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<六道>魔剣……お線香……だったかのう……?

●いぶこさん、お昼ごはんはまだかのう?
 ヨボヨボのおじいちゃんがコンビニ前にたむろしていた。
 バイクにまたがり『えんじんはどれじゃったかのう』とか言っていた。
 その様子を、妙にヨボヨボの白服フィクサードが見つめている。
 手には一本のお線香。
 火がついているのになぜか燃え尽きず、周囲にこう……おじいちゃんちみたいな臭いを振りまいていた。
 加齢臭とはちょっと違う。あの何とも言えない香りである。
「おぉ……あのぉ……あれかのぅ……」
 ヨボヨボしながら口をパクパクさせる白服。
「実験の内容は……これで、よかったんかのぅ……あのぉ、誰じゃったかのう……」
 首をかしげる白服。
 すると彼の携帯電話がぴるぴる鳴った。
 電話に出るボタンはどれじゃったかのうとか言いながら携帯電話を遠くに離して見る白服。
 苦労して通話状態にすると、耳にあてた。
「はい! もひもひい!?」
『魔剣お線香の効果でおじいちゃん化していたのは知ってたが、まさか頭までボケ始めるとはな……』
「あー、誰じゃったか、ぶ、ぶらっくまん……」
『ホワイトマンだこの野郎』
「おお、おお、そうじゃった。ぶらいとまん」
『次間違えたらクビだからな。あー、そっちの様子はちゃんと見えてるから、別に報告書にしなくていいぞ。どうせ今日一日は廊下したままだろうしな』
「おお、はいはい」
『適当に返事するな。まあいい、後は適当に帰れ』
「はい、はい、はいぃ……と」
 切るボタンはどれじゃったかのうとか言いながら苦労して電話を切る。
 そして白服は、とりあえず日向ぼっこでもしようかのうと呟いた。

●老化現象は自然現象だから誰にも止められないし僕らは大人しく顔に皺刻むしかない。
「………………」
 『運命オペレーター』天原和泉(nBNE000024)が鏡を凝視していた。
 自分の頬を指でつついたり、目の下を引きのばしてみたり。
 そして、世にも重いため息をついた。
「老化現象というのは、恐ろしいですよ」
 振り返りながら言う。
「毎日規則正しく生活し、スキンケアを欠かしていなければまだしも、どうせ若いんだからと深夜オールに明け暮れたり髪を脱色したり油ものばかり食べたりしていれば確実に醜い老後が待っているものです」
 で、そんな話と今回の事件に何の関わりがあるのかと、リベリスタ達が問いかけようかと思った矢先。
「『魔剣・お線香』……六道が回収したアーティファクトで、恐ろしい能力を持っています」
 この魔剣は持ち主を初めとする半径百メートルの人間を老人化してしまうという恐ろしい……と言うかリアルに嫌な能力を持っていた。
 元から高齢だろうがロリババアだろうが容赦なくヨボヨボにし、腰は痛いわ老眼だわボケ始めるわで大変な状態にしてしまうのだと言う。
 しかもBSではなくアーティファクトによる変容なので、回避のしようがないんだとか。
「この場には所有者である白服を含め数人の白服が警戒に当たっていますが、正直ぜんぶおじいちゃんです」
 わたしもおじいちゃん。
 あなたもおじいちゃん。
 笑う声までおんなじね。
 わっはっはっは、おんなじね。
「彼等を倒し、アーティファクトを回収してください。お願いします」


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:八重紅友禅  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2012年03月22日(木)23:06
八重紅友禅です
富山の県民の半分はおじいちゃんだってラーメンズが言ってました。
もう半分はおばあちゃんだそうです。
まあ、そう言われても仕方がないよ。この前だって私有地の公園が撤去されて別荘になっていたもの。小学校どんどん狭くなっていくもの。

●魔剣・お線香とその所有者おじいちゃん
交戦する頃には既におじいちゃん、もしくはおばあちゃんです。
現地に向かってる途中で既におじいちゃん、もしくはおばあちゃんです。
BSではないので戦闘に制限が出ない気がしますがでもおじいちゃん、もしくはおばあちゃんです。
なんとかして回避しようと試みても結局おじいちゃん、もしくはおばあちゃんです。
もういっそ楽しくなるくらいおじいちゃん、もしくはおばあちゃんです。

