● 「……鬼はやっぱり、強い」 先日に行われた『逆棘の矢』争奪戦の資料に目を通しながら、『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)が深くため息をつく。 「でも、それでも私達の手元に切り札はやってきた。完全とはいかないまでも……やるしかない」 目を閉じ、ゆっくりと深呼吸を繰り返し……そして再び目を開いたイヴが、集まったリベリスタ達へと告げる。 「鬼達が再び、以前の侵略と同規模……ううん、それ以上の侵略を開始しようとしているわ」 以前の侵略――鬼道驀進。 その記憶は、まだ新しすぎるほどに鮮烈にリベリスタ達の脳裏に焼き付いているのだろう。ブリーフィングルームを支配する空気に、わずかに動揺が走る。 イヴはその動揺が収まるのを静かに待ってから言葉を続ける。 「まだあれから一月と経ってない。もしかしたらまだその時の痛みを抱えている者もいるかもしれない。その傷跡を残した箇所も残ってる。……だけど万華鏡がそれを観測した以上、アークとしてそれを見過ごすことはできない。だから、皆――覚悟を決めて」 イヴが一歩踏み出し、 「今回はこちらから、決戦に踏み切る」 皆の顔を見据えながら宣言する。 「作戦目標は鬼道の本拠地――鬼の城自然公園に出現した『鬼ノ城』の制圧、及び鬼ノ王『温羅』の撃破。……元々、お城は防衛に適した構造をしてるから、皆でもかなり苦戦すると思う。でも、ここでやり切らないと……鬼道の勢いは止められない」 鬼はやっぱり強い、と。 再び同じ言葉を繰り返す。 「今回アークは、奥に進む人達の余力を少しでも残しておくために、それぞれのエリアに分かれて進撃を行うわ」 イヴの説明が進撃するに当たっての詳細へと入る。 まず、最初の難関は城門前にて待ち構え、敵を積極的に迎撃してくる四天王『烏ヶ御前』率いる部隊。 第二の難関は城門に陣を置く、同じく四天王『風鳴童子』の部隊。防衛戦である、地の利を生かした精強な守りでリベリスタの進軍を阻んでくるだろう。 第三の難関は鬼の官し『鬼角』率いる精鋭近衛部隊が展開する御庭。 第四の難関は本丸下部に控える『過鬼』の一軍だ。 そしてそこを乗り越えて――温羅との決戦に挑む。 「正直、果てしなく長い道のり。だからこそ、力を合わせて挑む必要がある。……今回、貴方達にお願いしたいのは城門エリアの鬼退治」 より正確に言うならば、城郭に設置された櫓の一つを制圧すること。 櫓までの距離の関係上、地上からは遠距離攻撃しか届かない点、上を取られている不利、時間を掛けすぎれば敵の増援がやってくる等、不利な条件を挙げればキリがないが、それでもここを制圧できれば進撃の効率化を図ることができるだろう。 「これは後に続く仲間を助ける為の戦い。だけど『皆』で勝つための戦い」 これは一人も欠けさせぬための決戦なのだと。 「それを肝に銘じておいて。……たとえ泣いても、最後は皆で笑って終わらせられることを、祈ってる」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:葉月 司 | ||||
■難易度:HARD | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年04月12日(木)23:30 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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● ――本来ならば草木も眠る丑三つ時の公園に、俄かにざわめく影の音が聞こえる。 「始まったか……」 それは、アークの先鋭達による鬼ノ城城外への強襲の音。 