●D.J.COOK ROACHからのお知らせラジオジャック 魔天楼、を、見下して。 羽を広げて、飛んで跳んで。 見上げれば空が、見下ろせば街が、輝いて居る。 ――その輝きの中の一つ、車の中、ラジオからノイズが。 ザザザ。ノイズが。 『あーあー、テステス。ん゛っん゛ー。ハローハロー有象無象で諸行無常で最低辺の烏合の衆共。俺俺俺俺、I・My・Me、曖昧ミー。そんでユーユアユーだ。覚えてるかなァ、知ってるかなァ、覚えてなくっても知ってなくっても覚えてても知ってても態々名乗ったりしねーけどよー。まー取り敢えずアレよ、コレよ、迷子のお知らせで御座いますって奴だ。デパートとかで良く聞くだろ? ソレだよソレ。ぴんぽんぱんぽーん。実はさァー俺ン家から俺が作った可愛いジェネラルちゃんが迷子っちまったんだわー。見た目はイケメン、中身もイケメン、脳味噌も勿論イケメンだ。強くて強くて強くて強くて強いんだぜ、最強だろ? ジェネラルだからな。そんな訳で捜せ。見付けろ。ジェネラルのオモチャになれ。俺のデータになれ。俺はボチボチ捜すとするからよォ、取り敢えずアレだ、楽しめ、きっと楽しめもっと楽しめいっぱい楽しめ、Have a nice day☆』 ●不倶戴天のアレ?――包帯男と機械男 「……――っていうのをさっき視たんですが私」 「はぁ。」 「『はぁ』じゃないですぞ夜倉様」 「ああ、まあそろそろかなとは思ってました」 「へ?」 「『へ?』じゃないですよ。名古屋君に関連資料全てお渡しした上でそれは全権委譲します」 「……全、権、委、譲……?」 「大丈夫でしょう? 名古屋君なら」 「えっ あっ ちょっ 待っ ソレどういう事ですかーッ!?」 ●そんでもってですぞ 「ハイ。」 はい。 「そんなこんなで毎度お馴染みメルクリィですぞ」 事務椅子をくるんと回し。手や卓上に包帯フォーチュナ謹製の資料を携え、リベリスタへ向いたのは『歪曲芸師』名古屋・T・メルクリィ(nBNE000209)。 集まった一同を何処か同情めいた目で見渡すなり――深呼吸、一寸の間、ズバッと言い放った。 「二足歩行のすんごいゴキブリE・ビーストの討伐ですぞ」 単刀直入過ぎて真っ二つでした。 よしお疲れさん。 「あああちょっと帰らんとって下さいよぉおお!!」 メルクリィの長い機械ハンドにガッチリ肩を掴まれた。致し方ない。本当に致し方ない。 「……えぇと。夜倉様より頂いたこの資料によると……。 フィクサード『テラーナイト・コックローチ』。元薬品会社の研究員で、ゴキb――え? 言うな? ハイ、じゃあ『アレ』の生態にも、その愛着にも一日の長がある人物だそうで。 その他不快害虫を神秘現実織りまぜて扱うことから、界隈では最底辺同然の評価をされているのですが……そんじょそこいらのフィクサードとは、まぁ、色んな意味で凄い感じですな。 詳しくはそこにある過去任務報告書にもありますので、宜しければお眼通しを」 視線の先にはキチンと纏められた資料、後で読んでおくのも良いかもしれない――と、リベリスタ達がそちらへ気を取られているその最中。 メルクリィは何の躊躇も無くモニターをひょいっと操作した。 かくして摩天楼を背景に映し出された……の、は、 「…… !!!」 成程さっきフォーチュナが言った通りの……アレだ。Gだ。二足歩行で装甲に包まれた筋肉ムキムキのすんごい……アレだ。装甲が黒光りしていらっしゃる。モニターの画質の良さを心底怨んだ。ていうか映す前にワンクッション入れろ758。あとモザイクかけるとか。 「E・ゴーレムフェーズ2『ザ・ジェネラル』。テラーナイト様が研究に研究を重ねて作り出したアレだとか……その辺はどうでもいいですが。皆々様にはこのザ・ジェネラルを討伐して頂きますぞ。 このザ・ジェネラル。見た目こそアレですがかなりの強敵ですぞ。具体的に言えば堅くて速くて賢い。飛べる。一度に二度動く。足場があればどこでも走れる。