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<六道>鉄拳十二聖・拳闘大活劇!

●鉄拳五芒星
 コンクリートの壁が吹き飛んだ。
 アスベストをまき散らし、無数のガラスを粉々にし、スローモーションで人が飛ぶ。
 人はゆるやかな螺旋を描いて空を切ると、周囲のガラス片を押しのける。
 ドサリ。人は地面をゴム毬のように跳ねてから動きを止めた。
「う……」
 小さく呻いて頭を上げる。血まみれだ。
 ガラスで切った細かい傷もあったが、それ以前にできた傷の方が大きそうだった。まるでハンマーか何かで叩き潰されたかのような、酷い外傷である。頭を丸刈りにしていたからか、傷口はよく見えた。
 男の背中を、スニーカーが踏みつける。
「起きるな。お前にこれ以上拳をふるえば殺してしまう」
「うう……」
 まるで慈悲のような言葉だ。
 だが慈悲ではない。
 そうであれば、男の頭が陥没するまで殴ったりはしない。
 男が諦めて意識を手放したのを確認して、スニーカーは足を放す。
「ここも未熟だった。また私は孤独なままか」
 スニーカーの持ち主は、すっきりとした顔立ちの大人だった。
 四十代後半と言った所か。髭の一本もない綺麗な顔立ちに、オールバックの髪。しかしゴツいサングラスに真っ黒いジャージを着込んでいた。
 彼の後ろからぞろぞろと、十一人の男達が現れる。
「次へ行こう。こんな仕事はすぐにでも終わらせたい」

●同刻、アーク・ブリーフィングルーム
 和泉の寄越した資料には、『鉄拳五芒星』という文字が大きく題されていた。
 フィクサード主流七派がひとつ六道の武闘派部隊。その一つ『鉄拳』のメンバーが一人ずつスケッチ付きで載っている。
 詳細はこうだ……。

 『鉄拳』のメンバーが小さなフィクサード組織を襲撃しては、力ずくで壊滅させるという行動をとり始めている。
 彼らは元々六道の中で武術鍛錬を目的とした集団で、拳による技を極限まで鍛えることを生甲斐としている。そんな彼らが組織潰しをしている背景には、どうやら六道の幹部が噛んでいるようだが真相は定かではない。
 ただ彼らの戦闘能力は並のフィクサードを上回り、襲撃された小規模組織は一夜と持たず壊滅したという。

「分かっているのは此処までです。彼らの人間性や行動原理はわかりません。何か掴めるものがあるかもしれませんが、戦ってみないことにはなんとも」
 やや不安げに言う和泉だが、戦闘データはそれなりに揃っているらしい。
「皆さんなら負けることはないと思いますが、念のため。心をしめてかかってください」


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:八重紅友禅  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2012年02月13日(月)22:51
八重紅友禅で御座います。
今回はあえて詳細を少な目にお送りします。

●鉄拳五芒星
五人組の武闘派。拳技に特化しています。

戦場は廃墟のコンクリートビル。
待ち伏せが可能です。
どんな手段で戦っても構いませんが、相応の印象を与えるでしょう。

以上。
あなたの判断を。
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
プロアデプト
歪 ぐるぐ(BNE000001)
ナイトクリーク
星川・天乃(BNE000016)
プロアデプト
オーウェン・ロザイク(BNE000638)
ナイトクリーク
リル・リトル・リトル(BNE001146)
覇界闘士
葛木 猛(BNE002455)
覇界闘士
★MVP
焔 優希(BNE002561)
クリミナルスタア
仁義・宵子(BNE003094)
インヤンマスター
冷泉・咲夜(BNE003164)

