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海賊団SHARK_JACK

●現代に生きる海賊団
 男は鮫であった。
 鋭い牙に、アロハシャツから突き出た背びれ。
 サングラスで隠した洞のような目はまさに鮫のものであった。
 だがそれ以上に、男は鮫であった。
 ずっと昔に役目を終え、現代船舶には無用となった古い矢印型アンカーを肩に担ぎ、男はゆっくりと背を丸める。
「今日の潮風はアレだな……ちぃと鉄臭ぇな……」
「それは無いでしょう」
 同じようにアロハシャツを着た男が、麻袋を海へと投げる。
 丁度人間が一人入っている程度の袋だった。
「これだけ一般人殺したら、そりゃあ潮風も錆びますわ」
「なんだいそりゃあ。海ってのはなんでも洗い流してくれるんじゃなかったのか?」
「この世にそんな場所はありませんよ、船長」
 男が最後の麻袋を海へ投げる。
 船長と呼ばれた男は、首をごきごきと鳴らした。
 アンカーから、真新しい血液がどろどろと流れ落ちた。
「鉄臭ぇ……」
 男に名は無く、時としてこう呼ばれている。
 『シャーク』

●対フィクサード水上戦
 『運命オペレーター』天原和泉(nBNE000024)の広げた資料を、リベリスタ達は大人しく読んでいた。
 それなりに大きさのあるクルーザーと数席のボート。
 そしておよそ10人程度とみられるフィクサードのリストだった。
「海賊団SHARK JACK。海上を堂々と横行している海賊です」
「……海賊って」
 冷めたリベリスタと言うのは多い物で、この時口を開いたのもそんな一人だった。
 いわく、この現代に海賊なんて時代遅れだ云々である。
 和泉は資料のひとつを手に取って見せる。
「そうでしょうね。小規模なフィクサード組織ですし、大型のタンカーで輸送する現代においてクルーザー程度で出せる被害は大したことはないでしょう」
 密漁区域で高価な魚を獲ったり、漁船をまるごと襲ったり、活動自体は小さなものだ。
 海賊というより海チンピラといった規模だったし、何より全員一律でアロハシャツと言うのがいただけない。
 みすぼらしいったらないのだ。
 だが何故だろう、リベリスタ達は口ではそう言いつつも、どこか緊張感が抜けなかった。
 理由は恐らく、彼らの目つきだ。
 野獣のような、悪魔のような、殺し合いを望んでいる人間の目だ。
 飢えて飢えて仕方のない獣の目だった。
「ボートは手配してあります。彼等が陸に近づいてくるタイミングも計りました。あとは海上で討つだけです」
「……海上でか」
 頷く和泉。
「彼等の逃げ足は相当なものです。陸に上がられたらほぼ確実に逃げられるでしょう。なんとしても海上で。船の上で決着をつけて下さい。お願いします」


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:八重紅友禅  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2012年03月17日(土)22:33
八重紅友禅でございます
海上戦……というより、今回は船上戦です。
今回の場合、複雑に作戦を立て始めると思わぬ穴に嵌る危険がありますので、作戦の流れをおおまかにご説明します。

1.ボート、もしくはリベリスタの飛行スキルで船へ接近。
  接近中に銃撃されるのは確実なので、対応策が必要になります。
  特殊なスキルをうまく併用して行けば隠密に乗り込むことはできるが、初撃を入れた時点で確実に気づかれるとみられる。
  相手には超直観を初めとする警戒スキルが充実しているためだ。
2.船に上がり、海賊団10名と戦闘。
  海に落ちた所で逃げようがないので、逃走の可能性は無いと考えてよい。
  実力は中の上。使用戦闘スキルは不明だが、射撃と格闘どちらもいける筈。
  船長の実力が抜きん出て高い。油断しないように。

戦闘終了後、調査しても良いが、何が出るかはわからない。何も出ないかもしれない。

以上、健闘を祈る!
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
クロスイージス
新田・快(BNE000439)
デュランダル
桜小路・静(BNE000915)
スターサジタリー
モニカ・アウステルハム・大御堂(BNE001150)
ホーリーメイガス
アンナ・クロストン(BNE001816)
覇界闘士
クルト・ノイン(BNE003299)
ナイトクリーク
明神 暖之介(BNE003353)
インヤンマスター
災原・悪紋(BNE003481)
スターサジタリー
聖鳳院・稲作(BNE003485)

