●いきなりスパゲッティとか頼んじゃうのカンベンしてください 「アザーバイドが発見されました」 マルガレーテ・マクスウェル(nBNE000216)はそういって、ブリーフィングルームのデスクの上に1つのマイクを置いた。 「これがそのアザーバイドになります」 みんな、絶句した。 「攻撃等は行いませんし、動きもしません」 そのため、誰かに危害などを加えることはないのですが…… マルガレーテの言葉に、みな頷いた。 アザーバイドである以上、このまま存在されれば此の世界の崩界を進める一因となる。 「ですが、このような外見の割にこのアザーバイドは極めて頑丈なんです」 数人のリベリスタたちが全力で数度の攻撃を行ったらしいのだが……傷ひとつ、付かないという。 「ですが調査の結果、このアザーバイドを自分の意志で元の世界に帰還させる手段が判明しました」 歌です。 みんな、絶句した。 けど、今回のはある程度は納得した絶句だった。 例えるなら『うぁ……そんな感じはしてたけど、やっぱりそうなの?』みたいな? 「このアザーバイドは、歌が大好きらしいんです」 たくさん歌を聴けば、満足して元の世界に戻ってくれる可能性が高いのだそうである。 「という訳でカラオケボックスを借りたのでそこで思いきり歌いまくって、このマイク、じゃなくてアザーバイドに歌を聞かせてあげて下さい」 三高平市内のとあるカラオケボックスのペーパーを取りだしたマルガレーテは、その場のリベリスタたちを見回した。 「で、その……飲み物の注文とか、私しますんで……一緒にお邪魔させてもらって良いですか?」 戦闘とかなさそうですしお願いしますと頭を下げる少女に、リベリスタたちは苦笑いしつつ頷いた。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:メロス | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年02月24日(金)22:24 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●すてきなお仕事 「カラオケで歌えば良いお仕事だなんて素敵ですね」 皆様が楽しまれている姿を拝見させて頂ければ嬉しい。その上で自身も存分に楽しみたい。 それが『シスター』カルナ・ラレンティーナ(BNE000562)の心算である。 「はは、こいつはまた変わった来訪者だな? フェイトを得てないのは残念だが、こういう相手なら悪くない」 『ディフェンシブハーフ』エルヴィン・ガーネット(BNE002792)もマイクを眺めて笑顔で口にした。 (こんな姿のアザーバイドいるんだ……) 「まぁ歌うだけで満足してくれるなら、依頼ついでにみんなで盛り上がって、楽しくなればいいんじゃない?」 『淋しがり屋の三月兎』神薙・綾兎(BNE000964)も、カラオケ久しぶりだから楽しみと笑顔を浮かべる。 アザーバイドを帰還させるまでとなると長いカラオケになるかもしれないが、それはそれ。 睡眠は十分、喉の調子は万全。 「うし、何時間でも付き合ってやろうじゃねぇか!」 エルヴィンが笑顔のまま力強く言い放つ。 「歌を歌って楽しむ仕事とはアークには毛色の変わった仕事もあるものだ」 そんな皆に向かってヒルデガルド・クレセント・アークセント(BNE003356)が素直な、どこか感心したような様子で感想をこぼす。 「歌はいいね楽しいね」 『さくらふぶき』桜田 京子(BNE003066)はそう言ってから心の内でも呟いた。 (歌じゃ世界は救えない、でも歌の力を私は信じているんだ) 声(うた)には力がある。 それは力強い励ましであったり、時には母のような優しさであり。 「また生きる気力そのものである」 言葉を紡いだのは、声(うた)う事を生業としている『「Sir」の称号を持つ美声紳士』セッツァー・D・ハリーハウゼン(BNE002276)だ。 