●なんておそろしいえりゅーしょんなんだ! フィクサードはエリューションを使役していることもある。 崩界レベル的な意味ではよろしくないので、そういった技術はリベリスタには厳禁なのだが、己の欲望のままに神秘を扱うのがフィクサードなのだからそんなことはお構いなし。使い捨ての兵隊を始め、自らの護衛や戦略上の要など己の悪事に利用している。 近藤ヒデキもそういったフィクサードの一人であった。派生したエリューションを使役し、己の欲望のままに犯罪に走る。そんなフィクサードだ。 徒党を組むほど協調性が高くなく、件のジャック・ザ・リッパーの報道に心動かされるほど狂気に陥るでもなく。崩界すすむ世界の中、巨大な動きに隠れるように悪道を進んでいた。 それはまるで静かに進行する病のように。近藤ヒデキとそのエリューションは少しずつ世界を蝕んでいた。 「なにこれ!? やだぁ、こっち来ないで!」 「ぬるぬるが絡み付いて、動けないよぉ」 「ひゃあ! 何この液体、ねばねばして……服が溶ける」 「だめ。そんなところ。あ、ああ……!」 ●だれだよ和泉さんにこんな事件の説明させるのは! 「イチヨンサンマル。ブリーフィングを開始します」 録音機にスイッチを入れて、資料を開く。『運命オペレーター』天原和泉(nBNE000024)は集まったリベリスタたちの顔を見ながらこれから起こるであろう神秘の説明を始めた。 「討伐対象はフィクサード一人とエリューション・ビーストが一体。エリューションのフェーズは2です」 「E・ビーストか。どんな外見と能力なんだ?」 問うリベリスタに、和泉は顔を若干赤くしながら口を開いた。 「タコに似たエリューション・ビーストなのですが、足の数は30本近くあります。それを使って相手を拘束したり……。 あと、繊維を溶解する粘液を出してこちらの防御力をなくしてからじっくりと攻めてくる戦略をとります」 努めて冷静に説明する和泉。エリューション・ビーストの触手に捕らえられてくんぐほぐれつなあられもない姿の女性がモニターに映し出される。 顔を赤くする者もいれば、むぅ素晴らしいと腕を組むものもいた。その後で和泉を見る。若干かわいそうな人を見る目で。 「し、仕方ないじゃないですか。そういう未来が見えたんですからっ!」 その視線に耐え切れず、真っ赤な顔で叫んだ。私が悪いんじゃないんですからね、とばかりに。 見る未来を選別できず、悲惨な運命や見るに耐えない未来を見てしまうのがフォーチュナである。ならばこういう未来を見てしまうのもありですよね? 「とにかく! 討伐対象はこのタコ型のビーストとそれを使役するフィクサードです。 殺人までは至らないのですが、このままでは通りすがりの罪なき一般人が心に深い傷を負うことになるでしょう」 「そういえば、そのフィクサードは何処にいるんだ?」 モニターにはE・ビーストの姿しかいない。それを使役しているフィクサードがいるのなら、その姿があってもいいのだが。 「潜伏用のスキルを駆使して潜んでいます。その状態でリーディングのスキルを使って心を読むのが趣味だとか」 リベリスタの表情は様々だった。姑息だなぁ、とか、なかなかの通だな、とか。口には出さないがフィクサードがまともな人間じゃないという認識は共通していた。 「でもリーディングしたら場所わかるんじゃない?」 「ええ。ですからそれで発見した後で倒すのがいいと思います」 それは遠まわしに囮作戦推奨ということですか? 露骨に嫌な顔をする人もいれば、色めきたつ人もいる。 「ちなみに男でも襲ってくるそうです。男女平等なんですね。 でも十二歳未満は紳士協定で襲わないとか」 「ああ、その辺は律儀に守るんだ」 少し安心するリベリスタたち。 「さ、作戦は皆さんにお任せします」 視線をそらして答える和泉。心中お察しください。 それぞれ微妙な表情をしながら、リベリスタたちはブリーフィングルームを出た。