●村人Aは呪われてしまった! でんでろでんでろでんでろでんでん。 奇妙な8ビット音源が流れ出し、男は何事かと振り返った。 「なんだろう けいたいでんわが なったのかな?」 と言ってみて、自分の言葉がなんか妙なのに気づく。 「はっ! これは……!」 それだけではない。 自分の身体が……っつーか周りの景色が、全部まるっきり、こう……実に表現しにくいが……ファミっぽくなっていたのだ! 「なんということだ! からだが まさかの さんとうしんに なってしまったぞ!」 慌てふためく一般人。もとい村人A! そこへ、アイツが現れた――。 ●おおりべりすたよ 「しんでしまうとはなさけない」 イヴはテレビゲームをやっていた。 今や懐かしい白と小豆色のプラスチックボディ。電気屋さんに行っても取り扱っていないと言うこのハードをどっから手に入れたのかは分からないが、イヴはどこか真剣にコントローラーを叩いていた。 「風車出た。体力回復しな……く……ちゃ」 2Pコントローラーのマイクに息を吹きかけようとした所で、ぴたりと止まる。 どうやらリベリスタ達が集まり終えたことに今気づいたよって顔をしていたが、何事もなかったかのように立ち上がった。 「今のは、資料だから」 まるで小説家が経費に落とす言い訳を話すみたいに言うと、小声でゴメンと謝った。 手元ファイルを開く。 「みんな」 きりりとしたシリアスフェイスで、イヴは告げる。 「えりゅーしょんが あらわれた!」 話によれば、だ。 古き良きテレビゲームを愛する人々の気持ちとかなんかそういうアレコレが寄り集まり、エリューションフォースが産まれてしまったのだそうだ。 でもEフォースができちゃうくらいだから、ゲームに対する恨み的な何かだったのかもしれない。良く分からないが。 「とにかく、これが人通りの少ない空き地に陣取って通りかかる人を襲っているらしいの」 Eフォースは『まおう』的なドット物体と『スライム』的ドット物体に分かれ、通りがかりの人を(若干空気を読みつつ)襲うらしい。 しかもその方法が特徴的で、『まおう』の放つ『のろいのはどう』を受けると呪い状態になってしまうばかりか、自分自身や周りがファミっぽく見えてしまうのだ! 「ファミっぽく……」 「そう、ファミっぽく」 自分たちがドット物体になるさまを想像して、リベリスタ達は静かに戦慄した。 まあ幻覚の一種なので、物理的にどうこうってこたぁないのだが。 「と、いうわけだから」 空き地の状況や敵のスペックなど一通りの説明を説明し終え、イヴはびしりと明後日の方向を指差した。 「ゆくのだ りべりすたたちよ!」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:八重紅友禅 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年02月03日(金)22:36 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●お好きなファミ系BGMでお楽しみ下さい ファミとは、かつて日本中を席巻したテレビゲームの初代王者でありおっさんたちの夢マシンである。 今日はそんな世界を体感して頂こう。 ぷれいやーしょうかい。 あさ゛か:『告死の蝶』斬風 糾華。 みつき:『From dreamland』臼間井 美月。 きなこ:『鉄壁の艶乙女』大石・きなこ。 とり:『夢に見る鳥』カイ・ル・リース。 るかるか:『シュレディンガーの羊』ルカルカ・アンダーテイカー。 こころ:『超守る空飛ぶ不沈艦』姫宮・心。 さまようよろい:『さまようよろい』鎧 盾。 くると:『九番目は風の客人』クルト・ノイン。 →はじめる。 ●りべりすたたちは のろわれてしまった! デンデロデンデロデンデーン。 「お……おおおおおおおおおー!」 みつきは わくわくしている。 「すごいや! これぞゆめにみた 8びっとわーるど!」 「さんとうしん! いんこのあたま きゅーとなのダ!」 