●『土俵合わせ』路六・剣八 かつん。 鹿威しが鳴る。 水音流れる日本庭園であるがしかし、広さはさほど無い。 小鳥が縁側に止まり、皺の多い手に止まった。 手が持ち上がるが、鳥は離れようとはしない。 「剣林の一菱……とうとう余命を趣味に使ったな」 手を顔の所へ持っていく。 顔はこれまた皺の多い、枯れた老人そのものだった。 背後から、着物を乱暴に着込んだ男が歩いてくる。 男はやはり老人だったが、目はどこか若々しい。 胡坐をかいて、一升瓶を置く。 「俺らン所じゃ有名だったからなぁ、裏五光……真剣勝負ができなかったのが残念でならねぇ」 そう言って、若々しい方の老人は一升瓶をラッパ飲みした。 口元を拭う。 小鳥を手に乗せた老人は、穏やかに笑う。 「やったらどちらが勝ったかな?」 「馬鹿言え。こちとら老いぼれて錆び錆びの侘び侘びなんだぜ?」 「言葉は丁寧に使わんとなあ」 老人は穏やかに笑う。 「だが白田は、取り戻したようだぞ」 「あぁン!?」 眉に皺を寄せ、男が振り返った。 一升瓶を縁側の木に叩きつける。 「そりゃあ……!」 「壮絶だったそうだ。戦いの空気を取り戻した、と」 男は、ただならぬものを感じて歯を食いしばる。 空気が、急激に重くなったのだ。 持っていた一升瓶は割れ、池は跳ね、木は喚く。 「まさか、おめぇも」 「覚えてるだろう? 真剣勝負に態々拳で挑みかかった男が居たのを。私は年甲斐もなく漲った! 剣士であることを忘れて殴り合ったッ! 戦いの味を、口の中に溢れる血の味を、何十年ぶりかに思い出したッ!」 枯れた老人だった筈の顔は、子供のような若々しさを放っていた。 皺の数も変わらない。 髪の毛は殆どない。 しかし放つ闘志が既に、この世の者ではなかった。 「私は戦いたい。かつて失った『無敵』の私として……戦いたいっ」 「お、落ち着け! ばかっ!」 男が慌てて立ち上がり、肩を押さえつける。 手が焼けるように熱かった。歯を食いしばって耐える。 すると、老人はもとのしわくちゃに戻っていた。 「……すまんすまん。つい興奮した」 老人は、穏やかに笑う。 手の上の小鳥は、立ったままで死んでいた。 ●死合い申込仕る 主流七派が一つ、鍛錬と研究に明け暮れる個人主義組織『六道』。 その武闘派『斬鉄』の達人たちと戦い、アークのリベリスタは引き分けに近い勝利を収めたことがある。 「今回は、その内の一人と戦って頂きます」 戦って頂きます、だ。 既に戦闘が避けられないという空気の中、『運命オペレーター』天原和泉(nBNE000024)は眼鏡を中指で押した。 『土俵合わせ』路六・剣八(みちろく・けんぱち)。 個人の流派を持たず、戦う相手の流派に合わせて変幻自在の戦い方をする変人として知られている。 しかし彼の真価はその『なんでもできる』だけのスペックにこそあった。 「凄まじいまでの達人でした。剣の腕は超一流。その他の武器を使わせてもやはり一流……だったそうです」 そんな彼も何十年もの月日によって身体は衰え、並のリベリスタ程度の能力にまで落ちていた筈……だったのだが。 「彼は何らかの方法で全盛期の力を取り戻したらしく、今は達人の腕をもって挑んでくるでしょう。皆さんに」 和紙につづられた挑戦状をデスクへ置く。 彼らしく、かの達人を真似てきたのだ。 『分かり易くせよ』と言いたげに。 「違いがあるとすれば、アークのリベリスタであれば相手は選ばないということです。勿論、強敵を求めてはいますが」 和紙には戦いに来なければ人を斬る云々と書かれていたが、それが本意でないことは『真似』である時点で分かっていた。 つまり彼は、戦いたいのだ。 ――あなたと。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:八重紅友禅 | ||||
