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薔薇の香りは禁断の悦楽

●ラブロマンスは老若男女問わず等しいもの
 夕日の掛る大きな公園には、美しい薔薇園があった。
 この公園の設計者が、薔薇に魅せられていたからだとか、心温まるストーリーがあったからだとか。
 憶測で生まれる話よりも、こうして始まる物語の方が重要だろう
「もうやめようぜ、瑞樹」
 茜色の太陽を背に、少年が振り向いた。
 影になって顔は見えぬが、きっといい顔はしていない。
「……」
 瑞樹は彼の言葉に返事をせず、語りかけられた方もギュッと胸元で重ねた両手を握り締めるだけ。
「お前の気持ちは嬉しいけど、気持ちだけでどうにかなるもんじゃないだろ?」
 彼の言葉に俯き、肩を震わせる。
 だが、グッと顔を上げた……『彼』の顔には確固たる意思が浮ぶ。
「だったら、君はどうなの?竜也!」
 竜也と呼ばれた少年、彼に視線を向けていたのも少年だった。
「あの時、僕を抱きしめてくれたのは嘘なの? 僕は、そんなイイ子になれる程大人じゃないよ……」
 今まで大人しくて従順だった存在からぶつけられた、語気荒い本音。
 勿論、この恋が許されざるものだというのは幼い二人とて分かっていた事だろう。
 それでも、瑞樹は彼を選んだのだ。
「瑞樹……本気か?」
 今一度、確かめる言葉。
 涙目になった瑞樹は頭を大きく振って頷く、セミロングの髪が揺れる。
「……馬鹿な奴だ」
「えっ……?」
 不意に近づく竜也の身体、そして二人の影が溶け合っていく。
「んっ……!?」
 頭部の影も重なり、長い時間を掛けて離れ、再び二つになる。
 上気した瑞樹の頬は、周りの薔薇よりも赤く映えるだろう。
「世間だとか、未来だとか、色々考えて身を引こうってしてたのに……馬鹿な奴だ。 そこまでいうなら、覚悟しろよ」
 瑞樹の掌が、彼の胸元に重なれば、セーターをぎゅっと握っていく。
「そんなの、告白した時から決めてたよ……」
 だが、そんな二人へ揺ら揺らと真っ黒な影が近づいていたのだった。
 
●最初に言うべきは責任は取れないこと
「……と、いう事で。 このままではここで愛を紡ぐ相思相愛の二人が犠牲になるわ」
 坦々とスクリーンに映った映像を消しつつ、『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は説明を始めた。
 その前にあの二人について説明が欲しいと思う者もいるだろうが、そんな事お構い無しだ。
「あの黒い影はエリューションよ、エレメントエリューション、フェーズ2の戦士級ね」
 スクリーンに映るのは、先程の映像の終わりにあった黒い影だ。
 成人男性と同じぐらいの体躯を模る、エネルギー体のようなものが正体らしい。
「攻撃手段は黒いオーラを伸ばしての刺突攻撃、モーションが大きいから予測しやすいはず。 あと腕を刃にしての斬撃、範囲が広くて群れて近づくと危ないわね」
 一通り戦闘能力のスペックを説明すると、ハッとした仕草を見せ、言葉を続ける。
「肝心な事を言い忘れたわ。 このエリューションを出現させるには、彼等の様な行動を取る必要があるの」
 リベリスタ一同がズッコケた。だが、イヴは気にも留めない。
「トドメとなって出現の条件を満たしたのが、キス。 元々同性愛者か何かの思念が集合して出来上がったみたいだけど、そこまで二人の愛を見ないと姿を現さないのが厄介ね」
 真面目な説明以外に何かいう事がないだろうかと視線を送るリベリスタ達に、彼女は訝しげに小首を傾げるだけだ。
「本当に唇を重ねなくてもいいわ、そう見えるように仕組んで頂戴」
 角度的に見れば重なっているように見えるだとか、そういうものでよいらしい。
 ほっと胸を値で下ろす彼等にイヴが無表情に追い打ちをかける。
「……もし、そういうのに目覚めても、私達は責任は取れないからそのつもりで」
 そんな事になるかどうかは、この戦いが終わってからのことだろう。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:常陸岐路  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2011年12月28日(水)23:59
【ご挨拶と注意事項】
 初めての方にはお初にお目にかかります、再びご参加頂いた方には御愛好有難う御座います。ストーリーテラーの常陸岐路です。
 今回は……まぁ、ギャグになるか、そういうのが好きな淑女向けになるかは皆様の受け止め方次第かと思います。
 イブの説明どおり、男性同士のカップルが愛を確かめ合うようなシーンがないと、エリューションは姿を現しません。
 万が一、女性しか居ない場合は……そう見えるように工夫する必要があるでしょう。
【エリューションについて】
 池袋の淑女達の思念集合体ではないです、あくまで同性愛者等の思念集合体が今回の敵です。分身体を作り出す能力が少々厄介かもしれないので、ご注意ください。行動は3回行います。
〔攻撃手段〕
刺突攻撃:大振りの突き攻撃を放ちます、回避しやすいですが当ると致命傷になりかねない破壊力なので注意してください。
斬撃攻撃:接近している敵を腕を変化させた刃で、一薙ぎに切り払います。接近しているリベリスタ全てにダメージが来ます。
棘射出:身体から黒い棘を発射して攻撃します、命中率は高いですが威力はそこそこといったところです。
分身体:小型の分身体を一つ作ります、本体に追従して同じ攻撃をするので一度の攻撃数に分身体の数が乗算されます。分身体は攻撃を受けると簡単に消滅してしまいます。
【最後に】
 本気で同性愛なプレイングでも、ギャグテイストなプレイングでも何でもOKです。少々奇特なお話ですが、皆様に楽しんでいただければと思います。ではでは、ご参加心よりお待ちしています。
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
ホーリーメイガス
霧島 俊介(BNE000082)
デュランダル
結城 ”Dragon” 竜一(BNE000210)
ソードミラージュ
ルア・ホワイト(BNE001372)
デュランダル
桔梗・エルム・十文字(BNE001542)
スターサジタリー
坂東・仁太(BNE002354)
ソードミラージュ
武蔵・吾郎(BNE002461)
デュランダル
羽柴 壱也(BNE002639)
覇界闘士
白鈴 藍(BNE003075)