「そんな声(うた)が一つの依頼に有効だという……これ以上漲る事があるだろうか?」 静かに、しかし多くの想いを言葉に込めて彼は呟く。 「ええと、それじゃ……ここになります」 かくしてフォーチュナの導きによってリベリスタたちは、戦場(カラオケボックス)へと足を踏み入れた。 アザーバイドを元の世界へと帰還させるために。 ●たたかい開始!? 「実は私も、あまりカラオケってした事ないのよね」 (でも、せっかく任務という名目で経費を借りて遊べる良い機会だもの) 「マイクさんに満足してもらい、私達も満足する為。めいっぱい歌って楽しみましょ?」 『鋼脚のマスケティア』ミュゼーヌ・三条寺(BNE000589)は笑顔でマルガレーテに話しかけた。 「祖国にはこのようなカラオケの為に設備を整えた店舗がとても少ない」 店内へと入ったヒルデガルドは先ず、内部の防音設備に感心する。 「騒音問題になっているのでわたくしは祖国にいる間は足を向ける気にはならなかったな」 そんな会話をしながら9人が余裕を持って入れるやや大きめの部屋へと入室した。 カルナはオーダー等を積極的に行う心算で、インターフォン近くの席へと腰を下ろす。 (マルガレーテさんにも出来れば歌って頂きたいですし、折角こうやって交流する機会を雑用で終わるなんて寂しいと思いますしね) 「雑用は交代でやればいいし折角の機会、マルガレーテさんも楽しめば?」 カルナと同じような気持ちの綾兎も、そう少女に提案する。 「マルガレーテ殿も存分に楽しまれると良い」 ツマミや飲み物の注文はわたくしがやっておこうとヒルデガルドも口にする。 ミュゼーヌも笑顔で言った。 「私もマルガレーテさんの歌声、聞いてみたいわ」 「あ、え、はい。でも……」 「カラオケなんて上手い下手じゃなくて、みんなで楽しめるのが一番でしょ? 難しい事考えないでぽんと歌ってみれば?」 戸惑っている様子の少女の頭を、綾兎はぽむぽむする。 「ありがとうございます。ただ、私……実はカラオケボックスって入るの、初めてで……」 恥ずかしそうにマルガレーテが白状する。 「私に教えられることなどほとんど無いのだが……」 良ければ簡単に発声や強弱のコツ等を伝授しようと申し出たセッツァーにマルガレーテはお礼を言って頭を下げた。 「声(うた)に一番大事なのは気持ちであり、技術はそれのほんのスパイスに過ぎない」 申し訳なさそうな少女に向かって軽く首を振り、初老の紳士は静かに告げる。 そのようすを目を細めて見守ったあと、カルナは皆にたずねた。 「とりあえず最初は全員分の飲み物と、皆でつまめるスナック盛合せのようなものを頼んでおきましょうか?」 「俺は飲み物……メロンソーダ? 好きなんだよね」 「あ、オーダーはりんごジュースを」 「みんなは何にする?」 とりあえず、最初は飲み物とスナック系? そう尋ねればエルヴィンも、みんなが適当に摘める物、お菓子セット等の意見をのべる。 京子はウーロン茶を、ヒルデガルドはツマミはよく分からぬ故にと何を頼むかは委ね、飲み物の方は良ければ赤ワインを嗜ませてもらおうと発言する。 「じゃあみんなで摘めそうなのチョイスして頼んじゃうね? あ、宮部乃宮さん用に飲むヨーグルトとか甜茶とか頼んでおくよ」 花粉症、辛そうだしと綾兎が言えば、カルナや皆が頷いて。 「なんだい君達ぃ! 優しいじゃないの! 気遣いありがとさん! 素直に嬉しいぜ」 『DJ.ヒクルマ』宮部乃宮 火車(BNE001845)はそう言ってから、そろそろ始めるかと皆を見回す。 にぎやかな曲の時に盛り上げるために借りたタンバリン等をカルナがテーブルに置いて。 かくして、普段と比べるとちょっと長めの戦いが……にぎやかに、楽しげに、始まった。 ●どんどん予約の方も入れといて下さい (さて、と……) マルガレーテに簡単なレクチャーをする合間、セッツァーは今回の依頼について想いを馳せた。 