●神秘式海上戦
 ボートの音というのは案外響かないものだ。
 『駆け出し射手』聖鳳院・稲作(BNE003485)は最低限の機動でボートを走らせながら思った。
 音の伝わりやすい水中ならともかく、水上には沢山の音がある。相手の船が大きく騒音の強いものなら尚の事、かなり近づかなければまあすぐには見つからないものだった。
「正直一瞬でバレると思ったんですけどねえ」
「ま、この辺はうるさい場所も多いですから、状況に助けられたんでしょうね」
 明神 暖之介(BNE003353)が何とはなしに言った。かなり望遠まで届くレンズでクルーザーを眺めている。
 襟にクリップ止めしたイヤホンマイクに囁きかける暖之介。
「エンジンを一度切っているようですね。目的は分かりませんが、襲撃には好都合でしょう」
『わかった』
 通信終了。合図を受け、稲作はもぞもぞとボートのエンジンをかけ始めた。
 あぐらをかいて腕組みする『廃闇の主』災原・悪紋(BNE003481)。
 どう見ても小学生なので、お行儀が悪いったらなかった。
「まったく海賊とは、無粋な輩はいつの次代もいるもんじゃな。我等で懲らしめてやるかの?」
「時代なんて関係ないわ」
 目を細める『ソリッドガール』アンナ・クロストン(BNE001816)。
「恒久的に人を襲って何とも思わないのかしら。これだから神秘は」
 憎々しく呟くアンナ。
 独特の空気を背に受けて暖之介は一度だけ瞬きをする。
 通信をオンにして、目を開けた。
「さて、始めますか」

「了解した、派手に行くぞ」
 『デイアフタートゥモロー』新田・快(BNE000439)は船首像のようにボートの先端に立つと、堂々と腕組みをして見せた。
 『九番目は風の客人』クルト・ノイン(BNE003299)は慎重に(しかしやや強引に)ボートを操作してクルーザーの前へと回り込んだ。
 水飛沫を上げながらカーブするボート。
「飢えているなら、おれ達で渇きを満たしてやろうじゃないか」
「ただし、ここで終わりだ」
 鉄槌を構える『駆け出し冒険者』桜小路・静(BNE000915)。
 何と言ってもエンジン式のボートである。こんなものが眼前に躍り出て来れば嫌でも気づくと言うものだった。
 クルーザーの周囲にいたボートが速度を上げてこちらへ突っ込んでくる。
「これから生シラスや桜海老が美味しい季節なんだ。これ以上の狼藉はやめてもらう」
 腕組み姿勢のままパーフェクトガードを発動。相手は短機関銃を連射して来ているが、快にはまるで効いていなかった。
 顔面に当たりそうになった弾を掴み取り、逆に高速で投げ放つ。
「一発たりとも通さない。遠慮なくばら撒いてくれ、モニカさん」
「お言葉に甘えて」
 がしゃん、という音がした。
 巡洋艦に搭載された機関砲が動くときの音にどこか似ていたが、やはりここはボート上である。そんな装備がある筈はない……が。
「私一人で撃ち合っていたら流石に無理ゲーですしね。頼みましたよ」
 『デストロイド・メイド』モニカ・アウステルハム・大御堂(BNE001150)は旧軍の対物ライフルを相手のボート目がけて乱射し始めた。
 慌てて反撃してくる海賊たちだが、その射撃を全て快が受け止める。
 いくらなんでも一人で受けきるには無理があったが、遠くからそっと支援しているアンナの回復がものを言っていた。
「たかが一人と侮るなかれ、フラグも弾く守護神をナメちゃいけませんよ」
「その評価はどうかと思うな」
 などと言っている内に相手のボートと接触。両サイドからすれ違いざまに海賊が一人ずつ飛び掛ってきた。
「厄介な移動砲台詰みやがって、船ごとひっくり返してやる」
「させるかっ!」
 メガクラッシュで迎撃する静。海賊の一人が回転しながら海へ転落した。
 しかし相手は二人である。攻撃直後の静を背後から狙おうとナイフを抜く……が、しかし。横合いから突き込まれたクルトの土砕掌で海賊はバランスを崩し、そのままボートから転げ落ちた。
「背中には気を付けないとね」
「さんきゅ……って運転運転!」
「おっと」
 僅かに蛇行し始めたボートを再び制御し直すクルト。
 此処だけの話、隣接したボートや水面を叩いてみたかったのだが、ボートから上半身をギリギリまで乗り出して片手でぱたぱたと叩く様はいくらなんでも間が抜けていたので、やめておいた。運転を疎かにするべきでもない気がするのだ。

