●テニスは相手選手を叩きのめしたら勝ち とあるテニスコートでのことである。 若いカップルがキャッキャウフフとテニスデートをしていると……。 「おいおい仲好さそうじゃねえのー!」 「ヒャッハー!」 「俺たちとも遊んでくれよう!」 「ヒャッハー!」 肩に棘生やしたモヒカンの男達が現れた。 無論、テニスウェアである。 彼らは無駄に棘の生えたテニスラケットと無駄に棘の生えたテニスボールを無駄に棘のある声で翳して見せると、いきなり相手側のコートへと乱入。 「ヒャッハー(滅びよ)!」 ボールを凄まじい速度でSMASHする。ついつい反射的にラケットで打ち返そうとするカップルだが、突如ボールが爆発した。 そう、彼らはなんとカップルを爆発させたのだった。 「ヒャッハー!」 男達は嬉しそうに飛び跳ねると、おとなしくテニス試合を始めたのだった。 ちなみに彼ら、ノーフェイスである。 ●テニスは相手選手の心を折れば勝ち すぱこーんすぱこーんという……電子音。 『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)はひたすら画面に向かって十字キーとABボタンを高速操作していた。 「それにしても何で配管工が審判やってるんだろ……あ」 依頼説明の時間になったのでゲームを中断。小豆色の電源ボタンを押して、カセットをがしょーんと抜き出した。 そして、一同へと振り返る。 「テニスって、命の削りあいだと思わない?」 いきなり何を言い出すのかと、一同は思った。 とあるテニスコートをノーフェイス達が占領しているという。 ぜんぶで八名。四つあるコートを全部つかってたのしくテニスを楽しんでいる。 まあそれだけならいいのだが、訪れる一般人達を爆破したりぶち抜いたりという地獄のような所業をしやがるのだ。 このまま放っておいたらテニス界の平和は失われてしまう。 と言うことで、リベリスタの王子様達がこらしめてやることになったのだった。 「とは言っても、相手はかなり強力なノーフェイス達なの。普通に戦ったら不利になるかもしれない。特に八対八の全面対決をしたらとても不利よ。できれば四つに、それも均等に二人ずつ分けた方がいいわね。それに近接攻撃がとても強そうな見た目だから相手が必要以上に近づかないようにネットのようなものを挟んで戦うべきじゃないかしら。もしかしたらダブルアクションが得意かもしれないし、何かルールのようなもので縛って互いに一発づつ撃ち合えるような勝負ができないものかしらね」 要約すると。 「テニスとか、どうかしら」 イヴはカセットにふーふーしてから差し込み、一同へと振り返る。 「とても壮絶な戦いになると思うわ。皆、頑張ってね」 そんなこと言われても、と一同は思った。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:八重紅友禅 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年04月03日(火)22:38 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●郷クルトってヨーグルトに似てる 肩にトゲトゲを付けたモヒカンたちがトゲトゲしたテニスラケット片手に並んでいる様を想像してみて欲しい。 もしスムーズに想像できるなら、きっとこの先もスムーズに想像できるかと思われる。 要するに。 「ソニックドラァァァァァァイブ!!」 劇画調でこんな事言ってる『まごころ暴走便』安西 郷(BNE002360)をマトモに想像できると言うことである。 もっと言えば。 「「ヒャッハー!」」 とか言いながら手榴弾をSMASHしてくるモヒカンも想像できると言うことである。 「え、ちょ、手榴弾って待っ――ギャアアアアア!!」 至近距離で爆弾が破裂。郷がきりもみ回転しながらフェンスに突っ込んで行った。 「郷ォー! おのれ……よくも仲間を!」 『九番目は風の客人』クルト・ノイン(BNE003299)がラケット片手に前かがみの体勢で歯を食いしばった。 