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ねばー ねばー ねばー ぎぶあっぷ


「由々しき事態」
 そう呟いた『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)が呆れた顔で目を細める。
「あ……あたしが悪かったって言ってるのだわ!」
 蛇に睨まれたカエルのような表情で、『深謀浅慮』梅子・エインズワース(nBNE000013)が虚勢を張った。
 いつものようにブリーフィングルームに集められたリベリスタたちは――しかし、資材倉庫の一角、まだ何も収納物がなかったはずの部屋の前に連れてこられていた。
 その扉の前で始まった、突然の糾弾。
 事態が飲み込めないままそれを見ているリベリスタたちに向き直り、イヴが口元を引き締めた。
「説明する。
 ――ここ数日、鬼に関連する依頼が散見されている。
 それに対し、梅子が、研究開発室に一つの依頼を持ちかけた」
 この黒いのも、暴れてるばかりかと思ったらたまには仕事しようとか思うこともあるらしい。
 しかしそれにしては、イヴの目は冷たく、梅子は妙にしょげている。

「ここに、実際に手がけた研究職員を締め上げ――尋も――問いただしたときの証言がある」
 ずいぶんと不穏な言葉を言いかけては修正したイヴが、ポーチからICレコーダーを取り出した。
 再生ボタンをぽちり。
『ウメコです! ウメコに頼まれ……ぎゃああ!!
 鬼が相手なら、豆をまけばいいのだわ! とか言い出してっ!
 ほ、本当です、本当ですよ! 信じてくださっ、あ、やめて僕それは、いやー!?』
 かちり。
 再生が止まった廊下に、イヤーな感じの沈黙が落ちる。
「今のうちに言っておく」
 イヴの声が冷たく響く。
「逃げても無駄。資材倉庫スペースの入口を通り過ぎた時点で、鍵をかけてある。
 そのうえで、みんながこの部屋に入ったら、私が外から鍵をかける」
 イヴさん。そろそろ教えてください、いったい何があったんですか。

「梅子の頼みに賛同した暇な職員が、無許可で大量の豆を集めて研究を始めたのが、この部屋。
 途中で、豆は豆だし効果がありそう、とか言いながら梅子が納豆を持ってきた。
 ――あとから調べて、頭が痛くなった。
 その納豆、エリューション化してたの。しかも無駄にステルス持ちだった」

 リベリスタたちの頭も、やんわり頭痛が痛い感じ。
 イヴはその表情を見回して、少し沈痛な面持ちを浮かべた。
「爆発的な増殖性革醒現象――その結果、この部屋にある豆は、すべて納豆化した。
 中には革醒していないのもあるかもしれないけど、ステルスのせいで見分けるのは困難」

 逃げていいですか。

「ダメ。――はい、これ。使って」
 きっぱりと告げて、イヴが差し出してきたのは、お椀とお箸、そして納豆のたれだった。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:ももんが  
■難易度:VERY EASY ■ イベントシナリオ
■参加人数制限: なし ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2012年02月09日(木)22:45
ももんがは何を書いているんだ。
資材倉庫いっぱいの納豆を食べつくしてください。

●成功条件
納豆を食べつくす
(参加者の3分の1以上が「食べつくす」と表記することでクリア可能)

●資材倉庫
ちょっと大きめの会議室くらいのスペース。
その部屋の半分以上を、豆の入った発泡スチロールが埋めていました。
今は、すべて納豆です。

●におい対策
苦手な人は頑張って。
得意な人でもそれなりにきついです。

●追加食材
プレイングで宣言すれば、ある程度は許可されるものとします。
ただし、もし納豆混入の結果ゲテ化しても全部食べなければいけません。
ゲテ化したものは、ゲテ化させた人に食べる責任がある、と判断されます。

●参加NPC
真白イヴ
梅子・エインズワース

●これはイベントシナリオです
・内容を絞ったプレイングをかける事をお勧めします。
・特定の誰かと絡みたい場合は『時村沙織 (nBNE000500)』といった風にIDと名前を全て表記するようにして下さい。又、グループでの参加の場合(絡みたい場合)は参加者全員【グループ名】というタグをプレイングに用意するようにして下さい。(このタグでくくっている場合は個別のフルネームをIDつきで書く必要はありません)
・NPCを構いたい場合も同じですが、IDとフルネームは必要ありません。名前でOKです。
・参加料金は50LPです。
・予約期間と参加者制限数はありません。参加ボタンを押した時点で参加が確定します。
・イベントシナリオでは全員のキャラクター描写が行なわれない可能性があります。
・未成年の飲酒喫煙など、公序良俗等に反するものは描写しません。