『復讐者』雪白・凍夜(BNE000889)が一瞬だけ足を止め、耳を澄ませて音を聞く。 幾数の場所から聞こえるざわめき。そこには、既にいくつかの剣戟が聞いてとれる。 そんな、既に戦場と化した場で鬼共を掻い潜り―― 「……あそこ、ですね」 『Star Raven』ヴィンセント・T・ウィンチェスター(BNE002546)が指さす方角に、今回攻略すべき櫓が見え始める。 櫓まではまだ随分と距離がある。おそらく櫓の鬼は、外の様子が普段と違うことに気づいていたとしても、まだこの状況を正確には把握しきれていないだろう。 そして、既に敵がこんな近くまで接近してることも。 凍夜とヴィンセントが頷き、残りの仲間達を本陣として左右に分かれて広く展開する。 なるべく夜に紛れるように、かつ迅速に。 そして―― 『……任務開始、健闘を祈る』 アクセス・ファンタズムから聞こえた凍夜の声を合図に、それぞれが行動を開始する。 「ピカピカ~って光るのですよ~♪」 まずは本陣。櫓からは大分離れた距離から、その存在を強調するように、来栖・奏音(BNE002598)がその全身を発光させて櫓を照らす。 少しでも注意をこちらへ向けるため。そしてわずかな嫌がらせの意味も込めて、その光量に強弱をつけながら。 「っと、さすがにここまですれば向こうも気づくか」 光の発信源、奏音に向かって飛んでくる矢を自らの武器で叩き落としながら『影の継承者』斜堂・影継(BNE000955)が笑う。 「それじゃ、あいつらが少しでも楽できるように……俺達もいこうぜ!」 雪待・辜月(BNE003382)によって施された翼を羽ばたかせながら本陣の先頭を切って突っ込む。 それに続くように走る『初めてのダークナイト』シャルロッテ・ニーチェ・アルバート(BNE003405)が、自身の腕を掠める矢を見ながら目を細める。 まだ距離が離れている為か、威嚇射撃のように放たれる矢は、しかしそれでもかなりの精度を持ってこちらを捉えている。 滲む血をそっとなぞりながら、シャルロッテが櫓を睨み呟く。 「鬼がいっぱい……凄いなあ」 ここまで鬼の気配が匂ってくるなんて。 正面に来る矢を今度こそ完璧に捉えながら避け、後方の仲間にも注意を促す。 「だんだんとこちらへ来る矢も増えてきましたね。そしてあちら……ヴィンセントさんの方も、相当な数の攻撃がいってるみたいですね」 ヴィンセントから流れてくる強い意志の力に、『デモンスリンガー』劉・星龍(BNE002481)がきつく歯噛みする。 ヴィンセントへ向けられている攻撃を少しでもこちらに引き寄せたいが、せめてあともう少し近づかなければ陽動としても意味を為さない。 「あっち……そう、その辺り……見つけた? 回復、いけそう?」 走りながら、『ならず』曳馬野・涼子(BNE003471)がその鷹のように鋭い目で左方から櫓へと接近を試みるヴィンセントを見つけ、辜月の視線を誘導する。 「なんとか、やってみます……!」 夜の暗闇の中、何とかヴィンセントの発する熱を感知しながら癒しの力を飛ばす辜月。 暗闇という状況や、疾走中という状態、そして距離。完璧とは言いがたい中で、しかしそれでも一定の癒しの加護を受けて、ヴィンセントは櫓を目指して飛び続ける。 その手にした武器を、超幻影によって逆棘の矢に見せかけて鬼の攻撃を一身に受け続ける。 「一度は目の前にしながらも、風鳴童子に持ち去られてしまった矢……。今、僕が持っている矢は仮初めでも……決して、あの矢に劣ることはありません……!」 そう信じて、鬼共に見せつけてやる。 射程の有効圏内に入ったのか、飛んでくる矢はより正確に矢を手にする甲に集中し、魔力で練られた一撃はより深く体を貫いていくようになる。 