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零式艦上機竜、空中大活劇

●アザーバイド出現、直ちに開始して下さい。
 零式艦上機竜。通称ゼロ戦。
 双翼をつけた蜥蜴の様相をしており、ボディは金属で構成されている。
 中型トラック程度の飛行機械生命体だが、長い航行距離と潤沢な武装。そして格闘能力によってある世界において伝説的な戦果をもたらした。
 主な武装は九九式一号二十ミリ機銃。
 外観の通り、空中戦闘を得意としている。

●神秘の空中戦
「……以上が、敵アザーバイドの概要になります」
 『運命オペレーター』天原和泉(nBNE000024)は資料を配りつつ、手短に説明した。
「現在日本の上空、高度百メートル前後を航行中。数は八機。これらは突如空中に出現したゲートより出現した模様です」
 放置すれば世界が歪むだけでなく、街への攻撃も予想される。
 そうなった場合の被害は語るべくもない。
「皆さんは直ちに戦闘空域へ移動。飛行能力の無いリベリスタは仲間からの『翼の加護』支援を受けて移動して下さい」
 ファイルを閉じる和泉。
「目的は全機の撃破。事態は一刻を争います……ご武運を」




■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:八重紅友禅  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 9人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2012年04月11日(水)22:18
 八重紅友禅でございます
 今回は手短に行きましょう。

●零式艦上機竜
 空中戦闘を得意としている機械生命体です。
 数、八機。
 機銃による射撃と近接格闘の両方を可能としています。
 他一切の詳細は不明。
 知能があるところまでは分かっていますが、それがこちらと同等なのか、もしくはそれ以上なのか。全く分かっていません。
 唯一つはっきりしていることは、この戦いに敗れれば街への被害は確実だということでしょう。

●空中戦について
・戦闘について
 全員が安全飛行高度を越えた領域での空中戦となります。
 そのためペナルティを考える必要はありません。
 また、高度な空中戦であるため、今回に限りブロックの難易度が上がります。
・飛行能力の無いリベリスタについて。
 味方に『翼の加護』を使えるメンバーが居る場合はその支援を受けて下さい。
 もし味方に加護を使えるメンバーが居なかった場合、無名リベリスタを派遣します。ただし戦闘する能力は全くないので、飛行支援以外は期待しないで下さい。

 以上。ご武運を。


参加NPC
 


■メイン参加者 9人■
マグメイガス
ウェスティア・ウォルカニス(BNE000360)
ホーリーメイガス
神谷 小夜(BNE001462)
ホーリーメイガス
アンナ・クロストン(BNE001816)
ホーリーメイガス
エアウ・ディール・ウィンディード(BNE001916)
ソードミラージュ
安西 郷(BNE002360)
スターサジタリー
ユウ・バスタード(BNE003137)
ホーリーメイガス
氷河・凛子(BNE003330)
ソードミラージュ
ルーク・J・シューマッハ(BNE003542)
★MVP
プロアデプト
チャイカ・ユーリエヴナ・テレシコワ(BNE003669)
   

●X-エンゲージ
 空中を、円を描いて旋回している機体がある。
 羽の生えた中型トラック。ボディはやや薄く、モノを運ぶというよりは、どこかへ飛んで行って武装をばらまく意図が伺えた。
 恐らく兵器であろう。少なくとも機銃はついているのだから。
 『極北からの識者』チャイカ・ユーリエヴナ・テレシコワ(BNE003669)は視認ギリギリの距離まで接近して、小型のモールス発信機を押した。最近は玩具レベルのアイテムで、親指でかちかちと押すだけのものであれば、割と誰にでも手に入るアイテムである。
「ゼロ戦。祖国の英雄migが出る前、伝説になった名前です。博物館で見たことはありますけど……」
 目を凝らすチャイカ。
 かつて第二次世界大戦中、大日本帝国の主力を張っていた零式艦上戦闘機、通称ゼロ戦。
 薄っぺらくて丸みのあるオリーブ色のフォルム。面影だけで言えば、確かに近い物はある。
 腰や翼の部分には赤い円形のマークがあったが、日の丸とはどこか雰囲気が違った。鍵のようなマークが入っているのだ。
「……ん?」
 旋回を続けていた機竜たちも、どうやらこちらに気づいたようだ。
 旧日本軍やエニグマ暗号(ぐぐった)を試しに飛ばしてみるが、相手は目らしきものを妖しく光らせるだけだった。
「私達だって本当は戦いたくないんですけど……通じませんか」
「敵性アザーバイドですからね。行きますよ、皆さん」
 『境界の戦女医』氷河・凛子(BNE003330)が翼の加護を発動。元々翼をもたなかったメンバーも交えて、機竜たちへと突撃を始めた。
 これが、ある世界とこの世界における、一番最初の交戦記録となる。

