●あくまで大侯爵 この吾輩を召喚しようとして失敗していた愚か者のチャンネルに『閉じぬ穴』なるものができた。確か、少し前に魔神王がそう言っていた事を不意に思い出す。 序に思い出す。あの時は『紛い物』の所為で非常に面倒臭かった。中途半端に召喚される事ほど我々が苛々する事は無い。 嗚呼、そうだ、なら、『少しだけ』からかってみよう。思い切りやったら魔神王に窘められるだろうから、あくまでも『少しだけ』だ。 所謂、『暇潰し』とでも形容しようか。 足元の地面を僅かに摘み上げて、軽く捏ねて息を吹きかける。 それは次元の隙間へと吸い込まれていった。 ●カレイドと電波 「三ツ池公園の『閉じない穴』の影響で一帯が不安定、という事は既に御存知かと」 そう言って事務椅子をくるんと回し振り返ったのは『歪曲芸師』名古屋・T・メルクリィ(nBNE000209)。 その背後モニターには三ツ池公園の木々の中、少し開けた場所が映っていた。 「今回、その影響によるアザーバイド出没を予知致しましたぞ」 コイツです。画面に映し出されるのは不気味な異形――長い腕をした有翼の木乃伊、という第一印象。有刺鉄線の様な長い尾に、全身の棘。禍々しい。 「今回はこれの討伐ですぞ以上、――という訳には済まないんですよね。 このアザーバイドは『アザーバイドが造り出したアザーバイド』、とでも言いましょうか。 造った張本人、いや『人』と表現すべきかはアレですが、兎に角それは相当上位の……おそらく、予知した能力的にも『不和の悪魔』ではないか、と」 リベリスタ達が顔を見合わせた。先の決戦の戦いの一つに悪魔の力の残滓を討った内容があったが……それの本体が今回の原因とは。 「尤も、不和の悪魔が直接皆々様に関わる事はないでしょうな。大方……小手調べか、暇潰しか、ただの悪戯か」 狙いまでは不明ですけどね、と付け加える。兎にも角にも、悪意あるアザーバイドなら討たねばなるまい。現場が神秘的不安定地帯であるなら尚更だ。 「アザーバイドの名は『不和の玩具』。理性などは無く非常に凶暴で危険ですぞ、お気を付け下さい! 身体能力値も高く、特に不和を齎す能力は厄介なモノとなるでしょう。一筋縄では行かぬ存在であると肝に銘じておいて下さいね。 もしも――もしも挽回できぬ程の危険な状況に陥ったり、これ以上の戦闘継続が不可だと判断した場合は速やかに撤退して下さい。命大事に、ですぞ!」 メルクリィの釘を刺す物言いにしっかりと頷き返す。フォーチュナはそれを確認するとニッコリ微笑みいつもの凶悪ボイスでこう言った。 「それではくれぐれもお気を付けて! 皆々様の御武運をお祈りしとりますぞ、フフフ」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:ガンマ | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年03月26日(月)22:07 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●白月 あの時の真ん丸な血の色とは違い、自分達を見下ろす細い細い月は頼りない白を弱弱しく放っていた。 不気味な闇が一帯に蔓延って居る。 「『魔神王』キース・ソロモン。 そいつが使役するかもしれない魔神のうち、たった一体が『暇潰し』で作った玩具相手に俺達は8人掛り……」 仲間と共に暗い木々の間を駆けるツァイン・ウォーレス(BNE001520)が誰とは無しに呟いた。矢張りバロックナイツは底が知れない。一歩の毎に鎧を鳴らし、されど瞳には戦意。 