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Nightfall Sea

●Nightfall Sea
「E・ビーストを倒して欲しいの」
 集まったリベリスタ達を前に、『リンク・カレイド』真白イヴ(ID:nBNE000001)ははっきりとそう言った。
「くらげがエリューション化したみたいで、普通のくらげより少し大きくなってるの。体長一メートル位かな……、触手を伸ばして攻撃してくるから気をつけて」
 淡々と注意事項を口にすると、今度は少し不安そうな、しかしどこか楽しげな声音になり、言葉を足した。
「今、そのくらげは太平洋上にいることは確かなんだけど、ふらふら漂ってて居場所が定まらないの。ただ、三日後に、とある無人島に辿り着くことだけは確か。
 みんなには、その無人島に先回りして貰って、くらげが流れ着いてきたところを倒して欲しいの」
 それだけ言ったイヴは、こちらを見つめるリベリスタ達を――どこか労うように、こう言葉を続ける。
「無人島に出発する船は、今夜出るよ。みんなが無人島に到着するのは、くらげが無人島に辿り着く前日の昼。対戦まで少し時間があるから、ほんのちょっとだけのんびり出来るかも」

●いざ無人島へ
 日差しは温かい。
 既に冬の寒気は過ぎ去り、日に日に温かくなってきている。桜も咲き、散った場所すらあるだろう。
 しかし、イヴが言うには、無人島は本州よりも南に位置し、非常に暖かい地なのだと言う。泳ぐ事すら可能かもしれない。
 それを聞いて、水着を持って来た者もいるとかいないとか。
 リベリスタ達は自分たちを乗せた船が飛沫を上げ、爽やかな風を浴びながら疾走するのを目を細めて見つめていた。

 リベリスタ達を乗せた船は夜通し走り続け、やがて小さな無人島へと辿り着いた。
 ちょうど中天に上った太陽を浴びながら船から下りる。事前に聞いていた話だと、一周三時間ほどの小さな島の周りは広大な海に囲まれており、美しい砂浜には耐えず波が打ち寄せている。釣り糸を垂らせば、新鮮な魚が釣れるかもしれない。
 とにかく、クラゲが辿り着くのは明日の夜だ。それまでしばらくノンビリしよう。

 戦士にも休息は必要なのだから。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:水境  
■難易度:EASY ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 4人 ■シナリオ終了日時
 2011年05月05日(木)23:20
水境です。
魚を釣ったり海で泳いだり、獲物を取ってそれを料理したり同じ釜の飯を食ったりとか、そういうことをして親交を深めていただければと思います。ああ、もちろんエリューション退治なんかも。

お知り合い同士でもそうでなくても、親交を深めるきっかけになればと思います。


●任務達成条件
 クラゲのE・エリューションの討伐。
 フェイズは1です。

●戦場
 無人島の南の砂浜になります。特に障害物などはありません。

●くらげ
 海から出られません。逃げる心配はありません。毎ターンの行動は以下の二つです。

【触手】対象一体を攻撃。
【海に潜る】PCも海に潜らないと攻撃が出来ません。浮き上がるのを待ってみてもいいでしょう。

●その他
 クラゲが辿り着くまで30時間ほどありますので、それまで、魚を釣ったりご飯を作ったり食べたり、無人島を探検したり泳いだり(本州よりだいぶ南にある島なので、水は温かいです)することが出来ます。
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
クロスイージス
ソウル・ゴッド・ローゼス(BNE000220)
覇界闘士
大御堂 彩花(BNE000609)
ホーリーメイガス
シエル・ハルモニア・若月(BNE000650)
インヤンマスター
焦燥院 ”Buddha” フツ(BNE001054)
覇界闘士
祭雅・疾風(BNE001656)
デュランダル
千早 那美(BNE002169)
マグメイガス
レナード・カーマイン(BNE002226)
スターサジタリー
雑賀 木蓮(BNE002229)
■サポート参加者 4人■
ナイトクリーク
星川・天乃(BNE000016)
スターサジタリー
ミュゼーヌ・三条寺(BNE000589)
スターサジタリー
モニカ・アウステルハム・大御堂(BNE001150)
ソードミラージュ
空音・ボカロアッシュ・ツンデレンコ(BNE002067)