●五芒星と八星将
 廃墟ビルへ乗り込んだ際、八人程度の少年少女が待ち構えていたとしよう。
 それが襲撃予定の相手とは違っていたともしよう。
 更に彼らが強力そうなリベリスタだったともしよう。
 六道が武道派、拳でRPGに勝てると言われる鉄拳の五芒星はその程度では驚かない。
 ただし。
「リベリスタ八星将が太陽、ぐるぐ」
 どう見ても鈍器にしか見えない銃を構える『リベリスタ八星将:太陽』歪 ぐるぐ。
「水星の冷泉咲夜だよ。皆の応援、頑張るの!」
 片目から星を出す『リベリスタ八星将:水星』冷泉・咲夜。
「金星……このкулак、夕星と言うほど女々しくないよ!」
 プロテクターを握り込む『リベリスタ八星将:金星』仁義・宵子。
「地球の猛。勝っても負けても覚えときな!」
 びしりと指を突きつけてくる『リベリスタ八星将:地球』葛木 猛。
「ゼログラビティ改め、月の天乃。この戦いに、狂いましょう」
 スカートの裾をはたく『リベリスタ八星将:月』星川・天乃。
「火星の優希。その煮え滾る闘争心、俺達が受け止めてくれる!」
 ゆるやかに身構える『リベリスタ八星将:火星』焔 優希。
「木星、りるりとるりとる! 殴り合いは好きっスよ!」
 タンバリンをばしりと鳴らす『リベリスタ八星将:木星』リル・リトル・リトル。
「ドクター・フェイカー、オーウェ――」
「オーウェン、土星土星」
「策士の土星、オーウェンだ」
 はっとして周りに合わせる『Dr.Faker』オーウェン・ロザイク。
 彼らは一斉にポーズを変えると、背後で妙な爆発を起こしながら言った。
「「我等、リベリスタ八星将!!」」
「…………」
 こんな連中が出迎えてきたとあっては、流石に五芒星達は驚いた。
 あと少し引いた。
 サングラスの男が、首をこきりと鳴らした。
「八星将か、大御所ネーム持ってきやがって。大体分かった、相手になろう……お前らアレ負け」
「アレって」
「アレか……」
「気が進まないなあ」
「まあ、リーダーが言うなら?」
 そして彼らは其々五色のマフラーを巻き付け、一斉にポーズをとった。
「「我等、鉄拳五芒星――いざ尋常に勝負!!」」

●豪快絶頂破
 冷泉咲夜のことを、もしかしたら深く語っておくべきなのかもしれないが。
 今回はあえて深く語らず、現実をそのまま送る事とする。
「かの者達に揺るぎなき守護を!」
 腕を翳す咲夜。守護結界が展開。
 男達は構わず突っ込んでくる。
 軽くびくついて見せる咲夜。
 その前に立ちふさがり、優希はトンファーを構えた。
「来い、持ちうる全ての技でもって――」
 全身を奔る電流。
「己の欲を語り尽くすがいい!」
 それを、トンファーの一振りと共に撃ち放った。
 左右それぞれに飛び退く五芒星。赤マフラーだけは正面切って突っ込んできた。
 マフラーの先端でバチリと跳ねるスパーク。
「お言葉に甘えさせてもらう。一つキャラが立ったお礼だ――見とけ!」
「――っ!」
 攻撃直後で隙のできた優希。その腹目がけて拳を叩きつけた。
 それだけである。
 しかし、その一発が凄まじかった。
 優希は一瞬で宙を舞い、背後のコンクリート壁を破壊。数える事二十七回の回転を経て地面に横たわった。
「な……」
「拳ってのはこうやって使うもんだ……そうだろ?」
 赤マフラー。仮称レッドは言いきった。

 拳同士が衝突する音が、『バシン』だと思っているとしたらそれは間違いだ。
 無理矢理擬音語にするなら『ごりばきり』と言う音が鳴る。
 猛の拳とブルーマフラーの拳。
 宵子の拳とイエローマフラーの拳。
 それぞれが真正面から衝突した時、互いの拳にある骨と肉、そして何より気迫そのものを破壊し合う音が響いた。
 その音が正に、ごりばきり。
 拳から血を流しながら、歯を食いしばる猛。
「俺の拳はてめえの意地を貫くために使う最終手段」
 かつては無意味にふるわれ。
 ある時意義を知り。
 今では守るために握られる。
 全人類の誰もが作れる拳の形はしかし、熱い炎を纏っていた。
「行くぜ!」
「来い!」
 同じく炎を拳に宿すブルー。
 二人は両腕を振り上げると、猛烈なスピードで互いのボディに拳を叩き込み合った。
 燃え上がる炎が自分のものなのか、相手のものなのか。それとも二人の間に生まれた熱気そのものなのか。分からぬほどに燃え上がる。
 その横で、宵子の腕とイエローの腕がクロスした。
 互いを激しく弾き合う。
「この拳が殴りたいってさぁ。ずっと疼いてるんだよね」
「本当かい。ガッカリさせないでよね?」
 右の拳を真っ直ぐ突き出す宵子。
 両腕を大きく広げるイエロー。
 二人は求め合うように。もしくは愛し合うように。なによりも喰らい合うように、互いの顔面をぶん殴った。
 鼻から血を吹き出しながらにやりと笑う宵子。
 もう一発、業炎撃を顔面に。
 イエローもまた顔面に。
 二人は互いを破壊し合いながら、げらげらと笑い出した。

