● 「巨大ロボっていいよなー……」 全てはこの一言から始まったプロジェクトだった。 悪役は巨大ロボではなく、怪人の巨大化だろうなどと突っ込んではいけない。 「巨大ロボは男のロマンだ!」 などとボスが言っているのだから、きっとそうなのだろう。 とにかく、悪役軍団の皆様は今、巨大ロボ大作戦を遂行するべく行動している真っ最中なのだ。 「この設計図ってどうなってるんだ!?」 「材料の在庫がたりねぇ、ちょっと廃材拾ってくる!」 しかし元々家計からして火の車であるせいだろうか、全てを手作業で行う彼等は準備の段階から相当手間取ってしまっていた。 それだけではない。 「臨場感を出すのにミニチュアの町とか絶対いるからな、そっちも作ろうぜ!」 さらには余計な部分にまで手を出し始めたのだから、作業の面倒さ加減は相当なものだと言えよう。 そして――。 「発泡スチロールで作った町のミニチュア、いい出来じゃないか。ところでロボスーツはどうなった?」 「出来てますよ、ただし資金面の問題で材質はダンボールです」 「え、火薬仕込めなくね? それ……」 なんとか完成したセッティングは、ぎりぎりの予算でなんとか収まったようだった。 しかし火薬を仕込めないダンボールのスーツに、ボスの顔が軽くひきつっていたことは言うまでも無い。 巨大ロボスーツの胸に輝く『みかん』の3文字が、さらに哀愁を漂わせているせいもあるだろう。 「まぁ気合でなんとかしてください。後はアークの連中と戦うだけなんですから」 何をどうすれば気合でダンボールが燃えなくなるのか。 「しょうがねぇ、俺の気合を見せてやる!」 それでもそのスーツをいそいそと着込む様子を見れば、ボスはやる気だけは十分にあったらしい――。 ● 「悪役の方達が、皆さんをお待ちかねです」 訪れたリベリスタを、『運命オペレーター』天原和泉(nBNE000024)は微笑を浮かべながら迎え入れた。 相手はフィクサードである。 だが、悪事を行うわけではない。 自らの求める悪役道を究めんがため、その力を振るうだけのフィクサードだから、危険性がほとんどないせいだろう。 「彼等は巨大ロボのスーツを着て皆さんと戦おうと、ミニチュアの街まで作って待ち受けています。特に罠などはないので、正面からぶつかっても問題はないと思いますよ」 元々曲がったことが嫌いな彼等に、罠などを仕掛けるつもりも毛頭ない。 力試しの相手としては最適だろうと言いながら、和泉は彼等の待つ場所への地図をリベリスタ達に手渡した。 「大事なのは、彼等は悪役を目指す人達であることですね。求められているのは何か、を考えて戦う方が良いと思います」 悪役を倒すのは、どういう役柄なのか。 別に自身がそうでなくとも、それを目指して動いてみるのも悪くは無いだろう。 「要はノリと勢いが大事ってことですね♪」 シンプルに気分だけでもそうしてみれば、と和泉は告げ、出撃するリベリスタ達を見送った。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:雪乃静流 | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年03月04日(日)23:10 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●小さな街づくり 「塗装が甘い、もっと丁寧に!」 ミニチュアの街を作るフィクサード達の声が、静かなはずの川原に響き渡る。 冬のまだ肌寒い空気が場を支配する中、情熱に燃える彼等はそんな寒さを苦にはしていないらしい。 「この街の出来は映像に繋がるからな……」 1人のフィクサードが呟いた言葉の通り、全ては巨大ロボ大作戦を完璧に遂行する事こそが彼等の目的なのである。 その目的の前には、寒さも関係はないのだろう。 「人手がもう少しあれば、完成が早まるんだがなぁ」 そして設計図を手にしたフィクサードがそう言った時、彼等は――現れた。 