●キレイナワタシ 誰もがわたしの姿を見る。 わたしは流行の服を着て、みんなに向けてポーズを取る。 さぁ、もっとわたしの姿を見て! スポットライトの下がわたしの舞台。 もっと、もっともっと沢山の人に、わたしの姿を見てもらうの! ●新人フォーチュナ初仕事 ブリーフィングルームに入ったリベリスタ達は、大量の錠剤を口にしている少年を目にする。年の頃は10代半ばといったところか。あまり見ない顔だ。特徴と言えば目つきの鋭さだろうか。優等生然とした雰囲気をしているのだが、その鋭い目付きが台無しにしてしまっている。 「あぁ、すまない。すぐに片す」 そう言って、少年は手早く薬を片していく。その内に三々五々、召集を受けたリベリスタ達は集まっていく。そして、全員集まったのを見ると、少年は簡単な自己紹介と共に、依頼の説明を始める。 「俺は高城・守生。この間、アークに加入したフォーチュナだ。今後、あんたらの手伝いをすることになった。よろしく頼む」 『運命嫌いのフォーチュナ』高城・守生(nBNE000219)の名乗りに、「あぁ、モリゾー君だっけ」と、包帯のフォーチュナから聞いた渾名を告げる。すると、途端に守生は声を荒げる。 「モリゾーじゃねぇ! ……コホッコホッ」 勢いよく叫んだせいか咳き込む守生。再度、水を飲むとようやく落ち着く。 「すまない、冷静さを欠いていた。じゃ、改めて依頼の説明に入らせてもらう」 居住まいを正す守生。それに倣って、リベリスタも話を聞く姿勢に戻る。 「今回現れたのは、フェイズ2、戦士級のエリューション・ゴーレムだ。元になったのはデパートにあるマネキン人形。ある程度進行は早いな。既に部下も4匹ほど引き連れている」 守生が端末を操作すると、スクリーンに大手百貨店の姿が表示される。割と有名どころだ。 エリューション・ゴーレムが行うのは、その腕を撃ち出しての遠距離攻撃。威力以上に衝撃が大きいので、まともに喰らうと隙が生まれてしまうだろう。また、怪しげな煙を吐きかけ、相手をプラスチックで固めてしまうことも出来る。こちらは視認出来る相手複数を対象にすることが可能だ。 「部下はこいつに影響を受けた人形だ。フェイズ1のエリューション・ゴーレム。フランス人形やらぬいぐるみやらが、鋏を持っている。ちょっとしたホラー映画だな」 こちらはマネキン人形に比べると大した能力は無く、近接攻撃しか出来ない。だが、その鋭い刃は流血を招く。甘く見ると命取りになるだろう。 「こいつらはデパートの外に出ようとしている。放っておくと大変なことになるからな、その前に退治してくれ。店の中に多少被害は出るだろうが、そこらへんは処理班が向かうからあまり気にするな」 デパートの中なので、遮蔽物は多少あるだろう。逆に夜のデパートで戦うことになるので、明かりは用意しておかないといけない。 「説明はこんな所だ。資料も纏めてあるので目を通しておいてくれ」 説明を終えた少年は、その鋭い瞳で睨むように、リベリスタ達に送り出しの声をかける。 「あんた達に任せる。無事に帰って来いよ」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:KSK | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年01月26日(木)23:37 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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● いつもわたしは思っていた。 わたしはこの壁の外へは行けない。 壁の向こうの、もっと先には、わたしを見てくれる人が沢山いるはずでしょう? そうしたら、カミサマは答えてくれた。 