 と、その一方。
「おーおー、素直に食いついてますね。そろそろこっちも行きますか」
「いえっさー!」
 クルーザーのはるか後方にあった稲作たちのボートが、今はエンジン音を唸らせて海を奔っていた。
 相手もこちらの気づいたのだろう。クルーザー上から牽制射撃を打ち込んでくる。
 がたがたと揺れるボートの上で、悪紋は淵にしっかりと捕まった。
「うおっと!? 警告もなくいきなり殺しにかかるとは、ますます持って悪党じゃな。稲作、薙ぎ払えぃ!」
「運転しながらで!? 無理です!」
「ええい仕方ないっ」
 悪紋は式神を呼び出すと、ボートの簡易操縦をさせた。ギリギリできないでもない。
 どうもと言ってハニーコムガトリングをばらまき始める稲作。
 一方海賊の方はというと、全てのボートをモニカたちの方へ向かわせてしまった手前直接迎撃もできない。仕方ないのでクルーザーごと発進させた。
 相手が船の後尾からハニーコムガトリングを三重にして撃ち込んでくる。
 ボートはともかく、乗っている彼等はただでは済まない。
「掴まってて!」
 盾を翳して本を開くアンナ。
 素早く神聖の息吹を展開。回復弾幕で迎え撃った。
 弾が当たった傍から回復していく。
 しかし一発程カバーしきれず、アンナの頬に傷を作っていた。
 脚が無意識に揮える。踵を床に叩きつけて黙らせた。
 ロープを構えて片膝立ちになる暖之介。
「女子高生に武装集団はキツいですか」
「悪い?」
「大事な反応だと思いますよ。こういう生き方しているとね、忘れるんですよ。鉛玉一つで人が死ぬってこと」
 明神暖之介。四十代後半の、背の高さを除けばどこにでもいそうな男である。しかし彼は何度もそうしたことがあるように、フック付きのロープをクルーザーへと投擲。鉄柵に引っ掻けると素早い動きでよじ登った。
 どちらも止まっているわけではない。凄まじい横風を受けながらの所業である。
「よし、突入じゃ! スパイ映画みたいじゃのう!」
「あ、言い忘れてた。ボートよお前に生命を吹き込んでやるー!」
 式神を使ってロープを渡し、クルーザーへと移動していく悪紋たち。
「慣れないわね……」
 アンナはぐっと歯を食いしばると、ベルトに固定した安全フックを外して飛んだ。

●アロハシャツの海賊
 海賊と聞いて、馴染みの無い人間が抱くイメージはどんなものか。
 カリブ海で穂を掲げ、骸骨のついた旗と船首像。バンダナ頭とボーダーのシャツ。船長は独特の帽子を被った鍵爪男と言った所だろうか。
 しかし現代にも海賊行為というものはあって、軍で用いるような兵器を整え、輸送船に戦艦並の武装を乗せ、船を襲っては豪利を得る。太古の昔のように政府公認の貿易阻害屋ではない分市民権は無いが、国際的な問題に発展する程には堂々とした連中である。その割には私服がアロハシャツだったりもする。
 海賊団SHARK_JACKは、そう言った意味ではかなり現実的な海賊だった。
 故に、戦い方もかなりシビアである。
「なんだいこりゃ、おれ達もついに狩られる側に回ったかい?」
「違いますよ船長! リベリスタです!」
「りべりすたぁ? こちとらどこぞの組織に恨まれることしてねえぞ、まさかアークじゃねえだろうな!」
「そのまさかでしょうよ!」
 なんだよ畜生面倒臭えとぼやきながら、アロハシャツの船長は室内から身を乗り出した。
「船長も出るんで?」
「トイレに篭ってたらトイレごと吹っ飛ばされるのが神秘戦ってモンだよ」
 クルーザーでは既に静とクルトが乗り込んでいた。
 二人は背中を合わせながら短機関銃を構えた海賊たちと戦っている。
「やっと乗り込めた。タイミング図るの難し過ぎるだろ」
「ぼやかないぼやかない。さて、鮫狩りと行こうか」
「簡単に言ってくれやがって……っと」
 横から放たれたジャスティスキャノンをナイフで弾く船長。
 そのすぐ後に快が突撃してきた。
「下がって下さい船長!」
 別の男が間に割り込み、短機関銃を乱射。しかし快は両腕を顔の前に交差して弾丸を弾いて見せた。
「そんな豆鉄砲で俺を倒せると思うなよ。全員で来い!」

