●きんこんかんこん ふわーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーァ。 と、大きな口で大欠伸。 口が大きいので欠伸もでかい。 口が大きいので牙もでかい。 口が大きいので舌もでかい。 口が大きいので胃もでかい。 口が大きいので他の顔パーツが無い。 眠気の脳味噌に響いたのは、声だ。きゃっきゃっ。楽しげ、やんや。稚児? 美味しそうな匂い。音。 赴くままに蠢いて、木々の中からぴょーーーーーんと跳んで、到達。 眠気の脳味噌に見えたのは、人間だ。キャアア。楽しげ?やんや。稚児。 美味しそうだ。手に取った。捕まえた。キャアアアアアアアアアアアばくんギャアアごりごり。 美味しい! ●人喰い鬼 「こんにちは皆々様、毎度お馴染みメタフレフォーチュナの名古屋ですぞ」 そう言って事務椅子をくるんと回しリベリスタ達へと向いたのは『歪曲芸師』名古屋・T・メルクリィ(nBNE000209)。 「非常に凶暴なアザーバイドの出没が予知されました。今回、皆々様にはその討伐に当たって頂きますぞ!」 言いながら資料を卓上に広げた。この国の地図――斯くして機械男が示したのは、岡山県。 「場所は岡山県の山間部にある学校ですぞ。小さな学校で、全校生徒は20名程」 背後モニターに映るのは山間のこじんまりとした学校、その校庭。昼休みだろう、バラバラの学年だが仲良さげに遊ぶ子供達。 もう一方の画像は件のアザーバイドか、鬼と蜘蛛を足して二で割った様な――不気味な。6つの長い腕、2つの長い脚。8本。赤黒く、鬼の様な角に巨大な口しかない頭部。 嗚呼、嫌な予感がする。引き結ぶ唇。そして、とフォーチュナは躊躇う事無く続けた。 「ここへ、アザーバイドが強襲してきます。捕食の為にね。 アザーバイド『大口さん』……異常な食欲を持ち、非常に危険ですぞ。こう見えて結構すばしっこく、二回行動や超遠距離攻撃も仕掛けてきます。御注意を! えぇと……それから、なんですが……」 メルクリィの視線はアザーバイドへ。考え込むような、腑に落ちない様な表情。 「これ。アザーバイドなのは確かなんです。アザーバイドって事は、絶対にバグホールを通って来た筈なんですよ、『異空間を渡る力』とかチート臭い能力を持たない限り。 しかし大口さんはそんな能力無い。つまり、通過したバグホールが無い。 おかしい……長年フォーチュナとして様々な怪異を視てきましたが、こんなケース初めてですぞ」 それとも私の予知精度が落ちたのか……溜息。 「おっと……、すみませんな、話がズレました。 この『謎』については追々調査するとしましょう。皆々様は、大口さんの討伐に全力を尽くして下さいね! 勿論、白昼堂々この学校を襲撃しようとしているのですから一般人達についての対応も宜しく頼みますぞ」 急げばきっと間に合う筈です、と付け加え。「サテ」と区切る。 「私からは以上です。それでは皆々様、今日もファイト一発ですぞー!」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:ガンマ | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 2人 |
■シナリオ終了日時 2012年01月23日(月)00:20 |
||
|
||||
|
■メイン参加者 8人■ | |||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
■サポート参加者 2人■ | |||||
|
|
