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バチバチ、もふもふ。


「ふにゃーん」
 曇り空の下、1匹の猫が歩いていた。
 いつもの道をいつも通りに曲がり、いつものように進んでいく。
 いつもはこれから魚屋へつまみ食いに行って、それからいつものように河原の住処へ帰るのだけれど、今日はいつもと違う事が1つだけあった。
 薄暗い路地裏に乱雑に設置されたゴミ箱の上に、きらりと光る何かを見つけたのだ。
 猫は、光るものが好きだった。
 仲間の野良猫たちが我先にとコンビニ弁当を漁る間も、ひとり――いや一匹か、日光を反射して輝く烏避けのCDに夢中になっていたくらいだ。
 だから猫は、『それ』をひょいと口に咥えてゴミ箱から降りると、満足気な鳴き声をあげて住処への道を歩き出した。
 魚屋のことなどとうに頭から消えていた。
「ふにゃーん♪」
 そして住処につくと、宝物を誰にも盗られないようにお腹の下に抱え込んで、ぐっすりと眠りにつくのであった。


「……と、これだけ聞けば単なる猫の日常の一コマなのだけど」
 当然ながらそれだけでは済まないのである。
『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は手の中で何かをしきりにモフモフさせながら言った。
 野良猫が拾ったのは『ライデン』。所持者の周囲に強力な電気を帯びさせる効果を持つアーティファクトだそうだ。
「幸い流れる電流はそれほど強力じゃない。けど、一般人や他の猫が触れたら危ないことに変わりはないから回収してきて頂戴」
 要は、『ライデン』を持っている者に触れるとバチバチしてしまうということらしい。
「それからオマケもいるわ。ガス状のE・エレメントが3体、野良猫に危害は加えないけど、猫の周りを取り囲んで近づくのを邪魔してくる。それの討伐もよろしく」
 ひと通りの説明を終えたイヴは、もふもふを膝の上に置くと思い出したように付け足した。
「この猫と、河原に住んでいる何匹かの仔猫に困ってる人達がいるみたい。魚を盗まれたりゴミ箱を荒らされたり、ね。
 ……これはアークの依頼とは関係ないけど、何かをしてあげたいと言うならそれは自由。それじゃ、いってらっしゃい」


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:北嶋さとこ  
■難易度:EASY ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2012年05月26日(土)23:18
冬場猫を触るとたまにバチバチして痛いです。
これが初依頼になります、よろしくお願いします。

●成功条件
・アーティファクトの回収もしくは破壊
・E・エレメントの掃討

(その後の野良猫達に対しての行動によって成功・失敗が大きく左右されることはありません。
 しかるもよし、飼い主を希望するもよしです)

●データ

◯『ライデン』
 アーティファクト。ネックレスのような形をしている。所持者(生体なら種族は問わない)の周囲に強力な電気を帯びさせる。
 手で持つ・コートのポケットに入れる等、所持していなければ所持者にはならない。触っただけでは×。
『ライデン』の所持者に触れると、触れた者に電流が流れる。
 電流の威力はスタンガン程度。気絶する程じゃないけどかなり痛い、くらい。

◯野良猫
 光物大好きな野良猫。ペルシャ猫系の長毛種。
 E・エレメントを倒すまでは、お腹の下に『ライデン』を抱えて眠っている。
 倒すと『ライデン』を口に咥えて逃げ出す。追いつける早さだが、電流を喰らわないように捕まえる方法を考えた方がいいかもしれない。

◯E・エレメント
 アーティファクトに引き寄せられたガス状のE・エレメント。3体。
能力
・スモッグを吹きつける  神近範 BS【毒】付与
・膨らんで大きくなる   神自 HP回復

◯戦闘場所
 河原。そこそこ広く、足場や見通しの心配はいらない。
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
ホーリーメイガス
リサリサ・J・丸田(BNE002558)
ダークナイト
カイン・ブラッドストーン(BNE003445)
ナイトクリーク
蛇穴 タヱ(BNE003574)
ホーリーメイガス
天音 礫(BNE003616)
ダークナイト
ルーチェ・ルートルード(BNE003649)
ホーリーメイガス
綿谷 光介(BNE003658)
マグメイガス
鳴神・冬織(BNE003709)
ダークナイト
一ノ瀬 あきら(BNE003715)

