●陽気の下で 真白イヴ(nBNE000001)が足をぷらぷらとさせながらぼうっと空を見上げている。 四月も、もう中旬。だんだん暖かくなってきている日差しにうとうとしたりしながら見上げている。 事件があれば確かに忙しいし、色々と大変ではあるがこうしているのもたまにはいいものだ。 丁度頭の上を鳶が鳴き声を上げながら飛んでいるのを眺めてほんわかと。 ぼうっとしながら一息ついてからピンと頭の中で浮かび上がった物を調べ始めに戻っていく。 しばらくして…… 「……時期相応です」 はふっと一息ついてから人を呼び始める。 特に大した用事ではないのだが、色々と血生臭い事をほかでしているご褒美みたいなものだ。 「そろそろ花見も終わります、休暇ついでにどうぞ」 そんな訳でブリーフィングルームに集まったリベリスタ達に地図を広げて桜の開花時期と一番良い所を示していく。 「三高平公園、湾岸地区から三高平大学側へと眺めると良い感じ」 つつっと指を滑らせて「こういう風に場所をとれば確実」と自信ありげに言っている。 ……さりげない職権乱用とも言えるがそこは目を瞑る。 「あと、お酒の席で暴れるフィクサードがいるから、とっとと倒して花見してください」 めんどくさそうにため息を付いてから地図に出現するであろう場所を指差す。 地味にこっちの方が本業であるのだろう。 とは言え、あくまで普通に楽しむのが目的、ついでに交流もしてくれれば万々歳。 「お土産は、桜餅」 と、重要そうにそういってからリベリスタ達を見送る。 春の麗らかな日差しの中、桜餅を楽しみに待つのだった。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:如月 春 | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年05月09日(月)22:52 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●出撃準備 春も麗らか、と言ってもまだまだ寒い時期は少し続く中、花見への出撃準備を始めるリベリスタ達八人。格好は様々だが、正直今回のフィクサードなんて金魚の糞以下のオマケみたいなもの、ラ●ダースナックのポテチ部分なので花見が九割くらいの気持ちだろう。 「花見の季節もそろそろ終焉、虫食いで台無しにされた以前の分も楽しむとするかのう」 右手に自分用の三高平乳業のパック牛乳(鉄分たっぷりA型RH-)、左手にはかなりの重量感がある重箱を持ちながら『泣く子も黙るか弱い乙女』宵咲 瑠琵(BNE000129)が、ふふんと言う感じで準備している。もう既に臨戦態勢。 「ま春といえば桜だよなぁ、『アーク』に入ってから始めての休暇のようなものを味わえるのは結構」 此方は大きめのレジャーシートと焼酎やら日本酒やらを詰め込んだクーラーボックスを肩下げにしている『市役所の人』須賀 義衛郎(BNE000465)。勿論抜かりなどはなく、クーラーボックスを開けば紙皿やら割り箸、プラスチックのコップを装填済み。何時でも花見戦線への出撃が出きる。 「うんうん、この季節はやっぱり花見じゃの。たまにはこういうことをしてもバチは当らぬじゃろうよ。」 がさがさとビニール袋の擦れる独特の音を放ちながら『有翼の暗殺者』アルカナ・ネーティア(BNE001393)が鼻歌を奏でている。中身は甘いお菓子をメインに、和菓子から洋菓子、スナック菓子におつまみなどの物がぎっしりと詰まっている。量の多い買い物をしたときのあのでかいビニール袋なので結構な量が両手分。 「花見じゃー!花見なのじゃー!これを逃すとまた来年なのじゃー…」 ぐっと握りこぶしを作りながら『白面黒毛』神喰 しぐれ(BNE001394)が和菓子の詰まりに詰まった袋を抱えながら意気込んでいる。