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:どくどく | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年12月24日(土)23:29 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●戦いの前に 「たっこさん、たっこさん、おおだっこさん~♪ 焼いたら、たっこ焼き、たくさんできるかな~♪」 路地裏に隠れて『ものまね大好きっ娘』ティオ・ココナ(BNE002829)が歌う。袋の中には市販のタコヤキセット。小麦粉に青海苔にと準備万端である。何せ相手は足が30本近くあるタコのエリューション。大量のタコヤキができるだろう。 「たこじゃたこ。残念じゃったが、日本じゃ食欲の対象じゃな」 醤油にわさび。こちらも食べる気満々の『雪暮れ兎』卜部 冬路(BNE000992)。タコ刺しもいいのぅ、と思いながら結界を張る。人は来ないと思うけど、念のため。 「迷惑には違いないけれど、やっている事がどことなくせこいフィクサードね……」 「男女関係なく狙うのね……言葉がない、としか言いようがないわ」 『月光花』イルゼ・ユングフラウ(BNE002261)と『エーデルワイス』エルフリーデ・ヴォルフ(BNE002334)はそろってフィクサードとエリューションの情けなさにため息をついた。馬鹿馬鹿しいけど、放置もできない。エリューションを排除できるのは覚醒者だけなのだ。このままでは無垢な一般人が犠牲になってしまう。 「まあ。フィクサードは許せないし。タコも何とかしなくちゃいけないけど」 正直どう対処したものか。間宵火・香雅李(BNE002096)は冷静になりながらもこういった手合いの処理に悩んでいた。どの道フィクサードは倒すし、エリューションは排除する。それに変わりはない。 「己の欲望のままに動く事何と浅ましい。罪無き者を甚振り心を読む等、低俗と言う他あるまい」 紺色の着流しを翻し、『我道邁進』古賀・源一郎(BNE002735)は路地裏に踏み込んだ。着流しについたモル柄がふわりと揺れる。彼は一人、影に潜むフィクサードをあぶりだすために囮になるのだ。 「おおっと、古賀の旦那。こいつを持っていきな」 『てるてる坊主』焦燥院 フツ(BNE001054)は自らが作った式神を源一郎に渡す。五感を共有しているので、これで何かあればすぐにフツも感知できる。 「心遣い感謝する」 その式神を懐に入れ、無頼は一人、敵の矢面に立つ。されど不安はない。その背には信頼できる仲間がいるから。 ●オトリ作戦 「な、なんて恐ろしいエリューションなの……!?」 イタリア生まれのフィオレット・フィオレティーニ(BNE002204)は現れたエリューションのおぞましさに絶句する。 無数にはえた長い脚には粘性を感じさせる液体が纏わりつき、鱗のない赤い肌は打撃を柔軟に受け流す。蛇のように動きながら熊のように力強い。それが知性あるフィクサードにより使役され、その悪意の元に行動するのだ。ああ、まさに悪魔の魚。その宴が今始まろうとしているのだ。 「でも半分日本人だからデビルフィッシュおそるるに足らずなのだよねっ」 てへ、とフィオレットは舌を出してその恐れを払拭する。っていうか元々恐れていない。そもそも悪の組織の首領が恐れてどーすんのさ。イタリアでは普通にタコ食べるし。 そしてそのエリューションはその足を伸ばして源一郎に迫る。 「無頼が一人、古賀源一郎。悪趣味なエリューションへ鉄槌を下さん」 己の仁義を背負い、源一郎が名乗りを上げる。握った拳と堂々とした名乗りが己の運命を揺るがし、目に見えぬ流れを引き寄せる。フィンガーバレットをエリューションに向け、その足を狙い打つ。 その早撃ちが足を傷つけるがその数は多く、全てを打ち抜くことはできない。エリューションはその足を源一郎に絡みつかせる。 「此の程度で我が動き、止められるものか」 必死で抵抗するも、エリューションの力は覚醒者以上。四肢を絡みとられ動きが封じられる。その粘液が源一郎の着流しを溶かしていく。 