●戦闘前
 曇り空の下、灰色の川に次々と現れる細かい泡が、下流へぷつぷつ運ばれていく。その川の端、丸い石でできた地面の上。みるからにふっわふわな猫が一匹、セレブ邸のソファに置かれた高級クッションのように丸まっていた。
 雨の気配のせいか人影は全くない。灰色の河原は、寝息を立てる野良猫に独占されていた。
 ……の、だが。
 その周りに漂う、霧のようなガス上のE・エレメント。ただのもやでないことは、意思を持ってその猫を取り囲んでいることからわかる。猫の抱える『ライデン』に惹き付けられたエリューションは、全部で三体だ。
 そして、猫と宝石に導かれてきたのは、のっぺりしたガス体だけではない。
 意思を持ち使命を与えられたリベリスタ達だ。

 彼らは遠くから猫の様子を伺っていた。前衛は二人、中衛に一人。そして四人の後衛が、E・エレメントに知覚されない程度に距離を保ちつつ、河原に陣取っていた。
 中ほどに待機する『青い目のヤマトナデシコ』リサリサ・J・マルター(ID:BNE002558)が、猫の様子を遠目に探っている。
「猫さん、エリューションに襲われたりしないでしょうか……」
『ライデン』の力を恐れてか、今のところ攻撃的な様子を見せていないとはいえ、E・エレメントが動き出さないとも限らない。リサリサだけではない。ここに集う誰もが、野良猫達の命を心配している。

 ふと、軽い羽音が響く。他の野良猫達の様子を見に行った『黒太子』カイン・ブラッドストーン(ID:BNE003445)が、リベリスタ達のところへ戻ってきたのだ。
 やや動きが慎重になりつつあるエリューションを刺激しないよう、ゆっくりと着地する。
「すべての猫たちが、河原から離れた場所に避難したようだ。もう心配はいらぬよ」
 小さな声の報告に、『禍蛇の仔』ルーチェ・ルートルード(ID:BNE003649)がほっと息をついた。
「上手く行ったのね」
 事前に子猫たちを別の場所へ誘導させ、戦闘や『ライデン』の巻き添えになる危険性を少しでも少なくする――彼女の作戦は成功した。
「うんうん、結構結構」
 口の端を吊り上げて笑った『やったれ!!』蛇穴 タヱ(ID:BNE003574)が背後に手を回しOKサインを送る。先の割れた蛇の下で唇をぺろりと舐めて、「それじゃ、戦闘態勢に入りますかねえ」肩をぐるぐる回した。
 カインとルーチェが目配せをし、散り散りになって歩き出す。
 ルコルコが、「今のはオッケーということなのでしょうか、それともお金のサインなんでしょうか……?」首を捻ったことには気づかないまま。

「デンキウナギならぬデンキネコ……」
『ライデン』の効果を復唱した『羊系男子』綿谷 光介(ID;BNE003658)が、猫と回りに漂うE・エレメントを見比べながら苦笑する。
「うっかり感電なんてしたら、相手も猫さんもびっくりしちゃいますよね。早くなんとかしてあげたいです」
「まったく困った猫だ」
 肩を張るのは『小さな身体に大きな誇り』鳴神・冬織(ID:BNE003709)である。
「しかし、そのお陰で興味深い物を見つけることができた。感謝しよう」
「そろそろ、僕らも準備しないと」
 わずかな間を起き口を開いたのは『蠍火』天音 礫(ID:BNE003616)。自らが発動した強結界の精度を確認し、範囲を絞って、頷いた。
「うん、もう大丈夫だ。人も猫も、来ないと思う」
 よしっと拳を握り締め、『』一ノ瀬 あきら(ID:BNE003715)が小声でささやく。
「ほなら、いくで! そろそろ敵さんも退屈しとるんとちゃうん?」
「そうだな。まずは掃除と行くか」
 冬織が腕組みをしたまま頷いた。
 先を行く三人を追って、五人も移動を始める。