内部比率的に和九割、洋一割、といったところだろうか。 「でも人に迷惑をかけてはいけませんからねー?」 その横でめっと指で×印を作りながら神代 凪(BNE001401)がそういう。此方はジュースやらお茶やらを中心に買い込んでいる。未成年用と言った所だろうか。勿論お弁当とお菓子もしっかりと用意している。 「お酒は飲み過ぎないように、桜は見過ぎても飽きないが」 そんな事を言いながら『正義の味方を目指す者』祭雅・疾風(BNE001656)がビールやらジュース、お茶を抱えている。炭水化物がここにきて少なくなってきた気がする。とは言え、基本的に水物は沢山飲むのだろうが。 「お弁当は大事だよ、うん」 漆塗りの重箱(五段)を提げながらしっかりと持ってきた事を伝えておくのは『シャーマニックプリンセス』緋袴 雅(BNE001966)。色々と詰め込んだ和風のお弁当らしい。なにやら豪華に伊勢えびを入れたりとかなり凝っている。 「フィクサードを倒し、花見をしながら桜餅を作る……中々難しい」 そんな事をいいながら『ぐるぐる』ブルーノ・ブオーノ(BNE002296)が、がちゃがちゃと調理器具と桜餅の材料を用意している。この手のものは中々にかさばるのでかなりネックではある。 ともかく之で花見の出撃は完了したので、指定されたポイントまでぞろぞろと観光気分で歩き始める。 ●花見戦線 そういうわけで花見会場のイヴから指定されたポイントの近くまでやってくる。丁度満開、の少し過ぎた後の桜吹雪が綺麗な時期に当たったと言った所だろうか、ひらひらと桜の花びらが舞い、リベリスタ達の服や髪にちらちらと乗っている。 まぁ、とにかくこの荷物を下ろさないといけない 「動くにせよ、荷物があるとね」 須賀が抱えていたレジャーシートをばさっと広げて荷物を下ろし始める、結構騒げる広さを確保できたのは職権乱用のおかげだ、他のリベリスタ達も持ってきた荷物を下ろしてまずは纏めておく。お弁当はお弁当、お菓子はお菓子、飲み物は飲み物、全員分を纏めると中々の量だ。そういうわけでフィクサードが暴れるポイントまで、と言うかすぐ目の前で暴れるらしいので、その間に荷物を整理しているわけだが。 ぐるりと辺りを見回すとまだまだ他の花見客も居るのであまり派手なことは出来ない、はずだが思いっきり酔っ払っているので特に問題は無いようだ。流石に地面ごと吹っ飛ばすとかそういうことは出来ないが、余興かー程度には思えるだろう。 そんな訳でフィクサード、暴れました。おあつらえ向きに片手に一升瓶もって一気飲みです。まぁ、そういうわけで泥酔状態です、他の花見客に絡んで迷惑の限りを尽くしています。そういうわけでリベリスタ出動です。まぁ、こんな三流フィクサードなんて秒殺は確定済み。 「とりあえず念のためじゃ」 わいわいと騒いでいる間に、守護結界を施し用心しておく。あの様子だと攻撃ではなく、絡み酒が飛んできそうだが。 「とにかくさっさと解決しましょうか」 そう言いながらフィクサードに近づいて、至極普通に。 「すみませんが、周囲の迷惑になるので少々落ち着いてもらえませんかね」 とっても丁寧に落ち着けと、他のお客さんもいるのでと、付け加えて言ってみるものの、特に効果は無い。そりゃこんだけ泥酔してれば何を言われているの言っているのかわからなくなるものだ。後ろでリベリスタ達がため息一つ零して。 「はーい、皆さん離れてくださいねー」 そういってフィクサードからある程度お客を離れさせてから。 まずは足元狙いのギャロッププレイ(×2回)、当然の如く転ぶわけですよ。 「今日は休暇を楽しみたいのでね」 瞬間的に相手の懐へと踏み込んでから峰打ち幻影剣。滑るように相手の顎を的確に捉え、仰け反りながら宙に浮かせる。 「花見を楽しみたいのは同感」 静かに幻想纏いを発動して宙に浮いた所へと飛び。 