敵はおじいちゃん、もしくはおばあちゃんです。
……ええっと、どこまで話したかのう?
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
デュランダル
四門 零二(BNE001044)
ホーリーメイガス
ニニギア・ドオレ(BNE001291)
デュランダル
イーリス・イシュター(BNE002051)
ソードミラージュ
レイライン・エレアニック(BNE002137)
ソードミラージュ
マク・アヌ(BNE003173)
ダークナイト
一条・玄弥(BNE003422)
ダークナイト
神埼・礼子(BNE003458)
クリミナルスタア
禍原 福松(BNE003517)

●この世で最も話を聞かない生き物……それがおじいちゃん!
「ふぉふぉ……ふぉっふぉっ」
 スーツ姿のおじいちゃんがでかい剣を杖にしてヨボヨボしていた。
 見た目じゃ分かんないかもしれないが、『闇狩人』四門 零二(BNE001044)である。嘘じゃない。
 零二おじいちゃんはばくさいせんきじゃあとか言いながら加齢臭だか闘気だかわからない何かを漲らせると、近くにいた白服のおじいちゃんに殴りかかった。
「うりゃああああああザンエーケンじゃああああ!」
「ほぶおあ!?」
 白服のおじいちゃんこと『糾える縄』禍原 福松(BNE003517)がきりもみ回転しながらコンビニの外壁へ突っ込んだ。
 プルプルしながら、手押し車に捕まって立ち上がる。
「キ、キェェー! ワシは味方じゃろうが!」
「おぉ、すまんすまん」
「わかっとるんかワレはこの……ほごぉ!?」
 腰に激痛が走ったのか、福松は背中を丸めてアイタタタタと蹲った。
 同じく腰を丸めてアイタタタタする零二。
「重いもんもったら、せ、背中が……」
「急に怒ったら、け、血管が……」
 互いに互いを支え合いながらヨボヨボする福松と零二。
 そんな彼等を、白服のおじいちゃんたちがぼーっと眺めていた。
「ありゃあ、何じゃろうのう」
「あ?」
「ありゃあ何じゃろうのうて」
「あ?」
「ありゃ何じゃろう! って!」
「あ、あー……孫は元気です」
「あぉう、あいあい」
 杏飴を取り出してもぐもぐする白服達。
 言っても信じて貰えないかもしれないが、フィクサードである。
 その証拠に、白服の一人は魔剣お線香を片手にずっと口をもぐもぐしていた。別に何か食べてるわけじゃあ、ない。
「あー……」
「うー……」
 道端のベンチに腰を下ろしている『エア肉食系』レイライン・エレアニック(BNE002137)と『暗黒魔法少女ブラック☆レイン』神埼・礼子(BNE003458)……という名のおばあちゃん。
 実年齢は六十歳だか八十歳だかという外見詐欺のろりばあちゃん達だったが、今や身体は老婆頭脳は老婆、もしかしたら今まで以上のヨボヨボっぷりを見せていた。
「あのぉ……あれじゃ、白服」
「はいはい白服ね。白服はあの、一人一万円するから」
「白服で、何を探すんじゃったかのう」
「服問屋さんに聞いたら八人分全部だったら五万円になるっていうんじゃがのう」
「紙に書いてあったんじゃが、どこやったかのう?」
「でも全部男性用じゃったから、男3女5で下さいって言ったんじゃ」
「あー、そのー……何をメモするんじゃったか」
「そうしたら女性用は三つで三万円になるから、全部で九万円になりますって言うんじゃよ? おかしいじゃろ?」
「あ、そうじゃ、そうじゃった……そろそろ変身するかのう」
 よっこいしょと言って立ち上がる礼子。
「魔法少女……ぶら、っく? なんじゃったかのう……あ」
 未だに自分の話を延々し続けるレイラインを背に、ぽむんと手を叩く礼子。
「ブラックレイライン」
「呼んだ?」

