●さざえ捻子花ぐるぐるり 恐怖の城門にイビツな塔があった。ちょっとした家屋ほどの大きさで、まるでさざえか捻子花の様に捻じくれている。屋根には巨大な二つ角。一体全体、城門の飾りか何かか――否。それは建物の姿をしている生物であった。紛れもなく生きていた。脈打ち、呻き、窓や戸の隙間から血を流す。赤黒いそれはやがて幾体もの鬼の姿となって、咆哮。 ●ブッコワセ 「サテ」 事務椅子に座し、こちらに背を向けた『歪曲芸師』名古屋・T・メルクリィ(nBNE000209)の視線はモニターへと向けられている。様々な映像。それらは全て――人間が鬼に蹂躙され殺戮されている信じ難い映像だった。 「まさに『鬼』畜、ですな。彼らを放っておいたら近い内に『御覧の有様』でしょうな」 事務椅子をくるんと回し振り返った予言師の言葉がブリーフィングルームに響いた。何時に無く真剣な声、眼差し。 「簡潔に言えば、やらねばやられます。やるっきゃないのです。現時点に於いて鬼勢力に対し優位とはとても言えない状況だとしても」 モニターが切り替わる。それは敵の牙城――禍々しい。あまりにも。 「作戦目標は鬼の本拠地、この鬼ノ城自然公園に出現した巨城『鬼ノ城』の制圧及び鬼ノ王『温羅』の撃破でございます。 皆々様には鬼ノ城の城門制圧に当たって頂きますぞ! 城門を陥とす事が出来れば、こちらはグッと進撃し易くなって向こうは強化が解除される事でしょう。 『温羅』との決戦に臨む方々の余力を温存出来るかどうかは各戦場での勝敗にかかっていますぞ! ……って、言葉で言うのは簡単なんですけどね」 苦い表情。それだけ城の守りは堅く、こちらは苦戦を強いられるだろう。 だが、『やるしかない』『やらなきゃやられる』。覚悟を胸に説明を促す。 「この城門では四天王『風鳴童子』及びその配下部隊が皆々様を迎え撃つ事でしょう。 攻城戦は『守る為』の戦い――守備に適した地形、地の利を持つ風鳴童子とその部隊は一筋縄ではいかんでしょうな。ディフェンスに定評のある感じですぞ。 そして皆々様に討伐して頂く鬼こそ、この『塔鬼』」 映し出されたのは、城門からぬっくと生えた――塔?家屋ほどの大きさをした、ひどく捻じくれた古風な塔だ。屋根から伸びる二本の角が印象的である。その締めきられた窓や戸の隙間からは絶え間なく赤黒い液体が滴り落ちていた。 「これも立派な生命体ですぞ。その場から動かず、直接攻撃は行いませんが……もんのすごーく堅いです。それにこの赤い、血みたいなものですが」 メルクリィがモニターにコツンと指を乗せた場所。そこには、塔鬼の血(正しくこう言うべきかは分からないが)がじわりと鬼の姿へ変貌を遂げているというシーン。 血霞の様な姿をしたその鬼は何体も居るようだ。種類としては三タイプの様だが、数が多い。 「これが二手番の間隔を開けて霞鬼『翼兵』『弓兵』『呪兵』を創り出しますぞ。数こそ多いですが、一体一体の個体能力はそこまで高くはありません」 数に翻弄されないように、と言う。小さく息を吐く。心配げな色合いだった。 「激しい戦いになる事でしょう。熾烈を極める事でしょう。沢山傷付く事でしょう」 ですがと言う。せめてと笑む。笑う門には福が来る。そして、正義は勝つのが世の常なのだ。 「皆々様ならきっと大丈夫! 必ずご無事で――御武運を!!」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:ガンマ | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年04月06日(金)23:02 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●進軍 あちらこちらで戦闘の気配が濃密に。