マイクの形状をしたアザーバイドを帰還させる依頼。 声(うた)う事でそれを為す事が出来るという。 「これほど私に向いた依頼もそうそうないだろう」 (しかし私のみがこれを行い、なす事に意味があるわけでもない) 参加した皆で楽しみ、声(うた)う事の喜び一体感を感じる事ができて、初めて真の成功といえるだろう。 なればこそ、今は声(うた)う事よりも。 緊張した様子の少女にセッツァーはそれが少しでもほぐれるようにと自身の知ることを伝えていく。 「まずはテンション上げてこう」 そういってエルヴィンがチョイスしたのは有名な男性アイドルグループのメジャー曲。 アップテンポでノリのイイ曲を歌いながら、愛の言葉とかに合わせて、女性陣に向けてキリッと決めポーズ。 (楽しく賑やかに馬鹿やってくぜ!) 「すごい、先輩慣れた感じです」 すごいな~という表情のマルガレーテが間奏部分で拍手しながら呟く。 「9人でカラオケかー1時間に1~2曲ペースってとこかな?」 邪魔にならないように聞きつつ、京子はレパートリーを考えていた。 彼女としてはオタクの人から普通の人まで結構幅広い人と楽しめる自信がある。 (最近のJ-POPのロックバンドから、皆が知っている様なメジャーな曲、最近のものから古いアニソン、果ては乙女ゲーとかBLゲーとかのネタ曲とかも、誰もが驚く様な濃いネタ歌とかも何曲か持ってますよ!) でも、カラオケって人によって合わせるよね? 気持ちはわかるよね? 真面目っぽい人も多いし、恥ずかしくない歌とか恥ずかしい歌とか選んじゃうって、そういうのってあるよね? 引かれるの怖いもんね、普通のJ-POPとか歌えばいいよね? 結構歌う曲とか限られちゃうけどね。 「というわけで最初のナンバーは、我らのNOBUで、『ウナギNOBORI』」 古今東西、上京状況情強JYOKYO、俺NOBUYO! ウナギNOBORI コイNOBORI 株価上昇NOBU常勝 (あれ? この歌……恥ずかしいぞっ!?) 途中でそんなことを思ったりしても、最後まで歌い切るのが彼女の流儀なのかも知れない。 京子がキッチリ歌い上げた処で。 「これがオレの……DJ.ヒクルマの……降魔刃紅郎へのアンサーソングだ!」 マイクを受け取った火車が、宣言して力強く立ち上がった。 「オレのRhymeで三高平Sceneを塗り替える! お前等Checkしときな!」 ●Ark! リベリスタ!! Yeah-! put your hands up! 「Check One Two! Check One Two!!」 「「「Check One Two!!!」」」 回せM-I-C 踊るM-I-C Pass da M-I-C Together心通わす Tonight! 「「我等!」」 気持一緒だ 進むぞ共に So Long Time! on ARK!! 「「「我等ッ!!」」」 リベリスタ!! 「「「Ready go!!!」」」 (す、すみません。英語とかよくわらなくて……どういう感じなんでしょう?) あんまり難しく考える必要は……日本語の部分だけで何となく、くらいで。 (ざっくばらんに、こんな感じじゃないかな?)(意訳入りまーす) よーしお前等ノってこーぜぇー! 準備は良いか? はじめんぞぉー! 皆でマイク回してさ! 踊るように楽しんで! 今夜、同じ時を共有すんだ! 我々の目的は一緒だ 付き合い長くなりそうだな 友よ? 準備は良いか? 始めようぜ! (……みたいな?)(なるほど、了解です。ありがとうございます~)((どういたしまして)) 火車の歌が燃え上がり、リズムに乗りながら幾人かが声を合わせていく。 叩け敵兵を 奪えControlヘイト(Feat!)!! 燃やせ運命(Feat)を! 果たす目的(target)気分は上々 叫ぶ慟哭 理不尽への歪曲 まさに究極? 超超超火力で業(GO!!)々(GO!!)