 頑張って食べつくしてくださいね!
参加NPC
梅子・エインズワース (nBNE000013)
 


■メイン参加者 34人■
覇界闘士
御厨・夏栖斗(BNE000004)
覇界闘士
テテロ ミーノ(BNE000011)
クロスイージス
アラストール・ロード・ナイトオブライエン(BNE000024)
覇界闘士
★MVP
ヘルマン・バルシュミーデ(BNE000166)
ナイトクリーク
犬束・うさぎ(BNE000189)
デュランダル
結城 ”Dragon” 竜一(BNE000210)
クロスイージス
新田・快(BNE000439)
マグメイガス
雲野 杏(BNE000582)
デュランダル
新城・拓真(BNE000644)
デュランダル
桜小路・静(BNE000915)
ソードミラージュ
戦場ヶ原・ブリュンヒルデ・舞姫(BNE000932)
デュランダル
四門 零二(BNE001044)
インヤンマスター
焦燥院 ”Buddha” フツ(BNE001054)
ソードミラージュ
天風・亘(BNE001105)
スターサジタリー
リーゼロット・グランシール(BNE001266)
マグメイガス
イーゼリット・イシュター(BNE001996)
デュランダル
イーリス・イシュター(BNE002051)
覇界闘士
阿部・高和(BNE002103)
ソードミラージュ
鴉魔・終(BNE002283)
ホーリーメイガス
救慈 冥真(BNE002380)
クリミナルスタア
関 狄龍(BNE002760)
クリミナルスタア
烏頭森・ハガル・エーデルワイス(BNE002939)
スターサジタリー
ユウ・バスタード(BNE003137)
プロアデプト
エリエリ・L・裁谷(BNE003177)
ナイトクリーク
荒苦那・まお(BNE003202)
スターサジタリー
黒須 櫂(BNE003252)
覇界闘士
霧谷 燕(BNE003278)
ホーリーメイガス
氷河・凛子(BNE003330)
ダークナイト
ユーキ・R・ブランド(BNE003416)
ダークナイト
アルトリア・ロード・バルトロメイ(BNE003425)
ダークナイト
ウィンヘヴン・ビューハート(BNE003432)
ダークナイト
ブリジット・プレオベール(BNE003434)
クリミナルスタア
灰戸・晴天(BNE003474)
ダークナイト
滝川 宗兵衛(BNE003506)


 文字通り蟻の這い出る隙間もないほど、の厳重な警戒を持って、扉が開かれる。
 倉庫内へと放り込むように叩きこまれ、『誰が為の力』新城・拓真(BNE000644)が唸った。
「……さて、今回の食べ物エリューションは……納豆か。
 なんというか、本当に何でもエリューション化するんだな……」
 アークはこれまでも、様々な種類の物がエリューション化したのを引き取っては『処理』を行なっている。エリューションがエリューションであるかぎり、その対処はやはりエリューションの力を持って行うのが望ましいことが多いからだ。
 そしてその対象物が食品である場合には――がんばれリベリスタたちの胃袋。
 捨てるとか、もったいないもんね。
 彼らは各々、持ち込んだ食材や調理器具、箸などの食器類を手に押し込められていた。
 拓真が持参したのは熱いお茶、そして白米だったが――ともするとお茶の香ばしい匂いなど、掻き消されてしまいそうである。
 何に、なんて聞かないでください。
 どこから手をつけたものか悩む者もいる中、『重金属姫』雲野 杏(BNE000582)は一人、精神を研ぎ澄ませ、じっと目を閉じている。
 ――食事とは神聖なものである。
 杏のモノローグを聞くものは、いない。だがそれでいい。
 ――これはルール。アタシが独りで食事を取る時のルール。
 他の生命を自らの体内に取り込み同化するという儀式――
 そして彼女は、瞑想から醒めるかのように開いた目を、目の前のそれらへと向ける。
 炊きたてご飯に納豆と卵を混ぜ、鰹節とちりめんをまぶした物をのりで巻いた物へと。
「以前、エリューション化した納豆を撃破する過程でアタシは心苦しくも納豆様に手を上げてしまった。
 エリューションとは言えど、納豆様に。
 ――その謝罪の思いを込めて、申し上げます」
 両の掌を打ち合わせ、杏は高らかに宣言する。
「頂戴致します」
 幾人かが、その言葉につられるように声を上げた。