●戦闘開始
 猫からやや離れた場所で浮遊しているE・エレメントが、静止する。向かってくる生命の反応を認識したのだ。しばらくその場で迷うように高度だけを変えていたが、やがてそちらへ向かって流れるように飛び始める。
 他のE・エレメントも、同じような行動を取った。
 三方から敵をおびき寄せるべく、散り散りになったリベリスタ達に向かって。
 リサリサの“浄化の鎧”を付与された三人が、それぞれの武器を構える。
 まず最初に動いたのはタヱだ。仕込んだ鋼糸を、向かってきたエリューションに向かって勢いよく伸ばす。ガスの塊はうっすら赤く光る気糸を二度三度避けたが、進路を次々に遮られ、やがて熱線の牢に閉じ込められる。
「ふっふっふ…アタシの清姫に縛れぬモノはねェんですよ」
 手ごたえを感じ取ったタヱの不適な笑み。軋む糸に焼かれるエリューションの声にならない悲鳴が聞こえてくる。
 そして、身動き取れないエリューションを巻き込むように炸裂した……“暗黒”。黒い瘴気が、巨大化を始めていたエリューションを吹き飛ばす。タヱを巻き込まないように発射された“暗黒”は、カインがブロックしていたE・エレメントにも命中している。
「む……一匹、取り逃がしたか」
 計算して放たれた“暗黒”だったが、もう一匹のE・エレメントを捉えることはできなかった。
「そちらへ向かったぞ、ルートルード!」
 もやの軌跡を残しつつルーチェの眼前へ移動するガス体。それをちらと見やったルーチェは、背後に待機するあきらを見やる。笑顔で頷き返したあきらが、両腕に持った二本のナイフを振りかざす。
「俺かて、こんくらいはできるんや!」
 X字に振り下ろしたナイフから、纏った“暗黒”の瘴気がほとばしる。エリューションから僅かに離れたところへ落ちた瘴気が、エリューションを巻き込みながら爆発する。

 と、戦場の真ん中で、白い長毛が不機嫌そうに揺れる。
「あかん、起きてしもたんか」
 あきらがナイフを下ろして様子を伺う。
 心配はいらなかったらしい。よほどよい夢を見ているのだろう、猫が目覚める気配も怯える気配もなかった。
「前衛の皆さん、うまくエリューションを引き付けました……から、ね」
 “マナサイクル”を発動し終わった光介が、ほんの少し表情を和らげる。
「近づくとバチっと来る言うとったけど、危のうなったらかばいに行こか」
「そう、ですね。回復はボクと、礫さんに任せてください」
「わたくしのことも忘れないで頂戴ね?」
 集中を終えたルーチェが、蛇腹剣を構え直す。
「もちろんです」
「ふふ。いい心がけよ」
 蒼の瞳を細め、敵へと向き直る。体勢を立て直したエリューションを威嚇するように、鞭を地面に打ち付けた。

●戦闘中
 暗雲の下を雷光が駆ける。拡散する“チェインライトニング”が、遠いエリューションも捉える。
「ふん、中々しぶといな?」
 ガスが体積を膨大させた。まだ消える気配はない。
「まあいい、次は仕留めよう。それとも、……彼らのほうが先だろうか?」
 冬織が「さあ、働け」とでも言わんばかりに手を開き笑う。「お任せください」という言葉がぴったり合う笑顔を返し、リサリサが手を振り上げた。
「あとはワタシに任せてください、きっと守って見せます…!」
 こちらに迫ってくるガス体のひとつに狙いを絞り、
「ワタシの守りはワタシの心……ワタシの願い……、決して退きませんっ!」
 かざした指先から発射される、魔の衝撃。“マジックミサイル”が、E・エレメントを貫いた。
 続けざまに空間がゆがみ始める。遠距離に身を置いたカインを取り巻く闇のオーラ。
「貴殿の戦いぶりも見事であったぞ」
 放たれた“暗黒”が、エリューションに真正面から命中する。
 消滅するエリューション。その奥に居た交戦中のE・エレメントにも、“暗黒”が及ぶ。
「おおっ、いい攻撃っすねえ!」
 タヱの気糸に絡め取られたしたE・エレメントに、“暗黒”から逃れる術はない。黒い波動を受け、逃げ惑うそぶりを見せるも糸は千切れず。
「もいっちょ、お願いしまっす」
 ぐいと糸を引きつつ後方を振り返る。
「ええで、ブチかましたる!」
 一歩踏みでて、あきらがナイフを構える。黒く鈍く光るナイフを突き出し、振り下ろす。闇の衝撃はエリューションを襲い、飲み込み、破裂する。
 タヱの指から気糸の感触が消えた。

「うん。……よし、あと一体」
 ダークナイト達の回復に回っていた礫が、E・エレメントの消失を視認。頷いた直後、“Kalb al Akrab”が輝く。“天使の歌”の淡い光が味方を包み込み、再び味方の傷を癒した。
「がんばって。終わったらもふもふが待ってる」
「そうね。さあ、残るはあなただけよ」
 けん制を行っていたルーチェが、目の前のエリューションを見据える。しなる鞭を自在に操り、その行き先を塞ぐ。
 突然、灰色のガス体が大きく膨らんだ。反射的に距離を取り、それが撒き散らした毒ガスを吸い込まないよう口を塞ぐ。“浄化のよろい”が毒を防ぎ、ルーチェに届いた攻撃は僅かなものだった。
 エリューションと同時に動いた、光介が本を開く音。詠唱の後発動した“ブレイクフィアー”がルーチェの吸い込んだ僅かな毒素を取り除いていく。
「もう一押しです、ルーチェさん」
 頷いたルーチェが、地面を蹴ってエリューションへ切りかかる。蛇腹の刃が次々に何かを切り刻む、感触。風圧にガスは千切れ、霧散する。
「最後、決めてしまいなさい」
「言われなくとも」
 駆けつけた冬織が、メイジスタッフを華麗に掲げる。
「さあ、終わりにしよう」
 足元に広がる魔法陣。斜めに空を切る杖から放たれた魔力が、魔力弾となって発射される。
 弾はガス体の中心を捉えた。灰色のもやは一瞬身じろぎすると、空に上りきった煙のように溶けて消えた。

