●とあるカップルの会話 「全然動かねーな、あのパンダ」 「い、生きてるよね?」 「あっ、動いた! 寝返り打った!」 「ああっ、寝返り打ちすぎて段差から転げ落ちた!」 「……」 「……」 「寝てるな……」 「寝てるね……」 「……行こうか」 「うん、次はコアラ見にいこ」 ●飼育員達の話 「お前、全然減ってないぞ? ちゃんと食ってるのか?」 「でも前より体重が増えるペースは早いのよね。お客さんに何かもらってるのかしら」 「困ったなあ……おいお前、一週間こいつを見張ってみてくれないか?」 「えっ、ぼっぼぼ僕がですか? 一人で?」 「なーにビビッてんだよ、そろそろ新米から卒業しやがれ!」 「見張りながらその辺掃除したりさ、お客さん呼び込んで相手したりとかしてりゃいいんだ。パンダの周りで閑古鳥が鳴いてるなんてサマにならねぇだろ?」 「……は、はあ……大丈夫かな……」 ●ゴールデンウィークはどこに行く? 本部のブリーフィングルームに集まったリベリスタ達は、机に鎮座しているものを見てしばし呆けていた。 「……パンダ?」 机に乗っていたのは、パンダのぬいぐるみ。 「依頼だよ」 唐突に声をかけられ、リベリスタ達の思考が一瞬止まる。 その反応に満足したのか机の下から小さなフォーチュナ――『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)が顔を出した。二色の双眸をこちらへ向け、感情の色が薄い顔を、つい、と上げる。 「竹を奪って欲しい。パンダから」 ――やはり、相手はパンダなのか。 部屋の中は、再び呆けた空気で満たされた。 「私はうさぎの方が好きだけど」 イヴはそんな彼らを横目に、うさぎのぬいぐるみをきゅっと抱く。 詳細はこうだ。 とある動物園にいる一体のパンダが「いくら食べても減らないとても美味しい竹」のアーティファクトを手に入れた。 この竹はパンダにとって非常に美味で栄養価が高く、強烈な睡眠欲をも呼び起こす。そのためこのパンダは、食べるか寝てるかが非常に極端なダメ生活に陥ってしまった。 さらにアーティファクトの影響故か、パンダ達がいる柵は既に殆どの客に相手にされていない。動物園のアイドルの筆頭のはずのパンダが、だ。 パンダ達が表に出ている間――つまり営業中の動物園に侵入し、この竹を取り上げてほしい。リベリスタの能力を持ってすれば、柵を越えることは楽なはず。 「連休中の昼間の動物園だから周囲の目や言動には気をつけて。依頼さえ遂げてくれれば、余った時間の使い道については本部は干渉しない」 イヴは依頼の内容を淡々と述べる。うさぎのぬいぐるみをいじりながら。 「つまり――遊んできてもいいよ。思いっきり」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:チドリ | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 4人 |
■シナリオ終了日時 2011年05月12日(木)23:21 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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■サポート参加者 4人■ | |||||