●作戦名薔薇十字
「薔薇園に進入。これより作戦を実行する」
 公園の一角、小型カメラを片手にちょこまかと動き回る影が一つ。
 『雪風と共に舞う花』ルア・ホワイト(BNE001372)はセットしたカメラの映像を確かめていた。
 レンズに不要物が入らず、且つ舞台となる一角が余す事無く撮影できるベストポジションを確保していく。
「こちら超監督壱也。カメラはどう?」
 薔薇園が一望できる小高いポイントに身を潜める『超監督』羽柴 壱也(BNE002639)は、ルアへと通信を送る。
 いつもと違い、ショートカットのウィッグに眼鏡、男子制服と男を装いつつも、声色までは変えれなかった。
「バッチリよ、作戦を継続するわ」
 続けて別の場所からの通信がAFへ飛び込む。
「こちら桔梗……。 作戦ポイントに到達、いつでも大丈夫」
 『インフィ二ティ・ビート』桔梗・エルム・十文字(BNE001542)は高鳴る心音を抑えながらカメラを構える。
 小さなレンズが来たるであろう対象を逃さぬよう、しっかりとピントを合わせていた。
 彼女もまた、いつもと違う格好だ。ジーンズとジャケット、長いストレートヘアはそれっぽく一つに結われ、男性を装う。
(「これが噂に聞いていた……。とっても神々しい気がする」)
 『これ』が示すモノ、それは心の中ですら口に出来ない。
 初めて見る世界に、興奮するのか桔梗の頬が紅潮する。
(「ルアちゃんたちもすっごく本気のオーラ出してるし。 わたしもマジにならなきゃ……」)
 道中、他の女性二人の意気込みを感じ、決戦にでも向かうような迫力に飲み込まれてしまいそう。
 けれど、この瞬間をモノにしなければならない。その為に、ここに来たのだからと今一度決心を固める。
「こちらルア。 カメラ全ての設置完了」
 全ての準備は揃った。
 今回の作戦の指揮を執る壱也の手にうっすらと汗が滲み、カメラを今一度握り締めなおす。
 チャンスは一度、これを逃せば次はないであろう。
「皆、ありがとう……」
 深く心の篭った言葉をAFへ吐き出す。
「何いってるの、私達の心はいつも一つだもの!」
 弾む様な声が、ぐっと彼女の背を押していく
「そいじゃ、いくよ!オペレーション『ローゼンクロイツ』スタートォ!」
 ここで初めて、3人のAFは全メンバーへのチャンネルに合わさった。
 