●島
「無人島と言えば探検ですわ!」
 到着して早々に短パンとノースリーブの探検服に着替えた『高嶺の鋼鉄令嬢』大御堂 彩花(BNE000609)は、気合いっぱいに無人島探検隊の面々を見回した。
 地図と方位磁石を持つ『節制なる癒し手』シエル・ハルモニア・若月(BNE000650)、『鋼脚のマスケティア』ミュゼーヌ・三条寺(BNE000589)、そして彼女自身のメイドである『デストロイド・メイド』モニカ・アウステルハム・大御堂(BNE001150)。彩花は三名の顔を見回した後、満足げに頷いた。
「無人島探索……テレビで芸人さん達がよくやっているのを見て、わたくしも一度やってみたかったんです。今日、その念願が叶いますわ!」
「ふふ、そうね。探検――一体何が見つかるかしら。楽しみね」
 彩花の言葉に頷くミュゼーヌ。シエルは二人のやり取りを見ながらにこにこと微笑んでいる。
 ちなみにミュゼーヌとシエルの二人も、彩花が持ち込んだ探検服を装備中である。細い足が何本も伸びているのは見目麗しい光景ではあるが、ここにはジロジロ見るような男性陣は存在していない。四人は至極上機嫌のまま、一周三時間という小さな無人島探索に乗り出したのだった。

 ――しかし。
「どこですの? 岸壁に隠された洞窟や森林の奥地の秘境はっ……!」
「きっとすぐ、見つかりますよ。桃源郷なんかも、もうすぐそこに……」
 彩花の言葉にシエルが応じる。真剣に周囲を見回しつつインディ・ジョー●ズ的な展開を求めて歩く探検隊ではあったが、こんな場所にそんなものが見つかるはずがない。せいぜい野生のウサギが数匹と、木の実がたわわに実る樹木が見つかる程度だ。
 彩花は唇を尖らせ、傍らに生える大木に右半身を寄りかからせた。
「見つかりませんわねぇ、伝説が描かれた石碑や古代遺きひゃあっ!?」
 台詞の途中で突如悲鳴を上げる。身体をびくつかせて振り向けば、そこにはメイドであるモニカがナマコを彼女に押し付けていた。
「なっ、何をするの、モニカ!」
「いえ、お嬢様がスリルをお求めのようでしたから」
「そっ、そんなスリルなんていらないわよ……」
「そうでしたか? 主人の求めているものを与える……我ながらメイドの鏡だと思ったのですが」
 二人のやり取りを見て、シエルとミュゼーヌは顔を見合わせて頬を緩ませる。と、そこでシエルが彩花の寄りかかっていた木を見上げた。
「あ、あの木の実……食べれそうです」
 見れば、黄緑がかった木の実がちょうど四つ。気付いた彩花がトンファーをぶつけて落とせば、それはパパイヤだった。
「これは! 野生のパパイヤ……良き収穫です♪」
「財宝とったどー!」
 パパイヤを一つ抱えてシエル、二つ抱えて彩花が叫ぶ。その姿を微笑ましげに見守っていたミュゼーヌが、樹木の傍に美しい青い石を見つけ、屈みこんで拾った。
「……綺麗だわ。バカンスに来た甲斐があったってものよね」
「まあ、美しい石ですね」
「また財宝とったどー!」
 シエルと彩花に祝福され、ミュゼーヌが上機嫌に笑った。

「お~? みんなは探検中なのか?」

 その時、不意に茂みの奥から赤髪をした男性が現れた。一瞬身構える四人であったが、すぐにそれが『居場所無き根無し草』レナード・カーマイン(BNE002226)であることに気付き、肩の力を抜く。
「レナード様。何をしていらっしゃるのです?」
 シエルが小首を傾げつつ尋ねると、レナードは笑って小脇に抱えていた山菜の束と木の枝を差し出した。
「おいちゃんは薪集めと山菜採りよん。バーベキューのために奮闘中ってところ♪」
「さすが、ぬかりはありませんわね」
 彩花が感心すると、レナードは大仰に笑う。
「出発前に山菜の本を見せて貰ったし、固形燃料もペットボトルもライターも持参済みよん」
 どうやら彼も色々と準備万端らしい。女性陣に笑いかけた所で、彼は「それじゃあ行くわねん」と手をかざした。
「レナード様、どちらへ?」
「さっきイーグルアイで、向こうの高台にいい野草を見つけたのん。フツちゃんともそこで待ち合わせしてるしねん。取れたのは後でバーベキューに出すからねん♪」
 言って、無人島奥にある小さな高台を目指して飛ぶように駆けて行った。その後姿を見た彩花は、しばし悩んだ後、
「高台……冒険の匂いがしますわ。行ってみましょう!」
 と提案。シエルも楽しそうに微笑み、賛成するのだった。


