● 「こんな所まで来た甲斐があったかな、桜が綺麗だね」 「……そうだね」 春が訪れ、暖かい日差しと気温は散歩をするにはとても心地良い。 そんな季節、2人の少女がお花見をしようと桜が花を咲かせる山の展望台へと訪れていた。 「ねぇルーナ、その唐揚げ頂戴! 荷物運びをしたんだから、いいでしょ?」 「サニアにあげるくらいなら、ボクが食べちゃうよ」 「ちょ、ひどっ!? お姉ちゃんを労う気持ちすらないのっ!?」 この会話を聞く限りでは、2人は姉妹なのだろうか。 それも、ルーナの方は銀髪であるところを見ると、どうやら覚醒しているようではある。 「後ね、サニア」 「何よ」 「……上空に注意」 その言葉と同時にルーナが空を指差した、その時。 『ピュイッ!』 鳴き声と共に空から舞い降りたハンターが、獲物を狙いを定めその鋭い爪を突き立てた。 「あああああっ!? 私のお弁当がああああっ!」 「鳶だね。……ボクのランチは死守」 弁当を鳶に強奪され涙目のサニアを尻目に、自分の弁当を奪われまいと片付けに入るルーナ。 否、どうやら彼女には別のハンターの姿が見えていたらしい。 「ところでサニア」 「だから何っ!?」 「……逃げるよ」 身支度を整え、ルーナに手を引かれるがままに走り出したサニアの目にも、そのハンターの姿が映る。 「あれは……何なの? 狼みたいだけど、明らかになんか変よね!?」 「ボク達がお弁当って事じゃないかな? ……多分だけど」 姿は狼ではあるものの尻尾が蛇に変化し、異常に大きく鋭い牙を持つ『ソレ』は明らかにエリューション化した存在だった。 ルーナの言う通り、そのE・ビーストにとっては彼女達は格好の餌なのだろう。 しかもその数が1匹だけならばまだしも、逃げる2人を囲むような形で8匹も姿を現しているのである。 2人の少女たちは、無事に逃げ切ることが出来るだろうか――? ● 「ということです。皆さん、どうかこの子達を助けてください」 開口一番、『運命オペレーター』天原和泉(nBNE000024)は真っ先にそう言った。 それは即ち、このままでは2人が食われてしまう事を意味している。 「敵となるE・ビーストは8体ともフェーズは1ですが、攻撃に特化した能力を有しています」 和泉の説明によれば、E・ビースト達は狼の身体能力と素早さはそのままに、変化した牙は鋼鉄すら切り裂く鋭さを持つ。 さらに蛇の姿を持つ尻尾から撒き散らされる毒液は、浴びた者を毒に侵すだけではなく、加護に類する付与効果を消しさる効果があるようだ。 「唯一の救いは、それほど打たれ強いわけではない点ですが……」 それでも打たれ弱ければ、殲滅はそれほど苦にはならないかもしれない。だがそう言ったところで、和泉の表情が少しだけ曇る。 「サニアさんとルーナさんは、覚醒したばかりで強くはなく、しかも丸腰なんです」 戦力としてあてに出来ない2人を守る事を考えた場合、リベリスタ達が突破されれば一瞬で2人が餌食になる可能性も高い。 獲物を確実に仕留めるべく、『コ』の字に展開しているE・ビースト達の足をどう止め、撃破するかが重要となるだろう。 「2人をどう逃がすか、皆さんがどう立ち回るかなど、色々考える部分は多いかもしれません。ですが――」 決して楽な戦いではない。 だが、和泉はどこか確信したような表情を浮かべ、続ける。 「皆さんなら、きっと2人を守りきってくれると、信じてます」 リベリスタとして目覚めた少女の未来を守ること。 多少の苦戦はするかもしれないが、集まったリベリスタ達ならば成し遂げる事は決して不可能ではない。 「あ、それと――」 出撃するリベリスタ達の背に、再びかかる和泉の声。 「無事に終わったら、お花見を少し楽しんでも良いのではないでしょうか。