● どうしようもない不運が重なる。 自業自得。 人が落ちぶれる原因は上記2つが入り交じっている事が多い、問題はその比率。 「あぁもう、ふっざっけっんなァ! 揚げ足ばっかり取りやがってえええ!」 ガンガンガガガガン、ガガガガンガン!! 携帯を叩き壊さん勢いでキータッチをするのは、沢田リン、ハンドルネームは『さりぃ』……吊り上がった眉が強情さを物語る、残念なアラサーである。 >>>>こんなメールでネチネチ攻撃とか性格が悪いにも程がありますね! ブログのコトはブログでお話しすればいいじゃないですか! (送信者:さりぃ) >>>メールで話しあいたいと最初に仰ったのは、さりぃさんです。またこれは攻撃ではなく『ブログで特定の方の発言に粘着して攻撃をしないで欲しい』という、ブログ主である私からのお願いです。 >>>お聞き入れ頂けないのであれば、アクセスブロックさせていただくしか……。 (送信者:ブログ主) >>てか、これはフラットさんと私の問題です。ブログ主がでしゃばる問題じゃないでしょ?! (送信者:さりぃ) >ですから、最初に私にメールをされたのはさりぃさんです。私は最初「本人同士で話し合ってください」とお返事しましたが、聞き入れてくださらないので……。 (送信者:ブログ主) 全て相手に利があるので揚げ足ではない。 でも、噛みついて噛みついてどんどん不利になっていく、それがさりぃ・クオリティ。 有名ネット板でも「サイト乗っ取り連敗中のイタイ子みーっけ」スレでのアイドルなんだぜ! 「もーっ、むっかつくゥ! 住所がわかれば嫌がらせできるのにぃ!」 携帯電話を握りつぶすように畳むと壁に向って投げつけた。こうしてお釈迦にしたのは8体目……の、はずだった。 が。 パシッ! 弾丸のように飛んできた携帯電話を軽く受け止める、音。 「え?」 「はい」 慈悲深い笑みを携えた女性は上品な所作でリンに携帯電話を返すと、瞳を眇め言った。 「許しがたき方がいらっしゃるご様子ですね」 静々と腰を屈め、黒スーツの女性はリンの胸元に「とんっ」とふれる。 「ちょ、あんた何すんのよ! ひゅえええ?!」 胸元にぼこんと生えた小さな顔(ドス黒い笑顔)に、リンは突拍子もない叫びをあげて尻餅をついた。 「念じてみてください。『私になりたい』と」 「はぁあ?!」 「いいから」 その声は地の底から響くように低く、リンは渋々と従った。 すると。 驚くべきことにリンの姿は命じた絶世の美女へと変化し、胸の顔も体に吸い込まれるように消えたではないか?! 鏡を見せてにこやかな女は『変化』は望む限り効果が続くと説明し、1枚の紙切れを手渡した。 「『萌え萌えセキア様』のブログマスターのお住まいです」 ――どうぞお好きに。 その声に、さりぃはドス黒い笑みを浮かべた。 ● 「『莫迦は死んでも治らない』……でしたっけ? 有名な格言は」 「格言じゃないよ。まぁ、この人の生死は問わないけど」 『かたすとろふ言動』小鳥遊 あると(nBNE000002)の台詞に『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は、冷淡に答えた。 イヴがカレイドで確認した未来は、『長谷川アイ』という女性が『沢田リン』という女に殺される物。 「ただリンはアーティファクト『ミラーフェイス』の力でアイに変身をしてる」 「えーっとつまり……アイさんは助けられない」 あきらめ、はや?! 「だって殺した方がリンさんですよね? それを倒せばいいんですよね? さっき生死を問わないって……」 生死を問わないのはそっちじゃねえ。 きょとんと紅を瞬かせるあるとにイブは小柄な肩を竦める。 