とりとみつきは ばんざいをした。 さまようよろいは ようすをみている。 「へんなしごとだが しごとはしごと。だれがあいてでも たおすのみだ」 こころが くびをかしげているぞ。 「モンスターを なかまにできるシステムは ファミにありましたっけ?」 「……」 「……」 とりとさまようよろいは なかまになりたそうにこちらをみている。 こころは ガタガタふるえている! 「うわーのろわれたー」 くるとは じぶんのからだをしらべた。 かためがねを みつけた! そうびしますか? →はい。 「さいげんされていて よかった!」 「ゆだんをするつもりじゃないけど たのんしでもいいわよね?」 あさ゛かは チョウのなげないふを そうびした! 「ゆうしゃにかわって まおうをやっつけちゃうのです!」 きなこは おおいにもえている! ぶあついほんを そうびした。 まほうのたてを そうびした。 はがねのよろいを そうびした。 「まおうとゆうしゃ それはいつのじだいも ものがたりをかなでるの。りぶじんも ふじょうりも すべてぬりつぶされる……なんて りふじん」 るかるかのめが あやしくひかった……。 ●すらいむがあらわれた! まおうがあらわれた! 「ゆうしゃたちよ よくぞここまでたどりついた。わがしもべたちよ かれらをなぎはらうのだ!」 「ここは わたしにまかせて!」 「てをかすのデス!」 きなことこころは まおうのまえにたちふさがった! しかし すらいむのほうが かずがおおかった! きなことこころはぶろっくされている! すらいむたちのこうげき! きなこに 200のダメージ! まおうのこうげき! こころに 300ののダメージ! 「こしゃくなやつめ おまえから かたづけてくれる!」 まおうは くうきをよんだ! 「かいふくだ!」 みつきは てんしのいきをつかった。 こころときなこのみみに いきがふきかかる。 ファミなら このくらいのことは ゆるされていた。 よいじだいだったものだ。 「ぶきは そうびしないと いみがないよ!」 「なぜ いまいったのデス!?」 「ザコは まかせてください!」 くるとは りゅうすいのかまえをとった。 すごく かくかくだ! 「どこも りゅうすいじゃない……」 さらに ざんぷうきゃくをくりだした。 スライムにかいしんのいちげき! スライムは かまいたちにきりさかれた! 「まずはぼうぎょを かためるぞ!」 さまようよろいは ハイディフェンサーをつかった! ひかりのオーラが みをつつむ! 「そしてスキルを つかいわける!」 さまようよろいの ヘビースマッシュ! きょうれつないちげきで スライムをたたきつぶした! 「ざこてきが わらわらでてくると ぜんたいこうげきが ほしくなるのダ」 とりは ヘビースマッシュをくりだした。 「でもとらないのダ つぎにとるのは きゃぱっぷ2。そのつぎは ぱふぇが」 「なぜ いまいったのデス!?」 「ブレないように きいてもらおうとおもっテ」 なぜだろう このじょうたいだと とりの しゃべりが ふしぜんじゃない! 「まおうに かげのちからが つうようしないと だれがきめたのかしら?」 あさ゛かは あやしくほほえんでいる。 あさ゛かの シャドウサーヴァント。 あやしいかげが あさ゛かをつつむ。 「このいちげきは いかなるぼうぎょも つきぬけるわ」 あさ゛かの ハイアンドロウ。 スライムは ばくはつした! こころに ジェルがとびちる! 「しまった きょうは ビキニアーマーでした……えっちなのデス!」 「なぜ きょうにかぎって!」 「くつじょくなのデス!」 「ならなぜつけたのか」 さまようよろいは りかいできない。 ●せかいのはんぶんをおまえにやろう(ふえぇ だからなかまになってよぉ) さまようよろいの ジャスティスキャノン。 じゅうじのひかりが スライムをうちぬく! 「これで さいごだ!」 さまようよろいは スライムをなぐりつけた。 スライムは いきたえた。 「おのれ よろいめ! こうしてくれるわ!」 