●一閃 坂道。森に囲まれ、学校へ続く道。薄曇り。 一直線に、誰よりも早く速く迅く――白い花が空を切る。『雪風と共に舞う花』ルア・ホワイト(BNE001372)の足がまた一歩。『飛躍』の意を込められたSweet Alyssumを彩るリボンが揺れる。風景は最早線に過ぎず、過去に過ぎず。 高みを目指したい訳じゃない。 ただ、そこに守れる命があるなら――速く走る事で救える命があるなら。 誰よりも速く走って私の全身全霊で助けたい。 だから、自分は誰よりも速く走る! 「子供たちを助けるほうが先なの!」 白花が飛んだ――高速の視界の中、巨躯の鬼が……手を伸ばして、転んで泣き叫ぶ子供が。嗚呼、絶対に助けてみせる! 「絶対に助けるんだから!」 降り立った。腕の真ん前。その子の代わりに掴まれる、引き付けられる――目の前に大きな口、大きな牙、捕食を受けても構わない、怖くない。怖くない。 仲間がいるから。 「よー、鬼さんこちらってなー!!」 大口さんの横っ面に大着弾するマジックアロー。翳した掌に魔法陣を纏い、肩で息をしながら駆け付けた『Gloria』霧島 俊介(BNE000082)がニヤリと笑った。 「ちび共食うとかマジ勘弁!! たまには救うか、一般人!!」 一人も犠牲を出してたまるか。直後に大口さんの手を振り解いたルアへと浄化の鎧を施すべく詠唱を始める。 方々に逃惑う子供達の悲鳴――しかしそれに負けじと拡声器越しに鳴り響いたのは『息をする記憶』ヘルマン・バルシュミーデ(BNE000166)の「校舎内に避難してください!」という大きな声。 「落ち着いて――校舎内に避難してください!」 助けられる可能性があるなら、それをひとつも逃しちゃいけない。校庭に響くヘルマンの声を聴きながら。身体のギアを強力に高めた『幸せの青い鳥』天風・亘(BNE001105)は幻想纏いで仲間達に生徒の数や場所を通達する。数は10人ばかりか、残りは校舎内から驚いた顔をしてこっちを見ている。先生であろう大人も居る。直後に鳴り響くのは非常ベルか――焦りを押し殺した放送、「生徒は速やかに校舎内へ避難するように」 そんな音、大口さんを抑えている仲間達が発する音、沢山の音を聴きながら亘は大口さんに一番近いであろう子の抱き抱えた。 「大丈夫、君達は絶対守ってあげるから安心して」 不安を抱かせない、それを一番大事に、安心感を与える為に、優しく笑顔で頭を撫で。任務目標は『一般人の半数以上の生存』だが――やっぱり全員生存、絶対に達成してみせる。 「なんたってお兄ちゃん達は正義のヒーローですから」 見遣る正面。生徒の危機に駆け付けてきた教師に子供を託した。そして言う、ここは自分達に任せて校舎内へ避難を、絶対に出ない様に、と。 「ちっちゃい子供もぐもぐとかマジでふざけんなッテ感じ!」 加護で授けられた翼を翻し、『高校生イケメン覇界闘士』御厨・夏栖斗(BNE000004)が大口さんの溶解液を躱した。そのままの勢いに乗ってAbsolute FIREに絶対零度の氷を乗せる。炎の様に、熱く、激しく――燃え盛る氷点下。殴り付ける。 「大口さんですか……名は体をあらわすと申しますが、何とも分かりやすいネーミングですね」 爪に切り裂かれた頬の血を拭い、『子煩悩パパ』高木・京一(BNE003179)は印を斬る。子供たちが避難完了するまでは何とか持ち堪えねばならない。 「封!」 印は呪鎖へ、異形の鬼を縛り上げる。そして鳴り響くのは俊介の歌――癒しの旋律に包まれて、『無何有』ジョン・ドー(BNE002836)は避難誘導を、結界の印を切った同じ役目の『黒紫無相』腕押 暖簾(BNE003400)も両手に子供を抱え、背中にしがみ付かせ、前には比較的高学年の者を走らせ生徒避難に尽力する。 