できれば、シリアスな顔でいると思っていて頂きたい。 クルトは脳内をフル回転。さっき読んだばかりのテニス本を思い出していた。 「構え、構えの基本は……そうか!」 目を見開くクルト。 そうこうしている内にもボールが飛んでくる。 「構えは身体だけのものに非ず、拳も脚も精神の内に構え己の動きを流水と為す。武道をテニスに生かして見せようじゃないか。勝負は力だけで決まるものじゃないことを教えてやる!」 っていうセリフをボールが飛んでくるコンマ一秒の間に言った。言ったったら言ったんだもん。 「業炎撃(サーブ)!」 「ヒャッハー!?」 手榴弾が炎を纏って打ち返されてきた。爆破に巻き込まれて吹っ飛んでいくモヒカン。 「フフ、これで『1-1』か」 テニスはそういうゲームじゃねえ。 「いや、『1-2』だぜ……」 郷がフェンスから頭を抜いてコート内へやってきた。 だからそういうゲームじゃねえ。 郷は色んなツッコミを無視してラケットを放り投げる。するとラケットは地面にズシッと沈み込んだ。 「トレーニングはここまでだ」 「何っ、そんなに重いラケットを使っていたのか!?」 様式美として言っておくモヒカン。 郷はにやりと笑って高速反復横跳びを始めた。 「さっきまでの勢いはどうしたぁぁぁぁん!? 他人さまに迷惑かけていいのは他人さまに迷惑かけられる覚悟のあるやつだけだぜぇ!」 「どこかからパクったようなセリフを……くらぇえい、爆弾ショット!」 「甘い!」 素早く前に出るクルト。 「お前が爆発するテニスで来るなら俺のテニスは氷のテニス。資格をつくから相手が動けないとかそんな高度な技じゃない。単に打ち返すだけだよ。何故かたまに物理的に凍るだけだよ! 魔氷拳(SMASH)!」 とかいう説明をボールが飛んでくる間にした。したったらしたんだもん。 カキーンと凍って打ち返される手榴弾。モヒカンはギリギリのところで打ち返した。 「ヒャハ!?」 「貰った!」 ひょろひょろと飛んできたボールを狙い撃つ郷。 「砕け散れ、ソニックスマァァァァァァッシュ!!」 「ヒャッハー!?」 撃ち込まれた手榴弾が顔面に命中。砕け散った氷と共に手榴弾が炸裂した。 ●リル司馬ー、ねえ知ってる? 相手が速かったり大きかったりするとブロックに二人以上必要だったりするんだってー。 「遅い、ボレーシュートは吐息の暇を縫うものだ!」 『神速疾駆』司馬 鷲祐(BNE000288)がスタイリッシュな横顔と共にそんなことを言った。 無駄に汗が飛び散り、メガネがキラーンと光った。 自転車くらいなら普通にへし折ってくれそうな巨漢の横を光速で抜けていくボール。 「気にするな、お前じゃ見えなかっただけだ」 「ぐ、ぐぬぅ……!」 スキンヘッドの男は顔をゆがめて唸った。 「ならば速さで勝負してやるまでよ。これでもくらぇい!」 スキンヘッドはテニスボールを光速で大量に打ち出す機械を引き摺ってくると鷲祐に向けて弾の限り連射した。 「死ねぇぇぇぇい!」 「フ、遅い!」 鷲祐はドラップラー効果を残しながら左右にブレるとテニスボールをひとつ残らず打ち返した。 そうしているうちにもう一人がボースをシュート。鷲祐の横をボールが抜けていく。 「む――」 「任せるッス!」 軽やかに飛び出してくる『小さな侵食者』リル・リトル・リトル(BNE001146)。 「一撃必殺、致命傷は如何ッスか!?」 ブラックジャックを乗せたジャックナイフで切り返した。 三メートル程も伸びる破滅的な黒いオーラが対象一体の頭部目掛けて致命的な一撃を加えます。 はい、コピペしました。 「ひぎゃああああ! 俺の目があああああ!」 両目を抑えて悲鳴を上げるモヒカン。リルはニヤリと笑ってラケットを突きつけた。 「もう終わりッスか?」 「おにょれぃ、まだまだじゃあ!」 再びボールを撃ち込んでくるモヒカン。 それに対してリルは。 「ジャンプ力なら結構自身あるんスよ!?」 ハイアンドロウスマッシュを決めた。 対象一体にオーラで作られた死の爆弾を植え付け炸裂させます。 