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<六道>魔剣、ス、スギ……スギ花粉ッ!

●別名黄色い悪魔
「ぶえっくしょい! ぶえーっくしょい!」
 街角でオッサンがひたすらくしゃみをし続けていた。
 鼻はムヅるは目はショボるわなんとなく肌は荒れるわイライラするわでもうマジでどーしょもなかった。
 だって花粉症だもの。この時期対策もなしに外に出たら死ぬもの。
 でも今日はちょっと様子がおかしかった。だってマスクや飲み薬は勿論の事、イオンでブロックする塗り薬を二重にも施しておまけにゴーグルまでつけているにも関わらず、くしゃみ鼻水が止まらないのだ。
 なぜだ、万全に対策しているのに……このスギ花粉は全てを凌駕するというのか!?
「ククク、花粉症対策など無駄無駄ァ!」
 杉の樹枝を振り回す男がいた。
 出来心だとしても絶対やっちゃいけない悪戯である。万死に値すると言ってもいい。
「悪戯ではない効果測定だ。この魔剣スギ花粉のなあ!」
 す、スギ花粉!? それに魔剣だと!?
「そう。こいつは周囲の人間を強制的に花粉症状態にしてしまう恐ろしい魔剣なのだ。元々花粉症でない奴だろうと、万全に対策していようと、呼吸を止めていようと、機械改造していようと無意味無意味! 持ってるおれでさえ……え……え……えいーっくしょい!」
 こうして、街の一角は花粉症地獄へと変貌した。

●世界中の杉の木を燃やせ! 今すぐだ!
「………………」
 『運命オペレーター』天原和泉(nBNE000024)さんが呼吸を止めていた。
 そうしなくては死ぬのかとでも言うように。
「皆さん、主流七派が一つ、六道に動きがありました。強力なアーティファクトを使った凶悪なテロ行為です。どうやら目的は効果測定のようですが、それによって無辜の民に災いが降りかかることは間違いないで……しょ……くしゅんっ」
 ガハラさん花粉症ですか?

 魔剣スギ花粉を持った白服のフィクサードである。
 この魔剣により敵味方無差別に花粉症状態となり、もうホントどーしょもなくなっちゃうんだそーだ。
 一応味方のフィクサードを数人連れてきているが、無論彼らも花粉症状態である。
 世にも壮絶なバトルが繰り広げられるであろうことは明白だった。
「皆さん。フィクサード達を倒し、魔剣を回収して下さい。よろしくお願いします」


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:八重紅友禅  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2012年04月07日(土)23:35
八重紅友禅でございます。
花粉症って地味に死にそうになりませんか?
私はなります。

●魔剣スギ花粉
周囲の人間を強制的に花粉症状態にします。
ちなみに武器です。奪えません。逃れるすべはない、諦めるんだ!
白服のフィクサード達がこれを所有、行使しています。
全員倒して回収しましょう。
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
マグメイガス
雲野 杏(BNE000582)
覇界闘士
大御堂 彩花(BNE000609)
スターサジタリー
リーゼロット・グランシール(BNE001266)
デュランダル
イーリス・イシュター(BNE002051)
デュランダル
一番合戦 姫乃(BNE002163)
ソードミラージュ
安西 郷(BNE002360)
ホーリーメイガス
リサリサ・J・丸田(BNE002558)
ソードミラージュ
秋月・惠一(BNE003639)

●この世にスギを作った奴出て来い、ぶっ飛ばしてやクシュン!
「花粉症」
 秋月・惠一(BNE003639)がマイナスイオン(物理)を出しながら振り返った。
「この時期に推定二千万人、日本人の五人に一人を苦しめる花粉症。それが回避できないなんて恐ろしいことはないよ」
「とくに日本人には発症率が高いと聞いて……へっ……ちゅん」
 女の子チックなくしゃみをする『青い目のヤマトナデシコ』リサリサ・J・マルター(BNE002558)。
 クラスに一人は居ませんでしたか。やけにかわいいくしゃみをする子。
「ところで、郷さんが見当たりませんけど、どちらに?」
「彼ならさっきトラックに乗って……『俺は準備する者があるから、先に行っててくれ。大丈夫……お前らに必ず必要なものを持ってくるから!』て言い残してましたよ」
「必要な、もの……?」
 空を見上げる二人。
 青空に、サムズアップする『愛の宅急便』安西 郷(BNE002360)の笑顔が見えた。
 まさか本編中に帰ってこないつもりじゃあるまいな。