「いいぜ、今は暇潰しに全力で付き合ってやらぁ!」 戦うのは当然である、武闘派なのである。 「暇潰しだぁ……? テメーの世界引きこもって勝手にやってりゃ何の文句も言わねーが、わざわざ粉かけて来るたぁまったくうっとおしい野郎だなあ……?」 武闘派其の二、『三高平の狂拳』宮部乃宮 火車(BNE001845)が目に殺意に似た闘志に瞳をぎらつかせる。 「何れそっち乗り込んで上位階層分捕って、二度とこんなクソ下らねえ事出来なくさせてやっからな……!」 まぁ良い、今日は暇潰しに付き合ってやろうじゃないか。鬼爆を搗ち合わせ、不敵に笑む。 「向こうは単なる暇潰しのつもりで御座ろうが、その相手をする自分達にとっては良い迷惑で御座るよ、まったく。」 とはいえ捨て置けるような輩でもない――闇に紛れる黒装束を靡かせて、足音も無く『影なる刃』黒部 幸成(BNE002032)は駆ける。何があろうとどんな忍務だろうと自分はいつも通り、全力を以て迎え撃つのみ。 夜の三ツ池公園、その何度来ても異様な雰囲気に一つ深めの呼吸を挟んだ。 「この公園は残念な思い出しかないのよねー。ここらで一発逆転、厄払いしましょうか」 はー、と『紅瞳の小夜啼鳥』ジル・サニースカイ(BNE002960)は息を吐く。不和を齎すねぇ、と。 (ンなもんなくても世界中至る所で諍い発生中……) とはいえ、ほっとく理由もないのだけれど。 「うふうふ。とっても面白そうな玩具なの。ナナも遊びたいの。悪魔さんはこんなのが作れて羨ましいの」 くつくつと『Unlucky Seven』七斜 菜々那(BNE003412)は咽を鳴らして朧に笑んだ。不和を齎す。良く分からないが楽しそうだ――頭の中がぐっちゃぐっちゃになる感覚なのかな? 「きっと気持ち良いの。身も心もお互いにぐちゃぐちゃになるまで戦ったら絶対楽しいの。ああああ、玩具は楽しんでから最後に壊してナンボってやつなの。早く遊びたいなあ」 虚ろに吐く言葉、自らの身体を抱いて恍惚と。 「土人形に息吹をかけて命を与えるたぁ、神様みてぇな侯爵様がいたもんだ。いや悪魔かね、まぁ似たようなもんだがよ」 ともあれ、ご本人様が直々には来なかった事を言祝ぎつつ――『赤錆烏』岩境 小烏(BNE002782)の印が結ぶのは守護の陣。不可視の結界が仲間を包む。さぁ、暇潰しのお相手といこう。 「バロックナイツや鬼だけで手一杯なのに、本当に運が悪いなあ……」 あの時の戦いからもう随分経っている気がする、と『不幸自慢』オリガ・エレギン(BNE002764)は思う。横目に見遣る景色は今も尚、あの激戦の爪痕が。吐く息は重く、顔色は何時に増して悪い。今度は紛い物でなく本物が作った玩具、だなんて。悪い冗談ならどれだけいいか。 「ここにいる仲間が敵に見えたとしても、それは不和の玩具が見せる幻のようなもの。気を引き締めていきましょう……」 無論、僕も。 照明の光の先、視線の先、開けた地点――空間の裂いて、不気味な咆哮。 ●逆平和 それに思想は無く、理性は無く、意義は無く、意味も無く。否、意味はあるかもしれない。後付けだけれども。そも、意味とは必要なのか。空想の倫理。 不和の玩具が翼をはためかせて空間の裂け目から飛び出れば、次元の向こうに続く穴は音も無く閉ざされる。 「始めましょうか、イノチ賭けの暇潰し……ウフフ」 One Night Stand。一夜だけの情事と名付けた刃を蛇の舌でチロリと舐めて『ディレイポイズン』倶利伽羅 おろち(BNE000382)の瞳が不和の玩具を捉えた。いい趣味ね、惚れちゃいそう。 