「我が愛着の着流しに対する所業、いい度胸だ」 愛着ある着流しをそういう危険のある依頼に着てくるのはどうよ、と言う声が聞こえた気がしたがそれを気にしないのが無頼である。そういうものだ。 エリューションの足はじわじわと源一郎を攻め立てる。源一郎の脇腹をぬるぬるとした粘液で滑るように。 「何処を弄る心算か、脇は止せ、むぐっ。ふっ、く、これしきの事で音を上げる訳には」 湧き上がる感覚に必死に堪える源一郎。乱れる五感の中で、気配を感じた。 近藤ヒデキ。影に潜んで様子を見ていたエリューションである。それが一回の無頼が触手にまみれていく源一郎の心を呼んだ。 「そこか、痴れ者が!」 「どこに隠れようと、夜だろうと、お天道様はお前みたいな出歯亀野郎を見逃したりしねんだよ!」 「うぉ! まぶしっ!」 源一郎の指示する先にフツが自らの身体を光らせてそこにある影を打ち消す。露になる近藤の姿。 再度影にか切れようとする前に、リベリスタは総出で近藤を殴って昏倒させ、拘束する。 「さてこれでフィクサードはよし。あとは……」 エリューションがうぞうぞと足を動かしリベリスタに迫る。冬路が矛を収めるように話しかけるが、戦意が治まる様子はない。その足を伸ばし、リベリスタたちに迫る。 イルゼがフツを庇って触手から守るが、フツ以外のリベリスタたちはタコ足に絡まれてしまう。 「たこパーティ、はっじまるよー」 縛られた近藤が明るく言う。お前は黙れ。 ●DEVILFISH PARTY リベリスタを拘束したタコ足触手はぬめぬめとした粘液と、タコ特有の吸盤が特徴である。その殆どが筋肉である為、拘束する力も強い。 粘液は邪魔な繊維や防具などを排除しながら、潤滑油として摩擦的な抵抗を無力化する。その感触は嫌悪感と同時に相手のモノを塗りつけられるという非征服感が心に刻まれる。そんな屈服の証に似たものが普段人に見せないところにまでゆっくりと進行してくる。 吸盤は肌に吸い付いて刺激を与えると同時に、細かな凹凸が這いずるように移動することで断続的に擦られる感覚が襲い掛かる。こつこつと痛くもなく、だけど無視もできない刺激。 螺旋を描くように四肢に絡みつき身動きを封じる。拘束を緩めることなく、粘液を塗るように動くタコの足。ゆっくりと足を登るように巻きついてくる。 ぬるぬると……くるぶしに巻きついてくる。 ぬるぬると……ふくらはぎを登ってくる。 ぬるぬると……太股を這いずってくる。 そのまま少しずつ。丹念に粘液を塗りこむように足は動く。 服を溶かしながら胴にも巻きついてくる。 背中からうなじに。なぞる様な感覚。タコ足の刺激と粘液の感覚が背中という自分では届かない場所を進む。 タコ足の先端がなぞる様に背骨を登る。背骨のごつごつした部分を一段づつ確認するように。そして首筋にたどり着くと、巻きつくように絡まっていく。首を絞めるのではなく、首を動かなくする為に押さえ込む。 苦しくはない。だけどタコ足の感触は確かに感じる。そんな絶妙な締め具合。あるものは吸盤で肌を吸われ、あるものは粘液で嫌悪感を受ける。 そしてタコ足はゆっくりと胸に迫る。とぐろを巻くように巻きつくと、力を抜いたり入れたりしながら攻めると同時に、吸盤で吸って断続的に刺激を加えてくる。 力を込める……力による暴力的な刺激。 力を抜く……開放感と共に襲い掛かるぞわぞわとした刺激。 吸盤で吸う……きゅぽ、という音と共に引っ張られる。 そんな攻撃がリベリスタたちに襲いかかる。 「し、触手は遠慮したいの」 冬路は絡みついた触手を睨むも、動くことままならない状態。迫る触手に声を上げてしまう。冬路の小さい身体のわりに大きな胸に絡みつくタコ。トランジスタグラマ。ロリ巨乳。言い方は様々だが、(見た目は)幼い割に豊満な肉体をぬるぬるした触手が這い回る。 「だ、だから嫌じゃと……きゃー! ぬるぬるは嫌なんじゃー!」 じたばたと暴れるが、拘束は解けない。タコ足は遠慮なく攻め続ける。優しく腰の部分に巻き付いてその形をなぞるように、つつ……と撫でる。 「やあっ……ん……やだぁ……ひぃぃ……」 「言っとくけど、ボクはこんなのにはしゃいだりするキャラじゃ――ッ!?」 