まおうは いかづちのまほうをとなえた! こうかはばつぐんだ! 「ぬわー!」 さまようよろいは たすけをよんだ! ビキニアーマーが あらわれた! はがねのよろいが あらわれた! 「だれが ビキニですか!」 「よろいでくべつ しないでください!」 きなこは ぶあついほんをたたきつけた! こころは どちらをなぐるか まよっている! 「ぐぐぐ まさかゆうしゃが ここまでつよいとは!」 まおうは いかづちのまほうをれんぱつした! ぜんたいに 200のダメージ! みつきは みをかためている。 「てきだけど だいすきな レトロゲームへのきもちから うまれたフォースなら したしみも かんじるなあ」 みつきは だいぎりんを かかげた! これは おこさまたちの ばいぶるだ! 「もしかしたら ぼくのきもちも はいってるのかも」 みつきの てんしのうた。 みんなの たいりょくが かいふくした! とりは うずくまっている。 とりは あしもとをしらべた。 スライムのかけらを みつけた。 「しゅじんこうより モンスターに かんじょういにゅうしてしまっテ……こうはんで つよいモンスターをなかまにしても さいごまで外さないでいたのに……エンディングで まったくふれないなんて!」 モンスターしばりの どうがをみよう! しあわせに なれるぞ! 「なぜだか とりがせんいをそうしつしているのデス」 「でもそろそろ おわるわよ」 くるとは ざんぷうきゃくをしかけた。 まおうに150のダメージ! 「このままではいかん……!」 まおうは あせっている。 あさ゛かは メルティーキスをしかけた。 「おとめからのプレゼント うけとらないわけには いかないわよね?」 まおうに かいしんのいちげき! まおうは もうどくにおかされた。 さらにあさ゛かは ギャロップレイをしかけた。 「にんげんごときに……ウヴォアー!」 まおうは ちからつきた。 だがいちおう しんではいない。 もとからいきてもいないが。 ●しんのまおうがあらわれた! 「そろそろ ルカのでばん」 るかるかは まおうにアル・シャンパーニュをしてみた。 かたちだけでも やってみるものだ。 「みなさい ルカのみりょくは まおうすらほろぼすの。そうよ みんなルカのてしたになりなさい」 「なにか いいだしたぞ?」 「ようしきび かな?」 さまようよろいは くびをかしげている。 くるとは さいごまできいてあげることにした。 「このよはすべて ルカのもの。ルカはシュレティンガーのおう。てきかみかたか かんそくしないとわからないの。うはははは!」 「……といってるのだけど?」 「もうすこし ようすをみようよ」 あさ゛かは やるきだ。 みつきが そっとたしなめた。 るかるかは ばすていをかまえた! 「かかってこいゆうしゃども まおうルカがあいてよ!」 しんのまおうがあらわれた! コマント? →ふるぼっこにする。 「ルカがみかただと いつからかんちがいしていた? ルカのうらぎりは そうだんのときから はじまっていたのよ!」 るかるかは せんとうじゅんびを ととのえている。 「……」 きなこは るかるかのみぎうでを こていした。 「……」 さまようよろいは るかるかのひだりうでを こていした。 「さあゆけスライム じょしのふくをとかすとか あはんうふんなてんかいに するのよ!」 しかし スライムはちからつきている! 「それはたぶん べつのゲームじゃないかな?」 くるとは るかるかから ばすていをとりあげた。 るかるかは かえしてーといってあばれた。 「さあ どうしてやろうかしら?」 「たぶん わるぎはないとおもうので……」 あさ゛かは ねこじゃらしを そうびした。 みつきは はんでぃもっぷを そうびした。 「すらりん……」 とりは せんいをそうしつしている! 「れっつ おしおきたいむデス」 こころは まじっくはんどを そうびした。 あさ゛かは けつだんをくだした。 ――しばらくおまちください。 「きゃーやめてー あばらでぎろかなでるのやめてー。