 さておき。
「花粉症の季節ね」
 『重金属姫』雲野 杏(BNE000582)がマイナスイオン(嘘)を出しながら振り返った。
 杏ちゃんとマイナスイオン。
 この世にこれ程遠い単語があるだろうか?
「アタシの症状はまず喉の痒みから始まって徐々に鼻が詰まりだし目がかゆくなってくしゃみが出るの。でもそんなにつらい症状でもないから少しの対策でやり過ごしているのよ。それがこれ、プロポリス飴。この飴は――」
 杏が息を止めながら長セリフをぶつぶつと繰り出している……のをスルーして、『銃火の猟犬』リーゼロット・グランシール(BNE001266)は自分の額に手を当てた。
「ティッシュもマスクも目薬もタダではないというのに……これは大規模な経済テロですね?」
「経済、ですか?」
 鼻と口を両手で覆うおっぱ……『ライトニング・フェミニーヌ』大御堂 彩花(BNE000609)。
「なんだか、先ほどから鼻がむずむずして目も痒いんですけれど……これが花粉症ですか? わたくし、かかったことが無くって」
 最初はみんなそう言うんですよ。
 そしていずれは。
「花粉許さないのでべっくしょん!」
「おのれフィクサードどもふぇっくしょん!」
 『あほの子』イーリス・イシュター(BNE002051)や『サムライガール』一番合戦 姫乃(BNE002163)のようになるのだ。
「現場に急行しでぐふ、敵を全滅させるでっくしょん!」
「卑劣なアーティファクトを作へっくし、出したっくし!」
 そんなこんなで一同は、『魔剣スギ花粉』とその所有者の元へとやって向かったのだった。

