●恐怖の館! 嵐。雷鳴。大粒の雨が暴風に乗って、廃墟の窓を割らん勢いでブチ叩いていた。 「きゃあああああどいてどいてどいてどいてぇぇぇ」 「うわっ危な……どわあああああ」 ドンガラガッシャン。 主のいない呪いの屋敷で、メイドと執事の思念体は今日もひたすら頑張り続ける。 掃除をするのも命懸け。掃除機が暴発したりバケツが宙を舞ったりすっぽ抜けた箒が壁に突き刺さったり。 それでも、今日も今日とてドジにも負けずミスにも負けずファンブルにも負けず。 雷鳴が再び轟く――さぁさようこそ、呪いの館。恐怖の館。 ●ドレミファンブル 「ぐわあー」 ドンガラガッシャン。集まったリベリスタ達の目の前で、珍しく遅れてやって来た『歪曲芸師』名古屋・T・メルクリィ(nBNE000209)が盛大にすっ転んだ。手にしていた資料をぶちまけた。ついでにいつもの事務椅子まで倒れた。 「痛ぁーっ……あぁ、もう、誰ですか机と机の間に頑丈なワイヤーを仕掛けたのはもしかしなくっても逆貫様ですな!」 自己完結。何故か一方的に天敵扱いされている車椅子予言師の名前。全くもうとワイヤーを撤去し、資料を拾い、事務椅子を起こし、それにようやっと腰掛ける。 「……とまぁ、そんな感じのそんなこんなでメルクリィなんですが……皆々様も同じ目に逢うかもしれんのですよ」 ハイ?目を丸くするリベリスタの一方、フォーチュナは手早く説明の準備を始めてゆく。 程なくしてモニターに移されたのは――森の中の立派な廃屋敷。嵐に吹かれて佇むそれのなんと不気味な事か……。明かりが点いているのか、窓からは仄明るい橙色が漏れていた。 中はこんな感じですと次いで表示されたのは仄明るく照らされたシックな屋敷の内装、廃墟だと言うのに誰かが整えている様な違和感……そう思ったリベリスタ達の視線に二つの人影が映った。メイドと執事だ。 「E・フォースフェーズ2『ドジっこメイド』『ウッカリ執事』。詳しくは資料にも纏めてありますんで。 サテ皆々様にはこの討伐を行って頂きたいのですが……」 ちょっと溜息。 「彼等、なんと常時解除不可な不吉で不運で凶運でして。しかも周囲の者にも同じ状態にする能力を持っとりまして――はい、勿論ブレイクフィアー効かない感じで」 何それ。 「まぁ……銃を撃てばあらぬ方向へ、剣を降ればすっぽ抜け、走ればズッ転け、呪文を唱えれば舌を噛み、印を切れば突き指し、気糸が自分に絡まり、回復も上手く行かない……といった感じでしょうねぇ……。 その、めげずに頑張って下さいね? 皆々様だけでなく敵も同じ状況ですし、ねっ」 説明はこんなもんですと言う。……同情の目線。 「し、……失敗は成功の母ですからっ!」 なんか違う、と思った。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:ガンマ | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年03月07日(水)23:52 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●ふぁふぁふぁんぼー 散弾の様に降りしきる大粒の雨、横殴りに叫ぶ風、暗闇を劈く雷光。 不気味な屋敷が闇夜に仄と佇んで居た。 「嵐の洋館ってよー、殺人事件とか起こりそーなモンだけど」 まぁ、そこの住人は毎日殺人を超える事件を起こしてそうだが。『トランシェ』十凪・創太(BNE000002)は濡れた前髪を掻き上げて曲がりくねった道の先の屋敷を見遣る。振る雨に自分だけでなく仲間全員が全身ずぶ濡れ。されど創太はそれが何だと好戦的に笑む。 