わたしは壁の向こうに行ける! 何処にだって行ける! みんな、待っていて! 今すぐ、みんなの所へ行くから!! ● 「お、この百貨店。この前テレビで見ましたよ。デパ地下特集、美味しそうでしたねー」 深夜のデパートを前にして、『ミックス』ユウ・バスタード(BNE003137)は、モデルとも間違われそうな身体を目一杯使用して喜びを表現する。目は眠たげだが、子供のようにはしゃいでいる。 「でも、向かう場所は洋服売り場ですよ?」 「え!? そ、そんな~」 結界を展開し、人払いを行っていた『のんびりや』イスタルテ・セイジ(BNE002937)がツッコミを入れると、真実を知ったユウはへたれ込んでしまった。しょぼーん、と擬音が聞こえたような気もする。 「深夜のデパート、動くマネキンに人形、まるで怪談だ」 横で漫才をやっている2人を尻目にハイディ・アレンス(BNE000603)は突入の準備を整えると、メンバーに合図を飛ばす。中で明かりを点けて、必要以上に目立てないので、暗闇に対する準備は万全だ。 その言葉に、『邪龍』皐月丸・禍津(BNE003414)はふかしていた煙草を片付ける。今までは1人フィクサード狩りをしていた彼女だが、アークとしては初陣。敵に対する恐怖以上に、新たな仲間との関わりにこそ不安がある。周りとの足を引っ張らないように、と自分に言い聞かせると、ハイディに従ってデパートの中に侵入するのだった。 警備の隙を潜ってリベリスタ達がデパートの中に入ると、そこに広がっているのは薄暗い空間。昼間ならば人の姿もあり、賑やかな場所なのだろう。しかし、今は人がいないということが、不安を与えてくる。あるべき場所にあるべきものが無い、それだけで人はここまで不安になれるのだ。 そんな中で、リベリスタ達はそれぞれに物陰に隠れ、E・ゴーレムを待ち受ける。 (デパートにあるマネキン人形とは……動けるようになり、はしゃいだのかのぅ? とはいえ、野に放つを見落とす訳にはいかんて。ここで眠ってもらうのじゃ) 『嘘つきピーターパン』冷泉・咲夜(BNE003164)は、物陰で警戒したまま、そんなことを思う。長い年を生きてきた『少年』は、マネキンの立場に立ったつもりで想像を巡らせてみる。だが、その上でも感情移入もし過ぎない。過度の感情移入は刃を鈍らす。彼はそれを知っている。 同じように『忠義の瞳』アルバート・ディーツェル(BNE003460)も、陳列棚の陰で物思いにふける。 (マネキンが動き出したE・ゴーレムの討伐……駆け出しの身として受ける任務としては妥当なものですか) 今の自分の状態を自嘲気味に顧るアルバート。自分の無力はよく知っている。そんな自分にはこんな状態がお似合いなのかも知れない。だからこそ、今はこの目の前の依頼を確実に果たし、先に進まなくてはいけないのだ。 カツーン カツーン そんな時だった。何者かが歩く音が聞こえてくる。事前に聞いた見回りの時間ではない。 であれば、可能性はただ1つだ。 それを裏付けるように、『リトルダストエンジェル』織村・絢音(BNE003377)が千里眼で目にした景色を仲間に伝える。 「来たぜ。随分自己アピールの激しいマネキンだが、日の目を見せるわけにはいかねえよな」 言葉と共にライフルを構える絢音。 現れたのはふらふらと動く裸のマネキン人形と、踊るように進むぬいぐるみ達。B級ホラーも良い所だ。 それに対し、目で確認し、手早く戦いの準備を整える。 そして、準備が一段落したとき、人形達はリベリスタのいる場所に姿を現わす。 マネキンは服を着ておらず、カクカクと動く様はなまじっか人間に似ているだけ、生理的な嫌悪感を与える。だが、『イエローナイト』百舌鳥・付喪(BNE002443)は優しくマネキン人形達に語り掛ける。 「ただ立っている事に満足出来ずに外に飛び出そうたあ、根性のあるマネキンだね。