「いただきます!」


「さあ、ついに始まりました、数分前にふと思いついて「一番沢山食べた人が皆に一つ命令できるって賭け勝負しません?」「いーよー」で決定した壮大な納豆バトル、【N-1】!
 唐突過ぎて参加者数人しか居ないビッグイベント! ドキドキしますねこのヤッツケ感」
 テンション高く無表情に、『夜翔け鳩』犬束・うさぎ(BNE000189)が握った箸をマイク代わりに突然の司会をはじめる。
「おうよっ! メタルフレームの食欲舐めンなよ? 喰い過ぎて鼻血出すんじゃねェぞ!」
 切り返す『錆天大聖』関 狄龍(BNE002760)のマイクパフォーマンス。マイクないけど。
 ところで納豆は大丈夫なんですか。
「俺? 香港生まれだけど、何でも喰うよ。匂い系は強い方なんだぜ」
 アジア料理にも臭いのきついものは多いということか。
「矜持と信念と意地をかけたフードバトル!N(ナットウ)-1グランプリ!
 邪悪ロリとして負けるわけにはいかない。……あれ? まけても別に困らない気がします。
 でも勝ったら命令権はおいしいです。手に入れて邪悪ロリ旋風を吹かせまくります」
 勝ちたいのか負けなきゃいいのか、『磔刑バリアント』エリエリ・L・裁谷(BNE003177)の意気込みは少々難しい。
「なんかいつの間にか納豆大食いバトルみたいなことに巻き込まれてたんですが。
 え? 勝ったらなんでもひとつ言うこと聞かせられる?
 や、やだなあわたくしそんな大食いなほうじゃないし……自信ないなあ」
 自信なさげな『おいしい大豆』ヘルマン・バルシュミーデ(BNE000166)だが、周囲の目は違う。
「おっ、アレは! 納豆リベリスタで有名なヘルマンじゃねェか!」
 なっとうりべりすた。
「これは……わたし子供ですので、ハンデを要求するのです。
 わたしがたべた納豆の量は2倍と換算する! これです!
 これならわたしにも勝ち目がある、はず」
 汚いなさすが邪悪ロリきたない。
「あ、ハンデはOKで」
「わたくしも構いませんが」
 さらりと受け入れるうさぎとヘルマン。
「他に異議はありますか? ありませんね?
 では――納豆(ルビ:ガ○○ム)ファイト! レディー! ゴォー!」
 端から見てた人や、叫んだうさぎの頭を「何だろうこのテンション」という言葉がよぎる。
 多分ノリとか勢いとか。


「今度はタダ納豆ですか、梅子さんは素晴らしい事をしてくれましたね」
「食費が厳しい時には嬉しい依頼よね……」
『銃火の猟犬』リーゼロット・グランシール(BNE001266)の言葉に『十字架の弾丸』黒須 櫂(BNE003252)が妙にしみじみと同意を返す。
 二人の前には、炊きたてのご飯。そしてネギ。あと卵。
 経費で落ちたよ! やったねリーゼちゃん!
 ところでネギがザルいっぱいというのは、少々、臭いがきつい。
 納豆+ねぎ。
「そんなの気にしたら負けなのよ。うん。ねばねばなっとう……」
 いつしかぶつぶつと歌いながら自分に言い聞かせ、櫂は納豆とネギをこれでもかってくらい混ぜまくる。
「やっぱり、においは! なかなかに、きついのです!」
 力強い宣言(?)は『あほの子』イーリス・イシュター(BNE002051)のものである。
「でもでも! これも、修行なのです!! いっぱいたべて、つよく、おおきくなるのです!
 それに、わたし、知ったのです。じつは! 納豆は、すごく、おいしいのです!」
 美味しい奴は美味しい、と。
 苦手な人に対し、好きな人がなぜかよく言う言葉である。
 ――美味しいやつに出会えた人は、幸せだと思う。
「もしも将来! わたしっ! 納豆職人になったら! この最強の味を再現するのです!」
 英雄になるんじゃなかったのか。
 イーリスもまた、納豆にネギを入れている。醤油をかけて、熱々のご飯にのせて。
「いっぱい、たべるのです!」
 これでもか! これでもか!
「納豆大好きリベリスタ、略してねばりすたの私です」
 ねばりすた。
『ミックス』ユウ・バスタード(BNE003137)はそう自称する。
「このねっとり感、まぜまぜ前提の美味しさ……いいですよねえ。
 ネギを刻むと美味さダイナマイトです!」
 彼女もまた、ネギ前提の人であるようだ。
「うっふっふっふ……ねればねるほどねばりがついて、こうやってネギをいれて……」
 \ う ま い / (テーレッテー)
 ……今、魔女の帽子とたくさんの電球が彼女の後ろに見えた人、挙手。