香雅李はタコに絡み取られ、受ける刺激に必死に我慢する。香雅李のもちもちした肌を這いずるタコ足は、首からゆっくりと彼女の胸骨部にあるガラス窓に迫った。 「んっ……やだっ……」 ガラス窓の中にあるのは赤く燃える炎。小さく燃える炎が照らすのは彼女の生きる標。そこは機械化した彼女の”核”といってもいい。精神的にも肉体的にも彼女の不可侵領域。そこに足が触れる。 「そこはダメ……中に入れられたら……」 中ってランプのことですからねっ! 「実家が入手し、うちの組織で改良した特殊装甲のビキニアーマーを突破してくるなんてマジパネェ!?」 うんまぁ、ビキニアーマーに触手って王道じゃね? そんな近藤の弁があったかなかったか。特殊装甲の隙間にタコ足がにゅるっ、と入り込む。粘液が潤滑油となってフィオレットの肌を這いずった。特殊装甲で圧迫されている分、刺激も一押しである。 「武器も奪われた……だと!?」 持っていたロングスピアを奪われる。戦士としてリベリスタとして。己のみを守る術を全て失い一人の女性として身を責める触手に翻弄される。 「ひゃあぁぁ! そこはらめぇ! BNEは良い子のゲームなんだからね!」 うんうん。よいこの領域よいこの領域。 悪の組織首領として読者サービスは外せないわけだし。ファイトだフィオレット。 フツを庇ったイルゼはフツの分まで触手に絡みとられてしまう。襲い掛かる二人分のタコ足。いや、ルール上はダメージ同じなんだけど。 イルゼは責め苦に抵抗するも、ぞくぞくと体を震わせてその抵抗が弱まっていく。それは胸に触手が絡んだ時に顕著になった。 「う、このぬるぬる、気持ち悪、っ駄目、胸は弱い、からぁ……」 溶解し乱れる巫女装束。露になる白い肌。大きな双丘に吸盤が吸い付く。ぬるぬるとした粘液を塗りこむように触手が動いた。 「うぅん、もうだめぇ、お願いぃ……早くぅ……」 早くたすけて、っていう意味で言ってるんだけどそこで止めるとえっちさ爆発である。 「たとえどのような状況にあってもなすべき事をなすのが、貴族の魂」 ノブレス・オブリージュ。貴族が背負うべき義務と共にエルフリーデは銃を持つ。気高くあろうとする精神も常識を逸した人外の責めにより砕けていく。 「ぅあ……優しくされて感じっ、てない……激しいのも感じ、ないからぁ……」 くびれた身体に巻きつくタコ足。時に優しく時に激しく。貴族の心を溶かし、同時に屈辱を刻み込んでいく。貴族という硬い心の鎧が崩れれば、その中の女性の心がさらけ出される。そしてそれはタコ足の動きによって熱く揺れ動かされていた。 「貴族がこんなことで、んっ……悔しい……のにぃ」 「ひゃああ!?」 自慢のスピードで翻弄しようとしたティオだが、長くは続かない。足首に絡みついたタコ足を皮切りに手首に胴体にと絡み付いてくる。前にもしょくしゅに襲われた事があるからたこさんの足が絡み付いても平気だよ。気丈にティオはタコ足を見る。 「んっ……やだ、たこさんの動き、やらしっ……」 前にも襲われたたことがあるからこそ、その時の記憶が思い出されるようにティオの身体を窮地に追いやっていく。大きな胸と柔肌を攻めるタコ足。子供っぽい顔が少しずつ艶に染まっていく。 「まって……だめ……ぇ」 両腕、両足、おなか、背中、腰、首筋、乳房。自らの証を染み付けるようにリベリスタに丹念に粘液を塗りつけるエリューション。 そしてその足はゆっくりと乳房の先端と太股の最奥へと迫る。今、そこを攻められればどうなるか。想像するだけで心が折れそうになる。しかし無情にもタコ足はゆっくりとそこに迫り―― 「ブレイクフィアー」 フツが光を放つ。その光によりタコ足の拘束が緩み、リベリスタたちは解放されたのであった。 ちっ。 ●反撃のとき 「よくも弄んでくれたわね……!」 エルフリーデはライフルを回転させると弾丸に貫通力を増した弾丸はエリューションの頭部を穿つ。 「よくもやってくれたなっ!」 香雅李は胸部のランタンに炎をともし、光と共に衝撃波を放つ。