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蝮道中壱之巻

●喧嘩上等
 月明かりに照らされた広い川。広い河原。
 対岸同士に立ち、剣呑に睨み合うのは数多のゴロツキ達。二勢力。
「……」
「……」
 先頭に立つ互いのヘッド。ガンを飛ばし合い。
 そして怒号を轟かせた――ぶっ潰せ!!と。

●仁義上等
「こんにちは皆々様、毎度お馴染みメタフレフォーチュナのメルクリィですぞ。
 そしてこちらはヘビスハクリスタの『相模の蝮』こと蝮原様です」
 いつもの事務椅子に座した『歪曲芸師』名古屋・T・メルクリィ(nBNE000209)が機械の掌で示した先、そこには『相模の蝮』蝮原 咬兵(nBNE000020)が悠然と座していた。
「よう、……何だ鳩が豆鉄砲喰らった様な面してよ」
 捕って喰いやしねぇよ。この部屋では見かけぬ姿に目をぱちくりさせるリベリスタに無頼は咽の奥で笑った。
 他所属の彼であるが、何でもブリーフィングに向かうメルクリィに偶々出会し「偶には一緒に如何です」と誘われたとか。特に予定も無かったのと気紛れでそれに乗ったらしい。
 一方で様子を見守りつつフォーチュナは皆へと資料を配り、「サテ」と注意を自らに集める。
「今回は皆々様にドンパチして頂きます」
 そう言う背後モニターには広々とした河原、浅い川。その対岸同士に布陣している――大量の半透明なゴロツキ達。
 二つの勢力を合わせたら60体は居ようか、それぞれのチームの先頭に立つのはヘッドだろう。何やら剣呑な雰囲気だ。
「随分と派手なこった。E・フォースか?」
「ハイ、その通りで御座います蝮原様。
 E・フォースフェーズ1『喧嘩魂』、かつてここでゴロツキ達の大喧嘩があったようで……その闘争の心が思念体となり、今も喧嘩しているとでも言いましょうか。
 喧嘩魂にやられた喧嘩魂は復活しますので、自然消滅は有り得ません。皆々様の出番ですぞ!」
「喧嘩両成敗って奴だな」
 資料に目を落としたまま蝮原が言う。メルクリィが頷く。
「彼等は見たまんま……殴ったり蹴ったり組み付いてきたり。そんなゴロツキ戦法をとってきますぞ。
 ヘッドのゴロツキは若干強いみたいです。フェーズこそ1ですがご油断無く! 数も多いですしね。
 説明は以上ですぞ。……で、もう薄々お気付きでしょうが今回は蝮原様もご同行なさるので」
「――宜しく頼むぜ」
 資料を置いた蝮原と目があった。こちらこそ、と返しておく。
 一連にフォーチュナはニコヤカに笑んだ。
「それでは皆々様! お怪我の無いよう……応援しとりますぞ!」






■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:ガンマ  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2012年02月04日(土)23:38
●目標
 E・フォースフェーズ1『喧嘩魂』の群の討伐

●登場
E・フォースフェーズ1『喧嘩魂』
 ゴロツキの思念体の群。60体ぐらいはいる。
 二人いるヘッドは若干強め
>主な戦法
 殴る蹴るバットで殴るナイフで刺す等々。
 ショック、出血を伴う場合も

●場所
 郊外の河と河原。川は広く浅く流れもゆっくり
 時間帯は夜。月明かりや街灯で明るい

●その他
 喧嘩魂達の戦いが始まった直後ぐらいから始まります
 喧嘩魂が倒した喧嘩魂は復活します

●蝮原について
 蝮原への指示があればプレイングに記入して下さい。
 クリミナルスタアの大方のスキルが使えます。
 特に指定が無ければ空気です。

●STより
 こんにちはガンマです。
 若頭と一緒に喧嘩上等仁義上等。
 宜しく御願い致します。




参加NPC
蝮原 咬兵 (nBNE000020)
 


■メイン参加者 8人■
ナイトクリーク
ウーニャ・タランテラ(BNE000010)
デュランダル
鬼蔭 虎鐵(BNE000034)
ナイトクリーク
アンジェリカ・ミスティオラ(BNE000759)
覇界闘士
★MVP
宮部乃宮 火車(BNE001845)
クリミナルスタア
関 狄龍(BNE002760)
スターサジタリー
黒須 櫂(BNE003252)
インヤンマスター
風宮 紫月(BNE003411)
クリミナルスタア
灰戸・晴天(BNE003474)