■難易度:HARD | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年03月13日(火)23:50 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●『土俵合わせ』 是、戦場也。 『自称・雷音の夫』鬼蔭 虎鐵(BNE000034)の太刀が大上段から振り下ろされた。 頭上で太刀を水平にして受ける路六剣八。 双方表情こそ穏やかだったが、腕に漲る力が尋常のものではない。がちりぎちりと金属同士をへし折らんとする音が漏れ出る。 「拙者と苦楽、いや罪まで背負ったこの刀……折ることができるでござろうかな」 「あいや失礼、こちらは先週買うた師範品。百年積んだこの身で勘弁されよ」 「百ッ――」 力技で刀を押し上げられ、肩からの体当たりを受ける虎鐵。 その次の瞬間、背後から『光狐』リュミエール・ノルティア・ユーティライネン(BNE000659)が飛来した。 斜め上からの飛び込み斬り剣八は床を踏み叩き小太刀を跳ね上げた。空中でキャッチ、小太刀を背中へ回してリュミエールのナイフを撃ち弾いた。 ほぼ同時に打ち払われた形になる虎鐵とリュミエール。 「パワーも」 「スピードモ、アルカ」 「とは言えあくまで一人の身。仕掛けがあろうよ」 『紫煙白影』四辻 迷子(BNE003063)がエネミースキャンを発動……したが。 「如何か」 「いや、格が上過ぎて上手く計れん。もう少し待て」 眉間に皺を寄せる迷子。 仕方がないと言って再び飛び掛るリュミエール。 「戦イタイカ、イイゼ、ヤロウ」 小太刀でガード。相手の膝を踏み台にして頭上へ反転するリュミエール。大して剣八は身を瞬間的に屈めた。天井を蹴ってリュミエール急降下。軸回転回避。下段払い。バク転回避。爆跳して壁を反射。回転中に小太刀で払う。突き立った大剣を蹴って反射。屈み避け。 余人には読み取れぬ程の高速戦である。 「私の土俵は速度ダ」 「ああ、私よりよっぽど早いとも」 「若返った敵というのは大抵死ぬもんだ」 「なあに若さまでは戻っちゃおらんよ。心配せんでも、じきに死ぬ」 パキンという破砕音と共に弾き飛ばされるリュミエール。高速で回転しながら壁にぺたりと足をつけた。 「ハァァッ!」 その瞬間、動作の停止を狙った虎鐵が太刀を全力で叩き込んだ。 その場に刺さっていた太刀を一瞬で抜いて受け止める剣八。 「重い、実に重いっ!」 剣八は穏やかに笑うと虎鐵の腹を盛大に掻っ捌いた。 「ぐう」 「大丈夫です」 七布施・三千(BNE000346)がすかさず天使の息を発動。腹の傷を斬られた傍から塞ぎにかかる。 と同時に、『デモンスリンガー』劉・星龍(BNE002481)のライフル弾が剣八の剣を弾き飛ばした。と見せてもう片方に持っていた長筒式火縄銃を叩き込んで来る剣八。 「武器はいくつもありますか。なら、これはどうです」 再び狙いをつけて剣八の手首を射撃。 対して剣八は何事もなかったように星龍の胸を撃ってきた。 「手首、撃ったんですけどねえ」 「最近の若いのはよく間違うな。もしお前さんが手首や足首を撃たれたらもう攻撃できなくなると思うかい」 「……いや」 「超能力者はそうでないといかん。なまじ一般人経験が長いとそこを……おっと、説教臭いのはいかんな」 火縄銃を投げ捨てる剣八。何故か? 『デストロイド・メイド』モニカ・アウステルハム・大御堂(BNE001150)が対物ライフルを目いっぱい連射してきたからだ。 