魔法も武技もお手の物。そして驚異の生命力」 なにそれ怖い。 「更に『同種』を従える事もできますぞ」 嘘でしょ。 「758ウソツカナイ」 嘘だと言ってよ。 「……。えぇと、この同種ですが、これは覚醒していないただのごく普通な良く見かけるお馴染みのGです。踏めばイチコロですがどこからでも湧いてきますぞ。 コレらにウゾゾーってされたら防御値や攻撃値や素早さがガクンと落ちますので……御愁傷様 じゃなくって、お気を付け下さいね」 『ウゾゾー』が何を指すのか敢えて問うまい。寧ろ聴きたくない。 では次に戦場について、とメルクリィがモニターを操作した。ザ・ジェネラルの素敵な画像が引っ込んで心底ホッとする。 映し出されたのは夜に輝く摩天楼、明るい光で戦闘には問題ないだろう。 「御覧の通り摩天楼のど真ん中ですが、戦うのは屋上だと思いますんで人眼は気にしなくっても良いかと。 それから……多分、ビルの屋上から屋上ってアクティブに行動しながら戦う事になると思いますぞ。皆々様の身体能力なら問題ありませんが高所恐怖症の人には大分とアレですな。ファイトですぞ。 そうそう、当然ですがビルから落っこちゃいけませんぞ? 如何にリベリスタとはいえ何十メートルも上から落っこちたら、まぁ、グシャーですな。一般人の目にも付くでしょうし。そしたら大騒ぎ確定ですんでお気を付けを」 以上で説明はお終いです、とメルクリィは随分と顔を蒼褪めさせたリベリスタを苦笑と共に見渡した。 「頑張って下さい……としか言えません、な。くれぐれもお気を付けて! それから私はこーゆー系のブリーフィングでも鼻歌を歌える夜倉様を心底尊敬しますぞ」 お前も割と遠慮無かったじゃねーか。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:ガンマ | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年12月22日(木)22:56 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●事前 あるいは自己欺瞞 夜でも明るい、眠らない街。 それを眼下に、星を頭上に。 「うん、まあ、見た瞬間正気度下がるような深海の主とかよりはマシよマシ」 夜風に靡く金の髪。常のクールな声で『ソリッドガール』アンナ・クロストン(BNE001816)は眼鏡をくいと押し上げた。 「人間の生活圏にちゃんといる動物だし、そんなに酷い物じゃないわよ。ないわよね?」 常のクールな声。若干早口な事を除けばいつもと同じ声。誰かに言い聞かせるというよりは自身に言い聞かせるような物言いだった。 彼女の傍ら、手に手に購入した作戦用アイテム入りのビニール袋を提げた『もそもそ』荒苦那・まお(BNE003202)は影の従者を足元から呼び出しつつ辺りを見渡す。 「ゴキb」 「言うなッ」 間髪入れずにアンナの声。 「エッ。はい。……Gさんは本当は怖くないのにビクビクしちゃいます。 蜘蛛さんやねこさんならGさんを食べれるから凄いですね」 「荒苦那さんちょい待ち」 「まおも食べなさいって言われたことが「待てェー!」もそもそ動くから上手く噛め「ワアアアア聞こえない聞こえない聞こえない」 ショッキング。グロッキー。 「ァァァアア帰りたいいいい!! 不倶戴天怖いいいいい!!」 そしてここにも頭を抱える哀れな被害sy……勇猛な戦士が一人。 「無理、マジ無理、怖い、怖い」 『メッシュ・フローネル』霧島 俊介(BNE000082)はフードを目深過ぎる程に手で下ろし被りながらボソボソブツブツ、御愁傷様です。 (758めぇ真空管割るからなァ後で……!) 心に決意を、屋上の真ん中にてソロリを視線を上げてみる。 「……二足歩行ですか……うーむ」 そこには『静かなる鉄腕』鬼ヶ島 正道(BNE000681)の大きな背中、機械の指で器用にキュッと酒瓶の栓を開けるや物思いに耽る表情のままダバァと頭から豪快に浴びた。 