「ちょっと大人しくしててほしいなー」 さらに逆サイドからもう一人飛び上がってから叩き付けるように業炎撃の二連攻撃。ひらりひらりと舞い散る桜にあわせて焔が良い感じに演出をしてくれている。それを眺めてからやんややんやと周りの花見客がおひねりを投げ始めている。 「ご覧ブオーノ、あれが楽という感情だよ」 周りで騒いでいるお客を指差しながらのんびりと肩に乗せているAFのブオーノに教え込む。最初の一発目以降、勝手にコンボが繋がっているので特にやる事も無いのだ。 とにかくフルボッコ。ダウンからの浮かし、エアリアルからのたたきつけ。 「流石に死んではいないよね?」 目の前で繰り広げられるリアル格闘ゲーム状態を眺めながら緋袴がぽつりと呟く。今回は重傷もあってか見る側で待機。 そんなことで総ヒット数五発のコンボを食らってフィクサード、あえなく撃退。何とも哀れな最後である。 また起き上がって何かしでかす前にワイヤーやら縄やらで亀甲縛りの上でさらに吊るし上げられて簀巻きの状態に。亀甲縛りをした張本人は。 「うむ、大・失・敗!」 どうみても曲がっちゃいけないような方向に曲がっている部分が見えるが死んでないのでよしとしよう、額の真ん中らへんに中……の上に×印がかかれてその隣に肉とかかれている。油性マジックのご利用は計画的に。 そういうわけで散々になったフィクサード、トイレの裏に放り込まれて放置プレイ。 ●本番 厄介者のオマケも倒したので。休暇の花見を楽しむ。 此方では両手でパック牛乳を持ちながらストローで一気飲みしている宵咲。風呂上りと仕事上がりの一杯はまた格別だ。本人曰く「まろみが違うのじゃよ」とのこと。 「ま、こういう依頼もたまにあるといいな」 持ってきていたお酒をちびちびと飲みながら桜をめでる。お酒二十歳になってから、こういう風にほろ酔いながらのんびりと桜を眺められるのは中々乙なものだ。他の花見客やら同伴者にお酒をすすめ、すすめられながらも楽しくお酒を飲み続ける。しかし飲みすぎると眠くなる体質のせいかたまにかくんかくんと首が垂れる。それはしょうがない。 「花見の季節はやっぱりいいのじゃ」 ぱりぱりとスナック菓子やら和菓子やらを摘みつつ花見中、たまにトイレの裏に何か居るんですが!と言ってくるまともな人に「これは光るロープじゃ!」と言い張ったりもしてるがそれ以外は特に問題はなく、楽しく花見中。おすそ分けといいながらお菓子を配って回ったり遊んだりと堪能し続けている。 此方は捉えたフィクサードが丁度見える辺りで陣取りながら花見を楽しんでいる。持ち込んできたラムネを腰に手をあてて飲んでは「しゅわしゅわのどがするのじゃー!」ときゃっきゃと言いながら。ラムネと洋菓子、これ最強とか言っています。 その隣で一緒に食べのみしながらもフィクサードの見張りをしつつ、とりあえず説得もしてみるが、正直ここまでフルボッコにされたうえに泥酔しているので返事が殆ど無いのが実際の所だが。 「だめですねー……返事が無い、ただの屍のようだ?」 とりあえずある程度回復をしておいてから、神喰の隣へいって一緒にラムネとお弁当を楽しみ始める。仲の良いことは良いことです。一人よりも沢山で食べるお弁当のほうが美味しいに決まっています。春の陽気とお弁当と良い感じの抱き枕。神喰が神代に抱きつきながらすやすやと寝息を立てる。巨乳が憎いだの、超時空アイドルなど、夢の中でもお弁当を食べているのか苦しそうにしているのを見つめてくすりと笑い。二人そろって桜に囲まれてお昼寝し始める。これもまた一興。 「流石にお酒に飲まれないようにはしないとなぁ、折角の花見ですし」 ジュースとアルコールを配り終わった後に自分もビールを持ち「ぷしゅ」っと心地よい音と共に飲み始める。喉から心地よい音を鳴らしてから口を離して一息。この喉越しと爽快感とキレが堪らない、と。仕事上がりの一杯ほど堪らないものはない。未成年にはわからない大人の味。 