はい、またコピペしました。 「ぎゃああああああああ!!」 爆発に巻き込まれて吹き飛ぶモヒカン。 「相棒ぉー! ぐぬぅ、貴様等……調子に乗りおって。ならばこれでトドメとしてくれるわ!」 スキンヘッドの巨漢が両腕にボール発射機を装着。薙ぎ払うように連射した。 「くっ、流石にこの数は……」 「大丈夫ッス! 踊り子の機動力なめんじゃないッス!」 リルが一声かけると、いきなり分身。三人に分かれてボールを打ち返し始めた。 「何ぃ!?」 「フッ、まさかカルテットが楽しめると華。一気に流れを巻き返すぞ!」 発射されるボールが左右共に後一発となった段階で、鷲祐はボールの前へと移動した。 「神速庭球『竜帝仁鈴』!」 説明しよう! これは最高速を乗せたらケットとガットの隙間を抜ける気流の制御により鈴が鳴るかのような独特な反響と共に繰り出すスマッシュである。全身加速から運動エネルギーを脚腰肩腕へと伝えて叩き込み、己の速度即ち限界を超えて加速できるのだ! ってプレイングに書いてありました! その一方、分身リルがボールの前に収束。 「Line of dance!」 説明しよう。これはハイバーチュンから生み出されるコートを舞うように実体化した分身とリルによる同時撃ちスマッシュである。二つのラケットから同時に与えられた反時計回りの回転は不可逆一方通行の必殺スマッシュを生むのである! ってプレイングに書いてあったもんね! 「「死ねぇ!」」 「ば、馬鹿なああああああ!!」 二つのボールはスキンヘッドの胸を貫通。小爆発と共にスキンヘッドは消滅したのだった。 ●ラヴィアキ☆センセイション 「お主等には水底がお似合いじゃ」 と、『緋月の幻影』瀬伊庭 玲(BNE000094)がドヤ顔で見下して下さった。 サービスシーンである。 「と言うことで汚物は消毒せねばならんな……暴れ独楽!」 ダンシングリッパーを乗せた謎のスマッシュを繰り出した。 が、しかし! 「そんなボールは消毒だー!」 モヒカンの取り出した火炎放射器によってボールは空中で焼き尽くされてしまったではないか! 「ヒャッハッハー!!」 「くっ、ボールが相手コートに入らないと点数にならない……!」 額に脂汗を浮かべる『突撃だぜ子ちゃん』ラヴィアン・リファール(BNE002787)。 そう言っている内にもボールをロケットランチャーで叩き込んで来るモヒカン達。 「速いっ」 「玲、この球は任せろー!」 飛んできたボールの前で構えるラヴィアン。 「はらわたをぶちまけろ!」 何やら高速詠唱するとボールを打ち返す。……と、なんということか! 魔曲・四重奏(まきょしー)がボールの周囲を重螺旋を描いて飛んでいくではないか。 「こんなボールは消毒――ぐああああああ!!」 「相棒ー!」 モヒカンは動きを封じられるは鼻血出るわ顔色悪いわバナナで滑るわでなんだか大変なことになっていた。 その上を通過していくボール。 「畜生、卑怯な真似を……許せネェ!」 今日最大のお前が言うな感を出しながら、モヒカンがロケットランチャー構えて前に出た。 「ほっ、ギャロップレイ!」 「みぎゃん!」 ネット前で糸を引く玲。モヒカンはもんどりうって転倒した。 頭上を通過していくボール。 「くくく、妾の技は108ダメージはある」 「それ弱くない?」 「え……?」 「え……?」 顔を見合わせる玲とラヴィアン。 コホンと咳払いして気を取り直す。 「緋月の前に、えーっと、フェンスに張り付けになるが良いわ! 再び暴れ独楽!」 「ぎゃああああ!」 ネット前でラケットを振り回す玲。モヒカンは血を噴出して倒れた。 「その程度の打球、機関の刺客にも及ばぬわ!」 「くう、このままじゃ一方的だぜ」 「見せるしかねえな、俺たちの必殺技を!」 ってなことを言うと、モヒカン達は前後に並んで火炎放射器とロケットランチャーを撃ちまくった。 「汚物消毒スマッシュじゃぁー!」 どこもスマッシュじゃないスマッシュを撃ち込んでくるモヒカンズ。それに対してラヴィ玲は。 「効かぬ!」 