「そんじゃま、サッサと不幸なんざぶん殴ってぶっ飛ばしてやんぜ! そんで俺様、帰ってからうめぇサイコロステーキ喰うんだ……!」 あ?フラグ?ならそれもファンブんだろきっと。 「不吉で不運で凶運か……戦果を占うまでもない」 どこぞの魔女ではないが、凶しかでないのだろうな。ハイディ・アレンス(BNE000603)はフゥと憂鬱げに息を吐く。一応、パーティの中では最も失敗する確率が低いのは彼女であるのだけれども。 「心を折らないよう、頑張るか……」 嫌な予感しかしない。溜息を噛み殺す。 「巨乳眼鏡っ子でさらにどじっ子、メイドの方はある意味引く手あまただね……」 でも、と『愛を求める少女』アンジェリカ・ミスティオラ(BNE000759)は瞳に静かな怒りを宿し、拳をキュッと握り締める。 「でもEである以上倒さないと。何より巨乳っていうのが許せない。巨乳滅ぶべし、だよ……!」 ゴゴゴゴゴ。そんな擬音が聞こえてきそうな雰囲気である。 対照的に悠然と顎に手を添え興味深げな眼差しをして居るのはヒルデガルド・クレセント・アークセント(BNE003356)、「ドジッこメイドにうっかり執事か」と小さく呟き。 「この組み合わせはエリューションでなければ到底討伐される対象ではないな。フェイトを得られなかったのは彼の者達の不幸の始まりか」 メイド。執事。萌えの文化。 「ある程度のどじっ子なら、全然萌え属性だと思うんだけどね。メイドさん巨乳だし、転ぶ名古屋さんも可愛かったよね」 需要、あるある。頷く『本屋』六・七(BNE003009)の目標は『早めに帰ってあったかいお風呂に入る』。まあ、ファンブルをアトラクションだと思って楽しんでしまおう。 「皆……めげずに頑張ろうね」 サムズアップ。ファンブルなんて稀によくある。パーティ内第二位のファンブラー@七。 「不運系はやめれ!」 そして悲痛な声と共に頭を抱えたのはアークが誇るファンブラー、『人生博徒』坂東・仁太(BNE002354)。 「FB690とか歩いただけで世界滅亡レベルぜよ……」 驚くなかれ、FB23。不運が募れば690。ぱねぇってレベルじゃねーぞ。 しかし心の不安を隠し切れないファンブラー達を余所に、『кулак』仁義・宵子(BNE003094)は上機嫌な……っていうかベロンベロンの状態で。 「うっへへへぇ! よいこちゃんでぃーっす! んふー♪」 どうせ当たらないんならさ、ウォッカをストレート。片手にカラッポの瓶。 「やってみたかったんだぁ、酔拳! ジャーキー・ツゥンも真っ青のぉ、拳闘士らど! シャドーボクシングしちゃうよぉ!」 しゅっしゅ!べろんべろん! 「なんだか大変な屋敷に紛れてしまった気がするでござるが……仕事はしっかりこなすでござるよ……ござるよ!!」 本当に何だか大変だ。『女好き』李 腕鍛(BNE002775)までとっても不安になってくる。 今回、彼の最大の敵は敵性エリューションでは無く味方からのフレンドリーファイヤかもしれない。何が怖いかって、自分を狙った訳ではないので『約束されし不幸』によって回避不可能という所。 「純粋に拙者の回避にかかってるでござる……」 唸れ拙者の超反射神経!でも当るとしても女性の攻撃でござる。 ●デデーン ファンブる。ファンブれば。ファンブるとき。 大広間にてようこそいらっしゃいませ、笑顔で一礼する姿は紛れもなくメイドと執事。 そう、此処は既に恐怖の空間。 緊張が張り詰める。行動が悉く大変な結果になる恐怖。 「嵐でびしょ濡れになってしもたけん、皆の分の替えの服を頼むぜよ執事さん」 と、張り詰めた真っ只中で先陣を切ったのは仁太だった。一時的に場から離脱してくれたら儲けモンやな――と一歩踏み出した瞬間、ゴキリ。足を、足が、足を挫いた。メッチャ横向いた。足の側面着地。 