「んふ、お人形サンの視界と間合、どんな感じなのかしらん」 作業用光源の明りを頼りに仲間と共に散開する。回り込むのは後方、細めた蛇の目で玩具を射抜いた――エネミースキャン。見抜く。うふ、と唇から笑み。 「……精度を高めてからヤった方が良さそうね……」 成程、フォーチュナの言う通りタフネスらしい。 その言葉をしっかと耳に留めつつ、ツァインは盾を闇夜に高く掲げた。 「お前が不和をもたらす力の化身なら……それを打ち消し調和をもたらすのが俺の力だ!」 仲間へ放ち施すのは十字の加護、戦いに赴くその意志力を極限に高める。臨戦態勢。準備万端。幸成もランプの明かりで周囲を照らしつつ影より黒い影を足元より呼び出した。熱感知の瞳――されど玩具に温度は無かった。土くれからできている所為か異界の存在だからか理由は不明だが、自他の照明があるので問題ない。 不和の玩具の有刺鉄線が絡み付いた様な尾が揺れた。鋭く振るわれた長い尾が前衛陣の身体を切り裂く――飛び散る赤が菜々那の頬にまで散った。仲間の血か、或いは自分の血か。関係無い。 「うふうふ。こんな面白そうな玩具、絶対に逃がさないの」 絶対零距離に間合いを詰める。考え無しに突っ込んでいるのではない。こうする事で裏切りの囁きを誘発させようと目論む。自分は混乱しない、端から脳味噌がぐるぐるしているから。それにこうも近ければ範囲攻撃も使い難かろう、と。 「あーそびーましょー、うふうふ」 Serpent tailとSerpent headを構え、振り抜き放つは精神すら焼く暗黒の魔力。反動にぐゎんと響く脳味噌、耳から鼻から歯茎から血が垂れた。されど笑む。玩具の間近で笑む。玩具が本能のみという特性も相まって、結果として誰よりも攻撃対象となってしまったがそれが何だと言うのだ。裏切りの囁き(こえ)なんてこのアタマに届かない。さぁ、先をチップに踊ろうか。 血みどろまみれて狂気の沙汰、それらを見澄ましジルの紅瞳が不和の玩具を見澄ました。 「さーて、新技行ってみましょうか」 指に持つのはいつものフローズンダガーではなく、破滅を告げる道化のカード。狙い定めて、3、2、1。ダーツの様に翼の真ん中へ。土くれだからか血は出ない。小夜啼鳥はこっちへ意識を向けた玩具へ笑ってやった。 「ナイフ以外も投げられるのよ? 不吉のお味は如何」 言葉を吐きつつ再度カードを構える――刹那、巻き起こったのは凄まじい大爆発。否、爆発では無い。有象無象を焼き尽くす巨大な火柱。煉獄の焔。 駄目だ。駄目だ。全然駄目だ。生温い。半端な火加減だ。 「テメー等は毎度毎度……ちょっかいばっかかけてきやがってぇぇ!」 爆炎を突っ切り、真っ正面。戦意のままに剥き出した歯列からフーッと息を漏らす頃には、火車は鬼爆に紅蓮の炎を纏わせていた。 「どっかで見てんだろ! この玩具の持ち主よぉ! 今はテメーの暇潰しに付き合ってやるよぉ! だがな……!」 懐へ潜り込んで、超接近戦。他に目もくれずに繰り出す業炎の拳。叩き付ける。足りない。もう一発。 「近い未来、テメー等の世界潰して、どっちが上か! 思い知らせてやっからなぁっ!!」 渾身の力を込めて業炎撃、焼き尽くす。 仲間を焼く炎はツァインのブレイクフィアーが消し飛ばした。ふ、とツァインは息を吐く。休んでいる暇は無い、仲間を支えるのが自分の役目。隙を見付けては後衛の仲間にオートキュアーを施してゆく。 「気持ち程度の手当てだ、最後まで気ぃ抜くんじゃねぇぞ」 仲間へ周囲術を施し、小烏は後ろへ跳び下がる。見遣る先の玩具はその凶悪な外見通りの火力で仲間達を蝕んで行く。