●物理で殴れば問題ない
 絶好の喧嘩日和とでも言いたくなる素敵な夜に違いない。

「わーい、喧嘩だ喧嘩だぶっつぶせー♪」
 上機嫌にぴょんこと跳ねて、『ピンクの害獣』ウーニャ・タランテラ(BNE000010)が夜光にピンクの髪を靡かせた。
 街明かり。濃密に荒々し危険の気配。ぞわぞわと本能的な心の底が疼く。何だか暴れたい気分なのよね、と『十字架の弾丸』黒須 櫂(BNE003252)は自動拳銃:神鷹の鋭い銃身へと目を落とした。キリリと凛々しいその目線。櫂はこの任務に臨む前、女番長何たらだとか何とか牡丹だとかいった所謂『任侠・ヤンキー映画』を幾つか観てきたのである。
(ほら、よくあるじゃない?観た後って気持ちが大きくなって肩で風切る気分になるって)
 勿論表には出さず――クールに任務を全うする心算だが。
「喧嘩は実際のところ、そう好きじゃないものの……」
 トレードマークでもある黒いカウボーイハットをちょいと指先で押し上げ、灰戸・晴天(BNE003474)は真っ直ぐな目で彼方を見遣った。
「ひとたび火がつけば、それはそれで乗っちゃうんだよな。気分が高揚するって言うか……それって好きってことか、もしかして?」
 なんて自問自答。兎にも角にも仕事だ、経験が浅いなりにも精一杯頑張らないと――そう思うのは『朔ノ月』風宮 紫月(BNE003411)も同じく。
「此度は、純粋な戦闘の任務……ですね。今までにない勉強になりそうです、全力で学ばせて頂きましょう」
 緊張を孕んだ声音。周りの先達に混じりながら良い経験を積ませて貰う機会。
(それに……)
 今回はかの『相模の蝮』と呼ばれた『彼』も居るとの事で。守護の印を切りながら視線を遣れば『愛を求める少女』アンジェリカ・ミスティオラ(BNE000759)が頬を紅潮させて彼を見上げていた。
「よ、よろしくお願いします……」
 ゴシックドレスを摘まんでお辞儀。夏の福利厚生以来、見た目は違うが愛する神父に雰囲気が似ている彼――愛するのはその神父だけだけれど、ちょっとドキドキしちゃう。
「おう、頼むぜ」
 そう答えた咬兵へ、今度は『自称・雷音の夫』鬼蔭 虎鐵(BNE000034)が浮き浮きとした様子で語りかけた。
「まさか時村の矢以降また咬兵と戦える日が来るとは思わなかったでござる。あの頃より全然いい状況ではござるが油断はせずに行くでござるよ!」
「本当に……数奇なもんだな、運命って奴ァ。『今回も』一つ頼むぜ、鬼蔭?」
「勿論でござる! 拙者達だって成長してる所を見せてやるでござるー」
 鬼影兼久を抜き放ちリミットオフ、鈍色蛇を構えて仁義上等。本当に今となっては懐かしい記憶――激戦死闘の数奇な記憶――
「思い出すぜ……矢ん時を」
 鬼爆をガツンを搗ち合わせ、『業炎撃』宮部乃宮 火車(BNE001845)の瞳には燃え滾る闘志の一念。
「あん時と違って、打倒すべき敵は自爆とかつまらん事しねーで? オレ等が粉砕するまで何度も復活してくるって? 良いねぇ……」
 自然と釣り上がる口角。拳に彩られた闘争が手招きをしている。早く、早く、早く来いよと。上等だ。
「全部ブッ潰して完全勝利もぎ取れんじゃねーか。俄然面白くなってきたぜ……!」
 拳に炎。瞳に炎。心に炎。さぁ往こうじゃないか、もう待ち切れない。待ってなんかやらない。

●殴った奴が勝ち
 ド派手な、ド派手な、大喧嘩だった。
「もう始まっていますね……ならば、割り込――」
「おォいお前らー!」
 緊張に息を飲む紫月を遮って。ゴツい手甲型のアタッチメント【明天】【昨天】を高く掲げた『錆天大聖』関 狄龍(BNE002760)が声を張り上げた。
「クソ面白そうな事やってンじゃねェか。俺も混ぜろー♪」
 ぴょーん。飛び出す。良い笑顔。握り締めた拳で取り敢えず一番近くに居た奴をぶん殴りながら。
「なに? 喧嘩が弱い? ショーガナイナー喧嘩を しようよ」
 まずは割って入るのに殴らないとだよね。暴れたいだけじゃないかって?そうだよ!