その衝撃にエリューションの動きが明らかに鈍くなった。 「フレアバースト! フレアバースト! ふれあば~すと~!」 ティオは料理の時間とばかりにタコを強火で焼き上げる。魔力で生まれた炎がエリューションの肌を焼いていく。 「ええい、刺身にしちゃる! そこになおれ!」 「鉄拳制裁の頃合いか。覚悟を決めよ」 冬路の剣と源一郎の拳が同時に叩き込まれ、エリューションはのた打ち回る。 また拘束しようと足を伸ばすも、フツが放つ光ですぐに拘束が解かれてしまう。 受けたダメージはイルゼが癒し、八人のリベリスタたちは連携を取ってエリューションを追い詰めていく。 その様子を見て近藤はこういったという。 「まさにタコ殴り!」 だからお前は黙れ。こーん、と誰かが投げた石が近藤に命中する。 近藤が気を失うと同時、タコ型エリューションも力尽きてつぶれるように横たわった。 ●戦い終わって 溶けた服は替えを持ってきたものはそれに着替える。そして近藤を縛り上げ、地面に転がした。 「説教じゃ。この変態!」 冬路は縛られている近藤をゆさゆさ揺らし、説教を始める。 「よいか。エリューションを使って人を襲うなど言語道断! ましてやそれを……その……こういうことに使うなど男子の風上にも置けんわ!」 「こういうこと、ってどういうことですかー?」 「うるさーい! 後でこってり油を絞ってやるわ!」 エリューションとの行為を思い出したのか、赤面して反論する冬路。 「このフィクサードにはしっかりおしおきをしないとね」 イルゼが完全拘束された近藤を、さらにスキルで拘束する。その念の入れように乙女の怒りをひしひしと感じる。 (……少し、足ががくがくで、しばらく帰れないかも……) エルフリーデは自らを抱くようにして体内から来る震えに堪えていた。あのエリューションの動き。そしてそれによってもたらされた触感と自分の反応。それを忘れるように首を振って今は静かに堪える。 「悪因悪果。悪いことをしたのなら、悪い結果が返ってくるものなのさ」 フツは手を合わせて近藤に因果を語る。善い行いが幸福をもたらし、悪い行いが不幸をもたらす。今近藤は自らの報いを受けたのだ。 「その性根を叩きなおしてやろう。仕置きの時だ。まずはその歪んだ心を戻さねばな」 源一郎が拳を鳴らしながら近藤を押さえつける。顔を蒼くする近藤。 「たこやきたこやきっ」 ティオはエリューションの足をたこやきプレートに程よい形に切って、焼き上げる。たこ焼きを食べながら、ティオは誰と話に問いかけた。 「ところで前に見たしょくしゅもそうだったけど、繊維だけ溶かす粘液って流行っているのかな~? ボクも服だけ燃やす『ふれあば~すと』とか使えるようにならないかなぁ」 その時どくどくに電流走る――! 「たこ焼きマジうめえです」 もぐもぐとたこやきを食べるフィオレット。まさに今取れたての食材。弾力も鮮度も市販のものとは大違いである。 「キミを連行する先で、焼けるような熱いタコ焼きを無理やり食べさせるよ。無論フーフーする猶予は与えない、覚悟しておきなよ」 香雅李がたこやきを片手に近藤に迫る。熱い熱気が近藤を恐れさせ、竦みあがった。 「んー。食えそうじゃな。ではいただくか」 冬路は持ってきた醤油とわさびでエリューションの足を食べる。コリコリとした歯ごたえが心地いい。味付けは簡素だが、新鮮な素材というだけで良質な味わいがあった。 さて、いくら美味しいからといって人体に優しいとは限らない。 ましてやこのエリューションは繊維を溶かすという粘液を出すまこと奇異なタコなのだ。 「いたたたたたた。なぜじゃー!」 「まさかこのようなオチとは。悪の首領が腹痛でダウンとかマジありえない」 「う~ん……う~ん……」 エリューションを食べた冬路、フィオレット、ティオはこの数時間後、アークの病院でお世話になるのでした。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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