ルカのあばらがあるしゃんぱーにゅーうううう!」 るかるかは あるいみちからつきた……。 「ちょっとまおうごっこ やってみたかったのよ。もちろんフェイトは しようしないのよ……ぐふっ」 ●しんのまおうをたおした! テテレレーテーテーッテレー。 えりゅーしょんをたおした! あさ゛かはレベルがあがったらいいな! あさ゛かのじゅんのうせいが1あがった。 まおうにトドメをさしていないことにきがついた。 みつきはレベルがあがったきがした! Aボタンのへこみぐあいが1あがった。 まんぞくかんを おぼえた。 きなこはレベルがあがったらいいね! よろいっぽさが1あがった。 まおうのふところをしらべた。 りくどうとかかれたげーむそふとをみつけた。 とりはレベルがあがったとおもう! とりのおもいでが1ふえた。 かなしみをおぼえた。 るかるかのレベルがあがってたまるか! るかるかのはいかつりょうが1あがった。 みんなのりかいをてにいれた。 こころはレベルがあがれるとおもったか! こころはろしゅつどが1あがった。 あたらしいかのうせいをおぼえた。 さまようよろいはレベルが1あがったんじゃないかな! さまようよろいはかたさが1あがった。 いちどもなまえをよばれていないことにきがついた。 くるとはレベルがあがりすくだけ! くるとはおはだのつやが1あがった。 かためがねのじゅうようせいをおぼえた。 「さあまおうよ もとのせかいにかえるときよ。このせかいのひかりは まぶしかったでしょう? ファミじくうよ もとのせかいへ かえれ!」 あさ゛かは こんどこそ まおうにとどめをさした。 ファミっぽさが きえてゆく……。 ●END 「きゅうぅ……」 ルカルカは目をバッテンにして伸びていた。 エリューションの消滅と共に、『のろいのはどう』も効果を失くした。 厳密にはただの幻覚作用だったので、世界が元に戻ったと言うよりは自分が正気に返っただけなのだが、その程度些細な違いである。 ルカルカのほっぺを木の棒で突いてみるカイ。 「身体を張った一発芸だったヨ」 「あれは一発芸って扱いでいいんですか?」 同じく木の棒でつんつんしてみる心。 ルカルカはかんぱーにゅぅぅとか言いながら寝返りを打った。 割と平気そうである。 そんな彼女を担ぎ上げ、盾(さまようよろいの人)は立ち上がる。 「では、馬車に乗って帰ろうか」 ルカルカをトラックの荷台に放り込む。 良い子はマネしちゃいけません。 他のメンバーもぞろぞろとトラックに乗り込み、海外のヒッチハイカーよろしく車は走り出した。 エンジンの振動と現実的な風を感じつつ、クルトはふと呟く。 「それにしても、面白い体験をしたもんだね。ただのエリューション事件なのに」 「ただのエリューション事件と言えば、そうなんですけど……」 膝を抱えてきなこがそんなことを言った。 首をかしげるクルト。 「何か変なことでも?」 「いえ、想い過ごしかもしれませんが」 ――その一方、運転席とその助手席では。 「どうしてこんな事件が起こったのか」 ハンドルを握る盾の横で、糾華が窓の淵で顎肘をついていた。 視線を寄越さずに応える盾。 「ゲームの思い出が寄り集まった結果、じゃなかったのか?」 「それなら日本全国そこらじゅうで起きている筈じゃない。なぜこの土地の、態々人通りの少ない空き地に陣取ったのか」 「……確証があってのセリフか?」 「いいえ、勘よ」 それきり、窓の外に流れる景色に想いをやった。 ふむと呟いて運転に集中する盾。 車は下町の道路を抜けていく。 その一番後ろに座って、美月は足をぶらつかせた。 今はなき、あの空間へ……そしてあのゲームじみた時間へ。 「楽しかったよ、ありがとう!」 きろくしますか? →はい。 リベリスタのしょ1(ピッ)。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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