サニアさんはお弁当を失ってますので、そこのフォローも、ですね」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:雪乃静流 | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年04月23日(月)23:47 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●彼等の目的は少女達の救出か、花見か そんな問いを彼等に投げかければ、『両方だ』と誰もが返答するだろう。 であるが故に、リベリスタ達は電車が到着するまでの時間を利用し、花見の準備のための買出しを行っていた。 戦場となるのは、桜咲く展望台。 そこでの戦いを無事に勝利して終わらせたなら、花見に興じても問題はない。 「今年の桜もそろそろ終わりだからね。きっちり片を付けて、しっかり楽しもうか」 「買い物は手早く済ませよう、電車には遅れては意味がないからな。俺は他のを見てこようか」 鍋に投入する生鮮食品を見繕う『デイアフタートゥモロー』新田・快(BNE000439)とそう言葉を交わした『紅蓮の意思』焔 優希(BNE002561)が、飲料売場へと歩を進めていく。 買い物を手早く済ませるためには、分担も大事だと言うことか。 「えっと……後は野菜ですね」 買い物カゴに食パンや卵、ハムを詰め込みサンドイッチを作ろうと考える『生真面目シスター』ルーシア・クリストファ(BNE001540)が快の近くで野菜を見繕い始めれば、 「最近はスイーツも充実していますから、お花見にも困りませんよね」 「そうだな。そちらが洋菓子なら、私は和菓子を見繕おう」 一方では『シトラス・ヴァンピール』日野宮 ななせ(BNE001084)と『Friedhof』シビリズ・ジークベルト(BNE003364)の姿はスイーツコーナーにあった。 どんどんカゴへと詰め込まれていく、棚に並んだシュークリームやエクレアなどの洋菓子、そして桜餅や団子などの和菓子。 鍋とサンドイッチに加え、これだけのスイーツがあればランチタイムには十分そうな気配がある。 しかしリベリスタ達の買い物は、それだけでは終わりではなかった。 「私はそんなに飲まないけど、お酒好きの誰かさんもいる事だし」 日本酒を手に取り、その『誰か』が飲む姿を想像して軽く笑みを零すのは『抗いし騎士』レナーテ・イーゲル・廻間(BNE001523)だ。 今回集まったリベリスタは半数以上が未成年ではあるが、レナーテや快、シビリズと成人している者もいる。 せっかくの花見なのだから、軽く飲みたいと思うのも無理のない話なのだろう。 「さて、そろそろ電車の時間だな。皆は清算に入ってるようだが……」 仲間達が買い物に興じる中、ただ1人入り口で待機していた『やる気のない男』上沢 翔太(BNE000943)がその時、ふと時計に目を向けた。 そろそろ駅へと向かわなければ、花見を楽しむどころの話ではなくなってしまう。 「こっちは終わった……。ウェットティッシュとか、あると便利……」 真っ先に清算を終わらせた『微睡みの眠り姫』氷雨・那雪(BNE000463)が合流してきたのを皮切りに、次々と清算を済ませ荷物を抱え翔太の元へと集まるリベリスタ達。 袋には鍋の材料や飲料水、スイーツ、果てはレトルト食材までが幅広く詰められている。 (……相当な量だな) 現地までこれを抱えて運ぶ事が、最初の戦いだ。きっと翔太は、こう思ったに違いない。 ●E・ビーストは花より団子 「うーん、数が多いなぁ……」 「どうしようルーナ、逃げるにしても逃げられそうもないよ!?」 和泉が垣間見た未来視の通り、E・ビースト達に囲まれ危機に陥るサニアとルーナ。 