「大変そうですね」 「魔法少女レイン、さんじょ……ってあれ? まだ完成してないではないか……どれ、わしらがちょいと手伝ってやろう」 丁寧な口調で話しかける『蒼き旋風』祭雅・疾風(BNE001656)と、登場シーンをフライングしかけた『暗黒魔法少女ブラック☆レイン』神埼・礼子(BNE003458)の声に、はっとリベリスタの方へと視線を移すフィクサード達。 「なんだ、あんた等はって、まさかアーク?」 いきなりの来訪者に一瞬だけ怪訝そうな顔を向けたものの、礼子の言葉からフィクサード達は彼等がアークのリベリスタだとすぐに理解はしたようだ。 「舞台を整える共同作業に、正義も悪も関係はない。構わんだろう?」 近くに転がっていた金槌を拾い上げた『リベレッド』焔 優希(BNE002561)が言うように、今のこの場に正義や悪だのの区別は必要はない。 リベリスタ達がこうした協力を申し出る事が出来るのは、フィクサード達が己が理想を追い求め、人に迷惑をかけないようにしている点が大きいだろう。 「なるほど。協力に感謝するよ」 そしてフィクサード達がその提案を飲んだ事で、リベリスタとフィクサードの共同作業の時間が始まる。 「なんだかいまいちリアリティがないですねぇ。予算の関係でしょうか?」 「ロボットスーツがみかん箱とか、ちょっと予算が足りないようですねー」 作業の最中、一歩ずつ完成に近づく街を見てそう言ったのは『スーパーサトミ』御剣・カーラ・慧美(BNE001056)と『夜空にきらめく正義の流星』石 瑛(BNE002528)だ。 確かにベニヤ板と発泡スチロールだけで作る街では、リアリティが薄いと感じても仕方ないのかもしれない。 「なんか他にも良い素材とかあればいいんだがな。でもまぁ、こういうので作成するのもまた良いんじゃないか?」 そんな彼女達に『それもまた良し』と言う『リベホワイト』上沢 翔太(BNE000943)の手によって完成する、ミニチュアのビル。 「変わったフィクサードも、いるんですね」 と言う『血に目覚めた者』陽渡・守夜(BNE001348)に、 「報告書確認していて、一度は会ってみたいと思ってたんだ」 等と答える辺り、翔太はリベリスタ達の中では最もこの雰囲気を楽しんでいるといえるだろう。 「どうせ壊れるモンでも、しっかり作りこめば修理も出来るだろ。丁寧にいこうぜ」 「りょ、了解です!」 一方では『リスキー・ギャンブラー』織原・葉月(BNE002190)がフィクサードに対し、注意や指示を飛ばす様子が見て取れた。 全ては、共通の目的を共に達成するために。 今のこの場に、リベリスタとフィクサード――互いが敵同士だと言う現実は、存在しなかった。 リベリスタ達が到着してから、どれほどの時間が過ぎただろうか。 「うむ、完成じゃ!」 えへんと胸を張り、礼子が完成した街を感慨深げに見渡していく。 「おぉ……我ながら綺麗にできたのぅ……。壊すのがもったいないくらい、このでっかいタワーなんかは、よくできてるのぅ……」 頬を緩ませる礼子の胸の中には、良い物を作り上げたという『確かな満足感』がある。 それは彼女だけではなく、その場にいる全員が感じていることは間違いない。 だが悲しい事に、綺麗に作り上げられたこの街は、数分後にはボロボロになっていることであろう。 ●全てを吹き飛ばせ! 「協力してくれたおかげで、ずいぶん早く仕上がったな。では始めようか?」 街の完成を確認し、フィクサード達のボスが静かにリベリスタ達の方を向く。 戦う舞台は整った。 むしろ自分達で作り上げた。 ならばここからは、本来の目的である戦いの時間だ。 「ええ、そうしましょうか。ところで電話ボックスあります?」 戦いの始まりを前に、フィクサード達に慧美が尋ねる。 アメリカンヒーローを目指す彼女にとって、変身する場所といえば電話ボックスだと言う事か。 「や、残念ながらないっすねぇ」 しかし携帯電話が主流となった昨今、電話ボックスの数は激減してしまっていた。 フィクサードの1人が申し訳なさそうに言ってはいるが、時代の流れを考えるとこれは仕方がない話だろう。 「仕方ないですね、向こうで着替えてきますので、ピンチになったら登場します!」 