「アレは危ねェ、逃げろ! 振り返ンな! 走れ走れ! 俺達がぜってェ助けてやる!!」 最近鬼云々で本部が賑わっているそうで……縁起でもない話だ。まァ、俺は俺に出来る事をやるさァ。 形振り構ってらンねェ。 誰一人欠けさせるものか――今の所、誰一人として犠牲になった者は居ない。だが油断は禁物だ。 「なんとか逃げるまでの間を作らんとのぅ……やれやれじゃ」 はてさて。災原・悪紋(BNE003481)にとってはこれが初仕事――覇道が初まり。 (きっちり成功させねばのぅ……皆の働きに期待しておるぞ!) なんて他力本願脳だが、皆と協力して。 「我に構わず急いで校舎へと逃げるのじゃ!」 守護の結界を子供達に。気休め程度だが、無いよりマシだ。仲間と連絡を取り合って救助した数を確認する、校庭を見渡す――避難に大きく人数を振った上に的確に連携を取ったお陰か、迅速にかつ安全に避難を行えたようだ。もう校庭には仲間達と大口さんしか見受けられない。 「食べる事しか頭に無いって見ただけでわかりやすい見た目なの。これがホントの『口は災いの元』なの」 倒すべき相手だが、欲望に素直なのって素敵だと『Unlucky Seven』七斜 菜々那(BNE003412)は思う。自分と一緒。欲望を抑制してる人って見てると胸がモヤモヤしてくる。 「うふうふ。だからこの大口さんにも思いっきり欲望を解放し……あ、阻止しないといけないんだったね。てへぺろ♪」 さて置き、粗方避難は終わったか。生徒らと一緒に昇降口まで向かったヘルマンは恐怖にべそをかく子供達へ真剣に呼びかける。しかし不安は煽らぬような物言いで。 「大丈夫です、信じて、先生達と一緒に中にいて。いいって言うまで出てきちゃだめですよ」 「あの」 そんな彼に蒼い顔をしている教師が。『危険』という事は理解できるが状況までは分かっていない。当然だ、彼等は『一般人』なのだから。 「すみません、事情は後で説明させて下さい。生徒達が外へ出ないように……絶対に外へは出ずに、窓にも近寄らないで、安全な場所で伏せて居て下さい」 お願いします。丁寧に一礼をした後、昇降口を閉めて外へ向かわんと。 「待って下さい!」 教師に呼び止められた。傍に泣きじゃくっている女の子がいる。どう致しました、そう訊いて、呼び止められた理由を聞いて、ヘルマンは息を飲んだ―― 外でかくれんぼをしていた女子生徒が一人、居ない。 ●緊急 「キャアア!」 大口さんの目の前でルアが転倒した。鞭の様に腕を振るわせ、前衛陣を吹っ飛ばした大口さんの意識が蹲るルアに向く。隙だらけで美味しそうな。巨大な口がそのままルアに襲い掛かった、が――バチン、食い千切ったのは唯の空気。そこに白花の姿は無い。身体のギアを強く高めたその速さを追う事は出来ない。 「私の『蜘蛛さん』はそんなに乱暴じゃないわよ?」 声は大口さんの頭の上。先のは演技。ちゅ、と口付けたOtto Veritaの流麗な刃――『8つの真実』を意味する恋人が名付けてくれた刃。もう片方には『可憐』と『成功』を意味する透き通る様な空色の刃。 身体のギアがパチパチ弾けて加速度を増して行く、手にした二刀が花風を纏う――仲間が居れば強くなれる。 「さっきのお返ししてあげるの!」 襲い掛かる腕を跳んで躱し、くるりと身を翻して上段から速度に乗って引力を重ねて、一閃、二閃――百閃無双。音速を超えた澱み無き刃は光の軌跡、圧倒する。 「痛覚感じないから痛くはないの……うふうふ。大丈夫大丈夫。」 ブロック組と合流した菜々那もフェイトを焼いて溶解液の海から立ち上がり、肌を焼く粘った液を滴らせながら対のショーテルSerpent tailとSerpent headを組み合わせ上長下短の弓型射撃武器に変形させた。 