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<強襲バロック>バロック・エリューションズ

●ワルプルギスの夜
 月が赤い。
 赤く丸い月が、天頂に至る。
 赤い月が、夜を怪しく染める……。
 ――ガサリ、茂みが動いた。
 這い出して来る。『蜘蛛』だ。
 いや、女か。その、マジリモノ。
 巨大な蜘蛛の脚を備えた女が、茂みから這い出して来るのである。
 そのあとから次々に現れる異形の者……。
 蝙蝠の羽を備えた黒い子鬼、蛇身をぞろびく妖艶な美女、ねじくれた角を持つ立ちあがった黒ヤギ、巨大な蟻の体を持つライオン……。
 それらは全て魔女の手で生み出され、この地に配置された衛視である。

●討伐指令
「もうご存じと思いますが、これは大規模な作戦の一部です」
『運命オペレーター』天原 和泉(nBNE000024)は集まったリベリスタに手早く資料を配布した。
「先に全体の背景をお伝えします。『塔の魔女』からの情報と機能を強化した『万華鏡』(カレイドシステム)の力で、バロックナイツが『穴をあける』儀式の現場が判明しました。神奈川県横浜市にある三ツ池公園という大きな公園です。……最近起きていた崩界の加速は、ここに特異点が生じる前兆だったようですね。『万華鏡』は大きな穴が世界に開くさまと、崩界を告げる血の色の月を観測しています。私たちは、これを阻止します」
 なるほど。やるべきことはわかりやすい。ただし敵にも備えはあるだろう。
「ええ。ジャック側の精鋭に加えて、バロックナイツに賛同するフィクサード達やアシュレイが作り出したエリューションも公園に配置されています。残念ながらこれに先手を取ることはできません。付近住民の避難と現場の封鎖は終わっています。みなさんは配置された敵勢力を撃破し、儀式を行っているジャックがいる中心部に迫らなければなりません」
 つまり、正面突破?
「出来る限りの戦術は駆使します。敵戦力が分厚く配置されている正門は避けますし、協力を申し出た蝮原率いる部隊はアーク戦力と合流して南門から陽動に当たります。その上で個別に編成された幾つもの部隊が西門と北門から儀式の行われる中央へ向かいます」
 障害は敵戦力だけ?
「アシュレイは『儀式が制御者を失っても成立する』……つまりジャックが『倒されても構わない』状態になるまでは園内中央部に『無限回廊』なる特殊な陣地を設置します。これを突破するための時間は私たちにはありません。アシュレイが解除するか、アシュレイを倒すか、ですね。――ただいずれにせよ、可能なときに可能なところまで戦線を押し上げていくことは必要です。その過程で、配置された敵戦力と衝突していくことになります」
 了解。で、このチームのさしあたっての敵は?
「アシュレイが放った5体のエリューションです。外見から『蜘蛛女』『インキュバス』『ラミア』『黒ヤギ』『アントリオン』と呼称します」

蜘蛛女
・広い範囲に糸を吐いて攻撃する(呪縛付与)
・近づいてきたものは八本の足で引き裂く
・糸を駆使して高度を取ることがある(飛行状態と見なす)

インキュバス
・常に飛行しており、高い精度で矢を放つ(魅了付与)

ラミア
・広範囲に火を吐く(火炎付与)
・長い尾で殴りつける(ノックバック)

黒ヤギ
・呪う(呪殺攻撃。全体に呪い付与。通常ダメージなし)
・強力な頭突き(ノックバック)

アントリオン
・強力な顎で噛みつく(流血付与)
・しばしば二回行動する

※全体的に攻撃力が高く、積極的に攻めてバッドステータスを付与してくる
 回復役がいないが、その分それぞれの耐久力は高い

「見るからに魔物……ですね。場所は西門側、遊びの森周辺の森林です。やっつけて、突破して、無事に帰って来てくださいね」


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:juto  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2011年12月14日(水)22:55
 そんなわけでシンプルな【闘劇】ミッションです。敵は見るからに魔女の手先な魔物たち。