「キミって人にも自分にもドライだよね?」 「ええ?! 自分は大事です!」 きりり。 ぺたんこな胸に手をあてあるとは澄んだ眼で言い切った。 「……だったらアイさんも助けてあげて」 イヴ曰く。 言葉での揺さぶりをかければ、偽物をあっさり露呈するのではなかろうか。 「えっとつまり……」 『サイトなんて自分で作ればいいじゃないですか』 『あ、お客さんが来てくれないのが怖いんですか? ですよねー、やっぱ人柄ってネットの中でもでちゃいますもんねー』 『てゆーか、三十路半ばにもなってネットに齧り付いて誹謗中傷とか、恥ずかしくないですか?』 「……って感じですか?」 「そうね」 滑らかなあるとの口元にイヴはさしたる感慨も浮かべず続けた。 「ちなみに彼女を怒らせると攻撃力があがるから。当然、悪口言った人を狙うから」 「え、なんですかその罠?!Σ」 だからと言ってアイが殺されるのをむざむざ待つわけにもいかない。 偽物アイことリンを見つけ、アイを気絶させるなりして戦闘を見せないようにするのが無難だろう。 「あと『ミラーフェイス』は、さりぃの負の感情を食い物にするから、余り怒らせすぎると倒しても引きはがせなくなると思うよ」 「あー、だから生死は問わずなんですね」 ぽむっと拳を叩くあるとは、心から納得した様子。 「飴と鞭」 ぽつり。 「飴役の人がリンことさりぃの味方をすれば、彼女の力は弱まるわ。良い所を見つけて誉めてあげて」 「………………話を聞いた限り、難しいですね」 誉めて伸ばすったって限度がある。 「そうね。だからさりぃの生死は問わないわ」 イヴは最初に言った言葉を再び繰り返す。 「うーん…………」 口元に拳をあてて考え込んだあるとは、きりりと顔をあげて清々しい声で言った。 「作戦は皆さんにお任せします!」 丸投げしたぞ。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:一縷野望 | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年03月22日(木)22:55 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●今宵はアルティメイトなラブらしい 「とりあえず今回の依頼の為にやってみたよ、アル恋」 『最弱者』七院 凍(BNE003030)は寝癖の紅髪をくるり指に巻き付ける。 「アルティメイト(略)、実に恐ろしいゲームですわ」 わなわな。 『Knight of Dawn』ブリジット・プレオベール(BNE003434)は、マントと仮面に水着姿で拳を握り肩を震わせた。 (洒落にならない恥ずかしさですわ……!) こんな変た……だが、作中の正義の味方『騎士仮面』のコスプレなのだ。 ――本日恥じらいは売り切れました。 「乙女ゲームって事で正直興味無かったし脚本もカオスだったりイミフな所満載だったけど……」 うん、ホントな。 ブリジットの格好が余す所なく物語ってる。 「まあそれなりに楽しめたよ。腐層の搾取を狙っているのもあって声優は豪華だね、危うく王国民になってしまうところだったぜ」 それは「やってみた」じゃなくて「分析できるまでやりこんだ」だ。 「つまりありのまま起こった事を話すと、セキア様とかまったく出て来ないルートで時間を無駄に過ごしてしまった」 おい。 ……気をとり直して。 えー、こちらお洒落げなワンルームマンションです。 20代半ばようやく職場でも後輩ができはじめた女子が住むに手頃な、築年浅・準急が止る最寄り駅そば(会社帰りに便利なスーパーとデパートの間ぐらいの店が駅直結)な感じです。 