超直観でどんな攻撃が来るかだけでも分かれば声もかけできようが……難しいか。それでもやらないよりはマシだ。 玩具の軋む様な声が闇に響き、呪われた息吹がニンゲンを嗤う。 「く、」 飛び退いた幸成は玩具の息吹に中てられ半分石となった黒い襟巻を投げ捨てた。何とか直撃は免れた事に一先ずは安堵、ガシャンと砕ける音を聞きつつ投擲暗器:凶鳥を構える。サポーターが二人も居るとは言え回復不足は否めぬ所――なればこそ、攻勢。攻撃こそ最大の防御。影を纏い後方から狙う。が、玩具は振り返る事無く凶器と呼べる尾の一撃で幸成を襲った。 忍が刃で受け流すは最低限の回避行動。掠めた肌から赤が散る。されど臆さず指先で紡ぐのは、拘束の糸。 「肉を斬らせて骨を断つの心構えにて、いざ参る……!」 雁字搦めに縛り上げる。藻掻く程に土くれの肌に食い込む。暴れる玩具、その耳元にて囁いたのは流れる己が血で唇を真っ赤に染め上げたおろちの微笑みであった。出遭った。 「ウフフん……いやん、こういう血の出方すると……生きてるって実感するわん」 もっと・し・て。 玩具をぶちぬく黒くて堅くて激しいの。集中を重ねたその一撃は熱く激しい情事が如く。 やれることを一つ一つ丁寧に。暇潰しこそマジ。じゃないとつまんないじゃない? 刹那に閃くのは菜々那のソウルバーン、ジルが放った不吉のカード。 「貴族の暇潰しなんて、平民にとって恐怖の対象でしかないですよ、まったく……」 ぶつぶつと愚痴と共に紡ぐのは魔曲の旋律、痛悔機密の為の通過儀礼にそれぞれ別パターンの魔導を乗せた四つの矢を番える。 「貴方は暇なんでしょうけれど、僕達は暇じゃないんですよ」 放つ四光はそれぞれ拘束に暴れる玩具の翼へ。曰く、飛ばれたりすると厄介ですねと。 (強ぇー!? クソがぁ……っ ……だけど、だけどなぁ……!) 滴る血を拭い捨てて火車は流水の構えをとる。 「こういう状況でこそ……! そういうモンだろが!」 殴り甲斐があるなら何処までも殴りつけてやるのみ。 拳を燃やし――だが、彼を阻むものがあった。瞠目する。幸成の気糸で動けない。指先一つ。敵意と懐疑の眼差し、齎された不和。ふざけんなと締め付けられた咽で叫べども。 「ハン、まやかしなんか効かないわよ!」 刹那、幸成を横合いから体当たりして抑え込んだのはジルだった。裏切りの囁きに血まみれになりながらも運命を燃やして正気を保って、それから玩具を睨み付けるのは左の金眼、あらゆる神秘のまやかしを看破する破魔の瞳。この目なら、『正しいもの』が見える――かもしれない。抑える幸成が暴れる事は無かった。噛み締めた口唇から血が伝っている。戦っているのだ、己が心を蝕む不和と。屈するものか。仲間を信じ抜く。忍びとしての心構えを甘く見て貰っては困る。 ならば自分はその不和を取り除くのが役目だ、とツァインは思うのだが――何故かやる気が起きない。自分は彼等に良い様に利用されているだけではないのか、なんて思う。何が正しいのか分からない。全部死んでしまえ。あいつら大嫌いだ。死ね死ね死ね。 「……俺は攻撃しない、俺は攻撃しない……」 嗚呼、分かってる、こんな事を念じても気休めにしかならない。不和の力は、悪魔の力は甘くない。途方もない。 けれど。己の横っ面を殴りつけて彼は大きく声を張り上げた。 「一体何千回この技使ったと思ってやがる! 頭がいかれてても、体が覚えてんだよぉーッ!!」 放つ光は破魔の光。仲間の心を正しく導く道標。 「背中預ける相手と喧嘩相手の区別がつかなくなったか? 大丈夫だ、あの声が聞こえてるんならな」 薄く笑んだ小烏は仲間を癒すべく東奔西走、気を確り持つしかない。