 敵は前衛が『ラミア』『黒ヤギ』『アントリオン』後衛が『蜘蛛女』『インキュバス』という布陣です。蜘蛛女をリーダーに、エリューションとはいえ戦術的な行動を取ってきます。

 それではみなさま、良い物語を。
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
デュランダル
結城 ”Dragon” 竜一(BNE000210)
ソードミラージュ
★MVP
ツヴァイフロント・V・シュリーフェン(BNE000883)
スターサジタリー
リーゼロット・グランシール(BNE001266)
クロスイージス
セルマ・グリーン(BNE002556)
マグメイガス
来栖 奏音(BNE002598)
覇界闘士
三島・五月(BNE002662)
インヤンマスター
高木・京一(BNE003179)
クリミナルスタア
細・遥香奈(BNE003184)

●赤い月と白い光
 月が赤い。
 禍々しく赤い。
 その赤は血の色であり。
 その血は、魔術の贄に捧げられるものである。

 神奈川県三ッ池公園、遊びの森。
 丸太を組んだアスレチック遊具や長大なローラー滑り台が赤い月に照らされている。日中は子供たちが嬉々と遊んでいた場所だが、今、この夜には、血の匂いがする赤い霧がここまで漂ってきているような、ねっとりとした静謐の中に全てが沈んでいる。
 そういった遊具を見降ろしているのが、今は枯れ木ばかりの小高く登り行く丘である。これも丸太を組んだ回廊が、グネグネと曲がりながら丘を上っている。
 その回廊の陰に、リベリスタ達は身をひそめていた。

「ふむ、ここまでは問題ないな。敵はこちらの方向へ微速前進中だ」
『七教授の弟子』ツヴァイフロント・V・シュリーフェン(BNE000883)は双眼鏡で敵の位置を確かめていた。
 その視界に収められるのは、遊具を挟んで反対側のこれはこんもりと緑に茂った灌木の間から現れる怪物どもである。
 一つ、アントリオン。獅子の頭と蟻の胴体を持つ矛盾の怪物。
 一つ、ラミア。蛇身の女怪。
 一つ、黒山羊。ねじくれた角を備え、二足で踊るように跳ねまわっている。
 一つ、インキュバス。蝙蝠の翼で飛行し、小さな弓に矢をつがえながらなにがおかしいのかケタケタ笑っているようだ。
 一つ、蜘蛛女。上体は胸も露わな妖艶の美女。しかし下肢は蜘蛛のそれだ。
 それらが遊具の間に進み出てくる。全て、魔女が放ったエリューション――魔法の怪物だ。
「……ペットの離し飼いはやめてほしいものですね」
『銃火の猟犬』リーゼロット・グランシール(BNE001266)は張り巡らしたワイヤートラップの確認を行いながら呟いた。金のポニーテールが月光の赤を受けて強いコントラストを得ている。
「如何にもな怪物の集まりじゃないですか。ホント…潰すのに気兼ねしなくていいです」
『粉砕メイド』三島・五月(BNE002662)がそう返すと、両の拳を打ち合わせて目を閉じ、戦闘前の集中に入った。
「すー、はー、すー、はー」
 来栖 奏音(BNE002598)も両手を胸に置き、小さな体で集中力を高めている。攻性魔術師だが回復の魔法を心得る彼女は今回の戦闘の要石である。
「マギ・ナイトに相応しい相手ではありますが……典雅さと狂気度が足りませんね」
 敵をそう評したのは『畝の後ろを歩くもの』セルマ・グリーン(BNE002556)だった。そのあとに、ぎ、と奥歯を噛みしめると口の端から一筋の血がこぼれた。しかしそれはすぐに止まる。まずは肉体を壊す覚悟で戦意を高め、続けて高まった戦意の効果で負傷の影響を消す。高度な自己制御の産物である。
「ラジカセの準備できました。……この先に、ジャックがいるんですよね」
『子煩悩パパ』高木・京一(BNE003179)は普段は快活な事務員だが今はスパイククロスに身を包み、仮面で表情を押さえ込んでいる。はるかな赤い霧を遠く見やった。そうしながら符を何枚も取り出し、神秘の防御結界を作り出している。
「やるべきことをやるだけ。まずは目の前の敵の排除ね」
 その娘と言われてもおかしくない細・遥香奈(BNE003184)の方は、仮面を必要とせずとも淡々と無表情で冷静である。静かに覚悟を高めている。
「敵、交戦開始距離30mに到達だ。仕掛けるぞ」
 ツヴァイフロントが告げた。
「サー!イエッサー!ツヴァイ上長!今より照明弾を撃ち込みます、サー!」
 どうせ彼女の作戦に乗るなら軍服と軍隊口調にも乗ってやれ、というのが『原初の混沌』結城 竜一だ。いわゆる中二病の彼には、全ての戦いが己の設定を証明する舞台である。
 ポシュ、と。
 白い燐光が放たれた。
 赤い夜の中に光の弧が走ると、ばちばちとまばゆく燃えだした。光が化け物どもをはっきりと映し出す。
 同時に化け物どもは光の尾を追い、こちらに走り始めた。戦闘開始だ!