●海
「よし、釣り勝負だぜ」
「負けませんよ、ソウルさん」
 こちらは『ロストフォーチュナ』空音・ボカロアッシュ・ツンデレンコ(BNE002067)の操舵する船に乗船し、魚釣りにいそしむ『気焔万丈』ソウル・ゴッド・ローゼス(BNE000220)と『正義の味方を目指す者』祭雅・疾風(BNE001656)である。
「頻繁にポイントを変えんのは愚策だ。時にはじっくり待たねぇとな」
 サングラスを持参したソウルは、船の上から海を覗き込む。海中には美しい姿をした魚が群れを成して泳いでいるが、彼の狙いは巨大な魚だった。何せ十二人分の胃袋を満たさなければならないのである、これはなかなか大変だ。
「よし、ここに決めたぜ」
 ようやく釣りポイントを決めたのか、どっかと座り込んで釣り糸を垂らし始める。それを見た疾風も、海を覗き込んで潮流を探った。
「……綺麗な海だね」
 が、そこに満ち溢れる美しい海と、その中を泳ぐ色とりどりの魚を見つけ、思わず頬を緩めてしまった。気を取り直して前方を見据える。船に揺られ、青い水平線を眺め回すと、今度は魚釣りの後にやろうと考えていた波乗りも楽しみになってくる。
 ともかく、と再度気を取り直してソウルとは反対方向に釣り糸を垂らす。と同時に釣り糸が引いた。
「おっ? おっと」
 慌てて引けば、綺麗な青みがかったムロアジが釣れた。そこそこ大きめなそれを嬉しげにクーラーボックスに入れると、再度釣り糸を投入。しばらくしてまたムロアジが釣り上がる。
「まさに入れ食い状態ですね……」
「くっ、いいな。こっちもそろそろ大物が釣れるといいんだが……」
「えっ? いや、ソウルさん、引いてますよ!」
「何っ!?」
 疾風の釣果に気を取られ、肩越しにソウルが振り返る。――と同時に強く引き始めた釣竿に、ソウルも疾風も二人して慌しく動き回る。
「らあっ!!」
 ソウルが思い切り竿を引く。水飛沫を上げて海上に跳ねたのは、大きなキハラマグロだった。

「生臭いわ……」
「我慢してくれ。今日の晩飯だぜ?」
 操舵室で鼻を押さえる空音に、ソウルは思い切り笑って応じた。彼の釣った二匹のキハラマグロは巨体で、クーラーボックスには入りきらなかったのだ。そこで急遽、船上にて魚を捌き、夕食の準備を始めたのである。
 ちなみに釣り勝負の行方は、ソウルがキハラマグロ二匹、疾風がキハラマグロ三匹にサワラ一匹となった。ソウルは「釣れた数が疾風の方が多いからお前の勝ちだぜ」と言ったところ、疾風は「大きさはソウルさんの方が大きいからソウルさんの勝ちです」と張り合い、結局引き分けと言う形になった。
「よし、後は鍋にぶっ込むだけだぜ!」
 ソウルの目の前には男らしく捌かれた魚たち。それを満足げに見回しつつ、彼は傍らのガスコンロにかけた鍋に次々と投入して行く。

 その様子を、サーフボードに腹ばいになって波乗りを楽しんでいた疾風が見つめ、のんびりと微笑んだ。水着に着替え、その引き締まった身体が露になる。陸に戻ればさぞ女性の心を掴むだろうと思われるそれは、しかし今見ているのは傾きかけた太陽だけだ。
「さて、もう一泳ぎしましょうか」
 夕食まで腹を空かしておきたかった。彼はサーフボードの上で立ち上がる。

