●Sunset Fox 「おかしい……」 男はぼそりと呟きつつ、既に暗くなった道路を歩いていた。 周囲に民家は無く、あるのは墓地と茂み、田んぼだけだ。空にはうっすらと星が瞬いている。 しかし、男がおかしいと思うのはそんな事ではなかった。 「……さっきもここを通った気がするんだが……」 言いつつ背後を見やる。今まで歩いてきた道は闇に覆われ、その向こうを見る事は出来ない。男はため息を吐き出しつつ、再度視線を前方へと向けた。 その時、前から誰かが歩いてくるのを見つけ、思わず立ち止まった。 (助かった) 男は胸を撫で下ろす。先ほどから――まるで信じられない事ではあるが――同じ道を延々と歩き続けているような気がしていたのだ。ゲームでよく聞く『ループ』、まさにそれだ。 しかし、前方から誰かが近付いてくるのを発見できたのは僥倖だろう。あの人に助けを求めよう。そんな期待を抱き、駆け寄って声をかける。 「すいません、あの――」 だが、言葉はそれ以上続かなかった。前からやって来たのは、黒髪黒目に短めの髪、それに上下紺色のスーツを着た――男自身だったのだ。 (俺?) 思わず目を瞬かせる。信じられないものを見、その場に立ち尽くす男を尻目に、その『男』は近付いてくる。 そして、『男』の手に握られているナイフが腹にめり込むのは、ほんの数分後の事だった。 ●夜 「よく狐に化かされるって言うよね」 ブリーフィングルームに集まったリベリスタを前に、『リンク・カレイド』真白イヴ(ID:nBNE000001)はそんな言葉をぽつりと呟いた。 「山に棲む一匹の狐がエリューション化したみたい。それを倒して欲しいんだけど……その狐、比喩とか伝説とかそう言うのじゃなくて、本当に『化かす』能力を持ったみたいで」 イヴが言うには、とある墓地と田んぼに挟まれた道路をひたすら歩いていると、不意に自分が『同じ場所を延々と歩き続けている』ような感覚に陥るのだと言う。 そうなった時点で、既にその者は狐エリューションの罠に落ちている。しばらくそのまま彷徨い続けていると、やがて『自分自身と同じ姿をした者』が現れ、攻撃してくるのだと言う。 「もちろん、それは狐エリューションの能力で現出している訳だけど、それに殺されると本当に死んじゃう。だから、まずはそれをやっつけて、狐の能力から解放される必要がある。 その後は、狐エリューションを退治するだけ。術を使っている訳だから、近くにいるはず。探せばすぐに見つかるよ」 それだけ言うと、イヴは俯いていた顔を上げ、一人一人のリベリスタの顔を見渡した。 「狐エリューションは、とっても弱い。けど、その前に戦わなくちゃいけない相手が強敵。……でも、それを乗り越えて、この依頼を成功させて。お願い」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:水境 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年05月18日(水)22:44 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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