「今宵はアイツらを守ればいいんだな」 閉じたドア越しに響いてくる女の怒号に『てるてる坊主』焦燥院 フツ(BNE001054)は粛々と強結界を展開する。これでしばらくは一般人が近づく心配も無し。 「おうちに帰れないみなさん、ごめんなさい」 「命落とすよかめんどくさくないだろ」 彼方に向け手をあわせる『かたすとろふ言動』小鳥遊 あると(nBNE000002)に、『日常の中の非日常』杉原・友哉(BNE002761)は、だるだると髪をかきあげる。 「あ、確かに」 納得した。 「殺人までに発展するなら止めてやらないとな」 顔が見えぬ分行きすぎることがあるのがインターネット社会、とはいえ殺し合いは明らかに度を超している。そんな三芳・琥珀(BNE003280)がこの場の理性って感じだ。 「些細なことで争い、殺人に及んでしまうなんて……ボクにはなかなか難しい世界です」 離宮院 三郎太(BNE003381)くん、理解しないままのキミでいて、お願いだから。 「……こういう手合いは何言っても更正は無理だって分かってる」 『名無し』氏名 姓(BNE002967)が言い切った。でも今夜の彼はお仕事やる気なんだ。 「せめてツンデレくらいにシフトしてくれないかね」 それが無理だってわかってても頑張るんだ、リベリスタだからな! ●ブログ乗っ取りアイ乗っ取り 室内には家主がふたり、同じ顔してぎゃーつくぎゃーつく。 『誰でもいいからアイを助けて! こいつがアイに化けて乗っ取ろうとしてるの!』 『私はそんなキモイしゃべり方しないわよ! それより不法侵入者?! 警察呼ぶわよっ』 『警察なんかでごまかさないで』 『いや、意味わかんないわ……ッて、痛ぁいッ、離してええ!』 ぐぐぐぐぐ。 みちみちみちみちみちみち。 アイAがアイBの腕を握りねじり上げる、なんかもうこの行動で既にどっちがリンかわかったようなもんですが、でもはっきりさせないとね! 「小梢は叩かれても働かない17歳です」 きりっ。 『まだ本気を出す時じゃない』春津見・小梢(BNE000805)は、誇れないことを胸張り言った! 『はぁ?』 一瞬緩んだ隙に逃れるアイB。 ひのふのみ……。 指折り数えつつ、小梢はさりげに叩かれても泣かない力を呼びだしてみる。 「うわ、ちょうど半分だ、すごい偶然」 「17×2ですもんね、てゆーか、三十路半ばにもなってネットに齧り付いて誹謗中傷とか、恥ずかしくないですか?」 あると、直球にどすっといった。 『のわんですってええ!』 『さりぃさん……あなた、34歳、だった……の?』 20代半ば、ペイズリー柄のワンピのアイBはありありと目を見開く。 『ちょ……ネットでリアル年齢持ち出すとか、マナー違反よ!』 「サイト乗っ取り企む人にマナーを説かれても、説得力ないですよー」 息するように逆らうあるとにアイAってかさりぃの鋭い視線が向いた。 ターゲットロックオン! 「お前さんがネットにかじりついたり、客が来るサイトが思い浮かばねえのは、精神がたるんでるからだ!」 フツが思い切りよく守りにいった! そうですよ、罵詈雑言浴びせてるんじゃなくて仲間守ってるんですよ? 『た……たる…………』 怒りで顔を赤くしブレブレとアイAに重なる像は、確かにちょっとふっくらだ。 「たるんたるんでぶよんぶよんだからだ! 心のゆるみが、体にも出てるぜ、ウヒヒ」 『ひ……ひど…………』 「言い過ぎだろ? 可哀想に」 さ。 ほっそりとした腕が男と彼女を遮った。アイAことリンの間に姓は立ち、あるとへ気怠げな視線を向ける。 「お口がすぎるよ、僕ちゃん」 意訳:いいからお前は黙ってろ。 『『……え、クロウの、こす、ぷれ?』』 