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●動物園だー! ゴールデンウィーク。 日本の暦において春の中盤――桜が散り、各地が新緑に満ち始める四月末から五月頭へ続く代表的な大型連休。 とある動物園も、多くの客で賑わっていた。 「パンダやパンダ!!」 小柄な背丈は未だ少女のよう。『イエローシグナル』依代 椿(BNE000728)は懐に弁当を忍ばせはしゃいでいた。 「それも、菊之助さんと一緒っ……」 ふと『リトルダディ』蘇芳 菊之助(BNE001941)に向けた目がぱちりと合い、椿ははっと口を噤む。 (ん、落ち着くんや、うち。コレはお仕事なんや、お仕事) 密かに深呼吸する椿の傍ら、菊之助もまた何やら想いを秘めているのか落ち着かない様子だ。 『断罪の神翼』東雲 聖(BNE000826)と『Digital Lion』英 正宗(BNE000423)も現場へ足を運んでいた。 「確か竹とか笹って、本来栄養価低くて消化に悪いから、パンダとかコアラってあまり動かないんだよな」 そりゃ太るわ、と呟く正宗に聖の笑みが増す。 「寝て食べてそしてまた寝るって理想の暮らしだと思う! でも不健康!」 聖の率直な感想に、正宗もまた微笑み返していた。 豊満な身体を時折くねらせ、浮ついた様子の『重金属姫』雲野 杏(BNE000582)も後に続く。 (念願叶ってまこにゃんとのデートなのよ……) うふふ、と漏れる声に彼女自身気付いていないのかもしれない。それほど今日が楽しみだったのは、ここへ『ビタースイート ビースト』五十嵐 真独楽(BNE000967)と来ているから。華奢で小柄、一見少女らしい風貌の彼も、ぷいと顔を背けつつ満更ではない様子。 「羽音さんも妙な仕事に付き合わすのデスネ、よりにもよってボクを」 人並を縫うよう進む『飛常識』歪崎 行方(BNE001422)の目に、専用の菓子を素直に食むキリンや遊具で自由に遊ぶ猿など様々な動物達が見える。 (野生を無くした動物展示場デス) 呆れを露わに、半分閉じた目をさらに細める。 彼女と歩いていた『眠れるラプラー』蘭・羽音(BNE001477)も表情の変化は控えめだが、心境は対照的なようだ。 (動物園は小さい頃に行ったっきりだから、本当に楽しみだなぁ) 行方のテンションは低めだけど、いつものこと。彼女を振り回す勢いで園内を見て回ろうと考える羽音の足は軽い。 現場へ近付くにつれ客足はまばらになっていく。これもアーティファクトの効果かと『高嶺の鋼鉄令嬢』大御堂 彩花(BNE000609)が思いを馳せた。 (動物園のアイドルのパンダが見向きもされないなんて悲しすぎますわね……) メイドを連れた彼女は、一見長い黒髪が印象的なお嬢様。物憂げに吐く息がさらにしとやかさを強調――する前に、メイドが呟く。 「客寄せパンダという言葉がありますが、すると客も呼べないパンダはメイド服を着ていないメイド並に存在理由が危いですね」 キッ、と彩花が『デストロイド・メイド』モニカ・アウステルハム・大御堂(BNE001150)を睨む。モニカは主の彩花を敬う素振りこそないが、きちんと後を歩いていた。彩花は仰々しい咳払いで気を取り直す。 「必ず解決して素敵な動物園に戻してさしあげましょう。わたくしの将来の彼氏とのデートの為にも!」 ぐっと拳を握るが、冷めた視線を感じ彩花は周囲を見渡す。 恋人や友人と歩く者も多く、彩花が心に春を望むのも自然な感情と言えた。『気まぐれにゃんこ』尾方 瞬(BNE000808)もぽつりと呟く。 「人気者なはずのパンダが駄目ダメじゃあ動物園が気の毒だし……」 決して、休日に家でゴロゴロしてると妹が五月蝿いからとかではない。ここにいるのはあくまでリベリスタの努め。 そう、これは仕事――とは思いつつ、『獣猟犬』セオ・ドゥーグ(BNE002004)は真逆の感情を隠せずにいた。 「パンダかわいいよな。