鬼の攻撃は更に苛烈さを増していき……それ故に、ヴィンセントはほくそ笑む。 こちらに攻撃が集中すればするほど、彼の接近がたやすくなるのだから、と。 そう仲間に託されて闇夜を駆ける彼……凍夜はリベリスタ達の思惑通り、ほぼ無傷で櫓への接近を果たしていた。 仲間が注目を集める間に櫓の死角となる城壁に張り付き、そのまま沿うように櫓へと接近する……。途中、仲間達に向けてばらまかれた威嚇射撃のうちの数本が凍夜の方にも流れてきたが、それだけだ。 そして見上げれば、そこには目指すべき櫓を捉えることが出来る。 凍夜は一瞬だけ立ち止まり、息を整える。 「流石にここまでくれば敵の目は誤魔化せない、よな」 振り向けば、ヴィンセントももうじきこちらへやってくる。ここまで楽をさせてもらった分、今度はこちらが助ける番だ。 城壁を構築する石垣に手をかけ、一気に上り詰める。 敵の弓に邪魔されぬよう、その撃ち終わった瞬間を狙った、腕や足の力を使った強引な登攀。通常なら無防備な姿を敵に晒さずに上りきることは無理……と、そう言われた壁を、より早く体を回転させることに特化させた凍夜の身は軽く凌駕する。 途中、一度だけあった魔鬼によって生み出された灼熱の攻撃も、想定よりも早い動きを見せる凍夜の皮膚を焼くに至らない。 「よぉ、」 そして櫓の縁に手をかけて、ついに凍夜が櫓を守護する鬼達との対面を果たす――! 「聞こえるか、四面より響く楚の歌が。それが手前らの鎮魂歌だ」 背後から放たれた星龍のインドラの矢が、櫓前面に位置していた鬼共を退け、凍夜をアシストする。 「いくぞ!」 その手にした小太刀を翻し、予想通り後方にて弓鬼と魔鬼を指揮していた軍鬼へと切り込む。 『………!』 加勢に参加しようとする弓鬼を、しかし軍鬼が押し留め前方の敵へと集中させる。 ここは自身一人で十分だと言わんばかりの態度に、凍夜は苦笑する。 「まぁ、確かに不才凡才の身上だ。環境を生かさず殺せると思うほど自惚れちゃいねえよ」 ――だがな、 「そう簡単にやられるほど落ちぶれてもねえ――!」 そう叫び、櫓の中を縦横無尽に飛び跳ね軍鬼を翻弄する。 そして軍鬼からの細かな指示がなくなった鬼共の攻撃にも統率がなくなり、綻びが出始める。 「よし、一気に行くぜ!」 まるで波のように構成され、行く手を阻んでいた矢の雨と炎の壁に攻めあぐねていた影継が飛び出し、城壁へと張り付く。 更にそのままの勢いで飛び上がろうとして――上空から墜落するように落下してくるヴィンセントを見て慌ててキャッチする。 「おい、大丈夫かっ!?」 先行での囮役、そして城壁側での一人の奮戦。おそらく一番体力の消耗が激しかっただろうヴィンセント。 「……大丈夫、です」 だがその瞳はまだ死んではいなかった。 その身を傷だらけにしながらもなお、強烈な意志を込めて上方を睨みつける。 まだ終わっていない、と。 辜月、そして奏音の癒しの力がヴィンセントの傷を十全とは言い難いがふさぎ、ヴィンセントが「行きましょう」と影継を促す。 「……あぁ。だが、敵の攻撃はある程度俺が引き受ける。あまり無茶はするなよ?」 「ありがとうございます」 でも大丈夫ですよ、とヴィンセントが笑う。 「悪しき風の一派をこの空から排除しない限り、死ぬに死ねませんから」 星龍による三発目のインドラの矢が轟音を放つ中、二人は飛び立つ。 それを確認しながら、シャルロッテは肩口から流れる血を手で拭うようにふき取り、業炎に焼かれ苦しむ魔鬼へと翳す。 「運命は私がぐちゃぐちゃまわして綺麗にするよ」 ぬるりと放たれた呪が魔鬼へと絡みつき、さらに苦しめる。 「やっぱり、魔鬼はあまり体力がないのかな。