●パンツを取られたら負けのルール マッスルがパンツオンリーで歩いていた。 略してマッツリーである。 彼は今日も自慢の筋肉を太陽に晒しながら公道を歩いていた。 「フフ、今日も人から浴びる羨望の死線がたまらないぜ……帰りはジムによって脹脛を重点的に鍛えようかな?」 などと人とは思えぬ独り言を呟きながら裏路地へ入って行く。 するとそこには。 「ガチ!」 「ムチ!」 「パァンツ!」 「――ファイッ!」 四方を囲むパンツマッスル軍団。 彼らは一斉に飛び掛り、男をうつ伏せに組み伏せるとパンツを引っ張りあげるわ尻を叩くは腕をキメるわの暴力行為に及んだ挙句最終的にはパンツをはぎ取って帰っていたのだった。 ●想像力の試される説明シーン 「という、ノーフェイス達が暴れているんだが……待て、逃げるな」 『駆ける黒猫』将門伸暁(nBNE000006)がリベリスタの肩をがっしりと掴んだ。 とある裏路地に出現してはガチムチのパンツをはぎ取って行くノーフェイス集団がいるという。 ただでさえ近距離パワー系のノーフェイスである。組み付かれたらただでは済むまい。 一応の所六体程いるらしく、やけに男性(見た目含む)をメインに狙ってくると言う。 「手強い相手だが……何、アークのリベリスタなら、リベリスタならなんとかしてくれる!」 伸暁はそんな無茶振りと共に全速力で逃げ去ったのだった。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:八重紅友禅 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 9人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年04月12日(木)22:46 |
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■メイン参加者 9人■ | |||||
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●好きなガチムチ動画を再生しながらご覧ください 春うらら。 私は聖鳳院稲作、十五歳。今日から高校生です。 「いっけなーい、遅刻しちゃう! 初日から遅刻なんてマジヤバイってカンジー!」 食パン咥えて全力疾走。 でも曲がり角で男の子とぶつかっちゃった! 「あらやだスカートが……なんて……フフ……ハハハ……」 ブロック塀にぺったりとよりかかり、『駆け出し射手』聖鳳院・稲作(BNE003485)は現実逃避していた。 肩越しにスライドインしてくる『レッツゴー!インヤンマスター』九曜 計都(BNE003026)。 「変態と奇人が集うアークにも倫理規定はある。そしてこのリプレイにも。だが今回は、今回ばかりは……乙女の身にはアウト過ぎたのだ!」 「目の前の光景が地獄すぎるうううううう!」 稲作は頭を壁にがんがん叩きつけると、自主的に気絶した。 で、実際どうなのかと言うと。 「う~、ノーフェイスノーフェイス」 公園のトイレに向かって小走りする『リベリスタ見習い』高橋 禅次郎(BNE003527)。 「俺は三高平学園に通うごく普通の男の子。しいて違う所を挙げれば、E能力者ってとこかナ。そんなワケで、俺は裏路地へやってきたんだ」 ぴたりと立ち止まる禅次郎。 何かを感じて振り向くと、そこには『眼鏡っ虎』岩月 虎吾郎(BNE000686)が立っていた。 「パンツを脱がすノーフェイスか。変わったやつもいるものじゃのう」 パンイチだった。 「完全勝利の誓い、ウルトラショッキングピンク……扇情的やろ?」 『人生博徒』坂東・仁太(BNE002354)がギキニパンツ一丁で尻を向けていた。 そんな二人の間で『いい男♂』阿部・高和(BNE002103)がベンチに腰掛け、チナギのファスナーをゆっくりと下していた。 「今日の俺は、常識人枠だぜ」 「嘘ダァッッッッッッ!!」 茂みから突き出して絶叫する計都。 若干端っこにいた『愛の宅急便』安西 郷(BNE002360)がもじもじしながら服を脱ぎ始めた。 「む、無理だ。俺にブーメランやビキニタイプは……トランクスでもいいだろ? いいだろ?」 「誰もパンイチになれなんて指定してないですけどね。あ、ちょうちょ……」 死んだ目で囁く稲作。 『仁狼』武蔵・吾郎(BNE002461)と『闇狩人』四門 零二(BNE001044)がサムズアップした。