 傾きかけた日差しで浜辺が橙色に染まる中、波打ち際を、刺激的な黒ビキニを着た『威風凛然』千早 那美(BNE002169と、ワンピース水着を着た『ゼログラヴィティ』星川・天乃(BNE000016)が並んで歩いていた。那美は天乃とその忍者由来の技に興味を持っており、これを機会にして友達になりたいと思っていたのだ。
 足元に落ちている白い石を避けつつ、那美は横目で天乃を見つめ、呟くように話しかける。
「天乃っていつも冷静に見えるわ。修行の賜物なのかしら……?」
「修行の成果、と言うより……家族もこんなの、だから」
「天乃の家族もそうなの? 会ってみたいわ。――私にも姉がいてね、それで……」
 返事が返ってきたことに目を細めた那美は、足元に落ちている美しい貝殻を拾いつつ応じた。
「今日は姉が私の身代わりで学校に行っているのよ。やっぱり学校と依頼の両立は、ちょっと大変よね。天乃も卒業まで、修行と学校の両立は苦労しなかった?」
「少しは、ね」
 天乃の回答は簡潔でそっけない。しかし、それは彼女が今まで生きてきた結果で、彼女自身を表現する一部分でもある。那美は天乃と近付きつつあるという思いと同時、湧き上がってきた不思議な感情を抑えつつ、そっとその大きな胸に手を沿え、貝殻を握ったまま水平線を見やる。
(……やっぱり、私はまだまだ諸事に心を動かされがちね。けど……この感覚、嫌いじゃないわ)
「ねえ、明日のバーベキューのために、海藻を拾って行かない?」
 振り向き、無表情な友人にそう声をかけると、天乃は静かに頷いた。

「おーい、晩飯だぞー」
 浜辺近くに立てられたテントの傍から、ソウルの大声がかけられた。探索を終えた面々や浜辺を歩いていた仲間たちは、その声を聞きつけてそちらへ向かった。
「今日の夕食は魚のスープと魚の串焼きですよ」
 疾風はレナードの持ってきた薪にライターで火をつけながら言う。傍らでソウルがかき混ぜる鍋からは良い匂いが漂ってきて、仲間達は歓声を上げた。
「美味しそうな匂いね」
 那美が小ぶりな鼻を可愛らしくひくつかせると、ソウルは笑って器にスープを盛り、彼女に手渡した。那美はありがとうと礼を言うが、すぐに再度ソウルに向き直り、天乃の分もついで欲しいと頼む。
「よし、任せろ。人数分はちゃんとあるからな……っと」
 そこでソウルは気付き、周囲を見回す。仲間が一人、足りなかった。

 すっかり傾きかけた日差しを前に、シエルは静かに三線を弾いていた。
 さざ波の音、ゆっくりと過ごす時間、やわらかい日差しと浜辺。その全てが彼女の郷愁をかき立てる。
 三線を静かに弾くと、いつしか昔聞いた音色へと変化していく。
「……この音色? 私……今は今で気に入っているのですが……」
「何だ、ホームシックか?」
 ふと気付くと、背後には椀を持ったソウルが立っていた。見当たらない彼女を探してここまで来たのだろう。
 彼女は差し出されたスープを受け取って礼を言うと、傍らにどっかと座り込んだ彼を首をかしげつつ見上げる。
「俺も夜釣りに来た」
 言って笑うソウル。シエルも釣られて笑いながら、手にした椀に注がれたスープを飲む。あたたかく、懐かしい味だった。
(……あの頃には戻れない。けれど、私はかけがえのない人達に出会えた……)
 そんな思いを胸に、シエルは再度静かに三線を引き寄せ、弾き始めた。

