。 ―――ボクは無力だ。心の傷までは癒せないっ! 哀しげな顔をした雷音の言葉に翔子も小さく頷いた。 ―――おいどんの愛でも無理でごわす。 スペードちゃん、素敵な薩摩男子だよ。 避けることなく美智子を真っ向から受け止めたエルヴィン。 あの、背骨がボッキボキですよ……? 美智子さん、そのまま愛のキッス。こういう時だけ運命のイタズラが起きている。 背後で思念さんを攻撃している組の視線もそちらへ釘付けである。 誰よりも微女の顔にビビっていた惠一に至ってはトラウマになるだろう愛のキッスを受けている人が目の前に居るのだ。 痺れるような愛をそっとその唇に受ける。いえ、本当に痺れてます。 そっと、壊れ物を扱う様に抱きしめて、白無垢の女の耳元へと唇を寄せる。 「……ずっと、こうされたかったんだろ?」 禅次郎の暗黒が回復役っぽい思念さんを消し去った所であったが、ラブロマンス続行。 「あ……、あてくし……」 そして、其のままエルヴィンと美智子さんの唇が優しく、触れ合った。 「君の世界が終るまで、このままで居てやるよ」 「狙え」 雷音の声がして、全員の攻撃が其のまま美智子を抱きしめているエルヴィンへと向いた。 「狙おう」 惠一も頷く。仕方ない、これは狙うしかない。 「他の男も女も関係ねぇ。余所見すんな、俺だけ見てろ」 囁く男に頬を染める微女。 「狙いましょう」 翔子の意見も一致。 全員が一斉に攻撃を行った。愛は時には痛いものなのだ、この時幼い翔子は実感した。 思念に攻撃を繰り出しているスペードだけは其のまま思念相手に攻撃。 「オイどんの男力を見たでごワすかッ!」 彼女、何処に行くのだろうか。 どぉすこいッ!と喰らわせた攻撃、増える思念。 背後で思念を叩いていた禅次郎は実感する。 「この無限に湧く思念は」 此処で悟った。 「美智子の煩悩か」 ――本当にすごいな、この女。 慌ててエルヴィンから離れた微女の様子を見つめ、凄まじく遠い目をする。 小さな少女たちは惠一と禅次郎の背に隠されて美智子からは見えない。 「ああ、ボクは無力だな……」 「いや、あれは仕方ないよ……」 彼女は照れて、いやんいやんする。 その仕草に惠一の心に傷がついた。 ぴくり、と美智子さんが耳を動かす。少女二人の声を捉えたのだろうか。 「可愛い女の子……そういえば、いたわね!」 あてくしの敵!と飛び出していこうとする美智子に対してマジックミサイルをぶっぱなしたリスキー。 「雷音嬢、翔子嬢、スペード嬢はおにーさんが護ってあげる」 全ての女性を愛する系おにーさんはそう笑う。 美智子さんがキイイと鳴いて、隣に居た惠一へと抱きつこうとして―― ――オレの言葉を受けてどうだった。 そう囁いたのは零二であった。 惠一涙目である、助かった、とほっと胸を撫でおろし麻痺を付与してきそうなミラーボールへと攻撃を繰り出す。 もはや彼が一番の被害者ではないだろうか。心的な意味で。 「えっ」 美智子さんのハートが震えた。 「オレの言葉を聞いてお前は、どう思ったんだ」 真摯なまなざしで美智子を射る零二。 ここで二人のハートが触れ合った、愛が奏で出すラブソング!二人の未来は明るいね! 「あ、あてくし……貴方が」 「オレが」 「貴方が、す、好き」 ぽっ 「怖いのだ」 呟いた少女が繰り出した氷の雨が思念さんを悉くさようなら~させている。 思念さんがまたも遠距離で翔子をチクチクしていた。チクチク。 「怖いね」 麻痺を受けていた禅次郎に対して翔子が癒しを与える。 「何だこの空間」 禅次郎の呟きがご尤もすぎて、もはや取り返しがつかない事態になっていた。 見つめあったままの美智子さんと零二。 時は随分たったように思える。この間に攻撃はあっちからこっちから。 「美智子」 囁きが、 「続きは何時になるか分からない、輪廻の先で待っている、幾星霜、億年でも、真っ直ぐに来い」 真摯な瞳が、 「……最後迄オレの目をみろ……忘れぬ為に、迷わぬように」 見つめ合っている。 雷音と翔子は目を合わせて、なんだこの空間、と落ち着かない思いで攻撃を繰り出した。 そろそろだろう、そろそろ。 白無垢の女を抱きあげた男が、互いを確かめ合う様に抱きしめる。 彼女の終わりに口付けをする。 ――それがはじまりなのだ。 「あ」 だがしかし、最後の一撃は呆気なくも惠一が放った攻撃であった。 ● 呆気ない終わり方を見せた愛の社交場、ラブホであった。 仮面をはずしてにっこりと笑った薩摩男子――失礼、スペード女史は調べておいた美智子さんの元っぽい人に宅配で洋服やメイク一式を送ろうとせっせと用意している。 「なんて書いたのだ?」 「『私も運命の愛手を捜してる最中です。一人じゃないよ。お互い頑張ろう!』と」 にこりと笑ったスペードに、雷音は頷いた。 彼女らなら何時でも運命の相手位見つかるだろう。素敵女子なのだから。 一方、消えていった美智子さんにため息をついてその場で伸びをした禅次郎に惠一が呟く。 「何でラブホだったんだろう」 「プレデターの考える事は良く分からない」 二人揃って、恐ろしいものがあるのだな、と頷きある。 そこで、はっとした顔で翔子が顔を赤くした。 「早く出ようよ!良く考えなくてもここ居心地わるいよっ!」 其れは勿論、こちらラブホテルなのだ。慌てて飛び出した翔子。 そんな彼女の様子にリスキーが小さく笑った。 「お嬢さん方、お食事とかどうかな?」 「すまない、養父と食事の予定がある」 さらっと返した雷音は翔子の後を追いかける。 静まり返ったラブホテルのフロントでエルヴィンは口付けを交わした相手を思うように笑った。 「……満足できたかい、お嬢さん?」 ただ、不器用で会った零二は視線を落として、其のまま外へと出て言った。 女の扱いは、他に知らないのだ、ただ、愛故に行った行動であった。 ――ああ、いい話だな。 テレレンッ ヤミプラス・エンディングNO001044『四門 零二』をゲットした! テレレンッ ヤミプラス・エンディング『心の傷』を惠一に埋めつけた! 「ああ、ちなみに私のお母さん、36歳」 翔子嬢の呟きに何処かで白無垢の女が嗤った――気がした。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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