「ギャーーー!! 足がァアァァ」 FB690はダテじゃない! 「ギャーーー!! 足がァアァァ」 一方の執事も仁太の命令通り服を取りに行こうとして同じ状態になっていた。ウッカリ執事はダテじゃない! 「あぁ、もう。掃除も紅茶も良いから、君達じっとしていたまえ」 なんて事を言う七は床を踏み抜いてしまい下半身が埋もれている。悪運さんェ… これがファンブルの恐怖。 なんかもう取り敢えずドエライ目に遭う恐怖。 息を飲み、しかしヒルデガルドは集中を重ねてゆく。たっぷり、じっくり。視界の端では次々と仲間達が動き始めていた。 「良ォし、往くぜッ」 勢い良く地を蹴った創太が蛇腹剣を華麗に抜き放つ。伸び分かれる多節の刃は―― さくっ。 「っつぅ!?」 創太のオデコにサクッとHIT。つーっと伝う血の一滴。 「く、クソ……引っこ抜いた途端に蛇腹剣俺様に直撃とはやるじゃねーかお前ら……!」 「え、我々の所為ですか?」 「えっ、えっ」 「……もういいうっさい冷たい目でみんなうっさい不幸なんざ地力で打ち砕いてやんよ!!」 心がファンブったら負け。挫けない心でやってくのみだと強く地を蹴る。重い打ち込みを放つべく蛇腹剣を振り上げ――蛇腹剣を――アレ、蛇腹剣は? まさかと見遣った。すっぽ抜けた蛇腹剣が宙を舞う姿。 「あ、そっち避けろ! ぶつかっぞ!」 「……え?」 その先には面接着の能力で天井に立っていたアンジェリカの姿が。頭上からライアークラウンを放つべく隙を窺っていたのだが、蛇腹剣の柄がスコーンと額に当たって仰け反って。 「あ」 その衝撃に足が離れて、アンジェリカ落下。メイドごとぺっしゃんこ。 不幸中の幸い――それは、『ボクの不幸はスカート捲れて下着が見えちゃう事、かな?』見ていいのは神父様だけ。あ、でも蝮原さんなら見られてもいいかな?そう思ったアンジェリカがドロワーズを穿いてパンチラだけは防いだ事か。ズボンはポリシーが許さないそうです。因みに普段はどんな下着か内緒だそうです。もし見えちゃった時はサービスという事だそうです。やったね! 「……、」 今の見っとも無い姿なんて無かった。そう言わんばかり、むくりと身を起こしたアンジェリカはすかさず死の爆弾をメイドへ叩き込む。流石に零距離、他者より僅かだけ低い失敗確率、命中する。 「巨乳撲滅! だよ……!」 ハイアンドロウを放つ際に突き指したのは内緒だ!ちょっと思いの外痛くって肩が震えているのも内緒だ! 「スカートを穿いている女性があまりにも少ない……メイドさんを合わせてもほんの少し過ぎるでござる。こんなにも綺麗な女性が揃っているのに……無念」 腕鍛は打ちひしがれていた。見えても良い下着を穿いていくとか言ってたのに。見えなきゃ意味が無い。しかしと頭を振った。冷静になれ腕鍛。外は強風、色んな所に着弾する攻撃……窓が壊れるのも必定。 「ギャー」 パリーン。案の定。何故、どういう力が働いたのは謎だが、敢えて天井へブラックジャックを放った七がピタゴラスなスイッチ的なアレで窓へブッ飛び硝子をかち割り外へ吹っ飛ばされたのである。 カオス空間――しかし、その中で唯一この恐怖の影響を受けない腕鍛なのだ。 「すっごいドジっこのメイドさんがいると聞いて!」 ブロック。肉迫する。もう色々当たっちゃうぐらい肉迫する。嫌だなぁ。拳が頭に当てられる距離にって意味ですよ? 「いきなりこっち来ないで下さいぃ!」 箒のフルスイング。鈍い音。仰け反る腕鍛の頭、そしてそのまますっ転ぶメイド。 「よー。……なあメイド、お前それで仕事なってたのか? いやどうでもいいけどよ。そういうのがいいっつーモノ好きな奴もいるんだろうし」 まぁ恨みは無いがやるっきゃない。創太はしっかり握り締めた剣を思い切り叩きつけた――壁へ。