鬨の声。金切り声。断末魔。 禍々しい牙城がちっぽけな人間達を見下していた。 不気味に聳えた塔がリベリスタ達を睥睨していた。 「これで生き物だとか言われても、あんまり実感湧かないわね」 行軍。携えるいつものバスタードソードに『薄明』東雲 未明(BNE000340)の凛と結んだ顔が映る。 (でもそれなら、この鬼ノ城も同じような生き物なのかしら。封印によって蘇った訳だし……) 確かめる術もないけど――戦気を纏い、乾いた大地を踏み締める。ここは既に敵の領土、気は抜けない。 「鬼は鬼でもさざえ鬼とは……超常の考える事は分かりませんねえ」 ちょっと美味しそうなシルエットにも見えちゃいますけど、と『ミックス』ユウ・バスタード(BNE003137)はふくよかな唇に指を添わせて彼方を見遣った。変な塔。それからじわじわじわりと生み出されゆく血霞の鬼、鬼。翼を広げ仲間と共に行軍する道中。距離は詰まりゆく。視界をコマ送りに切り替えて、小銃Missionary&Doggyを構えた。 翼のはためく音。銃の音の一方、重弩の弦がキリリと鳴る音。 「塔なのに鬼……もうなんでもアリなのね、妬ましい」 伸ばしっ放しの紺髪を靡かせて『以心断心嫉妬心』蛇目 愛美(BNE003231)は妬ましげに眉根を寄せる。じとりと彼方の塔鬼を見る。呟く。 「……まぁ、アレよ、私達が此処を突破すれば後々皆が楽になるんでしょ? だったら、今回は妬ましい気持ちをそのままに、敵を駆逐することに全力を向けるとするわ」 だって妬ましいものと付け加え、左目を覆う眼帯を取り外しつつ射手としての感覚を研ぎ澄ませる。紅い義眼の視界。嫉妬の世界を映し込む。 「変わった鬼だな」 「なぁ、厄介そうな鬼だな」 『酔いどれ獣戦車』ディートリッヒ・ファーレンハイト(BNE002610)の言葉に『鉄腕ガキ大将』鯨塚 モヨタ(BNE000872)が頷く。 「でもここを突破すりゃ先に進むための道がひとつ開けんだ、気合入れていこうぜ。 この先もっと強いのがいっぱい待ってんだし、こんなのちゃっちゃと片付けてやろうぜ!」 握り締める機煌剣・プロミネンサーブレードに込めるのは無限機関のエネルギー、その心から溢れる勇気。熱い戦気を漲らせ、覚悟は完了。プロミネンサーブレードの焔にきっと引き締めた表情が照らされた。 「さて、正念場か。 これまで好き放題させてしまったが、それも今日までだ。必ずや鬼どもに酬いを受けさせなければならない」 靡く蒼い髪。常の沈着とした面持ちの『ピンポイント』廬原 碧衣(BNE002820)が言う。 ここでリベリスタが負ければ鬼達は自由自在に蹂躙を行うのだろう。 そんな未来は絶対に訪れさせない――『硝子色の幻想』アイリ・クレンス(BNE003000)は薄青剣カラドボルグ・レプリカを握り締める手に力を込めた。 「虐殺などと……人間をなんだと思っているのだ……!」 その端正な顔に浮かぶは、激情。 共存できるならばそれでも良かった。いや、その方が良かった――だが、もうそうもゆかない。戦うしかない。 故に、剣を手に。駆けよう。血生臭いにも程がある、この舞台を。 「さて、塔の鬼に塔が生み出す霞鬼。軽い攻城戦のようなものだね、倒すのは城そのものってわけだけど」 まあやりがいのあるいい戦いだよねと『サマータイム』雪村・有紗(BNE000537)は手慣らしに無銘の大剣をヒュンと振るう。手に馴染む重量。柄にも無く滾ってくる。 