 ぐるぐとリル。二人はピンク色のマフラーをした女性と相対していた。
「噂では十二人いると聞いていたのですが?」
「鉄拳全メンバーのお話ですね?」
 水月を狙って銃のグリップを叩きつけるぐるぐ。
 ピンクは腕を円形に回してぐるぐの腕ごと跳ね除ける。
「五芒星のメンバーじゃないんスか?」
「北斗七星と五芒星を合わせて十二聖。ただのごろ合わせです」
 踊るように回り込み、後頭部に裏拳を叩き込むリル。
 ピンクは身体をかくんと折り曲げてそれを交わした。
「ちなみに五芒星という名前は先週決まりました」
 両手の手首をくるりと回し、二人を軽く跳ね除ける。
 三人とも、激しい格闘運動の最中だと言うのにまるで息が乱れていなかった。
 てんてんと跳ねながら後退するぐるぐとリル。
 ピンクは胸の前で手を合わせて頭を下げた。
「私からお話しできることは、以上です」
「……情報引き出そうとしてたことバレてるッス」
「それで? 対価はちゃんと払っていただけるのでしょうか?」
 サングラス越しに二人を見る。視線に殺意を感じてリルは身構えた。
「リルが使える拳技はこれだけッス。必殺革命拳――」
 ハイ・パー・チュン。
 質量をもったリルの分身がピンクを囲み、全く同時に踊り出した。
 対してピンクは眩暈でもおこしたかのようにくらりと態勢を緩めると、リルの攻撃を連続でかわした。
「三尋木のグエンさんですか。変な人だったと聞いています」
 最後に拳を掌で受け止め、絡め取って地面に叩きつける。
「あうっ!」
「すみません、バランスの良い育ち方をしたもので。終わりですか?」
「まだ――太陽の奥義を受けてみるがいいのです!」
 目を見開くぐるぐ。
 スキャニングでもしたかのように打撃可能な急所に視線を走らせると、胸のやや下辺りに鋭い一撃を叩き込んだ。
 両手で挟み込むようにするピンク。ぐにゃりと突き刺さる銃口。
 ピンクはやや顔をしかめると、ぐるぐの足を払いのけてリルと同じように地面に叩きつけた。
「はりますね……!」
「知らない技ですが、ドン・ヴァン・クォクに似ていましたね。お二人とも……そうですか」
 そう言う目で見られると嫌ですねと、ピンクは細く長い息を吐いた。
「技が欲しければ命がけでいらしてください。私達は、そういう種類の人間です」

 グリーンマフラーを巻いた男は、コンクリートの上を走っていた。
 横を走る天乃が腕を振る。
「私の動き、ついて、きてみて」
 繰り出された糸をスライディングでかわし、頭めがけて飛んできたコンクリートブロックをヘディングで打ち砕いた。
 そこへ飛び込むオーウェン。彼はグリーンの『頭頂部めがけて』掌底を繰り出した。
 飛び退くグリーン。
 グリーンと天乃は、同時に壁から飛び降りた。
 そう、二人はこれまで壁を足場に打ちあっていたのである。
「思ったよりやるね」
「……」
 黙って糸を繰り出す天乃。グリーンはバク転でそれをかわす。
 かわした先で、オーウェンがJ・エクスプロージョンを発動させた。
 爆破に巻き込まれて転がるグリーン。
「うわっ!?」
「正々堂々とは言うものの、俺の格闘スタイル自体がダーティでな。まさかスタイルが違うからといって戦えないわけではあるまい?」
「うーん、むしろ得意分野?」
 グリーンは下半身を振り回すようにすると、流れる動きで身を起こした。
 足にひっかかる糸。
「動く、な」
 腕を引く天乃。
「――爆ぜろ」
 グリーンは再び転倒すると、突然の爆破に巻き込まれた。
 大の字に倒れるグリーン。
「うっわー強……仕方ない、使っちゃうか」
 と言うと、グリーンは両手両足を地面に叩きつけた。
 反動で飛び上がる。途端、暴れ大蛇を発動させた。
 腕を翳して身を護るオーウェンと天乃。
 二人は細めた目の先に、ニヤニヤと笑うグリーンの姿を見た。