ッ!! 火車はそのまま熱唱し、叫んだ後Repeat部で皆にマイクを回し投げして。 (これなら激しい曲も……行っちゃって大丈夫そう……かな?) 受け取ったマイクで喉を振るわせつつ綾兎は考えたりして、バトンのようにマイクを次の歌者へ。 「はい、マルガレーテさん♪」 「わきゃ!? あ、はいっ!?」 ミュゼーヌに渡されたマルガレーテも、無我夢中で声をふりしぼった。 「強力な力 惜しむ事無く!」 敵の思惑 すでに湾曲!! 土壇場で魅せろその輝きを! 「「緊急! 上昇っ!」」 「「「緊急!! 常勝ッ!!!」」」 ●合唱ッ!! 熱唱ッ!!! たたかいは続く。 綾兎は皆が知ってそうな流行りのJPOPとかを歌いつつ、あとはヴィジュアル系バンドの歌をチョイスして。 ミュゼーヌも大抵の人は知っていそうな、流行のJPOPを好んで歌う。 (恋人が出来てから、前向きな恋愛曲に感情移入する様になった気がするわね) 「女子アイドルグループの明るい曲も好きよ……私のイメージじゃない? 私だって一応、普段は17の女子高生なのよ?」 冗談めかしてそんな軽口をたたきつつ。 みながある程度馴染んできたように感じてエルヴィンも好みの曲をぽちぽちと。 こちらもV系バンドの疾走感のある曲を中心に、割と幅広く色々と。カッコよく雰囲気を出しながら歌えば拍手や合いの手が入る。 綾兎は知っているJPOP系の曲はハモったり、歌ってる人と視線を交わしてノリをあわせたり。 ミュゼーヌも、ノリの良い曲は知らない曲でもリズムに乗って。 「マルガレーテ、この曲行けるか?」 ちょいちょいっと手招きして手拍子や合いの手なんかを積極的に誘っていたエルヴィンは、タイミングを見て少女に声をかけた。 「え? あ、はい。知ってますけど」 「OK、良かったら一緒に歌おうぜ」 「……は? えぇっ!?」「大丈夫、大丈夫」「で、でもっ!?」 「言ったでしょ? 難しい事考えないでぽんと歌ってみれば?」 「そうそう、私もマルガレーテさんの歌声、聞いてみたいわ」 緊張する少女に綾兎とミュゼーヌは、最初に掛けた声を笑顔でくりかえし、セッツァーも一番大切なのは気持ちだと微笑む。 少し赤くなりながらもマルガレーテは頷いて、でもできたら一緒に歌って下さいとお願いして。 ミュゼーヌやカルナ、幾人かが肯いて共に声を響かせる。 ヒルデガルドは成程と頷きながら日本では如何ように楽しむのかと様子を見学し、セッツァーは穏やかな笑顔を向け安心させ。 「飛び込め オレの合いの手!!」 火車もNORI-NORI DE Respect! 「無理には勧めないけど……良かったら一緒にどう?」 続いてのミュゼーヌのお誘いにも、笑顔が返る。 歌うことは決して下手ではないけど、特別優れているという訳でもない。 心をこめて歌いはしても最初のうちはやっぱり照れが大きかった。 でも、皆の歌声や知らない曲も聞けて、皆が自分を乗せてくれて、自分に乗ってくれて。 (歌唱力とか気にせず、心から楽しめるわ) 恥ずかしそうにしながらも一生懸命に歌うマルガレーテの様子にこっそり微笑みつつ。 追加のおつまみをどうしようと考えていたカルナに、エルヴィンが揚げ物や焼きおにぎりを提案して。 注文を終えるとカルナは予約を入れる。入力するのは先刻までと同じ、有名で皆の知っている歌。 皆で楽しく歌えるようにと、元気で賑やかなデュエット曲や皆で合唱できる曲を選んで。 デュエット等にも当然ノリノリで積極的に参加して、知らない歌も賑やかして問題ないなら手拍子を合わせたりタンバリンを鳴らしたり。 ミュゼーヌもそれに応じるように知ってる曲はデュエットしたり合唱したり。 「え、いや……別に嫌いとかそんなんじゃないって」 ただ、その……恥かしいだけで…… デュエットした綾兎は少し顔を赤くして視線を外して。 