●海を往く 島。小さな島。岩でできた島。ゴツゴツとした表面。 しかしそれは脈を打ち、表面にて蠢く巨大な藤壺めいたそれもまた脈を打ち、波を掻き分け海を往く。 それは間違いなく動いていた。 それは間違いなく生物であった。 水面から首を擡げた鬼が見遣る先には小さな岩島、憎き封印――怨、と吼えた。 ●切り開け 「岡山県内で頻発する『鬼』による事件、先日報告された『禍鬼』『温羅』『吉備津彦』――等々についてはもうご存知かと」 そう言って事務椅子をくるんと回し『歪曲芸師』名古屋・T・メルクリィ(nBNE000209)がリベリスタへと向き直った。 その眼差しの真剣な色合いに促され、思い返すのは先日の報告。鬼達は『禍鬼』を筆頭に彼らの王たる『温羅』の復活を謀っている――詳細は未だ不明なれど、『王』ともなればその脅威など火を見るよりも明らかであった。 「この鬼達は件の『ジャック事件』によって崩壊度が進んだ事によって『封印』が緩み、復活したものだそうで。皆々様の中にもこれらと交戦した方々はいらっしゃるかと思います。 ですが、未だ『温羅』を含む鬼の大部分は封印状態にあり活動出来ない状態ですぞ! これは岡山県内に数多く存在する霊場、祭具、神器等が封印のバックアップとして機能している為でございます。凄いですな。 とは言え……今この瞬間も鬼は復活を果たしております。更にその鬼達が同胞――ひいては『王』――の封印を解こうと目論んどりましてな。今回、皆々様にはこの封印のバックアップたるものを守って頂きますぞ!」 その為に皆々様に集まって頂いたのですと言う。その背後モニターには海に浮かぶ小さな岩の島であった。古びた注連縄で囲まれたその中央には小さな祠があり――アレが例の『封印のバックアップ』なのだろう。島自体はゴツゴツと足場が悪そうで全員が上陸すると些か狭苦しそうだ。 「現場はこの岡山県海域の小島。御覧の通りこの祠が件の『封印』ですぞ! そしてこれを狙うのが――」 斯くして映し出される。 それは余りにも巨大な異形であった。 先の小島よりは遥かに大きい。まるで島、戦艦、化物。鬼と水竜を混ぜた様な。岩の如き体皮には不気味に大きな藤壺の様な生命体が蠢いていた。 それはゆっくりと海を往く――しかし巨体であるが故に、ゆっくりでもその移動速度は決して遅いものでは無かった。 「アザーバイド『島鬼』。なんとまぁ……これ程までに巨大なモノが居るとは。 これは海を渡って真っ直ぐこの『封印』に向かっております。こんなデカイのに攻撃されたら……、封印なんて一溜まりもないでしょうな。なので皆々様には! この海を往く島鬼を船から攻撃して目一杯嫌がらせしまくって目一杯足止めして気を逸らて撃退、あわよくば討伐して頂きますぞ! 島鬼が封印に辿り着くか否かは皆々様の作戦に掛かっております。頼みますぞ! 船や運転手についてはこちらで手配致します、何か船の移動についての指示があれば運転手さんにどうぞ。 それから船もそれなりに装甲強化をしておりますが……、何度も島鬼の攻撃を喰らったら壊れるでしょうな。船が壊れた時点で撤退して頂きますのでご注意を! それから戦闘不能になって海に落っこちた人のフォローもちゃんとしたげて下さいね。そのまま沈んで行方不明になってしまったら……分かりますよね?」 メルクリィの言葉にしっかりと頷いた。あまりない戦況故に、気を抜かぬが吉だろう。 「島鬼に関しましては、何もせずほっといたらどんどんガンガン泳いで泳いで封印に接近します。如何にこの足止めをするか……がミソですな。それからこの表皮の藤壺っぽいの、これもイヤラシク攻撃してきますので油断なく! 数も多いですしね。 島鬼は見た目のでっかさの通り、物凄ーくタフですぞ。ちょっとべしってやられただけでかなり痛いですし。詳しいデータは纏めてありますが……そうですね、飲み込まれちゃったらフェイトを使ってでも脱出して下さいね。さもないと、そのまま溶かされてしまうので」 アザーバイドの養分になるなんて御免でしょう、と言う。当たり前だと頷き返せば機械男はニッコリと――しかし心配げに、それでも信頼した眼差しでリベリスタを見澄ました。 「サテ、以上で説明はお終いです。危険な任務ですが、皆々様ならきっと大丈夫! 私はいつもリベリスタの皆々様を応援しとりますぞ。 御武運を――そして、必ずやご生還を!」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:ガンマ | ||||
■難易度:HARD | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年03月03日(土)00:44 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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