●ここからはカメラの映像となります
 薔薇園に再び別の人影が現れる。
『原初の混沌』結城 竜一(BNE000210)と、『白面の金狐』白鈴 藍(BNE003075)だ。
 同性ながら小さな藍の手が竜一の掌と重なると、子供の様に幼く感じるだろう。
「結城さん……」
 自ら重ねながらも、何処となくぎこちない動き。それを引き寄せる様に大きな掌が握り返し、包み込む。
「全く、この季節はやっぱり寒いな」
 うっすらと浮かべた苦笑い、そして反対側の手が藍の頬へと触れる。
「暖かいな、お前……」
 唐突なタッチに、一気に頬を赤らめる藍は逃げる様にそっぽを向こうとする。
 だが、優しく滑る掌が顎へと辿り着き、壊さぬ様にそこを押さえて逃がさない。
「は、恥ずかしい……よ」
 視線が泳ぎ、耐え切れない様子がありありと浮ぶ。
 だがお構い無しだ。再び微笑みかければ、顔を近づけ囁く。
「こうすると、もっと暖かいかもな……、藍」
 竜一は、小首を傾げた藍をそのまま腕の中へと覆い、首筋へと顔を埋める。
 唐突な抱擁にピクリとも動けなくなる藍だが、その表情は驚きに強張ってはいない。
「ほら、やっぱり暖かい。離れないように気をつけろ、風邪引くぞ」
 鼓膜を擽るような距離に小さく身体を跳ね上がらせると、藍は小さく頷いて胸板へと顔を埋めるのだった。
 
「おい!!ちょっと待てよ!!」
 穏やかな空間を劈く声、その主は『メッシュ・フローネル』霧島 俊介(BNE000082)である。
 童顔で少女の様な藍とは対照的に、真紅色の髪を揺らす俊介は今風の美形男子というところだろう。
「なっ、おま……なにやってんの?!」
 目を見開き、驚きと憤り混じった言葉を叩きつけながら竜一の胸倉を掴む俊介は、彼を藍から引き剥がす。
 反応と言葉を素直に受け止めるならば、察しのとおりと言わざるを得ない。
「俊介、なんで此処に!?いや……なにしに、きたんだ……?」
 こちらも驚愕の様子で言葉を返すが、一瞬の間を置いて、いつも通りの響きに戻る。
「なんで、だよ!?だって、竜一は……俺の……っ!」
 みなまでも言わず届く言葉。視線を向ける竜一から逃げる様に俯くと、ポタリポタリと地面が濡れていた。
「……俺だって、俺だって、お前の事が!」
 言い掛けてハッとする瞬間、蓋をした思い出が頭に蘇る。
 そして竜一は彼の手を振り払い、傍にいた藍を再び抱きしめてしまう。
「だけど、お前が…!お前が、あいつと…! 藍は、お前みたいに、俺が居てほしいと思う時に居てくれないヤツとは違うんだ!」
 まるで八つ当たりの様な言葉だ。現実から逃げた弱さを吐き捨てて、全てを俊介へと押し付けるようなもの。
 その弱々しい心よりも、俊介が一番の憤りを覚えたのは別の事だ。
「ば……かやろぉ……」
(「俺は、俺は……」)
「どんなに会えなくても、いつも竜一のことしか考えてねえよ! 俺だって会えないときは、寂しい!!」
 今度は襟元を掴み、涙目になった顔で彼を睨みつける。
(「お前以外の奴と一緒に居る事なんて、わざわざ意識した事なんてねぇ。 なのに、なのに……おまえはっ!」)
「この、分らず屋ァア!!」
 ぎゅっと握り締めた拳を引き寄せて、竜一を奪い去った。
「なっ……!?」
 強引なキスは、心のありかを示すかの様。同時に、二人を祝う様に鐘の音が鳴り響く。
 竜一の反応など構う事無く重なる唇は、貪る勢いで彼へ自身の愛を伝えていた。
「むー…ずるいよ…」
 キスが終わる頃には、置いてけぼりにされた藍がむくれた表情で竜一を見上げる。
 だが、ここまできて引き下がれる程いい子ではないのか、背伸びをすると彼の頬へと唇を押し付けていく。
「えへへ。結城さん大好き、だよ……」
 口付けの不意打ちから二人の合い間に割り入り、竜一の胸の中に飛び込んだ藍。
 俊介と藍の視線が、衝突しあうように重なった。
 