 さらに臭いの強い一角があった。
 灰戸・晴天(BNE003474)と『自称 大ふへん者』滝川 宗兵衛(BNE003506)の二人が座る一角である。
「納豆は好きさ。まぁ……ものにゃ限度ってものもあるけどな。
 だがそんなことも言ってられねーな。健康のため、皆のため。お腹いっぱい、頂きます」
 匂い移りを嫌って、愛用のカウボーイハットを脱いだ晴天がそう言いながら机の上に並べたのは、きざみねぎ、マグロの刺身、そしてキムチ。
「まさか初任務が納豆を食べるお仕事だとは思わなかったがな。腹も減ったしな。食っていくか。
 納豆はかき混ぜるほど美味くなるとは良く聞く、根気良く数百回まぜてみようじゃないか」
 宗兵衛が取り出したのは、白米、そしてキムチ。しかも激辛の白菜キムチである。
「俺は激辛マニアだからな、これでご飯がすすむわけだ。フハハハ」
 和食好きの『Knight of Dawn』ブリジット・プレオベール(BNE003434)が、鼻に手を当てた。
「香りがきついですわね。気にしたら余計に辛くなったような気がしますわ」
 最初の頃こそ、この納豆の食べ放題はまさに天国ですわね、と喜んでいた彼女であったが、そうでなくても凄まじい納豆の匂いに加え、持ち込みのネギ臭なども混ざり合うことは、想定外だったのだろう。
「う……これでは食事どころではありませんわ。とりあえず外に……って開かない!?」
 蟻の子一匹、いや、納豆の豆粒一つでさえ逃さないこの包囲網!
『ごめんね、我慢して』
 外から聞こえるイヴの声。現実は非情である。
「外に! 外に出してください! 空気が、空気が澱んでますわよ!?」
 ブリジット、涙目。


「うめえ! うめえよ! はふはふもしゃもしゃごっくん」
 嬉しそうに頬張る狄龍。
「う、うめぇ! まるで上質な納豆を食べているかのようだ!」
 うさぎは無表情。
「……」
 黙々と食べるエリエリ。
「あーおいしいなー」
 ヘルマンは幸せそうに食べている。