パキィンと音を立てて玲の全力防御。 空中に浮いたボール目がけてラヴィアンがジャンプスマッシュを炸裂させた。 「葬送曲・黒には鎖としての特製があるしきっと色々操作できる筈! 鎖を曲げるイメージで魔力を込めたボールを急激カーブさせるぜ!」 え、そんなことできる筈うわできた!? 地面スレスレでカーブしたボールがモヒカンの頬に命中。ついでにターンしたボールがもう一人のモヒカンの腹に命中。二人纏めて薙ぎ倒したのだった。 「ぐ、相棒……!」 「無念……!」 二人はその場に倒れると、小爆発を起こして消滅したのだった。 ●赤髪ツインズ 「超次元テニスだ、王子様だー!」 てやーと言いながらボールに飛び掛る『神斬りゼノサイド』神楽坂・斬乃(BNE000072)。 彼女はチェーンエッジのついたラケットでボールをぶった切った。 何故か爆発するボール。 「そう、これこそが試合……いや死合!」 「フフ、知ってるよ……日本の漫画は面白いからね」 『кулак』仁義・宵子(BNE003094)はカメラをチラチラ見ながら何か言いだした。 どうしよう。名前を出したが最後大手出版社から怒られてしまうのではないだろうか。できるだけバレないようにしていたのに。 「デニムの玉子様だよね!」 「デニタマ!?」 高速で振り返る斬乃。いきなり美味しそうな名前になっていた。 デニムを振り回しながらゆで卵を撃ち合う中学生でも想像してみて欲しい。 ……できねえよ。 そうこうしている間にも相手チームは攻撃を加えてくる。 「死ねぇい!」 「「うわ!?」」 サブマシンガンを両手で撃ちまくってくるモヒカン。 斬乃と宵子は流石に薙ぎ倒されてしまった。 口元の血を拭いながら立ち上がる。 「やるね……だったら!」 斬乃が高くジャンプする。その間に地面スレスレを低姿勢で奔る宵子。 「ヒートドライブ!」 炎をあげて振り込まれる宵子のラケット。弾丸(ボール)は炎を上げてモヒカンに撃ち返された。 「ぐうっ!?」 体勢を崩すモヒカン。そこへ斬乃が飛び掛る。 「生死両断剣!」 デッドオアアライブ炸裂。 モヒカンに立て一直線の筋が入り、ピシリと上下にズレた。 「ひ、ひでぶううううううう!」 「兄者ぁー!」 血をまき散らして倒れるモヒカン。相方が血の涙を流した。 「おのれ、よくも兄者を……俺達は、俺達はただテニスをしていただけなのに……!」 「知らないね、無頼面(ブレーメン)サーブ!」 「へぶう!?」 宵子のサーブがモヒカン弟の顔面に命中。張り倒す。 モヒカン弟は鼻血を流しつつ立ち上がった。 「こうなったら奥の手じゃ。コートもろとも吹き飛ぶがいい!」 両肩にRPG装備。モヒカン弟はガンキャノン状態でロケット砲を乱射してきた。 コートが滅茶苦茶に爆破し、宵子と斬乃は翻弄される。 「このままじゃ手も足も出ない!」 「なんとか打ち返す手が……はっ」 宵子の頭上で豆電球がペカーっと光った。 「思いついた、私に任せて!」 宵子は獰猛な笑みを浮かべて駆け出した。するとなんということか、飛んでくるロケット弾を両腕ガードで受け止めたではないか。 「宵子ちゃん!」 「ボールはまだ生きてる……行って!」 ひゅるひゅると音を立てて飛び上がるロケット弾(ボール)。 斬乃は意を決して飛び掛ると、チェーンエッジのついたラケットを振りかざした。 「これがあたし達の、力だー!」 デッドオアアライブ炸裂。打ち返されたロケット弾がモヒカンの額にコツンとぶつかった。 「ヒャハッ!?」 大爆発。 ドクロ型の黒煙を上げ、モヒカンは消滅したのだった。 かくして、世紀末テニスは幕を閉じた。 しかし忘れてはならない。 これが恐ろしき超次元スポーツマン達の一端に過ぎないと言うことを。 そして、いつかまた、次元を超えたツッコミ不可の戦いが起こるであろうことを。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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