……なら、先にやっつけよう」 そこに追い打ちをと、涼子が魔鬼の頭部を狙い不可視の殺意をもって睨め付ければ、魔鬼はずるりと倒れ込むように視界から消え、姿を見せなくなる。 「まずは一体、ですね~♪」 本格的な交戦となり流石に余裕がなくなったか。ピカピカと明滅することなく、常に最大光量を放ち続ける奏音が天使の歌を紡ぎ残り一体となった魔鬼の攻撃を相殺する。 それに続く辜月がさらに全員の傷を癒しながら、 「そろそろ私達も前に出ましょう」 現在の戦闘状況を見てそう判断する。 もう第一の囮としての役割は十分果たした。次の本陣の役割はさらに接近し、圧力をかけることによって影継とヴィンセントの登攀をサポートすること。 「あまり、悠長に構えている時間もありませんしね……」 本来なら回復の補佐として立ち振る舞う予定だった奏音さえ序盤から回復に専念せざるを得なかった状況。既に全員の体力も万全とは言い難く、誰がいつ倒れてもおかしくない現状で、受けに回ることはできない。 だが近づけば当然、敵の段幕は厚くなる。 「……っ! 斜堂さんとヴィンセントさんが櫓上までたどり着いたみたいですね……!」 既に何度その身に矢を受けただろうか。櫓に立つ複数の鬼を同時に狙い続けた代償に、本陣の中でもっとも多くの攻撃に晒された星龍が、その腹部に刺さった矢を引き抜きながら運命の力を燃やして倒れそうになる体に活を入れる。 そして鬼の攻撃に負けぬ勢いで光弾を撃ち放ち、鬼達の陣形に穴をあける。 「一名様、ダイビングにご招待だ! 副賞は堅い地面の抱擁!」 そこから突撃し、影継が軍鬼へ向けて唸りをあげるチェーンソー剣を切りつける! 「凍夜、無事か!?」 櫓から転落させるまでは至らなかったものの、それでも距離をとらせることに成功し、凍夜の元へと駆けつける。 「あぁ、大丈夫だ。ついでに梯子とその周辺の破壊も完了させてる」 「そいつぁは朗報だ。だが……相当やんちゃしたみたいだな?」 「そうでもないさ」 そう笑う凍夜の格好はぼろぼろだ。 「ったく、つくづく無茶好きが揃ったもんだな」 縁上を足場に鬼共を翻弄するヴィンセントと凍夜を見て影継が苦笑し、「それはお前もだろ」と凍夜が返す。 「気を付けろ、軍鬼は直接的な攻撃力こそ低いが命中と回避に優れてる。頭に血が上りすぎるといつの間にか追い込まれるぞ」 「了解。それじゃあこっちは任せて、凍夜はヴィンの方へ行ってやってくれ」 ソードミラージュらしく、傷ついた身でなお重さを感じさせない跳躍で凍夜がヴィンセントへの加勢へと向かい、影継は目の前の軍鬼を注意深く観察する。 「攻城戦3倍理論ねぇ。そんなもの、アテにならない理論だって証明してやるぜ……!」 そして飛び込む。 対する軍鬼は誘い込むように一歩下がり、手にした采配を振るってその思考を爆発させる。 互いに相手を弾き飛ばすことに重きを置き武器を交差させ、激しく音を響かせる。 その音は地上にも聞こえ、本陣の士気を向上させる。 本陣が櫓の下へと到着すれば、丁度同じタイミングで上方からロープと長いマフラーが垂れてくるところだった。 「それを使って上がってきてください!」 上空から聞こえるヴィンセントの声に頷き、まずはシャルロッテ、涼子が登り始める。 そしてその背を追い越すように星龍の弾丸が放たれ、覗き込む弓鬼の顔を強打する。 上下からの援護もあり、二人は程なく櫓へと到達する。 「ようやく、ぶっ飛ばせる」 涼子が拳を握りしめ、少し離れた位置からヴィンセントに向けて詠唱をしていた魔鬼を殴りとばす。 魔鬼は突然現れた敵に若干の戸惑いを覚えつつ、しかしそれが敵であると正確に認識をし、詠唱の対象を涼子へと変更する。 黒い血を流して、重さを持つようにじゃらりと床を鳴らし左右から迫ってくる黒鎖。 