早く見たい」 日常生活からは少々遠い、柔らかく温かい生き物が数多くいる。彼はその端正な外見が包む内で、ふれあいコーナーもあるだろうかと胸を躍らせていた。 お楽しみは、もう少し後。 ●閑古鳥の鳴く道で パンダ達がのんびりと過ごす柵の前、飼育員が通路の掃除をしていた。例年混雑するこの場所に、今は彼一人。既に何人かの客に声をかけているが、数分と留まらず離れてしまうのだ。 「こんなに良い天気なのに……」 新人と名乗るのも恥となりつつある彼は、まさに途方に暮れていた。 「失礼。小動物とのふれあいコーナーはどこにあるか知りませんか。実は彼女とはぐれてしまって。そこで落ち合う予定なんですが」 パンダの柵の周囲、やや離れた場所に来た客にセオが問う。 結界の効果もあってか客は案内を快諾。そのまま連れ立ち、パンダからさらに離れて行った。 (まあ、そんな女は地球上のどこにもおりませんが) ここまでで大丈夫と客に礼を述べ別れたセオが、密かに柵へ戻りながら携帯電話を取り出す。 「こちらの客は引き離した。現場はどうかな」 「ありがとうございます。もう少し様子見かなぁ……」 柵の傍ら、飼育員の死角に潜む瞬が答える。例の竹を持つパンダが寝ていて、かつ他のパンダ達から離れている時を狙っているのだ。 (今のところは異常、もとい人気なし。デスネ) 行方も柵の周囲を監視し機会を伺う。もし誰かが来たら、違う動物の話でもして誘導するつもりでいた。 元より人気が薄い柵に、周辺に潜むリベリスタ達の結界が幾重にも重ねられている。それに加え、実際に人に接し物理的に引き離すことでパンダの柵の周辺は完全な無人状態が保たれていた。 聖と正宗は、見張り役の皆で柵を囲うような位置を選んでいた。彼女らは人目を憚らず――むしろ人目につくようぴたりと身体を寄せて歩く。 「動物園ってイイよね! いろんな人たちが楽しめるもの!」 笑い合う二人には何気ない雑談さえ大輪の花に等しい。 仲睦まじいことこの上ない二人に、僅かに居合わせた客も頬を染めていた。彼らがこれ以上パンダの柵へ近付く気配はない。 青い空に、煙草の煙がふわりと溶ける。穏やかな風と快晴に目を細め、椿も待ち合わせのふりで客の動向を伺っていた。 「菊之助さん、今頑張っとるんやろなぁ。お仕事終わるんが楽しみやな……」 この後は何をしよう、彼は何を話しどんな顔をするのか――巡る想像に頬を緩ませた椿が、携帯電話の着信に小さく跳ねた。 「来ましたよー、絶好のタイミング。周辺の様子はどうですか」 「だ、誰もおらへんな。大丈夫や。……ちゃんとお仕事もしとるよ?」 電話口の瞬がはたと首を傾げる。が、とりあえず周辺は静からしい。 「……モニカ。くれぐれも、余計な事は言うんじゃないわよ」 連絡を受けた彩花が飼育員の元へ向かい、どこか苦い表情のモニカが続く。 「飼育員さん、こんにちわっ。わたくし達ここのパンダを見に来たんです」 久々の客らしい客、そして類稀な存在感を纏う彩花の声に飼育員の関心が釘付けとなる。 「ぱ、パンダをですか! どうぞどうぞ」 「ありがとうございます。それに他の動物達の事なども色々お伺いしたいのですけれど。ご迷惑でなければ、ゆっくりお話しませんか?」 小花を散らすかのような彩花の笑顔。傍らのモニカは無表情のまま、彩花にのみ聞こえる程度に小さく呟いた。 「なんかもう露骨なぐらいに猫っ被り全開ですねお嬢様。アホくさ」 小花が落ち、代わりに背後にヒビが入る。色々なものをぐっと飲み込み微笑む彩花の後ろから、ぴょこんと真独楽が顔を出した。 「まこにも教えて、パンダのこと!」 満面の笑顔を浮かべた真独楽が飼育員の話を逐一メモに記す。所々間違えながら。 杏も飼育員の前へ姿を見せた。