そう言い残して着替えに行った慧美の姿が、近くの物陰に消えていく。 彼女を見送りフィクサードの方を向くと、次々と名乗りをあげていくリベリスタ達。 どうにか用意の出来た戦隊風スーツに身を包むその姿を見れば、誰もが『正義の味方』だと思う事は間違いない。 「悪は燃やす。正義は蘇る。不滅の炎、リベレッド!」 真っ先に吼えたのは、戦隊のリーダー格であるレッドを担当する優希だ。 「普段のやる気のなさは、正義の心を隠すため……白き剣士、リベホワイト!」 「蒼き旋風、リベブルー!」 優希に続いて、それぞれポーズをビシっと決めて名乗る翔太と疾風。 中でも疾風はこういうアクションを得意としているせいだろう、見事にはまったその姿に、フィクサード達の視線はしっかりと釘付けになっていた。 「そしてリベイエローと!」 「リベブラック参上! 街を荒らす悪者はボク達が許さない、覚悟ー!」 さらに瑛と礼子が名乗りを上げれば、5人で構成される戦隊ならば全員集結したと言えるだろう。 礼子の名乗りを考えるとこれで全員だと思ったとしても、おかしくはない。 だが、この場にいるリベリスタは先程離脱した慧美を含め、8人いる。 「金の満月、リべゴールドッ!!」 「悪を貫く銀の弾丸! リベシルバーだ!」 そして残る2人、守夜と葉月が名乗ったところで、7人のリベリスタが一斉にポーズを取った。 彼等が名乗る、戦隊の名。それは――。 『『『正義戦隊リベリスター!』』』 「良いだろう、来い……いや、我々に組織名などないが! とにかく、かかってこい!」 ミニチュアの街に陣取ったフィクサード達のボスの言葉がリベリスタ達にそう声をかけると、、 「まずは俺達が!」 「相手をしよう!」 戦闘員スーツを着込んだフィクサード達が一斉に構え――そして、リベリスタ達へと襲い掛かっていく。 彼等の役柄は、見た目の通りやられ役の戦闘員に過ぎない。 しかし役を取っ払ってしまえば、彼等も相応の実力を持ったフィクサードなのだ。 「なかなかにやる……だがっ!」 「街の平和を脅かすその行い、食い止めてみせる!」 守夜と疾風が受け止めたのは、そんなフィクサード達が放つ決して油断の出来ない一撃である。 その攻撃を受けきった彼等の揺るがない気持ちが込められた一言は、仲間達の士気を高めるのに十分すぎる効果をもたらしていた。 「俺達も負けるわけにはいかないな! 行くぞ優希、じゃねぇリベレッド!」 「わかっている、燃える闘志を叩きつけてくれるわ!」 彼等に負けじと、攻撃を受けながらも互いに背を合わせ、それぞれの攻撃目標に目を移す翔太と優希。 「どうせアタシに回復なんぞの引く道はねぇ。前に出る、ただそれだけだ!」 一方では二丁のオートマチックを構えながら、後方からの射撃ではなく最前線に飛び出してきている葉月の姿があった。 「気合入ったねーちゃんだな……! ヒーローらしいぜ!」 回復の手段を持ち合わせていないものの、それでも自身の戦い方を行おうとする彼女の姿に、近くにいた戦闘員から感嘆の声が飛ぶ。 葉月がそれに応えるかのようにふっと笑う姿を、戦闘員は見逃しはしなかった。 そして後ろから、 「マジックスターミサイル!」 「喰らえ、ブラックバーン!」 瑛と礼子の攻撃が、自身に放たれる瞬間も……だ。 油断大敵とは、正にこの事か。直撃を受けた戦闘員が吹き飛んだのを皮切りに、一気にリベリスタの方へと傾く戦いのパワーバランス。 「スーパーサトミぱぁーんち!」 さらには慧美までもが参戦してきたのだから、川原の戦いは決したといって間違いはない。 「続けていくぞ、受けた傷のお返しをさせてもらわないとな」 「だけど真打が待ち受けているんだ、余力は残しておこう!」 慧美のパンチによろけた戦闘員に牙を突きたてた守夜に血を啜られた戦闘員を打ち倒し、向こうで待ち構えるボスに目を向ける疾風。 当のボスはミニチュアの街に陣取ったまま、仲間の戦闘員の1人が翔太によってぶっ飛ばされる瞬間を目で捉えていた。 「いいぶっ飛びっぷりだ。出番は近そうだな……」 自らの出番は近い。 感じたことをそのまま口にしつつ、ボスの視線は戦況を追い続けている。 「後2人……このまま押し切るぞ!」 