それを見ながら、涼子は何故かイヴが言っていた言葉を思い出していた。 『―たとえ泣いても、最後は皆で笑って終わらせられるように』 「……笑いもしないけど、人前で泣くのだけは、趣味じゃない……!」 黒鎖に貫かれる四肢。だけどここで膝を折るわけにはいかない。だから渾身の力を込めて拳を握り続ける。倒れ込みそうになる体を前進するための力へと変える。 「くたばれ糞野郎……!」 目の前にいる鬼を、自分のありったけでぶっ飛ばす。 床を跳ね、二回三回と痙攣を繰り返した後、動かなくなった魔鬼を確認して、魔鬼に切り込もうと踏み込んでいた凍夜に向けて、 「こっちは平気。凍夜は影継の方に行ってあげて」 「お、おぅ、わかった」 なんか俺、あっちへこっちへ行ってばっかだなっ! そう思わなくもないが、それも役割をちきんとこなしているかこそだろう。 「沢山血に濡れたから、沢山お返ししてあげる」 そしてシャルロッテは後に続く三人の為に弓鬼に狙いを定めていた。 三体いる内の二体はすでに連弩を捨てて近接戦を挑んでおり、連弩はいくつもの足跡に踏み砕かれている。ならばと未だ連弩を持ち続けてる鬼を優先的に狙い、散々痛めつけられた傷を呪いに変えて放つ。 その意図が伝わってか、ヴィンセントの攻撃もそこへと集中し、連弩での攻撃を許さない。 「ピカピカ~っと、第二段なのですよ~♪」 そして上ってきた奏音の放つ聖なる光が鬼の動きを鈍らせ、星龍の一撃が鬼の心臓を貫き……残りの鬼は、軍鬼を合わせて三体。 「最後まで弓を持っていたのは厄介でしたが……これで、大分楽になりましたね」 倒れた鬼の連弩を狙い、撃ち壊すヴィンセント。 「っ! あぶないのっ!」 だがそこに生まれた油断からか、死角に入り込んでいた弓鬼の爪に翼もろとも引き裂かれ、バランスを崩してしまう。 「しまっーー!」 「ヴィンセントさん!」 落下は一瞬。櫓を上る最中にいた辜月が手を伸ばすが、届かない。 ずどん――と、腹に響く音がして、瞬間的に周囲から音が消える。 「き、さまぁ……!」 凍夜と二人掛かりで軍鬼についていた影継が、ついに軍鬼を切り伏せ弓鬼を睨む。 「うおぉおぉっ!」 その怒りが生む力が、影継の体を動かす。 暴力的なまでのオーラを滾らせて、弓鬼を切りつける。それはまさに一刀両断というに相応しく、弓鬼の体が真っ二つに分断される。 「辜月さん、ヴィンセントさんは無事ですかっ!?」 ヴィンセントの落下を見て、真っ先に駆け寄った辜月に、星龍が身を乗り出して確認する。 「は、はい! 息はきちんとしています!」 だがここまでの疲労と最後の落下ダメージで意識を失っている為、しばらく戦線復帰は無理だろう。 「生きていてくれるなら、構わないさ。あとは俺達でケリをつける……!」 事実、残った鬼はあと一体。それも弓を捨てた弓鬼のみ。 櫓の上に上がった6人の一斉攻撃にすでに満身創痍の弓鬼が耐えられるべくもなく、最期は凍夜の煌鋼によってその首を断たれ絶命する。 「どうせ後々地獄で死ぬほどやるんだろう?」 現世でまでこれ以上鬼との殺し合いなぞ御免被る、と。 「……さて、これでここも制圧完了ですね。皆、ここの他にも果たすべきことを持つ方が大半でしょう。一旦降りて、息を整えて……為すべきを為しに行きましょう」 星龍の言葉に皆が頷き、櫓を降りる。 梯子は壊され、櫓自体も先の戦闘で防衛機構としての機能を殆ど失った以上、ここに用はもうない。 ――人が寝静まり、一日が終わるはずの夜。だが、彼らの夜はまだ始まったばかりなのだ。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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