●五芒星、死す。
 廃墟ビル、三階でのことである。
 ひび割れた窓ガラスが砕け散り、猛と宵子が飛び出した。
 空中で掴みかかるブルーとイエロー。
 二人は豪快に空中前転をかけると、相手を地面に叩きつけた。
 激しく土が舞い上がり、血の混じった砂が散る。
 立ち上がるブルーとイエロー。
 一メートル近く抉れた土の上、猛と宵子は横たわっていた。
「よく戦ってくれた」
「生まれ変わったら友達になろ」
 背を向け、歩き出す二人。
 ……と、ブルーの足首が掴まれた。
「俺の拳は最終手段って話、したよな」
「こいつ、フェイトを犠牲に復活したか!」
 脚を振りほどこうにも、猛の握力は凄まじく身動きが取れない。
 猛は土のついた顔をあげた。
「俺はよ、戦うと決めた以上負けられねえ。死力を尽くそうぜフィクサード」
「……」
「俺が勝つか、そっちが勝つか」
「違うな少年」
 ブルーは思い切り猛を蹴り飛ばすと、右腕を強く引き絞った。
「俺が死ぬか、お前が死ぬかだ」
「はは……」
 立ち上がり、同じように右腕を引き絞る猛。
 燃え上がる炎。
 大地を蹴る足。
 そして、叩き込まれる業炎撃!
「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」

「で、アンタはまだ寝てるの?」
「まさか……惚れちゃうくらい強いねアンタ!」
 フェイトを使って跳ね起きる宵子。
「自分より強い奴と殴り合う。それだけで濡れちゃいそうだよねえ?」
「いつアンタがアタシより弱いって言ったの? まあいいや、次で決まる」
「だね」
 そう言いながらも、二人は互いの襟首をぎゅっと握った。
 こつんと、互いの拳を額にくっつけ合う。
「ここな?」
「死んだ方が負けね」
「じゃあ――」
「いきますか――」
 二人は同時に振りかぶり。
 同時に叫び。
 同時に業炎撃をぶち込み合った。
「「生まれ変わったらまたシようぜ!」」

 一方その頃。
 ぐるぐとリルは今日何度目になるか分からない大雪崩落をくらった。
 ダメージこそ少ないが、こうも徹底的に投げられると悔しい。
「ぐぎい……必殺技が当たらない」
「すみません。お二人分当たったら確実に死んでしまうので……」
 ぐるぐを一旦放り投げてから頭を下げるピンク。
「命がけって言ったじゃないですか」
「そういう意味では……」
 今回は残念でしたということで。
 ピンクは抑揚なくそう述べながら、流れるような構えをとった。
 頭をさすりながら立ち上がるぐるぐ。
「どうしますリルちゃん。今日で最終回かも」
「え、これってリル達が主人公だったんスか!?」
 そうですよ?
 リルはうーんと唸って首を捻った。
 念に念を入れた考え込みだった。
 頭上で光る豆電球。
「じゃあ、アレをそれっぽくアレするのはどうッスか?」
「ああ、アレを……でもアレできなくなるのです」
「まあアレは今回諦める方向で」
「アレって何ですか?」
 首を捻るピンク。
 ちなみに後半のアレはラーニングのことである。
「では早速――」
 ぐるぐとリルは左右から挟み込むように飛び掛る。
「見るがいい、日木星挟による」
「死角零の必殺コンボ!」
 質量をもって分身するリル。
 ピンクの急所を一瞬で読み上げるぐるぐ。
「「ガトリングメテオ!!」」
 二人の的確かつ逃げ場のない連続攻撃が発動。
 四方八方から滅多打ちを受けたピンクは、がくりとその場に膝をついたのだった。
「お見事です……今後はちゃんと、使って下さいね」

 同刻別所。
 オーウェンの胸を手刀が貫いた。
「グッ……!」
 胸を抑え、うつ伏せに倒れるオーウェン。
 グリーンは血の付いた腕を振り払うと、片手でガッツポーズをとった。
「よっしワンアウト! 僕のノルマあと一人!」
「――」
 途端、天井から天乃が飛んできた。
 気の糸で輪をつくってグリーンを囲む。
 グリーンはそれを気合で跳ね除けると、天乃に蒼穹の拳を叩き込んだ。
 小さく呻いて地面を転がる天乃。
 額からは血が流れていたが、片目を瞑って起き上がった。
「悪くない、ね……もっと、踊ろう?」
「うわわ、怖いっ!」
 軽口を叩きながら飛び退くグリーン。ほぼ同時に天乃が飛び掛る。
 二人は上下左右を激しく入れ替えながら空中をもつれ合うと、壁に両足をつけて『着地』した。
 手刀を繰り出すグリーン。
 壁の上をバク転してかわす天乃。
 足をランチャー水平発射のように曲げ、低い体勢をとる天乃。
 下段を狙ってギャロッププレイを繰り出した。
 またも足首に巻き付く糸。グリーンは足を滑らせ、床へと転がり落ちた。
 再び飛び掛る天乃。
 グリーンは咄嗟に立ち上がり、大きなモーションで拳を構えた。
 迎撃態勢。飛び掛ってきた天乃をかわし、しっかりとした足場で放つパンチで打ち砕く……つもりだった。
「拳技を主体にすると、どうしても下段が疎かになりがちだ」
 声がした。
 背後から……否、足元からだ。
 気付いた時には足払いをかけられていた。
 体勢が崩れる。
 慌てて振り向くと、フェイトで復活していたオーウェンが笑っていた。
「し、死んだふりぃぃ!?」
「これが奇策というものである」
 J・エクスプロージョン発動。
 同時に頭上を掠めた天乃がハイアンドロウを発動。
 二人はグリーンに背を向けると、軽く手を上げた。
「汚い手を使って悪かったな」
「またね」
 大爆発。