●日本国内のスギを売り払うことで一体どれだけの利益が出ると思っているのだねっくしょん!
 フィクサードの居場所を詳しく把握していたわけではないが。
 白服の集団が涙目になりながらべっくしょいべっくしょい言ってたので嫌でも分かった。
 と言うか、近隣住民が色々大変なことになっていたので、分からない方がどうかしていた。
 本音を言うとあんまり近づきたくなかったし、今でも青空でサムズアップしている郷みたいにトラックでどこかへ行ってしまいたかった。と言うか彼は何故依頼の前に何とやらを用意してこなかったのだろうか。出番の五割を犠牲にする必要があったのだろうか?
 まあ、とにかく。
 フィクサードを見つけたからには放っちゃおけん。
 この悲劇を止めるためにも今すぐ彼等を倒さにゃならん。
 イーリスは愛用のランスを地面と垂直に立てると、祈るような態勢で言った。
「いくですよヒンメルン・レーヴェ……」
 両目を開き、白服へとイーリス・ドライバーを爆裂。
「いーりすどらいばっきゅしょヴぇふぁ!」
 別のものも爆裂した。見せられないよ!
 どうしても絵で想像したいなら、イーリスの首から上をモザイクで隠しておいて欲しい。匿名インタビューみたく。
 イーリスがうずくまってプルプルしている間、ちょっと杏ちゃんのトークでも聞いていて下さい。
「プロポリスにはもともと糖尿病白内障ガンを初め循環器系内分泌系脳神経代謝系呼吸器系生殖器系皮膚系と様々な病気に効果があると言われているの。そのプロポリスにはフラボノイド鉄銅亜鉛マグネシウムアミノ酸ビタミンAとB群CEなど多くの栄養成分が含まれていてなんとフラボノイド自体もに十種以上含まれ様々な働きをしてくれるの。そんなプロポリスが花粉症に効果が無いわけがないっ、そう思い立って開発されたのがこの飴よ。今なら一日一粒にヶ月分、六十粒入りお試しパックが六千円……のとろなんと半額以下の二千九百八十円。二千九百八十円での――」
 カットォ!
 なんだかいつの間にかパロックショッピングになりかけていたので、彩花にカメラを移したいと思います。
「緑茶にハトムギ、シソにレンコン、青魚にヨーグルト……花粉症に効果のある食材は沢山あるんです」
 おっと健康番組みたいになってきたぞ?
「でも結局は無駄だとわかっていても、それでも『対策を取っている』と言う心理によって花粉症を予防でき……でき……へっくち!」
 駄目でした! おっぱ……彩花涙目! 花粉症的な意味で! ぱっつんぱっつん! あ、間違えた!
 そんな彼女に首を振るリサリサ。
「駄目ね、ちゃんと物理的に防がないと。ワタシを見なさい」
 髪をふぁさぁっとかき上げ、片手を腰に当てるリサリサ。
「まず暗視ゴーグルで目のかゆみをガード。そして救急箱から花粉症のお薬をピックアップして飲みました。これで楽になるは……は……くちゅん!」
 駄目でした! リサリサ涙目! 花粉症的な意味で!
 一人ぶつぶつと謎のトークを続ける杏を背に、彩花とリサリサは蹲ってプルプルし始める。
 もうこれ壊滅状態だろって段階になって、恵一は白服へと襲い掛かった。
 目を真っ赤にしながら。
 怒り故ではない。花粉故である。
「一体こんなことをして、何になるっていうんだよー!」
「大人の世界も解らんくせにー!」
「貴方達も辛いんじゃないでうすかー!」
「これが大人の生き方なのよねー!」
 鼻が詰まっているので、勢いでしゃべらないとちゃんとした単語にならない。
 なのでよく、モビルスーツ同士の戦闘会話みたいになりがちである。
 幾度も交差し合う恵一と白服。
 もしかれらがしきりに鼻をかんだり目をこすりそうになって我慢したりというアクションを挟んでいなければ、かなりスタイリッシュになれたのかもしれない。
 そこへ姫乃とリーゼロットも加わり、白服を徐々にぺちぺち減らしていく。
「メガクラッシュでごへっきょん!」
「当たってたまりゃっくしょん!」
「うおおおおおおおっくしゅん!」
「うりゃああああっくしゅん!」
 勢いよくくしゃみを続けているわけではない。
 がんばって戦っているシーンである。
 そう見えなかったら申し訳ない。
 リーゼロットもまた、目がしょぼしょぼしてどーしょもなく、独特なグローブをしているので目をこするわけにも行かず、ポケットティッシュもさっき使い切ったばかりである。
「とりあえずハニーコムガトリングしとけば……へくしっ! いいのよね?」
「そうでござへっくしゅ!」
「でもよく見えないから……もう、いっそ勘で!」
「怖!?」
 命中率190のダメージ300弱というハニーコムガトリングを勘で撃つという暴挙。
 姫乃は素直に震えあがった。だって死んじゃうかもしれんもん。
「ティ、ティッシュを! 誰かティッシュ持ってないでござ……っくしゅん! わらわにもー!」
「すみません、手持ちはもう……」
 ポケットをひっくり返してみせる恵一。
 姫乃は膝から崩れ落ちた。
 そうこうしている間にもパイルシューター(この名前の時点でもう怖い)をがしゃこんとリロードしているリーゼロット。
 その昔、整備士が宇宙エイリアンを次々薙ぎ倒すというアクションゲームがあって、その中でもトップクラスに優秀な武器として五寸釘を凄い勢いで連射する工具(誰が何と言おうと工具)というものがあったが、リーゼロットの持っているのは大体そういうアイテムである。人殺せるわ。
 そんなフレンドリーショット祭りに姫乃たちが震え上がった時。
 奴は漸く現れた。
「やあみんな、待たせたな! 安西郷からお届け物だぜ!」
 トラックを止め、この花粉つれーわーと言いながら郷が下りてきた。サムズアップである。
「こんだけの数集めるのはちょっと難儀そうだったが、激安の殿堂行ったら一発で解決してくれたぜ。ある意味問屋だなあそこ」
 と言いながらトラックのビニールシートをはがしていく。
 そこに山と積まれていたのは……そう。
「は、鼻しぇれびゅ!」
 イーリスが(鼻声で)叫んだのだった。