 ところ代わり、薔薇園の別の場所。
 ここにいたのは『仁狼』武蔵・吾郎(BNE002461)と『人生博徒』坂東・仁太(BNE002354)だ。
 長い付き合いもあってか、今回の依頼も二人で参加している。
 ビーストハーフ同士の二人が薔薇園に佇む姿は、凛々しさ故にそれだけで絵になっていた。
「俺らの関係、今のままでいいのか? 俺はもっと進みたい」
 何かと共に進んできた仲だ。それ故に今の世界が無くなってしまう事を恐れ、いえないこともあった。
 話を切り出した吾郎は、仁太へ振り返ると真剣な眼差しで彼を見つめる。
「付き合ってくれ」
 けれど、今日は逃げない。
 全てを手に入れに行くと、率直な言葉を吾郎は仁太にぶつける。
「何や、急な話じゃけんのぉ」
 照れくさそうに呟きながら、仁太の視線が逸れていく。
 誤魔化して終わりそうにない雰囲気に、すっとポケットから取り出したのは一枚のコインだ。
「じゃあ勝負や、表が出たら付き合っちゃるぜよ」
 確立は1/2、一か八かという答えの出し方に吾郎が苦笑いを浮かべた。
「こんな時もギャンブルか、仁太らしい話だ」
 いくで? と合図するとキンと音を響かせコインが舞う。
(「あのコインは確か、前に俺が渡した……って、それじゃあ」)
 賭け事が好きな彼に、絶対に勝つ為のインチキ道具としてプレゼンしたコイン。
 それは、結果がどうなるか全て分かりきったものだ。
 記憶を巡り、視線はコインの軌道を追い……そして仁太の手へ。
 手の甲で受け止め、重ねた手を静かに退けると表。
 ぱちんとウィンクと共に、揺れる尻尾の意味は直ぐに伝わった。
「仁太よお、お前って本当に……」
 イカサマにしては甘ったるくて、そして素直にいえぬ彼の答えに、吾郎の胸にグッと何かが込みあがる。
 微笑みを浮かべながら、彼の逞しい両椀が仁太を押し倒す勢いで捉えた。
 重なる唇、祝福の鐘と共に草花のカーペットに沈む二人の姿は気高き獣のじゃれあいの様に優雅に美しいことだろう。
 
●お仕事そっちのけ
 時は少し坂戻る。
 そう、作戦名ローゼンクロイツとは、この同性愛を演じる劇の全てを記録に残す為の作戦名であり……実際の作戦名とは恐らく関係ないだろう。
 各々の唇が重なる最中、腐りきった乙女達の反応は壮絶だ。
(「今、暖かな体温を感じているのね。 はぅ・・・! ドキドキの予感?! そんな、竜一君そこまで……っ! はっ!俊介君登場! ツンデレな彼の精一杯の愛情表現なのね?! いや、むしろ本気?! いよいよキス……っ!!」)
(「戦闘資料には、映像記録があったほうがいい……そう、これは後々似たような事件が起こった時に、リベリスタの生還率を高めるための大事な作業。あ、あっちもこっちもあと3ミリで……ず、ズーム!ズーム!!」)
(「ビーストラブ! けものもふもふかわいい! 藍くんの手をとった! 頬に手! 修羅場!! いいよ、みんないいよぉ……!! ハァハァ そろそろひとななまるまる!!」)
 そして響き渡る鐘の音。
(「――っ!!」)
(「こ、これが……びーえる……っ!!」)
(「くっ……はぁぁ……っ!! さ、さいこぉ……」)
 さて、エリューションが出現しているのだが、戦えるのだろうか?
 