 モニカは一人でボートに残っていた。別にクルーザーに移っても良かったのだが、どうやらこちらの方がやり易そうだったのだ。
 何がって? そりゃあ……。
「そのボート、沈めさせてもらいますよ」
 片足を船首に乗せ、両手で対物ライフルを構える。
 片目に装着したスコープを操作。視界を熱感知に切り替え、相手のボートに照準を合わせた。
 トリガーエンド。
 徹甲弾がボートのエンジン部分を貫き。小爆発を起こして船上の海賊たちを海へと沈めた。
「あのちっせえメイド、こっちの船を狙ってやがる!」
「ちっくしょう、いくらすると思ってんだ!」
 海賊がモニカと併走しながらライフル射撃。
 数発食らったが、モニカは平然と船だけを撃った。
 小爆発。
「さて、これで全部ですかね」
 ライフルの銃口を上げるモニカ。ぴたりと張り付いていた髪が漸く暴風に靡いた。
 このままクルーザーに乗り移ろうかと思ったが、帰りにこのボートを使う可能性を考えて、モニカはとりあえずは乗っておくことにした。

「船上ライブ、いきます!」
 稲穂をマイク代わりにして稲作がくるくる回り始めた。
 天使の歌だから歌わなければいけないわけではないと言うかそもそも歌う要素が無いのだがそこは突っ込んだら負けだろう……と、アンナは一瞬で考えた。
 思考を切り替える。
「そっちは回復、足りてる?」
「うーん、難しいかな」
 海賊にギャロップレイをかけて蹴倒しつつ、暖之介は穏やかな笑みを浮かべた。
 胸と背に銃弾をしこたま食らう。が、そこへ悪紋が治癒術を叩き込んだ。文字通り、べしんとだ。
「気休め程度じゃが我慢せい、若いんじゃろ!」
「若そうに見えます?」
「我の33コ下」
「見かけで判断してすみませんでした」
 どうやらこっちは大丈夫そうだ。
 なら快たちの方か。そう思って視線を向けた、その瞬間。
「うわっ!」
 クルトが派手に船上を転がって来た。
 船から転げ落ちるのではないかと言う程の勢いだったが、床に足を叩きつけることで勢いを殺し、クラウチングスタートの体勢で留まって見せた。
 こつんこつんと音が鳴る。
 それは、サラリーマンのような革靴で甲板を叩く音だった。
「おいおい、俺狙いで来たんじゃなかったのか。ちゃあんと相手してくれよ」
 鮫のようなギザギザした歯を見せて、船長は笑った。
 名称不明。
 ビーストハーフ。
 フィクサード。
 海賊団SHARK_JACKの、船長である。

 四方八方から襲い掛かる海賊の団員たちへ、稲作は片っ端からハニーコムガトリングを浴びせかけた。
「もーれつにハチの巣です!」
「ハチの巣になるのはテメェ……ぐわ!?」
 銃で反撃しようとした海賊にブラックジャックを仕掛ける暖之介。
 手際よく首筋を掻っ切ると、そのまま船から放り投げる。
「くそ、放り出してやる!」
 武器を構えた海賊がメガクラッシュを叩き込んで来る。暖之介は穏やかな顔のまま船外に吹き飛ばされる。
 しかし。
「出番じゃ式神!」
 悪紋が式神と一緒にロープを飛ばす。暖之介はそれを掴むと振り子のようにして船上へと舞い戻って来た。
 トドメを刺そうと着地。
 すると。
「あ……」
 海賊の胸を徹甲弾が貫いていた。
 背後を通り過ぎていくモニカのボート。
「美味しい所を取られましたねえ」
 暖之介はぽりぽりと頭を掻いた。