彼女達を救い出すためには、時間の猶予はもうほとんど残されていない。 「これは、最後の手段を使わないといけないようだね……サニア、1人で逃げて?」 「何よそれ、出来るわけないでしょ!?」 ポンとサニアの背を押し1人で逃げろと言うルーナに、そんな事が出来るはずもないサニアが必死に食い下がる。 そうこうしている間に距離を詰めたE・ビーストは、もう後少しでも進めば2人に毒液を浴びせる事が出来る距離にまで迫っていた。 「ボクなら大丈夫だから……ん?」 その時、どうにかサニアを逃がそうとするルーナの視線を横切り、2人とE・ビーストの間に割ってはいる2つの影。 「この花見の季節に、命散らしてなるものか。狼共め。この2人を貴様等の餌にする訳にはいかんのだ!」 「俺達はアークっと言えばわかるかな? ……君達もリベリスタの家系に居るならば聞いたことはあるだろう?」 その影の主。高らかに吼える優希と、僅かに視線を彼女達に向けながらE・ビーストに対し武器を構える翔太の言葉に、さすがのルーナも状況が飲み込めないでいるらしい。 「怖かったですよね、もう大丈夫です」 「う……、うん」 だが近づいて来たルーシアの言葉を聞いた時、そして自分達の周囲を守るようにリベリスタ達が展開したのを見た時、彼女ははっきりと実感した。 ああ、助かったんだ――と。 ならばその安堵を、再び絶望に変えてしまうわけにはいかない。 「全く……野暮な横槍のせいで、桜も楽しめないとはな」 近づきながら牙を剥き出しにし唸る狼を一瞥し、那雪は周囲を素早く見渡していく。 獣の本能がそうさせるのか。突然のリベリスタ達の乱入に、E・ビースト達は姿勢を低くし攻撃態勢を取りつつも、明らかに警戒している様子が見て取れた。 『グルル……グルルルッ……!』 「毒液だ、気をつけて!」 それをさらにハッキリさせるかのごとく、4匹のE・ビーストから一斉に浴びせかけられた毒液に、すかさず快の注意が飛ぶ。 「不用意に飛び掛らずに、まずは様子見か……?」 4匹が毒液でけん制しつつ、残る4匹が最前列に立った快や那雪に徐々に近づく姿を目の当たりにし、E・ビースト達の攻撃目標がサニアとルーナではなく、自分達リベリスタに向いたと確信するシビリズ。 (違うね……ボク達を狙ってるけど、壁になるこの人達を突破する事を優先した……と思った方が妥当だと思う) 一方で彼の言葉に口には出して答えはしなかったが、ルーナはそう感じたようだ。 (意外と冷静だな、この子。だが狙いはこちらに向いたな。好機か) 戦況をしっかりと見極めようとする彼女の視線に感心しつつも、翔太は斬りかかる態勢を整え眼前の狼を見据える。 一時的とは言え2人に攻撃が飛ばない事を意味するのだから、リベリスタ達にとっては戦いやすい環境となったのは間違いない。 「ではいこうか。ルーシア達はこの2人を頼んだぞ」 そのまま真っ先に飛び出した翔太が近くにいた狼へと斬り込むと、 「今は身を守る事だけを考えろ。お前が怪我をすれば、ルーナが悲しむ。解るな? とっとと難を収めて、花見に勤しむとするぞ!」 後ろにいるサニアにそう声をかけた優希が、雷撃を纏ったトンファーで2匹の狼を殴りつけていく。 「さぁ、きっちり仕留めるわよ」 そして優希の一撃によろめいた狼がレナーテの放った十字の光で焼き尽くされた時、リベリスタ達の脳裏に和泉の言葉が思い返された。 「相当脆いようですね……?」 飛び掛り牙を食い込ませてきた無傷の狼を振りほどき、返しの刃の一閃で狼を切り伏せ、『打たれ弱い』という彼女の言葉を実感する快。 「素早さでその脆さを補っているつもりのようだが……さて、私の糸から逃れられるかな」 那雪が言うように、E・ビーストは避けて喰らいつく戦法を主としているのだろう。 