●胸、それは…… 胸、それは女性の目に見える場所で男が目を引きつけられる部位の一つ。 ソレは夏は水着で、冬は布地を盛り上げる大きさによって如実にその差を示し、貧しき者に希望と、大いなる絶望を与えてしまう。 もっとスタイルが良くなりたい。 小さいには小さいなりの良さがあるのに全く理解されない。 そんな世の中に蔓延る女性たちの気持ちは集まり、澱み、そして、革醒した。 「巨乳がなんだってんだー!」 いきなりの叫びである、ソウルフルなシャウトである。 そしてこれ以上ないほどに単純な叫びでもあった。 ●嘆きの声が聞こえた 「市街地にフェーズ2のE・フォースが出現しました」 『運命オペレーター』天原 和泉(nBNE000024)がその場にいるリベリスタ達に告げる。 「女性の胸に対するコンプレックスが無数に集まり形成されたE・フォースで、このままでは胸が大きい女性に無差別に……」 無差別に……? と言い淀んだ天原に対して先を促すリベリスタ達。 さらに一瞬の停滞の後、天原は言葉を続ける。 「ひ、ひんにうビームを放ちますっ」 ひんにうビーム? 周りが一瞬として騒然となる。そんな中でも説明を続ける天原。 「こ、このビームを女性が受けるとですね、胸がまな板になってしまいます。」 つまりツルペタスットーンになってしまうのである。なんという悪魔の所業であることか。 ちなみにコレが男性に当たった場合、一時的にムキムキになるらしい。 「基本的に直接的な危害を加えると言った事はないのですが、それでも大変なことですし一般人が巻き込まれることは回避しなければなりません。 なので先回りしてこのE・フォースを退治してください」 現場でE・フォースの行動を邪魔しようとした場合、E・フォースは即座に戦闘態勢に入るらしい。 「ビームの他にも混乱を招く叫び声や出血を伴う斬撃など、多彩な攻撃を行ってきます。 それと配下としてE・ゴーレムになったマネキンを3体呼び出して応戦してきます、十分気をつけてください」 そういいながら天原が差し出す資料を受け取り、リベリスタ達は頷きあい、示された場所へとかけ出した。 何の罪もない女性が事件に巻き込まれることだけは防がなければならないのだから。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:吉都 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年03月12日(月)23:21 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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● 太陽が中空を少し過ぎた頃、街から少し離れた一角にソレは出現した。 「胸が大きいのが何よ! 貧乳の良さを分かりなさいよ! 水着を着ても似合わないし注目されるのは胸が大きな子ばっかり!」 ひんにうの女の子達のコンプレックスが集まったエリューション・フォース。勿論材料が材料だけに出現したエリューション・フォースもまた……ひんにうだった、なだらかで滑らかで平ら過ぎた、それは正にツルペタだった。 サイズに直すならA、いや……Aが3つ付くかもしれない。 そんなエリューション・フォースの主張に大いに頷く者達が居た。 「その気持ちは、良くわかるの」 『敬虔なる学徒』イーゼリット・イシュター(BNE001996)が気持ちの籠った声を出す、さらに『朧蛇』アンリエッタ・アン・アナン(BNE001934)も同意の声を上げる。 「ちやほやされるのは、いつも胸の大きな方達ばっかりで!」 「そうだよ、小ささなりの良さがあるんだよね!」 敵ながら分かってる、と『ビタースイート ビースト』五十嵐 真独楽(BNE000967)も尻尾と共に頷く。 そこにいるのは確かにリベリスタとエリューション。対をなし戦いあう者達であれど、確かに共感し、つながっていた。 その証拠に、彼女達の周囲には男って……、みたいな雰囲気がその場に立ち込め始める。 『銀猫危機一髪』桐咲 翠華(BNE002743)は彼女達の主張を聞きながら呟く。 「そんなこと言ったって大きくても良いことばかりじゃないわよ……」 こっそりと本音を呟く彼女の胸は名前の通り大きく実っていた。たゆんって感じだった。 ● しかし、いくらお互い同じ主張や境遇にあると言ってもそこはリベリスタとエリューション、戦わねばならぬ運命が……そこにはある。 マネキン型のゴーレム(勿論ツルペタ)を召還するエリューション・フォース、それに合わせてリベリスタ達も展開する。 三体呼び出されたゴーレムのうち一体を抑えるためにかける『愛を求める少女』アンジェリカ・ミスティオラ(BNE000759)。 素早くアンジェリカが投げた鋼糸がギュルルとマネキンに巻きついて動きを止める。その際接近したせいで間近になったマネキンの胸に視線を投げかけてしまったため。 (コレは敵……! 倒さないといけないんだ) ものすごい葛藤があった事を此処に記しておく。 「人間大事なのは、中身でございますよ!」 『柿園家側近一族の娘』小松 知世(BNE003443)も後ろからマネキンに攻撃を放ちつつ、声をかける。 (でも……男の人はやっぱり大きい方がいいのでしょうか……) そういいながらも彼女の脳裏では悶々とした悩みが渦巻いていた。 エリューション・フォースの全体攻撃とゴーレムの動きを恐れたリベリスタ達、ゴーレムを順当にブロックした今、恐れるのはエリューション・フォースの全体攻撃。ボスを抑えるチームや後衛では、彼女の攻撃をコントロールするための作戦が行われていた。 「ふっふーん♪」 『テンシサマ』夜乃神 璃杏(BNE003413)が陽気な声を上げながら腕で胸を持ちあげて揺らす。 たゆんっ、ゆさっ。 漫画だったらそんな擬音が漏れてくるような揺らし方だった、男子がこの場にいたら確実に動けなくなっていたに違いない。 そう、彼女達が選んだ作戦は挑発、エリューション・フォースのコンプレックスを刺激することだった。 「なによ! 大きな胸を揺らして、何のつもりよぉ!」 若干涙声にも聞こえる悲鳴を上げながら力を溜めるエリューション・フォース。こうかはばつぐんだ。 同時に仲間のうち何人かも圧倒的な戦力差に打ちひしがれていたが些細な問題だろう。 そうしている間に放たれるビーム。空間を素早く走り後衛である璃杏との距離を一瞬で詰めて彼女に直撃する。その瞬間からシュルシュルと張っていた璃杏の服に少しずつ余裕が出始め、大きな胸によって支えていた服がずれる。 ストン、と服が落ちて彼女のツルペタになった胸が露に……ニプレスが張られていた、残念に思ってなんかいないよ、ホントだよ。 さらにどうでもいい話だが攻撃の命中を受けて揺れる胸を見て自分が攻撃を放った側にも関わらずエリューション・フォースが絶望に染まった目をしていた。 今や先程までの面影は一切なくなった璃杏の胸を見てアンジェリカは思う。 (コレが……ひんにうビーム、凄い! 素晴らしいよ!) これで皆ひんにうになれば……なんて考えが頭をよぎる。 仄かに黒い考えを抱くアンジェリカとは反対に『のんびりや』イスタルテ・セイジ(BNE002937)は恐怖していた。 「やーん、ひんにうにはなりたくないですぅー」 恐怖からか標準クラスの胸をサラシで抑えていた、が、それを見逃すエリューション・フォースではなかった。 「貴女も道連れよぉ!」 イスタルテを範囲内に収めて再びビビーッと放たれるひんにうビーム、飛んでいるイスタルテは身を捻って避けようとするが狙いたがわず命中する。 しゅるりと服の中でサラシが緩んだのを感じて焦るイスタルテ、きつく抑えていた為、見かけ上はツルペタになっていることは解らないが、ツルペタになっていると言う結果こそが大事なのだとエリューション・フォースは無い胸を張っていた。 ● 挑発に誘われてエリューション・フォースがビームを連射している間に前衛の役割をしていたマネキン達は次々撃ちたおされていく。 疾風のような連続攻撃を真独楽が最後のマネキンに加える。連撃の最後を叩き込まれた瞬間に宿っていた力がなくなったようにバラバラになるマネキン。それを見てマネキンの抑えに参加していたメンバーがエリューション・フォースを抑えていた三人に合流する。 マネキンを倒される間に放たれたビームが命中し、チューブトップがずれてしまったせいでより露出度が上がった胸を腕で隠していた翠華は仲間の合流を喜びつつもどこか諦観した表情でつぶやく。 「ほらね……やたら胸を狙われるし」 その呟きは巨乳を持つ彼女の悲哀を如実に表していた。そしてそんな翠華を璃杏がガン見していた。 ちなみに体を張ってビームを受け止めたアンリエッタの体にはダメージだけで一切異変はなかった。