「もう始まってるぅ? 乗り遅れじゃねーか! 始めてんじゃねぇぞぉ!? 踊れコラァ! 殴るぞぉオラ!」
 火車も飛び出し、腹の底から笑いながら燃え盛る拳で喧嘩魂の顔面を膂力の限りぶん殴る。また来るのをぶん殴る。取り敢えず視界に入ったのをぶん殴ってぶち殴って殴り倒してはっ倒す!
 しかしまぁなんという数だ。四方八方所じゃない――真ん中へ往くのには苦労しそうだ。また一つ燃える拳を振るった火車は咬兵へと振り返る。
「蝮のおっさんよぉ! もっと良い場所あんだろぉ!? 道作れよぉ!」
「は。人使いの荒い奴だな――ちゃんと通って来いよ?」
 言うなり、飛び出し、荒れ狂う大蛇が如く。拳で殴り伏せ、弾丸で穿ち潰し、手の届く有象無象を圧倒する。
「ぎゃははは! 良いぜぇサンキュー! 折角だから蝮のおっさんも楽しんでけよぉ!」
「おう、派手に往こうや」
 交わした視線は一瞬。闘争。戦闘。喧嘩をしよう。
(カッコいい……)
 ちょっとドキドキするアンジェリカだったが、気を抜いている暇はない。何せ敵は四方八方、影の従者を呼び出した。

「さて、行くでござるよ!」
「ちょっと強引にいくわよ!」
 開けた道が閉じる前に。虎鐡は鬼影兼久の黒い刃に煌めきを纏い、ウーニャはFOOL the Jokerの嗤う道化を指先に乗せて。
 切り込む――怒涛のラッシュ、カードのダンス。更に降り注いだのは氷の雨。
「長期戦になってしまうのは、拙いですね……やはり、迅速に事を終わらせませんと……!」
 印を切り、陣取る為に紫月は仲間と走る。
「数だけで見りゃ、こっちが不利……でも、そういう時こそ、燃えるってもんだな!」
 よろしく頼むぜ、皆。片手で帽子を落とさぬよう抑えつつ銃指を向け狙い、晴天が放つのは地味に特技でもある早撃ち。狙いは脚。転んだそこを櫂のスターライトシュートが容赦なく撃ち貫いた。
「生身の敵でも無いし、たまには気持ちよくぶっ放すのもいいでしょ」
 くるんと手の中で愛銃を回し、再度撃ってまとめてぶっ飛ばし――あ、楽しくなってきた。
(……いけない、冷静に)
 ぐっと息を飲んで。

「オレが殴るまで消えるんじゃあねえぞオイ! 喧嘩は楽しくやんねーとなぁ!?」
 なるたけ敵を引き付けたい、その為にも火車は声を張り上げる。囲まれ、殴られけられ切り付けられ、そしてそれら全てを殴り倒す。見遣れば円陣は既に完成、後は徹底的に殴るのみ――一歩、円陣の真ん中に居る仲間を狙おうとしている者へ。業炎の拳を振り上げて、
「おぅらっ! 女子供構ってねーでかかって来いよぉ! コシヌケ共がァッ!」
 ぶっ潰す!
 横っ面だろうがなんだろうが関係ない。
 叩かれても。蹴られても。刺されても。
 関係無い。問題無い。
 殴る。殴る!殴る!!
 寄ってきたら、前に出て、業炎撃で、盛大に暴れる!