「随分と変わった鬼だけど、案外鬼ヶ島ってのもこんな感じだったのかもね? さあ鬼退治と行きますか」 突き付ける切っ先は捩じれ塔、そこから次々と飛び掛かって来る霞の鬼達。言い放つ。 「さあ落とそうか、霞の牙城をね」 ●電撃攻塔戦 回復手は不在。傷付いたらその傷を癒す術は無い。 だが逆を言えばそれだけ高い火力を誇るという事。 それを活かして速攻で決める――電撃戦。 吶喊するリベリスタ達へ襲い掛かって来たのは幾体もの霞鬼であった。翼鬼が空から急襲し、弓兵と呪兵が後方射撃にて攻勢してくる。 だが、それを悉く、悉く圧倒的な力を以て薙ぎ払い切り開くのは一丸となって進む戦徒達。 未明、有紗、モヨタ、ディートリッヒ。パーティの半分、実に4人ものデュランダルが一丸となって戦気を纏い剣を振り上げる様は正に圧巻の一言。纏う戦気が4つ合わさるその光景は、巨大な光の球が疾風怒涛と迸る様にすら見える。 「ちょっと道空けてもらうわよ。アンタ達にも、あの塔にも」 邪魔する奴は悉く吹っ飛ばすのみと未明は轟と気を込めた刃を振るった。切り裂き、ふっ飛ばし、無謀にも飛び掛かって来た翼兵は霧散する。放たれる弓や弾丸すら刃を以て薙ぎ払った。蹴散らしてゆく。 「さー、どいたどいたー!」 戦闘に立つ有紗も裂帛の気を込めた大剣を叩き付け、仲間の道を切り開く。目指すは塔鬼。放たれた弓が頬を掠めて血が伝う。口元に辿り着いたのを舐め拭い、上等だと刃を思い切り振り上げた。 進撃。だが、そう易々といくものではない――向こうは命を引き換えにしてでも足止めしようとしてくるのだ。 「くっ……数が多いな」 呪兵の祟りで身動きがとれぬアイリが歯を噛み締める。次の瞬間に視界を柔らかく染めたのは破魔の光、モヨタが放ったブレイクフィアーが呪縛の鎖を消し去った。わらわらと往く手を阻む鬼達にモヨタは苛立ちを込めてプロミネンサーブレードを振るい進む。 「ちきしょー、霞鬼ジャマだー! これ以上増えんじゃねーよ! そういや塔の形もとぐろ巻いてるし、なんかウ○コにたかるハエみてぇじゃねーか!」 お下品なのは年齢故の御愛嬌、そう思ったら余計にウザくなってきたぜと顔を顰める。 勝負の命運は塔鬼に接敵できるか否かに懸かっているといっても過言ではない。 が――全ては始まったばかり。まだ戦局は縦横無尽にして未曾有。 「さて、お仕事の時間ですね」 ユウが構えるMissionary&Doggy。覗き込むスコープで標的を選び、狙い、引き金を引く。前から後ろから。流星の弾丸が戦場を奔り、寸分違わず凄まじい精度を以て鬼達を容赦なく慈悲も無く撃ち抜いてぶち抜いた。 「凄い精度ね……妬ましい」 一度に複数攻撃できる射手、その内の一人である愛美もまた重弩に矢を番えた。義眼で捉えるのはターゲットした敵に照準が付いた光景。何処と無くゲームチックな光景。前衛陣を妨害し矢と弾を放つ異形達えを狙い定める。 「速攻で終わらせたいのに、行動阻害なんて……迷惑極まりないわね」 それら目掛けて放つのは幾条もの光の矢、次々と着弾し迸る光にて襲い来る鬼を押し退ける。撃ち抜く。 「敵は硬くて無尽蔵。『ジリ貧』が一番避けたい事態ですね」 「そうね……自分は動かずにただ延々と兵隊生み出して妨害とか良い身分ね、妬ましい」 前衛から離れず、狙いを定める事を止めず、射手達は流星を放ち続ける。 間引き。掃討。殲滅を旨。 その間隙を力を以て押し広げ、切り開き。 遂に塔鬼は――碧衣の射程内。 「……酬いは受けさせねばならない。必ずな」 その為にも、後に繋げる為にも、ここで負ける訳にはいかない。 全てを蹴散らして――必ずや。 「お前達の首を糸で縛ってやるさ!」 