●後退戦術
 はじめに飛び込んできたのはアントリオンだった。圧倒的な速力で通常に二倍する運動量を示し、30mの距離を一気に詰めてくる。
 その細く鋭い足が張り巡らされたワイヤーに絡むと、「ごおっ」と一声吠えてワイヤーを咬み千切った。リベリスタ達へ仕掛けるための障害を極力排除すること、これがこいつの戦術的役割なのである。
「喰うものにも困るミルメコレオが。飢え死ぬ前に、此処で潰れて消えろ!」
 ミルメコレオとはアントリオンのラテン語読みである。頑強なセルマがこれを迎え撃つ。素早く跳びすさろうとしたアントリオンを、質量と速さを兼ね備えた鉄槌が打ちすえた。
「キキキキキィ!」
 耳障りな笑い声を発して接近してきたのはインキュバスだ。矢をつがえ、放つ。標的は結城だ。
「おっと――ぐっ……」
 かわしきれなかった。肩に矢が突き刺さる。と、同時にとろん、と彼の体から力が抜けて揺れた。魅了の魔力である。女性を誘惑するとされるインキュバスだが、その魔力は実は男性にも有効らしい。
 リベリスタ達は敵を待ち構えてから仕掛ける構えであるから、はじめは怪物の攻撃が相次いだ。
 黒山羊が進み出ると、ふしゅるるる、と黒い瘴気を吐きだした。それは瞬く間に薄く広がるとリベリスタ達を包み込む。
 これだけで直接傷を負うことはないが、瘴気に咳こみ、意志力を削られるものも出た。
 そこにラミアが炎を吐きだす。瘴気を燃やすように伝播した炎がリベリスタ達を襲う。
 さらに蜘蛛女が体をねじ曲げると糸を射出してきた。固く鋭い白糸がリベリスタ達の装備を切り裂く。
「く……だが、これで標的は射程内だ、仕掛けるぞ!」
 ツヴァイの剣風が空間を超えて、インキュバスに襲いかかった。かわしきれない怪物は脚を傷つけられて悲鳴を上げる。これは反撃ののろしであると同時に仲間への優先攻撃目標の確認でもある。
 攻撃対象が遠くにいるから、自然、攻撃も遠い間合いを制するものに絞られる。
「魅了はこの一回きりですよ」
 五月が体を宙にひるがえし、くるんと回転して足を振り抜いた。空気の刃がやはりサキュバスを捉える。怪物が泣きわめく。
「……攻撃開始……」
 リーゼロットはショットガンを構えると、猛然と立て続けの射撃を行った。機関銃の掃射のごとく弾がばらまかれ敵全体に襲い掛かる。標的それぞれの苦鳴で遊びの森は不気味な声に満ちた。
「よし。当たるわ」
 遥香奈の武器はフィンガーバレットだ。両拳から無数の銃弾が撃ちだされてインキュバスを襲う。インキュバスは身をよじりながら必死に高空に逃れるように飛ぶ。
「追い打ちだ。急急如律令、呪印封縛!」
 放った符は必殺の一撃というものではない。どちらかと言えば、効き目があれば儲けものといった代物だ。
 ところが、これが見事にかかった。闇雲に空であがいていたインキュバスは、符が展開した呪縛結界にほとんど自らすっぽりと入りこんだのである。
「ぎ、き、き、」
 空中で羽まで拘束されて磔になっている。
「いけますのですね。光よ、集まれ!」
 奏音が呼びだした光の精霊の群れは、彼女の胸元に凝集すると一気に解き放たれた。先ほどの閃光弾に数倍するまばゆい光が味方の後方から敵を襲う。ラミアが、蜘蛛女が目を覆い、アントリオンががしゃがしゃと騒ぐ。
 さて、そこで。
 残るは結城である。
「う、うう……」
 体の向きが変わり、味方に剣を向ける。
「う、ううう、うぉ……」
 だが。
「うぉぉぉお! 俺は! リア(ピー)だあ!」
 結城の中のプライドが、インキュバスの魅了を弾き飛ばした! 彼女がいるのだ! クリスマスも控えている! 野郎に魅了されている場合ではない!
「キサマだけは許さん。喰らえぇ!」
 渾身の剣風が空中に縫いつけられたインキュバスを襲った……。