「上等だぜ!!! 来いやぁああッ!!!」

 血唾を吐き捨て、鬼の文字。鬼神の如く、紅蓮の拳が火を噴いた。
 彼ほど『業炎拳』が似合う男は居ないだろう。血で、火で、真っ赤に染まる彼の前に立つ者は例外無く――その右拳に描かれた『爆』の文字を最期の視界に焼き付けるのだろう。

「わははは! 東西南北(とんなんしゃーぺい)みぎひだりィ、まわり全部が敵だらけ! 器用貧乏と言わば言え――俺は! 殴る! そして撃つ!」
 一方の狄龍も火車に負けじと大暴れ。少なくとも自分が殴られれば仲間への被害がそれだけ減る――じわじわ削れば、気付いた時にゃ二陣の王様は丸裸って寸法だ。真っ正面から凄んで来た者を兇の睥睨で捩じ伏せて、迫る拳を拳で迎え撃ち――

「ガス欠? 弾切れ? 知らねェなァ! そンでトドメはハチの巣だおらっしゃあああああ!!」

 右が明日で昨日が左。十の指から繰り出される何百もの弾丸が雨霰と空を覆い尽し、紫月の氷雨と共に地上の有象無象へと降り注いだ。
「喧嘩上等……とまでは言いませんが」
 紫月が続けて練り上げる術は、破魔が為。

 自己を貫く為の私闘を理解出来ない訳ではない。
 それこそが、戦う理由であり。なによりも、自分足らしめている。
 そういった人は何人か知っている、が──それとこれとはまた別の話。

「喧嘩両成敗、でしたか? こちらにも止めねばならない理由がありますので─―一切遠慮は致しません」

 ブレイクフィアー。自分を護ってくれている仲間の血を、意識のブレを払拭して。その光を浴びながら、罵声と暴力に満ち満ちた喧嘩魂達の頭部を踏み台に櫂が一閃に駆けて往く。
「やっちまえー!」
 彼女を援護するのは晴天の高速正確な弾丸、そしてアンジェリカの破滅のオーラ。斯くして櫂がひらりと夜空に舞った――黒揚羽が如く。

「悪いけど、私に仁義は無いの……だってカタギだもの」

 神鷹、雨燕。弾丸と刃のエアリアル。掻き乱す。飛び下がる眼下には黒い刃を鋭く振るう虎鐡の姿が。
「すまないでござるが回復を頼むでござる!」
「任せて……!」
 放つ息吹は癒しの祝詞。消える痛みに息を吐き、跳び下がったそこにて咬兵の背中と合わさった。虎と蛇が睨み据える360度には敵ばかり、殺気ばかり。それでも虎鐡の口元には――『素』の笑み、背後の無頼に小さく呟く。
「燃えてくるじゃねぇか。あの時の死地を思い出させやがる。なぁ? 咬兵」
「っくく、違いねぇ――往くぜ、鬼蔭!」
「おうよ!!」
 荒れ狂い、薙ぎ倒す。

 その様に感心しながら――しかし晴天は決して気を緩めない。兎にも角にも確実に、1人1人を相手に。
 前後左右、常に神経は張りめぐらせて……スピードと、正確さを。
 ス、と息を止める。鼓膜の裏から聞こえてくる心臓の音。
(俺のレベルじゃスキルの威力だって十分じゃねえ……)
 でも、だからこそ。やれることを一つでも多く。
 放つ弾丸は仲間が為。体勢を揺らめかせた喧嘩魂の背後にて忍び寄るのはアンジェリカ、その手に持ったブラックコードを敵の首に掛け――細い指先でしなやかに引いた。傍を通り過ぎた櫂の光弾に少女の黒髪が靡く、紅睨が煌めく。

●傷が勲章、アンタが大将
 復活する間も与えずカタをつけてやろう。
「喧嘩はね、最後まで立ってた奴が勝ちなの……こっちもしぶといのがそろってるわよ?」
 FOOL the Joker――それが齎すのは素晴らしいツキと過酷な運命。踊り躍るウーニャと共に月にて煌めき切り裂く舞踏。熱で標的を捉える暗殺者は決して味方を傷付けない。
 強固に組んだ陣が、鬼神の如く荒ぶる者が、その傷を癒す者が、それぞれが協力し合い力を引き出し合いリベリスタに未だ倒れた者は居ない。
 ウーニャのカードがまた一つ喧嘩魂を切り裂いた――斯くしてその先に居たのは、正に取っ組みあっている真っ最中のヘッド二人。
「おう蝮の! 悪いが背中を頼まれてくれや! そンかわし、俺がアンタの背に着くぜ!?」
「しっかり頼むぜ?」
 跳び出したのは狄龍と咬兵、その弾丸と拳を以て取っ組みあうヘッドを引き剥がす。
「「!?」」
 圧し遣られたヘッドのそれぞれの先。