無論パンイチだった。 「パンツ……たった三文字なのに、どうしてこんなにも心が躍るのか」 「フンッ!」 ダブルバイセップス・ザ・レイジ。 「男ならそう、だれでも……」 「ハァ!」 サイドチェスト・ザ・レイジ。 「あとパンツを強襲用戦闘服って呼ぶと、なんだかいかがわしい」 「ッアァー!」 アドミナブル・アンド・レイジ。 そんな彼等に呼応するかのごとく、六人のノーフェイスがずらりと並んだ。無論パンイチだった。 彼等は背景がロッカールームに見えるくらい熱い視線で見つめ合うと、ゆっくりと、そしてじわじわと距離を詰めはじめたのだった。 ●映像や画像でないことをいいことに表現の限界に挑戦する 男達の尻から翼が生え、天に向かって飛び立つ。 いきなり筆者の頭が狂ったわけではない。 翼の加護である。死んだ目で空を見上げる計都。 「やり直せクソが……」 正直な感想を吐いてみる。しかし現実は非常だった。 尻に守護の刻印(男マークにしか見えない)が刻まれている。 計都の目からハイライトが消えた。 「ヴァァァァァッ! ヌゥハ!」 怒号と両足から地面に着地した零二が両腕を掲げ、筋肉を強調する。 「ヴェエエエイ!」 相手のノーフェイスも口をニチャニチャさせながら両腕を広げると、牽制なのか腕をひょいひょいとスイングさせる。 互いに数回頬を叩き合ったかと思うと、途端に両手を絡ませ合った。 力比べかっ! 計都がそう睨み、さあフォローの始まりだぜと身構えたその時。 「コオオオオォ――メコォッ!」 急に構えを解き、相手の上半身を抱え込み振り上げる。地面に叩きつけると、うつ伏せに丸まったノーフェイスのパンツを掴んで思い切り引き上げた。 「アァーッ!」 腕を振り上げる零二。 計都はフォローをやめた。 禅次郎はシャツを軽やかに脱ぎ捨てると、ジーンズのベルトとボタンを片手で外した。両手で腰のあたりに親指をかける。 すると、彼は潔く、そして男らしくジーンズを脱ぎ捨てた。 丁度前屈柔軟測定の体勢である。 そしてブラックパンツ一丁になると、手近なノーフェイスに手招きをする。 「そこのビリー、俺とやらないか」 「嬉しい事言ってくれるじゃないの」 何故か背後の阿部さん(こう表記する義務がある気がした)が答えた。真顔でスルーする禅次郎。 禅次郎とノーフェイスは互いの中心を軸にゆっくりと円移動を始める。 何歩移動した頃だろうか。突如ノーフェイスが飛び出し、禅次郎の下半身へ組み付いた。 そのまま禅次郎を引き倒すと、足の関節を極め始める。 「オゥ――ォアー!」 男性独特の野太い悲鳴をあげる禅次郎。そんなキャラじゃないなんて理屈、今は通用しなかった。 ノーフェイスはそれを好機と見るやパンツにてをかける……が、その手がパンツをすり抜けた。 「ヤッパァリナ……」 まあそっからですよねってセリフを呟くノーフェイス。禅次郎はにやりと笑った。 「いつから俺がパンツを履いていると錯覚していた? そう、これは闇纏……パンツに見せかけた闇のオーラだ。実態が無ければ脱がすことは出来ま――アァー!」 が、その時である。ノーフェイスは禅次郎の闇纏パンツに両手をかけると、まるで布を引き裂くかのように、もしくはATフィールドを中和するかのように破り捨てたではないか。 「ブレイクだと!? ア、アァーッ!!」 そこからはスーパーケツドラムタイムである。だが禅次郎諦めない。巧みにノーフェイスのパンツを掴むと、強引に引っ張り込んでパンツのゴム部分しかない状態にしてやった。 赤子の笑顔が乱れ飛ぶ。 そこへ堂々と跨る阿部さん。 「まさにゲイジュツ、男達のパラダイス! ヒアウィゴー!」 両手を振り上げると、サンバのリズムでケツ土砕掌を繰り出した。 「アーッ! アーッ! アッアアアッー!」 「よかったのかい? 男のパンツなんて取っちまって、俺と――やらないか」 「アーッ!」 その一方。 「うらあああパンツよこせやあああああ!」 吾郎が素早く力強いアタックでノーフェイスに絡みつく。すぐに相手を組み伏せると、股間に手を回してパンツを無理やりもぎ取った。 そして狼男かという程の鋭い牙で……パンツを頬張った。 股間に被さった赤さんの顔が巨大化した。 太腿や尻を叩きながら咆哮する吾郎。 「いいのかい、俺はパンツだってもぐもぐ食っちまう狼なんだぜ」 「吾郎パス、マイボマイボ!」 後ろで反復横跳びする仁太。吾郎はパンツをぺってやると、仁太に向かって投げた。