放つのは暗黒の衝動を持つ黒いオーラ。それを横目に悪紋は結界を張った――これでこの戦闘を進んで見る者や校庭に飛び出す者は現れるまい。 「さて、我も行かんとのぅ……!」 後衛置、守護結界の印を切る――攻撃は他の者の方が優秀。別に前に出たらぷちっと潰されそうで怖いとかじゃない、決して怖いからちょっかい出したくないわけじゃないぞ! 斯くしてそんな時だった。AFによるヘルマンからの緊急連絡。まだ一人居る事。 「……!」 何処だ――すぐさまジョンは超直感を効かせて周囲を見渡した。……居た、倉庫の扉の隙間から、怯えた表情でこちらを見ている少女が。 「あそこです!」 ジョンの声と、同時。 京一の呪印を振り払った大口さんが、突進でリベリスタを撥ね飛ばしながら少女へ腕を伸ばしたのは! 「ざっけんなよおおおおおおお!!!」 俊介の怒号が響いた。手を伸ばす、与えられた翼を翻す、間に合うか、間に合え、ふざけるな、嫌いだ、大っ嫌いだ、血もグロいのも嫌いだ、行かせるか、何より関係ねえ一般人に手出すとかふざけんな、全員助けるって決めたんだ――なのに、それを救えない自分自身に腹がたつ! 赤。 嗚呼、大っ嫌いな色だ。 「よォ、」 巨大な口に噛み付かれながら。大量の血で赤く赤く染まりながら。激痛に意識を眩ませながら。背に庇うは少女。 「お前どこから来たんだ? 言葉通じる?」 ボタリボタリ。それでも俊介は一歩も退かず、運命を燃やし、異形の角を思い切り掴む。 「まぁいいや。相手は俺達だ。それからそっちが狩られる側だってんの間違えんなよ――ぶっ殺す!!」 鋭く剥いた牙。お返しと言わんばかりに思い切り噛みつき、喰らい付き、食い千切った。血潮。鮮血。大口さんの凄まじい悲鳴。俊介は肉を吐き捨てる。クソッタレな神秘に中指を突き立てて。 「すまねェ待たせた、ブロックありがとなァ!!」 「おう、その子任せた!」 駆け付けた暖簾に少女を任せ、俊介は癒しの旋律を奏でた。 「おい、どこも痛くねェか?」 少女を抱え、機械鹿は走る。そんな事を言う自分の身体にはあちらこちらに傷があるが――痛がれば震える少女は更に不安になるに違いない。痩せ我慢がバレない事を祈る。 振り返った。暗黒ショーテルを投擲した菜々那、符術の鴉を飛ばす京一と悪紋、俊介を庇う夏栖斗。「こゆの久しぶり?鎧くれ!」なんて声が聞こえた。そして大口さんがこっちを向く。手を伸ばす。しかし暖簾は鼻で笑った。 「お前さんにゃあ鉛玉のがオススメだぜェ? ――こっから先は行かせねェ。悪ィが道は開けねェぜェ!」 無頼、機械鹿。推して参る。 放つ弾丸は鬼の掌をぶち抜いた。大きな口の絶叫。 「へっ、ザマァ見やがれってンだ」 走る。走る。少女へニッと笑ってみせた。 「いいかお嬢ちゃん、これは悪ィ夢さァ。だから忘れろよ、俺達も含めてなァ」 安全な場所まで駆けて行った暖簾を確認し、亘は妖艶に笑みながら――しかし静かな怒りを瞳に、刃に、鬼の正面。口の中の血唾を吐き捨て得物を構えた。ここまで来れば倒れる事なんか気にせず攻めるのみ。 「さーて……今までの分倍返しタイム!」 背に広げるのは空色。自由の色。重力から解き放たれて、襲い来る何本もの腕を鮮やかに躱し躱し――超速の刃で澱みなく留まる事無く切り裂いた。撹乱する。横へ後ろへ、最後に真上から。圧倒的な美技で拘束する。 恐れる事は無い。恐怖で速度が落ちる事は無い。 「その飾りっぽい角、憂さ晴らし的な意味でへし折ってもいいですよね?」 なに、自分の近くには頼れるヒーロー達がいますから――一閃、空中転回、翻る最中に戦気を漲らせたヘルマンへ視線を。 