 ひとしきりの迎撃が終わると、リベリスタ達はその場で次々と、およそ10mばかり後退していった。
 敵を釣りだすとともに、敵前衛の攻撃手段を限定する作戦である。
 敵はこれに乗った。
 アントリオンだけはぴたりとリベリスタ達に張り付いて次々と強力なあごによる攻撃を繰り出してくるが、これにはセルマが対応してがっちりとブロックし、この素早い難敵の顎が後衛に及ばないようにしている。彼女は彼女で遠方への攻撃手段を持ちあわせないから、まるでここだけ一騎打ちである。
 残りのリベリスタ達は敵全体へ弾の雨を降らせ、光を放ち、衝撃波を次々に飛ばし、結界を張る。
 決して一方的に攻めているわけではない。蜘蛛の糸がリベリスタの動きを止めることもあったし、ラミアの炎がリーゼロットの森林迷彩のバトルスーツに燃え移ることもあった。
 インキュバスは一度呪縛を抜け出すと、集中攻撃を受けながらも高い回避性能を見せながら一気に飛んで追いすがり、危険な矢を放って来た。もっともこれは五月が華麗にかわした。

 リベリスタ側が意図して仕掛けたいわば「熱い膠着状態」は、最終的にはリベリスタの有利に働いた。

 インキュバスが落ちた。とどめを刺したのは結城の剣風である。恨みがこもっている。
「ざまあ見ろ男子の敵!」
 一般的にはインキュバスは女の敵なのだろうが。
 それとほぼ同時に、仕掛けられていたラジカセから「ジャーンジャーンジャーン」と勇壮な音楽が流れ出した。さらに流れ出すのは歴史上の傑作とも言えるプロパガンダ、戦争責任はともかく演説は天才的と言われた某総統の就任演説である。熱い。意味は分からずとも聞くものをむやみに高揚させる効果がある。
 ……それがきっかけだというわけでもないだろうが……、怪物たちが、戦術の変更を見せた。