それでも攻撃に転じたリベリスタ達は、気糸を視界に映った3匹の狼へと打ち込んだ彼女自身をはじめとして、誰もが相応の実力者揃い。 「2人をお弁当にはさせないですよっ!」 『ギャインッ!?』 サニアとルーナを除けば数の上では互角とは言え、今この瞬間もななせによって1匹が打ち倒されたのだから、実力の差は歴然だと言えよう。 「狩る側と狩られる側が逆転したようなものだな……っと!?」 しかし立場の逆転を目の当たりにしたシビリズが次に見たのは、自分……ではなくサニア目掛け浴びせかけられた毒液だ。 慌ててサニアを彼が庇う隣では、同じようにルーナを庇いしっかりと抱きしめるルーシア。 「大丈夫ですよ、私がしっかり守りますから……ね?」 「う、うん……ありがとう」 少しでも安心させたいという気持ちが伝わったのだろう、ルーナも彼女にしっかりとしがみつき、決して離れようとはしない。 2人を絶対に守りきる事。 それがシビリズとルーシアの役目であり、2人はしっかりとその役目を果たしている。 「こちらも負けていられないわね」 「そうですね、決めてしまいましょうか」 となれば、レナーテや快が気合を入れなおすのは至極当然の流れであり――、それは残るリベリスタ達も同様だった。 残るE・ビーストは5匹。 「遅れるなよ、翔太!」 「そっちこそな、優希! まったく……お腹が空いてるんだろうが、人を襲うのはダメだ」 とは言え打たれ弱く、そして大半が手負いであるせいだろう。優希と翔太の手により瞬く間に2体が倒されれば、 「続きますよ、残り2匹ですっ!」 「いいえ、1匹よ」 ななせがさらに1匹を倒すのと同時に、きっちりと4匹目を仕留めるレナーテ。 「桜の下で散れるのなら、本望だろう?」 「あの子達が咲く桜とするなら、こちらは散る桜……と言ったところですかね」 そして最後の1匹も、那雪と快によって儚く散ってゆく。 まるで風に舞い散る桜の花びらのように――。 ●それぞれのお花見 「あの人達は……強かった」 「私達も、あれくらい強くなりたいね、ルーナ」 戦いが終わった直後、サニアとルーナはリベリスタ達の戦いに憧れの気持ちを抱いていた。 彼等のように強くなりたい。 それは新米リベリスタの2人が、抱いて当然の想いなのだろう。 ――だがしばらくの後、目の前に広がった光景に彼女達は驚きを隠す事が出来なかった。 「サニアさんとルーナさん、ちょっと時間あるかな?」 「貴女達も、お花見……一緒に、する?」 その言葉と共にバッグからカセットコンロや鍋、ヤカン、食器を持ち出す快と、眠たそうな目で2人を花見に誘う那雪。 「では、腕によりをかけましょうか♪」 一方ではルーシアが包丁とまな板を持ち出し、パンや野菜をてきぱきと切っていく。 「デザートもいっぱいありますよっ!」 「和菓子、洋菓子、好きなのを食べると良い」 さらにはななせとシビリズが買ってきたスイーツを広げた時、先程までの戦いのインパクトはどこへやら。 「アークのリベリスタって、すごくメリハリついてるね……」 ルーナがこう評する程、ギャップを感じる姿に見えたらしい。 「私達を助けるために来てくれたのか、お花見に来たのか……どっちなんだろうね」 そんなサニアの呟きが誰かの耳に届いていたら、きっと全力でこう答えるだろう。 『両方』 ――と。 綺麗に咲き誇る桜の花。 風に吹かれ散る、花びら。 「茶は右、菓子は左。そして目の前に広がる見事な桜! これぞ和の心、『わびさび』と言うヤツか。良いもんだな!」 などとシビリズがハイテンションになるほど、ここは風流を感じられる場所。 ……のはずだったのだが。 「あーっ、それ私が狙ってたタマゴサンド!」 「……早い者勝ちだよ」 サニアとルーナはやはり子供ということだろう。目の前に並んだご馳走に、桜には目もくれず我先にと手を伸ばし取り合ってすらもいる。 