戦場を見渡した。視界を横切るのはオリガの魔曲、本当に人の心に干渉するなんて悪魔はタチが悪いと不幸神父は思う。ついでに玩具の攻撃をちょっと直撃しただけで運命を燃やす羽目になった己が不運にも溜息を吐く。 「何度も同じ目にあうのは、性に合わないです、からね」 大元が土くれ如きに負けていたらこの後の敵にも勝てないだろう。立て続けに着弾した矢は罪を問う審問官が如く玩具を激しく追い詰める。土くれの肌がボロリと崩れ、翼が片方落ちてただの土になった。 また一つぼろりと崩れた玩具が痙攣しながら鼓膜を掻き毟る気味の悪い声を上げた。 熱量。吹き上がったのは凄まじい火柱。呑みこんで焼き潰す炎。地獄の炎に抵抗するも倒れる者――立ち向かう者。被害が少ないのは小烏の守護結界とツァインのクロスジハードに因る所もあるだろう。 小烏は自分を庇ったおろちへ礼を述べつつ傷癒術を施した。構わない、と彼女は笑う。戦線が維持できくなるとマズ過ぎるから。 言える傷、消える痛みを感じつつおろちは駆けた。 (不和、ねぇ) 誰かになんかいわれて、なんかふきこまれて、だから誰かを信じないとか、裏切るとかさ。 それこそ一番キライだわ。 アタシは、誰かを裏切る気ならハナから殺しにかかってる。 誰かを信じるなら死ぬまで信じる。 「バカなのよ、要は」 玩具を縛り上げる糸。間髪入れずに幸成が殺意の塊を叩きつければ、その真正面に今度こそと火車が立った。何度目かになるか数えてもいない業炎拳をその顔面に力の限り叩き付ける。 崩れる土、口、それで火車を貫いたのは裏切りを唆す声。脳を磨り潰される様な感覚に 耳鼻目口爪の間から鮮血が吹き上がる が、彼は倒れるどころか左手でむんずと玩具の頭を引っ掴み。 「さぁて……やっぱそうこねぇと……暇潰しなんざ言えんわなぁ?」 ドラマも彼の戦いを望んでいる。不和だか裏切りだろうが知ったこっちゃない。自分の敵は目の前に居る玩具だけ。敵だけ見据えて拳に炎。 「逃げねぇ! 引かねぇ!! 目を切らねぇ!!! 燃え散らかして! 消え失せろぉ!!!」 振り被ってその胴体に突き刺す拳、今度はこっちが燃やす番だと大炎上で焼き尽くした。 土くれの欠片すら残さない。 ●Dear大侯爵 燃え崩れた土の残滓は夜風に吹かれて散り消えた。 暇潰しレベルで産み出したものですらこの強さ、全力でやっと。遠い――あまりにも。 「神代に謳われる程の悪魔とは、真恐ろしき存在に御座るな」 息を吐きつつ幸成が言う。今はまだ未熟故に到底敵わぬ相手だろう。が、 「……いずれこの借りは必ずや返させて貰うと致そう」 それはツァインにとっても同じ気持ち、果てに待つのはいつか倒さなくてはいけない相手。ならば遊びの内に情報を集め、少しでも強くなっておかねばならぬ。 「見ているんだろう大公爵殿? 他のお仲間にも伝えて頂きたい。その暇潰し、最後まで付き合おう!」 刃を掲げて言い放つ挑戦状。火車も拳をゴキリと鳴らして彼方を睨ね付けた。 「今は精々楽しんでろよ……? 必ずテメーの素っ首にこの爪差し込んで、後悔する間も無く大炎上させてやっからなぁ……!」 一方でおろちはくつりと笑み、しかし仲間と同じく彼方の大公爵へと投げキッス。 「今度は、直に触れ愛ましょうよん。お人形サンじゃ……イけないわん」 果たして彼らの声は届いたのか否か――虚空に消えて、答えは遥か。。 『了』 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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