 世にも壮絶なバトルが繰り広げられているその一方。
「ここは、あったかいねえ……」
「うあー……」
 『あほの子』イーリス・イシュター(BNE002051)と『チャイルドゾンビ』マク・アヌ(BNE003173)が公園で日向ぼっこをしていた。
「今日は、どこに行くんだったかねえ」
「うあー……」
 ぼへーっと虚空を眺めているマクおばあちゃん。
 本当、信じて貰えるかわからないのだが、今日のマクの『気合の抜けっぷり』は凄まじかった。どのくらいかと言うと、プレイングが二百文字以下をマークする程である。なかなかできないよこんなこと。
「たくあん」
「そうかい、たくあんかい。よかったねえ」
 無駄にニコニコするイーリス。
 いつまでもぼへーっとするマク。
 そんな彼女達の前を、『大食淑女』ニニギア・ドオレ(BNE001291)と『√3』一条・玄弥(BNE003422)が通りかかった。
 二人ともなんだか大きな紙だかノートだかを首から下げていて、玄弥に至っては何の誤字か『やる気メモ』と書いてあった。
 やることメモ、みたいなものである。
「これから何するんだったかしら」
「あー……」
 口を半開きにしてノートをつまむ玄弥。
 ニニギアはほんのりと微笑みつつ目を瞑る。ちなみに頭にはお団子ができている。
「玄弥さん、これから、白服の所に行くんでしょう?」
「何でじゃ」
 つっけんどんに言い放つ玄弥。
「魔剣を取りに行くんでしょう」
「誰がじゃ」
「私達がでしょう」
「どこへじゃ」
「白服のところへでしょう」
「何でじゃ」
「魔剣を取りに行くんでしょう?」
 自分で行ってから、ぼーっと記憶をたどるニニギア。
「これ、前にも言ったわねえ」
「なんでじゃ」
「だから、前にも……あ」
 肩にかけていた拡声器(スピーカー部分)を玄弥の耳にあてる。
 ピピーガーという音の後、ニニギアはできるだけ大きい声で言った。
「魔剣を取りに行くんでしょお!」
「ぐぎゃあああああ!?」
 玄弥は普段絶対出さないような悲鳴を上げ、毒を盛られた犬のようにのた打ち回ったのだった。

●この世で最も話しの通じない生物……その名はおばあちゃん!
 で、戦場。
「ええとあれ、ここまでデカカットるんじゃが……そうじゃ! おーららっしゅ!」
「へぼう!?」
 おじいちゃんパンチが炸裂。
 白服(福松じゃない方)がもんどりうって倒れた。
「何するんじゃい! ほれぇい!」
 持ってる杖で殴りかかってくるおじいちゃん。
 零二はそれを剣で受け止めると、暫くお互いにプルプルし合った後に再びパンチを叩き込んだ。
 べしょんと倒れる白服(福松じゃない方)。
 信じて貰えるかどうか自信が無いが、現時点最大のリベリスタ勢力とフィクサード主流七派の一つによる神秘戦の光景である。
 しかも接戦である。
 そこへ、レイラインが凄まじい速度でヨボヨボしながらソニックエッジを仕掛けてきた。
 ヨボヨボするソニックエッジってどういうもんかさっぱりわからないが、もし高速道路とかで目撃したら何かの都市伝説になりかねないような壮絶さがあった。
「そのお線香を渡すんじゃ、このっ、このっ」
 普段のレイラインだったら絶対しないようなパンチ連打を食らわせ、白服から魔剣お線香を無理やり取り上げる。
 いくら頑張ったからってガチな戦闘中に相手の武器やアイテムを奪えるなんてことそうそう無いのだが、と言うかあっちゃ(バランス的に)いかんのだが、今回何故かできた。
 お線香を掲げてちょっと勝ち誇ってみるレイライン。
「全く、こんなもんがあるからわわわは……」
 ぶつぶつ言いながらお線香を見つめる。
 なんか、こう、奪ったら老化を解除できるんじゃないかなあみたいな、そういう希望的な、というかあくまで空想じみたものが、あった、ような気がするのだ。すごく漠然としているが。
 じっとお線香を見つめること数十秒。
 とりあえず、なんでかしらんが煙は消えないし、叩いたり踏んだりしてもビクともせんし、さすがアーティファクトは都合よくできとるのうともはや関心し始めたその時。
「うあー」
 マクが(文字通り)食らいついてきた。
 肉食系女子とか、食い付きのイイ女子とか、よく雑誌で見かけるかもしれないが、そんなチャチなもんじゃ断じてなかった。
 もうガチで捕食しに来ていた。お祭りの屋台で骨付きソーセージに食いつく子供と同じ目をしていた。
 が、子供と今のマクの決定的な違いは。
「ふがふが……ふが……」
 歯が無い事である。
 レイラインはびっくりしたりチョット痛かったりでお線香を取り落す。
 その場にいる白服(福松も含む)がおうおうおうとか言いながら前かがみの姿勢でお線香を追いかけはじめた。
 そこへ漸く到着したニニギアが、やけに穏やかな顔でノートを広げた。
 大きな文字で『初手でマナコントロール使用。ブレイク時にはかけ直しを徹底し、HP三分ノ二以下を目安に天使の歌を使用。BS時には回復の必要性が無いとみる場合にブレイクフィアー。それらの必要が無ければマジックアローで攻撃に参加する』とあった。
「…………うん」
 穏やかな顔で頷くニニギア。
「若い子の文字はよく分からないわ……そうねえ、『空気を読んで回復をします』って書くんじゃあ、ダメかしら」
「なんでじゃ」
 背後から声をかけてくる玄弥。
 ニニギアは振り返った。
「相手のね、攻撃力がとても高かったり、分散攻撃を仕掛けてきた時、こういうふうに数字と優先順位を固めておくと、逆に足元を救われてしまうの。わかるかしら」
「なんでじゃ」
「だからね……」
 と言ってから、自分が同じ説明を何度かし続けていることに気づくニニギア。
「まあ、いいわ」
 ニニギアは穏やかに笑うと、とりあえず天使の歌とか使っておいた。大体これやっておけば間違いない、みたいなところがあるのだ。
 玄弥は相手にされなくなっていることに薄々気づき始め、白服(福松じゃない方)へと歩み寄って行く。
「ほれ、くってけろ」
 おかきを取り出す玄弥。
 相手はどうもどうもと言っておかきを食べようとして、めっちゃ固いことに気づく。
 んべっと吐き出す。
「これもくってけろ」
 チョコレートを差し出す玄弥。
 どうもどうもと言って食べようとして、銀紙がすごく挟まってることに気づいた。
「書いてけろ」
 生命保険の契約書を取り出す玄弥。
 いや、それはいくらなんでも、ない(最近老人の保険金契約には色々アレがあるから)。
 そこまで一連の嫌がらせをしてから、玄弥は相手を張り倒した。
「はっ、ジジババが! くらばりゃ!」
「やめるんじゃあ、イタタタッ!」
 倒れた所にわらじで滅多踏みする玄弥だった。