「地を這う者は地を這う者なりの進化を遂げているもの。機能性を犠牲にした進化など……蛇足。 まあ、人造物としての一種のロマンはあるのでしょうがね」 ポタリポタリ垂れ落つ雫、乱れたバーコードなヘアーを手早く整えるともう一本蓋を開けた酒瓶を近くに転がした。 着々と整えてゆく戦闘準備、『鉄拳令嬢』大御堂 彩花(BNE000609)は流水の構えを取って身体を攻防自在の状態へと。 「敏捷性に優れ、尚且つ粘り強いという特性は……まあ、外見の姿形を差し置けば、わたくしの戦闘スタイルとしての理想像に当て嵌まりますわね。 ……いえ、だからってGそのものに成り切るつもりはありませんわよ?」 なんていうご令嬢さんですが。 黒くてツヤツヤ。(髪) 速くてすばしこい。(バランスのとれた速度に回避) タフ。(森羅行と無限機関) 「だからってGそのものに成り切るつもりはありませんわよ? ありませんからね?」 仲間の視線にもう一度。大事な事なので釘刺しも。White Fangで武装した手は腰に、キリッと。 『錆天大聖』関 狄龍(BNE002760)は苦笑交じりに咥え煙草の紫煙を吐いた。短くなったそれを地に、踏み消しながら言う。 「ひゃー……世界広しと言えど、ここまで誰も得しねえフィクサードも居ねえな!」 恐怖のフィクサード:テラーナイト・コックローチ。でもなんか、コイツ絶対捕まらなさそうな気がする。まぁ今回の自分達の任務はテラーナイトの捕縛ではないが。なんて思いながら【明天】【昨天】で武装した拳をガツンを搗ち合わせた。 準備はオーケーかィ、狄龍が遣った視線の先には無頼が二人。 「変人が力を持つとろくな事をしない。己の手がける物に愛着を感じるならば尚の事。其れを以て悪事を働くのだから度し難く、また許し難い」 此度は不測の事態故まだ許せるが、何時かは捕まえ反省させねばな。『我道邁進』古賀・源一郎(BNE002735)は腕組をしたまま険しい表情を、 「自分に釘打つやつとか夢見がちのババァとか趣味の悪いやつと戦ったこたぁ少なくないけどさ。ここまで激烈に趣味が悪いやつは初めてだよ」 いつか殺す。ぜってー殺す。『ザミエルの弾丸』坂本 瀬恋(BNE002749)はハァと重く息を吐きTerrible Disasterで固めた手を開閉させた。 「然しジェネラルか……名の如し知と武を持ち合わせているに違いない。願わくば1対1による相対であれば良いものを」 源一郎の言葉には少しばかりの残念さ。 「気は乗らないけど、まずは目の前のデカイ害虫をぶっ潰すとしますか」 瀬恋の言葉にはマジでガチの純粋な殺意。 そして源一郎へ視線を遣り――次に彼が見据えている方へと視線を。もう一度の溜息と共に。 彼方、前方、高いフェンスの上。月を背景に、四つの腕を構えたザ・ジェネラル。 恐怖の異形が、翅を広げて――居た。 ●黒くて、堅くて、大きくって、速い。 ガンを飛ばし合う無頼達と将軍。 その後方、 「ぎゃあああああああああああ!?」 アンナは顔を真っ青に。あぁ!!柵に!柵に! 人間の生活圏にちゃんといる動物だし、そんなに酷い物じゃないわよ――なんて言ってたが、ところがどっこいッ……これが現実ッ……! 「デカイ! 黒い! しかも二本足で立って残り四本わさわさしてるぅぅぅ!? あわわ……さ、さっさと終わらせて帰りましょう!」 半ばひっくり返った声でグリモアールを勢い良く広げた。それと同時に体内魔力の活性化を。りなみに俊介は上げる悲鳴すら失っているようだ。妖刀:月黄泉を手にはわはわ。 そんな彼等とは対照的、それぞれが両翼部分に立った源一郎と瀬恋が一歩出る。 「今宵の我は、名乗る言葉を持ち合わせず。只拳を以て名乗りとする」 「……。名乗るのクソも無いね。取り敢えずまぁ、ぶっ潰す」 拳を構え、誇りを胸に、闘志を瞳に、運をその身に、仁義上等。 