●乱戦!
 もともと、ここにエリューションが配置されているのは、リベリスタ達が公園中央に向かうのを阻止するためである。
 であるから、エリューション達には後退していくリベリスタをそのまま放置して自由にさせるという選択肢は最初からない。見敵必殺の方針なのである。
 だからこその戦術。
「クイィーーーーーー!」
 蜘蛛女が高く鋭く鳴いて指示を下すと、エリューション達が全員一斉に全力で駆け出し始めた。
 これまで遠くから炎を吐いていたラミアが蛇身をおそろしく早くのたうたせて滑るように進み、山羊が木々を蹴って跳躍に跳躍を重ねる。
 もちろんリベリスタ達の攻撃がそこに飛び交うが――次の標的は黒山羊だ――傷ついても構わぬという体である。
 総統閣下演説を背景にがむしゃらに向かってくる化け物ども。単純に、悪夢だ。
 そしてついに、ラミア・アントリオン・黒山羊・蜘蛛女の四体が一線に並んで、リベリスタ達の前衛に接した。
 そのままぐぐ、と一斉に身を低くして構える。と、ど! と一斉に飛び出した!
 ラミアの長い尾が、黒山羊の頭突きが、前衛のリベリスタを吹き飛ばす!
「ぐう、あっ――」
 特にツヴァイフロントの軽い身体は宙に舞わされ激しく樹に叩きつけられた。気絶してもおかしくない衝撃である。
「1888年ドイツ歩兵操典第58条『死んでも停まるな』!」
 だが踏みとどまった。
 さて、敵のこの行動はどんな状況を生み出したか? 一時的なリベリスタ側前衛の不足である。
 その隙をついてきりきりと進みだし前衛の間をすり抜けたのはアントリオンだった。
 さきほどから回復役に回っていた奏音に牙をむいた。恐ろしい顎の連撃が少女を捉える!
「きゃあ……っつ……」
 なんとか下がろうとする奏音。
 逆に弾き飛ばされた前衛は素早く踏み出して元の陣形を構築しようとする。
「ぐるおぉぉお!」
 そこに、蜘蛛が。指揮役自ら飛び込んで、やはり奏音を襲った!
「おっとぉ!」
 だがその鋭い八本の爪にかかったのは結城だった。
「結城さん、怪我がっ」
 その爪は恐ろしい威力だった。見る間に結城の足もとに血の池が出来る。
「……まだ、終われねえなあ! ……大丈夫。平気だ。かわいい女の子の盾になれるなら本望さ」
 ウィンクをする。少し下手だった。

 リベリスタ達は再び隊形を整え直すが、ここからは毎回後退するという余裕も意味もなくなっていた。
 ただひたすら攻撃を交わし合う。いつしか精神力が底を尽き技巧をこらすことができないものも出てきた。
 それでも戦う。戦う。戦う。
 敵はもう一度後衛狙いの一斉突出を仕掛けてきた。
 だがこのときは狙いが悪かった。
 ラミアの尾の一撃は五月がかわし、山羊の頭突きは……。
 ……セルマが正面から受けて立った。
「こんなものか、それで頭突きのつもりか! ナマっちょろいぞ!」
 がつん、と凄まじい音がして両者がぶつかり合った。
 倒れたのは……黒山羊だった。

 リベリスタの標的は黒山羊から蜘蛛女に転じる。
 危ういと感じた蜘蛛女は糸を木の梢にかけ、空中にその身を逃がした。
 だが。
「それは想定していました」
 リーゼロットの狙い澄ました射撃が……拡散する散弾の、しかしそのうちの中心を飛んだ銃弾が、糸を断ち切った。
「終わりだわ」
 落ちて転倒した女の頭に、遥香奈が拳を押しあてた。
 銃弾を放つ拳を。
 ヘッドショットキル。
 赤い月の下に、赤い花が咲いた。

 そこからは大した時間はかからなかった。
 アントリオンはもとよりセルマと散々打ちあっており、集中攻撃に耐えられる耐久力は残していなかった。
 そのあと残り一匹となれば、ラミアが幾らタフでも限りがある。
 さんざんに炎を吐き散らすも、奏音の治癒の魔法がその傷をいやして行く。
 最終的には、勝負を終わらせたのはなんと、精神力が付き果てた高木が振りあげて振り下ろしたガードロッドだった……。


 ジャックと穴を巡る戦いはさらに激しさを増して行く。
 しかし少なくともこのポイントに於いては、リベリスタの勝利である。


                              fin

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
 そういうわけで依頼成功です。
 いきなり魅了がかかっちゃった時はどうなることかと思いましたが、御覧の通りの展開となりました。
 散々飛びかった状態異常ですが、敵味方とも一度に皆かかるということはなかなか無く、かかっては1~2ターンで解除の繰り返しでした。そういうものなのかもしれませんね。

 MVPは戦術立案・構築で多大な貢献をしたツヴァイフロントに。
 おかげでとんでもないBGMが流れる戦場になってしまいましたが。

 このあとにはさらなる戦いが待ち受けていますね。
 これからも皆様、良き物語を。