●溢れるエンドルフィン
「今の私達は気合十分よ! だから、負けない!どりゃあああ!」
「やっとお出ましかコノヤロウ!」
 先制攻撃に飛び出したのはルアと吾郎だ。しかし、力が篭りすぎたか空振りである。
 だが、おおよそナイフや剣から聞こえない筈の気流の音が響いたのは恐ろしい限りだ。
「よし!いっくよー!」
 二人に続き、追い打ちをかけた藍の拳がエリューションの胴を綺麗に打ち抜く。
 炎に包まれながらよろめく姿、手ごたえ十分だ。
「竜一、俺がついてる……」
 まだ演技の続いている俊介が竜一へ、併せて藍にも浄化の鎧を付与し、堅実なサポートに徹する。
「あぁ、それなら俺も……それに相応しい男であるとしようか!」
 今ならまだ余裕があるので一撃をお見舞いしようと、竜一が刀を振りぬく。
 全身全霊の一撃が藍の攻撃と繋がり、連続ヒットしたそれはエリューションを一度転ばせる程の破壊力だ。
 更に、壱也、桔梗、仁太の飛び道具が一斉攻撃を仕掛け、猛ラッシュがエリューションを襲う。
 だが、命を掛けた戦いとあってエリューションも本気だ。
 分身体を素早く生成すると藍へ連続の刺突攻撃を開始。
 一つ目はバックステップで回避し、そこを狙った一撃は身を捩り回避。だが、更なる一撃に回避が追いつかず、脇腹を深々と貫かれてしまった。
「うぐっ……!?」
 手で傷を押さえながら交代するが、ボタボタと溢れる血はバケツを引っくり返したかの様だ。
 浄化の鎧がなければ、彼の意識は消えていただろう。
「今度こそぉっ!!」
「食らいやがれっ!!」
 再び素早いルアと吾郎の刃が襲い掛かり、エリューションへ左右からの袈裟切りを叩きこむ。
 あの音は伊達ではなく、直撃したエリューションは既に手負いだ。
「お前は、こーしてほしかったんだろー! 寂しかったんだよなー! だから妬ましかったんだよなー! 俺が抱きしめてやっから、ちゃんと成仏しろよ!」
 藍と入れ替わりに前に出た壱也が斬撃を見舞った後、弱ったところを逃さず飛びつき頭を撫で繰り回す。
 幾らなんでも興奮しすぎだろう、ぺいっと引っぺがされ反撃されそうなところを桔梗の真空刃が傷を負わせながら遮る。
「早く画像編集する時間がほしいしね」
 しれっと聞いてはならない言葉が聞こえた。
「ここでビシッと締めてやるんじゃい!」 
 巨大な銃を構える仁太、それを苦にする事無く素早くトリガーを引き絞り、フェイントを掛ける様に左右にステップを踏みながら連続発射を続ける。
 壱也と桔梗の攻撃で調子を狂わされたエリューションと分身体に全ての弾丸が吸い込まれ、一瞬にして敵が蒸発していく。
 人の脳内麻薬とは恐ろしいものであった。
 
●修羅場
 戦いも終わり、ホクホク顔で撤退準備を始める乙女達。
「結城くん、霧島くん、それに藍くんも……新しい扉を開いたね! その気になってもいいんだよ?」
 壱也の問いかけに反応はない。
 俊介は呆然と力尽き地面に突っ伏し、藍は思い起こされる羞恥に真っ赤になって掌で顔を覆う。
 だが、一人、ここに立ち上がる男が居た。
 結城竜一、その人である。
「これは残してはいけない記録だ……。 さぁ、そのカメラを渡してもらおうか?」
 鬼気迫る勢いで命令を告げる竜一だが、たからを手に入れた乙女三人組も負けてはいない。
「そうはいかないわ! これダビングして彼女に送っておく予定なんだから!」
 何故そうなる? そしてここに第二回戦が幕を開けた。
 
「……霧島さん。 坂東さんと武蔵さんが見当たらないだけど……?」
「……知らねぇ……」
「何処いったんだろう? 戦いは終わったから問題ないんだけど……」
 
「イィィヤッホォォゥ、仁太からのOKが貰えた以上、時間は無駄に出来ねぇぜ!」
「せやから別に本気なわけじゃな……アッー!」
 全ての終幕は何時になったかは当人達のみぞ知る。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
 ご参加いただき有難う御座いました!
 まず、予約状態を見たときの率直な言葉を申し上げたいと思います。
「一体何が起きた?」
 コーヒー噴きました。リアルに噴きましたとも、ええ。
 
 重傷の方が何名かいらっしゃったので大変な事にならないかと不安だったのですが、戦闘時の乱数が面白いほどクリティカルが発生しました。
 嗚呼、皆さんテンションが上がりまくっているのですねと納得です。
 プレイングに関しては特に気になるところはなかったと思います、戦闘よりこういう部分が大目のほうが良い気がしていたので、戦闘が直ぐに終わったのは喜ばしい……と、思いたいです。
 
 先程申しましたとおり、結構予約を入れてくださった方がいましたので、再びこんなお腐りモノをやってみたいなと思います。
 とても楽しく筆が進み、私個人としてもとても楽しかったです。
 ではでは再びですが、ご参加いただき有難う御座いました!