 アンナには嫌いなものが三つある。
 転校初日の挨拶と、気安く額を叩いてくる奴。そして神秘現象だ。
 フェイトを得たことでフィクサードとなった人たちは、根本的にどこか狂っていて、暴虐を抵抗なく行えたりする。
 しかしそれはリベリスタとて同じことで、常識を超えた力を得れば誰とて歪み始めるものなのだ。
 少なくともアンナはそう考えている。
 だがこの、海賊団SHARK_JACKの船長は、神秘の力などなくとも、最初から歪み切っていたのではないだろうか。
「オラオラ、ちゃんと当てて来い。さっきから掠ってばっかだぜ!」
「くっ……!」
 快の周囲をまるで羽でもあるかのように跳ね回る船長。
 二度ほど集中を重ねてジャスティスキャノンを撃っているのだが、完璧な当たりがどうしても来ない。
 左右から静とクルトが飛び掛る。
 デッドオアアライブと土砕掌が繰り出される。即席とは言えそれなりに息の合ったサンドイッチアタックである。
 しかし船長は両手を左右に伸ばし、クルトと静の額をキャッチ。強引に振り回して互いの頭を激突させた。
「づあ!? 痛ったああ!」
 甲板を転がりながら距離を取る静。
 しかし油断することはなく、すぐに床を蹴ってギガクラッシュを叩き込んだ。
 流石にいなしきれなかったのか、船長は片腕で受ける。
 その隙に急接近し、低姿勢から土砕掌を叩き込むクルト。
 二人の攻撃を受けた船長だが、すぐに体勢を直すとナイフを一閃した。激しい血しぶきが上がる。
「負けるかっ」
「海賊風情にやすやすやられるわけには行かぬよ」
 フェイトで持ちこたえたか。アンナはあまり乱発したくなかった神聖の息吹を発動させる。出し惜しみをしていられる状況ではなさそうだ。
「おっと、そろそろ陸地が近いかな?」
 船の外を見て呟く船長。
 快は歯を食いしばった。ここまですばしこい相手だ。陸地に船がツッコミでもしたら、速効で逃げ切られるだろう。
「陸につく前に片付けてやる。でもって最後は宝探しだ」
 よく狙ってジャスティスキャノン。
 今度はしっかりと当たった大きくよろめいた船長に、静とクルトが今度こそトドメの一撃を叩き込む。
 そして漸く。
「やべ、ここまでかぁ」
 海賊団SHARK_JACKの船長は、仰向けに倒れたのだった。

●『Mermaid Girl』
 無駄なことも多いので、色々と省略して語ることにする。
 海賊団SHARK_JACKを全滅させ、細かいボートに至っては全て海に沈めてしまったリベリスタ達。
 彼等は最後に残ったクルーザーの室内を、片っ端から調べ回った。
 やっていることは海賊と一緒で、『船長の帽子が欲しい』と言って船長室(とても狭い)に乗り込んだ静がテンガロンハットをとても悲しそうに見つめていたことを除いては、特に愉快なことは無かった。
 ゲーム気分の稲作や、それこそ海賊気分の悪紋や暖之介はかなりガッカリしたものだ。
 反面、モラルの崩壊に人一倍敏感なアンナは内心で胸を撫で下ろしたりしていた。
 そういうわけで、海賊退治は特に派手な実入りもなく、本当に海賊を退治しただけで終わった……ように思われた。

 クルトとモニカは、クルーザーの上で風を浴びている。
「最終的にゲットしたのがこのクルーザー、という理屈では納得しませんかね」
「それこそ海賊行為だからね、ちょっと気が進まないかな」
 苦笑するクルト。モニカは相変わらずの無表情で海を見ていた。
「収穫、と言う程じゃないが」
 そこへやってくる快。
 彼は片手サイズの手帳を開くと、二人に見えるように翳した。
 そこには、赤いペンの走り書きでこうある。
 『マーメイドガールを見つけろ。奴は――にいる』
「どうやら、奴等にも目的があったみたいだぞ」
 クルトとモニカは空を見上げて、思考を一旦放り投げた。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
お疲れ様でした
皆さんの調査の結果、新しい発見と言えなくもないものが見つかりました。
今後に繋がるかどうかは、未来になってみなければ分かりません。