キツネハーフらしく口でキャッチする仁太。 が、それでも満足できなかったのか吾郎のパンツに手をかけた。 「何ッ、仁太それは俺の――」 「ホイホイチャーハンッ!」 パンツごと引き倒し、フィーッシュとばかりにパンツをもぎ取った。乱れ飛ぶ赤さん。 仁太はそれらを頭に被ると、腕を振り上げて荒れ狂った。 「クンカクンカスーハースーハー、ハッフッハッフ! パンツを通して味方の力が伝わってくる! もう何も怖くないぜよ!」 いつから薩摩口調になったのか。もはやそれすら気にするべきことではないのか。 計都は色々なものを諦めて後ろで一世代前のパラパラダンスに興じていた。 ちなみにBGMは阿部さんと吾郎によるケツドラムである。 その横で盆踊りに興じる稲作。 「あ、ちょうちょ……」 目のハイライトはとっくに消えていた。 なんにも見てなかった。 はっとする。今が戦闘中だと気づいたのだ。 稲作は思い出したように稲を振り回すと、キマりにキマッた目で、そして微妙に裏返った声で叫んだ。 「心眼! そう、見なければ良いのです! 聖鳳院稲作は御年頃、いやんいやん!」 もう何が言いたいのかわからないが。 稲作はその調子で敵味方無差別にハニーコムガトリングをぶっ放した。 「アーッ!」 「アアーッ!」 「ユッガミニェーナ!」 「オァーオ!」 「アッァアー!」 「アァー!」 「ハウドゥユゥドゥーイング!」 阿鼻叫喚とはこのことを言う。 稲作は乱れ飛び、そして半数位は既に仕事してない赤さんの群を前に顔を両手で隠していた。 そしてたまに指をちらちら開閉していた。 ドッキドキワックワクワンダーランドである。 タケノコアイランドにしてパンツ桜吹雪。 肌色ギターフリークスにして肌色ドラムマニアである。 そんな中、虎吾郎は一人のノーフェイスと組み合っていた。 脚をかけられて転倒。パンツを守るため蹲る姿勢をとるが、パンツごと釣り上げられトランクスを引っぺがされた。 だがしかし。 「ハァン!?」 「残念、わしのパンツはまだまだあるぞ!」 現れたのは赤さんではない。ボクサーブリーフである。 それも構わずはぎ取るノーフェイス。 すると今度は六尺褌! 「ユガミネェナ……」 「日本男児はやはりこれじゃよ……ハァーン!」 そう言うと、結び目を解いて抜き取り、虎吾郎の尻に鞭うち始める。 が、その下にあるのはジョックストラップ。もうそれパンツじゃないが。 「まさかここまでのものとは……アァー!」 だがそんな抵抗もむなしくはぎ取られる虎吾郎。その下には赤さんは居ない。肌色下半身に三角形に黒光りするパンツフィールドがあった。 でも凹凸があまりにリアルだった。 「…………」 「…………」 無言でガン見する計都と稲作。 ここで基本的な話をしよう。 パンツの素材は決して布に限られてはいない。ただ多いだけだ。ビニールやゴム、その他色々な素材が用いられてきた。 ならばそれがアクリル樹脂であってもいいのではなかろうか。 という発想の元イタリアで産まれたのがこれ。 パンツペイントである。 イタリア人何考えてんだ。 「ふう、漸く最後の一枚か……おぬしもなかなかやるようじゃのう。ならば宣言しておこう、この黒ビキニが最後の一枚じゃ!」 「一枚じゃねえよクソが」 「ビキニじゃねえよクソが」 キャラも捨てて乾いた目をする計都と稲作。 「だがこの一枚だけはお主に脱がすことはできん。何故だと? お主の手にはパンツを脱がすだけの想いが足りないからじゃ! その想いを見せてみろ! ぶつかってこい! さあ!」 と言いながら、仰向けの体勢で業炎撃を叩き込む虎吾郎。 そんな彼とはまた別に。郷がノーフェイスと取っ組み合いをしていた。 立ったままの姿勢でパンツを掴まれる郷。しかし表情に焦りは無い。 「おい、その手をどけろ。それをはぎ取ったらお前……死ぬぞ」 「ホイホイチャーハン!」 だがノーフェイスは怯まない。思い切り引きおろす。それも両手でだ。 そして彼は見てしまった。視線の先5センチにある、黄金のパンツを。 「……ハァン!?」 前面に暴れん棒将軍と書かれた黄金パンツ。ドンキで売ってるヤツである。 「こんなこともあろうかと、念のために穿いておいたんだぜ。これが俺の真の装備品。トランクスタイプの水着に押さえつけられていた力が今まさに解き放たれウワァァァァァァー!」 無論そいつもはぎ取られた。 両手で。 スライドインする赤さん。 「畜生よくも俺の新兵器を、くらえソニックキック……否!」 片足を掴まれた状態のまま相手の頭に蹴りを叩き込む。 