●『ライデン』回収なるか?
 その時だ。河原で眠り込んでいた猫の尻尾が立った。はっと顔を上げたのはリサリサだ。猫は明らかにリベリスタ達を警戒していた。
「ふーーーっ!!」
 毛を逆立て威嚇した後、懐に抱えていた『ライデン』を口にくわえる。そして後ろを振り返り、駆け出そうとする。……が。
「ごめんなさい、猫さん……」
 リサリサがアクセス・ファンタズムから何かを取り出し、猫に向かって放り投げた。ぱっと舞い散る粉。
「でもそれはとても危ないものなの……。持って行っては……だめ。」
「む? 何をしたのだ」
 猫の様子に気づいたカインがリサリサに訪ねる。と同時に、猫の盛大なくしゃみが響いた。
「なるほど、胡椒であるか」
 もちろん、『ライデン』は猫の口を離れた。その隙にリベリスタ達も、猫を怯えさせないように近づく。くしゃみは中々治まらない。『ライデン』を持って逃げたい猫にとってはもどかしい事態だ。宝石の傍を離れるわけにもいかず、くしゃみをしながらじりじりと後退していくしかない。
「そんなの持ってちゃいけないわ。代わりにわたくしのブレスレットをあげる」
 猫の目の前に膝を付いたのは、ルーチェだった。きらきら光る指輪をはめた手をくるりと回し、猫の反応を見る。金色の両目をぱちくりさせて、顔が指輪を追ってくるりと動く。
「ブレスレットっていうのは、これだよ」
 ルーチェの隣で膝を折り、優しい声色で語りかけるのは光介だ。その指は、ルーチェの手首を彩るブレスレットを差していた。
 ルーチェが腕を動かすと、装飾品が鈴のような音を立てる。
 礫がすっとその隣に立ち、“Kalb al Akrab”に魔力を込めた。琥珀から放たれる淡い光がブレスレットを染め上げ、輝く。そして、猫の瞳も。
「本当に貰ってもいいの?」
 と、その目が語っている。いいのよと言う様に優しくブレスレットを揺らし、微笑みかけるルーチェ。
「大丈夫だよ、猫さん。怖くないよ~」
 その後ろで目を細める光介。
 二人を交互に見比べた後、きらきら光るブレスレットをじっと見つめた猫は、『ライデン』を丁寧に地面に置いた。四本の足で、警戒しつつもゆっくりとルーチェに歩み寄り、青い目を見上げる。
「いい子だね」
 光介と礫が笑いあう中、ルーチェの腕からブレスレットが外され……猫の前に置かれた。すると、不満そうな猫の声。
「なんや、まだ何か欲しいんかいな」
 あきらが目を丸くして猫を見返す。猫の不機嫌そうな、しかしブレスレットには興味津々な様子を見て、しばらく考えた後にぽんと手を打った。
「わかった、こういうことやろ」
 ブレスレットを手に持ち、すぽっと猫の首にはめる。
「あら」
 と、リサリサが口元に手を宛がうのも無理はない。長毛の猫がブレスレットを首にはめている姿。まるで、モップでできた照る照る坊主――よりかはずっと上品だが、しかしそれくらい奇妙なシルエットになった。
「……これでいいの?」
「ええやん、なあ?」
 思わず問いかけた礫に、あきらが頷いて猫に聞く。なぁ~お。猫の満足そうな一声。
「少しゆるめてあげるわ、こちらにいらっしゃい」
 ルーチェが手招きし、ブレスレットの長さを調節する。
「……まあ、後ほど貴殿好みの首輪を調達してきてやろう」
 特別きらきらなのをな。腰を折ったカインが猫に手を伸ばし、首元のあたりをくすぐってやった。あ、ずるい、自分も触りたい! という声が、いくつも聞こえた。