逆に違うとこ狙えば当たんじゃね? 一方で。 「ほいじゃ、拳嘩(ケンカ)! 始めよーか!」 ふらふらへろへろ、千鳥足の宵子がкулакで固めた拳を燃やして執事へ向かう。 「あ、紅茶は如何ですか?」 取り出す紅茶、しかし次の瞬間にズッコケて頭から自分で被り。 「すきありーひっさちゅのごーえんげきら!」 思いっ切り振りかぶる宵子――も、思いっ切りズッコケて。でも立ち上がる。もう一回。当たらない。当たらない。またコケた。帰ったら名古屋の野郎ぶっ飛ばしてやる!ってな訳で頑張って頑張って業炎撃業炎撃業炎撃。 でも、絶望的に当たらなくって。コケて滑って天井からアンジェリカが落ちてきたり創太の蛇腹剣がぶつかったり。 「片付けられねーなら汚しちゃえよ!」 腹癒せにスプレーで壁に落書きして相手の注意を逸らす様に試みてみたり。虚空に向けて拳を繰り出しまくったり。突き指したり。転んだり。当たらなかったり。 「もうやだぁぁああああ! 殴れないと楽しくないよぉ! なーぐーらーせーてーよー!!」 限界。ボロボロの姿で床に寝転がってジタバタ。 「だって当たらないの、よいこ詰まんない……」 そしてすやすやお休みなさい。 「んぅう……アハッ☆ 名古屋ちゃん顔べっこべこだぁ」 良い夢を。 「このようなことでは心はまだ折れない……!」 さり気無く宵子のパンチが大激突したり執事の紅茶がぶつかったりメイドの箒がぶち当ったり反動ダメージが割と痛かったりと災難続きなハイディが運命を燃やしてでも立ち上がった。彼女自身はそんなに失敗していないのだが、周りが。周りが。それでもめげない、杖に告死の呪いなる黒光を纏わせて。 「ウッカリ執事などと認められるものか……執事というモノはもっとこう、シャキッとしてそつなく仕事をこなす存在なのだ……!」 凛然と主張、叩きつける一撃。呪いの殺意は執事の不運を飲み込み蹂躙し反動に見合う威力を以て追い詰める。 (今だ!) その瞬間、カオスの間、巻き込まれたりしっちゃかめっちゃかになったりしながらもずーーっと集中を重ねていたヒルデガルドが遂に動いた。一歩踏み出すが――ファンブル!転倒! 「くっ……仕切り直しだ」 そして一歩踏み出すが――ファンブル!転倒! 「……これは特殊な戦場なのだ、致し方ない」 頷き一歩踏み出すが――ファンブル!転倒! 「……」 涙目。もういい。無闇矢鱈に攻撃連打。もうどうにでもな~れ。しかも集中したは良いもののファンブルしたし。号泣。飛んで来たメイドの芝刈り機が頭に当たって遂に倒れて泣き伏して。 「っつーかこれいつ終わんだよ……くそっ」 壁をメコメコぶん殴っていた創太が舌打ちする。ああもう、蛇腹剣を振り上げて、バランスが崩れて、 「ギャー!」 窓の外へパリーン。 「~~っ!?」 何故かどういう力かアンジェリカも窓の外へパリーン。 ファンブルの恐怖。 そして、それをだれよりも知っているからこそ。 「みんながんばってなぁ~、応援しちょるでぇ」 仁太は離れて安全圏から観戦。ファンブルでロクに動けない――攻略法はここにある。つまり動けないなら動かなきゃいいじゃない。 「今はわっしの動く時ではないぜよ、働いたら負けやと思っている」 キリッ。 と、まぁ、何もしないのもアレなので。 ちょっと近くで倒れている執事へ。 「よしよし、わっしが回復できる秘孔を突いてやるぜよ」 「え、いいんですか」 「んなスキルないけんどノリで出来るっちゅう風に思えば出来るモンぜよ、そぉい!」 「ギャーーーーー!!」 「ん!? 間違ったかいな……」 安定のFB690。なんかやっつけれたので万事解決。ファンブルすごい。 「……。ま、まぁ冗談はここまでや」 消えゆくE・フォースをしり目に立ち上がる。