その際倒れそうになったが 「私は、全ての女性の胸囲を守ります!」 彼女は決意を吐きだしつつ立ち上がっていた。 エリューション・フォースが次にビームを放ったのは真独楽だ。もはやおなじみと言える感じでビビーッとひんにうビームが命中する。 「まこにはそれはダメージだけだもんねっ!」 自らの胸を見降ろす真独楽、しかし落ちる脂肪、付く筋肉。一瞬で服のサイズがきつくなっていた。 「なっ…な、何これっ!?まこ女のコなのに!」 エリューション・フォースにまで性別を間違えられた真独楽は憤りを抱きながら先程マネキンをバラバラにした一撃を思い切り打ちこむ。 「全く、大事なのはこ・こ・ろ! だぞ」 その後も囲まれてからは防戦一方になったエリューション・フォース、両腕で近寄るリベリスタ達を打ち払うが波状攻撃は途切れる事はない。ビームを撃ち尽くして、近接攻撃でも打開出来ず肩で息をするエリューション・フォースは意を決したように大きく息を吸い込む。 「可愛いブラはBカップ以上しかないのよ! そんなの付けたことなんてないわよ馬鹿ぁ!」 彼女の世に対する恨みとコンプレックスが籠った声が一帯に響き渡り、アンジェリカ達が対策していた耳栓を抜けて全員の体を揺らす。 「小さくても大きくても全ての胸は私が愛するのよ! だから誇りなさい! その小さな胸を! そして私にもませなさい!」 欲望をチャージしつつフェイトを消費して璃杏は立ち上がる。 しかしこの攻撃の恐ろしいところはダメージだけではない、混乱の二次効果こそ彼女達が恐れていたものだった。 「怨嗟? 嘆き? 私だってそうしたいわよ!」 「私だって大きくなるなら大きくなって欲しいですわよ!」 「ほんとに重要なのは胸のセクシーさじゃなくて腰回りやおしりなんだよ!」 「みんなツルペタになっちゃえばいいんだ……巨乳滅ぶべし……!」 イーゼリット、知世、真独楽、アンジェリカが混乱を受けて仲間達に斬りかかる、行動はともかく言葉にまで混乱が回っているのは気のせいだと信じたい。 「皆さん殺気立っちゃってますよぅ」 イスタルテはさらしが服の裾から落ちてしまわないように必死に抑えながらブレイクフィアーで混乱の解除を行う、光が四人を包むが回復したのはイーゼリットのみだ、残りの三人はそれぞれの手近にいた仲間を攻撃を放つ、残っていたメンバーに後衛が多かったので一気に劣勢を強いられた。 しかし、同時にエリューション・フォースも追い詰められている、混乱したメンバーの攻撃をすり抜けて扇状に広げたナイフを投擲する翠華。 「見た目ばかり気にしてると、良い女にはなれないのよ?」 ビームを受けてひんにうになった体にも頓着せずに攻撃を加える。 「貴女の気持ちは痛いほどよく、凄くよくほどわかるわ……でも、貴女倒さないといけないの」 混乱から立ち直ったイーゼリットが四つの光を中空に浮かせ、エリューション・フォースを指差す。指向性を持たされた光はきっちり四回エリューション・フォースを撃ちすえる。撃ち落とされて伸ばした手から力が抜けて地面に落ちる。 「せめて……Bカップに……なりたかった……」 それがE・フォースの最後の言葉であった。 ● 「大事なのは見た目じゃなくて心、心で御座いますのよ……!」 混乱から立ち直った知世がぶつぶつと呟いていた。 「君達は僕がきちんと埋葬してあげるからね……」 アンジェリカはバラバラになったマネキン達を優しい目で見ながら語りかけていた、何か通じ合うものが彼女の中にあったのかもしれない。 「酷い目に会いましたぁ~」 「ほんとだよー、超ヒドイよね!」 互い服の中で自分の体が戻っていくのを感じて安心するイスタルテと真独楽、ちょっと筋肉がついた自分もめったにない体験だ、とか言って真独楽は力こぶの浮く自分の腕とかを写メったりしていた。 翠華もずれたチューブトップをいつもの場所に戻しながら呟く。 「胸が小さいって思いが革醒したらこうなるんだから、次は大きくする敵も出てくるのかしらね」 近日公開かもしれませんね。 「でも、それは犠牲者って言うのかしら」 その敵が出た時の惨劇を想像しながら彼女はくすりと笑った。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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