ならば迎え撃とう、そう言わんばかりにザ・ジェネラルが片手をスイと掲げれば――巨大な闇が。 否、大量のゴキb――Gが! 「てやっ!」 すかさずまおがハンバーガーやおにぎりやお弁当やパンやアレやコレや炭水化物を大量に源一郎と瀬恋の周りにぶちまけた。しかもちゃんとGが喰い付きやすいよう小さく千切った状態で。俊介も勇気を振り絞ってハンバーガーを無頼二人へスプラッシュ。 そのお陰か、Gは真っ直ぐ炭水化物の方へ一目散にワッシャワッシャ。正道の撒いた酒、更にまおも撒く酒に続々と力尽きてゆくも……やはり数が多い。 だが。 「群がりたくば群がれ、此度の我は人柱と成ろう。纏まれ、我が一息に散らす為に」 皆の策のお陰で恐るるに足らず。顔に飛ぶ、足元から寄る、服に入る、笑止。生理的には受け入れ難いが命を犯す物でもない。覚悟を決め、己を奮い立たせるのみ。 まんまと自分達の周りへの食欲の儘に集まってきた無防備なソレらに源一郎は無骨な拳をゴキリと鳴らした。 「其方は坂本に任せる」 「んじゃ、そっちは任せるよニーサン」 態々目を合わさずとも。 構える無頼は胆に力を――刹那、殺意に荒れ狂う大蛇が如く己等が拳の届く有象無象の悉くを片っ端からぶっ壊し始めた! 「――!」 驚きを見せるザ・ジェネラル。その視界の先で、恐るべき双頭の大蛇が瞬く間に兵らを粉微塵にしてしまった。 (駆け出しの時代はGと寝床を共にしたりしてたし、別に平気だ。って思ってたんだけどねぇ……) 流石にこの数はちっとキツイもんがあるな。襲い掛かる大量のGを踏み潰し叩き潰し殴りながら瀬恋は思う。 序に言うとぶっ殺したGの汁とかは飛ぶかも知れないけど知らないね。 そこまで面倒見切れないよ。 「ヒギャァアアア怖い怖い怖いけどお、Gは消毒だー!!」 G汁が頬に着いた俊介がホラー映画の犠牲者並な悲鳴と共に敵を焼き払う聖なる光を放った。不殺の所為でころんとひっくり返るG、腕を構えて耐えるザ・ジェネラル。光るよ、あの黒い装甲が。あーやだやだ。 あぁ、本当に。 (これしき、心頭滅却すれば涼しきこと……) 後の事は今は考えないでおきます。暴蛇旋風の二次災害をペルソナで平気と思い込む事で乗り切り突っ切って、彩花が真っ正面からザ・ジェネラルへ肉迫する。 鉄拳令嬢の狙いはただ一つ、ザ・ジェネラル。 「焼き払って差し上げますわ!」 裂帛紅焔、腕に纏う白い牙に炎を宿して吶喊する。迎え撃つ将軍の放つ貫通魔弾が腹を裂く――しかし止まらず、俊介から浄化の鎧を授かりながらブーツのブースターを吹かせて一気に加速、その顔面を殴り飛ばした! 「ッ、」 勢いに飛び退く。操作したGは無頼達や小蜘蛛少女によって完全に無力化している。その分ザ・ジェネラルへの攻撃手が減ってしまうがGによる弱体化の事を考慮すればこれが正解なのだろう。 徹底的に接近して猛攻する彩花を決して止まらぬかの様な連撃で迎え撃ち、その動きを拘束するや隣の屋上へ軽々と飛んだ。 「作戦――そんな物は無え!」 着地、その瞬間を狄龍の気糸が的確無比に射抜いた。ザ・ジェネラルの動きがぐらつく。 「強いて言うなら『相手を逃がさない』……これに尽きるかな、へっへへ。 俺の得意な援護射撃で頑張っちゃうぜ? あっでも勘違いするなよ! 触りたくないからじゃないからな! まーそんな訳でーはいはーい鬼さんこちらー手の鳴る方 へ……」 ノリノリ狄龍の得意顔が硬直顔へ、蒼白顔へ、何故なら怒りにギラつく将軍の睥睨が狄龍を射抜いていたから。 バッ、と錆人目掛けて翅を広げる。反射的に防衛本能、【明天】【昨天】の銃指を向ける。 「く、来るなあぁぁぁ!?」 ズガガガガガガガッ。猛乱射。それを高速で掻い潜り看板を給水塔を走り、将軍が詠唱を始めた。 刹那に浮かび上がる巨大な魔法陣、噴き上がる漆黒の柱。 硝煙。暗黒。 しかしそれを吹き飛ばすかの様に吹き抜けたのはアンナが意思を読み取った聖神による奇跡の息吹、仲間を蝕む衝撃はおろかその傷すらも奇麗に拭い去る。 