「さあ、イヴたん、こっちで一緒に食べよう!
 納豆は美容にも健康にもいいんだよ!
 食べすぎは問題だろうけど、適切な接種はいいことづくめだよ!
 ただでさえ、ぷにぷにつるつるすべすべなイヴたんのお肌がさらにぴっかぴかだよ!」
 締め切られたドアの向こうに、懇願、むしろ哀願するかのような声をかける『原初の混沌』結城 竜一(BNE000210)。しかしその内容は哀願というより愛玩が目的である。
「納豆の臭みとかダメなら、薬味を入れるといいよ! ネギとかカラシだね!
 数十回はちゃんとかきまぜてね! 一生懸命かき混ぜるイヴたんかわいい!
 味に飽きたら俺が納豆チャーハンつくるよ! イヴたんのために! ぺろぺろ!」
 待て今何を舐めた?
「はっほうひゃーはん? ほいひいほ? (納豆チャーハン? 美味しいの?)」
「あー、梅子さんっすか? 成長するためにも一杯食べてきてくださいーッス!」
 鼻を手で摘んだ梅子がそれを聞きつけて竜一に近寄るが、恐ろしく軽くあしらわれた。
「はひほはひほはんはほほー!! (何よ何よ何なのよー!!)」
「よー! 梅子元気ぃ? 納豆たのしんでる?」
 そこにもう一つ気楽な声をかけたのは『高校生イケメン覇界闘士』御厨・夏栖斗(BNE000004)。
「今日はいないよね! あの金髪の悪魔みたいなあの人」
 いませんが、そんなあとが怖いことを言わないでください><
「っていうか、確かに豆まいて鬼退治は基本だけどさ。
 さすがに納豆はないわー。腐ってるじゃん。
 それにしてもよくエリューション納豆みっけてきたね。
 すごいなあ! 梅子は! アホだなあ」
「はへはあほはー!! (誰がアホかー!!)」
「いやー、褒めてるんだって! ここまで迷惑かけれるのもある意味才能だって! ちょーかっけー」
 夏栖斗くんってば納豆ご飯もぐもぐしながらにやにやと。
(悪魔がいないからな! 思う存分いじめれるぞ!)
 ……後でどうなるか、知ーらないっと。
 すごい涙目になってる梅子の、その肩をぽん、と叩く手に振り向けばそこにはマスクをかけた『もそもそ』荒苦那・まお(BNE003202)の姿。
「梅子様は悪く無いとまおは思います。悪いのは覚醒していた納豆さんです」
「ほ……ほうほへ、ほうはほはわ! (そ……そうよね、そうなのだわ!)」
 お片づけをしようと思うのはいいことです。と続けながら、まおは持参のみりんを納豆に垂らしてマスクを外す。そこには蜘蛛の顎。
「頂きます」
 ……うん。君は悪くない。君は悪くないんだが、蜘蛛が口から糸を吐くように、ちょっと見えてしまった。

「準備完了! これだけあれば我が軍は100分戦える~♪」
 ひゃっぷんかよ。
 ツッコミ待ちなことを言ってのけたのは『ヴァイオレット・クラウン』烏頭森・ハガル・エーデルワイス(BNE002939)である。
「納豆とネギと鰹節と納豆のタレを容器に入れて混ぜ混ぜ、15回転くらい?」
 他の人のを見てる限り、もしかしてそれって、少ないんじゃないだろうか。
 もっとも、好みは人それぞれなのだが――
「よし、それでは梅子さん、あーん」
「はひは『ほし』はほ!? (何が『よし』なの!?)」
 納豆をご飯に載せて、箸で取ったヴァイオレットの、突然の『あーん』。
 さすがの梅子もびびるのである。
 というか多分、それにびびらない梅子は双子の妹の想像の中だけにしか存在しないのである。
「納豆食べるのナイスバディになれる……はずなので食べるがいいです!」
「へ、ほふほ!? (え、ホント!?)」
 騙されるな梅子。

 ところで、ゴキゲンな人が一人いた。『豆狩人』四門 零二(BNE001044)だ。
「梅子も決して悪気があったわけではあるまい? 気を落としてはいけないよ。
 一人ではなんとかならない失敗でも、仲間とならなんとかなるものさ。
 仲間なら助け合うのは当たり前のこと、責を問うよりも共に前に進もうじゃないか。
 それに、仲間と食う飯が不味いはずもなし。そうだろう?」
 しそ、わけぎ、インスタント味噌汁にやっぱり白米完備。
 なぜか底抜けに明るい様子で、はっはっは、とか笑ってる。ていうか豆狩人って何。
「はっはっは、ここまで大量の納豆を食べ尽くそうとは、人生で何度もあることではあるまいね。
 これはこれで、楽しいサプライズというものさ。はっはっは」


「うん、飽きた!」
 力強く宣言したうさぎ、卵や薬味を使用し始める。
「やっべ……一緒にご飯食べ過ぎた……」
 早くもスタートダッシュを悔やむ狄龍。
「……」
 黙々と食べつつも冷や汗が隠せなくなりだしたエリエリ。
 ヘルマンの皿の側には『すーぱーわんだふるさぽーたー』テテロ ミ-ノ(BNE000011)が付いた。
「へるまんになっとうたくさんたべてもらうの~。
 とにかくとにかくへるまんのごはんから納豆が無くなったらすぐにのせるの~わんこなっとう!」
「上品ながらも芳醇な香り、黄金を押し固めたような妖艶な輝き、身に纏う絹糸はまるで花嫁のヴェール。
 ああ君はなんて美しいんだ……」
 ヘルマンは幸せそうに食べている。