 そうやってリベリスタ達が必死の戦闘を繰り広げているその一方。
「ほれ、線香立てあるから、ちゃんと刺さんといかんね」
 イーリスが線香立て持って白服(福松じゃない方)に差し出していた。
「なんがやちゃそりゃ知らんがなも……」
 何かもぐもぐしながら聞き取りづらい富山弁で喋り出す。
 暫くぺちゃくちゃ言っていたのだが、イーリスは途中で相手を殴り始めた。
 最後まで聞いてはあげなかった。
「こりゃ、およこしよ! この耄碌じじい! いつまでも線香もって、入歯あらわんで行儀悪い、そこまでボケたら世話無いわ! あほんだら、このあほんだら!」
「ヒ、ヒィィ!」
 途中から砂かけ始めたイーリスから逃げ出す白服(福松じゃない方)。
 そっちでは、礼子がAFをごちゃごちゃと弄り回していた。
「ええと、どうやるんじゃったか、最近のはいてくはわからんのう……ここかの? おお、出てきた」
 なんかゲートボールセットが出てきた。
「あ、山田さん。やるかい」
「おお……やるやる」
 適当に返事する白服(福松の方)。
 そこへ白服(福松じゃない方)がやってきて、ついでに零二も混ざり、ちょっとしたゲートボール大会になっていた。
 その間玄弥やレイラインが他の敵と死闘を繰り広げていたのだが。
「なかなかうまいですのう山田さん……田中さん?」
「おお、はいはい」
 礼子はしばらくしてから火鉢を取り出し、白服(福松じゃない方)へと突き出した。
「どうせじゃし、そのお線香をここに……あっつ!」
 そして取り落した。
 持ち方悪いとやたら熱いのだ、あれ。
 暫くゲートボールに興じていた福松が顔をあげ、火鉢を掴み上げる。
「…………」
 白服(福松の方)は白服(福松じゃない方)に火鉢を突きつけた。
 白服(福松じゃない方)はプルプルと震えながら火鉢を見つめ、時が流れる事数十分。ようやく火鉢にお線香を刺した。
 その途端。
「結構、黄泉路へ旅出つ準備はできたかいのう」
 白服(福松の方)は白服(福松ではない方)の額に銃口を突きつけた。
 ぷるぷると震える白服(福松ではなくもない方)。そしてぷるぷるする白服(福松と言えなくもないが違う方)。
 そして数十分の時が過ぎた頃、漸く引金は引かれたのだった。

●そして……なんじゃったかのう
 八人のリベリスタたちは、煙が立ち上るお線香を手に道を歩いていた。
「「…………」」
 誰一人何も言わない。
 言ったら言ったで会話になる気もしない。
 だが分かっていることは、一つだけある。

 おじいちゃんおばあちゃんって、大変だなあ。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
あとがきって……なんじゃったかのう……。