「えっと、まだありますからね……? 上の鳶さんは、狙っちゃ駄目ですよ」 「お団子も、沢山食べてくださいねっ!」 苦笑いを浮かべながらも上空からサニアの食事を狙っている鳶を睨むルーシアと、お団子を薦めるななせは、さしずめ2人のお姉さん役と言ったところか。 パシャリ。 そんな彼女達を、那雪が火にあぶったマシュマロをほお張りながらデジカメに何枚も収めていく。 「はらはらと、桜、きれい……。……おやすみなさい、なの……」 しかし綺麗な空気と暖かい日差しに、眠気が来たのだろう。 軽くあくびした後にごろんと寝転がると、彼女はそっと寝息を立て始めた。 「花より団子、春眠暁を覚えず……ってとこか」 それぞれが花見を楽しむ姿は、のんびりと酒を嗜むシビリズにとっては良い肴だったに違いない。 「こちらも早く終わらせて、皆に混ざらないとな」 その喧騒を離れた場所から眺め、優希は手にしたスコップで深い穴を掘りにかかっていた。 彼の傍らには、先ほど倒したE・ビースト達の骸。 「お疲れ優希、手伝うよ」 「こっちの作業の方が面倒だろうが!」 E・ビースト達を弔おうと言う行動を察した翔太の申し出に彼がそう答えたのは、照れ隠しだったのだろう。 掘った穴に骸を埋める最中、ずっと2人の耳に届く、花見の喧騒。 「2人は無事でよかったな」 「そうだな……。それが何よりだ」 サニアとルーナを救い、そして誰も深い傷を負わずに戦いを終えた。 だからこそ耳に届く花見の楽しげな会話が、2人に達成感を感じさせている。 「これからあの2人も強くなるんだろうな……って、その2人が何やってるんだ?」 その時、中心にいるはずのサニアとルーナの姿が森に入る姿が優希の目に飛び込んできた。 「他の皆も後ろを追いかけているようだが……?」 翔太の言葉にはっとその後ろを見れば、ルーシアやななせ、シビリズが2人の後を追う姿すらも見えた。 彼女達は一体、何をしようとしているのだろうか? その答は、やはり森の中にあった。 「無事で、本当に良かった」 そう言いながら、レナーテを抱きしめる快。 「あの時はありがとう。……おかげでまたこうして誰かを護る事が出来る」 当のレナーテもそんな快の行動に驚きはしたものの、今のところ拒絶する気配はない。 「二人で桜を見れたことが、本当に嬉しい」 「……そうね」 抱きしめたまま、抱きしめられたまま、会話を続ける2人。 「うわぁ、おっとなー……」 だがその様子を、軽く頬を染めて呟いたサニアを始め、仲間達からも見られていようとは、夢にも思わなかっただろう。 後から合流してきた翔太と優希も混ざり、 「見ちゃ駄目ですってば!」 慌ててサニアの目を塞ぐルーシアではあったが、あまり騒げば2人の雰囲気を壊してしまいかねない。 「静かにしたほうが良いよ」 などとルーナに注意を飛ばされてしまえば、もう道は見届ける以外に残されてはいなかった。 今から戻ろうとしても、サニアを抑えなければ気付かれてしまうのだから。 「俺たちはいつ加護を失うか分からない。だからこうやって日常とのつながりを大事にしたいんだ」 「……ありがと。でも私の事は気にしすぎないで、ね」 そうこうしている間に、2人は離れ、会話も終わりに近づいていく。 「じゃあ、そろそろ戻りましょう? 皆に心配させないように……」 「「「あ……」」」」 レナーテがそう言い振り返ると同時に、隠れている仲間達と交錯する視線。 乾いた笑いがしばらく続く中、それでも彼等の花見は続く――! |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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