「……今回ほど前に出なくて済むことを感謝する日はないわ……」 あんまりじっと見たくないけど、その行動をじっと見て。小さいGの被害が未だ無い事にホッとしている。 ザ・ジェネラルが更に飛び退く。アンナはブラックコードでGをぷちぷち潰して行くまおへ目を遣った。 「荒苦那さん、飛ぶの手伝ってもらってもいいかしら」 「任せてください」 続々とザ・ジェネラルを追い、激しい攻防戦を繰り広げる仲間達に追いつかんと。 まおがアンナをひょいと抱え、軽々と飛んだ――ビルとビルの間、下を見たら気が遠くなりそうだ、なんて……思ったその刹那。あと少しで着地、という瞬間。 ぶわ。 「「え?」」 隙間から物陰から、飛んで飛んで飛んで来た……G。 「え、ちょ……や、」 うぞぞぞぞわしゃわしゃわしゃぞるぞるぞる。 「やあああああああっ!?」 アンナの凄まじい悲鳴、バランスを崩したまお諸共真っ逆様―― 「迫力あって怖いですが、頑張ります!」 口には入らないよう気を付けながら、何とかまおは片足を壁面に着いた。群がるGを振り払い一気に跳躍する。 「……ぶ、ぶれいく ふぃあー……。」 正直失神したいけどその前に。駆けあがるまおの足音を聞きながら白目のアンナはブレイクフィアー。 「ゴキブリャーァァアきたぁあいやぁぁあ!!」 一方俊介もスーパーGタイム。移動の所為で餌で釣る効果が薄れた所為か。 叫ぶ叫ぶ。女々しくて!女々しくて!女々しくて!つーらーいよーおー。でも、上られてぞるぞるされて、もう賢者タイム。レイプ目。そのまま神気閃光で何とかかんとかどうにかした。 それでも運良く躱したGへ……レイプ目俊介は牙を剥き、 【しばらく美しい花々の映像をお楽しみ下さい】 「やるよ、仲間のためだもん! アッヒャ! Gだろうと、やるよ? 二回目だよ、もうどうにでもなーれ★」 仲間の目線とか気にしない★ただ只管只管口元をゴシゴシゴシゴシ。 だが皆のG対策の成果か、Gの数はぐっと減っている。再びまおがばらまく餌に無頼の範囲攻撃、現れてもすぐに居なくなる。 「さて」 ザ・ジェネラルの魔弾に裂けた頬を鉄腕で拭い、正道は正面を静かに見据えた。仲間への精神力供給も十全、攻撃重視。防御に自信が無い者には俊介が聖なる鎧を与え、猛攻を受けた者は余裕のある者がすぐに庇い、お陰で未だ倒れた者はいない。 「魔力付与した何を放ってくるのやら……よもや、等と考えもしましたが」 裂けた頬の傷が消えたのはアンナの天使の息。超直観でザ・ジェネラルが『何をやっているか』しっかり見ていたが……少しだけガッカリしたのは、単純に人間様の真似事だったから。やはりGにはGなりの戦い方というものが、と期待していたのに。 零距離攻勢の彩花から飛び退きこっちへ向かって来たそれへ鉄腕をギィを軋らせた。 正道の眼鏡に映るのは将軍の正面――足歩行により曝け出されていると思われる手足の可動部や腹部など、『装甲』の薄い箇所。 「凹ります。」 軽いステップに刻まれる傷に平然と、次の瞬間に鉄腕の男が繰り出したのは的確と言うのも憚られてしまいそうな程『完全』で『完璧』な連続攻撃だった。 柔い横っ腹を貫手で突く、装甲の隙間と言う隙間を気糸で穿つ、四肢の関節を剛腕が打ち据える。 無双の連撃を理解できずザ・ジェネラルは混乱したようだ。よろめくそれへぜぇぜぇ肩で息をする狄龍が銃口を向けた。ぷちぷち足元のGを踏み潰しながら、うげー中身出ちゃってるよぉと顔を蒼褪めさせながら。 「硬くて黒くて強いジェネラルでも、敏感な所はあるだろ! うりゃ!」 撃つ、不可視殺意の絶対狙撃。それはザ・ジェネラルの細くしなやかな触覚へ。ブリーフィング時に源一郎が提案した戦法。虫が原型なら機能を留めてる可能性もあるだろうと。 かくしてその弾丸は触覚を一本刎ね飛ばす。 「 !」 大きく将軍の姿勢が崩れた。