「この喧嘩、私が買ってやるわ。かかってきなさい」

 嗤う道化と鮮紅色のブラッディロア。
 ウーニャの掲げたFOOL the Joker、その彼方には血塗られた呪いの力によって疑似的な『滅びの月』が生み出されており。
「暴れたい気持ちはわかるけど、永遠に繰り返すのは不毛すぎる……」
 叫び、バットを振り上げ吶喊してくるヘッドとその子分を静かに見据え。
 崩壊の月は赤く赤く。

「こんな夜は血の雨と滴るような赤い月が相応しい。――もう、お休みの時間よ」

 振り下ろす手、解き放つ月光、紅い輝きが告げるのは真の不吉。逃れ得ぬ破滅。焼き尽くす。
「Good night.せめて良い夢を」

 その一方、もう一人のヘッドの視界。
 ドツ、鈍い衝撃。火車の頭部を強かに打ち据えた釘バット。更に背後から子分達が猛攻する。が――
「……あァ? ヘッドが出て来たぁ? 雑魚に構ってられっかゴォァァ!」
 頭突きで振り下ろされたバットを粉砕し、ドラマティックに拳炎上。だらだらと顔面を伝う血にニィッと口角を吊り上げて。その気迫に思わず喧嘩魂が半歩下がった。
「オレの喧嘩は後退のネジ外れてんだ……買ってやんよぉ……値引きは無しだ、拝ませてやんよ……拳一本……! 喧嘩意地!!」
 ガツン、搗ち合わせた鬼爆から火花が飛び散った。業炎が灯った。逆境の底力。火事場の馬鹿力。

「『待』ってたぜェ!? この『瞬間』(とき)をよォー!? 手前等全員! ブッ潰してやるぁぁああっ!!」

 正に、紅蓮の火を吹く火山が如く。
 何もかも焼き尽くして、一切合財をぶっ潰した。

●夕日をバックに『終』のエンドマーク!
 なんて、櫂は想像してみる……まぁ、実際は夜なのだが。
 見渡す一帯は火車が拳と共に撒き散らした火が漸く消え、喧嘩魂も消え去り、夜らしい静けさがシンと横たわっている。
「流石に疲れたわ……でもなんだか心地良い」
 夜風に火照った頬を委ね、靡く黒髪を掻き上げる。少女の口元には静かな笑みが灯っていた。
(それにしても、蝮原はこういうシチュエーションで絵になるわね)
 見遣る彼方の蛇の無頼。紫月も同じく彼を見ていたのか、フムと口元に手を添えしみじみと。
「それにしても……『相模の蝮』ですか。やはり、さすがですね」
 と、兎にも角にも一息を吐く。
「ん~、久しぶりに暴れてすっきり! また機会があればよろしくね♪」
 ウーニャはやっぱり上機嫌にぐっと伸びを、ニッコリ笑んで。

「あの」
 アンジェリカは皆に『お疲れ様』の言葉と熱いお茶を配って回っていた。そうして最後にやって来たのは咬兵の元。
「これ……どうぞ」
 もじもじ、少し顔を赤くして。
「気が効くな、ありがとよ」
「…… !」
 薄笑みと共に返された礼に、少女の顔がボフンと赤くなる。長い黒髪を弄りながらあたふたと。
「あ、でもこれは浮気じゃないよ。ボクが愛するのは神父様だけ。本当だよ」
「……?」
 事情を知らぬ咬兵には何の事やら。そして名を呼ばれ振り返ってみれば上機嫌の虎鐡が居た。
「どうでござるか? これから一杯。勿論拙者の奢りでござる!」
 それは陰ト陽にて交わした約束。お前の驕りなら考えといてやる、と言ったから。
「……期待してるぜ?」
 否、と答える理由があろうか。
「仕事上がりの一杯も中々乙だと思うでござるよな」
「シケた店なら承知しねぇぞ?」
 等と、夜の町へ歩き出すのを見送って。

「さて――私達も帰途へとつきましょうか」
 紫月の笑みで、他の者も三高平へ歩き出す。




『了』

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
メルクリィ:
「お疲れ様です皆々様、ご無事で何よりですぞ。ゆっくり休んで体の疲れを取って下さいね」
咬兵:
「悪くなかったぜ。それから、御馳走さん」

 だそうです。お疲れ様でした。
 如何だったでしょうか。

 MVPは火車さんへ。文字通り『熱い』プレイングで物凄く恰好良かったです!!

 これからの依頼も頑張って下さいね。
 お疲れ様でした、ご参加ありがとうございました!