「おお、九七式。よく手入れされとる、それなら戦車も壊せたろうになあ」 一発目は避けて背後の壁を派手に壊し、二発目は食らってごろごろと壁の向こうへと突っ込んで行った。 と、はた目には見えた。モニカや目ざとい者からすれば少々違う。 モニカの率直な感想は、こうだ。 「……うわあ」 「四五口径十年式十二センチ高角砲エ型改参式、グアムから買い取った甲斐があったと言うもんよ」 破壊された壁の向こうから、老人が、地上や戦艦に固定して使用する大型機関砲を『担いで』来たのである。 「もしかして、太平洋戦争で?」 「現役」 「ご冗談」 モニカは薄笑いを浮かべて徹甲弾を叩き込む。 対して剣八は徹甲弾でカウンターバレットをかましてみせた。 星龍とモニカの顔が思わず引きつる。 こんな機関砲を持ってきてやることなど一つである。 「皆伏せ――」 「どころじゃないよ!」 ハニーコムガトリングかそれ以上の激しい弾幕がぶっ放された。 『おじさま好きな少女』アリステア・ショーゼット(BNE000313)はそれを正面から対抗する。 弾丸で、ではない。 「グリモアール!」 聖神の息吹を緊急発動。味方がハチの巣になるのと同じ速度で回復弾幕を張って見せた。 華麗に決まり、全員無傷。一部に至ってはお釣りまで来た。 「戦いたい気持ちは分からない。でも、懸けたいものがあるって、なんとなく分かるよ」 「お見事!」 砲台を放り投げる剣八。と、その時。 投げた傍から砲台にナイフが食い込み、べきりという音と共に機関の一部が破裂した。 「おっと……?」 「女子高生を甘く見てると、火傷しますよ」 『きまぐれキャット』譲葉 桜(BNE002312)がナイフを投げた姿勢のまま片眉を上げた。 これまで彼女が攻撃に加わっていなかった。その理由は今周囲に広がっている。 太刀、小刀、火縄銃。その他対抗になりそうな武器は皆彼女のブラックジャックによって破壊されていた。 「対抗できる武器はもうありません。『土俵合わせ』路六剣八は死にました。この先貴方が勝っても、『土俵合わせ』でなければ意味が無い」 もう一本のナイフを取り出す。 「違いますか?」 「ううむ……」 穏やかな顔で両手の埃ををぱしぱしと払う剣八。 「お嬢さんに戦争を知れというのは酷なんだがなあ……想像してみてくれんか。例えばわしが一人で有象無象のリベリスタ組織に乗り込んだとして、手持ちの武器なんて精々一つか二つ。どうやって戦うと思うね」 「……どういう意味です?」 首をかしげる桜。 その途端、奇妙な感覚を得た。 空気の重さ。 そして破壊的なイメージである。 床や壁がぎしぎしと軋み、小動物であれば存在しているだけで死に絶えてしまいそうな圧迫感。 それまで集中してスキャンしていた迷子が、弾かれたように顔を上げる。 「ばかな、『土俵合わせ』はただの戦い方か? 付加スペックは武器の切り替えのみだとすれば……まずい、避けぃ桜!」 思い至った時には既に遅かった。 強引に踏み抜いた床板を跳ね上げ、ナイフのように尖った木片を、剣八は高速投擲していた。 桜の腕に命中、思わずナイフを取り落しそうになってよろめいた。 額に脂汗を浮かべる迷子。 「こやつが強い理由は単純じゃ。ただ単純に、純粋に、高すぎる地力にある」 「お見せしようとも、『土俵合わせ』の真骨頂ッッ!!」 その瞬間、全ての壁と天井が爆発した。 ●路六剣八という男 嵐。そう表現して差し支えない。 剣八は大きく跳ねると全員の中心へと着地。 