本命じゃないだろうけどな僕は所詮隠しキャラ、字余り。 そんな退廃纏う姓は「本当のキミをみせて」と手を差し伸べる。 『『その台詞……隠しルート好感度MAX時に『クロウ』が『セキア様』へ呟く台詞!』』 攻略対象同志が結ばれるの傍観する主人公とか意味わかんない。けど二人はなんだかきゅんきゅんきたっぽい! 「リン……」 めんどくさいめんどくさい、ああめんどくさい。 でもそんな本心は嘘の心で上書きして、友哉はガチでカルマ様(設定:名門高校の弓道部エース)になりきるぞ。 『『カルマ様の耳が、生えた!』』 設定追記:実は狐妖怪の血を引く、好感度が高いと耳と尻尾が見える。 『きゃあああああああ!』 手と手を取ってぴょんと跳ね黄色い声。あれ仲いいんじゃね? この二人。 ……とか見えたのも一瞬、セキア様とカルマ様どっちが上かっつう腐った会話→当然意見が違いとっくみあいの喧嘩が始まりやがりましたよ。 どったんばったん。 ええっと確かこっちだったはず? 見事混ざったアイ×2に、首を傾げるリベリスタ。 「あの……」 おずっ。 眼鏡越しの上目で三郎太が二人に呼びかける。 「『アルティメイト^^に恋(///)をして』ってゲームなんですけど……」 もじもじ。 とりあえず語らせてみよう、その間に鞭役の人がなんとかしてくれるかもしれないし。少年は頑張ってお仕事しようとするぞ。 『『なぁに?!』』 ギラつく腐女子の視線が怖くても、 「ボクにはまだむつかしいのかなぁ……」 リアルショタ攻撃を繰り出すぞ! 『そんなことないですよ。オフ会で貴方ぐらいのユーザーさんに逢ってお持ち帰……お茶しただけですよ?』 あとちょっとゴスロリ着せた! 『もう少し大人になったらセキア様に……』 「あ、うん。女装が似合うセキア様っぽい感じですよね」 しれっ。 小梢が投げた言葉に冷静を失った方を琥珀が見て取った。 『セキア様の女装を認める発言を撤回しなさいよおおお! そんな不届きなサイトは修正してやるううー!』 『嫌なら来なければいいでしょ?! このクズ荒し、人間以下、中年ニート!』 うわ、女の戦いえげつない。 「彼女は彼女の意見を述べているだけだ、そこまで言う必要はないだろ?」 いたたまれなさを滲ませた金の瞳を眇め、琥珀はリンと目した方を庇い立つ。 『そうよそうよ、ぶっちゃけあなたのサイト運営って強引すぎるわけ』 『荒しに説教されるほど落ちぶれてません!』 確定? けれどもう一押し欲しいと言う所にドアを開け放って水着マント登場! 「ふっふふふ! 多人数でけなげな女性を攻撃するとは……ザ・卑怯!」 おい、けなげって単語に謝れ。 『セキアさ……じゃなくて『騎士仮面』様ぁ!』 「え?」 ブリジットは乙女です。 当然、女性用水着を身につけてます。 それが『騎士仮面』ことセキア様(大学生男子)の正体です。 「でもわたくしがクリアしたルートでの『騎士仮面』は女性、アンナちゃんで……」 ブリジットはおろおろした、豆腐メンタルが顔出した。 「ホントカオスな脚本だよな。『ストーカー』と『夢見がち』と『殺意』のパラメーター85~92の間にあわせたら、好感度MAXキャラの内ランダムで『騎士仮面』になるんだから」 さらりと述べた凍の攻略に『マジですか?!』と見たのは本物の方のアイ。なぁんだそんなこと知らないんだあって顔したのがリンだ……た、多分。 「たるんたるんでぶよんぶよん」 てことでフツがダメ押しした。 『さりぃ、太ってないもん、ひょ、標準体重だもん!』 よし、確定! どかっ。 クロウ様とカルマ様がアイの鳩尾に拳をつきさした。 