そういうのは嫌いじゃないよ。でもね」 そこで付喪は言葉を切ると、魔術書を開き、術式を展開させる。 「此処を通す訳にはいかないんだ。外に出たければ私達を倒してから行きな」 ● 自由に歩けるって気分が良いな。お洋服はどうしよう? やっぱり、裸じゃイヤだもん。 この辺にあるのを適当に持ってっちゃっていいよね? 服もその方が幸せでしょ。 あ、そんなことしている場合じゃないわね。あっちの方に人がいる。 さぁ、わたしの姿を見て! ● 付喪の声に応じるように、マネキンはリベリスタ達に向かってくる。これがホラー映画なら、最初の犠牲者が殺されるタイミングだろう。だが、ここにいたのはリベリスタだった。 「美味しいお惣菜やお菓子の為にも、負けられませんっ」 ユウはゆるい声でぬいぐるみに向かって叫ぶと気糸を放つ。それは正確にぬいぐるみの腹を貫き、中の綿が零れ出る。少なくとも、ホラー映画の犠牲者が行うリアクションではあるまい、台詞も含めて。 そして、仲間が傷ついた様子を見て、エリューション達の動きが止まる。何かに戸惑っているように見えなくも無い。だが、そこで動きを止めたのは彼らの失策だった。物陰から現れた別の気糸が、フランス人形の身体を絡め取ったのだ。 「釣りと言うのもたまには悪くない。そうは思いませんか?」 アルバートだ。 彼は挑発的な語調と共にフランス人形を切り裂く。革醒は人形達に動く力を与えたが、言葉までは与えなかった。もし、フランス人形が言葉を持ち合わせていたのなら、彼に対して呪いの言葉を吐いていたのだろう。 だが、言葉は無くとも同じ人形同士。何か通じるものはあるのだろう。人形達を庇うようにマネキンが進み出てくる。大本となったエリューションであるだけに、母性が芽生えたというのはおそらくあるまい。マネキンは無言で狙いを定めると、アルバートに対して腕を打ち出す。 だが、マネキンの腕がアルバートに届くことは無かった。マネキンの前にイスタルテが立ちはだかり、それを叩き落したからだ。そのまま、マネキンの視界を塞ぐように立ち塞がると、彼女は思い切り睨みを効かせる。 「ここから先へは通しませんよ!」 イスタルテの迫力に、マネキンも自然と後ずさりをしてしまう。もっとも、本人はと言うと……。 (やーん、夜のデパートで戦うとかちょっとホラーっぽいですよぅ) とかなんとか、内心で思っているわけなのだが。 後ろではぬいぐるみや人形とリベリスタ達の戦いだ。一見するとメルヘンな光景だが、人形達が鋏を振るうと血飛沫が飛び、リベリスタ達も革醒がもたらす異界の力を振るうため、凄惨な光景と言える。 戦いがしばし続く中、付喪はちょっと困っていた。思いの外に戦場が広がり、敵も味方も分散する形になってしまったのだ。範囲攻撃でまとめてなぎ払うというのは難しく思える。戦いが長引きそうだ、と彼女の長年の勘が告げている。だが、それならば、覚悟を決めてそれなりにやりきるだけの話。 「さあ、派手に散りな!」 付喪の声と共に描かれた空中に魔法陣から魔力の矢が犬のぬいぐるみに向かい突き進む。それがぬいぐるみに突き刺さると、ぬいぐるみの体は爆ぜるようにして飛び散った。 「近寄らないと攻撃出来ないっていうのなら、おれにとっては鴨撃ちってやつだ」 それに続いて絢音の銃が火を吹く。弾丸が貫くたびに、人形達は無様なダンスを踊る。蟻も見逃さないほどに研ぎ澄まされた集中力。狙われたのなら、黒い凶弾から逃れる術などありはしない。 だが、腕がもげ、足を引きずりながらもウサギのぬいぐるみが絢音に飛び掛って来る。元々生物では無いのだ。痛覚など、元より存在しないのかも知れない。 異様な姿のウサギはボロボロになりながら、手に持った鋏を絢音に突き立てようとする。と、まさにその時だった。 「女性に手を上げようとは、無粋じゃのぅ」 咲夜は涼やかな声と共に割って入ると、仕込み杖で鋏を受け流す。