「遅くなったぶん精一杯がんばりますから!」 機械の足音を鳴らして、動きの止まった大口さんへ跳躍する。涎を垂らす巨大な口、血に濡れた獰猛な牙。 「おなかすいてるんですか、そうですか。でも人類だっておとなしく食べられてちゃ絶滅しちゃうんです」 ですから申し訳ありません。言葉と共に懐に潜り込む。真下。脚に破壊的な気を込めて。 「こわいけど、死ぬ気で抵抗させて頂きます!」 垂直に蹴り上げた。ヘルマンの蹴撃が大口さんに突き刺さる。粉砕の気が送り込まれる! 「ッッ!!」 内部破壊の気、ごぶりと漏れる鬼の吐血。刹那に大口さんを焼いたのはジョンの神気閃光と菜々那の魔閃光、白と黒の光。 グォォオオオ、巨大な口の巨大な咆哮。ビリビリと鼓膜を打つ。最期の足掻きか、暴れ回る。リベリスタを力に任せて撥ね飛ばす。投げ飛ばす。 「っと……無事かえ?」 投げ飛ばされた夏栖斗を何とか受け止め、治癒の術を施しつつ悪紋が問う。平気――答えた頃にはもう飛び出して、灼熱の零度で襲い来る爪を薙ぎ払った。ホ、と息を吐くと共に悪紋は鴉の符を指に取る。 戦場に歌が流れた。立ち向かう者たちを癒し、鼓舞する俊介の歌。楽園の福音。人に仇をなす神秘を潰す神秘。 戻って来た暖簾もショットガンの早撃ちで大口さんの脚を的確に撃ち抜いた。バランスの崩れたその瞬間、京一の呪印が雁字搦めに鬼を縛る。藻掻けば藻掻く程絡まり付く、蜘蛛の糸の如く。直後に亘とルアは目配せを、ほぼ同時には音速を超える速度で―― 「この身の限界まで風となり切り裂くのみ!」 「私は守るために、誰よりも速く走る!!」 十字交差の一閃、一撃に込めた無数の斬撃。最早数える事も、ましてや眼に捉える事も。 大口さんの後方へ静かに降り立った青い鳥を白い花を鬼が振り返る。振り返った瞬間。ズルリとずれたその視界――赤に沈むその視界、斬られた事に気付く事無く、鬼は自らの血沼に頽れ込んだ。 ●チャイムが鳴った後に アークには既に連絡を付けた。どうやら教師が警察へ通報したようだが、その辺りはアークが上手くやってくれるだろう。 子供たちはともかく、先生に見られてたらヤバイの。黙っててもらうようお願いしとくの。――と、思って教師の咽元にショーテルの切っ先添えて「さっき見たモノは忘れた方がいいよ?『口は災いの元』なの。うふうふ」と脅すべく凶器を取り出し校舎へ向かおうとした菜々那だったが、「リベリスタだろ」と仲間に止められ口を尖らせた。 「さって……チビ達も無事か?」 「そのようですね」 暖簾とヘルマンはホッと息を吐く。 (あっ、そうだ、ど、どうしよ、学校の人たちになんて説明しようかなあ……さ、撮影とか……だめかな……) なんてぐるぐる思うが――幸い、強固に張った結界のお陰で戦闘を見た者はあの少女を除き居ないようだ。それがせめてもの幸いか、この状況で完全に神秘を秘匿するのは……多分、ほぼ不可能だっただろう。 (……あ) それでも、そっと窓からこちらを窺っていた子供が一人。あの少女。ルアはニッコリ笑んで、唇の動きでこう伝えた。 『みんなには内緒だよ。私みたいに食べられちゃうからね』 唇に人差し指を、しー。 一方で夏栖斗、京一は周囲の捜索を行っていた。『バグホールを通って居ないアザーバイド』……真偽を確かめるべく。 「やはり、バグホールは無いようですね」 「っぽいな」 「一体、何なのでしょうね……」 「うーん……」 考え込むも、理由は分からず。 岡山でばかり頻発する『バグホールを通って居ない鬼のアザーバイド』による事件。 真相が判明する事を祈り――リベリスタは、その場を後にする。 『了』 |
■シナリオ結果■ | |||
|
|||
■あとがき■ | |||
|