一般人に凄惨な戦闘シーンを見せない配慮ですよ、配慮! ●リベリスタ達は優秀です ぎゃあつくぎゃあつくしつつもちゃんと戦闘準備してますからねー。 『ざまぁみろー! これでサイトはあたしの物だあ!』 嬉々としてリンは倒れたアイへと止めの一撃を放つ、が。 「同志をやらせるわけにはいかないよ」 すかさず小梢が庇う。 「まだちょっと痛いかなー」 ぼそり。 飴役のみんなに伝達。 素早く小梢の傷をフツが塞ぐ。 「所詮そんなたるみきった心、まがい物の力じゃ、春津美の防御力と、オレの回復力は突破できねえぜ!」 とりあえず煽りを入れるのを忘れない。 『むきー! 実際に書き換えちゃえばいいんだからっ』 「書き換えですか? 他人の姿を借りるのって、自分に自信がないからですよね?」 どすっ! あると痛恨の一撃。 「……リン、聞いてくれ」 友哉は真っ直ぐ目を見る。 「俺は君に手を汚してほしくなかったから来たんだ」 『あたしがサイトを正すお手伝いにきてくれたのよね!』 ふるふる。 寂しげに首を振り肩を押さえるのは姓。 「誰にも自分を分かって貰えないのは寂しくない?」 『べ、別に……』 アイのラインを消すように、つっと頬をなぞり姓は畳みかける。 「僕は『君』と話がしたい」 『君』の名前が知りたい。 『君』の顔が見たい。 剥がせ剥がせ、ミラーフェイス。 「そうだな、あるがままの姿でいるのが一番だよ」 めんどくさくないし、とはつけなかった友哉。隣からブリジットもぐぐっと身を乗り出す。 「セキア様が女装など……断じてありえませんわ! 一緒に戦いましょう!」 『あなたの中味、やっぱりセキア様ね!』 ゴスロリはなしで女性水着はありなんだー。 「怖がらないでください」 ――ぽっちゃりだって可愛いですよ。 爽やかに言ったあるとの頬に拳型の毒手が突き刺さった。 「あう、悪口のつもりなかったのにー。ちょっとぐらい太ってる方が健康的なんですよ? ましてや34歳って言うと、若い頃と比べてお肉の付き方も……」 ぎゅん。 ぎゅぎゅぎゅん。 さりぃの中でなにかのゲージがあがる音がした。 「もうやめて! さりぃのライフはゼロよ!」 凍、必死に止めた。ある意味ゲーム世界的な主張対立より遥かにイタイから?! 「どうだ?」 アイの目を先程から凝視しているフツの見立ては『まだ怒りが消えていない』だが……。 「まだ結構痛いです」 まだ飴が必要か! ごりっとリベリスタ達のメンタルが削れた、でも頑張る。 「大丈夫ですか? こういう類の人達は話を肯定し、聞いてあげる事が重要だそうです」 こしょこしょ。 三郎太の耳打ちに小首を傾げる、こいつわかってねー。 「さりぃさん、先程からサイトを正すっておっしゃってますけど……」 『そうなのよ聞いて頂戴! セキア様に女装、ましてや太腿スレスレの絶対領域ゴスロリとか冒涜よ! それをこの女のサイトと来たら……』 「そうなんですか……確かにボクもそう思います。こんなにゲームを愛してる」 垂れ流し系の女には逆らわず、こういう対応が得てして非常に有効である。 「思いが伝わらなくて辛かったな」 琥珀はもっともらしく頷いた。 「リンがそんなに瞳を輝かす『アルティメイト^^に恋(///)をして』やってみたいな」 『え、ほんとに?』 琥珀、PCに腰掛けてキャラメイク開始。当然リンのオススメ通り……にやったら、自信家で美人でお金持ちで成績も良くてって主人公になってってるぞ。虚栄心の固まりだ! その間にも鞭軍団がどかばきしてくるのを、ゲームから出てきた御方三名が華麗に庇う。 「ちょ……痛い! 痛いですわ! 容赦ないですわね?!」 「ごめんねー」 ぽかーんとやった小梢の拳が思いの外ブリジットに刺さったらしい。 琥珀がすっと抱きしめ庇う。 『きゃ?!』 