肉付きの良い身体を面積の少ない衣服に包んで煙草を吹かせる彼女は、ちょっと危うくも卑猥ではない『色っぽいお姉さん』だ。 さらに、異能を持たぬ異性を誘う力。杏に囚われた飼育員は目を見開いた。 「ああ、あの、き喫煙所はあちらになるの、ですが」 「あら、ごめんなさい。アタシ、パンダの事を聞きたいんだけど……イイかしら?」 「は、はいぃ! もも勿論です!」 パンダの質問から、会話は徐々に飼育員自身の趣味や趣向、少々大人向けな話題に移っていく。メイドを従えたお嬢様と、(外見的には)幼い少女を前にしての色香満載な対談に、彼は顔を赤くしたり青くしたりと忙しい。 「飼育員さんって物知りなんだな! すごーい!」 素直に書き取ろうとする真独楽を、彼は必死で止めていた。 さくり。 パンダの柵の中、草の絨毯に小さな足が沈み込む。 柵に入った菊之助は羽音と瞬へ軽く手を振った。 「一番! 菊之助! 行って参りまーす!」 他のパンダを刺激しないよう、小さな声と共に例のパンダへ向かう。羽音と瞬も彼に続き柵を飛び越えた。 「あのパンダ、だね。……ん。ぐっすり、寝てる」 「俺は代わりの竹を持って来ます。回収は宜しく」 「ん。わかった」 回収する竹と似た竹を柵の外から見繕っていた瞬は、目星をつけた竹を拾いに向かう。羽音がゆっくりと菊之助の方へ近付くと、彼は竹と奮闘しているところだった。 竹への執着か、やや景気良く盛られた脂肪のためか。竹に抱きつき眠るパンダの腕は固く重く、一部の指が引っかかっている。 「……私、ここ抑えてるから。引っ張って、みて」 ひそひそ、静かで短い作戦会議の後。羽音がパンダの手指を広げた隙に菊之助が竹を引き抜くと、その揺れでパンダの身が傾き――。 「代わりの竹、持って来ましたよー。……ん?」 羽音と菊之助が緊張した面持ちで見つめていたパンダは、口元をむにゃむにゃ動かしただけで再び眠り込んだ。 (『もう食べられないよう』ってところかなぁ) 食っちゃ寝で生きていけるなんて羨ましい。瞬は肩を竦め、普通の竹をパンダの手元へ置いた。 ●みんなのフリータイム 「で……何が悲しくてモニカと動物園見回る事になってるのよ」 彩花の傍らには引き続きモニカの姿。御付きだから当然でもあり、彩花自身、他に知り合いもいないのだが。 仕事の後、一行は自由な時間を過ごしていた。瞬は「のんびり時間を潰す」と告げ、セオもまた目的の場所があるのか挨拶を添えて各自違う場所へと向かったが、恋人同士、友人同士で歩く者も少なくない。 (……妬みってわけではないですけど) どこか虚な感覚が、彩花の胸にぽとりと落ちる。 「ともあれ、折角の自由時間ですから。私も、全く男っ気に恵まれない可哀想なお嬢様とデートでも」 「お、お黙りなさい!」 彩花の叱咤にもモニカは変わらず涼しい顔をしていた。 ライオンの檻の前で、ぴぴ、と小さな電子音が響く。 「うん、しっかり撮れた!」 デジカメの画面を覗き、聖は小さくガッツポーズ。画面にはライオンを背にした正宗の姿。既に、パンダも含め様々な動物とも写真を撮った後だった。 「ライオンってカッコいいよね……でも、正宗もカッコいいよ!」 聖の言葉に、正宗も口の端で穏やかに微笑む。 「お前も写れ、お前も」 近くのスタッフに撮影係を頼み、今度は二人で。きゅっと手を握り合うと聖の顔に赤みが差した。 「テンション上がってきたー!」 一段高い音量は密かな照れ隠し。背後に寝転ぶライオンが訝しげに尾で床を叩くが、幸せに抗うのは不可能だ。 数秒後のデジカメの画面には、幸せそうなカップルが映っていた。 ライオンの後、さらにチーターなど猛獣のいる所を続けて歩く二人がいた。