刹那の大演算の下に割り出した最高の位置とタイミング。全身から放つ大量の気糸が多くの霞鬼の頭部を次々と穿ち砕き――彼方の塔鬼へも。至る角度から精密に執拗に狙い撃った。 続け様にユウと愛美のスターライトシュートが霞鬼を消し飛ばし、開ける道。呪兵を優先して狙った為に厭らしく足止めを行う敵も今は居ない。 そう、今こそ一気に踏み入る好機。 「今だ、往けッ!」 「おうよ、任せろ!」 奔る碧衣の声に応えたのはディートリッヒ。翼兵や弓兵による攻撃も意に介さず強引に吶喊する。些細な傷など忽ち己が再生力で癒し切る。止められるものなら止めてみせよと獣が如く雄叫びをあげてNagleringにありったけの気を込めた。血を流す塔へ渾身の力を以て叩き付ける。身体のタガを外したその一撃は荒々しい脅威そのもの。横倒しなんて出来ないのは承知、雨だれが石を穿つ様に、時間をかけて少しずつダメージを与えていく事が不利であるのも承知。しっかりと、確実に、思い切り。 「うらァアアア!!」 咽元に喰らい付いてきた翼兵を腕の一振りで薙ぎ払い、それを見向きもせず、只管に塔鬼へ銀の剣を叩き付ける。弓に穿たれようと、魔弾が掠めようと、悪いが全て仲間に任せた。その代わりに自分の仕事は搭鬼を倒す事。岩をも砕けよという一撃を以て、絶対に倒す。 「この先の戦いが有る以上、倒れてなんていられない。俺は戦うのが好きだからな!」 赤に塗れるのは塔鬼の血、霞鬼の残滓、癒えた傷から流ていた彼自身の血潮。 切り開く。次々と飛び出して往く仲間の背を見送って、未明は浅く息を吐き呼吸を整える。気付かぬ内に随分と傷が増えたものだ――だが回復手が不在な以上、それがどうしたの一言で片付ける。頬を伝う血と埃交じりの汗を拭った。見澄ました。 「さてそれじゃ、解体作業の本番といきましょ」 兎に角攻撃当てていかなきゃ終わらない。弾丸の様な速度を以て一気に飛ぶや、塔鬼とその周囲の霞鬼へ多角的な強襲を行った。 アイリも舞う様な鮮やかさで塔鬼との間合いを詰め、攻撃を。彼女の狙いは一つ、今も仲間を苛み続ける元凶たる塔鬼。 (私はただ、やつに攻撃を浴びせ続けるのみ!) 所々を赤く染めたフラクタルブルーの蒼を翻して踊り子は舞う。 「私はもっと、華やいだ舞台が好みなのだがな!」 閃かせるは速度に乗せた澱み無き剣閃。激情を孕む青の舞踏。 刃から響く手応え。見た目通りの堅さか、それ以上か……だが、どんな堅牢さを誇ろうとも。 「吐き出すその血霞ごと、斬り伏せて見せよう!」 放つ剣閃は二度閃く。 猛攻、猛撃、勝利の為に剣を振るい続ける仲間を支援するべくモヨタはブレイクフィアーを放つ。碧衣はインスタントチャージによってパーティの最高火力の維持に努める。 こちらの体力が尽きるのが先か。 むこうの塔が陥ちるのが先か。 倒れる者、或いは運命を代価に立ち上がる者。熾烈を極める。 「か弱い乙女になんてことを……乙女……私、乙女って自分で言って良いのかしら?」 体力も防御力も自身が無い故になるべく突出しない様にしていたのに。等、先を消費し、胸に刺さった焔の矢を引き抜いて愛美はお返しと言わんばかりに星を落とす。義眼の標的に従って撃ち抜き倒す。嗚呼、最前線にて怒涛の猛攻を出来る仲間達が妬ましい。 「本当に、妬ましいわ」 その嫉妬を矢の先に込めた。 獣戦車の轟撃が塔鬼に叩き付けられる。それに続けと有紗も無銘の大剣の重い一撃を叩き込む。一歩下がる最中、見遣るのはモヨタ――の背後より強襲する翼兵の姿! 「――!」 反応した瞬間には地を蹴り、躍り出て、――鋭い痛みに噛み合わせた歯列より苦痛の声を漏らす。