 『癒し風の運び手』エアウ・ディール・ウィンディード(BNE001916)は翼を大きく広げると、機竜の一機へと狙いを定めた。
「ここで頑張らないと、誰かが犠牲になる……そんなことはさせないよ!」
 マジックアローを照準、射出。
 機竜は斜めに滑り落ちるような恰好で回避すると、翼を器用にまるめて回転した。
 跳ね返るように鋭角な軌道を描いてエアウへ突撃……すると見せかけて、横を通り過ぎていく。
「うわっ!」
 反射的に身をかわす。だが今のが攻撃でないことは、何となく分かった。
 カメラレンズのような目が自分に向いている。
 はっとして周囲を見渡すと、同じようにそれぞれの機竜がこちらのメンバーに目を向けていた。一機につき一人を観察する、という様子である。
「あれ、何してるんだろ?」
「何でもいいでしょっ……っと」
 『いつも元気な』ウェスティア・ウォルカニス(BNE000360)が翼で制動をかけて自主的に落下。やや低い位置から魔方陣を展開すると、溜めスキップで葬操曲・黒を発射した。
「見せてあげるよ、空はフライエンジェの領域だってことを!」
 血色の鎖が大量に飛び出し、機竜たちへと襲い掛かる。
 それぞれ自主的に回避行動に入る。
 一機か二機が鎖に捕らわれたが後は大体無事であるようだ。
「意外とすばしっこい!」
「……んん」
 喉の奥を小さく鳴らす『ソリッドガール』アンナ・クロストン(BNE001816)。
 まずこの世界の常識として。戦闘機がこんな低空で格闘をする筈がない。そして人や蜥蜴は空を飛ばない。
 それは、自分の中の怒りとしてとっておこう。今現在はいいとしておこう。
 しかし先刻の鋭角な軌道といい、今の回避性能といい、この世界の戦闘機とは設計思想からして大きく違う兵器なのではないか?
 考えを巡らせていると、機竜が三機ほどで編隊を組み始める。
 蜥蜴で言う肩に当たる部分から機銃を露出させ、エアウ目がけて連射し始めた。
「うわっ、とと……こんな所で負けな――!」
 元々耐久力や物理防御の弱いエアウである。機銃攻撃を集中されたらひとたまりもない。すぐさまフェイトを使って持ち直す、が。
「エアウさん、後ろ!」
「え、ぅあ!?」
 斜め下から食いつくように、一機の機竜が激突してきた。
 いや、激突ではない。
 腰に深々と牙を突き立て、真ん中で千切らんばかりに食いついてきたのだ。
 大量の血が軌跡を描き、エアウは目を見開く。
 彼女の体力が底をつくのに、さほど長い時間は要らなかった。
 機竜の口から放られ、きりもみしながら墜落していくエアウ。キャッチに回っている暇はない。それは今回派遣されてきた人たちに任せるとして……。
「来ますっ!」
 『局地戦支援用狐巫女型ドジっ娘』神谷 小夜(BNE001462)は両腕を翳して叫んだ。
 エアウを撃墜した機竜が三機。残りのうち二期が小夜目がけて機銃を発射してきたのである。
 小夜は身体を丸くして着弾点を小さくすると、くるくると回りながら落下。通り過ぎる機竜の原を見ながら急上昇を初める。
 何かに気づいたのか、アンナが歯噛みしながら振り返る。
「大丈夫、小夜さん」
「全力で回避に専念しましたけど……無理そうです」
 足首から血が流れている。小夜の回避性能ではこれが限界だった。
 機竜たちがくるりと前向きに反転。上下逆様になったまま小夜へと機銃攻撃を再開した。
「……っ!」
「諦めないで、少しの間ならなんとかする!」
 『フラッシュ』ルーク・J・シューマッハ(BNE003542)が小夜の前へ飛び出し、身を固めて盾になった。
 彼の体力が一気に奪われる。すぐさま回復にかかる小夜と凛子。
 幸いなことに、凛子の聖神の息吹があるおかげでダメージの五割以上をカバーできていた。
「消費が激しいのが辛いですけど」
「大丈夫、空中補給ですよー!」
 チャイカが今こそ我が出番とばかりにインスタントチャージを発動。回復にひつようなエネルギーを供給しにかかる。
 二機では足りないと分かったのか四機体制で削りにかかる機竜。
「ル、ルークさん」
「いいんだ。自分が痛くて怖い事より、誰かがそうされることの方が、つらい!」
 全力で小夜を庇うルーク。対して機竜は彼の方を向いたまま周囲をぐるぐると回り、機銃での集中砲火を始める。
 恐らくそ長くは持たないだろう。幾度か致命傷を食らい、ルークの体力が一度は底をつく。
「この翼が、剣が、身体が折れても、心は折れない……だから運命がくれるんだ、新しい翼を!」
 フェイトを削って、再び小夜を庇う。だがこのままでは墜落も時間の問題、と思われたその時。
「よく我慢できました。もうちょっと我慢して下さいねー!」
 『ミックス』ユウ・バスタード(BNE003137)のスターライトシュートが上空より浴びせかけられた。
 一斉に態勢を崩す機竜たち。ユウはライフルを片手でぐるりと回すと、再び照準を合わせにかかる。
「大火力、防御力、そして余裕あるボディ! ……は最近原料したんですけど? それはともかく、戦いは数ですよ兄貴ぃ!」
 ユウがスターライトシュートを連射。
 一方では『愛の宅急便』安西 郷(BNE002360)が機竜の内一機を引き付けて飛んでいた。
「雰囲気は違うがこいつはまごうことなきゼロファイター! 別チャンネルにはこういう生物がいるんだな! と、それはいいとしてだ!」
 飛行しながら身体を上下にゆするようにする。機銃の弾が郷を掠めて飛んで行った。
「九九式機銃は大威力だが命中に難のある代物だ。コイツらのもそうだってんなら、スピード上げれば当たらない筈だぜ!?」
 リベリスタ飛行独特のジグザグな軌道をかけながら反転。機竜と目まぐるしく背後を取り合い始める。
 そんな中で、アンナは一人、どこか奇妙な感覚に捕らわれていた。
 神秘戦闘だから当たり前だと流されがちな様々な現象を、未だ一般人視点が抜けない(もとい手放さない)彼女だからこそ感じた、違和感である。
 その正体に気づくのは、もう少しだけ先の事だった。