「では、『ライデン』は我が預かっておこう」
 彼らから少し離れた場所で、駆け寄ってきた冬織が『ライデン』を拾い上げる。
『ライデン』は美しい宝石だった。手のひらにすっぽり収まる透き通った宝石は、黄金色の水晶と呼ぶのがふさわしい。角度を変えてその中を覗き込んでみる。空気が入っているのか魔力が込められているのか、そこには小さな稲妻がいくつも走っているように見えた。
「どうっすかぁ、宝石を持った感想は?」
 冬織の顔を覗き込んだのはタヱだ。
「ん。どう、と言われてもな。そうだな……美しいぞ」
「ふんふん。持っても所持者に大きな変化はナシ、っと」
 にやついたまま大げさに頷きつつ、腕組みをする。
「それじゃ、ちょっと触ってみていいっすかね?」
「な……おい、危ないぞ」
 無造作に伸ばされたタヱの手を避ける。
「大丈夫っすよー」と肩をすくめるタヱ。「『ライデン』の効果を本部に提出したいンすよ。ここまやるのも、リベリスタのお仕事でしょって」
 困惑する冬織と、さてさてと手をこすり合わせるタヱ。その様子に気づいた光介が、何かあっては大変だと二人の元に走っていった。

●里親募集中
 さて。無事に『ライデン』を回収し、残すところは河原に住んでいた子猫達の引き取り先を探すのみとなった。
「さて、貴殿達全員の里親を探してやろう。一匹残らず、幸せな家に引き取られるがいいさ」
 子猫を抱き上げてるカイン。彼だけでなく、リベリスタ達全員が野良猫一匹一匹に声をかける。『ライデン』を持つ冬織を除いて、だが。
「いろんな子がいるみたいだ」
 用意していたいくつもの猫用ケージを開きつつ、礫が冬織を見上げる。
「ねえ、君はどの子を連れて帰りたい?」
 そうだな、と首を捻る冬織。その隣では光介が、コーポで飼う子猫を何匹か選び、「連れて帰ってもいいかな」と確認を取っていた。
「新しい場所にも、楽しいことや素敵な出会いがあるかもしれないよ? ボクもそうだったから……」
 灰色の猫の頭を撫でながら、くりくりした瞳を見つめ返す。猫は答えるように「にゃあ」と高い声で鳴いた。
 あきらがケージをぽんぽん叩く。
「なあ、俺もケージ使ってええか? ダンボールじゃ可哀想やん」
「いいよ、沢山あるから。足りてるだろう?」
 おおきに、と礫に笑いかけ、子猫達をケージに誘導する。

「猫さんの里親、見つかるといいですね」
 両手を組んで穏やかに微笑むリサリサ。タヱもうんうんと頷きながら、ケージへ歩み寄る子猫を見守っていた。
「われわれ全員で声をかければ、子猫達の行く先も見つかるだろう。我も引き取るつもりだ。部屋に自分以外の生き物がいる生活も、まあ悪くはないだろう」
『ライデン』所持者の冬織は、礫とあきらのどちらかに猫を連れて帰ってもらうことにした。リベリスタ達が自ら引き取る子猫をケージに入れると、子猫の数はだいぶ少なくなった。彼らがそれぞれ里親を探すことができれば、残った猫の住む家もすぐに見つかるだろう。
「ここの猫さん、ずいぶん分別がいいのね。もしかして、アナタがまとめていてくれたお陰なのかしら?」
 長毛の猫を抱いたルーチェが、彼の頭を撫でながら言う。ブレスレットの首輪をしゃらんと鳴らした猫は、どうだかねと言いたげに首を振り、「ふにゃ~ん」と鳴いた。

「さあて、河原の掃除もしといたほうがええやろな」
 あきらが服のほこりを払い、よいしょと立ち上がる。なるほどと頷くカイン。
「そうであるな。近隣の住民に迷惑が掛からぬよう、我らが手助けしてやろう」
「せやせや。まだまだ頑張るでー!」
 猫ケージをそれぞれの場所へ持ち帰るリベリスタと掃除をする者と、今は一旦別れるが。再び彼らが合流し猫たちのために働くのは、すぐ後のことだ。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
はじめまして。代筆を担当させていただきました、北嶋と申します。
皆さんの要望をできるだけ取り入れさせていただきました。
いかがでしたでしょうか?

猫を気遣って下さりありがとうございます。
猫たちは怪我もせず、宝物を無理やり奪い取られることもなく
満足していると思います。
里親もすぐに見つかるはずです!

河原にはたくさんの種類の子猫が居たと思います。
どんな種類の子猫を引き取ったのか、
PCさんがご自由に想像してみてはいかがでしょうか?
引き取った子のことは、ずっと大切にしてあげてくださいね。