虎鐵の繰り出したオーララッシュを剣のように潰れた鉄パイプで跳ね除け、リュミエールの死角高速突きを彫刻刀で受け止め、複雑に散らばった5.56ミリNATO弾を指の間に挟むとライフルさながらのスピードで星龍へ投擲してきた。その間を縫ってカースブリットを発射。複雑に入り乱れる障害物を歪み螺旋を描いて剣八へと叩き込まれた。顔に直接機関銃の口をつけ、あらんかぎりに徹甲弾を叩き込む。剣八はその内の一発を歯で咥えると、超音速でモニカの胸へと叩き込んだ。三千がモニカの背中ににぴったりと手を付け、もう片方の手でサイコロを握り込む。彼女の身体を貫通すると同時に治癒。モニカの穴を塞ぐ。桜が剣八の頭上へ飛び上下反転したままダガーを連続投射。肩や膝に刺さるも剣八は飛んできたダガーと爆風で流れてきたオルファカッターの替刃を素手で掴み取り頭上へ一斉投射。アリステアの回復弾幕が走りると同時に身体を丸めてガード体勢をとった桜を突き飛ばしてリュミエールがナイフを弾き流れてきた木片を蹴って斬りかかるが二本指でエッジを受け止め投げ払おうとする剣八に星龍がライフル射撃しバランスを崩した剣八に虎鐵が全身の力を込めたメガクラッシュを叩き込むが相手は高射砲のパーツを叩きつけて相殺を狙うその隙をついて背後から三千によって翼をえたモニカがピアッシングシュートによって超強化された徹甲弾を発射するタイミングを先読みして銃口を跳ね上げる剣八に迷子が爆炎燃える大煙管を叩き込んだ――! にやりと笑う剣八。同じく笑う迷子。 「なんと甘美なことよ。余命をかけるに足る悦楽、楽しむとしようや」 「おお、おお。私の言いたいことを全部言ってくれるじゃないか」 火を振り合払い、片手で床を叩く。 そこには檜に墨彫りした板があった。 達筆な字で土俵合わせとある。 「我は路六剣八。若くして無敵に憧れ最強を捨てた男也。老いて技朽ち死にかけた老いぼれ也。しかして今、命を賭してお頼み申す――!」 大煙管を振りかざす迷子。 ライフルで狙う星龍。 ナイフを構えるリュミエール。 ダガーを握る桜。 サイコロを握って浮かぶ三千。 魔道書を開いて立つアリステア。 対物砲を担ぐモニカ。 剣を構える虎鐵。 「八つの力を集結させて」 「全ての力を対抗させて」 「「いざ尋常に」」 「「勝負!!」」 八人は一斉に動いた。 虎鐵のギガクラッシュとリュミエールのソニックエッジと桜のブラックジャックと星龍のカースブリットとモニカのピアッシングシュート、そして迷子の業炎撃が同時炸裂。 対して剣八は潰した鉄塊と砕けた鉄片、潰れた弾頭と家の柱を縦横無尽に振り回し全て打ち払って見せる。 「後デ、剣を一本貰ッテイイカ?」 「好きにせい、所詮叩いて壊せる一般品だらけよ」 リュミエールの凄まじい早さから繰り出されたナイフが剣八の腕に突き刺さる。剣八はそのままリュミエールを掴み取ると強引に振り回した。激しいGをつけた後、後ろにいたアリステアに身体ごと叩きつける。フェイトを使わず大人しく気を失うリュミエール。 アリステアはフェイトを削って起き上がる。 「支えて見せるよ。それが役目だから」 連発しすぎて力が尽きかけていたが、何度目かになる神聖の息吹を発動。 「これが覚悟と言うものでござる」 「其や良し!」 虎鐵の強靭な肉体から放たれる斬撃が剣八の肩に、深く深く食い込んだ。 対して折れたスチール物干し竿を突き刺される虎鐵。フェイトを使って強制止血。 「老い先短い年寄より先に倒れちゃ、恰好が尽きませんしね」 「その通りっ!」 モニカが千切れかけた肩に対物砲を突きつけて連射。腕が付け根から千切れ飛ぶ。 剣八は、漸く倉庫から転がっていた初期型の九七式自動砲を脚と歯で振り上げモニカを零距離から吹き飛ばした。 