勢い余ってウサギは床にすっ転ぶ。 そして、1枚の符を取り出した咲夜は、倒れたウサギに符を飛ばす。すると、見る見るうちに符は鴉へと変じ、ウサギの身体を啄ばんでいく。 それと別の戦場、エレベーターホールの前でハイディは、同様に鴉に突かれたネコのぬいぐるみと対峙していた。一気に制圧出来なかったのは残念だが、全体の被害を減らすと言う意味では悪くない。 「日本の怪談のシーズンは夏のはず。季節外れの怪談モドキには消えてもらおう」 ハイディが手早く印を結ぶと、ネコは呪いに取り囲まれる。それは十重二十重にエリューションを捕縛していく。そうなってしまえば、如何にエリューションと言えど、的でしかない。 「貫け、我が暗黒の剣よ」 ハイディの後ろから禍津がネコに向かって手をかざす。そこから放たれるのは収束された暗黒のオーラ。 闇は獲物を見つけた肉食獣の如く、獰猛に、そして貪欲にエリューションを呑み込むのだった。 ● 次第にデパートの中に聞こえた音は小さくなっていく。1体、また1体と、エリューションが数を減らしていったからだ。そして、階段前の通路を舞台に戦うイスタルテとマネキンの下に、1人、また1人と仲間が集まっていく。 「だ、大丈夫ですかぁ、みなさん?」 そう言うイスタルテ本人の方が大丈夫には見えない。全身には殴打による生傷が、そして、体の所々にプラスチックがこびり付いている。無理も無い。1人でマネキンの攻撃を抑え続けたのだ。もし、ほんのわずかでも運命の加護が得られなかったのなら、仲間が来る前に倒されていただろう。 「すまぬ、遅くなったのじゃ」 侘びの言葉と共に癒しの符をイスタルテに貼り付ける咲夜。すると、彼女の傷はみるみる癒えていく。万全とは言えないが、この状況を戦い抜くには十分だ。 「ここまで行ければ、決着の時も近そうだね」 「後は確実に叩くだけですねー」 ここからが本番だ、とばかりに魔力を活性化して魔力の矢を放つ付喪。それに続けてユウが素早く抜き打ちを放つ。そののんびりした口調からは想像も付かない、鋭い射撃だ。マネキンは足を撃ち抜かれ、たまらず床に倒れようとする。 「そんなに見られたいのなら、じっとして貰わなければ。ゆっくり見る事も出来ませんよ」 倒れようとするマネキンが空中で静止する。よく見るとその体には、気糸が巻きついている。アルバートが事前に張っておいたものだ。 「もっとも、裸のマネキンなど見てもつまらないのですが」 そのまま力を入れて、マネキンを引き裂こうとするアルバート。 だが、その手応えがおかしいのに気が付く。エリューションはぶちぶち糸を引き千切り、その拘束から逃れようとしているのだ。これ以上下手に捕らえようとすると、逆に隙が生まれるのは自分の方だ。アルバートは素早く判断すると、糸から手を放す。 判断が一瞬遅ければ間に合わなかった。 判断が一瞬早ければバランスを崩していた。 そんな絶妙のタイミング。 マネキンが大きく口を開くと、そこからガス化したプラスチックがばら撒かれ、戦場を覆う。 その煙が晴れたとき、その場にいたリベリスタの半数がプラスチックに覆われ、動きを封じられていた。そして、マネキンは隙を突いて逃げようとする。物言わぬ人形故にその心中を推し量ることは出来ないが、もし感情があるのなら、恐怖が心を占めているのだろう。 だが、それを逃がすリベリスタ達ではなかった。 「警戒しているに決まっているだろう、エリューション?」 ハイディの微笑と共に、戦場を光が満たす。邪気を払い、見るものに勇気を与える光だ。背中に1対の翼を備え戦場を光に包むハイディの姿は天使を思わせる。 光に包まれ、プラスチックに閉じ込められていたリベリスタ達も解放されていく。 「やってくれるな。