「俺の力は、誰かの夢を守る力――だから、俺は、今ここで。納豆を食べつくす」
 確固たる信念と共に、『デイアフタートゥモロー』新田・快(BNE000439)は生卵と出汁醤油をその両手に構えた。刻みネギは誰かから分けてもらう予定。
「俺は納豆卵かけご飯が好きなんだ。皆意外とやらないのかな?」
 ちゃっちゃっちゃ、と手際よく納豆ご飯に卵をいれてよくかき混ぜる。
 快いわく、納豆の粘り気が程よく弱まって食べやすくなる、のだそうだ。
 その隣で『境界の戦女医』氷河・凛子(BNE003330)が準備してきた胃腸薬などを並べる。
「量が量ですから。食べ過ぎに注意をしてくださいね」
 微笑んで、さらにお漬物とお茶も並べつつ、自分の前にはうずら卵と醤油と、ご飯。
 梅酒は実家の地酒で浸けたもの、とのこと。
「からし、使うか?」
 快に『鋼鉄の渡り鳥』霧谷 燕(BNE003278)が、そう声をかけた。
「辛子か……。入れてもいいけど、せっかくの風味が飛んじゃうのがなあ」
「燕さんはからしで黄色にした納豆好きだがね」
 白米に納豆を載せ、辛子をよくきかせたそれをかっこんで、燕は唸る。
「でもよ、こんな量、納豆だけで食えるか!
 やれやれ、誰か何か作ってくれないかなー……」
 ちらっちらっ。
 彼女の視線の先には『駆け出し冒険者』桜小路・静(BNE000915)と、『塵喰憎器』救慈 冥真(BNE002380)の姿があった。
 調理器具を持ち込んだ二人の様子は、周囲とは少し毛色が違う。
 冥真は5パック分くらいの納豆を、大きめの器でただ混ぜる。混ぜる。只管混ぜて糸が引かない程度までしっかり混ぜたところで卵4つ分の溶き卵と混ぜて油抜きをした油揚げに入れ、口を爪楊枝で閉じる。そして小麦粉をまぶし、揚げる。
「……卵は中でしっかり熱が通ってるし不味くはないはず。
 後は納豆オムレツと、揚げ納豆と……」
 言いながらも手は次の納豆料理を作るべく動き出している。
「納豆を食べつくすぞー! うおー!」
 吠えた静の作る手元、こちらはお好み焼き粉と混ぜている。
「粘っこいのは苦手だけどさ。焼いて粘りを飛ばして食べるのは好きなんだ!
 それに混ぜているとフワフワになるんだよ。粘りがこんなところで役立って、楽しいね」
 粘りの不思議な効果。とろろとかもお好み焼きに入れると、ふわふわさくさくになるよね!
「納豆と言えばカツオのたたき、な、カツオ。「そうだね阿部さん」」
 持参したカツオのたたきで謎の腹話術を始めたのは『いい男♂』阿部・高和(BNE002103)。
 食べつくす(何を?)信念を持って、いい男♂、ここに参戦である。
「これだけあればご飯何杯でもイケルんだぜ……アッー」
 ※カツオのたたきの旨さに感嘆の声を上げたようです。
「しかし冥真のやつ、「俺の納豆調理教室を邪魔した暁にゃあ、阿部さんでもただじゃおかねえ」とか、悲しい事言ってくれるじゃないの。な、新田!」
「ぎゃあああああああああああああああああ出たああああああああああああああああああああああ!!」
 お化けか何かでも見たかのような悲鳴を上げて、快は凛子の背後に隠れる。
「しかし大人の階段登っている。そう考えればヤツの成長も喜んでやらないとな。な、新田!」
「冥真さん、パス!」
 快に逃げられ、冥真に睨まれ、さしもの阿部さんも少し困った顔を浮かべて、周囲を見回した。
「ん? 静。何を考えこんでるんだ?」
「ああいや、カレーに納豆を混ぜるのは、本当に美味いのか? って」
「男は度胸! 何でもためしてみるのさ」
「ああもういいから、男ひっかける暇があったら阿部さんも納豆混ぜろ!」
 新たな被害者が出てしまう前にとばかり、冥真が喚いた。