視線の先では仲間達に声をかけ、自身も剣を手にした戦闘員に一撃を叩き込む優希の姿があった。 もう片方の戦闘員の手にした武器が銃であるところを見れば、デュランダルとスターサジタリーが1人ずつ残っていると言う事か。 「援護するぞ、行け!」 「せめてもう一撃くらいは……何っ!?」 その戦闘員達もこのままでは終われない、終わらせるわけにはいかないと、最後まで攻撃の手を緩めようとする気配を見せはしない。 後方からスターサジタリーがハニーコムガトリングの弾丸をバラ撒き、同時に葉月へと振り下ろされるデュランダルの剣。 「残念だがハズレだな。3人目はアタシがもらった!」 しかしバラ撒かれた弾を数発その身に受けながら、それでも鋭い斬撃を避ける事が出来た葉月の放った黒いオーラによって、デュランダルも地に沈んでいく。 「ここまでか……ならば!」 一方では礼子の暗黒の瘴気にまとわりつかれたスターサジタリーに、瑛のマジックミサイルが今まさに直撃しようとしていた。 もはや耐えられないと感じた彼の考えることは、たった1つの行動のみ。 ドォォォォン! 直撃と同時に響く爆発音と、巻き起こる土煙。それに紛れ、激しくぶっ飛ぶ事――それが彼の目指す『ぶっ飛び道』なのだ。 「戦闘員ごときにこのスーパーサトミが倒せるとお思いですか!」 かくして戦闘員部隊は壊滅し、勝ち誇る慧美の声が川原に響いた。 それは同時に、ダンボール製の巨大ロボスーツに身を包んだボスとの戦いの到来を、意味する。 「ふがいない戦闘員どもめ! 次はこの巨大ロボで相手をしてくれるわ!」 ミニチュアの街を手にした剣で軽く薙ぎ払い、カメラ目線で暴れるようなポーズを取るボス。 「なんて大きさ……これじゃかなわないわ!」 驚いたような声で瑛が言うように現実には同じサイズではあるが、役柄の中では彼等にはアリとゾウほどのサイズ差がある事を、忘れてはいけない。 「私は巨大化だってできるんです! やぁ!」 などと巨大化も出来る設定を有する慧美ならばともかく、他のリベリスタ達はどのようにして巨大化する演出をこなしてみせるのだろうか? 「ふっ……ボクの真の姿を見せる時が来たようだね。超変身っ! 暗黒魔法少女ブラック☆レイン参上!」 その時、戦隊スーツを脱ぎ捨てた礼子が魔法少女へと変身した! 「さぁ、ボクの魔法で今こそ大きくなる時だよ!」 ステッキではなくデスサイズを振るい、仲間達に巨大化の魔法をかける礼子の演出。 これによって『正義戦隊リベリスター』の面々は、街で陣取る巨大ロボと等身大で戦う理由を得たのだった――。 「さぁ、気を抜かずにいこうぜ!」 「スーパーサトミきーっく!」 手にした二丁の銃から弾丸を放った葉月を皮切りに、ボスに蹴りを入れる慧美や他のリベリスタ達が、一斉にボスへと一撃を加えていた。 「く、スーツの破損度が高い……いや、8人がかりでその程度か!」 苛烈なる8連撃を耐え凌ぎはしたものの、ダンボール製のスーツはアーティファクトで作られているわけではない。 破れる肩パーツ、いつの間にか吹き飛んだ足パーツ。 それでも今は戦闘中であり、当然スーツを修復するような時間もない。 「ならば食らえ、我が一撃! ミカン・ライトニング!」 既にスーツはボロボロになってしまったものの、ロボだと感じさせる動きを見せようとする部分に、ボスの矜持があるのだろう。 放たれたチェインライトニングはリベリスタ達に襲い掛かると同時に、ミニチュアの街にすら多大な被害を及ぼす、強烈な攻撃。 「く、やってくれる。これほどまでに闇の力が強大だったとは!」 優希のこの言葉は今のところは演技ではあるが、次を食らえば深刻なダメージともなりかねない程のものだった。 しかし、正義の味方に敗北は決して許されない! 「ここで負けるわけにはいかねぇんだ! 諦めたら、そこで正義が終わってしまう!」 「人々を守る為にも負けられない!」 奮い立つ翔太と疾風の叫びに呼応し、傷を負いながらも立ち上がるリベリスタ達。 その姿はまさに、正義の味方を体現しているといえるだろう。 「絶対に……絶対に、許さないっ!」 