振り見る。メイドのブロックに当たり、その被害を最小限に食い止めている代わりに厳しい状況の腕鍛。既にフェイトも消費している様で。 しかし、出せる手のない仁太には詰み状態。 ならば――彼の盾となる事が最善の一手。不運の無効化、最も有効な手段を持っている彼。 「普段はわっしがよう守られる側やけんな、今回は逆にわっしが守っちゃるわ!」 離れて見ていた分、体力には余裕がある。足を挫いたり転んだり寝ている宵子に躓いたりハイディの呪印封縛に絡まりつつも何とかかんとか戦線へ、パンツァーテュランの巨大な銃砲で受け止めたのはメイドの芝刈り機。 「攻撃はわっしが引き受けるけん」 振り返る。拳に火を灯した仲間へ。 「一発、決めて来いやぁ!」 暴君戦車の重量を以て押し遣れば、尻餅転倒するメイド。ようやっとハイディの呪印がメイドの束縛に成功する。無防備なそこへ――失敗の影響を受けぬ腕鍛の紅い拳が叩き込まれた! 「きゃっ!」 地面を転がるメイド。その傍が爆発する。彼女のファンブル?いや違う。 「ファンブルに負けず格好良く戦ってみせる……」 ゆらり揺らめく人影。また起こる爆発。 「何も無いところで転んだり、変なところを殴っちゃったりしても気にしないさ。皆のファンブルっぷりも甘んじて全て受け止めてやる。ボロボロになろうと許容してやる」 転んだ人影。また爆発。 「けど……何か、楽しくなってきちゃった。そういう訳で爆弾植え付けまくるからね」 硝煙の中から現れたのは、窓の外から舞い戻って来た七だった。宣言通りやたらめったらハイアンドロウを撒き散らす。撒き散らす。先を削ってでも撒き散らす。目に光が無いぞ!でも笑顔だ! 「どうせ呪われた廃墟だ! 何だか無差別爆破事件みたいになってても、全部ファンブルのせいだ!」 ヒャッハー状態、屋敷が揺れる。高笑い。 「CT型としてはファンブルには決して屈したくない……全てはロマンのために!」 そう、全ては浪漫の為に。 クリティカルな超大爆発で有象無象を奇麗さっぱり吹っ飛ばした。 ●ぐしゃー 「やばい! 逃げろ! 崩れるぞーーー!」 目標を倒し一息吐く間もなく、焦りを孕んだハイディの声が皆の鼓膜を打った。 壁を殴ったり天井を殴ったり爆破したりと兎に角メチャクチャやった所為だ。 もうメイドも執事も居ないので失敗する事は無い、急いで避難した暴風雨の外。 「強敵であった、というべきなのだろうか」 崩れた屋敷を何とも言えぬ表情で見守って、ハイディは呟く。当たらなければどうということはないとは言うが、敵には当たらなければどうしようもないな、と。 一先ずは仲間の治療だ。もう失敗はありえないだろう。しかし一人足りない。のは、ヒルデガルドが泣きながら真っ先に帰路に就いたから。泣いているのを見せたくなかった。そして迷子になるのだがそれは別のお話。 「こうかな……?」 アンジェリカはこっそり、観察していたメイドのドジっ子振りを再現練習中。神父様や蝮原さんはどじっ子が好きかもしれないし、その時の為に練習!だそうです。 「ふわ~良く寝たぁ。帰ってから何かしようとしてたんだけどなぁ……忘れちった!」 寝ぼけ眼の宵子もけらけら、濡れて火の点かない煙草を咥えて。 「ま、いっか! 李ちゃんこれから一杯行かない? おねーさん奢っちゃうよ!」 バスンと腕鍛の肩を叩き、もう片方の手は成人している者達を手招き。 豪快に笑って曰く、 「お酒の失敗も、ファンブルも、笑って楽しめれば最強だぜ?」 『了』 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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