「練れば練るほど色が変わって……」
 うさぎは只管掻き混ぜ始めた。ちなみに色は変わらない。
「俺さ…メタルフレームだけど、良く考えたら内蔵(モツ)は機械化されて無かったわ……」
 衝撃の真実に打ちのめされる狄龍。
「……」
 エリエリの目からは光が消えた。
「\へるなっとうまん!/」
 ミーノがわんこ納豆なう。
「綺麗だよ、納豆……そんな君と一つになれるなんて、この上ない幸福だ……ウマーイ!
 もう一杯! いやーやっぱり納豆は別腹ですよね!」
 ヘルマンは幸せそうに食べている。


『私ね、きちんと調べてきたの。
 納豆は自分で作った深い器にいれて305回混ぜるの。
 その後、醤油を入れながら119回……合計424回ね。
 回数なんかは諸説あるみたいだけど、だいたい近いから、厳密なものでもないのでしょう。
 そこに日本ネギと日本カラシをいれるの、そして食べるのね。ご飯に乗せてもいいみたい。
 あはは! これで完璧ね。覚悟してなさい?』
 ――『敬虔なる学徒』イーゼリット・イシュター(BNE001996)は回想する。
 未知の食品への、知識。そして、今なら自覚できる――侮り。
「臭っ!!
 ちょっと待ってよ!? なによこれ、その、本当にこうなの?
 ねえ、これであってるの!? 腐ってるんじゃないの?
 冴えないおじさんの靴下みたいな臭いがするんだけど……最悪」
 知識と実践とは、大違いなのである。イーゼリットは涙目になって食べている。
 残したくなったら妹に頼るとか、してもいいと思うよ!

 大騒ぎのイーゼリットとは別の方向ながらも、納豆に対して未知だったのは『紅翼の自由騎士』ウィンヘヴン・ビューハート(BNE003432)だ。
「わっ、ネバネバしてる。ナットウって面白いね。
 白いゴハンと合うって聞くから上にのっけてみよう!
 ただ聞いてた通り臭いはけっこうするね。まぁ、これだけ集まってたらそうだろうけど」
 臭いにもさほど動じずに、周囲を真似て箸を持ち、「いただきます」と宣言した。
「食べにくいなぁ、使い慣れてないハシだとヌメって上手く掴めないよ」
「オレが納豆の食べ方を教えるぜ」
 多国籍都市三高平。和食に慣れていない人も多かろうと気にしていた『てるてる坊主』焦燥院 フツ(BNE001054)がウィンヘヴンに、任せろとばかりに己の胸を叩いてみせた。
「納豆には色々食べ方があるが、ご飯の上にかけちまうのは良くない!
 なんでかっつーと、ご飯の熱で、納豆が暖まっちまうからだ。
 納豆はあたたまると、香りが強くなる。
 癖が強くなると言ってもいい。そうすると、食べづらくなる。
 だからどうするかっつーと、こうだ!」
 言い終わるやいなや、箸やフォークで納豆を少しすくって口に入れた後、白飯を口に入れる。
「これこそが、日本食の、オカズとしての納豆の食べ方だ!」
「……おお、ああやってお茶碗を持ってかきこめば良いんだ」
 ウィンヘヴン、めっちゃよそ見。


「……あ、あそこに死んだじーちゃんが……あっちには犬のポチ……」
 突っ伏してうわ言を漏らすうさぎ。
『なっと うま』
 狄龍の姿はなく、ただそこには納豆の粘りで書かれたダイイングメッセージが遺るのみ。
「なっとう こわい あふれる むり」
 何かに怯えきった表情で、エリエリはただぷるぷるぷると震えている。
「\ふぁいとっふぁいとっ!/」
 ミーノは変わらず、わんこ納豆。
「おいしいよお、納豆おいしいよお……幸せだよお……。
 もう際限なく入っちゃいますねモグモグプハー!」
 ヘルマンは幸せそうに食べている。