●異世界の戦争
 小夜を全力で庇い続け、そのしぶとさ故に機竜たちの大半を引きつけていたルーク。
 しかし六機がかりの集中砲火を浴びてしまえば、流石の彼とて持ち応えることはできなかった。
「ルークさん!」
「いいんだ、できることは……やったよ」
 手を伸ばす小夜。その手を握ろうとしてルークもまた手を伸ばす。
 指先だけが擦りあい、中指と中指が離れた。
「あっ……!」
 穏やかな目をして落下していくルーク。
 小夜は首を振り、突撃してくる機竜をギリギリのところで回避した。
 そう、もとはと言えば自分を集中的に狙っていたのだ。
「戦闘機のゲームは苦手じゃないですが、実際の空戦は勝手が……きゃっ!」
 伸ばした腕に食らいつく機竜。小夜は空中を強引に振り回され、放り投げられるようにして意識を失った。
 高度を高く保ち、神気閃光をしかけるアンナ。
 命中率はそこそこ。しかし相手の目くらましには最適である。
 まあまあ効くな、と判断しつつ彼女は味方によびかけた。
「気を付けて下さい。相手はこちらの戦力を正確に把握しています。『撃墜しやすい』『リカバリーになりやすい』対照を正確に判断して狙っています。恐らく最初の『攻撃をしてこなかった時間』に、スキャンをかけられていたんだと……」
「あ、ってことは次に狙われるのって」
「私かウェスティアさんですね」
 横目でアイコンタクトを送り合うウェスティアと凛子。
 二人は左右に散開、葬操曲・黒と聖神の息吹を同時に発動させた。
 狙い通りと言うべきか。
 機竜は二手に分かれ、ウェスティアと凛子に格闘戦を仕掛け始める。
 お互いの射線上に入らないように機銃で集中砲火。相手の体力があらかた削れたら直接食らいついて確実にトドメを刺すと言う流れだろう。
 しかし相手はベテランのウェスティアと凛子である。
 迫りくる弾幕を威力の高い回復量でカバー。反対側より、敵全機を範囲内に収めて鎖を発射。一部の機体を高速。
 更にやや高所から狙いを付けたユウの神気閃光によって機竜の大半を弱体化、もしくは無力化させた。
「ユウさん、今ならばしっと行けますよ!」
「了解デース」
 相変わらずインスタントチャージをかけながらチャイカが手を振る。
 ユウはしっかりと集中をかさね、まだ元気な機竜に向かってアーリースナイプを発射した。
 ただのアーリースナイプではない。命中性能250を越える高度な精密射撃である。弾丸は機竜を貫通。たった一発で小爆発を起こし、機竜は墜落を始めた。
「研究材料ー!」
 それを追って飛んでいくチャイカ。
 そこから先は圧倒的である。
 郷は残り僅かな機竜の背後へ回り込むと、器用にかつ高速の飛行でぴったりと張り付いた。
「もしお前達が海へ消えて行った兵士と兵器の魂なら、上手く言えねえが……もういいぜ」
 空中でムーンサルト。郷は勢いよくソニックエッジを繰り出した。
「とっとと寝やがれ、おぉるあああああああ!!」
 郷の蹴りが機竜の背中に直撃。
 大気圏を破る隕石の如く、大量の大気を突き抜けながら海へと落下していった。