●二日目
 一晩を無人島で過ごし、翌日になってもリベリスタ達はバカンスを満喫した。ある者は島内探索に、ある者は夜に行うバーベキューの食材探しに(これで数匹のウサギが犠牲となった)。
 しかし、この日は島に来た目的であるエリューション退治を行う日でもあった。が、リベリスタ達はどちらかと言うとその後に行うバーベキューパーティーの方に力を入れており、おのおの話題にするのもパーティでは何を食べるか、どんな食材を採ってくるかというそんな話ばかり。
 実際、夕方になって当のくらげエリューションが出現した時も、
「はあっ!」
 船の上からアーリースナイプでくらげを的確に打ち抜く『まっちろじか』草臥 木蓮(BNE002229)と、
「これでやられちゃってねん」
 レナードのマジックミサイルであっさり海の中に逃げ込んだくらげは、
「那美、あと、お願い」
 天乃がギャロッププレイで海上に追い立て、それに頷いた那美が、
「邪魔よ!」
 メガクラッシュで、あっさりと撃沈したのだった。

「守護結界を使う事も無かったぜ」
 木蓮の傍らに佇んだ焦燥院 フツ(BNE001054)は、苦笑染みた笑顔でそう呟いた。仲間達はさっさとバーベキュー会場へと走って行く。
 その背を見送ったフツは、傍にいる木蓮へと視線を落とし、頬を緩めて笑った。
「ほら、俺たちも行くぜ。バーベキューするぞ」
「あ、ああ……そう、だな」
 フツに笑いかけられて頬を赤らめた木蓮だったが、すぐに踵を返そうとする彼の袖を掴んだ。
「……なあ、また一緒に遊ぼうな?」
 縋るようにそう言うと、返って来たのはいつもと同じ、フツの優しい言葉と笑みだった。
「オウ、今度もみんなでな」
 その言葉に木蓮は黙り込む。仲間達が去った後の波打ち際に、しばらくさざ波だけが押し寄せる音が響く。
 やがて意を決したのか、木蓮は顔を上げ、その緑の瞳でフツを見据えた。
「……なあ、俺様にも聞く耳はちゃんと二つ付いてんだ。もし……お前の気持ちが決まってんのなら、ちゃんと聞かせてくれねぇか?」
 木蓮は、今のフツとの関係が耐えられなかった。本来であれば、ちゃんと気持ちを伝えて友達から始めたかった。けれど、既にこのフツという男性の心に決めた人がいるのであれば、自分の入り込む隙など無い。
 真摯に見上げてくる木蓮の目を見つめ返し、フツは小さく息を吐く。
「……そうだな。こういうのはちゃんと言わねえとな」
 そうして、出来うる限り真剣な瞳で木蓮を見つめた。一言一言、かみ締めるように、木蓮へと自分の心中を伝える。
「お前さんと遊ぶのは楽しいんだが、オレは他に好きな女子……っつーか、ウム、女の子がいてな。だから、もう二人きりで遊ぶ事は出来ない」
「……そっか」
 木蓮は、ゆっくりとその手をフツの袖から離す。
「……楽にしてくれてあんがとな、フツ」
「いや……オレの方こそありがとう。そして、すまねえ」
 申し訳無さそうに謝る彼を見たくなくて、木蓮は俯き首を振って、無理やり笑う。
 それを見たフツは、静かにその場を離れて行った。思いを寄せた男の逞しい背を見送りながら、木蓮はゆっくりと伸びをした。
「……さて。自分磨きの旅……っつーか旅行にでも出るか。女としては駄目だったけど、せめて今後は人として競い合えるようにな」
 見上げてそう言えば、頭上の月が美しく瞬く。まるで自分を応援しているようだと感じ、木蓮は目を細めた。
 と、そこで自分の腹が食事を求めている事に気付いた。視線を戻せば、既に仲間達がバーベキューパーティを行っている。肉の焼けるかぐわしい匂いが漂ってきて、木蓮は両足に力を入れた。
「その前に腹ごしらえ、っと」
 呟き、白浜に足跡を残して駆けて行く。


 アークの船が迎えに来るまであと少し。
 それまで、しばらくはリベリスタ達のバーベキューパーティが続けられる事だろう。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
ほぼ6000文字、バカンスシナリオをお届けします。
と言うかくらげ弱すぎてすいません。

くらげを倒した後は、すぐにアークの船が来て帰還(船を動かす方法が分かっていても、向かう方向や潮流などが分からなければ本州に帰還できませんので)する予定だったのですが、バーベキューパーティのために少しだけ順延されました。

南の島での余暇が、少しでも表現出来ていれば幸いです。