「お前に怪我がなくてよかった……貴様ら、これ以上彼女を傷つける事は許さない」 胸元のミラーフェイスが輝きを失いはじめている。 琥珀はフツと視線を交わす。 ここがおしどころか? だってもう、俺達のメンタルは色々ダメージMAXだ。 ●飴なんてなかった 「あ、女装は当然派です」 しゅた! 小梢はどきっぱり。 「ほら、年下の彼が友人に囲まれて『やーめーろーよぅ』って言いながらゴスロリ着せられてまんざらでもなかったイベントとか面白かったし……」 うわあ、ひどいイベントだ。 『あれは悪の分岐。シナリオライター殺ス!』 「ともやんもイケメンだからきっと似合うよ、似合うよ」 「面倒くさい」 あ、そろそろ仮面被るの飽きてきたか、友哉は耳の辺りをかしかし。 『カルマ様じゃない!』 「そういえばさ……」 ぽつり。 「上園さん(用務員48歳独身モブキャラ口癖ブヒヒ)を人気投票一位にして腐女子泣かそうぜってスレがあったよね」 「!」 凍の声に、姓の足下でリンの躰がぴくぴくと引き攣った。攻撃を使用としているが……力が供給されないのはクロウ様が耳元で愛を囁いているからか? かといって自作自演するほど敵がいない、まだ。 なにしろ、今までリベリスタは茶番しかやってないので彼女無傷だし。 「上園さん人気投票一位になったら壁紙になるからダウンロードしろよ? アル中(アルティメット中毒)なんだから当然だろ、ブヒヒ」 48歳中年が花背負ってきらりとか、パソコン開きたくなる苦行だね! 『あのクソジジイ! いつもあたしがセキア様と会うの邪魔しやがってええ!」 「次回作は上園さんも攻略対象だ!」 「ああ、らしいな。プレイヤーのお前にぴったりじゃねぇか?」 フツがPC画面を呼びだして見せつけた。 一瞬で人気投票画面を呼び出せるぐらい、この場にいるみんなは割と等しくアル中だったりする。 『あああああ!』 どすどすっと攻撃が刺さったのは『ブヒヒ』と絶好調な凍だった。だが回復不要とひらひら手を振った。 「リン」 す。 ミラーフェイスが輝きを失い完全に姿が戻ったリン、傷心のリンの腕を姓が取る。 『どうしよ……セキア様から乗り換えちゃえそう……』 ぽ。 「ほら、やっぱり可愛い……もっと笑って」 耳元。 「食べちゃっていい?」 ――やだどうしようそんなのリアルで言われたコトない、きゃ☆ いや、今紛れもなくリアルなんだけどな。 さりげなーく組み敷いたのは、仲間の攻撃が当たりやすくするためですよ、ええ! 「リン、俺の気持ちを受取ってくれ」 カルマ様設定追記その2:弓で射た相手に気持ちを伝える事ができる。 てなわけで、そろそろしゃべるのに疲れてきた友哉がどすっと矢を放つ。 『助けてええ! クロウ様』 「うん?」 姓はイイ笑顔で、殴 っ た。 「急☆接☆近! かと思ったか」 どごっどごっどごっ! うわぁ、鬱憤溜まってるなぁ、と遠目の三郎太。 「わたくしだって、なんの羞恥プレイですの?! こんな破廉恥な!」 きっくきっく! ブリジットもさりげなーく加わる。 ちーん♪ 「カレー食べて帰ろっか」 「おいお前ら、まだ終ってないぞ」 伸びをする小梢にフツが事後処理事後処理とアイに記憶操作をかける。 「地獄の日々だな、3次元は」 「現実みないからこんなことになるんじゃないのかなぁ……」 また彷徨いだした凍を引き留めるように三郎太は裾を握り、今回学んだことを心に刻む。 ――2次元、怖いです。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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