血煙になりかけたモニカだがギリギリでフェイトを使用。身体固定。 「土俵を奪えなかった分、桜ちゃんとも同じ土俵で戦ってくれますか?」 「勿論、あんたの理屈じゃ既に私の負けだがね」 一度に七本のダガーを投射する桜によって剣八の全身に昆虫標本のようなムシロが出来上がる。その内数本を抜き取って桜に投射。ダガーは桜の額に突き刺さったが、フェイトを用いて消失させた。 「全力を持ってお相手差し上げます」 「良い銃だ、ちゃあんと使ってあげるんだぞ」 星龍が額にライフルを突きつける。剣八は回転飛来してきた九九式小銃を歯で高速リロード。星龍の額に突きつける。 二人同時にトリガーエンド。額を撃ち抜き合って仰け反った。 星龍はフェイトで飛び散りかけた脳漿を元に戻す。 一度は下がった彼等に追い打ちをかけようとした剣八を、三千が空中から阻止。 「後ろの皆さんのところへは行かせません!」 「立派な度胸だ。耐えてみせい!」 博打用のサイコロを目いっぱいに握った拳を連続で叩き込む剣八に対し、三千は天使の息を連続で自己付与。殴られた傍から回復を続けるが、最後には殴り通されてその場に倒れた。骨が軋み脚が震えたがフェイトを使って無理矢理立ち上がる。 そして。 「『土俵合わせ』の路六剣八よ」 頭がほぼ削れかけた剣八の側頭部に迷子の煙管が叩き込まれた。 それに対し剣八は、先刻千切り飛ばされた自分の腕を握って迷子の側頭部に叩き込む。 脳ごと揺すられる。フェイトを使って踏みとどまる。 その直後、家屋に使われていたであろう鉄骨が迷子へ叩き込まれた。 床ごと破壊せんばかりの勢いである。直撃すれば小柄な迷子など、身元が分からぬ程に潰れて砕けたことだろう。 大煙管が跳ね飛んでいく。 しかし気にするでもなく、迷子は腕を振り上げた。 「ああ、ああ、こんな大煙管(おもちゃ)は邪魔だなあ、『土俵合わせ』よ」 同じく腕を振り上げる剣八。 迷子の拳が剣八の顔面へ叩き込まれる。 剣八の拳が迷子の顔面へ叩き込まれる。 一発、二発、三発四発五発六発。 「楽しいぞ、なあ。満足か!」 「聞くは無粋、もう一発!」 互いの拳が潰れた頃になって、互いの動きは止まった。 双方寄りかかるように、そして崩れるように倒れる。 そうして、動かなくなった。 ●達人死去 三千と桜が迷子へと駆け寄る。 「だ、大丈夫!?」 「なんとか……大丈夫そうです」 「……そう」 仲間の無事を確認して胸をなで下ろす桜。 その様子をとって、星龍は周囲の光景を改めて見回してみた。 道場は跡形もなくなっている。 これが達人というものか。 彼の隣で、モニカが高射砲を拾い上げていた。 「それは?」 「武器です。けれど……あくまで一般人の品です」 「私達にとってみれば、武器の形をしたアクセサリーのようなものか」 想像する。攻撃力も何も持たない形だけのスタイルで、アークでも名うてのリベリスタ達と拮抗し、あまつさえ押しのけて見せた。 「それだけのスペックがありながら、自らを制限する『土俵合わせ』で戦った……これが達人でござるか」 瞑目する虎鐵。 アリステアはその場に落ちていた刀を拾い上げる。折れた刀だ。 「私に刀や武力があったら」 「いや、あれはあれで良いものでござる。戦争だからと医者が治療もせずに銃を撃っていたら、国は亡ぶ」 「そう、だね」 自分のもてる全てを使い、『土俵合わせ』路六剣八は死去した。 その事実以外、後を語るべきものは無い。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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