視界を染める赤。深く切り裂かれたのだと理解する。それでも不敵に笑って、燃える運命と共に剣を振り上げた。 「さて、残念だけど私がここにいるんだよね。そう簡単には切り崩せると思わないほうがいいよ?」 一刀両断。前線の仲間より攻撃力に欠けているのは自覚している。なればこそ、自分に出来る事を。仲間のフォロー。共に勝利を掴む為に。実際、要となるブレイクフィアー使用者たるモヨタの傷が仲間に比べて少ないのは有紗が護っていた所が大きいだろう。 撃破するまで絶対に手は緩めない――再度塔鬼へメガクラッシュを叩き込みつつ有紗はモヨタへ、 「大丈夫だった?」 「うん、わりーな……!」 「気にしなくっていいよ、頑張ろう!」 「おう!」 プロミネンサーブレードを振り上げた。その刃の輝きがモヨタの戦意を反映するかの様に増してゆく。 「こいつ先にやっつけなきゃなんねぇだろ? そろそろオイラにもやらせてくれよ! 散々、オイラたちのジャマしやがって……ブッつぶしてやる!」 刃に纏うのは激しい稲妻。直感を頼りに思い切り。 「オイラたちは温羅を倒さなきゃなんないんだ、こんなとこで倒れるわけにゃいかねぇぜ!」 振り落としたのは落雷が如き轟撃。 攻撃に参加できなかった分、恐らくはこの戦いの中で最も攻撃力を誇る一撃。 塔鬼に決して小さくはない罅が入る。血の様な赤が溢れ出す。その分生み出される霞鬼――それを立ち所に射抜いたのは愛美のスターライトシュート、碧衣の気糸であった。 「偶には自分でも動きなさいよ……妬ましい」 「そろそろ閉幕といこうか」 その視線の先には塔鬼、そこへ飛び掛かる未明の姿。 「これ以上鬼に増えられても困るのよ。やっと此処まで来たってのに……この先に温羅がいるんでしょ?」 ならそこへ至る道の安全は絶対確保しなきゃ。繰り返す跳躍で斬り伏せつつ飛び上がって屋根の上、角の間。刃を掲げて。 「ここは必ず、あたし達の手に落とす」 突き下ろし、突き立てる。 走った罅を抉る様に。広げる様に。 塔が罅割れていく。赤く赤く染め上げながら。 最中に、一閃の蒼。 燃やす運命を残像に残し、アイリは未だ舞うのだと躍り出る。 「この舞台より降りる気はないのでな!」 高速、音速、疾風の如く彼女は舞う。剣を手に、勝利の為に。 この剣が、人を守る剣なれば。罪科のための剣なれば。 斬り伏せるのは鬼だけではない。 意識を集中し、心を研ぎ澄ませ、蝕む悪意を斬り伏せる! 足は、歩みは、動きは止めぬ。 「止めれば救えぬ命があるのだと、心している! これで終わりだ!!」 アンコールの舞踏を今一度、渾身の力を込めたソニックエッジ。 幾つもの剣閃は罅を抉り、壁を砕き、そして―― ●而して 崩れ去る塔と共に、霞鬼達も霧散する。 「残念無念、大団円、ってね。鬼の栄えた試しなし!」 有紗の声、勝利したのだと息を吐くリベリスタ――だが、その視線の先には遥かに聳える鬼の城。 戦いはまだ終わっていない。耳を澄ませばあちらこちらで仲間と鬼が戦っているのだろう音が聞こえてくる。 「さすがに敵の本拠地。敵を討ったとはいえ、依然、禍々しさは消えぬか……」 息を整えるアイリが呟く。なれば、それを討ち取るのが自分達の役割だ。 だが、取り敢えずは一旦退こう。 次の戦いの為に傷を疲れを癒し、準備を整えなければならぬ。 最後に聳ゆる城へと振り返り――リベリスタ達は踵を返した。 『了』 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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