「世代が違えば歌う歌も違う故、共に歌うのは大変だ」 そう言いながらも、空気を掴み始めたヒルデガルドが真面目な顔でデュエットや合唱に善慮し、皆の盛り上がりに合わせるように京子も一緒に歌う。 「とりあえず何より大事にしたいのは、皆で一緒に思いっきり楽しむ事、だな」 足や首で拍子を取りながら、エルヴィンは合いの手も積極的に入れていく。 メドレーやハモリ、デュエットもドンと来い。 さすがに疲れは出始めたけど、それでも、元気に。 皆の歌は続いていく。 ●そして、フィナーレへと 「あ、ソレ美味しそう、ちょっと交換しないか?」 「うん、いいよ」 「先輩……これ、パフェとか頼んじゃっても大丈夫なんでしょうか?」 「まあ、経費で落ちるんじゃないかしら?」 激しく元気で賑やかな歌が、長く長く……たくさん続いた後の、すこしまったりしたような時間。 歌の合間、ツマミや飲料に手を伸ばしたりメニューとにらめっこしたりしながら。皆の会話が室内を飛びかっていく。 (経費で落ちるらしいから少し欲張っちゃうかも) 来たツマミをほお張りつつ京子は思う。 お小遣いさみしいし、こういう機会があったら今度は友達と行きたい。沙織さんとかに奢って貰って。 そんな時を見計らって、カルナは音の高い静かな曲に自らの声をのせて響かせた。 すこし歌いつかれたような、そんな心を癒すような……澄み渡るような音色の、うた。 それに続くように、ヒルデガルドもマイクを受け取る。 ようやく見つけた英国で聴いた歌は、ひとつかふたつ前の世代のもの。 (歌う事自体はお金を貰うほどではないが、自信はある) 穏やかにしっかりと響く……それでいて、何処か囁くようにも聞こえる歌声が、皆の耳にしみこんでいく。 綾兎も合わせるように、しっとりとした雰囲気のバラードを選んで。 京子は歌う邪魔にならない様に、雰囲気を味わいながら静かに聞き入って。 皆の気持ちが一つになり、マイクに、アザーバイドに対して……最大限に気持ちが通じる瞬間。 そんな時が訪れたと感じたセッツァーは、静かにマイクを受け取った。 自身の命の炎を燃やすように高らかに謳いあげられた、渾身の声(うた) それに、今までの皆の歌に応えるように……室内に闇の塊のような、小さな穴が……現れた。 「皆の気持ちのこもった声(うた)を聞いて満足しないものなどいないだろう」 セッツァーが静かに肯くようにして口にする。 「もしまたこっちに来て、そしてフェイトを得ることが出来たなら、その時はまた一緒にカラオケ行こうぜ」 エルヴィンはマイクに、アザーバイドに向かって呼びかけた。 「今度はアンタにもしっかり歌ってもらうからな、覚悟しとけよ?」 少し間があった後、マイクは小さな穴へと呑み込まれ見えなくなる。 「ええと、ゲート閉じないと駄目……ですよね?」 カルナが残念そうにそういった直後、D・ホールは静かに小さくなり、姿を消した。 後に残ったのは、ごくごく普通の皆でカラオケを楽しんでいた空間。 ……少し前までと殆んど変わりのないその空間には、けれど、今までと違う空気が漂っていた。 なんていうか、こう……おひらきって感じの。 「あー歌った歌ったー、さすがに声オカシイわー」 エルヴィンの言葉と共に、皆の胸に実感がこみあげてきた。 ミュゼーヌも少し咳きこみつつ、喉のあたりをおさえる。 体力の方は充分持ったけど、喉の方はちょっと大変かもしれない。 (こんなに歌ったの初めてだから、暫くは喉がイガイガするでしょうね) それでも、終わったのだという充分な満足感を抱いて。 (今回の依頼を報告書に書くとしたら……ああして、こうして……) 色々思い返してみた京子は……浮かんできたそれらを端的に表現する言葉を、ためらう事なく口にした。 「なにこれ、結局オフ会レポートみたい」 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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