 屋上である。
 ピンク死亡。
 グリーン死亡。
 それぞれの亡骸を確認してから、レッドは煙草を咥えた。
 ビルの外で、ブルーとイエローが相手と共倒れになって死んでいた。
「俺一人だけ生き残ったか。五芒星も解散だな」
 火がついたまま煙草を投げる。
 屋上の扉が外れて倒れ、咲夜が姿を現した。
「煙草のポイ捨て、いけないんだ」
「舐めるな、こちとら悪くて非道なフィクサード様だ」
「強くてかっこいいのに?」
「…………」
 顎を上げるレッド。
「なんで弱いものイジメしてたの。かっこわるーい」
「……」
「お兄ちゃんの拳は何のためにあるの? 弱者を虐げるため? 理不尽に暴力を奮うため? 違うなら――」
 顎を引く。
 両目に、咲夜本来の光が灯った。
「僕にも分かるように説明してほしいな」
「そのカワイ子ぶりっ子やめたら教えてやる。あと私はおじさんだ。今年で40超える」
「尚の事じゃ小僧」
 齢80の咲夜は小声で言った。
 にやりと笑うレッド。
「教えてやる……つもりだったが。悪いな、そいつの相手をしてからになりそうだ」
「割り込んですまない」
 咲夜の肩を掴んでどける優希。
 機械の軋む音をたてながら、彼は流水の構えをとった。
 同じく流水の構えをとるレッド。
「何か恰好よいセリフを言おうか?」
「いらん」
「その意気やよし――!」
 叫びをあげて突撃する優希。
 対してレッドは拳を振り込む。
 優希の額にクリーンヒットする拳。
 しかし優希はそのまま踏ん張り、レッドの腕を掴み取った。
 背負い、跳ね、飛び降りる。
「おおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
 そしてレッドは、凄まじく地面に叩きつけられたのだった。

●新生八星将
 結果論を言う。
 レッドは生きていた。
「命はとらん。何故組織を潰しているのかを言え」
「言いたくないなら、直接読ませてもらうがな」
 襟首を掴み上げ、見下ろすオーウェン。
 レッドは二度瞬きをした。
「必殺エロいことだけ考えるの術」
「うおお!?」
 オーウェンの脳裏になんだか凄くハードでアバンギャルドな光景が流れてきた。
 スラム出で経験豊富なオーウェンと言えど知らないことだってある。
「ボナンザ、凄まじい奴だった……」
「おいもうやめろ」
 レッドを蹴倒す。
 正直これ以上蹴られたら死ぬので、レッドは両手を上げて降参した。
「ジョークだ。喋る。どうせその能力、嘘発見器みたいに使うんだろ」
「分かってるなら最初からやれ」
 抑揚のない声でオーウェンが呟いた。
 入れ替わりに優希が詰め寄る。
「ライバルを欲しているなら、俺達がいつでも相手になるぞ」
「……いい読みをしてるな」
 レッドは血を拭って立ち上がった。
「ジャックを殺ったすげえ奴らが居る。俺達はそいつらとやりたかった」
「なら最初からそう言えば」
「言ったらお前ら奇策練るだろ。技盗むだけ盗んで人海戦術で洗い流すだろ」
「…………」
 同時に遠くの空を見上げるぐるぐとリル。
「ま、生かしてもらった借りは……返さないが、また会ったらちゃんとやってやる」
「ちゃんと……」
「ちゃんとだ」
 そう言って、レッドは去って行った。
 残ったものは、静寂しかない。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
お疲れ様でした。
八星将とか、斜め上過ぎる……。

今回レッドを生かしたことで今後への布石が蒔かれました。
どうなるかは、未来になってみなければわかりません。
あと関係あるかどうかわかりませんが、レッドは『八星将』というフレーズが気に入ったようです。いつか絶対パクるでしょう。
と言うことで、このアイデアを考え、更にレッドの闘争心に火をつけてくれた優希さんにMVPを差し上げます。

ではまた、戦場でお会いしましょう。