●ブラックボックス
 味方の損害を半数以下に納め、敵性アザーバイドの全機撃墜に成功。
 彼らは数分ぶりに大地に降り立ったのだった。
 墜落していた小夜やルーク、エアウ達も味方から届けられ、一旦地面に寝かされる。
 何故かその辺の力仕事をユウが率先してやっていたのだが。
「ふう、なんとか勝てたねー。正直つらかったけど」
 汗をぬぐうウィスティア。郷が遠くの海を見つめたまま頷く。
「冷静に考えてみれば、あいつらって別のチャンネル……別の世界から来たんだよな。自ら来たのか、迷い込んだのかは知らねぇが」
 凛子とユウが怪我人の応急手当をしながら呟く。
「初めに全機で一斉にスキャンをかけてきた所からして、戦う相手が私達だと事前に分かっては居なかったのでは?」
「っていうか、すごくこっちに当てづらそうにしてたし……何かあるんですかね、なんて」
 そんな中、じっと黙っていたアンナが口を開いた。
「人間相手に高射砲を撃つような人達のことだから、最初は気に留めてなかったんだけど……」
 相手の機銃から発射された弾を思い出す。
「あの機体って、もともと『ああいうもの』を相手に戦闘するために作られてる気が、するのよね」
「……うん?」
 首をかしげるユウ。正直頭脳労働は苦手分野である。
 アンナはジェスチャーを交えながら考えを述べ始める。
「何て言うのかしら。機銃の射程とか、戦闘高度とか……最初に話を聞いた時は対地空攻撃を目的にしてるのかと思ったんだけど、もともとあの高度で戦うのががデフォルトっていうか……空母が100mの高さを飛んでるのが自然な状態を想定してるっていうか……神秘のくせに理に叶ってるのよ、細かい所が」
 神秘のくせに、と言う所がアンナらしさである。
 例えば、五百年ほど前に飛行機より先にホムンクルスが誕生していたら。とか。オカルトと架空戦史を混ぜたような、どこか奇妙な、それでいて自然な事実がそこにはあったのだ。
 などと話していると、海から奇妙な物体が上がってきた。
「うヴぁあ……」
「!?」
 大量の海藻類を巻き付け、ふらふら歩いてくる物体。
「あ、銃向けないでっ! チャイカです、チャイカ・ユーリエヴナ・テレシコワです!」
 両手を挙げて自己主張をし始めた。
 どうやらチャイカらしい。
 そう言えば、決着がつく直前になって機竜を追いかけて海に飛び込んでいたような気がしたが。
 巻き付いた海藻を投げ捨てるチャイカ。
「あの機竜、空中で爆発したので色々滅茶苦茶になってましたし、装甲板とかは重すぎてアレでしたけど……」
 両手を突き出す。
 そこには、黒い正十二面体が載っていた。赤子の頭ほどはある。
「変なの拾いました」

 空を舞台にした謎の機械生命体との交戦。
 これが後にどんな影響を及ぼすか否か。
 それはまだ、分からぬことである。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
 あえて多くは語りませんが。
 今回の事件により深く突っ込もうと試みたチャイカさんに、MVPを贈ります。
 これにより、新たな事件が発生するか……否かは、未来になってみなければ分かりません。