●死刑並にしんどい刑罰トップ3『一生花粉症』『一生船酔い』『一生ミントガム吐かない』
 さて、先ほどからあまりフィクサードの皆さんについて触れていなかったが、彼らが今どうしているかを描写しよう。
「二千九百八十円、今なら二千九百八十円。御覧の電話番号まで今すぐ……」
「三セット、三セットくれ!」
「友達と誘い合わせでいいですか!」
 携帯電話に向かって一生懸命電話をかけていた。
 ……一体どこにかけてるんだろう。
「お買い上げありがとう、って売ってるわけねーだろおおおお!」
「「チャラアアアアアイ!?」」
 杏のチェインライトニングが炸裂し、ビリビリになる白服一同。
 そんなら杏は今までどうやって耐えていたのか。
 簡単である。エンドレスで息を止めていたのだ。
 ……なのでもうすぐ死にそうだった。
「ぜはー、ぜはー……あ、しま……びっくしゃい!」
 その後ろでは彩花が必死に息を止めながら壱式迅雷だの斬風脚だのを連発していた。
 片手で迅雷出しーの、開いた手でティッシュ掴みーの、斬風脚だしーの、両手で鼻かみーの、というサイクルである。
 花粉症なりたての人は大体そうなる。ティッシュが右から左に流れていくイメージである。
「う、うう、喋る暇も、な、は……はうあ……」
 そんな中、リーゼロットは白服めがけて1$シュートを連射していた。
「さっきから、腕狙ってるけど、なんで平気な顔して……るの……か……くしゅん!」
「あ゛、ぞでばでずね゛……ううっ」
 できるだけ空を見上げるようにして話す恵一。
「いっばんでぎなぜんどうどぢがっで、じんびぜんどうばだじょう゛のぶいだめーぢぐらびなんどもないんでずよ、どいうがぎゃぐにあいでがぞれでぎだらぞうだいなぶれいんぐずじになるじゃないでずが」
「はい? 何言ってるの?」
「だがらでずね……」
 恵一、上向きながらの幻影剣。
 彼等に負けじとリサリサや姫乃も白服を追い詰めていく。
 そしてティッシュを積み重ねていく。
「このようなテロ行為、見逃すわけには、行きま……くしゅ!」
「メガクラくしゅん!」
「大丈夫です……こうみえて、わたくし、頑丈な……な……へぷし!」
「メガぺぷしっ!」
 トドメとばかりに郷が蹴りかかるも。
「ソニックキィィィィじょべヴぁ!?」
 鼻を押さえてそっぽを向く他ない。
 今多分絶対絵にできない顔をしているのだ。
「う、ううぐ……」
 三人とも上を向いて、できるだけ鼻で息をしないように口ではーはーと粗い吐息を漏らしていた。
 見ようによってはエロいきもしないでもない。なんでもエロくすることに定評のあるアークリベリスタなら、そのくらいやってくれるんではないだろうか? どうだろうか?
「ぞんなごど、ぎにじでる暇、ないのでず……」
 上を向いたまま喋るイーリス。
 彼女は花粉への恨み、そしてこの状況を引き起こしたフィクサードへの恨み、その他もろもろの恨み。
 全てを込めてイーリスは突撃した。
「今度こそくらうです、イーリス・ドライバっきゅじょべヴぁ!」
 アーク史上稀に見る……いや、『見せらない』トドメシーンによって、白服は倒されたのだった。

●花粉か……よし、今日は外に出るのをやめよう!
 トラック一杯のティッシュ箱が、のきなみゴミに変わる頃。
 杏はぼーっと夕暮れの空を眺めていた。
 笑顔でサムズアップする郷がいた。
「ねえアレ、いつになったら消えるの?」
「俺自身に言われてもな……」
「もういっそ、卒業写真の欠席者みたいに丸い淵で囲っておかない?」
「ひどい!?」
「ああ、もうそう言うの良いですから、さっさと帰りましょう」
 鼻の付け根辺りをつまんで、リーゼロットはできるだけ無表情を保った。
 この表情を崩すとくしゃみが再発する気がするのだ。
「ウヴォアー……」
 ティッシュを何個もまるめては放り投げるイーリス。
 姫乃とリサリサも、大量にティッシュ山を作っていた。
 なぜなら、『魔剣スギ花粉』をアークに持って帰るお仕事が残っているからである。
「これ、所有者が倒れたら散布止まると思ってたけど……エンドレスなのね」
「下手したら一年中出てるかもしれないのです。永久封印するしかないのです」
「あうううあー……」
 ある意味の阿鼻驚嘆。
 そんな彼らを遠目に見て、彩花と恵一はひとまず胸をなで下ろした。
「花粉症って辛いんですね……」
「ええ、できればなりたくないで……」
 はっとして顔を上げる二人。
 そして。
「「くしゅん!!」」
 二人は顔を合わせて、全く同時に頭を抱えた。

 一句。
 花粉デビュー 空に響くは 断末魔。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
花粉症の皆さん、この地獄が終わるまであと一ヶ月弱……がんばりましょう!