おとなしく飾られてればいいものを」 全身を覆っていたプラスチックを叩き落としながら禍津は呟き、逆十字をあしらった重厚なランスに視線を向ける。これを使うべきか、と一瞬逡巡するが首を振る。これはここで使うべき代物では無い。 そこで、再び暗黒の波動をマネキンに叩き付ける。今はこれでいい。 ガシャーン。 暗黒の波動を受けて棚に向かって倒れるマネキン。しかし、手をばたつかせて必死に前進しようとする。 逃げ出したい、こんな怖い人達から。 生きたい、こんな所で死ぬのはイヤだ。 そんな必死の動きも虚しく、エリューションは絢音に完全に捉えられていた。そして、絢音の武器にとっては、エリューションが何処まで逃げようとも関係無い。 「残念だけど、その身形じゃスポットライトの下には行けねえよ」 相手が何者であろうと、エリューションであるならば倒さねばならない。 この壊れそうな世界を守る、それこそがリベリスタの使命なのだから。 絢音の放った弾丸は、エリューションをあるべき場所へと送った。 ● 「良いな、ここは何一つ変わっておらん」 「はぃ……」 「なぜなら、そなたは何も見ておらなんだからのぅ」 「はぃ……」 「いつも通り、異常はなかったのじゃ。よいな?」 「はぃ……」 警備員に魔眼が効いていることに満足の笑みを浮かべる咲夜。結界の用意があったが故に警備員が戦闘中紛れ込むことは無かったが、万全を期すために催眠術をかけておいた。これで、この晩には『何も無かった』ことになる。 そんな警備員室から、離れたフロア。戦闘の行われた一角では、処理班がやって来るまでにリベリスタ達が待機をしていた。その間の暇を潰すためか、ハイディは棚の位置を直していた。 「デパートにとっちゃ災難だろうけど、まあご愁傷様ってことで」 絢音は惨状を目にして肩を竦める。これでも範囲攻撃が放たれなかった分、被害はアークの想定よりも大人しいものだ。 「処理班が直してくれるなら、食べ物が多少無くなっていても大丈夫ですよね~」 本気とも冗談とも付かない口調で、地下の食品売り場に興味を示すユウ。 「いや、いくらなんでも無理があるだろう」 禍津のツッコミにてへっと笑って誤魔化そうとするユウ。誰も突っ込まなければ、本気で地下まで行きかねない勢いであった。 (しかし、人々が見るのはマネキンそのものではなく、マネキンに着せた服や装飾だと言うのに……まったく、虚しい衝動に突き動かされ、はた迷惑な事です) 現れたエリューションについての分析を行うアルバート。そして、その衝動によって、大きな被害がもたらされる可能性もあったのだ。それを思うと、なんとも恐ろしい話である。 「みなさーん、処理班の方が着いたようですー。はやく出ましょうよぅ」 処理班と連絡を取っていたイスタルテが、通信機を片手に皆に声をかける。それを聞いて、撤収を始めるリベリスタ。 「ぐずぐずしてると幽霊が出ちゃいますよぅ」 冗談めかした言葉で皆を促すイスタルテ。その口調は本当に幽霊が来るのを恐れているかのようにも聞こえる。……本当に恐れているのかも知れない。 「それで……幽霊はともかく、あのままで良いのか?」 撤収しながらハイディは付喪に尋ねる。 帰り際に傍にあった電灯を1つ、マネキンに向けて置いておいた。 「あぁ、これで良いんだよ」 そして、軽く拍手を鳴らす付喪。 「これが私から、あんたに送るカーテンコールだよ。まあ、あんたの希望よりも量は少ないだろうけど、我慢しておくれよ」 そして、去って行くリベリスタ。 革醒がもたらした1つの事件は、ここに終わった。 生まれた命は、広い世界を知ることも無く。 そして、幕が下ろされた……。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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