「花見といえば、お弁当だね」 持ってきていた漆塗りの重箱を開けて皆で突き始める。煮詰めやら肉じゃが等の和食を中心に重箱の下にはから揚げやらエビフライと言った物もつめている。そして今回の目玉である蒸した伊勢えび、どどんと二匹入っているのは秒殺された。それはもうあっという間に。とは言え、すっかりと空になった重箱を見るのは料理を作ったものとしては心地よいものでもあるので問題はないだろう。重箱をつついている人に酌をしたり、花びらのおかげか少し色っぽく見えたりとあるが男です。 後ろの方では最後の卵焼きに手を出した奴は誰だとか言いながら暴れているのが一人いる。半泣きでいい年もしているのに卵焼き一つに戦闘時以上怒りに震えている。少々唸りながら卵焼きを食らった人物を探し回る……。 「さて、此方は桜餅の作成依頼を開始するか」 腕をまくって持ってきた調理器具を取り出してボールに白玉粉、小麦粉、上白糖を混ぜ合わせる。少し生地を寝かせる間に、ブオーノを使っての腹話術ショーをやってみる。プラグで繋がっているのでどうなんだと言われればそれで終わりではあるが、他の花見客からの受けはかなりいい、おひねりが飛び出してくるほどだ。そうして小銭を少々稼いだ後、食紅を生地に混ぜてフライパンで焼き始める。ここで注意だが生地はあぶって表面の水気を飛ばす程度で十分である。ともかく生地を焼いたあとに、餡子を包んで桜の葉っぱを撒いたら完成。紙皿にそれを積み上げて周りに配り始める。 出来立ての桜餅を食べながら桜を眺める、そんなまったりとした花見を楽しむ。 ――そうして各々が楽しんでいると夕方にもなり、人もまばらに夜桜を楽しむのは後はご自由にといった感じではあるが、一応仕事なのでここらでお開き。良い感じに酔っているのやら、寝起きで目を擦っているのやらと中々な状況ではあるが。 「では一つ巫女舞を」 夕日と桜を背にしながら優雅に踊る。鈴がしゃらんと鳴り響き、桜吹雪の中で踊るのはなかなか見れもしないしない事だ。そうやって今年の花見を締めていく。 勿論きちんとゴミは綺麗にしてから帰りましょう、きたときよりも綺麗に、これ常識。 ●お土産 花見も終わり、馬鹿をしでかしたフィクサードも簀巻きの状態で引きずられて回収、残った依頼は……。 「お土産」 手を出してイヴがねだり始めている。 「うむ、これがお土産じゃ」 そういうわけで目の前に詰まれる上方風、江戸風と書かれた桜餅の箱、各二十個。 ちなみに違いは皮の部分で、上方風は道明寺粉を使用したもので表面がごつごつしている団子のような状態、江戸風は小麦粉を使用したぺらんとした生地で包まっている奴だ。領収書先は時村沙織。 「フォーチュナのお姫様は甘党だねぇ」 追加の桜餅。 「もう一つ」 さらに追加の桜餅、そしてついでのオコジョ人形、前足がちょうどおでこの辺りにひっかかり垂れている。それを器用に落ちないようにセットしなおして満足気。 「さらにもう一つ」 帰りの和菓子屋で見つけた桜餅が追加。 「もう一つじゃー」 くしくし目を擦りながら、お土産の桜餅がまた一つ。 「手作り桜餅です」 そうして最後に皿に載せられた桜餅にラップがかけられた物が正面に置かれる。横に置かれている山のような桜餅は置いておいて、さっそくと言わんばかりにそのラップを剥がしてまずは一口……もぐもぐ。しっかりと全て食べてから口を拭いて、ごちそうさまと丁寧に言ってから。 「生地の作り方が、ダメ。葉っぱがちゃんと処理されてない。生地、やきすぎ」 そうすらすらと言っていき。 「もうちょっと頑張れば満点」 ちゃんと全部食べてからの評価、中々に舌の肥えているイヴであった。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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