偉そうに胸を張る真独楽と、普段よりやや体温が高そうな杏だ。 「仕方ない、もう5年生でおねーさんだから、杏の面倒きっちり見てやるぞ」 杏の「色々な動物を見て回ろう」という提案に真独楽はそう返したのだが――実物を前に、やはり年相応の高揚した笑顔を見せていた。購入したワニの大きなぬいぐるみを両手に抱えながら。 杏の心はそんな真独楽にひたすら揺れっぱなしだ。どさくさに紛れ手を繋いだり、休憩を促しアイスを買ったり――。 「まこにゃん、ほっぺにアイスが!」 機会は、逃さなかったり。 静かに木漏れ日が差すベンチでは、椿と菊之助がお弁当を広げていた。タッパーや重箱には王道メニューから煮物に至る様々な料理が添えられている。 緑茶を啜り、笑い合っての食事は何にも代え難いご馳走。腹ごしらえの後、再び動物を見に回った。 「せっかくやし、チーターも見たいところや」 菊之助さんもチーターやからなぁ、と椿が彼を見ると再び目が合い、つい固まってしまう。 デー……もとい散歩、と自分に言い聞かせる。ごく自然、当たり前の動作のように、手を繋いでみた。 ――ずっと一緒にいたい、もっと仲良くなれたらいい。 そう思っていたのは、片方だけではない。 羽音と行方も楽しげに動物を見て回っていた。……もう少し正確に言うと、羽音が楽しそうに行方を引っ張っていた。 「わぁ……ゾウ、大きい、ね」 ゾウの柵の前の羽音が背を伸ばし、やや遠目で見てもその巨体ぶりは明らか。遠近感が狂いそうだ。 「行方は、どう思う?」 「草食動物の中でも上位に存在する動物デス。しかしこのような場所でムダに食べて食べて食べるだけなのデス」 本当に覇気のない話デス、と言い残した行方がだるそうに日陰へ向かうと、羽音は思い出したように荷物を漁る。休憩にも良い頃合だと手作りのお弁当を広げた。 「太陽に照らされすぎてだるいデス。腕を動かすのも面倒デス。羽音さん食べさせて欲しいデス」 「あはは、行方、ったら」 くすくす笑いながら羽音はその通りに料理を行方の口に運ぶ。ベジタリアンの行方のため、弁当には主に春の野菜が使われていた。 「どう? 美味しい?」 「なかなか悪くないのデス。もっと食べさせるのデス」 行方の返答は相変わらず。しかし数分後、弁当箱はきちんと空になっていた。 「次は、ヤギ……もいるかな」 ふれあいコーナーでモルモットを触っていたセオがすらりと立ち上がる。周囲を見渡すと、牧場風に飾られた柵でヤギ達が腰を下ろしていた。 子供達に混じりそっと手で触れ、感触を確かめる。暖かく柔らかな中に一つの鼓動があることが何故これほど至福を満たすのか――それをしばし噛み締め、ヤギの目を覗き見る。 (……こいつの瞳孔は、いつ見ても怖いなあ) 横長な独特の瞳孔は、知識として知りつつもなかなか見慣れない。 しかしそんな感慨も楽しみの一つだ。柔らかな生物達に囲まれた穏やかな時間がそこにあった。 ●一日の終わりに 照り付けていた陽も漸く身を潜め、涼しい風が吹き始める。園内の客も、気付いた頃にはかなり減っていた。 静かな木陰でのんびりと過ごしていた瞬が園の出入口へ向かうと、丁度他の仲間も戻ってくる頃だった。あのパンダも既に元気に動き回っていたとセオが告げ、揃って安堵に息をつく。 仕事は無事に終わった。後は回収品を届けるだけ――閉園の音楽に促され、名残を惜しみつつそれぞれが帰路へついた。 二度とないこの日を胸に、また明日がやってくる。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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