一方では精魂込めて作った街が破壊され、礼子が別の意味で奮い立っているが、それはさておき。 「決めてしまいましょう、皆さん!」 「ジャスティ・ストリームだ!」 仲間達に呼びかける瑛と守夜に頷き、リベリスタ達が一斉に構え――始まるのは華麗なる連続攻撃だ。 壊れた街を足場に飛び、上から強襲する翔太。 そこへ冷気を纏った拳で殴りかかる守夜と、赤く染まったデスサイズで切りかかる礼子が左右から襲い掛かり、防御する暇すら与えはしない。 後方からは葉月の放つ銃弾や瑛のマジックミサイル、さらには疾風の蹴りで巻き起こったカマイタチが直撃すると、 「スーパーサトミパワージャスティススマッシュ!」 鉄槌を手にした慧美の一撃が、ボスの脳天を打ち砕く! そして優希がよろめくボスに掴みかかり、強引に大地へと叩きつけた時、ジャスティ・ストリームは見事、完成した……! 「火薬点火!」 「ボス、すみません!」 しかしそのまま倒れたのでは絵的には頂けない。 ロボスーツにこっそり仕込まれていた火薬が、涙を呑んだ戦闘員達によって爆裂したその瞬間、リベリスタ達は勝利を手にしたのである。 ●選ばれたチーム名 「いやいや……強かったな。完敗だ」 激しい戦いの末、リベリスタ全員の同時攻撃をその身に受けて倒れたボスの表情は、とても晴れやかなものだった。 己が道を貫いた事に対しての満足感が、彼を包んでいるのだろう。 だが彼の傷はリベリスタの攻撃だけでなく、最後の爆発で酷い事になってしまっているのは言うまでもない。 その一方で、 「わ、わしのミニチュアが……。うむ……レインちゃんもがんばって守ってくれたはずじゃ……、しょうがないのじゃ……」 自信作のでっかいタワーが戦闘の影響を受けて見事に壊れてしまった現実に、いつの間にか着替えて戻ってきた礼子はがくりと肩を落としていた。 無傷で街が残るわけがない事はわかっていたが、それでも頑張って作った自信作が壊れてしまったなら、気を落とすのも仕方のない話でもある。 「また作ろうぜ、自信作をな」 「そうじゃな……また作れば良いのじゃな。それじゃ、片付けようかのう……」 だが、壊れてしまった物はまた作り直せば良い。 元気付ける守夜の一言に表情が明るくなった礼子は、少し名残惜しそうにしながらも、その手で街を片付け始めていく。 戦いは終わったものの、ミニチュアの街をそのまま放置して帰るわけにはいかない。 「ゴミを散らかさないのも、地球の平和になりますからね」 瑛が言うように、後始末をちゃんとする事も大切なのだ。 「翔太、やる気のなさは正義の心を隠すためであったのか」 フィクサード達と協力して街を片付けている最中、ふと優希がそんな事を口にした。 今回の戦いでは、『やる気のない男』が『やる気のある男』に変貌していたのだから、彼がそう思うのもある意味では当然だったのだろう。 「普段の俺はこっちなんで、その辺間違えないように!」 慌てて訂正を求める翔太ではあったが、彼の本質は果たしてどちらなのか。 その答は、普段の彼の戦いぶりが全てを物語っていると考えれば、間違いはないかもしれない。 時が進めば、片付けの時間にも終わりが来る。 「にしても、正義戦隊リベリスターか」 手合わせをしたリベリスタ達の顔ぶれを見渡しながら、ボスは1人自嘲気味に言う。 レッドに始まり、果てはシルバーからゴールド、駆けつけたアメリカンヒーローまでを擁したリベリスタ達。 彼等に最後の連続技まで見せ付けられた時、ボスはこう思ったのだ。 『チーム名をそろそろ決めないとな』 ――と。 しかしその問題も、解決までに時間はかからなさそうである。 「ダークスター、爽飛団、ぶっとび商会。好きな名を選ぶがいい」 「おお、考えてきてくれたのか!」 別れ際に優希が提案する、リベリスタそれぞれが考え出したチーム名。 フィクサード達はこの中から1つを選び、その名を背負うこととなるのだ――。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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