「ソニッック、ネリョ、チャギャアアアアア!」 「ハァーン!」 「からのー、連撃、ソニック浴びせ蹴りゃあああああ!」 「アァァーッ!」 怒涛の連撃を叩き込む郷。 高速振動する赤さん。 その後ろで、稲作はいそいそと服を脱ぎ始めた。 「味方も脱ぐ気満々ですし四面しょっかー!」 「イーッ!」 適当な合いの手を入れる計都。 「というわけでハイ私、聖鳳院稲作も、女の子聖鳳院稲作も、水着を着てきましたよ!」 体操選手のようにY字態勢。 水着の種類はセパ……セパ……なんだっけあの……。 「セパタクローです!」 「それ脚でするテニス」 適当なツッコミを入れる計都。 が、しかし。 目の前で繰り広げられるガチムチパンツファイティングは一向に止む気配が無く、それどころか『稲作が水着きてますよ』くらいの描写しか訪れなかった。 こんなことがあっていいのか。 なんでもかんでもエロくすることで有名なアークリベリスタが、女子の水着にノータッチでいいのか。 「ダァラシネェナッ!」 零二がノーフェイスの打撃を受けうつ伏せに倒れる。両腕を翼のように絞り上げられ、零二は苦悶の表情を浮かべる。 「ユーガッミニェーナッ!」 続いてパンツを引っ張り上げられ、ひたすら尻を叩かれた。 だがそんなマネとして味方が黙っていない。 禅次郎は攻撃中のノーフェイスに組み付くと、既に赤さん状態になった尻に暗黒呪刻剣ペインキラーと言う名のドラムアタックを叩き込んだ。 「ハァン!」 「「アーッ!」」 「「アーッ!」」 「「アーッ!」」 叩かれれば引っ張る力が強くなる。そうして野太い悲鳴が連鎖した。 そんなノーフェイスの頭に手を翳す計都。 「パンツを脱がしてからが本当の戦いだ、心のパンツを脱がすまでが、本当の戦いなんだよ! というわけで喰らえやハイリーディング!」 計都の脳内にガチムチパンツファイティングが六本くらい同時再生された。想像できるもんならしてみ……してくだ……してみやがれ! 「駄目だ、もっと奥を小刻みにえぐれ! そうギランドゥを優しく撫でまわせ! ちがうその穴(ピー!)は(ピー)じゃない! (ピー)を(ピー)して(ピー)棒デッドオアアライブだ!」 ついにセリフの文字にまで赤さんが乱れ飛び始めた。 その横では阿部さんがノーフェイスと決着をつけようとしていた。股の下に手をかけようとするノーフェイス。阿部さんはあえて抵抗せずに乗っかると、相手の両肩を掴んだ。 「残念それは私のお稲荷さんだ!」 若干趣旨の違うことを言うとアーマーパージ。野生の野太刀をマキシマムドライブすると相手の顔面にスパーキングした。無論自分も粉砕玉砕大喝采。 「このままじゃ収まりがつかないんだよな……ところでこの業炎撃を見てくれ、こいつをどう思う」 「ユガミネェナッ!」 まずパンチ。 「ああ、次は斬風脚だ……」 「ちょろーん!」 そしてキック。 ノーフェイスは力尽きてその場に倒れた。 何処からともなくベンチ(AF)を取り出すと、悠然と座る阿部さんであった。 その後ろで、吾郎はノーフェイスを組み伏せていた。 エビ反りに足関節を極めながら此方を向く。 「いいかよく聞けよリベリスタの皆、これを腐女子にやったら犯罪まっしぐら。しかしガチムチマッスルにやればあら不思議、一部の人へのご褒美に早変わり。犯罪臭も吹っ飛ぶぞ!」 「変わってねえよクソが」 「犯罪臭充満だよクソが」 乾いた目で見下す稲作(水着)と計都。 「皆も落ち着いてマッスルを相手にしようぜ。そうすればアークにもなじむこと間違いナッシング! へい仁太!」 「おうよ!」 ノーフェイスの髪の毛を掴んで持ち上げる。 「男花、いつでも銃を持ち歩いてるんや。そそり立つ巨大な銃をな! さあバウンティショットやぁ!」 「ソウナッタァオゥ!」 腰のグラインドから放つバウンティショットが顔面スパーキング。ノーフェイスはたまらず消滅。 こうして、今日も町の平和は護られたのだった。 沈みゆく夕日。 男達は手を腰に当て、そんな光景を眺めていた。 今日の戦いも厳しかった。今日はこうして沈む夕日を見ることができたが、次はどうだろうか。 そんな考えをうっすらと脳裏に浮かべつつ、男達は帰路についた。 無論しょっぴかれた。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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