「納豆はちょっち苦手……かな。いやほら、わたし欧州の血を引いてますし!」
 そう主張するのは『戦姫』戦場ヶ原・ブリュンヒルデ・舞姫(BNE000932)(※弱点:日本生まれの日本育ち)。
「なので、今日は頼りになる男の子を連れてきたよ! 終くん、いっぱい食べてね!」
 無理やり座らされた『ハッピーエンド』鴉魔・終(BNE002283)にも考えがある。
(お正月中の暴食のせいで最近食傷気味……。舞りゅんにいっぱい食べて貰う方向で行こう)
「納豆嫌いなのー? 納豆って美容やダイエットにもいいんだって☆」
 いたって明るく、終が話しかけた内容に、しかし舞姫はぎくりと反応した。
「へ、納豆にそんな効能が?
 ……ふ、ふーん、美容とかぜんぜん興味ないですけどー、ちょっち味見しようかなー」
 座席交代。
「いっぱい食べて綺麗になったら、」
「ほほう? 大量に摂取すると、綺麗に……?」
「あると君だってめろきゅんだよ(>▽<)☆」
 舞姫、覚醒。(not革醒)
「終くん! じゃんじゃん持ってきて!!」
 作戦通り、なんて表情を終がしたかどうかは定かではなく。
 なにはともあれ納豆わんこ、スタート。
 ――後にはギブアップを許さない勢いで納豆わんこを続ける終と、泣きながら納豆を食べ続ける舞姫の姿があった。

「アークは食べ物関係の依頼が多いですね、良い事だ。
 すばらしい、食卓の神にきっと愛されているに違いない。運命的に」
 炊飯器片手の『祈りに応じるもの』アラストール・ロード・ナイトオブライエン(BNE000024)が今日の糧へと祈りを捧げる。
「ご飯と一緒に納豆が日本の伝統だと聞く。実際食べるとおいしい。
 あ、卵と醤油を」
 アラストール、もぐもぐ開始。
 ほど近い場所で、アルトリア・ロード・バルトロメイ(BNE003425)が臭いに顔をしかめていたが、やがて慣れたらしく、一口目に挑んでいた。
(なに。私の生まれた地の近くではニシンを発酵させて缶詰にした、凄い臭いの物がある)
 あれですね。ハロウィン頃には三高平でよく被害報告のあった、シュールな感じの。
 そして一口。ツンと来る、発酵物のあの刺激。
「中々刺激は強いものだな。これをこのまま食べ続けるのは……」
 その声を聞いてか、アラストールが炊飯器をアルトリアへと突き出す。
「使うといい」
「む、米か。成る程、それならば食べやすいな。米の続く限り食べられよう」
 二人、首肯しあって再び納豆へと向き直る。
 胃袋のブラックホールは、いったいこの世に幾つあるというのだろう。

「粘り強い男になる為自分参上! ここに納豆と自分との壮絶な戦いが始まる!」
『幸せの青い鳥』天風・亘(BNE001105)の宣言は、もう既に懐かしい話になりつつある。
「ふ、ふふ、まだ大丈夫、自分は粘り強い男になるんです。諦めなければ……敗北はない!」
 その一椀がラスト、これが文字通りラストスパート。
「一気にレッツゴー納豆・ザ・ワールド!」
 叫び、かっこんだ亘に、周囲から拍手が巻き起こる。
 ――まばらなものが。
 過酷に過ぎた納豆地獄に、倒れたものも少なくないのだ。ああ、文字通りの死屍累々。
「あぁ、自分は粘り強い、漢に、なれたでしょう……か……。完食したけどオーバーキル!」
 亘もまた、ぶっ倒れた。


「これが、報告書となります」
 ユーキ・R・ブランド(BNE003416)が手馴れた様子でその書類を仕上げたのを見て、イヴは少し不思議そうな表情を向けた。
「……ええ、うん、実を言うとですね。この手の仕事は初めてではありません。
 アークでも既に何度か経験済みの事態ではありましょうが……
 あの手の戦闘力を必要としない仕事はまずリベリスタでなく後方人員に振られるのですよね。
 で、大体そこで酷い目に会ってからこりゃ無理だと革醒者にお鉢が回ってくる、と」
 酷く納得した顔で、少女はうなずき――そして、色違いの瞳を憐憫の色に染めた。
「……書類が終わってすぐで悪いけど、次の仕事。
 工場出荷が終わったばかりのチョコレートが、革醒した」
「え」
 絶句したユーキに、イヴはうなずきを返す。
「次の、みんなの仕事」
「……リベリスタになっても結局逃れられないんですかこの地獄から。
 ようござんす。仕事は仕事。底の底まで浚ってみせましょうふふふ、うふふふふ……」
 遠い目をした彼女の笑い声に、怨嗟の呻きに近いものがあったのは――致し方あるまい。

<了>

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
ネタシナリオにこそ全力を尽くす。
そんなリベリスタの皆さんが、ももんがは大好きです。

MVPは納豆への愛を歌ったヘルマン・バルシュミーデさんに。