一気に二発も凶悪な魔法をぶっ放してくるが――狙いが滅茶苦茶だ。それに 「汚物は熱殺菌に限りますわね!」 その爆風に黒金の艶髪を颯爽と靡かせ、彩花が一気に間合いを詰める。懐に潜り込む。業炎、アッパーカット。ぶっ飛ばす。 「逃がすかアホー! ぶち抜けぇえー!!」 ホリメだけど回復だけでなく、攻撃。集中した俊介の詠唱は魔矢となり、飛び退こうとしたザ・ジェネラルを怯ませた。 その間に彩花は森羅行を、正道はトラップネストでザ・ジェネラルを縛り上げた。 藻掻く将軍。 そこへ銃口を向ける無頼が三人。足元には大量のGの死骸。 「汝が生まれ、別であれば良き好敵手と成ったやも知れぬな。 然し現実は非情也。我は拳にて命を奪う事しか出来ぬ――許せ」 歴戦の着流しを靡かせ、青の無頼は悠然と。 「いい加減しつこいんだよ。とっとと潰れろ!」 『最悪な災厄』の砲身を前に出し、黒の無頼は眼光鋭く。 「なんでわざわざ二本脚で立って歩いてるんだか知らねえが、すってんころりんだぜ!」 【明天】【昨天】、トリガーハッピーな錆の無頼。 撃った。 銃音、発砲炎、銃声、弾丸、早撃ち殺意、次々と何度も何度も着弾して着弾してブッ壊す。 将軍の装甲が砕け散る。砕け散った。 それでもザ・ジェネラルは最後の力を振り絞り――瞬時に加速して目にも止まらぬ文字通りの特攻を! 凄まじい衝撃、鈍い音。ソニックブーム。 しかし倒れた者は誰一人おらず。 「やはりこうでなくてはいけませんよな」 真っ正面、鉄の剛腕でそれを受け止めたのは正道。受け止めたその手で気糸を放つや拘束を。 身構えるのは鉄拳令嬢。 「網膜に焼き付けなさい――とっておきの一撃を!」 鉄山靠の姿勢。 次の瞬間、目にも留まらぬ速度の体当たりを! 「はぁああああッ! 黒鎧魔超神撃(ゴキブリタックル)!!」 説明しよう!黒鎧魔超神撃(ゴキブリタックル)とはゴッドウインドGアタックの動作を参考に大御堂彩花が開眼した獣拳の一種である!推定速度は270キロである! ※実際にはただの斬風脚(体当たり)です。 それでも凄まじい一撃はザ・ジェネラルを真っ二つに――彩花の着地を同時、ちゅどーんと爆発した。 ●THE事後 将軍を失い、カサカサGが逃げて行く。 それを彩花は洗剤をぶちまけてジェノサイド。神秘の隠蔽の問題も一応ありますし。 「洗剤が有効とされてますが、これは界面活性作用という水と油を融合させる成分によって皮膚呼吸を妨害し窒息死させるそうですわ」 ワンポイントレッスン。片手間に大量虐殺。 正道はアークに例によって例の如く残骸の回収と解析を要請していた。 「テラーナイトに繋がる痕跡が無いとも限りませんからな」 そう言って通信終了。アークの人超頑張れ。 「えっと、GさんはやもりさんみたいにゆったりすればきっとまおだってGさんを好きになれると思います。 ジェネラルさんもテラーナイト様も是非やもりさんを見習えばいいのに、と思います」 虚空、遥かな摩天楼をボンヤリ見渡しまおは誰とはなしに。ひょっとしたら誰か聞いているかもしれない、と。 その近くで俊介・アンナは心に決めた…… いつかテラーナイトぶっ殺す。 さて大方片付けが済めば源一郎が提案する。例の二次災害でアレな姿で。 「皆で風呂と参らぬか」 「そうですわね。とりあえず……真っ先にお風呂ですわね」 彩花も溜息と共に言う。瀬恋は「あー」と首を回しながら、 「名古屋のニーサンは風呂の用意ぐらいはしててくれるかね?」 何なら連絡してみようか。AFを取り出して。 あ、お疲れ様です皆々様、ご無事で何よりですぞ!え?お風呂ですか?そりゃもー勿論ですぞ! 誰もが心の中でガッツポーズを取ったのは言うまでも無い。 『了』 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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